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シナリオ詳細

猫キャラバンの冬~にゃんでぃーねの儀式~

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●猫キャラバンの噂
 ラサの砂漠には不思議なものがたくさんある。
 それは不思議なダンジョンであったり、謎の品を売る隊商であったり。
 本当か嘘か、砂を纏い飛ぶ黄金の鳥を見たという者もいる。
 語るだけで千と一の夜を越えると言われるラサの不思議な話。
 その中の1つに「猫のキャラバン」なるものがあるという。
 猫だ。
 猫の獣種ではなく、猫だ。
 馬が無くとも走る不思議な馬車に乗り、猫のキャラバンは旅をしているのだという。
 誰も人が居ないような小さなオアシスで、その日一日、ゆったりと宴会をするのだという。
 何か珍しいものが売っているわけでもない。
 価値としては然程でもない。
 というか、そもそも市ですらない。
 たぶん何か別の噂が混ざってる気がする。
 ただ、オアシスで猫がまったりしてるだけの、そんな空間。
 しかし、その猫たちとは意思疎通が可能だという噂がある。
 しかしそんな猫たちと話が出来て、まったりできるだけの……そんな空間。
 それをあるいは至上の幸せと呼ぶ者も、いるのではないだろうか?
 ……そして、だ。
 その猫キャラバンには守護者と呼ばれる巨大猫がいるという。
 炎の神獣、にゃふりーと。
 あらゆるものを焼き尽くすにゃふりーとの力も、寒い冬は別に威力は落ちないけど元気がなくなる。
 そこで、冬を担当する神獣にして守護者がいるという。
 その名は……。

●その名はにゃんでぃーね
「というわけで、お前等のことを引継ぎしておきたいにゃ」
 夜乃 幻、ゲオルグ=レオンハート、エドワード・S・アリゼ。
 彼女たち3人が肉球封蝋の手紙で呼び出された場所に、小さなにゃふりーとが浮かんでいた。
 その姿を見た幻が雷に撃たれたように固まっているが、ゲオルグも気持ちが分かるので黙っていた。
「引継ぎって……なんでだ?」
「平たく言うと、今後猫キャラバン絡みで何かあった時の為の顔合わせにゃ。アイツは結構ツンツンしてるから最初に紹介しとく必要があるにゃ」
「……それをしないとどうなる?」
「下手すると一生氷からでれねーにゃ」
 なるほど、と頷くゲオルグ。確かにそれは大事なことだろう。
「で、具体的にオレたちは何をすればいいんだ?」
「バトルにゃ」
「バトル!?」
 頷くと、にゃふりーとは8枚の招待状を取り出す。
「この無記名招待状にそれぞれの名前を書いて、ラサに来るにゃ。そうすれば、にゃんでぃーねの奴が迎えに来るにゃ」
「迎えに……それは、まさかとは思うんだが」
「猫の国にゃ。他の人間には秘密のご招待にゃ」
 器用にウインクをするにゃふりーとに幻の身体が振動でぶれ過ぎて分身し始めていたが……たぶん、また本人の記憶には残らないと思われた。
「あ、もし関係者でどーしてもっていうのがいるなら、自分の名前の横にそいつの名前も書くにゃ。それでいいにゃ」
 それと、とにゃふりーとは言う。
「現場ではちょっとだけ力も貸してやるにゃ。限定1人にゃ、しっかり相談するにゃ」
 万物を燃やし尽くすにゃふりーとの力を借りられる。
 それは少しばかり……凄そうな気がしていた。
 だが、猫の国。それがどんな場所かという想いは、それを超えるものであった。
 渡された8枚の招待状は、その猫の国への入場券なのだから。

GMコメント

猫がいっぱい猫の国。そのヘヴンはラサの何処かにあるという。
皆で猫に埋もれに行こうぜ! そんなシナリオです。
本シナリオは水の神獣「にゃんでぃーね」との模擬戦と猫の国での歓迎会の2本立てでお送りします。
猫の国での歓迎会は全長4Mの巨大猫にゃふりーととにゃんでぃーね、その他言語を理解し操る猫たちとのパーティです。
歌って踊って食べて飲んで楽しみましょう。猫の舞踊りは乱入可能らしいです。

