PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<濃々淡々>ふゆじたく

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●てをつかむ
「はっくしゅん!!」
「あら、風邪を引いたの?」
「あら、風邪になったの?」
「いや、もうすぐ冬だからね……猫は寒いのが苦手なんだよ、桜の精」
「わからないわ!」
「つまらないわ!」
「君達は長いこと生きてるからわからないだろうけど、生き物の命はみじかくて……ちょっと、尻尾を引っ張らないで!」
「誰がおばあちゃんよ!」
「誰が老けてるって?!」
 幼子の顔をした桜の精に絡まれている妖、それが絢。化け猫であり、人の姿をとっていてもやはり寒いのは寒いのだとかなんとか。
 濃々淡々の冬は少しだけ早い。秋が終わればあっという間に冬が来る。雪が降ることが多い世界なので、もうちらほらと雪が降り始める、そんな時期が今だった。
「それはそうと、用事ってなあに?」
「それはそうと、話したいことって?」
 あ、そうだ。なんて呟いた絢は、紙袋の中からいくつかマフラーを取り出して。
「はい。今年の冬は例年より、寒くなるらしいからさ」
「あら、ありがとう!」
「あら、うれしいわ!」
「うん。良かった」
「冬支度の準備を手伝ってくれるのね?」
「冬支度の準備は手伝ってくれないと!」
「え?」
「「さあ、いきましょう!」」
「ちょ、ちょっと!!」
 桜の精霊に腕を掴まれた絢。半ば引きずられるようにして、冬の桜の大木へと連れていかれた。

●あたたかな
「はぁ……」
 なんとか逃げ帰って来たのだという絢は肩で息をして、汗を拭いながら微笑んだ。
「やぁ、久しぶり。元気にしていた?」
 優しく笑った絢。その装いはまさしく冬のもの。
「冬が来ると、一年が終わるんだなって思ってしまうよ」
 一年がまた終わっていく。尊い時間を生きる喜びをかみしめて。
 そうだ、と手を叩いた絢は、人差し指を立てて。きっと彼が持ち込む依頼なのだから、少し変わっているに決まっている。
「おれと一緒に、桜の樹の冬支度の準備を手伝ってくれないかな?」
 なんでも、一人では手がかかるのだという。思えば先程出会った時も肩で息をしていたのだから、相当な重労働なのだろう。華奢な彼がくたくたになるのも頷けるというもの。
「嗚呼いや、子守みたいなものなんだ。こう、たくさんの子供達に揉まれてさ……」
 あはは、と困ったように笑う絢。小さい子供は嫌いではないのに、此処まで疲れているのも珍しい。
「ま、まぁともかく。おれと来てくれないかな。ちょっと困ったことがあってさ……だめかな?」
 しゅん、と肩を落とされては仕方ない。絢の頼みを聞いてあげよう。

NMコメント

 最近は寒いですね。
 ポトフが好きなので、冬が来るとご飯をするのが楽しみになります。
 染です。我儘な子供達を寝かしつけましょう。

●依頼内容
 桜の精を寝かしつける

 冬は寒くて、小さな桜の精達には耐えきれる寒さではありません。
 そのため、あたたかい冬の服を着て、春まで眠るのが常なのだといいます。
 ゆっくりと眠らせてあげましょう。

●ロケーション
 シンボル的大樹、桜の樹。
 その幹にすまう小さな少女たちが桜の精です。

●世界観
 和風世界『濃々淡々』。

 色彩やかで、四季折々の自然や街並みの美しい世界。
 また、ヒトと妖の住まう和の世界でもあります。
 軍隊がこの世界の統制を行っており、悪しきものは退治したり、困りごとを解決するのもその軍隊のようです。
 中心にそびえる大きな桜の木がシンボルであり神様的存在です。
(大まかには、明治時代の日本を想定した世界となっています)

●絢(けん)
 華奢な男。飴屋の主人であり、濃々淡々生まれの境界案内人です。
 手押しの屋台を引いて飴を売り、日銭を稼いでいます。
 屋台には飴細工やら瓶詰めの丸い飴やらがあります。
 彼の正体は化け猫。温厚で聞き上手です。

●桜の精
 きらきらしたもの、おいしいものが大好きな子供達。
 女の子も男の子もどちらもいます。
 春の精霊ではありますが、雪を見るのが好きなので『夜更かし』してしまうみたいです。

●サンプルプレイング(絢)
 さぁ、万歳して。こっちの服に着替えようね。
 そのあとはご飯にしよう。旅人にしちゅーなるものの作り方を教わったんだ。

 以上となります。
 皆様のご参加をお待ちしております。

  • <濃々淡々>ふゆじたく完了
  • NM名
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年11月14日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

