シナリオ詳細
ミスロザリアの食卓
オープニング
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ミス・ロザリアの食卓にはいつも簡易的なサプリメントが並んでいる。
練達で仕入れたというそれは凡そ美味しそうとは呼べないものだった。
ミス・ロザリアにとって食事とは不幸そのものだ。
昔食べた『それ』以外を口にしようものならばすべてを拒絶してしまうからだ。
ミス・ロザリアにとって一番の美味は××だった。
それは彼女以外使用人も知っている。
そうなってしまった原因は彼女の父にあるのだということも使用人たちは詳しく知っていた。
ミス・ロザリアにとって××は食事ではなかったが、それ以外受け付けない体になってしまったのだから仕方がない。
主人の姿に見かねて彼女の執事たる老人は涙ながらに言うのだ。
――「ロザリア様のお食事のご準備を致しましょう」と。
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その日の、『サブカルチャー』山田・雪風(p3n000024)の表情は暗かった。
「美少女アニメだって期待してチャンネル回して第3話まで見たときに、グロだったらどうする」
早口で呟いた雪風はつまり、そういう事なのだと目の下のクマを擦る様に手を目元にやった。
「……あー……その、幻想のとあるお貴族様が『拒食症』で。
決まった食べ物しか口にできないけど、それはお金をつんだってなかなか倫理観的にNGな代物で、でも食べないとお貴族様が死んでしまうから仕方がなく貴族が……って感じのあらすじなんスけど」
雪風は簡易的に言いたいことをまとめた。
曰く、幻想の片田舎に住まう貴族『ミス・ロザリア』は食事を受け付けない体になってしまっているのだという。
彼女は父の代より『倫理観的には認められないモノ』を喰い続けていたのだそうだ。父は美食と呼んでいたがロザリアにとってはとても受け付けないもので――それが何なのかに気付いてからは口にして居ないのだという。
然し、食わねば死んでしまう。ロザリアが生まれた時より「お嬢様」と慕っていた執事はその現状に見かねて『行動を起こした』。
「その――倫理的には認められないモノって、『ヒト』なんですわ」
そう言った雪風はおえ、と小さく声を漏らす。
「……その、執事たちは片田舎の身寄りのない兄妹が暮らす家に夜盗を送ってお嬢様のお食事の準備をしようと――」
その時点で表情は暗くなる。雪風は俯いて、「止めて欲しいわけなんだなぁ……」と曖昧に呟いた。
「……んんッ、まあ、そんなわけで、被害者になりかけてる兄妹を護って欲しいんだよ。
ほら、『食われること』知ってて放置って目覚め悪いし、何よりさ、そういう人護るってのもいいじゃん」
そう言えば、そういうマンガあった気がするなあとぼそりと呟いて、雪風は「がんばって」と何時もより青ざめた顔でそう言った。
- ミスロザリアの食卓完了
- GM名日下部あやめ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2018年07月27日 21時35分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
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ミス・ロザリアにとって父は大好きな存在だった。
それ故に、幼くして母を亡くしてから父が『ご飯だよ』と差し出して来たものそれこそが×であったことをロザリアは知らなかった。
初めて知った時に嘔吐はしたがその時のおいしさが忘れられなかったことは彼女の不幸でしかない。
けれど――その情報を知って、『真っ赤な想い』西園寺 姫乃(p3p005034)は全てを納得することは出来なかった。
何故。それはミス・ロザリアが『それしか食べれないのであれば』彼女が生きるために必要な糧であることは重々承知の上で、彼女の食べるべきを阻止せねばならないからだ。
