PandoraPartyProject

シナリオ詳細

うまーい! もう一杯!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 R.O.O、伝承の片隅。
 突然だが、此処に屋台がある。

「~~! 美味しい!」

 スティア(p3x001034)はホカホカのうどんを啜り、汁を飲み、ふうと息をつくと堪えきれないように笑みを浮かべた。
 ゲーム内で味覚まで精密に機能しているのは、マザーが其の役割を(十全とはいかないが)果たせているという事だろう。あれだけ敵対していた“兄”がいまでは甲斐甲斐しく彼女の世話をしているというのだから、心というのは判らない。
「そうかそうか。其の笑顔が一番の報酬じゃ」
 一方、屋台でうどんを茹でていた天狐(p3x009798)はうんうんと頷いて、矢張り食べて笑顔になってもらえるのはいいのう、と嬉しそうにする。
 其の後もうどんをずびずびとスティアは啜り、はふはふと熱さと格闘しながら食べ切る。矢張りうどんは熱いうちに食べるに限る。冷めても美味しいし、冷たければ冷たいほど美味しいうどんもあるけれど、こういう冬にはやっぱり暖かいうどんが食べたい!
「ちなみにこれは何が変化したの?」
「変化ではない! わし直々に作ったうどんじゃ!」
「え、ホントに!? 美味しい! てっきりモンスターかと思ってた!」
「ふっふっふ。わしは何故か調理スキルが高くての。 ……むう、しかし」
「?」
 天狐が難しい顔をする。
 どうしたのだろう? と器を置いてスティアが天狐を見詰めた。
「何かこう、革命が欲しい所じゃ。ドロップするうどんも作るうどんも段々パターン化してきたというか……もっと経験が欲しいのじゃけど、どう思う?」
「うーん。……じゃあ、色々食べ歩くとか?」
「ほう、食べ歩きとな?」
「うん。色んなお店のうどんを食べ歩いたら、何か発見があるんじゃないかなって。スランプに陥った時とか散歩すると良いらしいし。きっと今、天狐さんはスランプなんだよ」
「スランプ……ふむう。しかしわし一人では……」
「え?」
「え?」
 顔を見合わせる二人。
 スティアは『一人だなんて言ってないよ?』という顔をしている。
「一緒に行ってくれるのかの?」
「勿論! おうどん食べたい……じゃなかった、天狐さんのスランプと聞いては黙っていられないよ! 大切な仲間だからね!」
 ぐっと拳を握るスティア。こいつ、完全にうどんにハマったな……
 しかし仲間、と呼ばれた天狐は瞳を煌めかせていた。一緒にうどんの道を進んでくれる友がいる、なんと心強い事だろう! だが仲間は多ければ多いほど良い。

 美味しいうどん食べたい。

 其のワードに惹かれて来る同志はきっといるはず!

「おお! そうと決まれば仲間を募って出立じゃ! 聞き込みをして有名店に殴り込みじゃー!」
「おー!」
 かくして、『美味しいうどん食べようの会』は発足したのだった!

GMコメント

 こんにちは、奇古譚です。
 リクエストありがとうございます。
 うどん屋をー!! 捜すぞー!!

●目標
 うまいうどんを食べよう


 聞き込みをして絞り込んだ有名どころは以下の三店です。
 手打ちは当然のたしなみ。

★「美味」
 しっかりした生地に薄味の出汁が特徴の、オーソドックスなうどん店です。
 人気メニューは鍋焼きうどん。冬なので。

★「俺の麺」
 柔らかく、歯でぷちりと切れる麺にしっかりした出汁が決め手のうどん店です。
 うどんに様々なオプションを載せて、其の累計をお会計するスタイルです。
 人気なのはカレーライスと一緒に食べるやり方だとか。

★「看板のない店」
 店に入り席に着くと、まず出汁とうどんのみがそっと出される謎の店です。
 其れを食べきってから、木札に書かれたメニューを頼むことが出来ます。

★ほか
 天狐さんの能力がある為、モンスターを退治してうどんを食べるのもアリです。
 珍しいモンスターをハントする事でスランプを脱出するというのもOK。


 此処まで読んで下さりありがとうございました。
 アドリブが多くなる傾向にあります。
 NGの方は明記して頂ければ、プレイング通りに描写致します。
 では、いってらっしゃい。

