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シナリオ詳細

<亡国幽騎伝>護るべき旗は朽ちて、されど誓いは消えず

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●亡国の幽騎たち
 国が燃える。
 旗が燃える。
 王が死に、民が死んで。
 魔種が全てを食い荒らす。
 精強な騎士団は紙切れか何かのように引き裂かれて。
 嘲笑の中で、全ては燃え落ちた。
 もはや「その国」の名を誰もが忘れて久しい。
 そんな国があったことなど、誰も知らないだろう。
 歴史書の片隅にすら残らなかった、その程度の存在。
 当時在った国々もすでに滅び「古代文明」と呼ばれて。
 何もかもは消えた、消えたのだ。
 けれど「彼等」は守っている。
 知っているからだ。
 もう誰もが忘れる程に遠い昔に滅びた国。
 食を尊び、美食の国とも呼ばれたその国は、その内から生じた魔種の群れによって滅びた。
「食の守護者」とも呼ばれた輝かしき盾は食い破られた。
 もうその時代に生きた者など残ってはいない。
 国は消えて、旗は朽ちて。
 されど誓いは消えず。
 ガストロ騎士団は……ガストロリッターは、未だ此処に在れり。
「食の簒奪者」を滅ぼさんが為。
 常に入れ替わり続ける、魔種の群れを殲滅せんが為。 
 世界の食の敵たる者達が入れ替わるというのであれば、我等ガストロリッターとて入れ替わろう。
 すでに我等、亡国の幽霊。
 されど誓いを連綿と受け継ぐ騎士なれば。
 我等が剣、全ての「食」を護らんが為。幽騎となりて、ただこの一念の為に振るわん。

「……」
『ガストロリッター』アヴェル・ノウマン(p3n000244)は周囲を見回す。
 目の前には、無数の殺人兵器たち。
 鉄帝のとある地点に存在する地下遺跡。
 動く気配を見せない……壊れた古代の殺人兵器たちの間を抜け、モニターのようなものに触れる。
 黒い水晶板のように冷たく硬いそれは、アヴェルが何度か触れてみても反応を見せず。
 周囲を何度か確認し、アヴェルは小さく息を吐く。
「白銀ドクロの件で『もしや』と思ったが……気の回し過ぎだったようだな」
 周囲には、アヴェルと同じような恰好をしている騎士たちが数人いる。
 そのうちの1人がアヴェルに「どうだ?」と声をかけてきて。
「問題ない。白銀骨格の再起動の兆候はない」
「そうか。アレに今再起動されては色々と台無しになってしまうからな」
「……そもそも、この地に何故アレが植わっている」
「仕方あるまい。マナオレンジは魔力の濃い場所に自生する。此処ほど濃度の濃い場所はそう……」
 言いかけて。
 ゴゴン、と。大きな揺れが地下遺跡を襲う。
「今の揺れは……?」
「分からん。だが警戒を」
 瞬間、光を失っていたはずの遺跡の中の電気がパパパ……と勢いよく付き始める。
 機械が動き始めるような、そんな音も。
「馬鹿な! 今更遺跡が動く!? 無効化は済んでいたはずだろう!」
「全員この場を撤退! 入り口を固めろ! こいつ等を……此処から絶対に出すな!」

