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シナリオ詳細

砂の地に、新たなる街を

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●新たなるオアシス
 砂漠。
 水も見えぬ渇き果てた大地――。
 だが、その地下には確かに水路が存在する。はるか遠き山から流れ落ちてきた地下水脈は、長きときによる地殻の変動から、時折その在り様を変え、稀に予期せぬ場所に、その恵みをもたらすという。
 簡潔に言えば、このなにもなき砂漠の大地にも、突如として水がわくことが、無くもない、という事である。
 もちろん、水がわいたとて、乾いてしまう事もあるだろう。だから、その恵みが現れても、しばしの長い年月をかけて、その成長を眺めなければならない。
 そして、その水が安定した恵みをもたらし、周囲が徐々に緑化した時に、ようやく人も、そこに営みを築くことができるのだ。
 さて。イレギュラーズであるあなた達は、今、そんな、年若いオアシスの、拠点建設現場に来ている。数年前から水を地表へと湧き出させ、そして徐々に広がっていったこの新たなオアシスは、近隣の集落からよく観察され、人が棲める、と判断された。
 人の営みの地が広がっていくのは、様々なメリットがある。集落同士の旅路の中継点として、新たな商売の拠点として。そんなわけだから、周辺の集落から希望者を募って、この地に新たな集落を築くこととした。それは大変な事ではあったが、前述したとおり、人のネットワークの新たな増築であり、人がこの砂漠で生きていく以上、避けては通れぬことだ。
「イレギュラーズさん達、依頼を受けてくれてありがとうな」
 と、開拓集団のリーダーである、中年の男性が、あなた達へそう言った。あなた達にくっついてきた『ぷるぷるぼでぃ』レライム・ミライム・スライマル(p3n000069) は、あなた達の代わりの務めるように、頷いた。
「うん。新しいオアシス開拓の、手伝いと護衛の依頼。楽しそうだしね」
 あなた達が請け負ったのは、オアシスに集落を作るための、手伝いと護衛の仕事だ。いわゆる都市づくりであるが、まずはテントや、簡単な小屋を作っての、都市というよりは簡単なキャンプ地の設営に近い。期限は一週間ほど。建物の設置や、家畜の定着。或いは近隣の集落につながるルートの策定など、やることは色々あった。
「そっちも大変だろうけど、色々とよろしく頼むよ。新しい集落ができて、人の流れが定着すれば、ここもさらに大きくなるはずだ。
 そうなれば……街の創設者の一人として、名前が残ったりするんじゃないか? 銅像とかたてたりな!」
 わはは、とリーダーが冗談を言う。銅像が欲しいかはさておいて、新たな、人の生活の息吹、その手伝いをできるというわけだ。気持ちのいい仕事であることは確かである。
「改めてお仕事内容の確認をするね」
 レライムが言う。
「基本的には、『建物の建築や、家畜の定着の手伝い』。
 それから、『周辺の街道になりそうな道を探す事』。
 万が一、『盗賊なんかが来た場合、撃退する事』。
 この三つがメインかな?」
 レライムが小首をかしげるのへ、リーダーは言う。
「おう! まぁ、他にアドバイスとかがあるなら、喜んで受けるぜ!
 そうだ、いいアイデアがあるなら、集落の命名とかやってくれてもいいな。俺らはあんまり、そういうの気にしないからな……。
 っと、俺も仕事だ。何かわかんない事があったら、なんでも聞いてくれよ! それじゃ、一週間、よろしく頼むぜ!」
 リーダーが、仮設テントへと向かっていく。ここからさらに、仲間達への司令塔として活動するのだろう。
 仮設テントは、大きなオアシスのほとりにあって、そこには低木や、まだ年若い木々と緑の絨毯が生い茂っている。湧き出る地下水のおかげで気温は砂漠にしてはすずしめで、開拓民の子供たちが、早速オアシスのほとりで遊んでいるのが見えた。
 牧歌的、と言えばそのような光景だ。思わず口元もほころぼうというものだが、いやいや、仕事で来ていることを忘れてはいけない。
「さて、あたしも頑張るから、皆も頑張ろうね」
 レライムがそういうのへ、あなた達は頷いた。
 かくして、一週間の、オアシス集落立ち上げ作業が始まろうとしていた――。

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 新たに生まれるオアシスの集落。
 その立ち上げのお手伝いをお願いします。