そしてにゃんでぃーねとのバトルは特殊ルールが適用されます。
会場はしっかりと結界の張られたコロシアム。観客席を埋め尽くす猫の「両方頑張れ」的応援が壮観です。
ぶっ飛ばされても諦めない心が大事です。
●勝利条件
何らかの形で認めてもらう事です。
不屈の精神でも猫への愛でも何でもいいです。「我此処に在り」と刻みつけてください。
●にゃんでぃーね
全長4Mの青い猫。見た目はロシアンブルーっぽいサラサラ短毛です。めっちゃ強いです。
・ねこうぇいぶ
巨大な津波で敵を押し流します。どんな文明も一撃にゃん。
・ねこぶりざーど
超広範囲の吹雪でにゃんでぃーね以外にダメージを与えます。どんな命も凍り付くにゃん。
・ねこのさばき
にゃんでぃーねを中心に放たれる超低温の波動。魂まで凍れにゃ。
・みずのことわり
常に回復し続けるにゃん。みずは永遠にゃん。ねこの可愛さのごとく。

●特殊武器
以下の武器を借りることができます。

・神猫じゃらし
両手剣サイズのすごい猫じゃらしです。どんな猫もこれには気を引かれてしまいます。
ただし、装備武器がコレ1つになります。

・またたびボールスーツ
猫大好きマタタビエナジーのたっぷり含まれた巨大ボール……の着ぐるみです。
着ると防御技術・特殊抵抗が10000になります。
ただし、全ての武器と防具が解除される上全ての攻撃、防御、移動系の技が使用不可能になります。
サンドバックってことですよ。猫への愛を見せてみろにゃ。

●にゃふりーとからの助力【限定1人】
にゃふりーとと一時的に合体して、にゃふりーとの力を使えるようになります。
能力値は、合体している間は通常時の倍になります。
全ての装備、道具などは【にゃふりーとパワー】に一時的に変わります。
また、使える技能は以下の通りになります。
・ねこふぁいやー:任意の方向から放たれるラサの太陽の如き炎。どんな悪党もカリカリにゃん。
・ねこふれいむ:地面、あるいは空中から建立される巨大な炎の柱。最大30本出るにゃん。
・ねこさんしゃいん:にゃふりーとを中心に放たれる超高熱の波動。骨すら残さねーにゃん。
・ほのおのことわり:常に回復し続けるにゃん。ほのおは不滅にゃん。ねこの可愛さのごとく。
威力は全て、大体5000くらいです。

なお、デメリットとして合体中は赤い猫耳と尻尾が生え、語尾が「にゃ」になります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCATです。
 情報精度は猫の心の如くで、不測の事態ばっかり起こる可能性があります。
 でもまあ、死にはしません。猫を信じるんだ。

  • 猫キャラバンの冬~にゃんでぃーねの儀式~完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年12月08日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

リカナ=ブラッドヴァイン(p3p001804)
覇竜でモフモフ
ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)
優穏の聲
エルス・ティーネ(p3p007325)
祝福(グリュック)
胡桃・ツァンフオ(p3p008299)
ファイアフォックス
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
エドワード・S・アリゼ(p3p009403)
太陽の少年
ミザリィ・メルヒェン(p3p010073)
レ・ミゼラブル
エア(p3p010085)
白虹の少女