●超人計画
「超人計画、と名付けられた胡乱な計画があった。遥か古代の時代の話らしいがな」
 アヴェルはそう言うと、集まった面々の前に1つの資料を提示した。
 それは……全身の部位が揃った骸骨標本の絵のように見える。
 書かれた古代語らしきものは擦れほとんど読めないが……「超人計画」という単語はかろうじて読める。
「簡単に言うと全身の骨を白銀骨格と呼ばれる兵器に換骨し、それによって人間を超えた人間を生み出す計画だった」
 結果から言うと、それは失敗した。
「失敗の原因については問題ではない。このようなものは失敗するべくして失敗した。それが全てだからだ」
 そうして白銀骨格の頭部と他の部位は分けられ保管されていたのだが……そのうちの頭部が「白銀ドクロ」として半端な情報で鉄帝に伝承として伝わり、結果として1つの研究所が壊滅する結果となった。
 白銀ドクロ自体はイレギュラーズの活躍によって破壊されたが……他の部位は、未だに存在している。
「その遺跡自体はガストロ騎士団が発見し無効化していた……はずだった」
 その発見自体は偶然だった。
 とある希少植物の保護を行う際に、偶然見つけたのだ。
 希少植物の生育環境がそんな危険な場所にあるというのは懸念事項ではあったが、下手に手を出せばどんな事態になるか予想がつかない。
 保護自体は木を1本別の場所に移動させることで行っているが、元の環境でゆっくりと数を増やしていくのが理想ではある。
 だからこそガストロ騎士団は定期的に遺跡を監視し、その安全を確かめていた……のだが。
「最近の白銀ドクロの件を受け、再度の大規模調査を行っている最中……無効化したはずの遺跡の機能が再起動した」
 内部にあった壊れていたはずの古代兵器たちは、遺跡内に満ちた高エネルギーを受けて自己修復を開始。
 大破していたものすら戦闘可能な状態へと修復されてしまっている。
「そもそも『超人計画』とは古代文明国家同士の争いに投入されるはずだったものだ。内部にあるものもほぼ戦闘兵器。故に……」
 遺跡の中のモノが解き放たれれば、虐殺が始まる。
 無論、古代文明の産物とはいえ一研究所規模程度のものがもたらす被害はたかが知れているだろう。
 それでも、そんなものを見逃すわけにはいかない。
「俺達は俺達の理屈で動いてはいる……が、今回目指すべき場所は一致しているはずだ」
 力を貸せ、と。
 そうアヴェルは言うのだった。

GMコメント

遺跡の中の古代兵器を叩き壊しましょう。
なお、現地は鉄帝の街から少し離れた森の奥。
地下遺跡に降りる階段近くはガストロ騎士団がガッチリ固めています。
なお、地下遺跡の「上」に当たる部分に幻の食材「マナオレンジ」の生る木が何本か生えています。
ガストロ騎士団は本来、これの生育を見守る為にこの周辺の安全確保を行っていました。
しかし虐殺が起こると分かっていて撤退の道はありません。
それが今回の依頼に繋がっております。

以下、必要情報です。
なお、依頼成功時にはマナオレンジを貰えます。オレンジとかいう名前ですが、要はあま~いミカンです。
魔力豊富な地でしか育たない難儀なミカンらしいです。効果は疲労回復と美肌。

●遺跡
どうにも古代文明時代の殺人技術開発に特化した研究所だったようです。
地下3階まであります。殺人兵器たちがウロウロしている中に、実験体にされた古代人の骨の欠片がカプセル内に浮いていたりします。長すぎる時間で骨すら朽ちているようです。霊は成仏したのかいないようです。
基本的に人間を改造したり解体したりする道具などの胸糞な機械しかありません。
これ等もガストロ騎士団によって破壊されていたはずなのですが、遺跡によって修復されているようです。
また、途中にあるモニターなどは忙しく何かの文字を表示しているようです。
読める人がいた場合は「超人計画再起動。不足パーツ製造要請」という文字が読めるでしょう。

●ガストロ騎士団
アヴェル含め10人が地下への階段前に待機しています。
全員ガチガチの剣士です。

●敵情報
・古代殺人兵器(総数40)
遺跡内部を走った高エネルギーにより再生した殺人兵器たち。
対人に特化しており、マシンガンとレーザーチェーンソーを振るい攻撃してきます。
マシンガンは「集中射撃」と「広域射撃」モードがあるようです。

・白銀骨格(不完全)
頭部のない白銀骨格です。
液体金属のようなもので出来ているようで、白銀色をしています。
非常にタフで、動きが結構素早いです。
攻撃方法は様々な武器に形を変えて攻撃してくる「白銀武装」です。
近距離(巨大な拳)、中距離(自動銃座)、遠距離(レーザーカノン)、広域攻撃(パラポラアンテナからの衝撃波)のモードが存在するようです。
白銀骨格が遺跡再起動のエネルギー源となっている為、これを破壊すれば遺跡は再び停止するでしょう。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

  • <亡国幽騎伝>護るべき旗は朽ちて、されど誓いは消えず完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年01月17日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃
オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
胡桃・ツァンフオ(p3p008299)
ファイアフォックス
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
エア(p3p010085)
白虹の少女
ヘルミーネ・フォン・ニヴルヘイム(p3p010212)
凶狼
シオン・シズリー(p3p010236)
餓狼

