シナリオ詳細
水底の子守唄
完了
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オープニング
●深い深い海の底
──深海特異点『アトランティカ』
それはとある深い海の世界。
それは愛の光すら届かない闇の海が無限に広がる場所。陸という概念がない水がその世界の全て。
そんな闇の海が更に黒く染っていたのはこの混沌においては一年以上前のお話。
「マリン、マリン!」
「なんですかキオン」
この世界の皇帝たる黒髪が美しい男、深海皇帝イポヴリキオンが一人の女性の愛称を呼べば、『マリン』と呼ばれた少女サブマリンがひょっこり顔を出す。
「お前は疲れない体質なのか?」
「なんですか藪から棒に」
「だってそうだろう! 子供達を卵から孵してから一日たりとも休んではいないではないか!」
「そんな、当たり前ではありませんか! 育児に休暇なんてありませんよ!」
「何を言ってるんだ、休暇とて大事な仕事だぞ。このままずっと付きっきりではお前が参ってしまう! 私はお前が早死するのは絶対ありえないぞ!!」
「そんな大袈裟な……」
「大袈裟なものか!!」
この皇帝と少女、一年以上前は話した事もなければ初対面は最悪だった記録が残っていたが、この様子を見ると夫婦になり子供も出来ている……と言うところでこの世界の時間軸が混沌よりも早い事に気づく。
この世界の時間は混沌よりも五年程先に流れていたのだ。
「全く……あの皇帝様がこんなに心配症だったなんてね?」
「心配性なものか、普通だ普通! お前は休まな過ぎるんだ! お前が疲弊して死んで悲しむのは私だけではないだろう?」
「そりゃ子供達を残して先立つつもりはないけど……」
「なら休め。幸い私は皇帝……子供達の世話をする使用人なら揃えさせられる。お前が頼らなかっただけだがな」
「だって自分で育てたかったんだもの」
「……お前の気持ちは尊重したい。だがな?」
皇帝は寂しそうな表情で妻を見て、そっと抱き寄せれば
「自分を、もっと大事にしてくれ……」
「キオン……」
そんな微かに震えていた声でサブマリンはハッとする。大袈裟だなんて思っていたが、思っていた以上に心配をかけているのだと漸く認識する。
「でも子供達……大丈夫でしょうか? 母親である私の歌じゃないとまともに寝ないのに……」
「うむ。しかしたまには寝かせず遊ばせるのも教育のうちと読んだ事があるぞ。使用人達には苦労をかけるが、な……」
二人は知る由もないだろう。
これから起きる惨劇に……。
●
「先に行ってる特異運命座標の話だとそこは地獄らしい」
「は?」
境界案内人セイジが境界図書館に集まった特異運命座標に開口一番そう述べた。
「今回の仕事は子供の世話だよ。だけどその子供達が少し特殊でね。子供達には少し魔法が使えて、その魔法は……
魔法をかけられた者の無意識で一番なりたい姿に変身させてしまうみたいで」
「無意識????」
ただなりたい人、で収まれば良かったが無意識と来たらしい。それならば心の奥底で本当はこうなりたい……と言う願望が表に出てしまうと言う意味では確かにある意味地獄なのかもしれない。
「子供達もやんちゃ盛りでね。でも二、三歳ぐらいの子達だから勘弁はしてあげてね?」
じゃ、今から送るよ。と言ってセイジは特異運命座標達をあっという間に送り出した。
その後に。
「そう言えば
子供達って何体いるんだろう?」
それはだいぶ重要な情報が抜け落ちていた。
- 水底の子守唄完了
- NM名月熾
- 種別ラリー(LN)
- 難易度-
- 冒険終了日時2021年12月06日 21時45分
- 章数1章
- 総採用数1人
- 参加費50RC
第1章
第1章 第1節
●
「これが海の世界か。口開くのが怖ぇな。海水とか飲んじまったりしねぇか?」
「大丈夫ですよ、あなたの呼吸もこの世界に自然と適応しています」
「なるほどなぁ……」
『特効薬の名は『献身』』松元 聖霊(p3p008208)が普段は頭上に見える事の無い水面を見つめながら。
「で、やる事が子供の世話か」
まぁこのぐらいの事なら、と診療所を経営する聖霊の得意分野だろう。
「任せとけ、診療所に来るチビで慣れて……なんか多くねぇか?」
ただしそれは一般的な人数の話。
「いや、一人二人とかじゃなくて……桁が、違う気がするんだが?? そういや子供の人数聞いてなかったな……」
それでも聖霊はまぁなんとかなるだろうとそのまま子供達の元へ。
「あんまり疲れる遊びは……おい待て何するんだ俺初対面!!」
子供達が数人で聖霊を抑えたかと思えば
「クルクル~~!!」
一人の子供がまるで魔法を唱えるような仕草で指を振る。
「あ……? なんで俺親父の姿になってんの?」
聖霊が瞬きをした瞬間には既に『その姿』だった。
「「にぃにの〜なりたい〜すがた〜きゃー!」」
「何? なりたい姿になる魔法!?
