シナリオ詳細
北陽の照らせし暁の影
オープニング
●北陽の照らせし暁の影
鉄帝国北東部に広がりし『ヴィーザル地方』。
さらに北の海に面する地域にはフィヨルドが広がっており、氷河の侵食により海岸線は入り乱れる。
その様な土地であるからこそ、船がつけるのにも危険や苦難が伴う。
それでいて、船が着けられるような所には自然と人が集まる訳で……そこに街や村が自然と出来る。
しかしながら、そんな生活もこの極寒の冬となれば厳しいもので。
『……ふぅ……』
手を擦り合わせながら、北海の海を眺めているのは……頬をやせこけさせた妙齢の女性。
その傍らには、恐らく彼女の息子であろう少年。
『……おなか、すいたぁ……』
『ごめんね……きっと、もうそろそろ還ってくる筈だから……ほら、これを食べなさい?』
『干し肉……もう、飽きたぁ……』
『もう……贅沢言わないの。なら今日は、煮込んであげるから、ね……?』
『……うん、判った……』
こくり、と頷く少年。
この街に限らず、この北の海に面する街村に住む人々は、大体が同じようにひもじい思いをし、厳しい厳しい冬の刻間をじっと耐え忍び、来る春を心待ちにしていた。
……だが、そんな思いをする町の人達を食い物にするのは、さらに一際厳しい環境である筈の船の上で過ごす、鉄帝に贖いし『ノルダイン』に属する一族の『ゼルマノフ』一族。
『ククク……さぁてと、今日は……あの街がいいかねぇ……?』
『兄貴ぃ……いいでやんすね! 抵抗する奴らには死を! ま、食べ物を奪えば飢え死にするだけッスけどねぇ……ケケケ!!』
悪どい考えを抱きし彼らは、この北方海域で海賊及び略奪行為を繰り返し、己が命を悠々と繋げていく海賊達。
そんな彼らに目を付けられた者達は命を奪われる事となる……そんな北海の悪魔達は、今日も又略奪を繰り返して行くのであった。
●
「あー、イレギュラーズの皆さん! 今日はですね、極悪非道なノーザン・キングスをちゃちゃっと退治してきて欲しいのですよ!」
と、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)はローレットに居合わせた君達を見つけては、元気よく声を掛ける。
……そして、彼女の隣には、『蒼の楔』レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)。
「みんな集まってくれた様ですね。それじゃレイチェルさん、どうぞなのです!」
にこっと笑みを浮かべたユリーカにああ、と頷きながらレイチェルは。
「去年の今頃だったか……ヴィーザル地方の北海の辺りで、村や町に襲撃を仕掛けた輩がいてな。以前そいつらを仕留めてきたんだが、どうも同じような事をまたやり始めた奴らがいるみたいなんだ」
「本当はそーいう面倒くせぇ事には関わりたくないんだがよ……以前助けた村の奴らから、助けて欲しいって来たんだ。ま……困っている奴らを放っておくなんて、寝覚めも悪いしな。という訳で、皆の力も貸して欲しい、って訳なのさ」
「今回のノーザンキングスの奴等はよ、自分達を『ゼルマノフ』遺著奥と名乗り、船の上で生活を行うとともに、足りない資材や食べ物を村街を襲うことで手に入れる奴ら、だそうだ。幸い海の方から攻めてくる。それも日の光が丁度沈み始め、海が暁色に暮れゆく頃に襲撃を仕掛けてくる、って奴らの様なんだ」
「当然その陽射しがさしこめば、視界は赤くそまり制限される……地の利を活かし、電光石火の如く攻撃を仕掛けてくる様だから、その勢いを先ずは堰き止めるのがポイントだろうな……その勢いを止めれば、痕は船から下りてきた奴らを一匹ずつ、確実に仕留めていけばいいだろう」
と、そこまでレイチェルが言うと、ユリーカはうんうんと頷きながら。
「そうなのです。困っている人がいるなら助けるのはイレギュラーズとしての使命なのです! という訳で、皆さんよろしく頼むのですよー!!」
ニコニコ笑顔なユリーカに背中を押されるように……イレギュラーズ達は鉄帝国へと赴くのであった。
- 北陽の照らせし暁の影完了
- GM名緋月燕
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年12月28日 22時10分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●北陽の悪魔
