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シナリオ詳細

空飛ぶ亜竜はきっと鶏肉の味をしている

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●貴方が鶏肉って言ったから
 覇竜領域デザストルは大陸南方の山脈に拠点を置く竜種の領域だ。
 国というよりは棲家といった方が適切でしょう。住民である人種『亜竜種』たちは領域(くに)と呼んでいる。
 竜種の住処であるという危険性から人類未踏の地ともされ、地理に関してはほとんど分かっていない。
 人間(人類)とは土台存在の異なる上位竜種の存在が多数観測されており、亜竜種と呼ばれる人種以外の混沌生命体は進んで此の山脈には近付きもしない。
 竜は自身の認めた勇者にのみ力を貸すとされているが、実際の所その観測例は殆どなかった。
 伝説や記録には極々稀に『竜を従えた勇者』の存在は記録されているのだが、実際の所それが可能であるかどうかは定かではなく夢物語であった。
 だが、絶望の青にて観測されイレギュラーズと敵対した『滅海竜』リヴァイアサン、練達で観測された『怪竜』ジャバーウォック等、その存在は夢物語ではない。
 そして……そこには、亜竜と呼ばれる生き物も存在する。
 ワイバーンにワームなど、姿かたちも様々な亜竜たち。
 どれも強力な生き物だが……ふと思う事はある。
 何のことはない。
 空を飛ぶ亜竜は鶏肉の味がするんじゃないか。
 そんなことを思ったという、ただそれだけの話だ。
 難しいことじゃない。
 食材として見られるのに慣れたからこそそういうのを見極めるのに慣れたとか、そういう話でもない。
 ただなんか、ドラゴンと鳥って似てるよねとか。
 そんなことを思っただけなのだ。
「……ほう」
「……」
 カイト・シャルラハ(p3p000684)の演説を聞いた黒鉄・相賀と冬越 弾正(p3p007105)は、それぞれの反応を見せる。
 ちなみに弾正は酒造りを手伝えたらとやってきていて、今まさに造っている酒の見学をしていたところだった。
「まあ、間違ってはおらんなあ」
「え、やっぱり鶏肉の味が!?」
「まあな。鶏肉というには結構大雑把な味はしとるが……まあ、鶏肉には違いあるまい」
 相賀はそう言うと、開けていた甕の蓋を閉じる。
「まあ、そう聞くってことは……食いたいってことじゃろ?」

●亜竜をおつまみにしたい
「と、いうわけで今日はこっちの鳥坊主が空飛ぶ亜竜を食いたいって言うんでの。ちょうどいいし、ちと獲ってきてもらおうかと思っとる」
「え、俺そこまで言ってないんだが」
「言ったも同然じゃろ」
 一言でカイトを切って捨てると、相賀は1枚の地図をサラサラと書き上げる。
「まあ、亜竜は食いたいからってすぐに狩れるもんでもないが……丁度いいことに、使えそうなもんがあっての」
 相賀が取りだしたのは竜眼草。
 強く香ばしい香りを放つ、美味しい……けれどモンスターをもおびき寄せてしまう草だ。
 相賀はそれを小さな箱に仕舞うと、テーブルの上に置く。
「この近くの高台に、丁度そういう感じの亜竜が飛んでいる場所があっての。こいつを使えば元気に向かってくるじゃろ」
 なるほど、つまり1人が竜眼草を使って囮になり、その隙にボコるというわけだ。
「くれぐれも指定した場所以外で使うでないぞ。何をおびき寄せるか分からんからの」
 うっかり平地で使いでもしたら、四方八方から亜竜やモンスターが殺到してくるかもしれない。
 そうなれば鶏肉を狩るどころか、こっちがお肉にされてしまう。
 そうならない為にも……この草は、慎重に使うべきだろう。

GMコメント

黒鉄・相賀からの依頼です。
地図のルートに従い、ゴツゴツした荒れ地を抜けて岩山を登り、指定された高台に行く事になります。
高台は広い空間になっており、杭や縄を打って落下防止の対策がされています。
岩壁に穴も掘って休憩所らしきものが作られていますが……相賀曰く「好きに使って構わん」らしいです。
遠目にプテラノドンみたいな外見の亜竜が飛んでいるのが見えますが、時間経過で1匹だったり2匹だったり5匹だったりします。
1体でも相当強いし持って帰るのも大変なので、どのタイミングで竜眼草を使うかは皆様次第です。
箱を開けると同時に香りが解き放たれ、襲ってきます。
無事に持って帰ると鶏肉っぽい味の亜竜をモグモグできます。
料理できる人がいない場合は相賀が焼き鳥(亜竜)にしてくれます。
大変良い香りなので、ドラネコが寄ってくる可能性もあります。あげても構いません。

