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シナリオ詳細

再現性東京2010:人食いの洞

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●再現性東京2010:人食いの洞
 秋空がからりと乾燥し、肌寒さから段々と身体が震えるほどの風が吹き始めるようになった11月のとある日。
 再現性東京の都心からは結構離れた山中にあるのは、狭い狭い手彫りの洞穴……いや、正しく言うのならば、車通行用のトンネル。
 その入口と出口はぐにゃりと曲がりくねっており、当然ながら見通しが悪い。
「さぁてと……今日もあの道かぁ……正直あんまり通りたくねぇんだよなぁ……」
 と、溜息をつくのは、バンタイプの車に乗った男性一人。
 深夜の刻故、車通りは少ないのに加え……この洞窟には怪談話が良く聞こえてくるのだ。
「まぁ、さっさと通り過ぎりゃー大丈夫だろ……この角を左に曲がって、っと……」
 ハンドルを切り、そのトンネルに向かう山道を昇っていく彼。
 ……そして、トンネル入口に差し掛かる彼。
「いつもこの信号で暫く待つんだよなぁ……って、あれ?」
 このトンネルはかなり狭く、一台分の横幅しか無い。
 それ故に、入口と出口に信号機があり、片方向ずつ通す様に制御されている。
 故に青信号の期間は長くなくて、基本的には赤信号で待つ事になるのだが……目の前の信号機は青信号。
「こりゃラッキーかもしれねぇ、急がねぇと」
 と車のスピードを上げて、トンネルに侵入する車。
 ……しかし、トンネルの出口からいつまで経ってもその車が出てくる事は無く、トンネルの中は不気味な静けさに包まれたまま、闇の中に佇むのであった。


「みんなみんなー! 今日もみんなが楽しみな怪談話、いーっぱい持ってきたよー! ほらほら、なじみさんの所に集まって集まってー!!」
 希望ヶ浜、カフェ・ローレット。
 昼下がりの一時を楽しんで居た君達の耳に聞こえてきたのは、綾敷・なじみの元気な声。
 そんな彼女の声に耳をそばだたせていると、ポンっ、と肩を叩かれ。
「ねぇ、興味あるよねー? ほら、こっちこっち!」
 と手を引かれ、集められる君達。
 ……そして集まった所で、なじみは。
「この再現性東京からちょっと離れた所なんだけどさー、どうやらそこに夜妖達が姿を表してしまった様なんだよねー」
 と言いながら彼女が地図のある位置を指す。
 狭い山道を登り、隣町との町境にあるトンネル。
 ……トンネルに夜妖が出るなんて言うのは、まぁ……良くある話ではあるが、なじみは更に。
「このトンネル、夜妖が現れるのは条件があるんだって。そしてその条件に上手く巻き込まれてしまった人達は、彼らによって作られた異世界の様な者に迷い込んでしまって、生きて戻ってくる事は無いんだってさ」
 夜妖を知らない一般人からすれば、荒唐無稽な話ではあるが、イレギュラーズとしては、そういう事態になるのも理解出来る。
 勿論、それを一般人に話して説得するのは至難の業……。
「という訳でさー、みんなにはこの夜妖達を止めてきて欲しい、って訳! 既に被害が出ているし、みんなが活躍するしかないよね! という訳で、みんな宜しく頼むね!!」
 半ば強引ながらも、被害をこれ以上拡大させない為にはイレギュラーズの力が必要。
 そして君達は、その場所へと向かうのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 冬の気配が近づく中、まだ雪が降っていない山中のトンネルからの依頼となります。

