PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<ダブルフォルト・エンバーミング>再現性東京2010:高圧苦リーニング開始

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●緊急と救急
「洗浄ヲ開始シマス!」
「洗浄ヲ開始シマス!」
「洗浄ヲ開始シマス!」
 病院の敷地内に乗り入れた救急車は、唐突に周囲から放水を受けた。
「うわ、なんだ……?!」
 車両を運転する救急隊員は、予期せぬ事態に声を上げた。
 四方からの大量の放水によって、不鮮明になる窓からの視界。それでもなおよく目を凝らせば、車両に向かって放水を続ける者の正体が浮かび上がる。
 救急車を取り囲んでいたのは、自走式の高圧洗浄機だった。止まらない放水により急患を降ろすこともできず、車内の隊員たちは困惑していた。その時、病院側からの連絡が舞い込む。
「原因はわからないのですが、自動洗浄機が暴走してしまって……私たちも外に出られない状況なんです。ここで患者を降ろすのは危険です!」
 暴走し続ける多数の洗浄機は、対象を問わず病院の敷地内を洗浄して回っていた。

●洗浄と砲撃
 暴走したマザーの影響により、セフィロトの管理運営システムは著しく低下していた。各所でロボットや兵器の暴走が誘発され、練達内は災害規模の騒乱に見舞われていた。
 『佐伯研究所』の紅宵 満月――本名は『ゲーム研究室主任』陽田 遥(p3n000155)も対応に追われ、招集されたイレギュラーズに慌ただしく救援を求めてきた。
「さ、早速だけど、ここの病院で高圧自動洗浄機が大変で、皮膚がずる剥けるかもしれなくて――」
 伝えたいことをまったくまとめられていない満月は、更に資料として配ろうとしていた地図をばらまく。火急の事態が続き狼狽えていた満月だったが、間もなく落ち着きを取り戻す。
「し、失礼したよ。皆には、地図に示してある病院に向かってほしいんだ――」
 希望ヶ浜に位置する病院が救援を求めているというのだが、20体の洗浄ロボットの暴走により、急患を受け入れることも敷地内から出ることもままならない状況であることが確認されている。
 洗浄ロボットとは――満月はその見た目をタブレットの画面に示した――全長1メートルほどのジョウロ型のロボットで、車輪がついた自走式高圧洗浄機である。
 高圧洗浄機といえば――練達に縁のあるものならば、テレビショッピングとやらで出演者の大仰なリアクションと共に紹介されている商品として馴染みがあるだろう。主に壁面とか車を洗うための道具である。
「知ってる? 高圧洗浄機って、放水するだけで木の皮がむけるんだよ」
 「そんなものを人に向けるなんて、危険に決まってるよね??」と満月は念を押した。
 洗浄ロボは病院の敷地内を巡回し続け、あらゆる物を洗浄対象として捉える。現在は病院の敷地内に留まっているが、そこから移動しないとも限らず、屋外から院内に侵入する恐れもある。被害が拡大する前に排除することが急務である。
「ロボットの攻撃手段は高圧放水な訳だけど、敷地の西側には給水のための貯水タンクがあるんだ。タンクを破壊して給水する手段を断てば、ロボットをほぼ無力化できると思うよ」
 一通り説明を終えた満月だったが、手にしたタブレットを睨みながら操作する手を止めることはなかった。満月は一層険しい表情を覗かせて顔を上げると、状況が更に悪化していることを告げた。
「と、とにかく、急いで向かって! 暴走している多脚砲台の進路上に、病院がある……病院から避難するのが難しい人もいるかもだし、はやく止めないと!」




GMコメント

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●R.O.Oについて
https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline

●R.O.O-patch 4.0『ダブルフォルト・エンバーミング』
https://rev1.reversion.jp/page/roo4event

●成功条件
 暴走したロボット、兵器、計23体の破壊。

●戦闘場所について
 希望ヶ浜にある昼下がりの某病院。
 病院の正面入り口は南に面していて、東と北側には広い駐車場ががある。西側は芝生や花壇が整備された敷地で、洗浄ロボのための貯水タンクがある。
 病院周辺の避難は完了しているが、病院内に取り残され、籠城する職員や患者は多数いる。