  • うまーい! もう一杯!完了
  • GM名奇古譚
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2022年01月21日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

スティア(p3x001034)
天真爛漫
イルー(p3x004460)
瑞心
九重ツルギ(p3x007105)
殉教者
シュネー(p3x007199)
雪の花
アマト(p3x009185)
うさぎははねる
天狐(p3x009798)
うどんの神
いりす(p3x009869)
優帝
ヒロ(p3x010030)
子供の矜持

リプレイ


「うどんは美味しい」
 おっと、突然ですが『天真爛漫』スティア(p3x001034)の演説の始まりです。
「麺もそうだけど、お出汁も美味しい! お出汁なくしてはうどんはただの麺! 出汁と麺があわさって初めて“うどん”という料理になるんだよ! という訳で今日はうどんへの理解を深めるために食べ歩きしようと思うッッ!」
 おおー、とスティアの演説に拍手をする『雪の花』シュネー(p3x007199)ほか6名の面々。
「冷たくても、暖かくても、つるっともちっと美味しく頂ける、素晴らしい、お料理、ですね」
 『瑞心』イルー(p3x004460)が頷く。冷たいおうどんは、お出汁じゃなくておつゆで頂くけれど。其れも美味しい、ですよね。
「これでも鋼鉄北方では食通として知名度があるのですよ。食のご意見番として尽力いたしましょう」
 え? 厄介なエネミーを食い歩いてるヤバい奴? はっはっは。
 『殉教者』九重ツルギ(p3x007105)は笑顔を浮かべて『うどんの神』天狐(p3x009798)を見る。彼女の“能力”には実際、色々なクエストで世話になっているのだ。
「アマトは生まれたてのうどんが気になります。どんな状態で生まれるのですか?」
「んむ? 気になるか? お椀に入った状態でぽんっと生まれるのじゃ」
「わあ。アマトもお菓子を出せますが、甘いものはうどんに合いますか?」
「デザートとしては良いかもしれんが……いや! 麺ロードに不可能はない! スイーツを載せたうどんも考えてみるとするかのう」
 考える天狐を見つつ、『優帝』いりす(p3x009869)が一同を見回す。
「でも、全部を全員で回るのは……難しいですよね? 手分けして食べに行くのが良いかと思うんですが……」
「そうだね。8人が一斉にお邪魔するのはお店側もびっくりしちゃうだろうし」
 ふむ、とスティアが唸る。
「天狐さんと私は全部回るとして、何処か行きたい所ある?」
「わたしは“看板のないお店”が良いです」
「俺はオプションが気になるから“俺の麺”かな」
 『子供の矜持』ヒロ(p3x010030)がそっと手を上げていう。流石男の子。
「うむ! ではチーム分けじゃ! わしとスティア殿を軸に数人にわかれようぞ!」