●成功条件
 夜妖を全て退治する事が目的となります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●周りの状況
 時刻は深夜、丑三つ時の頃です。
 この夜妖が出現する条件は、トンネルの入口が差し掛かったときに青信号である事……皆様が車で通りがかるなら、そのタイミングに合わせて調整する必要があります。
 ギリギリ見える所に車を止めて、タイミングを合わせて突入する事は可能なので、タイミングを合わせる事はそこまで難しくありません。
 タイミングを合わせて突入すると、夜妖達が見せる幻覚により、本来入口から左カーブの筈が右カーブになり、曲がって暫く進んで行くと夜妖達が突如攻撃を仕掛けてくる、という形になります。
 尚、夜妖達が出現すると、その周囲に結界の様な物を展開して音を遮断する為、戦場の音が外に漏れる事はありません。

●討伐目標
・静寂へと誘いし人型夜妖の『悪霊』 x 3人
  一面真っ白な服装に身を包み、長い髪によって顔が見えない女性の姿をした夜妖達です。
  彼らは生きる者を誘い、閉じ込めた上で全てを喰らい尽くす事を目的として行動しています。
  ただ注意深い性格の様で、戦闘時は配下の夜妖達を嗾け、自分は後方からの遠距離攻撃のバッドステータスを展開する事で攻撃をしてきます。
  遠距離攻撃は呪怨を叫ぶことに依る範囲攻撃(識別)で、仲間達への『加速』『連』効果の付与と、皆様への『呪い』効果の付与となります。
  ただ体力は少ないので、1対1で相対した場合は敵側にかなり不利な状況となります。

・悪霊の僕『妖狸』 x10匹
  悪霊の僕である妖怪達です。
  狸たちは、悪霊の指示に従い積極的に前へと立ち塞がり、敵からの攻撃の盾になるタンク役となります。
  攻撃手段は腹包みを打つ事での自己回復及び、衝撃波を至近単体に放つ事が出来ます。
  攻撃力や防御力は並程度ではありますが、体力がかなり多くしぶとい相手です。

・悪霊の僕『闇鷹』 x10匹
  同じく悪霊の僕の妖怪達です。
  鷹は常に『飛行状態』で行動するので、立ち塞がるなどの行動はあまりい意味を成しません。
  その鋭い嘴と爪で切り裂く攻撃を繰り返します。
  一撃一撃の攻撃力は高く『出血』効果も持ちますが、体力はそこまで高くありません。
  ただ基本的に、彼らの行動はヒットアンドアウェイとなりますので、彼らを足止めしないと攻撃をただ受けるだけになりかねませんので、注意して下さい。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 再現性東京2010:人食いの洞完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年11月24日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

日向 葵(p3p000366)
紅眼のエースストライカー
亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
志屍 志(p3p000416)
天下無双のくノ一
ムスティスラーフ・バイルシュタイン(p3p001619)
黒武護
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
リディア・T・レオンハート(p3p008325)
勇往邁進
金枝 繁茂(p3p008917)
善悪の彼岸
イルマ・クリムヒルト・リヒテンベルガー(p3p010125)
生来必殺