●敵について
 洗浄ロボ20体、多脚砲台3体の計23体。
 洗浄ロボは高圧放水による攻撃(物中単)を行うが、攻撃できる回数には限りがある。給水が必要になったタイミングで貯水タンクへと向かう。また、あらゆるモノを洗浄(攻撃)対象として捉えるため、イレギュラーズだけを追いかけるとは限らない。
 貯水タンクを破壊するのは、洗浄ロボすべてを倒すよりも時間はかからないが、それなりに硬い。
 多脚砲台は、イレギュラーズが病院に到着したタイミングから5分ほどで敷地内に侵入する見込みである。大型トラック並みの大きさで、クモのような形状をしている。連射砲(物中列)、エネルギー砲(神遠貫【業炎】)による攻撃を行う。


 個性豊かなイレギュラーズの皆さんの参加をお待ちしています。

  • <ダブルフォルト・エンバーミング>再現性東京2010:高圧苦リーニング開始完了
  • GM名夏雨
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年12月20日 20時50分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
マルク・シリング(p3p001309)
軍師
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
藤野 蛍(p3p003861)
比翼連理・護
桜咲 珠緒(p3p004426)
比翼連理・攻
天城・幽我(p3p009407)
孔雀劫火
唯月 清舟(p3p010224)
天を見上げる無頼
シオン・シズリー(p3p010236)
餓狼

リプレイ

 練達の各所で見られる機械の暴走。その事態に巻き込まれた病院の危機を救うため、イレギュラーズは現地に駆けつけた。
「なんじゃ、けったいな絡繰じゃのう」
 イレギュラーズの1人である唯月 清舟(p3p010224)は、遠目に見える複数の自走式高圧洗浄機――ジョウロ型の洗浄ロボを目にして言った。その洗浄ロボたちは、駐車場にまばらに並ぶ車に放水を続け、すべての車の汚れを落とし切ろうとしていた。
「すごい、隅々まで綺麗になってる……」
 ――機械の暴走で無差別でなければ歓迎されるべきことなんだけどな。
 一際白さが目立つ病棟の壁を間近で見て、『孔雀劫火』天城・幽我(p3p009407)はつぶやいた。敷地内に踏み込んだイレギュラーズの存在を認識せず、車の洗浄を続けている洗浄ロボに幽我は視線を戻す。
「ちゃんと動いていれば便利なのだろうけれど、ね」
 マルク・シリング(p3p001309)は他の洗浄ロボの姿を確認できないか周囲を見回しながら、幽我と同様の意見を示した。
 幽我と『比翼連理・攻』桜咲 珠緒(p3p004426)は鳥型の使い魔――ファミリアーを上空から旋回させ、病院の敷地全体の状況を把握する。
 マルクは紙人形である式神を操り、洗浄ロボの注意を引きつけるように行動させる。
「小細工だけれどね。釣れたら儲けもの、だ」
 そう言って、マルクは浮遊しながら移動する式神を見送る。
 式神は病棟の正面入り口から洗浄ロボを遠ざけようと動き、付近を巡回していた何体かの洗浄ロボは式神の姿を捉えて動き出す。また、マルクは幻影を作り出す能力を駆使し、病棟の壁に密集する虫などを追うように洗浄ロボのセンサーに働きかけた。
 洗浄ロボを分散させることで、イレギュラーズ一同は戦場の掌握を図る。
「洗浄ヲ開始シマス!」
「洗浄ヲ開始シマス!」
「洗浄ヲ開始シマス!」
 狙いをそれた5体のロボットは正面入り口付近に集い、防衛線を張っていたイレギュラーズに向けて放水を開始する。
 取りつけられたノズルから大量の水が一気に噴射されるが、その場から散開するイレギュラーズは放水をかわす。
 風に乗って舞い散る水しぶきを感じながら、『流麗花月』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)は刀を構えてつぶやいた。
 ――怪我をするのは何時もの事。そこはいいのだが。
「この季節に、大量の水を浴びるのは御免被りたいな。風邪を引いてしまうぞ?」
 自在に回転するロボットのノズルの先端は目まぐるしく動き、フェイントも織り交ぜた俊敏な動作で迫る汰磨羈を捉えようとする。
 空間すらも歪める汰磨羈の剣技は、ロボットの距離感を狂わせることでその一太刀を見舞う。刀の形に沿って変形したロボットは、火花をあげながら四輪のついた体を後方へ滑らせた。
 他のロボットも続々と放水を開始するが、イレギュラーズは放水の動きを見切り、四方から攻めかかる。
 ――なるほどね、どこもかしこも機械だらけだから、いざってときにはこうなるってワケか。
 冷静に放水のタイミングを見極めながら、『餓狼』シオン・シズリー(p3p010236)は心中でつぶやいた。
 シオンは連続で突き出す短剣の切っ先で相手を穿とうと、激しい攻勢で臨む。
「まあ、遠慮なくぶっ壊していいってんなら、やらせてもらうぜ!」
 人間を対象とした洗浄能力は凶器と化すが、戦闘に特化している作りではないロボットは容易く横転する。
 『“侠”の一念』亘理 義弘(p3p000398)は、正面入り口付近にロボットが集中するのを防ごうと、駐車場側に見えるロボットの群れに向かっていく。
 ロボットの群れに突入した義弘は、力強い回し蹴りを放つことで暴風を発生させる。暴風に巻き込まれたロボットは、車輪を回転させながら駐車場の上を滑り回る。ロボットたちは勢いよく吹き飛ばされたが、義弘を洗浄対象と捉えて放水を開始する。
 義弘はロボットに対し強靭な拳を突き放ち、機体のすべてを破壊し尽くす様を盛んに見せた。義弘は攻勢を崩さないよう立ち回りつつも、常に周囲の状況を把握するために神経を尖らせる。
 病棟の正面側でも交戦が続き、自らの能力を発揮する『比翼連理・護』藤野 蛍(p3p003861)の周囲には、桜吹雪と火の粉が激しく舞い踊る。その光景に気を取られたように、ロボットには大きな隙が生まれた。その隙を誘引した蛍は、機体を寸断しようとロボットへ斬りかかった。
 戦闘に特化した動きとは言えないなりにも、ロボットは絶えず放水を続けることでイレギュラーズの攻撃を妨げる。
 珠緒は蛍と連携して洗浄ロボの一掃を図る。蛍に引きつけられているロボットの1体に対し、玉緒は果敢に攻めかかる。あらゆる速さを凌駕する玉緒は、その動きから赤い閃光と化してロボットの機体を激しく突き飛ばした。
 粉々に弾け飛んだロボットには見向きもせず、残る2体のロボットは「給水ヲ開始シマス!」という文言をひたすら繰り返して移動を開始する。
 マルクは激しく瞬く光の奔流を操り、そのロボットたちに向けて放つことで追撃を開始する。また、シオンは給水に向かうロボットの動きに合わせ、貯水タンクが設置されている方角へといち早く向かった。
 蛍、玉緒、汰磨羈、清舟の4人は正面側に残り、更に姿を見せたロボットの群れに対処しようとする。
 ――……こりゃ手間だわ。儂らの方に目を向けさせんと、中に入られたら厄介じゃ。
 「洗浄ヲ開始シマス!」という文言が遠くからこだますのを認め、清舟は決して病棟内に踏み入らせない覚悟で拳銃を構え直した。
「鬼さんこっちじゃ、銃鳴る方へ!」

