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シナリオ詳細

<魔王召喚>魔王都市を作ろう!

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●最悪の1年
 世界の武器庫と呼ばれていたその国が魔王軍によって滅ぼされたのは今からもう1年近くも前の話だ。突如世界に現れた魔王を名乗る人物たちは、はじめこそ大したものではないと思われたが、徐々にその認識は改められる事となる。それは、1日で陥落した城塞都市グランデラジオと、その周囲に存在する国家が無能ではなかったという証にもなった。
 男性を対象に精神攻撃を行うゲイザー、攻城兵器そのものをひそかに破壊するシャドウ、城砦に近づくものを吹き飛ばし、侵入の余地を与えないストームリザード。大国が遊び半分で送った小隊はいとも絶やすく敗北した。……全滅なら、良かった。死んだわけではない。ゲイザーの能力によって、差し向けた兵士のほとんどが魔王軍へと寝返ったのだ。

「いったいどうしてくれるんだ!」
「もっと早くどうにかすればよかったのに」
「お前が様子を見てこいといったからだろ!」

 人々は今日も争い合う。その責任から逃れようと、他に刃を向ける。
 それが――――魔王軍にとって、もっとも欲しかった時間という塩だとも知らずに。

●拠点整備
「さて、君たちにはこの1年という期間の間に、拠点を作ってもらおうと思う」

 黒髪眼鏡の麗人――名もなき境界案内人は、さらりと本をめくる。そこには建築の手段やインフラ整備についての記載だ。なぜかサンドボックス系の攻略本まである。城塞都市グランデラジオはすでに都市としての整備能力は出来上がっており、アレンジをするだけなのだが、あくまで間違ってインフラを壊してしまわないようにとの配慮の為に積み上げられた参考書だ。

「あれから1年。いまだ勇者が現れないということはもう一度なにか劇的なイベントがないといけないのかもしれないね。でも、まずはその下ごしらえとしようじゃないか。ハリボテの魔王城を攻める勇者の物語なんて、読者は満足しないだろうし。あ、彩りも欲しいよね? 君たちの考える最強のモンスターを作るためのモンスターキットを今回も用意したよ。ぜひ使ってみてくれ」

NMコメント

●前作『【魔王召喚】世に善を作るには誰よりも悪を貫くしかない』
 (https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/501)

●目標
 城塞都市グランデラジオを魔王軍が住むにふさわしい場所に改造してください。
 のちに勇者パーティが来た時の撃退手段としてトラップを講じるのもOKです!
 みんなで新しい名前も付けるといいかもしれません。

●他に出来る事(必要であれば)
 モンスターキットを使って配下のモンスターを生み出す

●既存モンスター
 [ゲイザー]知能が低いものの、洗脳能力を持つ
 [シャドウ]潜伏能力と建築物破壊能力が高い
 [ストームリザード]小型竜の中でも突風を起こす力は一番高い

●城塞都市グランデラジオ
 かつては世界で3番目に大きい都市国家、だった。
 取引されている物資は食料品から衣類といった生活必需品から、火薬や魔法石、武器といった戦争が頻発するこの世界において《金の成る木》であるモノまで取引されている。
 人口は大国家の十分の一。兵力こそ大国家に負けるものの、大国家を相手に取引している事もあって、世界においては戦争で攻め入る事は許されない暗黙の了解が成り立った中立派閥として世界に存在。しかし、イレギュラーズ改め、魔王軍によって既に陥落している。

●物語世界『エゴリスタ』
 純血至上主義。身分が絶対。肥大化したエゴを武器にヒト同士の殺戮に満ちている。
 半端モノ(ハーフブラッド)と呼ばれる人々は人権を持たない。
 本来、世界の自浄作用で魔王が顕現するはずだったが、さる事情で物語が歪んでしまった。
 もちろん、魔王が居なければ、勇者という現象も起きずにいる。
 ――――結果、イレギュラーズには『魔王』になってもらう事となった。

●サンプルプレイング
 ここをキャンプ地とする!……じゃなくて、魔王領の首都とする!
 この世界では『〇〇の魔王』を名乗ろうかな!
 さてさて、何を作るかは皆に任せて私はメジャーオブメジャーなスライムでも作ろうか。
 奇襲型のモンスター。結構、トラップと組み合わせると強いんだよね!