リプレイ

●一通りの道
 再現性東京、都心より結構離れた山中に存在するは、狭く暗い手彫りの洞穴。
 元から車が通行する為に作られたトンネルではあるが……その道路の形状は入口と出口がぐにゃりとカーブしており、見通しが悪いという形状。
 その形状もあり、普通、この様なトンネルでは見られない信号機が、入口・出口共に備えられており、常に相互片道相互通行になっている。
 そんなトンネルに、悪霊達が姿を表したと言う話をなじみから聞き、イレギュラーズ達はその解決の為にこの地へと分乗して向かう、その道すがら。
「さて……今回の仕事は、トンネルに巣くう夜妖を倒す事、か……」
 『“侠”の一念』亘理 義弘(p3p000398)が息を吐き捨てながらそう言葉を紡ぐと、それに『狐です』長月・イナリ(p3p008096)と『紅眼のエースストライカー』日向 葵(p3p000366)は。
「ええ……確かにトンネルは昔、隧道と呼ばれ、墓穴に通じる道を意味していたのよね。怪談や怪奇がトンネル内で多いのは、その意味が原因なのかしらね……」
「そうなんッスね。確かに丑三つ時にトンネルで幽霊が出るって、怪談話としては結構ベターな所突くじゃないっスか?」
 二人が言う通り、トンネルと怪談話というのは、再現性東京の怪談話としても、良く聞く話。
 しかしそんな怪談話に『勇往邁進』リディア・T・レオンハート(p3p008325)は。
「うぅ……深夜のトンネルで夜妖対峙ですか……」
 少し涙目、かつ声も小声。
 ……そんな彼女に『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)が。
「……ん、大丈夫?」
 と心配する様に声を掛ける。
 リディアは、そんな瑠璃の言葉に小声のまま。
「その……無駄に雰囲気が出ていて、これ、その--い、いぇっ!? 決して怖いとか、そういうのじゃありませんとも!!」
 精一杯虚勢を張る彼女。
 そんな彼女にくすり、と笑う瑠璃。
「そう……ならいいけど。しかし閉鎖空間に取り込んでの食餌を捕獲するとか、なかなか用心深い夜妖ですね?」
 確かに瑠璃の言う通り、今回の夜妖はトンネルの中に根城を張り、とあるタイミングで侵入してきた者を異世界へと誘い、封じ込めてから命を狩るという、特殊な戦い方を行っている。
 その異空間の中では、外に声が届くこともなく、人知れずに命を奪われる事となる訳で。
「己のテリトリーに引き込むタイプですか……となると、敵に有利な形に持ち込まれてしまうと厄介ですね」
「そうだねー。丑三つ時にトンネルへ青信号で突っ込むのが出現条件みたいだけどさ、なんでこんな条件なんだろうね。何かあったのかな? 気になるよね」
 『陽色に沈む』金枝 繁茂(p3p008917)に『黒武護』ムスティスラーフ・バイルシュタイン(p3p001619)が戯けた仕草をしてみせる。
 そして葵も。
「そうッスよね……青信号で侵入した車が、逆から赤信号で進入してきた車と正面衝突して、死んでしまったとか……そういう何か因縁があるのかもしれないッスね? とは言え面倒な所に居座られたもんッス。逃げようにもどうしようもねぇわ」
 と肩を竦めると、それに『紅い怨念』イルマ・クリムヒルト・リヒテンベルガー(p3p010125)も。
「ああ。わざわざ怪談話に乗っかって狼藉を働く化け物がいるとはな。物好きもいいところだ。何であれ、どこに隠れようと私の弾丸は逃しはせん」
 その手に備えたビーム銃の砲身を磨くように撫でて、覚悟を決める。
 ……そんなイルマの言葉に頷きつつ、イナリが。
「とりあえず……トンネルと怪異に関しては深く考察しても意味ないから、バケモノ退治をしましょうかね?」
 と皆を促すと、葵、瑠璃、義弘も。
「そうッスね……閉じ込められた人の安否も心配だしな……取りあえず、突っ込んでから考えるか」
「ええ。被害者の規模は果たしてどの程度か……ご存命のまま連れ帰れないならば、バケモノ退治をしなくてはいけません」
「ああ。トンネル内に入り込まなけりゃ倒せないんだ。なら奴らは完全に待ち構えているだろうから、気合い入れて行かなけりゃな」
 そしてリディアが。
「そ、そうね。とりあえず剣で斬れる相手であれば大丈夫です! やってみせますとも!!」
 と言うと。
「ええ……と、あそこみたいですね。一旦止まりましょうか」
 車列の先陣を切る繁茂が車を止める。
 そしてイレギュラーズ達の視線の先には……漆黒の闇の中に、不気味なオレンジ色の灯りが灯る、手彫りの狭いトンネルが姿を表すのであった。