●成功条件
 無事に一週間の作業を終えて、オアシス集落の立ち上げを支援する。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●状況
 ラサの砂漠にて、新たに育ったオアシス。近隣の集落や都市から、早速開拓のためのメンバーが派遣され、イレギュラーズであるあなた達にも、手伝いと護衛の依頼が舞い込んできました。
 期間は一週間。あなたたちにお願いされた仕事は、
 『建物の建築や、家畜の定着の手伝い』。
 『周辺の街道の整備』。
 『盗賊などの外敵が来た場合に撃退する事』。
 の三つです。
 それ以外に、何か集落立ち上げのアドバイスなどがあれば、それを行っても構いません。
 が、以上の三つを行っておけば、何らかのトラブルにあう事は無いでしょう。
 基本的には、のんびりとした、開拓作業をお楽しみください。
 オアシスにはちょっとした緑と、ひんやりとして済んだ湖があり、開拓民や子供たちが、にぎやかに開拓作業を行っています。

 戦闘になる可能性もないわけではありませんが、この辺りの魔物や賊程度なら、皆さんの脅威となるほどではないでしょう。戦闘判定は発生しますが、戦闘に関するプレイングも簡易なもので構いません。

●エネミーデータ
 魔物・野生動物の類
  街道を整備するうえで、遭遇数る可能性のあるのは、野生動物や魔物の類です。
  特筆すべき能力はありませんし、群れ為してわざわざ襲ってくることもないでしょう。
  見つけたら追い払うとか、その程度で問題はないはずです。

 砂賊の類
  いわゆる砂漠の賊の類です。
  新しいオアシスを縄張りにするために、襲ってくる……かもしれません。
  とはいえ、皆さんにとっては敵ではないでしょう。
  油断せず、しっかりと相対できれば、損害も軽微なはずです。

●同行NPC
 『ぷるぷるぼでぃ』レライム・ミライム・スライマル(p3n000069)
  旅人(ウォーカー)で、ローレットの情報屋。
  今回は、皆さんにくっついてくる形で依頼に参加しています。
  ほっといても、一生懸命作業しています。
  話しかけたり、作業を手伝わせるのもいいでしょう。
  能力的には、回復と攻撃をバランスよくこなすタイプ。突出した能力のない、アベレージな感じです。

 以上となります。
 それでは、皆様のご参加と、プレイングを、お待ちしております。

  • 砂の地に、新たなる街を完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年01月29日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽
ヒィロ=エヒト(p3p002503)
瑠璃の刃
美咲・マクスウェル(p3p005192)
玻璃の瞳
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
エドワード・S・アリゼ(p3p009403)
太陽の少年
サルヴェナーズ・ザラスシュティ(p3p009720)
砂漠の蛇
メリッサ エンフィールド(p3p010291)
純真無垢

サポートNPC一覧(1人)