十夜 蜻蛉(p3p002599)
暁月夜
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
ココロの大好きな人
ネーヴェ(p3p007199)
星に想いを
キルシェ=キルシュ(p3p009805)
光の聖女

リプレイ

●迎冬
「ついこないだまで暑い言うとったと思たら、もう冬やて……早いわぁ」
 こてり、首を傾げた『暁月夜』蜻蛉(p3p002599)は瞬いて。
「ほんと、なんだかびっくりしてしまうよね。こんなに早く冬が来るなら、おれも冬の準備を早めにしておくんだったよ……はぁ」
「絢様が、そのようにお疲れなのは、珍しい、ですね?」
 思わず漏れたのであろう溜息を聞き逃さず、『うさぎのながみみ』ネーヴェ(p3p007199)は友の珍しい姿に眉根を寄せて。
「まぁ、桜の精たちがお転婆なのは今に始まったことじゃあないからさ。ただ、おれ一人だとどうしてもね……」
 苦笑をこぼした絢。温厚な彼はあまり『叱る』ということができないのだろう。桜の精のお転婆に振り回されている姿が簡単に想像できそうだ。
「ま、それも数日で終わりさ。今日皆が来てくれたのは、ほんとうに助かったよ……」
「絢様はどうか、休んでいてください。わたくしたちが、暫し…相手をします、から」
「うん、ネーヴェがそういってくれると安心だ」
「桜の精霊さんも、冬の間はお休みするんね」
「そうだよ。一応、桜は春の花だからね」
 桜の花弁が舞い踊るこの世界は、常に桜が満開だった。桜の精霊たちの努力の賜物なのだろう。
「桜の精さんたち、みんな元気いっぱいなのね! ルシェより小さい子がいっぱい!」
 嬉しそうに笑った『リチェと一緒』キルシェ=キルシュ(p3p009805)。決意は固いのだろう、気合も十分だ。
「ルシェの弟、急に大きくなってあんまりお世話出来なかったの! だからルシェより小さい子のお世話出来るの嬉しいわ!」
 準備は各々してきた。万全だ。
 桜の精との小さな戦いが今、はじまろうとしていた──


「初めまして! わたしはキルシェです! みんなのお名前教えてくれるかしら?」
 桜の精たちに目を輝かせたキルシェは、にこにこと笑いながら桜の精達のもとへ。
「キルシェは頑張るなあ。よし、おれも」
 と立ち上がった絢に、キルシェは首を振った。
「絢お兄さん、疲れてるみたいだから休める時は休んでね? みんなの遊び相手はルシェたち頑張るわ!」
「絢くんがくたびれた所なんて、滅多に見れんから貴重やわ……と、こほん。この人数を一人で引き受けるんは流石に大変、あとはうちらに任せてね」
 得意げに鼻を鳴らしたリチェルカーレを撫でながら、キルシェは頷いて。蜻蛉は桜の精たちの人数に改めて驚いて。ほっと胸を撫でおろした絢は、笑って頷いた。
「なら、お願いしようかな」
 絢も近くに腰をかける。が、それを放っておかないのが桜の精たちだ。結局精霊たちの波にもまれて、溺れていた。
「こんにちは。すっかり寒くなりましたね。お洋服も、もこもこにしませんか?」
 お洋服? と首を傾げた桜の精たちにくすくすと笑みをこぼしたネーヴェ。用意してきたのだというあたたかそうな装いに、ぱぁっと目を輝かせた精霊達。
「精霊様だけど、子供の姿だから…寝相、悪かったりするのでしょうか。
 風邪をひかないように、寝るときは、もこもこふわふわの、腹巻きも…用意しておきましょう」
 キルシェと蜻蛉に手伝ってもらい、ひとりひとり着替えを手伝う。
「お布団へ入る前にお着替えしましょか、はい万歳して? うん、おじょうずさん」
 ばんざーい! と手を挙げた精霊達にひとりひとりあたたかい寝間着を。
「まぁ……なんて可愛らしいあんよ、自分で履けるんね、えらいわ。寝る時に足が冷えて、寒い夢を見ませんように」
 その間に。
「いいこいいこ…いいこ達。思う存分楽しんで、満足したら暖かくして眠りましょうね」
「はぁい!」
 桜の精たちは『嫉妬の後遺症』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)の声に頷いた。
「体を温めて、お腹がいっぱいになれば眠りやすくなるかもしれないのだわ」
 家事全般も料理も得意なのだという華蓮は、いくつか持ってきたのだという料理用の道具を詰めた風呂敷を広げた。
 四人で連携すれば怖いものなしだ。火は危ないから、と華蓮が気を付けるように促せば、小さく頷く精霊達。
「そうね……じゃあせっかくだから、ポトフにしましょうか」
「ぽとふ?」
「ここは和なお国だったのだわ……おいしいおすいもの? みたいなものなのだわ!」
 精霊たちの間から歓声が漏れた。はらぺこなのだろう、わくわくそわそわとしている。
「白菜とポテトとニンジンと……鶏肉はお好きかしら? 嫌いなものはないかしら? ブロッコリーは食べられる? たまねぎは大丈夫? 好きなものも教えてね」
「おにくすき!」
「おやさいはきらい!」
 口々に言い合う精霊達。くすくすと笑った華蓮は頷いて。
「本当は好き嫌いは良くないのだわよ? 今日だけ特別、皆の好きなものばっかりで作りましょうね。
 皆の好物がうまく噛み合わなかったら、二つでも三つでも別々のお鍋に作れば良いのだわ」
「やったぁ!」
 きゃあきゃあと喜ぶ精霊達を華蓮は微笑ましく見守って。
「ほらほら皆、気分転換に一緒にお料理してみるのはどうかしら?」
「おりょーり?」
「そうなのだわ。美味しいご飯、みんなで作りましょう?」
「うん!」
 華蓮の前までやってきた精霊におたまを渡して。後ろから一緒に、鍋を混ぜる。
「いいこいいこ、上手なのだわ。ゆっくり優しく、美味しくなーれーってお祈りしながらかき混ぜるの」
「わぁ!」
「ぼくもぼくも!」
「わたしもわたしも!」
 普段は食事という行為をしなくても大丈夫なだけで、ご飯があったら普通に食べる。そういうものなのだろう。美味しそうだとはしゃぐ精霊達が細すぎるなんてことは無く、普通の幼子のようだった。
「さ、できたのだわ! さあさ皆、召し上がれ。ちゃんとお手々を洗ってからね」
「はぁーい!」