鉄帝国北東部に広がるヴィーザル地方。
北の厳しい海に面するこの地域は、フィヨルドが広がり氷河が地形を侵略……海岸線が厳しく入り乱れており、中々船を着けることが出来ない、厳しい環境が続いている。
……そんな土地故に、この辺りに棲まう人々は苦難を強いらている。
勿論こんな環境だからこそ、町や村に棲まう人々の生きる糧を撮るのも一苦労。
男手達は荒れ狂う海へと漕ぎ出て、危険な目に遭いながらも村で待ってくれている者達のために、魚や海の幸を獲るのが日課となっていた。
……しかし、そんな日課をも妨げようというのが、この辺りに棲まうノーザンキングスに属する一派、『ゼルマノフ』一族。
「むむ……ノーザンキングスの荒くれ達が性懲りも無く略奪に来るんっすねー」
と『赤々靴』レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)が間延びした口調で言うと、それに頷く『蒼の楔』レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)。
「ああ。まさか……また『タタニアス』一族みたいな連中が現れるとはなァ……今回は『ゼルマノフ』一族って言うんだっけか?」
「そうっすよー。ノーザンキングスに属するのって、色んな名前あるんッスねぇ」
レイチェルに苦笑するレッド。
……そんな二人の言葉に『呑まれない才能』ヘルミーネ・フォン・ニヴルヘイム(p3p010212)が。
「全く……こういう馬鹿な連中が居るから、ノーザン・キングスが極悪非道とか言われるのだ! 奴らのような馬鹿以外にも、ノルダインには気の良い連中や誇り高い奴らも沢山いるのだ。こんな悪党ばかりじゃ決して悪いと言わせてほしいのだ!!」
興奮気味なヘルミーネ……一方で沈着冷静な『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)は。
「例え気が良くとも、鉄帝に刃向かい刃を剥けるのであれば粛清対象でしょう……違いますか?」
冷静ながらも、その言葉の裏にはどこかふつふつと湧き上がる思い。
……その思いにヘルミーネが。
「いや……確かに頭ノルダインなおかしい奴らばっかりだけど……それでもいい奴らは居るのだ! なので部族は違うけど、同じノーザン・キングス……ぶっ飛ばしてやるのだ!!」
拳を振り上げるヘルミーネに、『紅い怨念』イルマ・クリムヒルト・リヒテンベルガー(p3p010125)とレッドからも。
「そうだな。海賊風情が数を揃えたところで、一流の軍隊を気取れると思うな。最後に残るのは『殺す覚悟』、そして『殺される覚悟』がある奴だけだ」
「そうっすね。厳しい冬の中、生きるのに必死なところに悪さしようだなんて人達を懲らしめてやるっす!」
「ああ……ま、敵が誰で亞狼が関係ねぇ。村を守る。それがオーダーなら、完璧にこなそうじゃねぇか。という訳で父上、母上。わりぃが力を貸してくれ」
軽く頭を下げるレイチェル。
それに『紅獣』ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)と『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)夫婦は。
「ああ……何やら物騒な事になっているらしいしな?」
「そうだね。全く……多少力があるからって、好き勝手に略奪するのはどうかと思うぞ私は。しかし相変わらず鉄帝は食糧難なんだねぇ……うちの領地から多少は融通した方がいいのかな?」
「そうだな。まぁ最初の内は落ちついて食糧を配給している暇も無いだろうし、まずはレイチェルの言う奴等を倒さないとな」
「そうね。『正義の味方』らしくお仕事といきましょうか。うちの愛娘と、愛しの旦那様と一緒に、ね?」
片目ウィンクするルーキスに、頷くルナールと、視線を外すレイチェル。
そんな親子愛を横目に為つつ、『雷光殲姫』マリア・レイシス(p3p006685)は。
「皆厳しいのは同じ。辛いのも同じ。だからこそ、助け合うべきじゃあないのかい? それも戦う力がある者が無いものから奪うなんて……赦される事ではない! ぜったいに、村の皆を助け出す!! さぁ、皆行くぞ!!」
