PandoraPartyProject

シナリオ詳細

幻想戦隊ノーブルファイブ! 窮地、異世界怪人!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●異世界怪人『油圧ワニファラオ』
 平和な幻想の町。
 優雅に紅茶を飲み交わす貴族とその召使いたち。
 小麦畑は風に揺れ、青い小鳥が飛んで行く。
 ――突如!
 空の小鳥が斬撃によって血煙と化した!
 続いて起きる砲撃! 砲撃!
 小麦畑は燃え上がり、空は灰に覆われてゆく。
 突然の凶事に立ち上がる貴族たちに、無数の影が揺らめいた。
「ククク……フハハハハハハハハ! 貴族たちよ、平和は終わりだ!」
 花を踏み、笑う影――それはワニとヒトと、そして油圧カッターを複合した恐ろしい怪人であった。
 あたりを囲むはカメやトカゲ、ヘビやカメレオンといった生物と工具が混ざった怪人たち。
 肩の放射器から炎を吹くバーナータートル。
 両手に複雑なナイフを装備したリッパーカメレオン。
「幻想の地は我々ネオフォボスが制圧する」
「そこまでよ!」
 銃撃。飛び散る火花にタートルやカメレオンたちは飛び退いた。
 貴族たちを庇うように立ち塞がる五人の女戦士たち。
 赤い鎧のノーブルレッド!
 青い杖のノーブルブルー!
 黒い小銃のノーブルブラック!
 緑のナイフのノーブルグリーン!
 ピンクの猫耳ノーブルピンク!
「「幻想戦隊ノーブルファイブ!」」
 素早く展開した戦士たちは敵のトカゲスレイブたちを次々に倒していく。
 しかし……。
「ネオヴォボス、あなたたちの悪事も……何っ!?」
 剣に炎を纏わせたレッドが相手の姿に目を見開いた。
「油圧ワニファラオ! あなたは倒した筈!」
「ククク……フォボス様の力は素晴らしい。我々改造怪人は何度でもよみがえるのだ!」
 油圧ワニファラオは右腕に備わったカッターで虚空を横一文字に切り裂いた。
 すると、なんということだろうか!
 ノーブルファイブたちが一斉に切り裂かれ、火花を散らして吹き飛んだではないか!
 グリーンが早くも膝をつき、ピンクやブルーもピンチな状態だ。
「くう……なんて切断力や。前までの油圧ワニファラオやないで!」
「仕方ない。撤退だ!」
 ブラックが放ったスモークグレネード。
 煙に紛れ、ノーブルファイブは助けた貴族たちをつれてその場を逃げ出したのだった。

●混沌戦隊パンドラエイト!
「情けない話だけど、私たちは油圧ワニファラオに負けてしまったわ。
 襲撃された貴族たちにけが人が出なかったのは、不幸中の幸いね」
 病院のベッドで首を振るのはノーブルレッド。
 赤い鎧はベッドの隣に置かれている。
 前には、ローレットを通じた依頼で集まったイレギュラーズたちが並んでいた。
「説明が遅れたわね。私たちは幻想戦隊ノーブルファイブ。
 王がサーカス対策を本格的に始めたことで中小貴族が合同出資で立ち上げた遊撃部隊よ。
 サーカス撃退のあとは各地で慈善活動のようなことをしていたんだけど……少し前から水面下で活動していた秘密結社ネオフォボスが本格的な活動を開始したの。
 今は彼らとの戦いが主な役目よ」
 周りを見れば、グリーンやブラック、ピンクやブルーといったメンバーたちがそれぞれ重傷状態でベットについていた。
「あなたたちを呼んだ理由は一つ……いいえ、本当は二つ。
 けれど、まずは一つ目から話すわね」
 レッドは羊皮紙の束を取り出すと、イレギュラーズたちに差し出した。
「これは以前戦った改造怪人『油圧ワニファラオ』のデータよ。
 彼は異世界からやってきたヴィラン(悪人)なんだけど、練達で力を蓄えていた秘密結社ネオフォボスに忠誠を誓って幹部怪人になったわ。
 五人の力を合わせて倒すことができたけど……彼は復活した。
 恐らく総帥のフォボスという存在の力だと思うけど、それだけしか分からない。
 肝心なのは、油圧ワニファラオが次なる襲撃を計画しているということなの」
 資料には大きく『幻想ナイル川計画』と書かれている。
「彼はナイル川という異世界の土地に流れるパワーをこの世界でも再現しようとしているわ。それがどんなものかは分からない。
 けれど、小鳥を殺し小麦畑を焼く行為がよいことなわけがないわ。
 彼の野望を止めるため、皆の力を貸してほしいの」
 そう、ここで語られるべきは次なる襲撃計画。
 幻想バルツァーレク領北の村を占領しようとしているのだ。
 部下のトカゲスレイブというモンスター軍団と数人の武装獣種を連れ、油圧ワニファラオは進軍してくるだろう。
「幻想の民を守るのは私たちの使命。意地でも駆けつけ、住民たちを避難させるつもりよ。
 けれど土地を守り切れるかはわからない。彼らを撃退できるか……。
 だから、あなたたちの力が必要なの。油圧ワニファラオを倒すべく、私たちと一緒に戦って!」