 貯水タンクの破壊を試みようと、幽我はファミリアーを駆使してタンクの設置場所を把握し、率先してその場所に向かった。
 駐車場に集中しているロボットを避けられるルートを進み、幽我は花壇の横に設置されたタンクを見つけた。四方2メートルほどのタンクには、給水のための接続機構が備わっていることが確認できる。
 幽我は迅速にタンクを破壊しようと、炎の力を操る自身の能力を最大限に引き出す。幽我がタンクに向けて放った業火の一撃は、被弾した箇所を中心に大きな焦げ目を作った。高温によってその表面はわずかに変形している。より致命的な損傷を与えるため、幽我は一層力を集中させようとした。
 タンクへのダメージを蓄積させることに傾注していた幽我だったが、遠くから響く機械的な音声に耳を傾ける。それが聞こえた方向には、ロボットを追跡するマルクとシオンの姿があった。幽我は、更に北側からもタンクを目指して走行するロボットの列を捉えた。
「給水ヲ開始シマス!」
「給水ヲ――」
 南側からやって来たロボットは、まるで幽我を認識せずにタンクへと接近する。
 シオンは容赦なくロボットの背後に飛びかかり、短剣から放つ刺突で勢いよくロボットを弾き飛ばした。そのままアスファルトの上を転がったロボットは、火花を上げながら停止した。
 マルクも正確に狙いを定め、給水しようとしていたロボットに向けて攻撃を放つ。マルクから放たれた光弾は、苛烈な一撃となってもう1体のロボットを吹き飛ばした。
 幽我はマルクやシオンらと共にロボットへの攻撃を展開しつつ、同時にタンクの破壊を実行する。
 給水のサインを点滅させるロボットは、イレギュラーズの存在よりも給水を優先させ、イレギュラーズを押し退ける勢いでタンクのそばに向かおうとする。
「給水ヲ開始シマス!」
「給水ヲ開始――」
「――開始シマス!」
 ロボットはマルクを囲むようにして、立ち塞がるマルクの脚に繰り返し機体をぶつけてきた。たまらずマルクはロボットたちを飛び越え、包囲を突破する。
 すでに計8体のロボットたちがその場に集結しており、シオンや幽我もマルクと同様に押し退けられようとしていた。