●プテラ
いわゆるプテラノドンっぽい亜竜。空を飛ぶことに特化しており、全長は5m程度。
物理的な破壊力を伴う超音波攻撃、敵味方両方にかかった効果をすべて解除する警戒音を使用します。
かなり強いです。

●黒鉄・相賀(くろがね・そうが)
亜竜集落フリアノンで酒職人を営む亜竜種の老人。
それなりに戦えるらしいのですが、今回はついてきてくれません。
気の良い酔っ払いに見えますが、概ねその通りです。
義理には相応の友好を、不義理には相応の冷徹さを返してきます。

●ドラネコ
亜竜集落をトコトコ歩いてるかわいい亜竜。
大人になってもサイズは猫程度。可愛さに全振りした結果戦闘能力を失った、可愛さで世の中を渡る亜竜。
猫にドラゴンの羽が生えたような姿で、色や模様は千差万別。
鳴き声は「ニャー」です。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 決められたルートを通る限り、想定外の事態は絶対に起こりません。
 決められたルートを外れた場合、難易度が大幅に跳ね上がる可能性があります。

  • 空飛ぶ亜竜はきっと鶏肉の味をしている完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年02月15日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
灰雪に舞う翼
カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
冬越 弾正(p3p007105)
終音
キルシェ=キルシュ(p3p009805)
光の聖女
佐藤 美咲(p3p009818)
無職
ヴェルミリオ=スケルトン=ファロ(p3p010147)
陽気な骸骨兵
月瑠(p3p010361)
未来を背負う者
風花(p3p010364)
双名弓手

リプレイ

●プテラを狩ろう
 イレギュラーズの一団が岩山を登っていく。
 天気も非常に良く、狩り日和で。
 先頭を歩くスカイウェザーはなんだかおいしそうに見えるが……今日の為にキメてきたのかもしれない。
「猛禽としては鳥肉は食べるものだ! ……だから俺を見るんじゃねえ! 俺は食材じゃねえ!」
『空の王』カイト・シャルラハ(p3p000684)がお決まりの台詞を叫ぶが、とりさんが鳥肉(亜竜)を食べようというのだから注目も仕方ないといえば仕方ない。
 しかし、しかしだ。今日はカイトの仲間がいるのだ。
 とりさん2号、『灰雪に舞う翼』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)である。
「竜が生活に密接にかかわってるって不思議な感じだね。食料にもなる……ってことは、馬とか牛みたいなものなのかな。2~3匹を倒すなら、戦闘で注意を払うのがちょっと大変かもだけどがんばっていくよー!」
「やっぱり2匹~3匹ぐらいは狩りたいよな! 余ったらドラネコにも分け与えればいいんじゃね?」
 アクセルとカイトの言葉で分かるように……そう、1体だけではない。それじゃ足りないだろうからと2,3匹を狩ることを目標にしているのである。
「わたしが亜竜のおにくを食べたらそれは共食いになるのだろうか。そのこたえを知るためにとりあえず食べてみることにした」
 同じ亜竜種の『宝石ぱくぱく』ユウェル・ベルク(p3p010361)がそう言うが、知らないうちにその口に結構亜竜の肉は入っている気もする。
「美味しいものが食べられると聞いてきましたが、現地調達とは。これは……これで面白そうですな! 楽しみですぞ〜」
『陽気な骸骨兵』ヴェルミリオ=スケルトン=ファロ(p3p010147)も元気いっぱいの様子だが、『合理的じゃない』佐藤 美咲(p3p009818)に至ってはもう「狩った後」のことを考えている。
「亜竜って雑食ないしは肉食なんスよね? ……戦闘もそうなんスけど、時間劣化が早いかなーとか考えてました」
「なるほど……素早い処理が必要になるんですね」
「そういうことスね」
 ユウェルと同じくドラゴニアの風花(p3p010364)が頷き、『リチェと一緒』キルシェ=キルシュ(p3p009805)がグッと拳を握る。
「でも、本来なら狩りに慣れた大人が罠を使って取る相手ですよね? 大丈夫でしょうか……」
「大丈夫よお兄さんにお姉さんたち……亜竜は大体美味しいってルシェ知ってるから!! だからきっとプテラさんも美味しいのよ!」
 そう、キルシェはワームの干し肉も食べたことがあるのだ。
 そんなキルシェだが、黒鉄・相賀に「この後お兄さんたちプテラさんたちの囮になってくれるんだけど、きっとぱくって食べられちゃうから帰ってきたらお風呂入れるようにしてあげたいの。帰ってきてからお風呂使っても良いかしら? お土産は、相賀おじいさんの分もドラネコさんたちの分も頑張るわ!」と交渉して笑いながら「良いとも」と許可を得ていた。
「良い出汁が取れるかのう」とカイトを見て(わざと)余計な一言を漏らしてもいたが。
「流石は歴戦の勇士。怪竜を撃退しただけはありますね……こちらも負けてはいられません。私も今や、イレギュラーズなのですから」
 風花が何度も感心したように頷いているが、たぶんモンスターを料理させたらイレギュラーズに勝る者たちはいないだろう。
「酒造りを手伝うつもりが、気付けば竜の餌役か。仕方ない、『白翼竜』との再戦の日までに、少しでも多く亜竜で戦い方を学ばねば……それにしても、食われる経験って要るか?」
 あまり要らない気もする。今後いざという時に「大丈夫、慣れてる」と言える利点もある。利点かどうかは分からないが。
 だが『Utraque unum』冬越 弾正(p3p007105)の呟きにカイトが仲間を見るキラキラした目で肩を叩いてきたのは何故だろうか。
 分からない。きっと分かってはいけない食材系の世界である。さておいて。
「さて、イレギュラーズとして選ばれてから初の仕事ですね。亜竜を食べてみたいとは、そして味の予想も、皆さん好奇心旺盛ですね。イレギュラーズとしては見習いの私ですが、力になりますよ」
 目的地を前に、風花が気合を入れ直す。本番はこれから。命がけの狩りの始まりである。