 そこまで語ってから、レッドは少し気まずそうに咳払いをした。
「そういえば、二つ目の理由を話してなかったわね。
 油圧ワニファラオが異世界からやってきたと言ったわね。
 ローレットには、同じ世界に存在したヒーロー、レッドジャスティス……その相棒が在籍していると聞いたの。
 そう、名前は……アルプスローダー」

GMコメント

【オーダー】
 成功条件:油圧ワニファラオを倒す

 バルツァーレク領の北、マーベラ村を守るべく幹部怪人油圧ワニファラオとその部下たちと戦います。
 ある程度は流れが定まると思いますので、そこも含めて解説していきます。

【パート】
●前半パート『対トカゲスレイブ』
 マーベラ村の住民を逃がしつつ、敵の戦闘員トカゲスレイブたちと戦います。
 この作戦にはノーブルファイブたちが同行しており、協力して戦うことになるでしょう。
 彼女たちは今回【重傷状態】です。戦闘力に影響はないのですが後の被害がよろしくないので、トカゲスレイブ戦では住民避難を優先して行動します。
 なので皆さんはトカゲスライブたちを倒していってください。

●後半パート『対怪人ズ&油圧ワニファラオ』
 トカゲスレイブたちを倒しきると、待ってましたとばかりに怪人たちが戦闘に加わります。(逆にいうとなぜかそれまで待ってくれます)
 ここではノーブルファイブの五人と共に、それぞれの怪人と戦いましょう。

【エネミー】
●トカゲスレイブ
 ネオフォボスが使役している低級モンスター。
 二足歩行をし、棍棒を武器としています。
 一般人よりはちょっと強いくらい。
 これが約10体くらいいます。

●バーナータートル
 火炎放射器を装備した亀系獣種。
 防御技術と物理攻撃力があれば誰にも負けないぜという精神。
 どういうわけか異様に強化されており、性格も非常に狂っている。

●リッパーカメレオン
 シーフタイプのカメレオン系獣種。
 回避とクリティカルに優れた戦士。
 見た目をぼやあっと透明っぽくして相手の攻撃をかわしナイフで攻撃するというスタイル。
 彼もなんでか非常に狂っており、そして強力。

●油圧ワニファラオ
 異世界からやってきたヴィラン。
 混沌にて練達技術に触れたことで大きな力を獲得したようだが、どうやらそれだけではなさそうだ……。
 右腕に備わったカッターはなんとナイルワニ1万頭分の咀嚼・切断力を持つという。
 勿論これまでの戦いでの必勝法や弱点は通用しないだろう。