 マルクは携えていた杖を構え、皆の傷を癒やすことで巻き返しを図る。マルクが発揮した癒しの力は、マルクを中心にして光の輪のように広がった。
 バックアップを努めるマルクに後押しされ、幽我やシオンはロボット諸共タンクを破壊することに集中する。
 強烈な勢いで炎を放つ幽我の攻撃に加え、シオンは漆黒のオーラを発現させる。魔王そのもののオーラを放つことで周囲のロボットを一掃し、巨大な牙を現したそのオーラをタンクへと叩きつけた。
 タンクにはいくつかの亀裂が生じ、水が徐々に漏れ出していることが確認できた。耐火性も備え、あらゆる衝撃に耐えるメイドイン練達製品――タンクの破壊に全力で挑む3人に対し、ロボットは鋼鉄の機体による体当たりを繰り返し、タンクに接近しようとするのを諦めなかった。
 「給水ヲ開始シマス!」という機械音声がけたたましく鳴り響く最中、唐突に響いた銃声がその音声をかき消した。
「ほれほれ、こっちじゃ! 水の代わりに受け取りな!」
 駆けつけた清舟は銃撃と共に現れ、貫通する弾丸で一挙にロボットらを停止させた。清舟がロボットらを抑え込んでいる隙に、幽我は自身の魔力を研ぎ澄まし、より強力な炎をタンクに向けて放った。

 駐車場側のロボットたちが一斉に給水に向かったのを機に、義弘は病棟の正面側で交戦する者らと合流し、残るロボットの一掃に当たる。
 俊敏な動きでロボットらの放水をかい潜る義弘は、その1体に向けて正拳突きを放つ。走行していたロボットはわずかな差で拳に触れていなかったが、義弘から放たれた気の力によって盛大にクラッシュした。
 汰磨羈はロボットのノズルごと機体を斬りつけることで、確実に対象を仕留めていく。珠緒と蛍も互いの行動を補うように連携を重ね、ロボットの数を減らすことに尽力していた。
 残る3体のロボットと対峙する最中、その場の4人は微妙な振動、地響きを感じ取った。特にファミリアーを通して上空からの監視を続けていた珠緒は、
「多脚砲台が、間もなく到達します!」
 多脚砲台がまっすぐ病院に向かっていることをいち早く告げた。