あー、成程。確かに親父は俺の憧れだし目標だわ、うん。ちょっと恥ずかしいが……。
って違う違う」
「こら! 人に悪戯しちゃいけませんってパパやママに言われなかったのか? えー?」
「「きゃー!」」
「まあ、いいけどよ……」
聖霊は疲れたようにため息をついた。
成否
成功
第1章 第2節
●
「ふむ、いい働きを見せた者がいたようだな。子供達も遊び疲れて寝ている子もいる……よくやったと言ってやろう」
「こらキオン、そんな傲慢な態度ではダメです。……ごめんなさい、とても苦労したでしょう? でもお陰でいいお休みを頂けました、感謝しますね」
不服そうにする皇帝の横で、少女サブマリンは申し訳なさそうに頭を下げた。
「お休みもたまにはいいですね」
「そうだろう? だがまぁお前にはもう少し休んで欲しいものだがな、俺にも構え」
「今日充分構いましたよ? ふふ、今日のキオンは甘えん坊ですか?」
「そんなわけないだろ、全く」
そう言いつつも彼はきっと子育てに奮闘する彼女を傍らで見ていて、寂しさを感じていたのかもしれない。
「そういうことにしてあげますよ」
微笑ましそうにサブマリンが笑えば、皇帝はまた不服そうな顔を浮かべたのだった。
NMコメント
月熾です!
『水底の恋心』と言うラノベの派生物になりますが読まなくても楽しんで頂けるかと思います!
●世界説明
深海特異点『アトランティカ』
世界の全てが『海中』となり、人魚と海中生物が平和に暮らす世界。
●目標
子供達と遊ぶ。
(子供達が満足するか否かは成否に関わりありません)
●出来ること
子供達と遊ぶ。
子供達の魔法で『無意識に』なりたい姿へと変身してしまいます。それは不本意な姿になってしまう事もあるかもしれません。
参加していないPC様のお名前は出す事は出来ませんがふわっとした感じにはなれます。勿論同行ペアでご参加であれば同行者名(ID)か同行タグ等を記載の上ご参加下さい。
●NPC
・深海皇帝イポヴリキオン
黒い長髪と翡翠の眼を持つ褐色肌のウツボの人魚。ワイルド系の見た目で元々女性や酒、賭け事にはだらしが無かったが、サブマリンとの出会いで一切が手につかなくなっている。
元々の傲慢で強欲な性格が染み付き過ぎていて、乱暴な言葉ばかりが出る不器用。
サブマリンとはこの五年で愛を育み、結婚し子供が居るまでに発展している。
・皇女サブマリン・マーレ
海花売りを主な生業としており、早くに両親を亡くし働き始めた事から恋愛は諦めてきた少女。皇帝に見初められ城に呼ばれ、そこで皇帝の想いを聞いた事をキッカケに歩み寄り結婚そして子供達に恵まれる。
・子供達
卵生だがちゃんと小さやな人魚のような形状で産まれてくる。
実は数万の子供達がいるらしい。
二、三歳程度の外見だが魔法を使うのが楽しいお年頃。
●サンプルプレイング
【なりたい姿】猫
子供の世話ぁ?なんであたしが!
あたしはこの海の世界に興味があっただけで……ぎゃ?!
なん、猫?!なんで猫なんかに……
(あたしが猫好きなのは内緒なのよー?!)
って、子供がいっぱいこっちに?!ぎゃー!!
ちょ、これは追いかけっこじゃなーい!!
それではご参加、お待ちしております。
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