 ※油圧ワニファラオのイラストは『アルプス・ローダー (p3p000034)』のPL様によって発注・制作されたものです。

  • 幻想戦隊ノーブルファイブ! 窮地、異世界怪人!完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年08月02日 21時00分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アルプス・ローダー(p3p000034)
特異運命座標
オーカー・C・ウォーカー(p3p000125)
ナンセンス
ナーガ(p3p000225)
『アイ』する決別
ロジャーズ=L=ナイア(p3p000569)
同一奇譚
佐山・勇司(p3p001514)
赤の憧憬
カタラァナ=コン=モスカ(p3p004390)
海淵の呼び声
無限乃 愛(p3p004443)
魔法少女インフィニティハートC
アマルナ Ⅳ世(p3p005067)
いもより脆い

リプレイ

●正義の邂逅! 混沌戦隊パンドラエイト!
 爆発する屋敷。燃える畑。
 倒れる柵に躓きながらも逃げ惑う人々。
 間違いない。秘密結社ネオフォボスの大幹部油圧ワニファラオ率いる怪人軍団の襲撃だ!
「なんてこと。町田だけでは飽き足らず、幻想までナイル川にしようとしていただなんて……」
 焼けた畑を前に、『二輪』アルプス・ローダー(p3p000034)はぎゅっと拳を握りしめた。革製のライダーグローブが軋んだ音をたてる。
「この世界にレッドジャスティスは居ない。僕もかつての力を喪いました。けれど……」
「そう、私たちがいます」
 振り返ると、七つの影に光が差した。
 悪の炎が混沌を焼く時。闇に無数の影がさす。
 運命に選ばれし八人の戦士。
「愛あるところに悪を滅する光あり! パンドラストロベリーa.k.a.魔法少女インフィニティハート、ここに見参!」
 いつもの三倍効果をつけて、『魔法少女インフィニティハート』無限乃 愛(p3p004443)が巨大なハート鎌を構えた。
「魔法少女インフィニティハートさん……!」
「ナーちゃんはホワイト! かっこいいでしょ! でもテキさんはマッカにアイしてあげるのです」
 シャベルを振りかざして凶暴かつ純朴に笑う『アイのミカエラ』ナーガ(p3p000225)。
「ナーガさん!」
「ふはははは、混沌世界にファラオは一人でよい! すなわちそれは余じゃ。余こそゴールデンな黄金の真・ファラオ、アマルナⅣ世である! お主からファラオもぎ取ってただの油圧ワニにしてくれるわ!!」
 両手を腰に当てた褐色少女こと『光輝なるワンパンファラオ』アマルナⅣ世(p3p005067)が限界まで胸を張った。
「ファラオのひと……!」
「特撮だ。戦隊物だ。我等『物語』には不相応な王道だが、此度も全力で肉の壁と成る。異世界の怪人など異世界の怪異が貪り尽くして魅せよう。違うな。貪り尽くされて晒そう」
 名状しがたい影がうごめいて『Eraboonehotep』オラボナ=ヒールド=テゴス(p3p000569)の形をなし、赤い三日月のごとく笑みを浮かべた。
「おばけ……!」
「我等『物語』の色は黒で好いのか。否か。闇黒とも自称可能だが。ああ。三日月の色は赤だったな。されど赤は主人公に――派手な輩に任せるべきだ。さあ。物語を始めよう」
「じゃあ僕はブルーかな。ブルードルフィ……うぅん。ノーブルファイブに比べたら汚いマーブル模様だけど」
「そんなことはありませんわ。海の中から見る陽光のように美しい蒼です」
 迷い気味の『海淵の呼び声』カタラァナ=コン=モスカ(p3p004390)の肩をを、ノーブルファイブのブルーが叩いた。
「カタラァナさん! ノーブルファイブのみなさん!」
「なんだ……この流れすごく出づらくないか。なあ?」
 あたまをかく『GEED』佐山・勇司(p3p001514)の隣で、『ナンセンス』オーカー・C・ウォーカー(p3p000125)が真顔で振り向いた。
「黄土色は華やかじゃねぇ、イエローを取らせてもうぜ」
「あっその話続いてたのか。え、どうしよう俺、残ってるのは――」
「オーカーさん! 赤マフラー!」
「なにその呼び名初めて聞いた!」
「混沌にはノーブルファイブが! イレギュラーズが! パンドラエイトが居る! 秘密結社ネオフォボス……お前を止めてみせる!」
 バイク(というか本体)に跨がり走り出すアルプスローダー。
「あっ、あいつまとめに入ったぞ!」
「流れで突入する気だ。出遅れるぞ、急げ急げ!」

