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シナリオ詳細

再現性東京202X:いたよ、いた!!!! 夜遅くまで遊んでるギャルばっかり襲うタイプの夜妖が!!!!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●おおむねタイトルがすべて
「というわけで、皆さんにはギャルになっていただきます――」
 カフェ・ローレットのテーブルの一つ。目の前に座った男は死んだ目をしていった。
 男は、希望ヶ浜学園の関係者である。この度、夜妖の討伐について、皆に依頼をした人物だった。
 そして、彼の前で座席についている、
 嘉六 (p3p010174)
 ブラム・ヴィンセント (p3p009278)
 松元 聖霊 (p3p008208)
 伊達 千尋 (p3p007569)
 カイト (p3p007128)
 リュグナー (p3p000614)
 李 黒龍 (p3p010263)
 暁 無黒 (p3p009772)
 彼らもまた、死んだ目をしていた。
 そう、勘のいいあなたならもう気づいただろう! この依頼に参加しているのは、全員が男(或いは外見上男性に見える)人々だという事に!!!!!!! そして、ギャルになるのは、彼らだという事に!!!!
「どうしてこうなったのだ」
 リュグナーがぼんやりと呟いた。なぜだろう。なぜこうなったのだろう。分からない。目の前には、多様なギャル風の衣装が置かれている。セーラー服。或いは、些かきわどいデザインのシャツなど。化粧道具もしっかりと用意されていて、今すぐにでもギャルになれちゃう! 変身セット! と言った様相を呈している。
「わからない」
 嘉六が目をそらしながら、言った。この仕事持ってきたの誰なんでしょうね。
 さておき。そもそもの仕事の内容を説明しよう。
 先日の大規模な戦いにて傷つき、復興を進める練達。それは再現性東京202X街も同様であった。ひとまずの平穏は取り戻したものの、ライフラインの復旧、そして傷ついた人々の心の不安は、さらなる闇を、夜妖を呼ぶ。
 かくして、この街に新たな夜妖の出現報告がなされた。
 夜の闇に潜む怪物。夜遅くまで遊んでいるいたいけな少女を狙い、命を奪うという怪人――。
 その討伐が、イレギュラーズ達に依頼されたのである。
 かくして集まったメンバが――!
 嘉六 (p3p010174)
 ブラム・ヴィンセント (p3p009278)
 松元 聖霊 (p3p008208)
 伊達 千尋 (p3p007569)
 カイト (p3p007128)
 リュグナー (p3p000614)
 李 黒龍 (p3p010263)
 暁 無黒 (p3p009772)
 だッ!!(二回目)
「いや、何で俺らがギャルにならなきゃいけないわけなん?」
 千尋が言う。ごもっともである。
「いえ、ちゃんと依頼の説明に、夜遅くまで遊んでいギャルしか襲わない依頼だと……」
「いや、そりゃそーなんスけどね?」
 千尋が頭を抱えた。そう。敵をおびき寄せるには、ギャルが必要だ。
 だが! この依頼に集まったメンバーは!
 嘉六 (p3p010174)
 ブラム・ヴィンセント (p3p009278)
 松元 聖霊 (p3p008208)
 伊達 千尋 (p3p007569)
 カイト (p3p007128)
 リュグナー (p3p000614)
 李 黒龍 (p3p010263)
 暁 無黒 (p3p009772)
 なのだッ!!(三回目) どこにも女子はいないッ!!
 まさかこうなるとは。まさかただ一人も、女子が参加しなかったとは。こんな事、神様だって予測できなかったに違いない!!
「ギャルになるのであるか」
 黒龍が死んだ魚みたいな目をしながら言う。目の前には中華っぽい衣装が置いてある。中華ギャル……良いね……。
「いや、おかしいだろ」
 カイトが当然の声をあげる。
「こう……」
 囮の子を用意するとか、と言いかけて、それはまずいな、とカイトは思い直す。戦えないものを巻き込むわけには、当然いかない。そうなると。
「……こうなるしかないのか……?」
 カイトは頭を抱えた。
「これがデジタルタトゥーか」
 ブラムが天井を仰ぎながら言った。目の前には、いわゆる自由の国的な海外風の派手な衣装が置かれている。派手目のギャル……良いね……。
「俺は」
 聖霊が、絞り出すような声で言った。
「俺は医者だぞ……ギャルじゃない……!」
「分かってる!」
 ブラムが頭を抱えた! そうだ、皆男だ! ギャルじゃない! でもここでギャルになってもらわなければ困る! そしてギャル衣装で顔を赤らめたピンとか全身図とか作ってもらわなければ困るのだ! 多分GMとかPLが。
「……しってるっすよ。ローレットにはハイ・ルールがある……一度受けた依頼は……成功に向けて最大限の努力をする定め……っ!」
 無黒が吐き出すように言った。褐色ギャルか……良いね。
「えーと。皆さんにはギャルになってもらって、夜遅くまで繁華街で遊んでもらいます」
 と、希望ヶ浜学園関係者の男が言うのへ、リュグナーはたまらず叫んだ!
「繁華街で遊べと!? その格好で!?」
「大丈夫なのか!?」
 聖霊もたまらず声をあげる。ギャルの女装をした男たちが、繁華街で夜遅くまでキャッキャウフフと遊ぶ。全然大丈夫ではない。
「や、やるしかないんだ……」
 嘉六が辛そうな声で言った。このメンバーを集めて、この依頼を持ってきた奴は一体誰なんだ……そんなひどいことをするなんて……。
「ええ、ここまできたら、やっていただかないと……」
 男もそう言うので、皆は諦めた様子で項垂れた。
「じゃあ……あと、よろしくお願いします……」
 男はそそくさと、席を立つ。後には、ギャル女装セットと、男たちだけが残ったのだった――。