●洞穴に眠る
「さて、と……此処ッスか。確かに……信号機があるッスね」
 まずは、トンネルからちょっと離れた所に車を止めて、トンネルに歩いて近づくイレギュラーズ。
 入口の頭上には、赤、黄、緑の極々ありふれた信号機で、ここが特に細工されている様には見えない。
「ふむふむ……取りあえずここは何かある、って訳じゃないのかな? となると、悪霊達はこの信号機に何かしらの干渉を行ってるんだろうねー」
「だろうな。まぁ空間に影響をおよぼす様な習性を持つのは、そんなに珍しい話じゃないしな」
 ムスティスラーフに頷く義弘。
 一応、それ以外にもトンネルの入口から判るような事が無いかを調査して回るのだが……外から見る限りにおいては、このトンネルには何の不審な点もない。
 つまりは上手い事、極々普通のトンネルに偽装しており……何の罪も無い一般人達が、知る由も無く被害に遭っているという事の証左でもある。
「本当、厄介な事この上無い状態ですね……他の、一般人の乗った車が来る前に、急いで対処しなければなりませんね」
 とイナリの言葉に頷きながら繁茂が。
「そうですね。それでは分乗して、タイミングを合わせて突入しましょうか。錬達での運転は、多少は心得ていますので」
「それは心強いですね。では、私の命は預けます!!」
 目をキラキラさせたリディアが、繁茂の車にそそくさと乗車する。
 それを横目に、葵は。
「オレも誰かに乗せて貰いたいッスね……オレ、免許ないッスから……いや、そもそも混沌って運転免許あんの?」
 と首を傾げるが、義弘は。
「判らねえ。でも、まぁどっかで車を運転してれば、基本的な構造は一緒だったぜ。葵は俺のにのっとくか?」
「そうッスね。それじゃ宜しく頼むッスよ」
 そう葵は義弘が借りてきたレンタカーに乗車。
 他、ムスティスラーフのレンタカーと、イナリは地元のダチコーに借りてきた紅いオープンルーフのスポーツカーにそれぞれ分乗、つまりは四組に別れて乗車。
 そして、ギリギリ信号機が見える所にムスティスラーフの車を止めて……暫し待機。
 数分間、赤信号が灯り続けているが、逆側から車が来る気配は無い。
 そして……赤い信号が、パチッ、と青信号に切り替わると共に。
「さぁ、全力前進です!!」
 とリディアの元気いっぱいの声と共に、ムスティスラーフ、繁茂、義弘、イナリの順でトンネルの中に次々と突入。
 橙色の光が灯るトンネルを、ハイライトを付けたまま走行して視界を確保しながら、進んで行くと……本来左へゆるやかにカーブする所が、右へのカーブに遭遇。
「本当に、道が切り替わっているのか……凄い能力だな」
 とイルマは感嘆の言葉を紡ぎつつ、いつ敵が出てきてもいい様に飛び出せる体勢で待機。
 ……そしてカーブを曲がりきると、今度は直線。
 手彫りのトンネル故、壁はボコボコとしていて、先へ行けば行く程、段々と道が狭くなっていく様な……そんな気がする。
 その道を進んで行くと……。
『……ドンっ!』
 先陣のムスティスラーフの車を襲う衝撃。
 まるで上に、何かが飛び乗ってきた様な衝撃音。
 そして、ハイビームで灯りを照らしていた繁茂の車からは、ハッキリと妖狸が車の上に乗り込んでいるのを見て取れる。
「現れましたよ!」
 と繁茂が叫ぶと共に、すぐにそれぞれの車から飛び出し、姿を表す。
 ……そんなイレギュラーズ達の動きに、妖狸はぴょん、と車を降りて、多少の間合いを取る。
 そして腹包みをポンポンと打つと……それに誘われるが如く、洞窟の奥の方から羽ばたく音を響かせながら闇鷹の群れが出現。
 更に、闇の中からぼんやり、姿を表すのは、真っ白な服装に身を包みし悪霊の女性達。
 立て続けに現れた敵の群れは、明らかにイレギュラーズ達に対する敵視を剥き出しにし。
『……殺す……コロ、ス……』
 と、呪怨を叫ぶ。
 その呪怨により、妖狸と闇鷹のどちらの動きも加速しながら攻撃開始。
 しかし、そんな敵より素早く葵は前線に立ち塞がって、即座にその脚から赤いエネルギーを纏いしボールを蹴り出す。
 狸と鷹へ次々と命中し、体勢を崩させる。
 そして、葵が作り出してくれた隙を生かし、続けて義弘は狸たちをターゲットに収める様な位置に陣取り。
「さぁ……始めさせて貰うぞ」