リプレイ

●古代遺跡への潜入
「超人計画か。聞いたことがあったようななかったような……まあどうでもいいか」
 遺跡に降りる階段の前で、『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)がそんな事を言う。
 ちなみにだが、世界は前回の超人計画騒動に関わっていたりする。
「そんな事より重要なのはマナオレンジだ。希少植物ともなれば今後食べられる機会もそう多くはあるまい。ここで是非とも堪能しておかないとな。いっそ報酬として金の代わりに苗の一本でも…………ああ、失礼。こっちの事は気にしないでくれ。やるべきことはちゃんとやるから」
「育てるのは難しいぞ。気難しい植物だ」
『ガストロリッター』アヴェル・ノウマン(p3n000244)は言いながら、近くに植わっている木に目を向ける。
 マナオレンジが鈴なりになっているが……実に食欲を誘う色をしている。
(確かに食材は関わってるが……アヴェルさん達、行動範囲が広いな。今までの件からしても、ガストロリッターには相当な歴史と知見があるのだろうな)
『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)もそう考えながら、マナオレンジの木を見る。
 それは単純に積み重ねた歴史によるものであり、「食の簒奪者」の問題の根深さをも示している。
 だが……少なくとも今は、此処に在る問題を解決するのが先ではあるだろう。
「コャー。なるほど、古代文明の殺人兵器。物騒なものが眠っていたものなの」
「殺人兵器……そんなものを野放しにする訳にはいかないですね」
『ファイアフォックス』胡桃・ツァンフオ(p3p008299)に『特異運命座標』エア(p3p010085)も頷き、『呑まれない才能』ヘルミーネ・フォン・ニヴルヘイム(p3p010212)も大げさな身振り手振りで溜息をついてみせる。
「どうして古代文明の奴等は突拍子もなくてそれでいてこんな碌でもないばかり作ってるのだ……ヘルちゃんでももっとマシで役に立つ物作るのだ……」
 まあ、古代文明の遺物は戦闘力が高いものが多い。
 その中で利用できるものは鉄帝の兵器として反映されているし、逆にこうした危険なものも多くあるのだろう。
「まあ、それはともかくマナオレンジの為に頑張るのだ! 何だかすげーうめーらしいから今から期待してるのだ! 無論、酒は持ってきた!」
 ヴォードリエ・ワインを示してみせるヘルミーネに『餓狼』シオン・シズリー(p3p010236)は薄く笑いながらも、遺跡に繋がる階段を睨みつける。
「こないだの白銀ドクロとかいうやつ、やっぱりアレで最後じゃなかったんだな。この分だとここ以外にもどこかになにかありそうではあるな……まあ、そういうことは終わってから考えりゃいいな」
 勿論、これで終わりであればそれが一番だ。
 しかし類似の計画、あるいは実験品が何処かにないとは限らない。
「とりあえず、物騒なモンは潰してしまわねーとな。この国じゃ、マトモな食い物が採れる場所は貴重だしな」
 そう言うとシオンは、拳を握る。
「まずは地下を進みながら、機械どもをぶっつぶす」
「だね。戦闘は控えめで出来るだけショウモウを減らして遺跡の奥まで行きたいところだね」
『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)も同意して、仲間たちの顔を見回す。
「それじゃあガストロリッターの面々は遺跡を進むうちは、前衛として突破に協力してほしい」
 イズマがそう頼めば彼等は「了解した」と頷く。
 そうして階段を降りていくと、再起動した殺人機械たちが一斉にこちらを向く。
 それは、遺跡の探索と……戦闘の、始まりだった。