 そして。
 その日男(ギャル)たちは、繁華街に立つ――。

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 これはリクエストシナリオなので僕は悪くないです。

●成功条件
 ギャルの格好で繁華街を夜までキャッキャウフフして楽しく遊んだ後夜妖を倒す。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●状況
 タイヘンだ! 夜遅くまで遊んでるギャルばっかり襲うタイプの夜妖が現れたぞ! 皆はこの夜妖を倒すために、ギャルになるんだ!
 皆さんは、ギャルの格好をして、繁華街で楽しく遊んでください。なるべくキャッキャウフフとギャルっぽく遊んでください。ゲーセンでたむろしたり、クレープ食べたり、コスメ見たり、ブティック行ったりしてください。店員さんも事情を察して生暖かい目で見てくれます。大丈夫です。
 夜まで遊べば、夜妖がばーって出てきますので、一発殴って終了です。このリプレイのメインは、ギャルの格好をして羞恥心と戦いながらキャッキャウフフと遊ぶ皆さんのデジタルタトゥーを描くことです。覚悟の準備をしておいてください。絶対に夜までギャルっぽく遊んでもらいます! いいですね!

●エネミーデータ
 夜遅くまで遊んでるギャルばっかり襲うタイプの夜妖 ×1
  プレイングに「殺す」って書いておけば殺せます。

 以上となります。
 それでは、相談では皆さん思い思いのギャルとなって、今日の遊びのプランを練ってください♡

  • 再現性東京202X:いたよ、いた!!!! 夜遅くまで遊んでるギャルばっかり襲うタイプの夜妖が!!!!完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年02月28日 22時06分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

リュグナー(p3p000614)
虚言の境界
カイト(p3p007128)
雨夜の映し身
伊達 千尋(p3p007569)
Go To HeLL!
松元 聖霊(p3p008208)
それでも前へ
ブラム・ヴィンセント(p3p009278)
暁 無黒(p3p009772)
No.696
嘉六(p3p010174)
のんべんだらり
李 黒龍(p3p010263)
二人は情侶?