リプレイ

●猫の国へようこそ
「うおーーーっ!! ここが猫の! 国ーーーっ!!」
『ドキドキの躍動』エドワード・S・アリゼ(p3p009403)は周囲を見回し、感嘆の声をあげる。
 右を見れば猫。
 左を見れば猫。
 猫が歩き、猫の形の建物があり、猫がニャハハと笑っている。
 そう、此処は猫の国。
 猫の猫による猫の為の国だ。
 地図上の何処にも存在しない、守られた国。
 それが猫の国なのだ。
「こんな国があるなんて知らなかったぜ! へへ、オレ、すっげーわくわくしてきたっ! にゃふりーと、招待してくれてほんと、ありがとなっ!」
「にゃはは、構わんとも」
 勢い余ってにゃふりーとにぎゅーーっと抱き着くエドワードににゃふりーとはそう返す。
「んでもって、あいつがにゃんでぃーねかぁ……おっし、オレ、あいつともちゃんとともだちになって帰るぜ。今日は模擬戦もやるみたいだし丁度いいや、正面から思いっきりぶつかり合えば、相手のこともきちんとわかるってもんだろ!」
 そして、他のメンバーの興奮度も中々のものだ。
「猫キャラバンだけでなく、まさか猫の国なんていう幸せいっぱい夢いっぱいな場所が実在しているとはな。しかも、今の私達はまさにその場所に居るのだ……これが心震えずにいられようか!」
 グッと拳を突き上げているのは『天穹を翔ける銀狼』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)だが、それが面白いのか何匹かの猫がゲオルグに「こいつ面白ぇーにゃ」と絡みついている。
「おっと、いかんいかん。あまりの喜びに忘れてしまうところだった。にゃんでぃーねに私達のことを認めてもらわなければな」
 そう、ゲオルグの視線の先には此処に連れてきてくれた神獣にゃんでぃーねがいる。
 全長4Mの巨大猫であるにゃんでぃーねの姿は、にゃふりーととは違う趣があるが……ゲオルグを興味深そうに見ていた。
「今のでかなりの猫好きを感じられますにゃ。ただ、猫の国にまで来た以上は試練は受けてもらいますにゃ」
「ああ、勿論だ」
 即答するゲオルグに満足そうににゃんでぃーねは頷くが、『竜首狩り』エルス・ティーネ(p3p007325)も興味深そうに猫の王国を眺めまわしていた。
「友人によく猫耳をねだられる事がままあるのだけれどラサにもそんな王国があるって言うの……? っ……これはちゃんと調べないと、よねっ」
 猫耳スキーはまたちょっと違う方向性な気もするのだが、どうだろうか。ちょっとネコスキーたちの判定を要するかもしれない。
 しかし猫は猫だ。許された。猫は寛大であるが故に。
「コャー……。なんと、猫のキャラバン」
 キャラバンに使われる空飛ぶ馬車がフワフワ浮いているのを見ながら、『ファイアフォックス』胡桃・ツァンフオ(p3p008299)も呟く。
「猫の国というのも興味があるので来てみましたの。まあ狐は犬科なわけだけれども、別に猫科との相性が良くないというわけでもないので、大丈夫だと思うの。むしろにゃふりーととキャラが被らなくて良かったの」
 確かにもふもふという括りでいえば大丈夫であろう。もふもふは正義であるが故に。
 ちなみに胡桃は猫みたいな性格と習性をしているので、そういう点では猫かもしれない。
 そしてキャラ被りという点ではにゃふりーとともにゃんでぃーねとも違うと言えるだろう。
「エドワードと一緒なのも嬉しいですし、はじめての猫さんの国……猫さんのごはんはおいしいって聞きました。ニルはとってもとっても楽しみです」
「猫……ですか。いえ、嫌いではないですよ。母様は……猫派でしたし……どうして私は狼なんでしょうね。猫がお好きならそう作って頂けたらよかったのに」
『はらぺこフレンズ』ニル(p3p009185)と『ライカンスロープ』ミザリィ・メルヒェン(p3p010073)がそんなことを言うが……ニルとミザリィの手をエドワードがギュッと握って上下にブンブン振れば、色んな感情は混ざって吹っ飛んでいく。
「へへっ、今回はニルとミザリィも一緒にいてくれるし、きっと全部上手くいくよなっ!」
 それはまさに全部が吹っ飛ぶ笑みだろう。そんなほんわかした3人をそのままに、『もふもふハンター』リカナ=ブラッドヴァイン(p3p001804)はこれから受ける試練に想いを馳せる。
「猫の国……噂に聞いてたけどもふもふ祭りね。今回は儀式といいつつバトルなのね。きっとキャットファイトな儀式ということね……?」
「キャットパンチにゃ!」
「キャットキックにゃ!」
 二足歩行しながらもふっとパンチや蹴りを入れてくる猫たち……どうやらキャットファイトという単語に反応したらしいが……そんな猫たちの愛らしさにリカナが「うっ」と呻くが、耐える。まだモフ死するには早すぎる。
「猫の国かあ。凄く良さそうなところだって分かるなあ! ……でも今回はバトルもあるらしいし浮かれてちゃダメだよね。にゃんでぃーねさんはかなりの実力を持ってるらしいから気を引き締めてかからないと……!」
「いい心意気ですにゃ」
『特異運命座標』エア(p3p010085)に、にゃんでぃーねはそう言って笑う。
「にゃふりーとから話は聞いているけど手加減は無しですにゃ。さあ、行きますにゃ!」
 そうしてエアたちは、闘技場へと導かれていくのだった。