レライム・ミライム・スライマル(p3n000069)
ぷるぷるぼでぃ

リプレイ

●はじめの一歩
 オアシスの周囲は多くの人でにぎわっている。まだまだオアシス以外の何もない土地だが、これからここに、人々が定着し、暮らしていくのだ。
 近くには簡易的なテントがいくつか並んでいて、開拓民の一時的なベースキャンプとなっている。そんな場所を眺めつつ、『剣砕きの』ラダ・ジグリ(p3p000271)は頷いた。
「オアシスの集落の立ち上げとなると、私も初めてだな」
 少しだけ楽しげに笑いながら、周囲を見やる。街の中央になるであろう場所には、シンボルのように大きなオアシスが広がっている。
「すげーっ! オアシス! オアシスだ!」
 『ドキドキの躍動』エドワード・S・アリゼ(p3p009403)は、目をまん丸にして声をあげる。たたたっ、と緑の上を駆けだして、オアシスのふちにしゃがみこんで、中を覗き込んでみる。透明な水が、涼しい風を運んでくれる。
「砂漠には何度か来たことあるけど、オアシスに来るのは初めてだなー。
 綺麗な湖と、少しの緑……すげー! 本当にオアシスだ!」
 まさに、物語や書物に伝えられるような光景だ。
「はは、俺も昔は、オアシスってみると気分が上がったもんだ」
 開拓団のリーダーが、笑いながらそう言った。
「団長か。一週間よろしく頼むよ」
 ラダがそういうのへ、リーダーが頷く。
「おう、こっちこそよろしくな。わかんない事があったら聞いてくれ。
 大まかな仕事は依頼の時に指示してるから、それさえやってくれれば後はのんびりしてくれても構わねぇぜ」
「では、わたしは、オアシスの調査をしたいと思いますの」
「オアシスの調査かい?」
 『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)の言葉に、リーダーは尋ねた。ノリアは頷くと、
「ご存じのとおり、オアシスは、地下水が湧き出て、できますの。
 自然は気まぐれ……いつ、その湧水が湧き出る道が、閉じてしまうか、わかりません」
 なるほど、とリーダーは頷く。
「確かに、今まで様子を見てきたからすぐには枯れないと思うが、何世代も後に枯れちまったら、この街も長続きしない」
「ですから、今のうちに、様子を見ておきますの。
 整備のマニュアルとかも作れれば、長くオアシスと共存できる、はずですの」
「確かにその通りだ! 今のうちにやっててもらえると有り難い!」
 嬉しそうに笑うリーダーに、つられてノリアも優しく微笑んだ。
「わたしは、さっそくオアシスに潜りますの。何かあったら、水に波紋を立ててくれれば……そうですね、石などを投げてくれれば、察しますの」
「そっちも、人手が必要なら言ってくれよ、ノリアさん! なんでも手伝うからよ!」
「ありがとうございますの」
 ぺこり、とノリアは頭を下げて、さっそくオアシスに飛び込んだ。エドワードは、その様子を見て、「おお、すげー!」と感心するような声をあげている。
「後は、街道の整備とか、建物たてたりとかか?」
 エドワードが言うのへ、『砂漠の蛇』サルヴェナーズ・ザラスシュティ(p3p009720)が頷いた。
「それから、家畜の定着もお手伝いできるとよいですね」
「それは、私がお手伝いできると思います」
 『幻想の冒険者』メリッサ エンフィールド(p3p010291)が微笑みながら言った。
「動物さんの気持ちも、少しは分かりますから」
「そうですね。メリッサ、お願いできますか?
 もちろん、私も手伝いますよ」
 サルヴェナーズがそういうのへ、メリッサが頷く。
「はい! 一緒に頑張りましょうね」
「街の方は、ボクと美咲さんにまかせて!」
 はいはーい、と手をあげてアピールするのは、『激情の踊り子』ヒィロ=エヒト(p3p002503)だ。
「ここがすっごく住みやすくなって、たっくさんの人達が行き来するようになって、住む人達がいーっぱい幸せ感じられるオアシスになるように張り切っちゃうよー!
 ねっ、美咲さん!」
「うん、そうだね。新しい街ができるという事は、新しい物語が生まれるという事。
 その始まりに関われるなんて、楽しそうだもの」
 『あの虹を見よ』美咲・マクスウェル(p3p005192)が微笑んで頷いた。
「直接的に家を建てる、なんてのはできないけれど。
 運搬用にゴリアテを用意してあるから、その辺も手伝えるよ。
 それに、ファミリアーで上空からの視点も見れるから」
「そりゃ有り難いな! 建設担当の奴を紹介するよ、お二方、是非とも頼む!」
 リーダーが、ヒィロと美咲、2人に頭を下げた。
「ふむ……となると、私達は街道整備になるかな? なぁ、ラダさん」
 『Pantera Nera』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)がそういうのへ、ラダは頷いた。
「うん、そうなるね。私も隊商に所属していた経験から、そういう方面へのアドバイスもできると思う」
「ならうってつけだね」
 モカは頼もし気に微笑する。
「あ、俺も街道かな。レライム、オマエも手伝ってくれよ!」
 エドワードがそういうのへ、レライムが片手をあげて頷いた。
「おっけー、任せて」
「街道の方が終わったら、畑も見るよ。乾燥に強い野菜についてのアドバイスなんかもできるかもしれない」
「それに付随して、私は獣対策の方も見ておくとするよ」
 ラダがそういうのへ、リーダーは感心したように頷いた。
「専門家も顔負けだな……アンタたちだけでも、充分そうな気すらしてくるよ」
 ラダが苦笑する。
「それは買いかぶり過ぎだよ。でも、ありがとう。
 さあ、協力して街を作り上げようか」
 その言葉に、仲間達は力強く頷くのであった。

