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シナリオ詳細

生贄のドラゴンにやすらかなる最期を

完了

参加者 : 2 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●滅びゆくヘルフレイム

 まるでテレビゲームの世界に迷い込んだかのような、ファンタジックな世界がそこには広がっていた。生い茂る森林、水晶の洞窟、炎が噴き出す荒野、砂漠の真ん中に神殿とともに佇むオアシス――――
 かつて魔王が支配した世界『ヘルフレイム』は、勇者によって平和を取り戻したはずだった。
 しかし、今のヘルフレイムには人の気配がほとんどない。

「こんなことのために、僕は戦ったんじゃない……!」
「勇者様、お身体にさわります。どうかお休みになっていてください」
「どうして、どうしてこんなことに……」
「……魔王軍への復讐が、いつの間にか民の娯楽へと変わっていった。そしてそれが新たな呪いを生み出し、神の怒りを買った。そしてヘルフレイムは…… 本当に、我々はなんのために戦ったのでしょうね……」

 ある廃墟の床に伏せる青年は、かつての相棒だった大剣を見つめながら涙を流す。彼は魔王を討伐した勇者コット。冒険の時に見せた勇敢な姿はもはや面影すら残さず、弱々しくかぼそい声を出すことしかできなくなっていた。
 そんな青年を介抱するのは、冒険をともにした魔法使いの少女リリー。リリーはコットの手を握り、ともに窓の外を眺める。
 窓の向こうには、あまりにも惨たらしい光景が広がっていた。

 ヘルフレイムの中心で、ドラゴンが身体を焼かれながら、苦しそうに、涙を流しながら、飛翔と墜落を繰り返している――――

「人々の業を背負ってくれた君が、こんな目に遭わなければならないなんて…… それに、この世界はもう……」

 そう、神の怒りを買ったヘルフレイムは終焉を迎えようとしていた。
 虚無の中に、苦しむドラゴンを残したまま――――

●ドラゴン討伐
「神の怒りを買った者は、怒りの業火で焼かれ続ける。それこそが本当の死であり、死とは消滅することを意味しているわけではない…… しかしその罰を受ける者が罪を犯した者ではなく、生贄として捧げられたドラゴンだとは。なんと惨たらしい話でしょう……」
 眼鏡の境界案内人は、依頼内容を聞きに来たイレギュラーズに向き合い説明を始めた。

「ヘルフレイムという、今まさに終焉を迎えようとしている世界があります。その世界を魔王から救った勇者コット様からのご依頼です。神への生贄として捧げられたドラゴンを、永遠の業火から救い出して欲しいということです。……つまり、罰として業火で焼かれ続けているドラゴンを、殺して欲しいということです」
 エメラルドナイトによれば、かつてヘルフレイムの民衆を苦しめていた魔王軍を勇者が討伐したことによって、魔王軍と民衆の立場が逆転し、民衆から魔王軍への過剰な復讐が始まったのだと言う。民衆は魔王軍に対して虐待や辱めをするようになり、その過剰な復讐心が平和の神の怒りを買い、業火で焼かれる呪いを生み出したそうだ。
 しかし、民衆はその呪いに耐えることができず、ヘルフレイムの人々を見守り続けてきた一匹のドラゴンを生贄として捧げて呪いを回避したのだ。

「ヘルフレイムに唯一存在するドラゴンは本来戦闘はせず、人々の平和の象徴としてヘルフレイムを巡回するだけの存在でした。しかし、業火で焼かれる苦しみに耐えられず、自我を失い世界中に炎を吐き散らすようになり、ヘルフレイムの民はほぼ壊滅状態となっています。これに関しては民衆の自業自得ですね。問題は、平和の神が与えた呪いは消滅する死を与えるものではないということです。ドラゴンは生きている限り炎で焼かれ続けなければならない…… ドラゴンは非常に長命で、ヘルフレイムが滅んだ後も虚無の中で苦しみ続けることになる。それをなんとかするために、生き残っていた勇者が再び立ち上がろうとしたのですが、コット様は現在病を患っており、もう以前のように戦うことはできないとのことで……」

 イレギュラーズ達にドラゴン討伐の依頼を持ち込んだのは、勇者コットの看病をしている魔法使いリリーだった。
 コットとリリーはヘルフレイムとともに滅んで行くことを受け入れているが、平和の象徴として民を見守り続けてきたドラゴンをなんとしても業火から解放して欲しいとのことだった。