●猫の儀式に挑め
「わああああああ!」
「にゃあああああ!」
「祭りにゃ祭りにゃー!」
 コロシアムを埋め尽くす猫、猫、猫、猫、にゃんこ、猫。
 猫のにゃーにゃーという歓声が響き、エアのテンションが一気に上がっていく。
「わぁ!! 客席にネコちゃんがいっぱい! はう…モフりたい抱っこしたいお腹に顔埋めたい……! それににゃんでぃーねさんも……おっきくて……綺麗で……もふもふ……」
「にゃふりーと様もにゃんでぃーね様もおっきいのです! そしてもふ! もふ!!」
 楽しそうなエアとニルに、にゃんでぃーねはニャハハと笑う。
「さあ、武装の選択はいいですかにゃ? どれを選んでもいいですにゃ」
 そう、にゃんでぃーねの試練は力押しではない。
 認めさせる。その一点が重要であるが故に、凄まじい力を持つ武装の貸し出しが行われている。
 どんな猫の気を引くことも出来る、巨大な神猫じゃらし。
 攻撃、防御、移動系の技が使用不可能になるが、人智を超えた防御性能を得る、猫大好きマタタビエナジーのたっぷり含まれた巨大ボールの着ぐるみ。
「よぉし決めた! 私はこの神猫じゃらしを使ってにゃんでぃーねさんをモフる! 吸う! 抱きつく!」
 エアが神猫じゃらしを握れば、早速にゃんでぃーねの視線がすっと動き始める。
「またたびボールスーツをレンタルするわ。(もふもふされる)覚悟はいいか? 私は出来てる」
 言いながらリカナはボールスーツを着込み始める。
「装着! 覚悟完了。こい、にゃんこ!」
 もふっとした球体になるリカナは、中々楽しい見た目になっている。
「もふもふハンターには独特のもふもふ戦闘術というものが存在するものよ。それは武器を選ばず、スキルもほぼ必要ない……! 即ち、『殴られてでも触れ続けてギフトを発動させる』戦法よ……あ、危なそうなら適宜回復よろしく!」
「にゃんでーねさん……に、認めてもらう……一体どうしたらいいのかしら?」
「簡単なことだ」
 堂々とサンドバッグ宣言をしたリカナを見ていたエルスにゲオルグが叫び、またたびボールスーツを着込む。
「とりあえず、認めてもらうのはどんな形でも良いらしい。純粋な武力でもいいし、にゃんこへの愛でもOKなんだそうだ。というわけで、私もまたたびボールスーツを借りようと思う」
 言いながら着込み、ゲオルグもリカナから少し離れた場所でボールになっている。
 ふわふわのボールからリカナとゲオルグの顔が出ているのは、中々にシュールな光景ではある。
 その2人を見たから……ではないだろうが、ニルもまたたびボールスーツに手を伸ばす。
「ニルもまたたびボールスーツを着てみたいです。前に、コロコロ転がるおっきな羊さんと遊ぶの、楽しかったので今度はニルが転がる番なのですよっ」
 そうして各自が武装を選ぶ中で、選ばない者もいる。自分のスタイルに合わないからという理由であったりもするが、それもまた良しである。
「猫への愛……か。猫も可愛いわよね……」
(犬派だって事は黙ってた方が良さそうね……ハッ! そうだ、そう言えばあの方は『猫みたいな女』が好みってどこかの情報で…も、もしかしたら猫さん達がヒントになるかしら……っ?)
 何やらエルスがズレたことを考えている間にも、開始のファンファーレがニャンニャニャーンと鳴り響く。
「さあて、初手は譲りますにゃ。如何に?」
 微妙にコロンと転がるリカナにゲオルグ、ニルや……神猫じゃらしを構えるエルになんかウズウズしながらも、にゃんでぃーねはそう問いかける。
 そんな中、まずは彼我の戦力差を測るためにミザリィが魔砲を放つ。
 しかし、なんということか。まったく効いた様子がない。
「コャー……予想以上なの」
 ダニッシュ・ギャンビットにAKAと自分に付与を重ねていく胡桃だが、想像以上のにゃんでぃーねの強さに冷や汗を流す。