●人の営みの生まれる場所
 さて、ノリアはオアシスの底を行く。オアシスには淡水魚の数がちらほらと見え、そこには短いながらも水草が見える。海が生まれた時も、こんな光景だったのかもしれない、と思いながら、ノリアはゆっくりと泳いだ。
「水が、しみ出しているのは……あのあたり、ですのね」
 ノリアは呟き、夜光虫のランタンを照らした。見れば、岩盤層のあたりから、ぶくぶくと水流が巻き起こっているのが分かる。
「ふさがれたり、しないように。注意した方が、よさそうです。
 オアシスから上がったら、場所や注意を、メモに書いておきましょう……」
 あとは、どこを見るべきだろう? 粘土層のあたりを見ておいて、亀裂を確認したり……水流を調節するためにも、亀裂を整えたりした方がいいはずだ。
「まだまだ、お仕事ははじまったばかり、です。
 焦らず、確実に……」
 ノリアは、うん、と頷くと、早速水源地の調整に取り掛かった。
 さて、ノリアが懸命に働くオアシスから視線を外してみれば、オアシスの縁に、沢山のレンガ用の泥が置かれているのが分かるだろう。(これも、ノリアがオアシス調査中に得た副産物だ)。この泥を日干しにしてレンガを作るわけだが、実際にすぐ近くに、沢山のレンガが作られて、山積みに置かれていた。
「美咲さん、もう少し載せられるかも!」
 ヒィロはそんなレンガを、美咲のゴーレムい据え付けられた籠にのせている。山盛りのレンガを、崩れないように注意深く。
「分かったよ。じゃあ、もう少し」
 一つ二つを抱えて、美咲はヒィロにそれを手渡した。ヒィロは、それを受け取って、「おっとと」と少しだけ重さにバランスを崩したが、すぐに持ち前の運動神経でバランスを取り戻すと、籠の中に崩れないように並べた。
「これでいっぱいかな! 美咲さん、行こうよ!」
 籠の空いたところに座って、ヒィロが手を伸ばした。美咲はその手を取って籠に乗ると、ヒィロの隣に座る。
 美咲が指示を出すと、ゴーレムがゆっくりと動き出した。建設現場に向けて進む中、ヒィロと美咲が周りに目をやれば、あちこちに張り巡らされた、土地の形を示すロープが、やがてできるであろう街の様子を思い起こさせてくれた。これも、ヒィロと美咲が指示したものだ。
「うまくいっているみたいだね。ヒィロが幻影で、街の形をイメージさせてくれたのおかげだよ」
「美咲さんだって、ボクと一緒に、いろんな町の事、思い出して説明してくれたからね。よく再現できたとしたら、そのおかげだよ!」
「ふふ。虹の瞳は世界中を見て、記憶しているからね!」
 二人の提示した建物の建築プランは、遠く未来を見据えたものだ。街の基礎接敵の段階から、他の街の形を参考に、行政地区や商業地区、住宅地区などをあらかじめイメージしておく。そうすれば、大きく発展するイメージも沸くし、後々トラブルになることも少ないだろう。
「おねーちゃんたち、こんにちわ!」
 ゆっくりと進むゴーレムに、開拓民の子供たちが手をふる。二人は優しく手をふり返した。
「あの子たちが大人になった時、素敵な街になっていると良いね」
 美咲が呟くのへ、ヒィロは頷く。
「そうしたらさ、また二人で遊びに来ようよ! ふふ、一杯歓迎されちゃうかもだよ!」
 にこにこと笑うヒィロの眼には、きっと大きく発展したこの街の姿が映っているのだろう。先ほど作った幻影ではない。現実の延長線上にある景色。
「そうだね」
 美咲は笑った。自分たちの手掛けた街。それがどのような未来を描くのは、確かに気になる所だった。

 イレギュラーズ達の作業は、着々と進んでいく。2日目。3日目。時折現れる獣や、何やらこちらを偵察する賊のような姿も見受けられたが、大きなトラブルもないまま、開拓は進行していた。
 さて、街から少し離れて。かさかさと動き回る巨大蠍の魔物が一匹いる。砂の上を動くそれを、突如一つ筋の弾丸が貫いた。頭を打ち抜かれた巨大蠍が倒れて動かなくなる。弾丸の主、ラダは照準を外すと、「よし」と手ごたえに頷く。
「おお、すっげー、かっこいいな!」
 感激したように、エドワード。隣にはレライムがいて、ぱちぱちと手を叩いてた。
「ありがとう。さて、エドワード、地図に書いておいてくれ。こっちの道はダメだ」
「え? ダメなのか? せっかくここまで来たのに?」
「うん。魔物の数が多いだろう? おそらく近くに、巣があるんだ」
 モカが言葉を継いだ。
「安全性を考えたら、巣を排除するまではここは通らない方がいいし、魔物もまた現れて営巣するかもしれない。
 だから、少し道を外れよう」
「確かにそうだな。じゃあ、別の所に行こうぜ!」
 諦めないへこたれないのが、エドワードのいい所だろう。道の開拓は、何度も探りながら、進んで戻ってを繰り返す作業だ。
「ふふ、エドワードくんは頑張り屋さんだな。おねーさんも負けてられないな」
 モカが微笑む。ラダも微笑を浮かべた。
「ああ。とても真っすぐだ。
 そう言えば、モカ、昨日植えたトマトの苗はどうなったんだい?」
 ラダが尋ねる。モカは畑の方も担当していて、先日乾燥に強いものを植えたばかりだ。
「もう少し様子を見る必要があるね。でも、根付くと思うよ。
 そうそう、ラダに教えてもらった、獣よけの方法もたすかってるよ」
「砂漠狼は賢いからね。少し危険性を感じれば、向こうからさけてくれるさ。
 ただ、彼らもオアシスを糧に生きているのは違いないんだ。何とか共存できればいいんだが……」
「オアシスのことなら、ノリアに聞いてみた方がいいんじゃないのか?」
 エドワードが言うのへ、モカは頷いた。
「確かにそうだ。戻ったら確認してみよう」
「おう! 皆仲良くできると良いよな!
 レライム、ほら、行こうぜ!」
「うん、すぐ行くよー」
 ここ数日ですっかり仲良くなったのだろう、エドワードに、レライムがついていく。小高い砂漠の丘から二人が見下ろせば、広大な砂の台地が広がっていく。ここに道を作っていくのは大変だが、エドワードにとっては楽しい作業だ。
「なっ、レライムは夢、あるのか?
 お前の夢も、オレの夢も、きっと叶えられるように、お互いがんばろーなーっ!
 レライムが困ったときは、きちんと助けるからさ!
 ともだちなら、それくらいふつーだろ?」
 その言葉にレライムはぼんやりな表情のままだけれど、とても嬉しそうなことは、エドワードには伝わっていた。
「うん。あたしも、エドワードが困ったときは、助けに行くね」
 そう言って、レライムが手を差し出した。握手。エドワードはその手を握って……くすぐったそうに笑った。
「あはは! ひんやりしてる!」
 嬉しそうに笑うエドワードに、レライムは嬉しそうに、小首をかしげた。