 その一言と共に、狸共を挑発。
 攻撃しようと前線へと進み出てきた狸たちは、義弘を取り囲み集中攻撃しようと取り囲む……が、義弘の腕が唸りを上げて、取り囲んだ狸共を弾き飛ばしていく。
 弾き飛ばされた所へ、さらにリディアが。
「正直、一人で迷い込んだら怖い事この上なかったでしょうけど……万全の私達には知恵も連携もあるんです! 貴方達に恐れる必要など、どこにもありませんとも! さぁ、覚悟して下さい!!」
 と、口上を述べて狸の怒りをがっつりと惹きつける。
 そして狸たちのターゲットがリディアに向いた所で、その周りで飛び回っている闇鷹を狙うは瑠璃とイナリ。
「体力が低い相手から優先敵に倒す……戦いの常套手段ね」
「ええ。貴方達は体力が低い様ですから、優先敵に倒させて頂きます!」
 二人は仲間達の後方に陣取り、瑠璃は虹の如く煌めく雲を作り出して嗾ける。
 さらにイナリは、己に二つの防護壁を作り出してダメージを最小化する様にした後、異界の神の力を利用し、敵の後陣に瞬間移動。
 そして毒霧を敵後陣に発生させて、纏めて毒を付与していく。
 そう狸と鷹をそれぞれ対処し、残るフリーな敵は悪霊。
 とは言え悪霊はすっ、とイレギュラーズ達との距離を取る事で、攻撃が当たらない様に行動。
 そんな悪霊に向けて繁茂は威風堂々たる雰囲気と共に。
「私の一歩でお前たちは破滅へ一歩近づく。消えたくなければ全霊で掛かって来い!!」
 と悪霊を見据えながら叫び、睨む。
『……コロ、ス……』
 と零す悪霊。
 そこに、超距離に届くイルマの魔弾が一閃。
『っ……』
 撃ち抜かれた彼女、さらにムスティスラーフも。
「さぁ、僕はちょっとやそっとじゃ止まらないよ!」
 と息を限界まで吸い込んでから放つ緑の閃光。
 二人の超距離攻撃は、かなり後方に居る悪霊まで届いてしまう。
 ……とは言え、悪霊達もむざむざとそれら攻撃を受けるのを良しとする訳も無い。
 次の刻には、悪霊達は鷹と狸に声にならぬ指示を与え、自分達を護る様に指示する。
 勿論イレギュラーズ達に対峙されているので、全ての鷹狸が守りに動く事は出来ないが……3人の悪霊達に1体ずつは守護につくべく、飛び回る。
 そんな敵の動きを欺くべく、繁茂はさらに強い口調で。
「お前達はなぜ人を殺める。何が目的だ。意思があるなら答えて見せろ!」
 と厳しい口調で問い質すが……悪霊達は、殺す、殺すと呟くのみ。
 彼らを突き動かすのは、人を殺す事により、自分達の仲間に引き入れようという……それだけの行動原理で動いているのだろう。
「ま、もとより交渉など出来ないとは思って居たからな……ならば、さっさと倒すのみだ」
 そう義弘は拳を鳴らし、眼前で立ち塞がる狸共に、更なる範囲攻撃をぶちかまし、狸の体力をガッツリ削る。
 同時に葵も冷気を纏いし青い蝙蝠の姿をしたエネルギー弾を放ち、狸共がそれ以上悪霊の下へ加勢に行かない様に行動を制限し、そしてリディアが輝剣リーヴァテインを渾身の力で振り落とし、狸一匹を確実に仕留める。
 並行して瑠璃、イナリ、繁茂の三人は闇鷹を纏めて攻撃。
 確りと敵を手分けして仕留める事で、狸及び鷹を十分程で、倒し切る。
「これで良し、っと……さてと、後はあいつらだけッスね。こういう後ろでこそこそする奴には……コレが効くんスよ」
 と葵が悪霊へと一気に間合いを詰める。
 そして、相手を空へ蹴り上げると共に、己もハイジャンプし、空にて対峙すると共に、渾身の一撃を叩きつける。
 ……地面に叩きつけられた悪霊は、既に息絶え動作停止……護っていた筈の狸と鷹も、彼の動きには対処仕切れなかった模様。
「ふん……この程度で絶対の捕食者を名乗ろうだなどと……つけあがるな」
 とイルマが断じ、そのまま執念を込めた連射で周りの者達を追い詰めていく。
『コロ、ス……』
 しかしその言葉に変化は無く、悪霊は恨みで仲間達を強化するので精一杯。
 とは言え強化にも限界はある。
「さぁさぁ、一気に押していくよー!」
 ムスティスラーフが仲間達を鼓舞すると共に、イレギュラーズ達の猛襲。
 単独ではさほどの戦闘能力を持たぬ彼らがそれを上回る事は出来ず……悪霊が先に全て倒されていき、そして鷹と狸も次々と死に絶えていくのであった。