 正攻法で認めさせるのは、相当に難しそうだ。
 それでも、ミザリィは思う。
(我此処に在り……ですか。難しいですね。私はこの世界の生まれではありませんし……どうして呼ばれたのかなんて検討もつきません。でも、呼ばれたからには何か理由があるんだって、信じたい。本に囲まれて生きるのは幸せだったけれど、外の世界に憧れなかったわけじゃない。『御伽噺』の中では必ず悪役として描かれる狼にだって……ハッピーエンドがあってもいいじゃないですか。
私は……いつかそれを証明したい)
「だから簡単に折れるわけにはいかないんですよ」
「なら……私がっ」
 神猫じゃらしを構えたエアが、奇襲のチャンスを作るべく動き出す。
「作戦! この猫じゃらしで上手くにゃんでぃーねさんの気を逸らして奇襲を……」
 ふりふりっ、ふりっふり。
 エアが神猫じゃらしを振る度、にゃんでぃーねの視線も動いていく。
「……わぁ、こっちめっちゃ見てる。なんで猫じゃらし持ってるのかなーわたし。気を逸らすどころか惹いちゃってるよねふっしぎー☆」
「ふふふ! 悪い子ですにゃあ! そんなに私を挑発して……!」
「……みんな、ごめんね。私は肉球の楽園で待ってるよ。やぁぁーー!! にゃんでぃーねさんおかくごーーーっ!!!」
 神猫じゃらしを構えて突っ込むエアだが、もにゅっと肉球で叩かれて幸せそうに転がっていく。
「エアさんがやられたわ!」
「これ、自分だと大きすぎて転がれないのですよ!?」
「くっ、俺たちが動けさえすれば……!」
 リカナとニル、ゲオルグといったまたたびボールスーツ組が呻くが、こればっかりは仕方がない。
 そしてエアが幸せそうにやられた隙をついて、胡桃がこやんふぁいあ~で対抗する。
「氷に対して炎で対抗するのはわたしもやってみるの。ふぁいあ〜」
 にゃふりーとへの対抗心もあり、混沌の炎系犬科代表として張り合えるところを見せてみようとする胡桃に、にゃんでぃーねがニャッと笑う。
「よく練られた炎ですにゃ。さっきのミザリィという子の魔砲含め、研鑽の跡が伺えますにゃ」
「お褒め頂き光栄なの」
「ですが、とりあえず一発は一発にゃ」
 そうして胡桃がコャーと肉球パンチで吹っ飛び、ミザリィも肉球スタンプでむにゅっと闘技場に沈められる。
 悠々と進むにゃんでぃーねの視界には精神を統一しているエドワードの姿が映るが……それをそのままにエルスをモフッと弾いて、またたびボールスーツ組へと視線を向ける。
 なんとミザリィや胡桃、エアたちが時間を稼いでいる間にこの3人、またたびボールスーツでわずかながら動く術を身に着けていたのである。
「わふふ、ニルはちょっとやそっとじゃやられませんようっ」
「フフフ、それは嬉しいですにゃ!」
 モフッと肉球で弾かれたニルはボムンと跳ねて、嬉しそうに微笑む。
「あと、じゃれられるの、ニルははじめてで、なんだかとってもうれしいのです。ポンポン跳ねていたら体もポカポカ、じゃれられたら心もぽかぽかなのできっと寒いのも怖くないですね!」
 にゃーにゃーと楽しげに歌い始めるニルににゃんでぃーねも微笑んで、そのままゲオルグへと向かう。
「考えてみてほしい。にゃんこ大好きまたたびエナジーがこれでもかというほど詰め込まれているということは普段ならなかなか心を開いてくれない子もすぐに飛びついてきてくれるということだ。身動き取れなくなるからサンドバックになるって? そんなこと、もふもふ好きにはご褒美でしかないだろう。最初からデレ100%でじゃれついてくれるだけでなくごろにゃん状態ですやすやおねんねしているにゃんこ達をベストアングルで愛でる事も出来てしまうのだ!」
「貴方結構すげーですにゃ。もうこの時点で認めたくなるにゃ」
「光栄だ! だが! さぁ来い、ふわもこで可愛いにゃんこ! 私が倒れるのが先か、にゃんこがごろにゃん状態ですやすやおねんねするのが先か勝負なのだ!」