リプレイ

●前置き
 このシナリオは――。
 『虚言の境界』リュグナー(p3p000614)
 『雨夜の映し身』カイト(p3p007128)
 『Go To HeLL!』伊達 千尋(p3p007569)
 『ヒュギエイアの杯』松元 聖霊(p3p008208)
 ブラム・ヴィンセント(p3p009278)
 『No.696』暁 無黒(p3p009772)
 『のんべんだらり』嘉六(p3p010174)
 『尸解老仙』李 黒龍(p3p010263)
 以上八名、全員男でお送りいたします。

●煉獄
「日中遊んで夜に殺っちゃおって話でしょ?
 じゃあまずはコスメ買いに行くっきゃなくない? 的な? 好きなブランドの新作出てるしィ」
 と、そういうのは嘉六ちゃんである。嘉六ちゃんは、JKギャルである。着崩したブラウスと、ミニのスカート。一生懸命そったので、脚にはすね毛は無い。
「いいじゃんいいじゃん、ウチネイル見たいんよね。
 結構指先使う仕事(暴力)だからさ~、爪のケアって意味でも大切だし~」
 千尋ちゃんが言う。千尋ちゃんは、ギャルである。バチバチに気合の入ったアイシャドウ。つけまもゴージャスに、ピンクのグロスが艶めかしい。
「じゃ、まずコスメ決定ねー。マジ楽しみだわー」
 そういうカイトちゃんもギャルである。ややダウナー系で、黒いマスクがチャームポイント。
 日中の、希望ヶ浜。繁華街である。人が多い。人が多い。人通りは凄い多いよ?(重要な事なので強調する)。そのただ中に、嘉六ちゃんたちギャルの集団はいる。そうだよね。目立って当然だよね……だって、ギャル……うん、可愛いギャルだし。僕だって目を引かれる。誰だって目を惹かれるはずさ。
 さて、ギャルの皆の目的は、ギャルを襲う不埒な夜妖をていやーすることだった。だが、昼から夜中まで遊んでいないと、夜妖は現れないらしく、こうして昼から遊ぶことになったのである。
「でもさ、マジ、遊んでるだけでお金貰えるの楽じゃね?」
 巻き巻きサイドテールのギャル、リュグナー、いやギャルナーが言う。ジーンズに肩だしのシャツは、まさにラフな格好をしたギャルである。
「実際、服も経費で落ちるし? ヤバ、マジヤバい仕事じゃヴォエ」
「やめろ、吐くなリュグナー!」
 嘉六ちゃんが叫ぶ。リュグナーちゃんは口元を抑えつつ、グラサンの下で涙目になっている。
「かつてこれほどまでに……死を感じたことはなかった……!
 再現性倫敦のあの部屋でも、我は耐えた。耐えたのだぞ……!?」
「それには敬意を表するが……!」
 ブラムちゃんがたまらず呻いた。ブラムちゃんはギャルである。
 ――俺の知ってるギャルってちょいポチャ体型にまだらな金髪、バチバチまつげにすんげーピンクのリップ。
 シャツinしないミニスカブレザーの下にハーフ丈にカットしたジャージ履いてて、
 ルーズソックスにスニーカー、キーホルダーじゃらじゃらつけたスクールバッグをリュックみたいに背負ってるイメージなんだが――。
 との事だが、多分それも作られた記憶なんじゃないかな。少なくとも……世代は少し前……けど、ブラムちゃんはギャルと言えばそう言う格好だと思っているので、その格好をしているよ。
「耐えるんだ。後……ええと、今昼前だから、夜中だとして……は、半日……!?」
「半日もこの格好を!?」
 聖霊ちゃんが言った。聖霊ちゃんはギャルである。黒タイツがいいね。ちょっと透けてる所が特にいい。黒のロングヘアを映えさせる白のダウンコート。スタイリッシュなギャルと言った所だろうか。いいよ聖霊ちゃん、すごくかわいい。
「やめろ! 俺は医者だぞ!」
「違う、俺たちは今ギャルなんすよ!」
 千尋ちゃんが叫んだ! そう、君たちは今、ギャルなのだ!
「何あるか、前世で吾輩、どんな悪徳をしたらこんな目にあうあるか。皇帝でも僭称した?」
 黒龍ちゃんは、ギャルである。中華風の衣装を着た、いうなればキョンシーギャル……キョンシーギャル!? 新しい! すごく新しいよそれ! 想像したら最高に可愛いんじゃないかな、うん! 洗井落雲の心の性癖お気に入りリストに追加!
「キッショ」
 黒龍ちゃんが辛そうな顔をした。どうして?
「んー、皆やばたん。お仕事はじまる前から疲れてたらダメっしょ」
 ケタケタと笑う無黒ちゃんはギャルである。ちょっと色黒で、ラフな格好の、理想的ギャル……無黒ちゃん……優しく振って……。
「キッショ」
 無黒ちゃんが笑った。
「いや、逆に何で無黒はそんな自然体なんだ……!?」
 ブラムちゃんが戦慄したように言うのへ、
「おそらく、彼は素でギャルっぽいからなのでは……?」
 聖霊ちゃんが答える。そうかもしれない。
「まて、その理屈で言えば千尋ちゃんも割と行けるのではないか……?」
 リュグナーちゃんがそういうのへ、千尋ちゃんが眉をしかめる。
「いや、俺はバイクチームなんで……ギャルとは、違うっつーか……違う、違う……よな……?
 なんか自信なくなってきた……俺、普段からギャルだった……? 一つ前の依頼で、ショタだった気がするんだが……」
「何言ってるあるか、汝どう見ても24歳あるよ」
 黒龍ちゃんが言った。それは間違いない。
「しかし……コスメ? 何あるか? おしろいあるか?
 小娘は勾玉とかつけるあろう?」
「縄文時代とかの人?」
 千尋ちゃんが言う。
「もー、皆、はやくしないとショップしまっちゃうんだけど?」
 ぶー、と頬を膨らませる無黒ちゃん。かわいい。か、かわ……分かんなくなってきた。皆可愛いよ♡
「とにかく、まずはコスメね! それから、タピる!
 ほらほら、ラムち~(ブラムちゃんのこと)、そんな一歩引いてます系演じてないで、行こ♡」
 無黒ちゃんが、ラムち~の手を引っ張って立ち上がる。無黒ちゃんは凄い。ギャルを演じることに一切の躊躇がない。
「もう君がMVPでいいよ」
 ブラムちゃんがなんか諦めた顔で言った。他のギャルたちも、なんかもう、諦めた顔をしていた。