「食べる……んだね」
姫乃はじっとりと、確かめるようにそう言った。紅蓮の瞳はどこか彷徨い、不安げに宙を踊る。 『白き歌』ラクリマ・イース(p3p004247)は緩やかに頷いた。
食べる。その行為自体は否定できるものではない。ミス・ロザリアと呼ばれる彼女は『食べなくては生きていけない』のだから。
「ただ過程の問題。止めて欲しそうに依頼された、だから止める」
「そうだね……ロザリアの事を思うと――執事さんのやりたいことは判るんだ。でも、何の罪もない兄妹を犠牲にするなんてッ」
姫乃は拳に力を籠める。美貌に悲哀を湛えたラクリマは『誰かが彼らを救って欲しい』と願った以上、それは否定できないと目を伏せた。
襤褸を身に纏い、整えられぬ髪を揺らして『アイのミカエラ』ナーガ(p3p000225)は幼子の様に首を傾げる。
「アイされたヒトしかたべられないなんて、とてもアイにうえているのかな……?」
ナーガの定義する『アイ』とは一般的なそれとは違う。ナーガにとってのアイは傷つけることと同義だった。傷つけて、殺して、×して――それこそがアイの形なのだとナーガは理解している。
けれど、不思議だ、アイした人しか食べれないなんて。
不思議で、不思議で、不思議でたまらないけれど――まぁ、いっか。なんて。ナーガは疑問を忘れた様にぱちりと瞬く。
「アイしにいこうね」
「ああ。殺(あい)された人間しか食えないお嬢さんのために働く執事だなんて涙ぐましいねぇ」
貴族ともなれば領民を食べる事など容易いのかもしれない。しかし、ミス・ロザリアは望まないのだろう――だからこそ、大事なお嬢様を救うために執事たちがこうして暗躍している。それを涙ぐましい努力と呼ばず何と呼ぶか。
『暇人』銀城 黒羽(p3p000505)は深く息をつく。ドラゴンパールを用いたピアスに触れて、黒羽はゆるりと『食事にされそうになる』不憫な兄妹の住居を見遣った。
「も、無関係の子どもを襲うのはナンセンスだろ。生きるために他の生物の命を食らうのが人間の常とはいえ」
「……ああ、混み入った事情である事は重々承知だ」
しかし――彼らに罪はない。『特異運命座標』新納 竜也(p3p000903)は銀河をも切り裂くと云われるユニバースセイバーを腰に携え、彼はゆっくりと土を踏み締めた。夏の気配を孕んだ土の感覚は何処か柔らかい。足裏に伝わる其れを感じながら竜也は深く息を吐く。
「主の為に尽くす従者。それは忠臣と呼ぶに相応しいのかもしれないが――」
『遍歴の騎士たるヴァンパイア』シャルロット・D・アヴァローナ(p3p002897)は、永久の夜が如き翼と紅月を思わす瞳を揺るがせ、傍らのシルキーを指先に呼ぶ。絢爛なりし騎士は己が仕えるべき主人で無くとも、盟約に基づくが如く任務を熟す。彼女自身の考え得る只、ひとつは、他社の幸せを害するという行為への嫌悪であった。
「罪なき人に手を出すことがどれ程に『罪』であるか」
「それさえ分からぬほどに『裕福』なのだろう」
深く溜息を吐きながら『軋む守り人』楔 アカツキ(p3p001209)は目を伏せる。食事を与えたのは父なのであろうが、『それ以外を食べる』という自信での選択を怠ったのはミス・ロザリア自身だ。
「幼かった――と詭弁を述べることも出来ましょう」
けれど、暴食とも呼べる強引なる命の駆け引きは『特異運命座標』エリザベス=桔梗院=ラブクラフト(p3p001774)にも看過することはできなかった。
「主君の命が為に罪も厭わぬその忠義、見事にございます。ならばこちらも全力でお応えするのが礼儀でございましょう」
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ぎぃ、と鈍い音立てて閉じた扉。周辺にトラップを仕掛けられぬことがもどかしいという様にエリザベスは歯噛みした。
その思いが十分にわかると姫乃は周囲をぐるりと見回す。夜盗がどのように現れるのかは確りと織り込み済みだ。ナーガは温度視覚を使用し熱源を探す。