「ヘルフレイムが滅んで虚無となってしまったら、通路が断たれドラゴンの元へたどり着くことは不可能となります。早急な対応が求められている状況です。ドラゴンは業火の影響を受けているため、実力の最大値で襲いかかってくると言うことはないはずですが…… 危険な依頼に違いはありません。皆さま、どうぞお気を付けていってらっしゃいませ」

NMコメント

●ご挨拶
 こんにちは、来栖彰です。
 今回は『業火に苦しむドラゴンの討伐』というシナリオになります。
 身体を焼かれて苦しんでいるドラゴンに引導を渡し、ヘルフレイムの終焉前に安らかな最期を与えてあげてください。

●舞台
・ファンタジックな世界『ヘルフレイム』の中心地
・市街地は完全に壊滅
・平和の神によって終焉を迎えようとしており、終焉を迎えると虚無の空間となる
・人間は虚無には留まれずヘルフレイムとともに消滅する
・平和の象徴だったドラゴンや、特殊な存在の魔王軍のみ虚無の中で存在し続けることになる

●目的
・自我を失ったドラゴンの討伐
・勇者コットと魔法使いリリーを討伐されたドラゴンの元へ連れて行き、最期をともに過ごさせる

●敵『ドラゴン』について
・炎を吐くドラゴンです
・強いのですが常に神の特殊な炎によって身体を焼かれているせいで全力が出せません
・本当は優しいけれど自我を失って狂暴になっています
・水と氷が苦手です

●登場キャラクター
・勇者コット
 魔王軍を討伐した大剣を扱う勇者。
 今は病に伏しており、戦うことはできない。
 世界とともに滅んで行くことは受け入れている。
 しかし、ドラゴンが虚無の中で苦しみ続けることだけは回避したい。

・魔法使いリリー
 かつて勇者と冒険をともにした魔法使いの少女。
 実は勇者と同じ病に侵されているが、勇者には伝えていない。
 自分の方が症状が軽いからと勇者の面倒をみている。

●サンプルプレイング
「飛翔するのがやっかいですね…… それでは、ドラゴンの翼を狙って攻撃します! ドラゴンが地面に落ちたら必殺技を何発も食らわせて、息の根を止めます! 本当はこんなことしたくないけど…… 炎から解放するためなら、やむを得ません…… 早く苦しみから解放するためにも、ためらわずに攻撃します! ドラゴンの息が絶えたら、コットさんとリリーさんをドラゴンのもとへお運びします。最期は、3人で過ごしてもらうのがいいでしょうね。この世界の終わりは、この世界の住人だけで見届けるのがきっと……」

  • 生贄のドラゴンにやすらかなる最期を完了
  • NM名来栖彰
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年12月04日 22時05分
  • 参加人数2/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 2 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(2人)

シューヴェルト・シェヴァリエ(p3p008387)
天下無双の貴族騎士
ヘルミーネ・フォン・ニヴルヘイム(p3p010212)
凶狼

リプレイ

「ヒデェのだ……」
 ヘルミーネ・フォン・ニヴルヘイム(p3p010212)は、ヘルフレイムの城下町の中心で悲鳴を上げながら飛翔と墜落を繰り返すドラゴンを見て呟いた。
「ガアアアアアア!!」
 ドラゴンは身体を焼かれる苦しさに耐えきれず、炎を吐き散らしながら暴れている。
 城下町の中心にはドラゴンの墜落によって空いた大きな穴があり、とてもじゃないが常人が近寄れる状態にはなく、ドラゴンを犠牲にした人々はどこか遠くへ逃げてしまったのだとすぐに分かった。
「可哀相に…… 呪いによる苦しみは、僕にもわかるところがある。早くなんとかしてやらなければ。だけど……」
 ドラゴンの悲痛な叫びを聞きながら、『竜食い』シューヴェルト・シェヴァリエ(p3p008387)はヘルミーネに問いかけた。
「どうしたのだ? シューヴェルト君」
「僕には彼を殺すことが最善とは思えないんだ。何とかして呪いを解いてやって、その上でこの世界の終わりを勇者達とともに迎えさせてやりたいのだが。ヘルミーネ、僕の案に乗ってもらうことは可能か?」
「……! 早く安らかな死を迎えさせてやらないと、って思ってたけど、呪いから解放できるならそうした方がいいのだ! シューヴェルト君、何か策があるのだ?」
「できるか分からないが…… 僕の碧撃で魔応をドラゴンに突き刺して、一度僕の呪いの力をドラゴンに送り込む。そしてある程度流し込んだら今度はドラゴンの呪いごと吸い取る。もしかしたらそれで呪いから解放できるかもしれない」
「なるほど……! それなら、まずはドラゴンの動きを止めないとなのだ」
 ヘルミーネはドラゴンが繰り返す動きの軌道を確認し、うん、と頷く。
「ドラゴンさんは飛んだり落ちたりを繰り返しているのだ。たまに変則的な動きになることもあるけど、ヘルちゃんの反応があれば先読みできる。高速移動でドラゴンを翻弄して、まずは体力を削るのだ!」
「わかった。ドラゴンが消耗してきたら、僕が翼を狙って攻撃をする。そして飛翔できなくなった瞬間を狙って碧撃を食らわし…… !!」