 猫パンチでバシンとゲオルグが嬉しそうに跳ねていくが、またたびボールスーツのおかげで無傷である。
「ふっふっふ……またたびエナジーで上がってきたにゃ!」
「次は私というわけね! さあ来なさい、覚悟はとっくに完了しているわ!」
 ギフトの発動準備もすでに完了している。
 5分、5分でいいのだ。それだけ触れていればリカナのギフト「モフモフトリートメント」……別名毛並みトリートメントver.2がにゃんでぃーねを綺麗に整えてしまうだろう。
(我がギフト、モフモフトリートメントは全ての毛並みを整える……だけど種明かしをするつもりはないわ。発動までは、ね。ふ、どうだにゃんたちめ、どんな力を持っていてもお前たちはもふもふでしかないという運命よ)
 ラサの厄介そうな砂も全て綺麗に掃除してしまうこの力の前にはどんな猫も負けを認めざるを得ないだろう。
 つまり、勝利はすぐそこに……!
「あえて放置したくなってきたにゃ」
「ああ! 猫の気まぐれ!」
 そして、にゃんでぃーねの振り向いた先。そこではついにエドワードがにゃふりーとと合体するための準備を整えていた。
 エドワードの頭に生えている赤い猫耳、お尻に生えている赤い猫尻尾。
 その尻尾の先っぽにちょっと炎が灯っているのが少しキュートだ。
 そしてその姿は、見事エドワードがにゃふりーとと合体した証だった。
「ってことで、勝負だ、にゃんでぃーね! 確かにお前の氷や水、すっげーつめてーし勢いもあるけどよ……けど、オレのハートの炎はかき消せねーぜっ!! 何度でも立ち上がって、みんなには手を出させねぇ……!」
 闘志全開で燃え上がっているエドワードに、にゃんでぃーねは笑う。
「にゃるほど、本当に合体できるとは……」
「それと、今回はにゃふりーとと一緒に戦うことができるんだよな……こないだの依頼で感じたお前の熱さ、きちんと覚えてるぜ。
けどよ、オレ達の思いが一緒になれば、あの時よりももっともっと、太陽よりも熱く燃え上がれるって思えるんだ! あいつにさ、オレたちの超全力、ぶつけてみよーぜ!!」
 ……手、貸してくれるか? と、そう問うエドワードに、その内側からにゃふりーとの声が聞こえてくる。
「くっくっく……やるにゃ。此処の結界は万全だから猫たちも平気にゃ」
「よおおおおし!」
 エドワードは気合を込め、その身体が赤く輝いていく。
 放つはねこさんしゃいん。エドワード……いや、えどにゃーどを中心に放たれる超高熱の波動。
 その威力は猫の怒りの如く。骨すら残さねー凄い力である。
「いいですにゃ。その一撃を今日の評価の総決算とするにゃ」
 そしてにゃんでぃーねの身体も青く輝いていく。
 放つはねこのさばき。にゃんでぃーねを中心に放たれる超低温の波動。
 その威力は猫のつれなさの如く。魂まで凍らす凄い力である。
「ねこ……さあああああんしゃいいいいいいん!」
「ねこの……さばきいいいいいいいいいいいい!」
 赤い波動と青い波動がぶつかり合い、対消滅する。
 それは、つまり。
「……いい一撃ですにゃ。それぞれ猫への敬意に愛、友情……その他諸々を感じましたにゃ」
 合格ですにゃー! という声が響いて。猫たちの歓声が響き渡る。そして……。
「わ、私……猫についてはまだまだ解ってなかったのだけれど……その『猫みたいな女』になりたいの! あなたの事、参考にさせてもらっても良いかしらっ?」
「なんか大分違う意味な予感がしますけど、一応何故か言ってみるですにゃ」
「何故って……それはまぁ……そ、それなりの大きな理由がっ。冗談じゃなくて、本気でなりたいのよっ。だからね、私の師匠になって貰えないかしらって……」
(好きな人の為になりたいなんて言ったら笑われちゃうかしらっ? でもこの気持ちなら誰にだって負けないから……!)
 何やらふむふむ、とエルスの頭の上あたりを見ていたにゃんでぃーねが、ニャハッと笑う。