強く拳を握りしめたマリアに呼応し、そしてイレギュラーズ達は、厳しい生活をするその村へと急ぐのであった。
●傾暁
そしてイレギュラーズ達は、寒風の吹きすさぶ街へと到着。
今の所は、街にノーザンキングスの一味が攻め入っている……という訳ではなく、街に棲まう者達は平穏ながらも貧乏な状況。
手を擦り合わせ、寒さに震えながらもどうにか生き抜いている彼らを見ていると、少し胸が苦しくなる。
「うう……寒寒寒っ……防寒具を着てても寒いっすよ!!」
とレッドが悲痛な訴えを上げる横で、済ました表情なのはレイチェル。
「……ったく、生きるにも苦難しているのから物を奪い去っていくだなんて、人の心も持っていない奴らだな」
と吐き捨てるが、実の所は滅茶苦茶寒さに耐えていたりする。
勿論人によって寒さに対する耐性は違う所であろうけれど、それを上回る位の寒波がその地を襲っていたのだ。
「……大丈夫か?」
と、オリーブが寒がるレッドに声を掛けると、レッドは。
「だ、大丈夫っす……えーいっ!!」
そう言うと共に、雪の中を歩き安い靴の形状に変化させると共に、過酷な環境に対する耐性で寒さに抵抗。
「これでひとまず安心っすね!」
にっ、とVサインを出すレッド。
そんなレッドにヘルミーネも。
「すごいのだ! あ、シルヴァンスのニヴルヘイムたる者、これくらいの寒さどうってことないのだ!!」
ぐいっと、ゼシュテル・スピリッツを飲んで、過酷環境に対する耐性を手にする。
そう、自分達が寒がっているだけでは話は始まらない。
ともあれ、イレギュラーズ達が耐性を手に入れると共に、イレギュラーズ達は、そんな寒風吹きすさぶ街を走り、港へと駆けつけていく。
……丁度、漁に出ていた街の船が帰港するところの様で、船が沿岸につけようとしていた……その時。
『ヒヒヒッ!! それじゃあ今日は、あの船を餌食にしようぜぇ!!』
と、後方の海に漂う船から大きな声が響きわたり、針路を取る。
……そんな船の後方には、丁度沈む暁の陽射し。
水平線に沈みつつあるその陽光が船の影を覆い隠し、神々しさすら覚える。
「ううぅー……陽射しが眩しくて前が見えづらいっす!!」
とレッドは目を細めながらも、敵の船の方向を指し示す。
……そうしている間にも、ノルダインの船は距離を詰め、港に付けた船に更に橋を架けて、次々と乗り込んでいく。
勿論、街の船の乗組員達は襲い掛かってきた者達に恐怖を叫び、逃げ惑う。
「……全く……煩い奴らだ」
と言うと共に、すぐさま船へと乗り込んでいくオリーブ。
彼に続き、周りのイレギュラーズ達も次々と船へと乗り込み、町の人達との間に割り込む。
『ああん、何だてめえらはよぉ!! 邪魔すんじゃねぇ!!』
と睨み付け、武器を振り上げる彼ら。
だが、そんな彼らに更にレッドも加わり。
「はいストップ! そこにストップっす! 冬越しに生きるだけでも必死な街を襲うのはやめるっす! そっちは余裕満々で冬越し出来るんじゃないっすか? 悪い事言わないから引き下がるっすよ!」
と声掛け。
だが、彼らは。
『うるせぇ! 邪魔するんなら力尽くでぶっ潰すだけだ!! 死にたく無けりゃ去れや!』
やんややんやと声を上げる。
それを一瞥したルナールが。
「……あいつら、海賊か?」
と言う。
それにマリアが。
「そうだね。倒すべき相手……悪いが、村はやらせない!!」
と言うと共に、空を飛ぶと共に上空から射程ギリギリの所へ移動……そこから先手の雷鳴を注ぐ。
そしてルナールも。
「まぁ……襲われる方からすれば、略奪者でも碌でもない悪党な事に変わりは無いか。オーダーもこいつらを倒す事だったしな? なら仕事をこなすだけ……それと、たまにはうちの奥さんと娘に良い所見せないとな?」
軽く笑みを浮かべたルナールが武器を構え、敵に対峙。
それを敵対行動と認識為たようで、『ゼルマノフ』一族は武器を取り、一気阿世に攻め入り始める。
そんな敵の動きに、一際素早いヘルミーネが先手を取り、敵目前へ。
『っ!?』
その素早さに目を見張るが、ヘルミーネはそれを歯牙にも掛けず。
「わっはっはーっ! ヘルちゃんこそはシルヴァンスのニヴルヘイムの巫女ちゃんなのだー!!」
と、寒々としたこの地では厳しい一撃である、極寒地獄で敵を包み込んでいく。
その極寒に震えし彼らに、更にレイチェルが。