 燃える町を歩く無数の怪人トカゲスレイブ。
 その後ろを、幹部怪人たちが威圧するように歩いて行く。
 おびえる孤児院の子供たちとシスターの人。コーヒーを出したらミルクと砂糖を別途つけるのが常識なように、孤児院を見つけたら襲っておくのが怪人のつとめ。
「ククク、子供たちよ恐怖せよ。フォボス様の贄となれ……!」
 油圧カッターの腕を振り上げる油圧ワニファラオ!
 恐怖に身をすくめる子供たち!
 途端、無数の攻撃が飛来し、油圧ワニファラオの前に火花を散らした。
「むう……ノーブルファイブか? いや違う、あれは……!」
 振り返れば八つの影。
 炎に照らされ姿を見せるは――。
「パンドラピンク!」
 バイクの前で身構えるアルプス。
「パンドライエロー!」
 屈強に拳を突き出すオーカー。
「パンドラホワイト!」
 両手でスコップを振り上げるナーガ。
「パンドラブラック!」
 大量のなにかをわき上がらせるオラボナ。
「パンドラブルー!」
 架空の鍵盤を撫でるように腕を振るカタラァナ。
「パンドラストロベリー!」
 年季の入った魔法少女劇場版ポーズをキメる愛。
「パンドラゴールド!」
 魔導棺桶トゥトアンクアメンを装着して自然な見栄をきるアマルナ。
「えっ、えっ――」
「なるほど貴様がパンドラレッドだな!」
「えっ!?」
 きょろきょろとする勇司。
「油圧ワニファラオ! 幻想をナイル川になんてさせない……我ら!」
 偶然巻き起こった爆発を背景に、八人は身構えた。
「「混沌戦隊パンドラエイト!」」
「――ええい、ワニスレイブ! 奴らを抹殺するのだ!」
 命令を受けて走り出すワニスレイブたち。
 対して八人はそれぞれに走り出すと、ワニスレイブの群れへと突撃していった。