獣の気配などでも周囲が茫と色づく様子を感じ、傍に置いてあったたいまつに焔を燈すことが無いようにと周囲を見回していた。
音の反響を元に周辺を探す黒羽は複雑な心境を胸に足元の石ころを踏まぬように気を配る。少しの音でさえも、こう言った待機では命取りになるのだとぴりりと緊張感を携えながら――
(だが、食わなきゃお嬢さんは死ぬんだよな。
……俺はこの世に死ななきゃいけない奴なんていねぇと思ってる。だから、兄妹はもちろんそのお嬢さんも夜盗達も死なせたくはねぇんだよ)
しかし、ミス・ロザリアを生かすが為に兄妹の血肉を捧げることは良しとは出来ない。
それを黒羽はよくよくわかっている。分かってはいるが――
(――あぁ。どうしても、全部は護らせてくれねぇのかよ……)
歯噛みした黒羽の傍らで兄妹に「この村に夜盗が現れるという情報が入った」と事情を伝えていたアカツキは警備を使用しながら周辺の警戒を続けている。
アカツキの傍らエリザベスは優美に微笑み僅かに冗句めかしたようにプリティ★プリンセス2ndDVD Box特装版をテーブルに置いた。
「あまりご不安になさらずに」
「え、あ、……」
不安げな少女はまだ年端も行かぬ子供なのだろう。兄の後ろに隠れ、特異運命座標をまじまじと見つめている。
「さあさ、俺たちはお茶の時間としようか。お菓子を持ってきたので皆で食べようじゃないか。
犬のワンタローと、猫のニャンタローも君らと遊びたがっているようだよ」
柔らかに告げた竜也は兄妹を普段の通りに過ごさせてやろうと、テーブルへと誘う。その様子に傍らのシルキーに目線で指示しシャルロットはゆるりと目を伏せる。
「我が名において、お守りすることを誓うわ」
淡々と告げたのは騎士たるものの盟約に他ならぬ。彼女の言葉に少年はゆるりと頷き、部屋で不安げにする妹を気遣う様に背を擦った。
「なあに大丈夫さ、彼らは優秀な特異運命座標だ。俺たちは信じて任せておけばいい」
その言葉にシャルロットの口元には笑みが浮かぶ。シルキーが茶の用意をしている様子を伺いながらラクリマはゼブライース号が勇み足で待って居るのを宥める様に掌でその頭を撫でつけた。
植物との情報交換を重ねながら、何処からともなく『不審』なる気配を感じる。姫乃は武器を持たぬその細腕に力を籠める――だって、神秘と物理が備われば最強に見えるでしょうと魔法戦士は冗談めかす様に二つの力を拳に宿した。
きちんと閉じられた扉の向こう――少年たちを護るように布陣する特異運命座標たちは息を潜める。
ざ、と土を踏み締める音がした。その音を聞きゆっくりと立ち上がった黒羽の口元に笑みが浮かぶ。家の外で待ち構える特異運命座標は皆、一様に『兄妹』を危機に晒すことなくこの事態を乗り切らんとしていた。
「弱い奴しか狙えねぇ卑怯者共が。少しでも意地があるなら来てみろよ」
に、口許に笑み浮かぶ。彼は手にしたロープと手紙。それを有効活用すべく、彼は挑発を口にした。きらりと輝くその身。肉体言語を以て話す青年の姿に夜盗はざわりとどよめき立つ。
宙舞うシャルロットは果敢にも狙いを定め、虎視眈々とその時を待つ。だん、と地面を踏み締め一気に距離を詰めたアカツキの一撃が夜盗へと飛び込む。
続くナーガの唇からは笑みが漏れ出す。それを戦闘の始まりと見定めたかのように特異運命座標は一気に夜盗たちの下へと飛び降りた。
「なんだッ」
「なんだって? なんだろう? アイし合いたいだけかな」
きょとんとしたナーガの言葉にぞ、と背筋が凍る。雇われただけの夜盗たち――金のためなら人を殺せるのかと問い掛けたシャルロットの声に小さな笑いが聞こえた。
「そうしねぇと生きていけねぇんだ」
「貴方達も、雇われた側だって事は分かってる。でも、此処を譲るわけには行かない!!」
地面を蹴る。拳に籠めた魔力を振るい上げ、姫乃がその身を反転させた。ぐん、と身を翻したその位置に夜盗の弓が投じられる。
土を踏み締め殺傷力の低い威嚇を至近距離で放った姫乃に野党が怯む。雪模様は揺れ動き、夏にまるで雪を降らすが如く鮮やかな外套を揺らしたラクリマは蒼き力を宿したグリモアに昏き際涯の唄を灯す。凍えん程に詠嘆たる鎮魂歌に苦しむ様にもがく夜盗の至近距離、ナーガの大円匙が振り上げられた。