●白銀骨格を倒せ
「うまいモノを食べるのがモクテキって話だったけれど、何の因果でこんな殺人機械と出会っちゃったんだろうね」
 壊れた戦闘機械たちを見ながら、イグナートはそう溜息をつく。
 どの戦闘機械も明らかに対人を意識していて、此処がどういう場所だったのか言われずとも分かってしまう。
「白銀ドクロに関係する強敵も奥に居るって話だし! ちょっとキケンな探検ってわけだ!」
 ガストロリッターの面々を前衛に進んでいくその姿には、全く危なげがない。
 そしてそれは目的の白銀骨格と相対するまでは可能な限り消耗を抑えるべきという考えに基づく協力体制であった。
「それで、道中で白銀骨格と出会ってしまうなどの不測の事態があった場合ですが」
「ああ、その時は俺達はサポートに回ろう」
 エアもガストロリッターと挨拶をかねた、そんな作戦の詳細の再確認をする余裕すらあった。
「とはいえ、ヘルちゃん達も慎重に行動するのだ……」
「まあ、そうだな。出会ったやつは片っ端からたおしていけばいいとはいえ、無駄に消耗はしたくねえ」
 ガストロリッター同様に先頭を歩いていたシオンが、ヘルミーネにそう頷く。
 再起動したこんな殺人遺跡の何処に何があるか分からないのだ。
 石橋を叩いて渡るというが、そのくらい慎重であったほうがいいかもしれない。
「ところで、壁や床に分かりやすくエネルギーの通り道があったりしないでしょうか。そういった物を壊してエネルギー供給を絶てれば、兵器が弱体化するかもしれません。そうでなくとも、道案内にはなります」
「調べた限りではなかったが……」
「親玉を倒すのが手っ取り早いって感じではあるか。最奥にいるとは限らないが、どうせ他に居場所の当てがない。このまま奥へと進んでいく感じになるだろう」
 オリーブにアヴェルがそう応え、世界もそう頷く。
 周囲にあるのは何かしらの文字を忙しく表示するモニターと明るい照明、骨の欠片の浮いたカプセル。
 何やら空調も動いているようだが、そのせいか周囲は適度に暖かい。
「原因そうなやつを取り除くのを最優先にしつつ、挟撃もされたくないし、殺人兵器を残しておくわけにもいかぬの」
「よほど人間を殺したいらしいようだしな」
 胡桃にイズマもそう頷き、置かれた自立稼働しないタイプの殺人機械を見る。
 アレがどういう用途の機械なのかは、セットされた金属製の枷を見るまでもない。
 人間を、ひどく冒涜的な形で「人間ではない扱い」をする何か。
 それが分かっていれば、何も問題はない。怒る必要もない。
 アレを使っていた古代人たちは、もう居ないのだから。
「それにしても、明かりがしっかり生きているのは驚きなの」
「まるで新品のようではあるな」
 胡桃に世界も頷き、天井の照明に視線を向ける。
 どういうものなのかは分からないが、練達の研究所の蛍光灯のような輝きを見せる照明。
 これもあるいは、遺跡の再起動により修繕されたのだろうか?
 分からない。分からないが……警戒はするにこしたことはない。
 胡桃のギフト「炎狐招来」、そして世界が簡易式召喚陣で召喚した精霊により曲がり角や身を隠せそうな場所を確認することで、万が一の奇襲を防ぐ手段も完璧だ。
 更にはシオンの超聴力による「音」という観点からの警戒も怠らない。
 地下1階の殺人機械たちを破壊し、地下2階へ。
 此処も1階と然程変わりはない。ないが……1階と比べると、怪しげな機械の数が増えているだろうか?
 だが、今はそれに構っている暇はない。
「白銀骨格がどこにいるかはわかんねーが……まあだいたい最下層だろう」
「そうだろうね。たぶんそこがこの施設の中心地なんだろうし」
 シオンとイグナートは言いながらも、こちらに向かってくる殺人機械たちを見つけ戦闘態勢に入る。
「コャー。基本的に連中、頭悪いの」
 胡桃のこやんふぁいあ〜が殺人機械に命中し、イグナートの拳が殺人機械を叩き砕く。
「確かにこいつら、戦術ってもんをしらねーのだ!」
 ヘルミーネの氷結死世界とシオンのH・ブランディッシュが発動し、イズマの響奏撃・烈が殺人機械たちを揺さぶりトドメを刺す。
「見つけたら自動で迎撃する。そんな感じだな」
「このまま足を止めず進みましょう。それが最適解という気がします」
 世界とオリーブも頷きあうが……もしかすると、殺人機械たちには「侵入者を殺す」という最低限の機能さえついいていれば充分だったのかもしれないと、そんなことをイズマは思う。
 何しろ、此処は「白銀骨格」による超人計画の為の研究所だったであろうと考えられる場所だ。
 他のモノなど、それこそ最低限の機能があればよかったのだろうと考えるのは難しくない。
 そうして、3階に降りると……様相が今までとはガラッと切り替わる。
 多数のモニターと、機械群。
 中央の、丁度何か大人が1人収まる程度の窪みのある柱と。