「ならば今日から弟子を名乗るといいですにゃ。猫耳をつけることも許すにゃ。とりあえず、自由気ままにふるまうことから始めてみるですにゃ」
 そんなエルスとの恋愛相談らしきものがあったりもしたが……歓迎会である。
 猫の舞踊りに乱入したにゃんたまたちを、ゲオルグが羊のジークと共に幸せそうに見ている。
「私はその可愛らしい光景をしっかりこの目に刻み込むのだ!」
 そんなことを言っているジークの頭に別の猫が乗っかっていたりするが……どうもまたたびに酔ったようである。
「デカにゃんこ、至高の一時。きっと私はモフ死する……」
 ついにモフモフトリートメントで綺麗になったにゃんでぃーねをモフモフしていたリカナが死にかけていたり、出てきたご飯がねこまんまではなかったことに安心した胡桃が猫に絡みつかれていたりする。
「わたしの自慢の毛並みをもふもふさせてあげる代わりに猫まみれもふもふするの」
 もう猫だまりになっていて、もふもふしているのかされているのか分からない胡桃だが、やがて猫の舞踊りにファイヤーダンスで乱入していく。
「なあニル、猫たちが作る料理とかアイスって、すっげー美味しいんだぜ! 美味しいもの好きなニルなら、きっと気に入ると思うんだ。ミザリィも料理得意なんだよな~~……あ、そうだ! せっかくだし、なにか一つくらい料理のレシピを聞いてもいいかもな! そしたら帰った後さ、二人で一緒につくろーぜ!」
「ふふ、それはとってもとっても素敵なのです! ミザリィ様もいっょなら、きっともっと楽しいです。あ、踊るの、ニルもやってみたいです!」
 ニルには一般的な「おいしい」は分からないが、皆でご飯を食べるのは「おいしい」。そう思うからこそ、笑って。
「そう、ですね……」
 言いながらも、ミザリィの視線はニルに向けられていた。
「そういえばニルは秘宝種なんですか……ああいえ、ちょっと前に出会った綿菓子みたいに甘くてふわふわなひとも秘宝種だったもので。ニルもなんだかふわふわしていますね。秘宝種ってそういうひとが多いんでしょうか? ……なんですかエドワード、ニヤニヤして。私だって他人に興味くらい持ちますよ。ちょっと、その微笑ましいものを見守るような視線はやめてください!」
 エドワードたちも、実に楽しそうに歓迎会を楽しんでいた。
「しくしく……バトルでは歯止めが効かなくなっちゃった恥ずかしい……! もうこうなったらイメージダウンなんて知らないよ! もう何も恥ずかしくないっ! ここの猫ちゃん達と仲良くなって! せめて触らせてもらうんだからっ!! よぉし……! ここは出来るだけ平静を装って、ポーカーフェイスで下心がバレないように話しかけてみよう。落ち着くんだよエア……!」
「あの、そこのおネコさん。ちょっと吸わせてもらっても良いですか?」
「こいつレベル5以上の猫好きだにゃ!」
「よーし、皆かかるにゃ!」
「もっふもふにしてやるにゃ!」
「にゃー!」
「ああーっ!」
 その後、エアは思う存分吸ったり吸われたりしたらしいが……それも本望だろう。
「あの方はいつも意地悪で冗談ばかり言って私を面白がってるの。だからたまには…ギャフンと言わせたいじゃない? 私ばっかりムッとしてばかりなんだもの。うん、別に意地悪も嫌いじゃないけれど……でも今のままじゃ下がりも進みもしないものっ」
「このマタタビジュース、人間でも酔うにゃ?」
 そしてエルスはたっぷりとにゃんでぃーねに愚痴を聞かせたりしていたが……それもまた、一夜の猫の過ちである。

成否

成功

MVP

エドワード・S・アリゼ(p3p009403)
太陽の少年

状態異常

なし

あとがき

もっふもふでした。

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