 ヘルミーネとシューヴェルトが作戦を練っている途中、ドラゴンの炎が二人がいる方向へ思いっきり吐き出された。
 その瞬間、二人は持ち前の反射と脚力を活かし同タイミングでドラゴンの火炎放射をかわし左右に散る。

「なかなかに凄まじい火力だな。これで全力ではないなんて……」
「シューヴェルト君! まずはヘルちゃんに任せるのだ!」

 ヘルミーネは瞬時にドラゴンの後方に回り込み、一瞬のスキを見付けて攻撃を繰り出す。
「我が幻視の牙での一撃…… フェンリスヴォルフ!!」
 衝撃を受けたドラゴンはヘルミーネの方向に向かって火炎放射を繰り出すが、ヘルミーネはさらにそれを避けまたドラゴンの後ろに回り込み、再び攻撃を加えては離れるを繰り返した。
 ドラゴンはヘルミーネのヒット&アウェイに翻弄され、徐々に体力を削られていく。

「アアアアアアアア!!」
「ドラゴンさんの苛立ちが伝わってくるのだ……! ごめん、ごめんなのだ! なんとかしてすぐに君を楽にしてあげるのだ!!」
「ヘルミーネ、避けてくれ!!」
「!! 了解なのだ!!」

 シューヴェルトが叫んだ瞬間、ヘルミーネは彼の方向から繰り出された翠刃・逢魔をシュッとかわす。
 竜食いと呼ばれる騎士が放った攻撃は見事にドラゴンの翼に直撃した。
「ウグアアアアアア!!」
「すまない、必ず助けるから……!」
 シューヴェルトはドラゴンの翼に向かって攻撃を繰り返して叫んだ。
「呪いに蝕まれしドラゴンよ! 僕が君を救って見せるから降りてこい!」
「すごい、これがシューヴェルト君が持つ力……! ヘルちゃんも負けていられないのだ! フェンリスヴォルフ!!」
 今度はヘルミーネの攻撃とシューヴェルトの攻撃が一度に両翼へ直撃し、いよいよドラゴンはまともな飛翔ができなくなってくる。明らかに動きが鈍っていることがわかり、二人はこの機を逃すまいと互いに合図を出した。
「シューヴェルト君、あと一回なのだ! 多分もう飛べなくなる!」
「ああ! 行くぞ!」

 掛け声と同時に放たれた二人の攻撃は、ドラゴンの両翼を完全に機能しない状態に追い込み、ドラゴンは空高くから地面へ墜落した。
「これでもう飛ぶことはできないだろう。ある程度のダメージも与えられたはずだ…… 行くぞ」
 シューヴェルトは碧撃で魔応と呼ばれる刀をドラゴンの腹に突き刺した。
「ギャアアアアアアアア!!」
「くっ……! ドラゴンさん、大人しくするのだ! このお兄さんが君の呪いを吸い取ってくれるのだ!」
 ヘルミーネはドラゴンの頭部の角を掴み、なんとか動き出そうとするドラゴンを抑え込む。すると、ドラゴンは先ほどまでは口から放っていた炎を全身から噴出し始める。
「ううっ……! あ、熱いのだ……! いや、このくらい! ドラゴンさんの苦しみに比べたら!!」
「熱い……! だが、神の呪いであろうと喰らって見せる!君の呪いを吸い尽くし君を解放するのが先か、僕が呪いと炎に耐えられなくなるのが先か、チキンレースと行こうじゃないか……!」
「アアアアアアアアアア!!」
 ドラゴンは炎で焼かれる苦しみと腹を刺された痛みの二乗の苦痛によって、さらに力いっぱい暴れようとする。