●プテラを食べよう
 辿り着いた場所は高台ではあるが、妙に整備された場所だった。
 高台の地面はしっかりと整地され、引っかかりそうなデコボコもない。
 手作業で掘ったと思われる穴の中も、しっかり休憩所として利用できるような工夫が幾つかあった。
 風通しを良くする為の風穴が掘られているのも、その1つと言えるだろう。
 これを誰が作ったのか……相賀がやったとも思えないが、とにかく準備をするには最適だ。
「カイト殿、弾正殿が引き付けてくださるとのことなので、その間にプテラを狩ってしまいましょう! とはいえ、相手もそこそこできるご様子。常に全力で参りますぞ!」
「目標は2匹、出来れば3匹! でも出来れば1匹ずつの時を狙いたいわ」
「それだけ取れるとジャーキーも作れるでしょうか? 夢が膨らみますぞ……」
 ヴェルミリオやキルシェたちの視線の先にはちょうど2匹いるが……つまり、今はその時ではないということだ。
 ワイバーン達も何もしない状況ではキルシェ達に興味もないようで、今のところ準備し放題であった。
 ユウェルも罠などをサバイバルや狩猟の知識を活かして仕掛けていくが……どの程度プテラに通用するかはやってみなければ分からない。
「せっかくの亜竜はんてぃんぐだし、色々やってみないとね!」
 誰かが日常的に使っていると思われる休憩所も待機しているには最適で、それぞれのやり方でプテラの数が変わるのを眺めていた。
「目標の数になるまでは休憩所で待機ね! ルシェのお水と持ってきたお菓子でちょっと一息しましょ。リチェは途中で摘んだ草ね!」
 キルシェもリチェルカーレとそんなことをしながらも、監視に手は抜かない。
 2匹、4匹、3匹、2匹……変わっていくプテラの数が、やがて1匹に変わって。
「よっし、行くか弾正!」
「ああ、やろうカイト殿」
「とはいえ飛ぶ能力で負けるわけにはいかねぇ!」
 カイトの負けず嫌いが発動してばさばさと羽ばたくのに弾正は頼りになるな……などと考えてしまう。
 このくらいのやる気があれば、さぞかしプテラからはいきの良い餌に見える事だろう。
 カイト自身「おおきなとりにく」を発動し、自身の食材としての適性を高めるやる気っぷりだ。
 そうして黒衣響装を纏う弾正とカイトは舞い上がり、竜眼草の入った箱の蓋を開ける。
「おぉー、カイトも弾正も上手に飛ぶなー」
 ユウェルが思わずそう呟くが……上空の2人はそれどころではなかったりする。
「……けほっ、近くで開けるとスゲェ匂いだな。羽毛に染み付いちま……おぉっと来やがったな! 匂いのせいだよな? 俺は関係ないよな?」
「分からん! ……が、釣れたようだ!」
 旬の竜眼草から漂う美味しそうな香りは箱の中で凝縮され、遠くまで運ばれていく。
 それは当然のようにプテラを刺激し、凄い勢いでプテラがカイトたちに向かって飛んでくる。
 弾正の名乗り口上が響き、カイトが九天残星を発動させる。
 引き付けは完璧。倒したプテラが崖下に落ちないように位置調整をする中、仲間たちの攻撃がプテラへと飛んでいく。もうローレットダンボールの助けも必要ない。
「……カイトお兄さんが凄い匂いになったわ……! あ、凄く狙われてるのが分かるのよ!? カイトお兄さん食べられちゃう前に助けなきゃ!!」
「マジで!? そんなに匂い移ってる!?」
 カイトはキルシェの声に悲鳴をあげるが、さておいて。
「ありがとう男性陣……亡き皆の犠牲は無駄にしない……!」