「ま、話しても解るような連中だとは思ってなかったしな。さっさと倒して行くとするか」
と吐き捨てるように己を鼓舞しながら弓を一射。
ぐぁっ、と悲鳴があがる敵、驚き顔が引きつる敵。
更にレッドが。
「ボクは命まで取らないっすよ。悔い改めて出直してくるっす!」
と言いながら、大きな旗を掲げながら攻撃。
「みんなも、ボクの旗が目印になるっす。ボクごと攻撃するといいっすよ!」
と、地平線に沈む暁の陽射しの中での目印隣、仲間からの攻撃を敢えて誘引。
「……判った」
頷くと共にオリーブが前進し、一番近くに立ち尽くす敵へ鉄帝国の渾身の武技の一閃を叩きつける。
加えてマリアも。
「本当、キミらにはお灸を据えてあげるよ! 見るがいい! 人為的に引き起こされる落雷をね!!」
と更なる雷鳴を敵の船に降り注がせていく。
雷鳴に左へ、右へと逃げ惑う中、イルマがその逃げ道を塞ぐが如く。
「どれだけ頭数が多かろうと、一匹たりとも生かしては帰さぬ。我が底なしの覚悟を見るがいい」
と言い放つと共に、自律自走式爆弾を敵船に投下。
次々と爆破し、船体が傷ついていく。
『くそっ……何なんだこいつらっ!!』
『判らねえ……でももう乗りかかった船だ、倒さん事には終わらんからな、ささと片すぜぇ!!』
と、イレギュラーズ達の攻撃に舌打ちを打ちつつも、まだ戦う意思は失っていない模様。
……そんな敵の動きをまずは観察していたルーキスとルナールが。
「まぁ……聞き分け良いなら最初の話の時点で聞いてるよね。娘も頑張ってるし、ぱっぱと始末しようか」
「ああ。んじゃ俺は前へ行こう。盾は本職じゃないが、こういう時こそ役に立たないとな?」
サムズアップし、ルナールが敵陣に突入、的を抑えるように立ち回ると、そこにルーキスが。
「領域拡大、対象指定……深淵に踏み込む勇気はあるかな? ノーザンキングス。まあ、NOと言われても引き摺り込むけど、ね」
と敵味方を識別しての、深淵の呼び声で敵を蝕む。
そんなイレギュラーズの一刻の内の猛攻の前に、敵陣はかなりの劣勢。
最初は格下相手と油断していて、実際の所歴戦の手練れ達という事もあるだろう。
ただ、最初の油断こそが命取り。
「戦に捧げたこの命、燃え尽きるまで断じて退かぬ。たとえ極寒地獄だおると、銃を持てる限り、この身が動く限りわたしの戦いは続く……」
静かなるイルマの宣告。
それと共にイルマのイェーガーが火を噴き、確実に一匹、二匹と仕留めていく。
そして仕留められた仲間に恐怖する彼らを、オリーブがその恐怖を刺激するが如く、更なる猛襲。
……そんなイレギュラーズ達の強力無比な実力に、一介のノーザンキングスの一族は満足に太刀打ち出来ず……街の人々の視線を背に、全てを倒して行くのdえあった。
●暁降る
そして……。
「……ふぅ。どうやら終わった様か……」
周囲を見渡し、倒れた【ゼルマノフ】一族達の姿に一瞥するレイチェル。
決して譲る様子を見せなかった彼らは、心の底まで略奪に染められてしまった者達……なのかもしれない。
そんな倒れたゼルマノフ達、一人一人に冥福を捧げるマリアと。
「……汝らの死出の旅路の先に、安息と救いがあらん事を」
と弔いの辞句を捧げるヘルミーネ。
彼らが略奪に身を包んでしまったのは、この様な厳しい環境に生まれ、それに解決の道を見出してしまったからこそ。
誰だって選択を間違うことがある……そういう意味では、彼らも被害者であるかもしれない。
そう二人が弔いの祈りを捧げている中、レイチェルは。
「あー……そうだそうだ。みんな、怪我してる奴はいるか? 俺、元医者だしなァ……出来る範囲で応急手当させて貰うぜ。ほら、手上げたりしてくれ」
護った街の人達の下へと向かい、そう周りの人達に声掛け。
足を挫いたり、怪我をしてしまった人がいれば、消毒して包帯を巻いたり……と、限られた資材の中で出来うる応急手当を施していく。
そんなレイチェルの動きを横目に見つつ、ルーキスとルナールの二人は。
「レイチェルも頑張ってる様だし、俺達は俺達で出来る事をするとしようか」
「そうだね。あ、レイチェルが風邪引かないように、アレ御願い」
「ああ、判った」
ルーキスに頷くルナール。
そして彼は村人達にせっせと対応しているレイチェルに近づく。
「……ん?」
その気配に気付いて振り返ったレイチェル。
その首にもう一巻き、自分のマフラーを巻く。