 機械を操作している、1人の……いや、1体の「頭のない白銀色の骸骨」の姿。
「あれが白銀骨格……」
 呟きながらイズマは、ガストロリッターたちから聞いた「超人計画」の話を思い出す。
 全身の骨を白銀骨格と呼ばれる兵器に換骨し、それによって人間を超えた人間を生み出す計画。
 そういうものであったらしい。
(液体金属で人体を……? 鉄騎種と旅人を差し置いて実行するのは無理がある。失敗するのは自明だろう)
 だがそれでも古代文明はその計画を実行した。
 それに何らかの勝算を見出していたのだろう。
 そして……白銀骨格は、ゆっくりとイズマたちへ振り返る。
 その身体が、どろりと溶けて。
「『超人計画』だかなんだかしらねえが、昔の亡霊は今の世の中にはお呼びじゃねえんだよ!」
 シオンが一気に仕留めるべく黒顎魔王を仕掛けていく。
「へいへーい! 所詮は骨なのだ! ヘルちゃんの素早さには叶わないという事を教えてやるのだ!」
 そこに更にヘルミーネが白銀骨格の動きを妨害するべく襲い掛かっていき、そのまま白銀骨格との戦闘が始まっていく。
「これが最後の戦いです! ガストロ騎士団の力を……貸してくださいっ!」
「承知した」
 エアと共にガストロリッターたちが防衛布陣を敷き、万が一の乱入が無いように態勢を整えていく。
 そしてイズマの響奏撃・創が白銀骨格を貫けば、その姿はパラポラアンテナに変化し衝撃波をまき散らす。
「予備動作なしか……嫌になるね!」
 叫びながらもイグナートは覇竜穿撃を叩き込んでいく。
「だが、これなら勝てる」
 世界の「身軀を黒き呪に染めて」が白蛇を生み出し、胡桃のこやんふぁいあ〜が放たれる。
 この場の崩壊すら厭わないかのような白銀骨格の攻撃を凌ぎ、削り……やがて、ヘルミーネがついにトドメの一撃を放つ。
「我が幻視の魔狼の一撃を受けて逝くがいい!」
 その一撃……フェンリスヴォルフを受けた白銀骨格は力を失ったかのように溶け落ち、蒸発して消えていく。
 それと同時に遺跡内の電源が落ちる音が聞こえ、周囲が暗くなるが……フクロウの目の護符で暗視が出来ている胡桃は慌てずに明かりを用意し、ガストロリッターの面々も携行していたランタンに灯を入れていく。
「これで魔力不足にならないといいんだが」
「それは確認してみないと何とも言えない。だが遺跡自体の魔力もある。すぐに生育環境が大きく変わることはないだろう」
 イズマにガストロリッターがそう答えて。
 世界が周囲を見ながら「ふむ」と呟く。
「超人計画についての資料が無いか遺跡内を少し探索したいな。情報さえあれば今後の対策が多少は楽になるだろうし」
 まあ専門家でもないし、マナオレンジが俺を待っているので本当に少しだけだが……とそう言えば、ガストロリッターの1人が世界にランタンを渡す。
「あ、それなら俺も白いのがどういう由来のモノなのか手がかりがあるかちょっと探してみようかな? オレの分のオレンジも残しておいてね!!」
「そうだな。なにか情報がないか少し遺跡の中は調べてみるか」
 イグナートとシオンも頷き、遺跡の中を調べていく。
 機械のほとんども停止し、紙の資料があったとしてもとっくに風化している。
 何もないかと思われたが……どうやら超人計画にはまだ幾つかの研究成果があるらしいことが分かった。
 もっとも、それが現代まで何らかの形を残しているかまでは分からなかったのだが……。
 だがどうにも「人を人のまま全く別の何かに作り替える」という趣旨であることは確かなようだった。
 そして外に出たオリーブたちは、早速マナオレンジをもいでいた。
 爽やかな香りのマナオレンジは手に持っているだけで疲れが抜けていくような、そんな錯覚すら感じる。
「疲労回復の効果があるそうなので、この場で食べてしまいましょうか」
「喜んでいただきますの」
「そうしようか」
「念願のマナオレンジを頂くのだ!」
「では……いただきます!」
 オリーブに胡桃、そしてイズマもヘルミーネもエアも、一斉に口に入れて。
「うおー! うーまーいーぞ! こんなにうめーのにこれで美肌効果もあるってマジなのだ!? これは酒も進むのだ!」
 ヘルミーネは早速一杯やり始めているが……胡桃も、何度も頷きながら口に入れる。
 コレの為に来たと言っても過言ではない。
「とっても甘くて美味しいっ……。頑張った甲斐がありましたね♪」
 そんなエアの言う通り……苦労に見合う分はある、と。そう誰もが思ったのだった。

成否

成功

MVP

回言 世界(p3p007315)
狂言回し

状態異常

なし

あとがき

コングラチュレーション!
皆でマナオレンジを味わいました!

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