 タンクの全壊は免れない状況となり、半数のロボットが動きを停めた時――幽我も鷹型のファミリアーを通じて3体の多脚砲台を捉えた。幽我から状況を確認したマルクは、多脚砲台が接近を続けている方角へ先行して向かった。
 3体の多脚砲台は、病院の門の一部などを破壊しながら病院の敷地内に踏み入った。クモのような脚で砲身が備えられた機体を支え、多脚砲台は駆動音を響かせる。無機物以外の目標を探すように、多脚砲台は頻りにセンサーライトを点滅させていた。その範囲内に飛び込む影を認識した瞬間に、多脚砲台の内の1体――多脚砲台Aはまともに衝撃を食らった。
「病院へ進攻するようなポンコツは、この場でスクラップにしてやろう!」
 多脚砲台Aの前脚部分の関節を斬りつけた直後、汰磨羈は言い放った。
 多脚砲台Aは関節から火花を散らし、大型トラック並みの巨大な機体をぐらりと傾かせる。一時後退する多脚砲台Aの動きに合わせて、BとCは迅速に攻撃を展開する。砲身の動力部を一斉に回転させ、汰磨羈に向けて射撃を開始した。
 土煙を散らし、アスファルトを砕く弾丸の連射が汰磨羈を追尾していく。だが、汰磨羈は大きく空いた機体の下の隙間に滑り込み、その向こうにすり抜けることで射撃から逃れた。
 長い脚を1歩ずつ動かし、その機体をゆっくりと回転させる間にも、多脚砲台に向かって突き進む義弘の姿があった。最も殴りやすい脚部分を捉えた義弘の拳は、多脚砲台Bの機体を大きくぐらつかせた。
 義弘と汰磨羈の2人から距離を取ろうと、多脚砲台は補助発進装置であるブースターを一気に稼働させる。凄まじい風圧で視界を保つことを困難にさせ、多脚砲台Bは左右片方の砲身、エネルギー砲の充填を開始した。
 義弘と汰磨羈はブースターから生じる風圧にも耐え抜き、エネルギー砲から発射される攻撃から身をそらす。エネルギー砲を向ける多脚砲台は何か所も地面を吹き飛ばし、反撃の動きを封じにかかる。
 強力な武器で対抗し、暴走する多脚砲台。病院関係者を守るため、マルクは多脚砲台を敷地内の端で食い止めようと、その不意を突いて攻撃を仕掛ける。
 自らの魔力を引き出すマルクは意識を集中させ、その全身を光で包み込む。マルクが発現させた光に多脚砲台Bが注意を向けた瞬間、電磁波を伴う熱源がマルクから放たれる。攻撃を受けた多脚砲台Bは激しく火花を散らし、マルクはその強力な魔力によって砲撃を中断させた。
 残された洗浄ロボットの始末を任されていた珠緒とホタルも、多脚砲台を迎え撃つために駆けつける。
 ――病院の設備が壊されでもしたら、直撃でなくても患者さんの命に関わります。
「蛍さん、急ぎ対処しましょう!」
 そう言って声をかける珠緒は、蛍と共に攻撃の構えを見せる。
「ええ、一刻も早く病院の人達を安心させてあげないと!」
 ――無機物の貴方達にはわからないかもしれないけど、守るべきものがあると人はどこまでも強くなれるって、教えてあげるわ!
 蛍も珠緒に呼応し、体勢を崩しかけている多脚砲台Bに即座に狙いを定めた。
 蛍は珠緒への攻撃をカバーすることに専念し、珠緒は義弘や汰磨羈に対する援護に傾注することができた。珠緒を中心にして広がる光の波動が機体に達すると、多脚砲台Bはその聖なる力に打ちひしがれたように地面にくずおれた。
 破裂音と共に黒煙を上げる多脚砲台Bの影からシオンは飛び出す。マルクから託されたタンクの破壊を完遂させたシオンは、その勢いのままに自らのオーラを発散させた。
「とっととぶっ壊れろ!」
 衝撃波となって多脚砲台Cを襲うシオンの攻撃は、その機体を押し返すほどの威力を見せた。
 多脚砲台を相手に立ち回るイレギュラーズは、射線上に病院施設を捉えることがないように攻撃を畳みかける。
 病院前は激戦の渦中と化し、シオンと共に多脚砲台に挑む者らと合流を果たした清舟も、懸命に多脚砲台を迎え撃つ。
 繰り返される斉射によって撃ち砕かれ、無数のアスファルトの欠片がバラバラと散らばっては視界を過る。
「こいつも殴ってでも止めてやらんとな!」
 拳銃を構えた清舟は気炎をあげ、続けて多脚砲台Cに向けて引き金を引いた。
「悪ぃがばらばらになってくれや!」
 パーツの隙間を縫うようにして機体を撃ち抜く清舟の弾丸は、内部の基板や回路に確実にダメージを及ぼし、多脚砲台Cの動きを鈍らせていく。
 一方で、幽我は数十メートルほど離れた病棟の屋上から多脚砲台を狙撃する。多脚砲台の砲撃を阻害する幽我は、絶妙なタイミングで魔弾を放ち続けた。幽我の狙撃に対し、多脚砲台Cは再度ブースターを利用して機体を急回転させた。義弘は即座の判断で接近し、病棟に砲身を向けた多脚砲台Cに拳を振り向ける。
 多脚砲台Cは一瞬の間砲撃を開始したが、それ以上の攻撃をイレギュラーズが許すことはなかった。一挙に脚の一部をへし折る義弘に続き、汰磨羈の刀は多脚砲台Cの機体に深い亀裂を刻んだ。
 砲撃によって最上階付近の一部の外壁や窓が損壊したのを認めつつ、義弘はつぶやいた。
「やれやれ……これ以上暴れさせる訳にはいかねえな」
 煙と爆炎をあげて沈み込む多脚砲台Cを停止させ、イレギュラーズは更に多脚砲台Aを追い込んでいく。四方八方からの攻撃に対処し切れず、多脚砲台Aもスクラップになる運命をたどる。
 あらゆる攻撃に耐えてきた多脚砲台Aの機体は大きく傾き、遂に動きを止めた。
 病院を脅かす危機を退けたイレギュラーズは、目の前の課題を解決できたことにひとまず安堵する。しかしまた、どこか遠くから聞こえる破壊音――騒乱の気配を感じた。暴走するマザーは、どこまで練達内の騒乱を激化させるのだろうか――。

成否

成功

MVP

マルク・シリング(p3p001309)
軍師

状態異常

なし

あとがき

ご参加ありがとうございました。

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