「な……!? 父上、何すんだよ!! 大丈夫だって、寒くねぇって!!」
慌てるレイチェルに、ははは……と笑いながらルナールが。
「うむ。わかったわかった。でもまぁ寒いし、冷えると碌な事にならんから、父のをしっかりと巻いておけー」
と笑い飛ばす。
……実の所、寒いのが大の苦手なレイチェル。
その服の中には……レンタルしてきたある物を着込んで寒さ対策をしてきたので、そんな父の心遣いは口には出来ないものの、どこか嬉しかったり。
ともあれ、そうルナールがレイチェルの防寒対策をしている最中、ルーキスはマリアと共に村長の下へ。
勿論村長は。
『本当に……助けて頂き、ありがとうございます……』
と深く深く頭を下げる。
……勿論村長も頬は痩せこけており、裕福な生活ではないのは明らか。
そんな村長に、ルーキスから。
「まずは無事で良かった。とは言え……かなり厳しい生活が続いているのは間違いない様だよね?」
『は、はい……恐れ入りますが……』
瞑目する村長、そこにマリアが。
「それなら……私達からもう一つ、手伝わせて貰えないだろうか? この一冬を越せるくらいの食糧支援位なら出来る」
と食糧支援を提案。
更にルーキスも。
「私からも、ささやかながら支援させて貰うよ。勿論対価は不要だ」
『え……それは嬉しいお話ではありますが、申し訳ありません』
「いいのさ……ほら、多少は鉄帝領の領主らしいことをしないと……ね?」
軽くウィンクするルーキス。
……そんな二人の言葉に、萎縮しながらその申し出を承諾する村長。
そんな一仕事を終えたルーキスたちが、再び村の外に出てくると、村人の治療を終えたレイチェルらの姿。
「……ふぅ、村人で怪我人はもういないよな? ……うん、なら良いか」
頷く彼女に、ルーキスがそっと近づき、ぽんっ、と背中を叩き。
「お疲れ。あれだけ極寒で動き回ったなら、カロリーいるでしょう?」
「んー……確かに腹減ったなァ」
「うんうん。奥さん、家に帰ったら暖かいコーヒーとクッキーが欲しいんだぞー?」
「コーヒーじゃなくて、ホットココアにしなさい。クッキーはストックがあるからね」
笑い合いながら会話している三人に、レッドが。
「んー……夫婦っていいっすよねー……」
心ほわほわ、寒風の中に暖かいのを感じ、そして周りの仲間達も一時の安心の感情を抱く。
そして……イレギュラーズ達は、村人達を気に掛けつつ、村を後にするのであった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
ノーザンキングス以来に参加頂き、ありがとうございました!
厳しい土地ですが、皆様のおかげで少しだけではありますが、元気付けられると共に、その命が救われたことでしょう……。
GMコメント
皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
今回の依頼……度重なるノーザンキングスの悪事を止める依頼となります。
●成功条件
敵の『ノルダイン』の『ゼルマノフ』一族を倒す事です。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
●周りの状況
陸地側は深い雪に包まれ、極寒の気温となっていますので、防寒具は必須です。
敵は海側の方から攻め込んできますが、丁度陽射しが水平線に沈む頃……暁が視界を覆い、かなり視界は悪い状態となります。
とは言え敵側は忍ぶような事は無いので、攻め入る時を察知する事は簡単でしょう。
ただ、数で攻めてくる上に、街村の襲撃を主眼に置いている敵軍なので、周囲への安全確保も重要なポイントになります。
●討伐目標
『ゼルマノフ』一族は、海賊一味が50人程です。
武器はバラバラ(色んな所から奪ってきたものを武器にしてる)ですが、人の物を奪う事を重視しており、それらの武器を上手く使ってきます。
ノーザンキングスに属する者とは言え、その実態はイレギュラーズの皆さんとは違い、腕っ節が強い『人間』で、徒党を組んで攻撃してくる事となります。
一人突出すれば、敵全員から集中砲火を受けてしまう可能性は十分にありますので、ご注意下さいね。
それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。
Tweet