●辺獄
 コスメショップです。コスメショップとは、コスメを売っているところです。男性は、あまり縁がないと思います。縁があるのは、やはり女性です。
「到着~~~♪」
 無黒ちゃんが、もう当然のようにショップに侵入する。他のギャルたちも、もう諦めたのか、ノリノリにギャルを演じながら入ってくる……演じながら? 違うよ、みんな心から本当にギャルなんだ。店員が泡を吹いて倒れた。すぐに変わりの店員がひきつった顔でやってきた。
「店員さん、ネイル? 見たいんだけど?」
 千尋ちゃんが言う。店員がひきつった笑顔で案内してくれる。ネイルコーナー。洗井落雲は女性向けコーナーは百円均一のものしか知らないが、多分ネイル用のヤスリとか、コート剤とか、シールとか、マニキュアとか、そういうのが売ってるんだと思う。
「千尋っち爪きれいじゃん、これ以上綺麗にしてどうすんの? マニキュア塗る時は換気を良くしてね、身体に悪いから♡」
 聖霊ちゃんが言う。んー、と千尋ちゃんは唇に人差し指を当てると、
「あーし、パンチとかするじゃん? 爪われるんだよねー。
 あと、ガンダモのプラモ作んのに、ネイル用のやすり結構つかえるの。ゲート痕処理すんの」
「ウケる、プラモギャルかよ笑」
 カイトちゃんが笑った。
「お、趣味馬鹿にすんのよくねーぞ? ガンダモ知ってんの? ジャーとタモロが戦う奴」
 リュグナーちゃんが言うのへ、カイトちゃんが笑った。
「ジャーって何、ウケる笑」
「つか、ジャーとタモロが戦う、とかいうのがまず理解浅いんですけど? うちゅーせんそーのリアルな人間ドラマなんですけど?」
「千尋ちゃんマジギレしてんじゃん、でもあーしもわかるわー。あーしもさ、趣味否定されたら? 戦争じゃん?
 あ、やば! このチークの色まぢかヮじゃん……あーん、お金今月厳しいんですケド! でも買っちゃう!」
 ばっさばっさとチークを籠にぶっこむ嘉六ちゃん。
「ウケる~~~~~買い過ぎアルよ! 今月厳しいのにそんなに買う?」
「うっせ笑 これほら、アンタらにもさ、プレゼント? したいじゃん?」
「嘉六ちゃん……」
 黒龍ちゃんが、きゅん、ってした。
「ほらほら、ラムち~(ブラムちゃんのこと)、なんかコスメみよーぜ? ラムち~(ブラムちゃんのこと)さ、転校生だから、あんまり? 馴染めてないじゃん? アタシ心配でさ~」
 無黒ちゃんが言う。そうなんだ。知らなかった。
「う、うん…ちょっとね。前のガッコで、浮いてて」
 ブラムちゃんが言う。そうなんだ。知らなかった。
「あー、なんかさ、世間てギャルに? きびしーっつーか。アタシら、好きにやってるんだけど、その分、義務っつーの? 支払う必要? あるんじゃねって?」
 無黒ちゃんがうんうんと頷きながら言う。
「ねー。ま、好きかってやってられんのも今のうちってのは分かるんだけど? あーしは最終的に医者になるし?」
 聖霊ちゃんが得意げに言うのへ、嘉六ちゃんが指さした。
「マジデ? デジマ? トーダイとか? 狙っちゃうの?」
「いけるし? 今通信教育? 受けてるし?」
 聖霊ちゃんが胸を張って言う。可愛いよ。
「マジか、じゃああーし、聖霊っちん所で看護師やるわ。注射するんっしょ?」
「おめーに注射させたら患者死ぬし笑」
 あはははは♪ と黄色い笑いがこだまする。
「あー、喉渇いた。そろそろタピらね?」
 と、リュグナーちゃんが言うのへ、カイトちゃんが頷いた。
「お、ありよりのあり~~~~! じゃ、ちとまって、買って来るから~」
 ギャルたちがレジに詰め寄って、コスメを買っていく。店員がヤバいものを見る目をしながらレジ打ちをした。
 ギャルたちが去っていく。タピを求めて。
 店員は気絶した。