 棍棒を振り上げ駆け寄るトカゲスレイブを矢で次々と迎撃するオーカー。
 接近し顔を狙った打撃を弓で受けると、腕力でもって薙ぎ払っていく。
 アクセルをひねられ心地よい音を鳴らしたアルプスローダーが、激しい排気と共に突撃。トカゲスレイブの群れを次々と撥ね飛ばしていく。
 一方で群れの中心に着地したナーガは一斉に振り込まれた棍棒をシャベル大旋風によって打ち払い、もうもう一周大旋風によって薙ぎ払う。
 その横ではトカゲスレイブ三体の棍棒をたった一本の剣で受け止める勇司がいた。
 もう一本の剣を腰の後ろで握ったままに、Xの斬撃でトカゲスレイブを打ち払う。
「カタラァナ、支援を頼む!」
「まかせて、テーマソングを作ってきたんだから」
 カタラァナは空中に鍵盤を規則正しく浮かべると、美しい指さばきで演奏しはじめた。
 ピアノソングに会わせて豪快な金管楽器やドラムセットの音が融合して鳴り響きカタラァナは高らかに歌い始める。
「『甘き愛も悪には甘からず! パンドラストロベリー!』――キャッチコピーもお忘れ無く」
 左右から襲い来るトカゲスレイブを次々に打ち払い、棒術よろしくくるくると回した大鎌を水平に止める愛。衣装の胸にイチゴ型のブローチが揺れた。
「真のファラオを見るがよいわ!」
「我等『物語』もな……!」
 トゥトアンクアメンボディが強く足踏みをすると、地面を割って無数のミイラが飛び出した。
 オラボナの形が恐ろしく溶け、赤い『嗤い』だけを残して大量のなにかをわき上がらせる。
 トカゲスレイブたちの打撃をうちはらい、指から発射する太陽光線が次々と打ち倒す。
 つぎつぎと爆発し、塵と消えるトカゲスレイブ。
「ぬう……小癪な!」
 すると、油圧ワニファラオが豪快な横一文字斬撃を繰り出した。
 虚空が避け、激しい火花によってアマルナたちが派手に吹き飛ばされる。
「パンドラエイト! 大丈夫!?」
 そこへノーブルファイブたちが駆けつけた。あちこち怪我は残っているが、気合い的にはフルパワーだ。
「町の人たちは逃がしたわ。あとは幹部怪人たちを倒すだけよ!」
「ここからは我々も協力する」
「力を合わせて油圧ワニファラオを倒すんや!」
「はい……!」
 立ち上がるイレギュラーズたち。
 バーナータートル。
 リッパーカメレオン。
 そして油圧ワニファラオが腕を振り回すように構える。
「よかろう! ここを貴様らの墓場としてくれるわ!」

「ケケーッ!」
 背景に溶け込むように半透明となったリッパーカメレオンは目にもとまらぬ超高速で駆け巡る。
 オーカーもナーガも、全身から火花を散らしておおきくよろめいた。
 姿を現わし、ぎょろぎょろとした目を回すリッパーカメレオン。
「ケケケッ! 止まって見えるゼ! 命乞いをするなら今のうちだゼー!?」
「こいつらも人語を理解する奴だった、のか? 怪人と言うより獣って感じだがな」
「よく見てあれ獣種獣種」
 汗をぬぐうオーカーにノーブルピンクがちゃっかりツッコミをいれていた。
「それにしたって変や。コイツも前に戦った怪人やけど、ここまで強くなかった。せいぜいウチと同等くらいの筈や」
「でも……?」
 ナーガはゆらりと起き上がり、乱れた呼吸を整えた。
 八人のイレギュラーズと五人の幻想戦士。計13人の力を結集しても、三人の幹部怪人は強力だった。普通はまずあり得ない戦力バランスである。
 いや、ありえないとまでは言えないだろう。なぜならイレギュラーズたちは過去に一度、これと同じ状況を経験しているのだ。
「魔種のキャリアーたち……」
「考えている暇はない。全力でいくぞ!」
 ガード姿勢のまま突撃するオーカー。
 リッパーカメレオンはここぞとばかりに彼の喉を裂いたが、同時にリッパーカメレオンの肩も切り裂かれた。吹き出た血が半透明なボディを目立たせる。
「あはっ……! 綺麗なアカ! アイしてあげるね! もっとマッカに!」
 飛びかかるナーガ。
 が、リッパーカメレオンが放ったナイフでシャベルが跳ね飛ばされる。
 その隙をつこうとした攻撃を、ノーブルピンクとノーブルグリーンが我が身を肉の盾にして受け止めた。
「今や!」
「――!」
 ナーガの目が赤く光り、拳に力が漲った。
 自らを構成する色々なものをかなぐり捨てた一点突破の一撃必殺。その衝撃が、リッパーカメレオンに直撃する。
「ケケッ!? ばかな……!」
 よたよたと後じさりしたリッパーカメレオンは、血の流れる自らの胸を押さえて天空に手を翳した。
「ネオフォボス……ばんざーい!」
 大爆発を起こすリッパーカメレオン。オーカーやナーガたちはそれを背にし、落ちてきたシャベルをキャッチした。