  • <魔王召喚>魔王都市を作ろう!完了
  • NM名蛇穴 典雅
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年03月07日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ウォリア(p3p001789)
生命に焦がれて
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
ウインディ・ゼロ(p3p010020)
騎士道貫きし怪盗
茶寮 コロル(p3p010506)
どたばたロリ店主

リプレイ

 城塞都市グランデラジオに再び魔王が降臨する。陥落したその城では、愛に目覚めた❝民❞が彼らを歓迎した。此度の来訪の意味を知った彼らもまた、この地を魔王の拠点にふさわしい場所にすることを快諾した。もっとも、その意識の多くはすでにゲイザーによって正常な思考を刈り取られているのだが、イレギュラーズにとってはむしろ好都合と言えた。

 『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)は2度目の来訪となる『エゴリスタ』だが、その有様に苦笑する。確かに抵抗してこないのは便利だが……自分たちが自ら指示しなくては何も働かないというのは、むしろロボットを相手しているようで面倒だ。己の思考で判断する管理者が欲しいところだ。
 モンスターキットで生み出すのは、人間と同程度の知能を持った魔物だ。攻撃性能自体はそれほど高くないが、そのかわり、耐久性能が高く、作業の中でもこまごまとした雑用を効率よくこなしてくれる存在だ。効率よく作業をこなす事を集中したせいか、ヒト型でありながら多腕であるその姿はアラクネによく似ていた。
 また、排泄物や塵、埃を餌とする存在として、小さなナメクジのような魔物も生み出しておく。せっかく作った魔物や、手駒となった人間が病魔を疾患するのはあまり褒められたことではないだろう。
 城の階段をゆっくりと上がりながら、次々と山積みになっていた『やらなければならないリスト』のタスクが消えていくのをにこにこと眺めていたが、屋上にたどり着いて、ハッと気が付いた。

「……おかしい。強力なモンスターを作る為のキットのはずなのに、実用性にしか極振りしてねぇ。そういう性だから仕方ないか。やる事がひと段落ついて余裕があれば四天王なりドラゴンなり作ればいいだろ」

 屋上から城塞都市グランデラジオを見下ろしながら、自身の性格を再自認して苦笑したのち、空に向かって手をかざす。複雑な魔法陣が組みあがり、そこから、ぶわりと黒い雲が吐き出されていく。――しばらくすれば、城塞都市グランデラジオの上空を、時折雷が威圧するかのように囂々と唸る、今にも雨が降りそうな黒い雲が覆っていた。

「――魔王軍の拠点に日光が降り注ぐなんてミスマッチ甚だしいからな。あとは容易に人が近づける状況と言うのも良くない。無論、今の戦力でもそう簡単に領内には入ってこれないだろうが念の為毒の霧でも撒いておくか」

 かくして、魔王軍の印を身に着けていないもの以外は全てを腐食し、犯す毒の霧が城砦付近に散布された。侵入経路はこれでかなり限定されるはずだ。侵入経路をあえて絞る事で、対策は容易となる。
 そして、その侵入経路を開拓するのは『戮神・第四席』ウォリア(p3p001789)だ。〈両義の魔王〉と名乗るかの魔王を、ハーフブラッド代表のミルカは歓迎する。

「理を滅ぼし、罪を刻む…命ある者に、等しき咎を、悲壮の覚悟を抱く気高き灯よ。……戮神たる我を呼ぶはお前の声か?」
「はい。どうか、ご助力を。……この星が我々を見捨てないうちに」
「承認した」

  ウォリアはその覚悟に好感をもった。いつか現れるかもしれない勇者。それが善に属した賢いものならばいまから作るこれらのトラップはほとんど脅威にならないだろう。最も――偽善に染まった勇者を許すことはないが。かくして、攻め込む者の欲望を嘲う数多の罠が待つ『迷宮』を作る事とした彼は次々にモンスターキットを使い、魔物を生み出していく。

「溢れ出でる欲望を貪り尽くせ――ミミック」

 最初に生み出された魔物はミミックだ。相手の欲望を映した姿になる。戦闘能力は無いが、非常に狡賢く状況に適応する。ミミック自体も欲望という感情を好物とする偏食であり、欲望を食われた者は廃人同然の腑抜けになる。ゲイザーと併用すれば、物資として他国に潜り込む事も不可能ではないだろう。

「母なる迷宮を守護し、その岩盤を力とせよ――ガーゴイル」

 次に生み出されたのは命を持った石像である。己の形を変化させて壁に同化したり、ダンジョンの構造を組み替える事が出来るそれは、押し潰しや壁への同化に侵入者を巻き込むトラップにもなる。石の身体は堅牢な反面鈍重そのものだが、そのデメリットを補うには十分すぎる性能だ。

「ふむ。……奴隷化したハーフブラッドを先兵として送り出される可能性もあるか。物同様に扱われるなら、ほぼ確実ともいえる。うむ。……運をわずかに傾ける裁量を測ろうか。強欲を潰し、弱気を導くモノとなれ――キマイラ」