 キルシェのアブソリュートゼロが発動し、無戦移動を発動させながら縁起でもないことを言う美咲にアクセルが「!?」という顔をする。なお、ヴェルミリオは骨で性別が不明なので男性陣に数えないモノとする。
「大分近づいてきましたな……良い距離ですぞ!」
 ヴェルミリオのスティールライフとアクセルの神気閃光がプテラを貫き、更に近づいてきたプテラにユウェルと風花が一撃を加えていく。
「そのまま飛べなくなるように翼に傷をつけちゃえ。タコ殴りだー! みんなで囲んで叩けー!」
「プテラ、いただきます! 魔力よ、矢となりて穿て!」
「ま、そういうこった。こいつもサービスだ。焼き鳥……じゃねえや、焼き竜になっちまいな!!」
 焼き鳥という表現だとカイトかアクセルがジュワッとジューシーになるので、言い直したのは正しいだろう。
 ともかく、最初のプテラが見事高台に落ちて。
「よし、今のうちに仕込みまス! もっと内側に運びまスよ!」
 輝かんばかりの美咲の指示に従い、全員でプテラを休憩所近くまで運んでいけば、美咲は神速の如き動きを見せる。
「可能なら戦闘のインターバル中に下ごしらえしてしまいたいでスね」
 手早く処理したプテラの肉と醤油と覇竜の香草を袋に入れて、軽く揉み込んでから休憩所に置く。
 誰も口出しできない程の凄まじい手際による処理だった。
「……凄いな」
 弾正も、そう言うのが精いっぱいだった。それほどまでに完璧な下処理だ。
 あとアレは唐揚げだとカイトも気付いていた。肉自体も鳥肉に似てたし。
 そして同じく唐揚げっぽいと気付いたヴェルミリオが喜んでいた。
「よし、ではあと1匹か2匹! 頑張りますぞー!」
 1匹狩ってしまえば、もう手順は大体分かる。
 2匹目、3匹目。多少違う処理もしつつ、たっぷりのプテラ肉を担いで帰る。
 そうして相賀の元まで戻れば、相賀は大笑いしていた。
「はっはっは! まさか3匹狩ってくるとはのう! どれ、じゃあ料理といくか!」
「料理の時間ね! ルシェもお手伝いぐらいなら出来るわ!」
「スケさん、ご飯を作ったことが無いので…火おこしくらいはお手伝いさせてくだされ。食べたいメニューは、唐揚げを所望いたしますぞ!」
「やきどら! 竜眼草でハーブ焼きってのも乙だよな!」
「亜竜をこんがり焼くのだー!」
 キルシェとヴェルミリオ、そしてカイトとユウェルが声をあげて。
「オイラは料理スキル……は今回ないから、調理については他のヒトたちにお任せで手伝いするよ。あ、せっかくなら相賀にも焼いてもらって覇竜味を体験してみたいな」
「焼きプテラで良ければそうするかのう」
 アクセルに相賀も答え、いそいそと串を用意し始める。結構数がある辺り、定期的に作っていそうだ。
「おお、そうそう。風呂も沸いとるぞ」
「ん、そうか。食事が出来るまでに身綺麗にしてこよう。カイト殿、囮役お疲れ様だ。先に入ってきてくれ」
「おお? そうか。じゃあ行ってくる!」
 そうして弾正に先を譲られイソイソと相賀の家の裏に行ったアクセルが「ぎゃー、大鍋!」と叫んでいるのを聞いて弾正は「やっぱりか……」と思いながら相賀を見るが、相賀は爆笑しながらカイトを正しい風呂に連れて行っていた。どうしようもない爺さんである。
「焼けるまでの間はドラネコと遊んでよ。『動物疎通』のおかげでなんとなく言いたいこともわかるはず! 点呼したり鬼ごっこしたりして遊ぶぞー!」
 その辺にいたドラネコをユウェルは伸ばしたりしてみるが、ドラネコは「ウニャー」と眠そうである。
 そうしている間にも美咲シェフはその手腕をふるっている。