「何あるか、このカエルの卵みたいなの」
 黒龍ちゃんがびっくりして素に戻った。
「やめろ、素に戻るな! それがタピオカだ!」
 聖霊ちゃんが指摘するのへ、黒龍ちゃんが、ほえ~、みたいな驚きの声をあげた。
「ウケる笑 カエルの卵ある」
「言い直さなくていいし笑 てか、カエルの卵とかたとえがキモくね?」
 カイトちゃんが笑うのへ、ブラムちゃんが、ストローをすすりながら悪戦苦闘する。
「ぐっ……ごほっ! 飲みづらッ!!」
「マジ???? ラムっち、それでもギャル?」
 千尋ちゃんが苦笑する。
「いや、これの飲みづら……飲みづらくね? てか、このタピ? 何の意味があるん?」
 ブラムちゃんが講義の声をあげる。何の意味があるんだろうか。誰にもわからない。
「てか聖ちゃん(聖霊ちゃんのこと)顔面偏差値たっか!
 マジ美女! ちょっと今度一緒に買い物行こ!」
 無黒ちゃんが話の流れを変えるのに、聖霊ちゃんが一瞬、「えっ」って顔した。
「え、別にいいけど。何買うの? 解熱剤?」
「何言ってんの笑 こう! もう! 着せ替えしたい!
 絶対何着ても似合うじゃん! 超楽しそう!
 マジ羨ましんだわ~。
 てかね! 皆マジ、綺麗だしさ!
 クロちゃん(黒龍ちゃん)でしょ~!
 やっば! 超足長ぇしライン綺麗過ぎ!
 いいな~美脚~うらやま~!
 カイちん(カイトちゃんのこと)もイケ女だよね~。
 聖ちゃんと並んだら誰も寄り付かないオーラ出てんだけど……。
 はぁ! なにこれ眼福ごちっすあざ~っす!
 ねぇ~ちょっと二人でプリ撮ってきてよ! ウチ奢るからさ~!
 で、嘉六の姉御はさ~」
『お前がMVPでいいよもう』
 全員の声がハモった。