「貴様が此度の怪人か。貴様等が此度の終幕か。派手に散るが好い。我等『物語』の方が先に『咀嚼』され、可能性を扱いそうだがな!」
 巨大な黒い壁となるオラボナ。
 そこへバーナータートルの炎が浴びせられた。
 本来なら炎を飲み込み『嗤う』ところだが、今回はどうやら事情が違った。
「……ほう」
 オラボナを構成するなにかが許容量を超えて爆ぜ、ぐねぐねとしながらちいさくなってゆく。
「我等『物語』の紙幅に収まらぬ炎とは、常世のものではなさそうだ」
「それはどういう意味?」
 カタラァナが演奏を続けながら問いかけた。
 息をきらせた勇司が振り返る。
「そのまんまの意味だ。俺はもうピンときたぜ」
 勇司がこめかみを指で叩くと、防御バリアを展開していたノーブルブルーとノーブルブラックが振り返った。
「なにか気づきましたの?」
「奴らが復活する理由もか?」
「ああ……奴らの後ろにいるのはただのワルモノじゃない。俺は知ってるんだ、こんなことができるのは……魔種しかいない、ってな」
「フムーン。愚かな人間どもと思っていたがなかなかどーして賢いよーだ」
 バーナータートルは顎を撫でながら不気味に笑った。
「だーが気づいたところで無駄だァ。おめーたちはここで燃え尽きるからなーァ!」
 強く構えるバーナータートル。
 肩の火炎放射器から大量の炎がはき出される。
 炎と爆発に包まれる勇司たち。
 これで終わりか。負けてしまうのか!?
 否! 爆風を割って最初に現われたのはカタラァナの新たなる音楽であった。
 より高くより荘厳に、そして力強く歌う声と音楽は爆風をはねのけ、オラボナの巻き起こす名状しがたきサーカスが炎の轍でラインを作る。
 『ああ、物体無い。一度きりの命を燃やすから、ヒトの生は美しいのに。ねえ、あなたは今どんな気持ち? 楽しい? 嬉しい? うきうきしてる? それとも、こわい? あなたの命を、聞かせてよ』
「何ーッ!?」
 目を見開くバーナータートル。作られたラインを走る勇司。その後ろから魔法とアサルトライフルによる援護射撃を仕掛けるノーブルブルーとノーブルブラック。
 勇司が強くマフラーを握りしめると、彼に漆黒の鎧が装着された。赤いラインがぎらりと光り、オーラソードが真っ赤に光る。
 二本を同時に、そして斜めに振り込み、バーナータートルを切り裂いた。
「そーんなっ、アーシが愚かな人間ごときにー……!? ぐあわああああああ!」
 バーナータートルは爆発四散。
 剣を振り切った勇司はゆっくりと背筋を伸ばし、オラボナとカタラァナも劇の幕がおりるかの如く小さく頭を下げた。