「片栗粉をまぶして油で揚げて唐揚げに……多少時間を置いても油の匂いと香草の香りで肉の臭みを解決できるということです。つまり、カロリーは付与効果ということですね。身体にBSが付いてるって言ったやつは後で職員室に来なさい」
 大丈夫、需要はある。さておいて。
「塩派がいたら塩唐揚げも……よし!」
 醤油唐揚げに塩唐揚げ。レモンをかけるのは事前に申請しないと戦争になる素敵な一品だ。
「レモンかけるかけないはお任せ。私はカロリーがあれば大抵のものは食べられますので」
 そんなカリッカリの唐揚げが出来る頃には、カイトに続いて弾正もホッコリした表情で風呂から出てくる。
「スキルはなくとも料理はある程度できます。皮を剥いで、肉を手ごろなサイズに切り分けて、焼き鳥用に串に刺して……塩を振りかけて……と」
「お、手際いいのう」
 風花と相賀による焼きプテラも、出来上がっていく。
 そして……。
「ん〜っ! この一杯のために仕事をしている!」
 相賀の仕込んだ酒を呑んで、ヴェルミリオが声をあげる。
「ふふっ……一度言ってみたかったのですこのセリフ!」
 確かに仕事終わりの酒に焼きプテラ、そして唐揚げ。理想的な組み合わせと言えるだろう。
「おや、ドラネコさんこんにちは」
 風花の言葉通り、美味しい唐揚げや焼き鳥の香りに惹かれてきたのか、付近のドラネコが集合してきていた。
「おや? 愛らしい隣人がやってきてくださったようですな! ドラネコ殿、よろしければ召し上がって行きませんか! とても良い味なのです!」
「ドラネコさんたちも一緒に食べようね!」
 ヴェルミリオやキルシェのあげるお肉にドラネコもかぶりついて。
「食われかけた分、食事が出来たらガッツリ食い返すぞ! ……ん?」
 弾正も、自分の膝に前足を載せているドラネコに気付き肉を分ける。
「普段は動物に強面で怖がられてしまうが故に、新鮮な気分だな」
 亜竜だからだろうか。普通の猫とは一味違うようだと弾正は思いながら撫でる。
「牛、馬だけじゃなくて猫でもあるんだね……不思議な生態。なでなで」
 アクセルは味付けしていないお肉をドラネコにあげるが、猫っぽい亜竜なのでダメな食材はなかったりするので安心だ。
「うーん、なかなかおにくが引き締まっていいお味。結局亜竜種と亜竜は共食いになるのかな? 美味しいからいいか!」
「ええ、美味しいですからね」
 ユウェルと風花も、そう頷きあって。
「ドラネコもついてきちまってるけどいいのか? 可愛いからあげるけど」
 そんな事を言いながらドラネコに囲まれているカイトをユウェルは見て。
「それにしてもずっとカイトからいい匂いが……ちょっと齧るくらいいいかな……だめ? 一口だけでいいから! ドラネコも齧りたいって言ってるし!」
「……なんか嫌な予感が。あ? 竜眼草の香りが羽毛に残ってる?まさか……いや俺は食材じゃねえええええ!!」
「む、良い味。この味は胸肉というよりは……フリソデ? 美味いでスね」
 タイミングよく美咲がそんなことを言いながら唐揚げをパクついていたが……カイトもちゃんと生還したし、プテラも美味しい。
 そんな、良い1日だったのである。

成否

成功

MVP

風花(p3p010364)
双名弓手

状態異常

なし

あとがき

最近はスーパーでもフリソデを部位として売ってたりするんですね。
驚きました。

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