●地獄
 ゲーセンです。
「てか、ゲーセン来たら何やんの? ガンダモ対決?」
「千尋ちゃんマジガンダモオタクじゃん笑 てか、ゲーセン来たらプリ以外にやることある?」
 嘉六ちゃんがそういう。皆、「えっ」って顔した。
「写真に残すのか? マジでいっているのか?」
 リュグナーちゃんが素になる。
「やめろ、素に戻るな! だが、ギャル……ううむ、ギャルっぽい行動というのが、他に思いつかない……!」
 聖霊ちゃんが頭を抱える。そう、ギャルっぽい行動をしなければ、夜妖が出てこない。ここまでやって依頼失敗とか笑えない。いや、笑えるかもしれないけど、それはさておき。
「プリクラって何あるか? 写経あるか?」
「黒龍ちゃんウケる~笑 プリって……あれだよ、あの……写真撮る奴……」
 カイトちゃんが言った。生徒指導で生徒がやっているのを見たことがある気がするが、未知の領域である。
「とりあえず、ウチ、とりまいつメンの嘉六と撮るわ」
 聖霊ちゃんが言う。
「マジ? 個室で殺害とかされない?」
「心当たりはあるみたいだな?」
 ギリギリとにらみつける聖霊ちゃん。
「てか、いつめん、って、皆で撮ればよくね?」
 リュグナーちゃんがいう。グラサンの下の目は燃えていた。誰一人逃がさないぞ。そのような意気があった。
「てか、そうじゃん笑 皆トモダチだし、一緒に撮ろ?」
 無黒ちゃんが言う。多分この子は素である。
「じゃ、プリとやら? 撮るあるよ。千尋っち〜! ほら顎の前でピース作って小顔効果アルヨ〜」
「マジで? 顔でかいアイコンあるから助かるわ~~」
 皆連れ立って、プリの機械の中に入っていく。さぁ、フレームを選んで、にっこり笑って♪
 はい、デジタルタトゥー♪(撮影の合図)
 数秒後、みんな死んだ顔で出てきた。

