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シナリオ詳細

病の帳が下りた日

冒険中

参加者 : 8 人

冒険中です。結果をお待ちください。

オープニング

●病に侵された村で
 畜生、と少年は呟いた。
 体のあちこちに擦り傷をこさえていて、けもの道を、道なき道を、強引に突っ切ってきたことが分かる。
 少年の服は、薄汚れた襤褸衣だった。その襤褸は、この森を突っ切ってきたからというわけではなく、もうずっと前から、そのようにボロボロの衣服を着ているのが見て取れるだろう。

 少年の名は、小太郎と言った。見ての通りに、貧乏な生活を送っていた。
 齢は15,6ほど。もっと小さいころに両親は流行病で死んで、天涯孤独の身だった。
 暮らしは貧しい。それは、村全体がさほど裕福な方ではなかったからしょうがないのだが、子供のみ一人の彼は、ことさらに貧しかった。
 村で孤立していた、というわけではない。村人たちは優しかった。お互い貧しい中、可能な限り気にかけてもらっていた。だが、引き取って育ててやるほどの貯えも、村人たちにはない。が、関係は良好だったといえるだろう。特に隣の家のハナという娘とは、幼馴染のように懇意にしていた。
 慕っていた。恋愛感情というわけではない。元より天涯孤独の身。その環境が、小太郎を少しばかり、自己を卑下する性格にさせていたのだ。そも、ハナの隣に自分が立っているという想像すらできない。

 今年の始まりに、村に病魔がやってきた。それは、小太郎の両親の命を奪った流行病で、村人たちも何人もがその病に倒れていた。その中には、ハナの姿もあった。
「薬は無ぇのか」
 と、小太郎は、村の薬師に尋ねた。
「無ぇ……」
 と、薬師は申し訳なさげに言った。
「いや、実を言うと、あるにはあるんだ。村から少し離れたところに、森があってな。そこに薬草があるんだが」
「じゃあ、取りに行けば……!」
 小太郎が吠えるのへ、薬師は頭を振った。
「無理だ! あそこは妖よりもおっかねぇ……都の人達が言ってた、怪王種(アロンゲノム)ちゅうのがいるんだ!
 別の村の人間が、山菜取りの時に出会ってぶち殺されちまったらしい。
 あそこにゃ近寄れねぇ!」
「都のお役人は……」
「今討伐の準備だってんで色々やっちゃいる! だが、すぐにはこれねぇんだ! あろんげのむっちゅうのは、都の侍でもなかなか手を出せねぇらしい。それこそ、神使様でもなきゃ……」
「じゃあ、神使さまはいつ来るんだよ!」
「わかんねぇ……」
 薬師は項垂れた。
「わかんねぇんだ。この国も落ち着いたちゅうても、神使様たちだって暇じゃねぇ。よその国でも大騒ぎだってし、こんな小さな村の事、中々耳には入んねぇだろ……」
「じゃあ、黙ってハナが……村の皆が苦しむのを見てろってのか!」
 小太郎は叫んだ。
「薬師のおっちゃんだって、みんないい人だって知ってんだろ!
 ハナは、ハナん家のおじさんとおばさんは、俺の事をいつも気にかけてくれるんだ!
 隣のおっちゃんだって、畑仕事を手伝わせてくれて、手伝い賃だって小遣いをくれるんだ。
 おっちゃんだけじゃねぇ、皆、ただ施すだけじゃなくて、俺なんかをちゃんと、村の一員だって、仕事も分けて、それで……」
「分かってる……だが、どうしようもねぇ……」
 薬師がうなだれるのへ、小太郎は飛びあがった。
「どこへ行くんだ!」
「おれが取ってくる! 薬草を!」
 薬師が止める間もなく、小太郎は飛び出していた。

 それが、数時間ほど前の事だ。着の身着のまま飛び出して、薬師の家からかっぱらった薬草手帳を眺めながら、群生地を目指してひた走る。
 畜生、畜生、と小太郎は呟いた。
「どうして、病に倒れたのが俺じゃねぇんだろう。
 どうして、俺なんかが健康に過ごして、ハナや、村の皆が、病に苦しんでるんだ。
 おれが代わりに苦しんでやればいいんだ。
 おれが代わりに死んでしまえばいいんだ。
 どうして俺が……俺なんかが……」
 だが、もしこの分不相応な幸運に意味があるのならば。
「ここで命を張れって事なんだろう……バケモンにはらぁ食いちぎられても、首だけになったって、転がっててでも薬草を持って帰るからな……!」
 がさがさと音を立てて、道なき森の道を行く。
 ――だが、森の中には、そんな獲物の存在を敏感に感知し、舌なめずりをする怪物が――。
 怪王種(アロンゲノム)の姿が悍ましく蠢いていることに、彼はまだ気づいていない。