 という訳で挙手とくじ引きの結果。
 “美味”にはツルギ、アマト。
 “俺の麺”にはヒロ、シュネー。
 “看板のない店”にはイルー、いりすが同行する事となった。

 モンスターからのうどんドロップ狙いは、危険を鑑みて全員で。
 という訳で、全員でのうまいうどん巡りは幕を開けたのであった。


●美味にて
「らっしゃっせー!」
 四人が店に入ると、威勢のいい声が出迎えてくれた。
「人気店らしく、矢張り混んでますね」
 ツルギが見回す。カウンター席は埋まっており、座敷席も盛況であった。
「いらっしゃいませ、何名様ですか?」
「四人じゃ!」
 人数を聞きに来た店員に天狐が答える。座敷が空いてますね、と店員が席を確認し、こちらへどうぞ、と案内する。
「座敷……正座とかする処ですか?」
「いえ! 当店の座敷は掘りごたつ式なので大丈夫ですよ!」
 店員の言う通り、テーブルの下は大きく掘り下げられたような形になっている。これなら正座に慣れていない者でも大丈夫そうだ。
「本日のおすすめは鍋焼きうどんとなっております!」
 案内してくれた店員が、ぱぱっと水とメニューを持ってきてくれる。
「鍋焼きうどんにします」
 はふはふふうふうしながら食べるのです、とアマトは挙手する。
「うむ、おすすめとあらば食べるしかあるまい!」
「私も鍋焼きうどんかな。でも量は少な目で……3店回るからね……」
「おや? 団体様用の鍋焼きうどんがありますよ。どうせ皆同じメニューを選ぶのでしたらこちらにしてみては」
 鍋らしく、皆でつついてみませんか。
 そういってツルギが示すのは、団体用の特大鍋焼きうどんだった。なるほど、こちらを選んだ方が個人個人で頼むよりリーズナブルかもしれない。
 否を唱えるものがいなかったので、ツルギは店員を呼んで特大鍋焼きうどんを注文する。どんなものが来るのだろう。天ぷらとか入っているかな? などと、お手拭きで手を拭きながら談笑していると、良い香りが漂ってきた。出汁の香りが満ちる店内においてなお、其の香りは鼻孔をくすぐる。これは濃いめの出汁。鍋焼きうどん特有の香りだ!
「お待たせしましたー! 特大鍋焼きうどん4人前になります!」
 重たそうに店員が鍋を置く。刻まれたネギに海老天、よく煮られた肉。うどんを隠すほどの具がちりばめられた鍋焼きうどんだ!
「わあー……! これは美味しそう! 海老天は一本ずつだね」
「そうですね。ああ……外は寒いんですよね。もう此処から出たくないです」
「何を言うですかおとうさま、次があるのですよ。アマトがあーんしてあげますので、元気を出して下さい。あーん」
「あーん」
 くるくる巻いて、出汁にひたひたに浸したおうどんをアマトがあーんしてくれる。此処は天国だ。やっぱり出たくないなぁ。そう思いながらツルギはうどんを咀嚼する。噛み切れそうでぷるりと噛み切れない、この感覚がとても良い。
「うむ、矢張り美味しい! 旬の具材を煮込んだ鍋に旨味を吸った麺が美味しくない訳がない!」
「本当だね~! この海老天も最高! 出汁を吸ってちょっと柔らかくなった衣が美味しい!」
 わいわいと、鍋を囲むように鍋焼きうどんを楽しむ一行。
 其のざわめきを聞いている他の客が、自分も、と鍋焼きうどんを頼みだす。人が美味しそうに食べてると、自分も試してみたくなるよね。
 そうして“美味”なる店の美味しいうどんを楽しんだ一行。さて、次の店は……


●俺の麺にて
「此処は自分でトッピングを選んだりするんだね。なんだか変わってるね」
「現実側にもある方式の店じゃな。何でも旅人が伝えたものであると聞いた事がある」
「おー、来た来た。お腹は大丈夫か?」
 ヒロが店の前で手を振る。席は取ってある、という彼は出来る男である。
 スティアは大丈夫! と胸を張った。涙を呑んで鍋焼きうどんを少なめに食べたのだから。
「うむ、では入るとしようぞ!」
 三人が入ると、其処は“美味”のようなオーソドックスなうどん店とは全く違う光景が広がっていた。カウンターは長く作られて、しかし客が座る為のものではない。最初にトレイを取り、トッピングを選んで取り、最後に希望のオプションとうどんを注文してトレイに置いて貰う先払いスタイルのようだった。
 席はテーブル席しかない。早速、とトレイを取る一同。
「俺は温玉ととろろ昆布、あと揚げ物かな……」
「あ、ヒロさんも? 私も温泉卵ととろろを入れようと思ってたんだよね! でも量は少な目で……」
「スティアさんもイケる口か。温玉がうどんに絡まるのがいいよな」
「そうそう……! とろろでちょっととろみがついたお出汁が……ん~~!」
「わしはやっぱりカレーライスかの。カレーうどんといえばうどんの中でも定番になりつつあるが、其れを別々に味わうというのをやってみたい……じゃが、二人が推す温泉卵ととろろも気になるので取っておこうかの」
 わいわいとトッピングを選ぶ四人。そしてカウンターに沿って進み、うどんをそれぞれ注文する。四人ともトッピングの味を引き立たせるそのままのうどん。スティアは冷たいものを選び、会計を済ませると席に着いた。
「此処はなんというか、セルフ方式なんだね。これはこれで、自分で選んだおうどん! って感じで良いかも」
「そうじゃの。……んん……カレーうどん、旨味に旨味を載せた、単純明快な……其れ故に根強い人気と強さを誇る一品。其れを別々に食べるという一種の贅沢感……成る程……」
「天狐さんの能力って、珍しいうどんとか出たりすんのか?」
「珍しいうどんとな?」
「うん」
 いただきます、と手を合わせてから、ヒロはまずうどんをそのまま頂く。
「色々変わり種のうどんってあるだろ? 汁粉の餅の代わりに入れるうどんとか、カルボナーラうどんとか……あとはそうだな……稲荷寿司のご飯じゃなくてうどん版とかさ」
「ほほう……!」
「ほほう……!」
 ヒロの並べるうどんに、天狐とスティアの瞳が輝く。想像しただけで美味しそうだ。いや、実際美味しい。特に稲荷にうどんを詰めたやつはコンパクトに食べられて美味しい。
「うむ、わしもまだ研究の途上ゆえ断言は出来んが……わしのアクセスファンタズムじゃから、わしの知らんうどんは出ぬのかもしれん。となれば、残りの一店を回ったらモンスターを狩ってみるとするかのう!」
「おー。俺はこの一店で腹一杯になりそうだから、適当に歩いて腹ごなししておくな」
「うむ! 宜しく頼むぞ!」
 おう、とヒロは頷いて、温玉をうどんに絡める。スティアもまたとろろと温泉卵をうどんに絡め、一口。美味よりは柔らかめのうどんに絡まった黄身ととろろが美味しい、と幸せそうな笑顔を浮かべるのだった。