深いアイを宿したそれは、ナーガのアイの重さ。狂戦士は妄執込めて、破壊的威力を宿した一撃を繰り出した。
ナーガの妄執は『せんせー』から教わった。只、それだけだ。
「アイするだけだよ」
「『アイ』」
その言葉を口にしてエリザベスは不思議そうにころころ笑う。彼女を狙った一撃を受け止める――女子力は全てを防げる気さえする女性の完全武装だ。
ルージュの塗られた唇が釣りあがる。策なく飛び込む夜盗を受け止めて、戦闘に特化した戦いぶりを見せるエリザベスが地面をトンと踏みしめる。
不意打ち気味に表れたのはアカツキ、夜盗へと飛び込ませたその一撃は慈悲を帯びている。華麗なるラド・バウの衣装を身に纏い、アカツキの瞳が夜に躍る。
身寄りない兄妹に死骸を見せる事なきよう。その戦闘音は聞こえているだろうが――中では竜也がにこやかに微笑みながら兄妹の相手をして居ることだろう。
大丈夫だ、と口にする。怖いわと泣いた少女の背を擦り少年は「子どもだけだと近所では有名でしたから狙われてるんでしょう」と囁いた。
「……物捕りは弱者を狙うからな。だが、大丈夫だ」
安心してくれと。交渉術を口にしながら猫と犬、そしてシルキーと共に優し気に接する彼は和やかな空気を作り続ける。
「何も危険な事なんてないさ」
「……特異運命座標(みなさん)がいて、よかった」
「私も民の血を吸い生きる命、食人貴族とそう変わりはしないかもしれぬが、幸せを摘み取ってまで生きようとは思わないわ」
背筋に冷たいものが伝う。鮮血が如き刀身を振るったシャルロットの瞳が煌々と光を帯びる。ヴァンパイアの牙はぞろりとその口元から覗いていた。
冴え冴えとした夏の月の下、照らされた髪が揺れている。シャルロットは云う――逃がしはしない、と。
ラクリマの纏った蒼は月の下で踊る。その旋律は、柔らかな声音とは裏腹に冷たい気配を感じさせて。薄光を纏った蝶々は誘惑するように蠱惑的に笑っている――ラクリマがその身を翻す。
背後より拳を振り上げた姫乃は神秘の力を物理的に纏い、只、夜盗の意識を刈り取った。
倒れ往く夜盗たち。命まで奪う事はないだろうと考えていた面々が居たおかげか、それとも『情報収集』の為に生かされたのかは分からないが一人だけ意識ある夜盗が怯え竦んだ瞳で特異運命座標を見詰めている。
「一人くらい派手に殺しておいてもいいかもしれませんが――抑止力として」
「はした金の方が重いと口にするならば、此処で全てを滅ぼすのもありかもしれないわ」
淡々と告げたシャルロットにラクリマはゆるりとその瞳を向ける。エリザベスは指先で弄んでいた愚者のカードを翻し、情報を、とだけ告げた。
黒羽はゆっくりと近寄った。夜盗の瞳に最早好戦的な光はない。
「お前等は今までも人を殺して来たんだろ? 俺のことは恨んでくれていい。だから……――」
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「これにて一件落着、と言いたい所だけど、本質的には何も解決していないんだよね……。
まぁ、でも、私達がやるべき事は達成出来た……かな?」
姫乃の言葉に部屋の隅で震えていた兄妹はこくりと頷く。自身らを狙った夜盗たちがその後、自身をどうするつもりだったのか――それは彼らにも十分伝わっていたのだろう。
「次、はないわ。大丈夫よ」
「……本当に」
震えた声で言う兄へと姫乃は柔らかに頷いた。傍らに立っていたラクリマはテーブルから転げ落ちたカップを拾い上げ、ティータイムを楽しんでいた平穏な兄妹の様子に思いを馳せる。
「元通りにしよう」
白薔薇の眼帯に包まれた片眸を気にする様に花弁に指先添えて、ラクリマ怯えた兄妹を少し汚れたソファへと誘った。
家事全般が得意なシルキーはそんな兄妹を気遣う様に茶の準備を行う。シャルロットはシルキーがせっせと用意している様子を眺めながら散乱した皿の欠片を拾い上げた。
「真っ直ぐ健やかに育ってくれることが、守りし者たる私からの願いよ。元気でね」