 また幾日か経つと、街の形が少しずつできて、建物が組みあがっていく。作物は根付いて、家畜たちも落ち着いてくる。
「あはは、くすぐったいですよ」
 と、メリッサは笑う。家畜のパカダクラに、ぺろぺろと手を舐められていたからだ。もちろん、親愛の情を示している。ここ数日の交流で、メリッサはすっかり、家畜たちからの信頼を得ていた。
「みなさん、快適ですか? ……そう、よかった」
「ふふ、喜んでもらえて良かったです。元気に育って下さいね」
 サルヴェナーズが微笑んだ。ここは家畜用の小屋で、サルヴェナーズとメリッサが、何とか作り上げた逸品だ。そのわらや絨毯の上で、家畜たちはのんびりとしている。
「メリッサ、貴方のおかげで、スムーズにこの子達交流出来ました。流石ですね」
「いえ、私なんてまだまだで……昨日、盗賊が来たときの戦いでも、エドワードさんに護ってもらっちゃいましたし……」
「適材適所でしょう。この一週間、貴方も、皆も、しっかり役割を果たしましたと思いますよ」
 サルヴェナーズの足元には、家畜を率いるための番犬が行儀よくすわっている。
「この子も、ラダに見てもらいました。頭のいい子です。
 私一人では、きっと選べなかった。力を合わせてこそ、この街は出来上がっていくのでしょう」
「……そうですね。きっと、そうです」
 メリッサが微笑む。
「……今日で、この子達ともお別れですね」
 サルヴェナーズの言葉に、メリッサは頷いた。
「……すこし、寂しいですね。えへへ、少し、愛着がわいてしまいました」
「折を見て、会いに来るのもいいかもしれませんね」
「そうですね……」
 メリッサは、家畜たちに優しく微笑んで見せた。

「一週間ありがとな、イレギュラーズさん達!」
 開拓団のリーダーが、イレギュラーズ達に告げた。
 一週間。契約は今日で終わる。
 イレギュラーズ達は立派に役目を果たし、開拓はスムーズに進んでいた。
 もう、イレギュラーズ達の力を借りる必要はないだろう。
「後は俺達に任せてくれ。立派な街にして見せるよ。
 それでな、いつかまた、この街に遊びに来てくれよ!
 その時は、街総出で歓迎するぜ。なにせ、この街の創設者のひとりなんだからな!」
 豪快に笑うリーダーの言葉が、嬉しかった。
 開拓民たちから感謝の言葉と笑顔に見送られて、イレギュラーズ達はこの街を後にする。
 この後、何年か後。きっと立派な姿を、イレギュラーズ達に見せてくれるのだろう。
 そう思えば……なんとも、心地よい気持ちになるのだった。

成否

成功

MVP

ヒィロ=エヒト(p3p002503)
瑠璃の刃

状態異常

なし

あとがき

 ご参加ありがとうございました。
 いつかまた、この街に遊びに来てくださいね。
 その時は……素敵な光景を、皆さんにお見せすることを約束します。

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