●看板のない店にて
「なんだか、ドキドキします、ね」
 イルーは何も知らなければ通り過ぎてしまいそうな店の風貌を見ながら、胸元を抑えた。
「そうじゃの。うどんの香りがなければ気付かなさそうじゃ」
「……ホントに、お店なのかな……」
「一応人は入ってるみたいだね。行ってみよう!」
 不安そうないりすをよそに、わいわいと入っていく三人。お店か判らないのは不安だけれど、置いて行かれるのはもっと不安で、慌てて追いかけるいりす。
 店に入っても“いらっしゃいませ”の一言もない。ただあるのは店主の鋭い一瞥だけ。ひえ、と身をすくませるいりすをさりげなく護るように、イルーが前に出る。
「四人じゃ!」
「……座りな」
 だが此処で竦んでいても前には進めないのである。天狐が堂々と告げると、店主は短く返した。
 “俺の麺”とは逆に、此処にはカウンター席しかないようだった。たった一人だけ客がいて、隅っこでうどんを啜っている。静かな店だった。静かさを邪魔してはいけないような焦燥感に駆られて、そわそわといりすは最初の麺を待っていた。スティアとイルー、天狐を見ると、みんな楽しみそうに待っている。そわそわしないコツを教えて欲しかった。
「……」
 ことん、と四人の前にうどんが置かれる。半ばまで黄金色の出汁に浸かっただけの、とてもシンプルなうどんだ。
「ほう……」
「あ、凄く良い香り」
 天狐は唸り、スティアは香りで美味を知る。イルーはそっと箸をカウンターから取ると皆に配り、最初に箸を割った。
 器を両手に持ち、出汁を一口飲む。
「……!」
 程よく甘く、程よく辛い。そしてさっぱりとしていて、夏にも冬にも合う出汁だ。少し薄いような気もするが、カウンターには恐らくそう思った者のためなのだろう、醤油が置かれている。かけるのはなんだか勿体無い気がして、イルーはそのままうどんへと箸を進めた。
 其れはいりすも同じ。彼女には出汁の良しあしは良く判らなくて、兎に角“美味しい”という事しか判らなかったが――うどんはぷちり、と歯で切れて、でも噛むともちもちしている。今まで食べたうどんとは全然違う。これが“美味しい”うどんなのか……!
「……美味しい……」
「ええ。美味しい、ですね」
「これなら何杯でも食べられそう! あっ、もうない!?」
「うむ、うどんの基本を突き詰めるとこういう味になるのじゃな……この一杯に自信を持つ訳が判った。ふむ、次は何を頼もうかのう?」
 一同はくるり、と背後を見る。木札には様々なうどんの他にも、天ぷらやおにぎりなどのサイドメニューが少しだけ載っている。
「わしは天ぷらにしようかの。天ぷら一つ!」
「あいよ」
「季節のかきあげうどん、お願いします……!」
「あいよ」
「私は……そうだな、さっきのおうどんってもう一杯食べられますか?」
「あいよ」
 お嬢さんは、と鋭い目の店主がいりすを見る。びくっと怯えたいりすは、小さくなりながら小さい声で、小さめのうどんと掻き揚げを頼んだ。ネギをお願いします、と言い添える。七味も欲しかったが、其れはテーブルの上に置いてあるので大丈夫だろう。
「……すごいです。麺が柔らかくて、噛むとぷにぷにしてて、でも噛み切ろうって思ったらぷちんって切れます」
「そうですね……もう一杯、食べたい。そう思わせる何かが、ありますね」
「うむ……もう一杯、か」
「天狐さん?」
「いや……わしのうどんはドロップ品じゃが……もう一杯食べたい、そう思わせる何かはあったのだろうかとな……」
 天狐は黙考する。
 其の間にもうどんと天ぷらは届く。一同は言葉少なに、二杯目を食べ始めるのであった。