「クリティカルワニクルセイド!」
 空間をワニの字に切り裂く強烈な必殺技にアルプスローダーたちは一斉に吹き飛ばされた。
 砂利道を転がり、うつ伏せに倒れる愛とノーブルレッド。そして横転したアルプスローダー。
「なんて力なの……」
「この人数差なら圧倒的で然るべきはず……」
「それがここまで通用しないということは……」
「ククク、フハハハハ……! 冥土の土産に教えてやろう!」
 油圧ワニファラオは油圧カッター腕を突きつけ、高らかに語り始めた。
「秘密結社ネオフォボスの総帥フォボス様はこの世界の滅びの種……貴様らの言う魔種なる存在なのだ! 『かの方』の始動にあわせ本格活動を始めたのが我らネオフォボス。フォボス様は我らにそのお力を分け与え、幻想支配をお命じになられたのだ!」
「えっ嘘でしょこの空気で?」
「魔種ですって? それでは幻想がナイル川になるどころじゃない……!」
「あらゆる世界の崩壊につながるというのですか!」
 若干ついていけなかったノーブルレッドを置いて、愛とアルプスローダーが叫んだ。今日はいつもの十倍くらいノッてる二人である。
 アルプスローダーと共にゆっくりと立ち上がるノーブルレッド。
「私たちの未来は、ネオフォボスに破壊されてしまうというの……」
「いいえ」
 水平に鎌をはらった愛が、星のごとく輝く目で言った。
「ここに魔法少女がいて、パンドラエイトがいる。この時点で、愛無き怪人たちの未来は決まりました」
「その通りじゃ」
 謎のジェット噴射でジャンプしてきたアマルナが、彼女たちの前に着陸した。
「油圧ワニファラオよ! 余の軍門に降り共に帝国とか築かん? 今なら大将軍のポスト用意しとるよ? 一緒にピラミッド建てようぜのじゃ」
「ククク貴様話せるではないか。だが断わる!」
「いやかー? ファラオかなしい。油圧ワニ大将軍にならぬかー?」
「くどいぞ! 貴様こそネオフォボスに忠誠を誓うなら幹部として棺桶怪人の称号をくれてやるぞ。共にナイル川を掘ろうではないか!」
「だめじゃだめじゃ、余がファラオー」
「いやかー?」
「何ウマ合わせてるんですかっ」
 アルプスローダーに言われてアマルナがゆっくり振り向いた。
「こいつ放って置いてもよくない? 幻想ナイルになってもよくない?」
「だ゛め゛な゛ん゛で゛す゛!」
 めっちゃヘッドライト点滅させるアルプスローダーに、アマルナがしょうがないにゃあと言って戦闘姿勢にはいった。
「あくまで刃向かうか。よかろう、塵と消えるがよい!」
 再び繰り出されるクリティカルワニクルセイド。
 しかし腕組み姿勢で前に出たアマルナのトゥトアンクアメンがそれを受け止めた。
 衝撃によって崩壊する魔導棺桶。
 その中から飛び出したアマルナが杖から太陽の矢を発射した。
 爆発。
 の中を駆け抜けるアルプスローダー。
 そのシートにはノーブルレッド(二輪免許取得済)。後部座席には愛がしがみつき、豪速で油圧ワニファラオへと突撃した。
 衝突を油圧カッター腕で受け止める油圧ワニファラオ。
「ぐぬ……!?」
 至近距離。
 で、愛のマジカルサイズがランチャーモードにチェンジした。
 魔術トリガーを握り込む。ハート型の爆発が零距離で巻き起こった。
「フォボス様にいただいた新たなる肉体が……ぐうう……ネオフォボスに栄光あれええええええええええ!」
 走り抜け、ブレーキをかけるアルプスローダー。
 アマルナと並び、それぞれがポーズをとる。
 ポーズはいらないと居きっていたアマルナも自然な姿勢で既に見栄をきっていた。

 幻想戦隊ノーブルファイブ、混沌戦隊パンドラエイト。
 双方の間で握手が交わされた。
「今回はありがとう! けれど、秘密結社ネオフォボスが魔種によって作られた組織だとわかった以上、気を抜くわけにはいかないわ」
「勿論です。彼らがまた世界を危機に陥れるなら……!」
 そう、悪が世界を危機に陥れるなら。
 混沌戦隊パンドラエイトが再び結成され、彼らの前に立ち塞がるだろう。
 これはパンドラパーティープロジェクト。
 世界崩壊の危機を阻むイレギュラーズたちの物語である!

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 みなさんハジメマシテ☆
 特撮専門バーチャルGMAI木緑森林(kimidori sinrin)です☆ シンリーってよんでください☆
 今日はとっても素敵なヒーロー譚をお送りしました。豪快な海賊っぽいテーマソングが今うしろで流れてます。
 総帥が魔種であることが判明した秘密結社ネオフォボス! 幻想支配を企む彼らの行動はまだ始まったばかり!
 そして世界を救う混沌戦隊パンドラエイトの戦いもまた、始まったばかりです!
 この先どんな怪人が彼らの前に現われるのでしょうか! こう、ご期待☆

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