 猛獣を複数合成した様なおぞましい異形。人間を鎧ごと紙屑の様に握り潰す膂力を持つそれは、縄張りに極めて厳格で、迷宮内を長時間探索している者を感知して追って来る。その足から逃れるには鎧を脱ぎ捨てなければ難しいだろう。だが、そこまでの判断を下せる人間が一体どれほどいるだろうか?
物理、魔法、状態異常に極めて高い耐性を誇り『好んで』人間を食う以上、常にキマイラは腹を空かせている。力仕事や作業に従事出来る知能を持つ一方で、迷い込んだハーフブラッド達を安全に送り届ける役目も担うが――キマイラに敵意を向けた場合は死ぬだろう。地図も案内役も万一に備え作ったが、なるべくならば、弱い立場である彼らは保護したいところだった。

 だが、生命の基本は『自助努力』だ。チャンスをつかみ損ねたものまで面倒を見る余裕はない。その言葉にミルカとギルバートはわかっていると頷いた。全てを救うことができるとはさらさら思っていない。ただ、――同胞が救われる可能性が0から1になるのなら、それに賭けるしかない。

 さて、一方で生み出されたばかりのモンスターに戦いの基礎を指導するのは『騎士道貫きし怪盗』ウインディ・ゼロ(p3p010020)だ。〈魔王騎士〉を名乗る彼にハーフブラッド代表のギルバートは深々と頭を下げた。

「勇者が来たときしっかり戦えるように訓練出来る場所が必要だな」
「そうですね。……少しでも強い方がよいのは確かです」
「よし、決めた訓練場の名前は『わくわく魔王ランド』にしよう」
「はい。……はい?」

 その楽し気な名前にギルバートはつい聞き返してしまうが、ウインディの作った訓練施設を目の当たりにすれば、名前だけが楽しいだけで、その内容は全く可愛げがないことを理解する。回る床、迫りくる壁、降り注ぐ魔法、その他あらゆるトラップに対応した数々のトレーニング。迷宮での戦闘を前提にしている以上、これに勝る訓練方法はないだろう。さらにこの世界ではややオーバーテクノロジーがすぎるが勇者パーティーを模したシミュレーターまでも用意していた。

「すごい……こんな訓練方法、初めて知りました」
(建築は専門ではないが怪盗たるものこれくらいは作れないと…って俺が怪盗なのは秘密なんだった)

 ギルバートの言葉に、上手い言い訳が見つからなかったウインディはひとまず「まあね」と短く返答をする。あいかわらずギルバートにはその仕組みが全く分からなかったが『魔王様方の技術はすごい物ばかりですね』と受け入れていた。別次元の存在である以上、技術も別次元なのだろう。

「騎士たるもの普段の訓練は欠かしちゃダメなんだ」
「なるほど、勉強になります。さすが〈魔王騎士〉様ですね」

 この中で最もこの仕事に困惑していたのは『どたばたロリ店主』茶寮 コロル(p3p010506)である。

(気づいたら魔王に就任していました。私なんかで大丈夫なのかな……)

 しかし、仕事は仕事である。やれることをやらなければと意気込む少女はぐっと両手を握る。気合を入れた後、食の分野には自信があるコロルはフードテーマパークを作ることにした。その名も「喫茶トリコロールぐらんでらじお支店」である。数々のモンスターの餌を用意しているほか、軍門に下った人々が食事を取れるようにする場所でもある。戦いの基本は食料だ。とはいえ、城塞都市グランデラジオは武器防具を輩出する貿易都市だった街だ。食料の自給自足は難しい。

「レトロな喫茶店です。ナポリタン、オムライス、カレーなどなど…おいしいご飯を魔王軍の皆さまに提供して、これからの戦いに備えてもらいましょう! そのためにもホールスタッフや食料を作ってくれる子が必要ですよね」

 彼女が生み出したのはスライムだ。その身体を自在に変化させることのできるスライムは多くの食料を運ぶこともできれば、奇襲にも特化している。万が一勇者たちがここで休息をとった際にはすかさず身柄を拘束し、ゲイザーで洗脳する凶悪コンボも狙えるだろう。
 問題は食料調達だが、ウインディに相談したところ、それならば植物系のモンスターを作るのばどうだろうかと、彼が『アルラウネ』を作り上げてくれたことでこれは問題が解消された。上空は回言が作った雲で覆われており、日光はすっかり遮断されている。まっとうな方法で野菜を作ることはできないが、魔力を餌にしているアルラウネであれば、野菜を作るのに問題はないだろう。
 実際、ためしにアルラウネから取れたニンジンなどを使ってカレーを作ってみたところ、魔力がこもったカレーが出来上がり、魔力を好物とする魔物はそれを喜んで食べていた。

防衛機関、トラップ、訓練場、そして食料。それらが出来上がった城塞都市グランデラジオを攻め入ろうとする影が現れ始めたのはそれから二か月が過ぎてからだったが、それはまた、べつの物語である。

成否

成功

状態異常

なし

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