 あなた達、神使(イレギュラーズ)がその村を訪れたのは、件のアロンゲノムの討伐を、都より依頼されていたからだった。
 依頼が発布されたのはつい先日。出発し、到着したのもついさっき。すべて偶然。だが、これはまさに、神のいたずらか。あなたたちが村にたどり着いたのは、ちょうど小太郎が飛び出して、しばしの後のことだったのだ。
 村に到着したあなた達は、この村が病魔に侵されていることを、薬師の男から伝えられた。
「神使様方は、あろんげのむを退治しに来たんだろ?
 すまねぇ、どうか追加で……小太郎の奴を見つけて連れ帰って欲しいんだ!
 仕事を増やすことになっちまうが……頼む! あいつは村の仲間だ! こんな所でバケモンに殺されちまうのはしのびねぇ!」
 地面に頭をこすりつけて、薬師の男があなた達に懇願する。この想いを、むげにするわけにはいかないだろう。
「任せておけ、アロンゲノムの討伐も、小太郎の救出も、どちらもやり遂げて見せる」
 仲間がそういうのへ、あなたもまた、頷いて見せた。
 かくして、アロンゲノムの討伐と、少年を救うための戦いが、始まろうとしていた。

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 アロンゲノムを倒し、少年と村を救いましょう。

●成功条件
 すべてのアロンゲノムを撃破し、小太郎を救出する。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●怪王種(アロンゲノム)とは
 進行した滅びのアークによって世界に蔓延った現象のひとつです。
 生物が突然変異的に高い戦闘力や知能を有し、それを周辺固体へ浸食させていきます。
 いわゆる動物版の反転現象といわれ、ローレット・イレギュラーズの宿敵のひとつとなりました。

●状況
 都にて、アロンゲノムの討伐を依頼されたあなた達イレギュラーズ。さっそく現場付近の村へと向かってみれば、何やら事情がありそうでした。
 詳しく話を聞いてみれば、流行病に多くの村人たちはダウンしており、薬である薬草が必要であるとの事。が、不運な事に、その薬草はアロンゲノムが現れた森に生えており、さらに間の悪い事に、決死の覚悟で薬草を獲りに、小太郎少年が森へと入ってしまったのです。
 元々アロンゲノムの討伐は、皆さんの仕事のうち。さらに、村人から小太郎少年の救出を依頼されたあなた達は、アロンゲノムの討伐、そして小太郎少年の救出を決意するのでした。
 作戦エリアになっているのは、深い森の中です。小太郎少年は、この森を、薬草の群生地に向かって進んでいます。薬草の群生の場所や薬草については、事前に村人から資料が渡されているため、大凡どこにあるか分かるものとします。
 また、同時に、この森には討伐対象であるアロンゲノムも徘徊しています。
 アロンゲノムの総数は、三匹。どれも強敵ですが、皆さんが力を合わせれば勝てない相手ではないはずです。

●エネミーデータ
 アロンゲノム・ハチガシラ ×1
  八つの頭を持った巨大な蛇です。蛇の妖が突然変異的に変貌したのでしょう。
  生命力が非常に高く、簡易な再生能力を持ちます。また、毒のようなBSも使ってくるでしょう。

 アロンゲノム・ケガレシシ ×1
  巨大な猪……ですが、その体毛の一束一束が意思持つ蛇のようにうねり、周囲を警戒する、キメラのような怪物です。
  見た目通りにスピードと、攻撃力に長けています。蛇の毛束にからめとられ、足止めのようなBSを付与されないよう気をつけましょう。

 アロンゲノム・ゲドウテング ×1
  下級の天狗のような妖が、突然変異的に成長した怪物です。飛行種のように見えますが、その顔は醜く歪んだカラスのようです。
  神秘属性の攻撃を多用してきます。風の術式による、出血を伴う遠距離攻撃にご注意。


 上記の三体は、それぞれバラバラに森の中を徘徊しているようです。
 別に共同戦線をとるほど協調性があるわけではありませんが、戦闘音が聞こえれば、そちらに集まる程度の知能はあります。


 以上となります。
 それでは、皆様のご参加と、プレイングを、お待ちしております。

  • 病の帳が下りた日冒険中
  • GM名洗井落雲
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 出発日時2022年01月19日 23時59分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険中です。結果をお待ちください。

参加者一覧(8人)

ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
ジルーシャ・グレイ(p3p002246)
月香るウィスタリア
エステル(p3p007981)
小金井・正純(p3p008000)
燻る微熱
ラムダ・アイリス(p3p008609)
咎人狩り
希紗良(p3p008628)
鬼菱ノ姫
幻夢桜・獅門(p3p009000)
竜驤劍鬼
星芒 玉兎(p3p009838)
星の巫兎

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