●道の支配者
「ふぅ……終わったみたいだねー?」
 と、安心したかの様に息を吐くムスティスラーフに、瑠璃も。
「……そうですね。さて、と……後は、先の被害者の痕跡があれば、探しておきたい所ですが……」
 そう言いながら、周りを見渡し、死の気配を探る。
 だが……死の気配を感じ取る事は出来ない。
「うーん……気配が無いですね。もしかしたら、彼らが全て喰らい尽くした後、なのかもしれないですね」
「そうですか……それなら、致し方有りませんね……」
 瑠璃の言葉に、イナリは悲しげに言葉を紡ぐ。
 悪霊に食われたか、鷹に其の身を全て啄まれたかは判らないけれど……少なくとも、彼らが作り出したこの異世界のトンネルには、もはや死者の痕跡は消え失せていた。
「ま、仕方ないだろう……それにしても、夜妖が相手じゃ、車の修理代も請求出来ないな……」
 戦いの結果、血がついたり凹んだりしている車体が多数。
 夜妖がつけた、と言っても、再現性東京の一般人達はそんな事を信じないだろうから、修理費は負担せざるを得ない……。
「ま、仕方ないっスよね……というか、主の居なくなったこの異世界も、いつ崩壊するかも判らないッスから、余り長居するのは不味くないッスか?」
 と葵の言葉。
 その言葉が具体化するかの如く、トンネルの天井がポロポロと崩落し始める。
「わわ……い、急いで脱出しましょう!!」
 とリディアが仲間達を急かし、再び車に乗って先へと進む。
 すると、何故か入った所と同じ所に脱出……。
「……ふぅ、どうにかギリギリだったねー」
 と皆を労うムスティスラーフに、イルマも。
「ああ。皆、ご苦労だった。後は注意して帰路につくとしよう」
 と皆を労いつつ、薄気味悪いその場を後にするのであった。


成否

成功

MVP

金枝 繁茂(p3p008917)
善悪の彼岸

状態異常

なし

あとがき

再現性東京の化けトンネル以来に参加頂き、ありがとうございました。
気付かれている方も居るかもしれませんが、モチーフになったとんえるは実際にあるトンネルです。
狭い為に相互一方通行なトンネル……正直な所、通りたくは無いですね……。

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