「はい……本当に守っていただけて……」
当たり前だという様に黒羽は兄妹の頭にぽん、と手を乗せた。暖かな人の温もりは落ち着く気持ちになって少年少女はほう、と息を吐いた。
じっとりと湿った空気のする夜だった。夏のせいなのか、そうではないのかは竜也には分からない。
倒れた夜盗の傍らに座り込み、死した兄妹をどこに運搬する予定だったのかを聞き出した。その際に背後でナーガが「アイさないの?」と首を傾げていたが竜也は首を振る。
「死んだ夜盗の死体を馬車に乗せて取引ポイントに向かう」
「……そりゃ一体」
黒羽の問い掛けに竜也は「食わなきゃ死ぬんだ」とたんぱくにそう言った。食うべきは××なのであって、それが夜盗であろうとも大きな問題はないはずだ。
「……クライアントに会えるならば今後もミス・ロザリアを生かすために必要ならば罪なき民に手を出さず、罪深き悪を喰らえと伝えよう」
それならば罪悪感が薄れるのではないか、と淡々と告げた竜也は冗句めかす様に『知らんけど』と付け足した。
靄の様に依頼の全容が見えぬのは、この依頼のクライアントが誰であったのかを特異運命座標達は十二分に把握していない。情報屋でさえもその情報を口にはしなかった。
「依頼人に関する情報はシークレットだったのだろうか……しかし、ここまで差異のない細かな情報提供……。
俺はロザリア本人からとしか思えない。彼女がその後どうするかは分からないが、そのうち会う機会がある気がするな」
アカツキの言葉にエリザベスはゆるりと頷いた。頬に被さった髪を耳に掛け、怜悧な瞳は細められる。竜也が取引現場に向かうのならば、その場所に一つ言伝を頼みたいとエリザベスは手紙を認めた。
今日の事は『どきどき☆メモアリアル』に記入しておくことだろうが――一先ずは夏空を見上げて深く息を吐こう。
「皆様がハッピー、それこそがわたくしの願いですが、なかなかそうもいかないのが世知辛い世の中ですわね」
――『真に為すべき事を為せ』。
――『俺等のことは好きなだけ恨めばいい。だが、主人のためってんなら覚悟を決めろ。他人じゃなく、自分の手を血で汚せ。そんな覚悟もねぇならお嬢様の好きにさせてやんな』
唯、それだけを記載された二つの白封筒は夜盗の死骸と共に夏の路を往く。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
お疲れさまでした。
テーマはとてもとても、口にするのも憚られるようなものでしたが、未然に防いで頂けよかったです。
ミスロザリアについてはまた……。
また、ご縁がありましたら。その時はよろしくお願いいたします。
GMコメント
菖蒲(あやめ)です。夏場になると食欲が落ちますね。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
●ある『片田舎』の身寄りのない兄妹
幼い頃に両親を亡くした10代半ばの兄妹です。元はどこかの貴族の出身。
孤独ではありますが、それなりの生活を送っているようです(両親の残した遺産のおかげです)
幻想での特異運命座標の活躍をよく知っているため、皆さんが特異運命座標と名乗ればそれなりに友好的でしょう。
●ある『片田舎』の身寄りのない兄妹の家
それなりに広く、それなりに家具の多い家です。夜盗の振りをして乗り込んでくるならず者たちもそうですが特異運命座標も足元は少し困ってしまうかもしれません。
●貴族に雇われたならず者(夜盗)×8人
3人は外の見張りに。5人は中で兄妹を殺しその身を運搬する役目を担っています。
ならず者たちですがそうしたことで生計を立てているのでそれなりに戦えます。
●ミス・ロザリア嬢
偏食家の父に可愛がられて育ったため、幼いころから口にしていたのがまさか人間だったなんて思ってはいませんでした。
これは執事たちの一存ですが、自分の身を護る為には食べなければならない事を知っています。
どうぞ、宜しくお願い致します。
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