 しかし、ある瞬間からドラゴンの身体に異変が起こった。
 呪いの力を無理矢理吸い出される苦しみが、神の炎によって焼かれる苦しみより勝って来たのだ。
「……! いける! ……かもしれない! だが、この苦しみにドラゴン自身が耐えなければ、どの道彼の命が……!」
「シューヴェルト君、がんばるのだ!! ドラゴンさんもがんばるのだ!! 必ず、ヘルちゃんがこの世界を救った勇者君達と最期にお話しさせてあげるのだ!! 呪いに負けるな……! がんばれ、がんばれ……!!」
「ウワアアアアアアアア…… アアアアアア……」

 ある瞬間、スッとドラゴンはしかめていた顔を緩めた。まるで身体に刺さっていた大きな棘が抜けたかのような感覚に、ドラゴンは久方ぶりの安堵を覚える。
「ドラゴンさん……? 大丈夫なのだ?」
「はあっ…… はあっ…… どうやら、成功の、ようだ……」
「!! やった、やったよシューベルト君! すごいのだ!」
「ヘルミーネ、この世界の崩壊まで時間が無い。コットとリリーを連れて来てくれないか? 僕も行きたいところだが、体力的にかなりしんどい……」
「任せるのだ! ヘルちゃんの主神軍馬にお任せなのだ!」

――――
 ヘルミーネの能力によって、勇者コットと魔法使いリリーは速やかにドラゴンの居る城下町まで運ばれた。
「ああ、ドラゴンよ……! なんてことだ、呪いから解放してくれるとは……!」
 勇者コットは、呪いから解放され安どの表情を浮かべるドラゴンを見て感嘆の声を上げた。
「信じられません…… あんなにも苦痛に悶えていたドラゴンが、こんなにも穏やかな表情で、それも正気を保っているなんて……」
 魔法使いリリーも、目の前の光景に涙を流しながら言った。

「この世界は、もうじき終わるのだ。最期に、ドラゴンさんとお話ししたいことはない? ヘルちゃんが通訳をするのだ」
「ドラゴンと会話が……?」
 勇者コットは、ヘルミーネの申し出にさまざまな言葉を巡らせるも、たったひとつ、ドラゴンに伝えたいことを述べた。
「"すまない" ……そう伝えて欲しい。この世界の人々は、自分で背負うべき業を彼に背負わせて逃げた。その結果、彼はまったく必要のない大きな苦しみを背負うことになった。人々を見守り、この世界の平和の象徴として生きていただけの君に、とんでもない苦痛を与えてしまった。何度謝っても許されることではないが…… それでも、謝りたい。どうか、伝えてもらえないか」
「うん」

 ヘルミーネは疲れ切って横になるドラゴンの耳元に駆け寄って、コットの言葉を伝えた。すると、ドラゴンから返答があったのか、ヘルミーネはドラゴンの言葉に耳を傾ける。
「……うん、うん。……そっか、うん、わかった。伝えておくのだ」
 ヘルミーネは再びコットとリリーの元へ来て、ドラゴンの最期の言葉を伝えた。

「『私は平和の象徴、民の力になれたならそれでいい。勇者と魔法使い、そして異世界の者達もご苦労だった』……だってさ」
 ドラゴンの言葉に、コットとリリーは言葉を詰まらせ、大粒の涙を流した。

 ピシッ…… ピシピシッ……

 ドラゴンの大きな身体を抱きしめるコットとリリーの頭上で、空間が割れ始めた。

「……いよいよ、この世界も終わりか」
「シューヴェルト君、もう身体は大丈夫なのだ?」
「なんとかな。呪いを吸い取っているときはどうなるかと思ったが、上手く行ってよかったよ。ヘルミーネがいなければ成功しなかっただろうな。それに…… ドラゴンの言葉も伝えてくれて、ありがとう。この世界のドラゴンの気高さ、素晴らしいな」
「ドラゴンさんは、誇り高くてカッコいいね。この世界の住人を恨む言葉を一言もこぼさなかったのだ。……だからこそ、ヘルちゃんはドラゴンさんに呪いを背負わせた人たちのこと、やっぱりヤなやつだなって思うのだ」
「……同感だ」
「それでも…… ドラゴンさんが愛した、そしてコット君とリリーちゃんが一度は守った世界だから、安らかに終われるように…… ちょっと、行ってくるのだ」

 ヘルミーネは自身の力によって、ヘルフレイムに住む全ての者達の死への旅立ちが守られるよう、鎮魂歌を歌った。

「汝らの死出の旅路の先に安息と救いがあらん事を」

 ヘルフレイムから境界図書館への道が閉ざされる直前に、二人のイレギュラーズはそれぞれの帰るべき場所へ帰って行った。
 ひとつの世界の崩壊に、想いを馳せながら――――

成否

成功

状態異常

なし

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