「という訳で、全部回り終わったわけじゃが……」
「みんな、お疲れ様。……スティアさんと天狐さんは、お腹は大丈夫ですか?」
「うん! 一応調整しながら頼んでたからね、大丈夫だよ」
「わしも無理はしておらんから大丈夫じゃ!」
「そうですか。……待っている間に考えて見たんですけど、柑橘系のモンスターを倒して、果肉や皮を擦り込んだ麺などは如何でしょう。俺にも一応料理の心得はありますので」
 腰に下げたフライパンを示して、ツルギが笑う。
「そう、ですね……新しさを求めるなら、斃した事のないモンスターを狙ってみる、とか、ありかもしれない、ですね。あとは……戦い方で何か変わるかもしれないし……」
 イルーが考える。うんうん、と頷くのはアマト。
「あと、アマトは誰かといっしょにご飯を食べるのが“美味しい”です。誰かが自分の為に食事の用意をしてくれるのが“美味しい”です」
「……わたしもそう思います。結局お店のおうどんを普通に堪能して出てきてしまいましたが…店主さんがわたしたちのために出してくれた、だからきっと美味しかったんだと思います」
「ナルホドな、心持ち次第ってことか」
 うん、と頷くいりす。ヒロが顎に手を当てて頷く。
「うむ……成る程なのじゃ。美味しく食べ歩いた、其れこそが今日の最大の収穫かの。食の道は奥が深い。だがやはり大前提として、美味しく楽しく食べられれば其れでよいのじゃ」
 天狐がそれぞれの言葉に頷きながら、今日という日を思い返す。
 鍋焼きうどんをにぎやかにつついた。トッピングでそれぞれの好みを楽しんだ。そして、ただ純粋に美味しいを追求したうどんを頂いた。
 其れ等を楽しんだ仲間がいる。其れが天狐にとっての大きな収穫。
「この麺ロードはまだ先に続いておる。ゴールはないに等しい。じゃが、歩み続ける事にこそ意味がある……! 果てがないからこそ、料理人として燃えて来るというものじゃろう! という訳で最後はモンスターをうどんに変え、わしからの“美味しい”を皆にプレゼントじゃ! ついてくるものはおるか!」
「私は勿論ついていくよ! これだけ美味しい一日だったんだもん、最後は運動して、そして最後にまた美味しい、じゃないとね!」
「変わり種が出るか確認したいしな、俺も行く」
「勿論俺は行きますよ。うどんに飽きたら洋の料理などいかがです?」
「行きます。食後の運動を、兼ねて、ですね」
「おとうさまが行くのでアマトも行きます。味覚的な“美味しい”が判るかも知れません。いりす様は?」
「い、いきます……! 動くのは得意じゃないけどもっ、このまま満足して終わりという訳にはいきません……!」
「総員一致じゃな! では……突撃じゃー!」
 何処からともなく現れた屋台を振り回しながら、天狐は走り出す!
 一行も其れに続く。そう、『美味しいうどん食べようの会』の活動はまだ――終わらないのだ!

成否

成功

MVP

スティア(p3x001034)
天真爛漫

状態異常

なし

あとがき

お疲れ様でした。
遅刻して大変申し訳ありません。お待たせ致しました。
うどんは……美味しいよね……! 奇古譚はお鍋の〆にうどん派です。
楽しく書かせて頂きました、ありがとうございました!
MVPはお腹の容量と戦い続けた貴方へ!

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