 さて、深夜テンションも手伝って、皆ぶっ壊れたままカラオケに突入する。
「カラオケって何あるか? 呪詛とか歌えばイイあるか?」
「もー、黒龍っちマジウケるんだけど? 俺は讃美歌しか歌えないが?」
 聖霊ちゃんが、タンバリンを叩きながら言う。目の前では、すごいデスボイスで歌っている無黒ちゃんがいる。
「……聖霊、アンタ結構楽しんでない……?」
 嘉六ちゃんがそういうのへ、聖霊ちゃんが顔を赤らめる。
「なーにー? 案外楽しんでるね?
 こちとら長いこと引きこもって患者の治療しかしてねぇんだよ!
 最近だぞ遊び始めたの! 認めたくねぇが楽しいわ! クソがよ!! 女装は別!」
「お、おう……今度、普通に遊びに行こう……。あ、ドリンクバー行ってくるわ。何がいい? コーラ?」
 カイトちゃんが思わず慰めるようにそういう。
「ウーロン茶……」
 しょんぼりしながら聖霊ちゃんが言った。
 さておき、カラオケ自体は盛り上がったものだ。ブラムちゃんはリズムよくサイリウムふっていたし、もう、ここまでくると普通にみんな楽しんでいたのだ。
 聖霊ちゃんではないが……やはり、気心の知れた相手と遊ぶのは楽しい。それはたとえいくつになっても。
 子供っぽいな、と知らぬものは笑うかもしれない。
 だが、自分たちは……いつまでも、友達だ。大人になっても、年をとっても、皆といる時だけは、我がままになれる。子供に戻れる。
 大人になれば、様々な重責がその肩に重くのしかかる。自分を出せないことも、いくつもあるのだ。それを、思う存分に出せる、そんな間柄である友達がいる事の、なんと素晴らしい事だろう!
 一日、皆で遊んだ。コスメを見て、タピって、プリって、カラオケした。何てことのない、日常の一ページ。いつでも楽しめる、そんな刹那的な娯楽。でも、今この瞬間、今このメンバーでしか楽しめない、そんな、大切な、キラキラした時間。
 リュグナーも、笑っていた。ピピキュア歌ってた。本気でピピキュア歌ってた。ボイス頼む?
 このメンバーで、はしゃぐことが、とても楽しいのだ。集まった、友達。なんて素敵な言葉だろう。願わくば、何年たっても、どれだけたっても、このメンバーで、集まりたい。
 そんな風な思いが、カラオケルームに集った時――。
「いいなぁ、ギャル同士の、深い友情。楽しい今、いつか思い出す、キラキラした思い出――」
 なんかいた。
 形容しがたいなんか……そうだなぁ、皆ストレス発散したいだろうから、なんかこう、思い思いの洗井落雲っぽい像を思い浮かべてください。それが敵です。
「俺はなぁ、そういうギャル共が、絶望と共に死ぬ顔を見るのが最高n」
「うるせーーーーーーーッ!!!!!
 っつーかテメーのせいでこんなことする羽目になっただろうがバーーーーカ死ね!!!!」
 嘉六がぶん殴った!
「し ば く」
 カイトがぶん殴った!
「三回殺す」
 リュグナーが三回殺した!
「破邪ーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」
 千尋がギャル波動拳を撃った!
「摘出(実質殺す)してやるよこの腫瘍(変態)野郎!!」
 聖霊が摘出した!
「踏」
 ブラムが踏んだ!
「あっはwよっわコイツwざぁこwざぁ~こww」
 無黒ちゃんは無黒ちゃんだった。
「吾輩の脚線美の錆にしてくれるある(蹴)」
 黒龍が蹴り上げた!
 一同、怨みと怒りを込めた、全力の一撃! それが夜妖に突き刺さる! 何せ「殺す」ってプレイングに書いたら死ぬような奴である! 死ぬ! もう死ぬ! それは死ぬ!
「ぐわーーーっ! この俺がーーーっ!!」
 死んだ! 夜妖は死んだ! 完ッ!

 カラオケルームの中には、異様な空気が漂っていた。
 息を切らせた、ギャルのコスプレをした男が八人。
 皆、疲れた顔をしていた。
 荒んだ顔をしていた。
「じゃ、解散で……」
 やがて誰ともなくそういうと、皆とぼとぼとした表情で、カラオケルームから出ていった。
 誰もいなくなったカラオケルームで、ピピキュアの曲のサビが空しく鳴り響いていた。

成否

成功

MVP

暁 無黒(p3p009772)
No.696

状態異常

なし

あとがき

 じゃあ、ピンナップまってますので。

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