「さぁ、お姉さんたちと一緒にいくのだわ!」
「沢山遊べば、疲れて、眠くなりやすいかも。遊びたいことを聞いて、眠くなるまで、付き合いましょう」
「まずはお布団に入りましょ! あったかいから、幸せになれるわ!」
「眠くなってしまえば、いくらぐずろうとも、ふかふかのお布団には抗えないのです。さあ、さあ。今日はお休みなさい、ですよ」
 こくり、頷いた精霊達は、列をなして布団の中へ。くすくす笑った蜻蛉は、小さなゆきだるまのぬいぐるみを添えて。ボタンの花を飾った、小さなぬいぐるみを。
「今日は残念ながらおらへんけど、きっと雪だるまさんも、あなた達に逢いたかったと思うんよ、んふふ」
「また会える?」
「うん。待っとったら、逢えるよ」
「それに……ほら」
 ネーヴェが空を見るように促す。
「みんなは雪が降るのを見たくて頑張って起きてるの? なら、今日は良い子のみんなにルシェからのプレゼント!」
 キルシェが手を空へ広げる。
 ふわり、ふわり。雪が、ちらつく。
「わぁ、雪だわ!」
「ほんとう、雪だわ!」
「このままいい子で眠っていれば、赤い聖人様がプレゼントをくれるかもしれません」
「なら、寝ましょう!」
「うん、寝ましょう!」
「今日でいったん逢えなくなるけど、また、春は来るものね。その分今日は寝る時まで一緒よ」
 とん、とん。優しい手が、桜の精たちを眠りへと導いて。
「また、春に会う日まで……おやすみなさい」
「季節は巡り巡って、暖かな春が来て、花は咲く。また、あの綺麗な桜を見れる日を楽しみにしとりますよって。
 その時までゆっくり、おやすみなさい」
「おやすみなさい。また会いましょうなのだわ!」
「お休みなさい。また次の春に、元気な姿を見せてね」
 キルシェは桜の精霊たちと一緒に、夢の中へ。
「あらあら……誰かさんの寝息が聞こえて来たけど、しばらくはそっとしておきましょ」
「ふふ、はい」
「今日は頑張っていたもの、ゆっくり寝るのがいいのだわ」
 ドリームシアター。夢の一幕。けれど夢は夢で終わらない。
 眠った桜の精たちを撫でるように、柔らかな白雪が降り始めた。


「おれも寝てた……さて、帰るかな」
「絢くん、ぐっすりやったよって。キルシェちゃんが起きひんさかい、おぶってもらってもええ?」
「うん、勿論。よいしょ、っと」
 キルシェを軽々背負った絢。うとうとしているネーヴェと華蓮を起こして、五人は桜の樹を降りる。
「今日はありがとう。すごく助かったよ」
「精霊さんたち、いつもあんなに元気いっぱいなのかしら。いいことなのだわ!」
「今年は少し寒くなるのが早いから、そわそわしていたんだろうね。華蓮の料理があって何よりだ」
「はい。とても、美味しかったです!」
「あれ……ここは?」
「ああ、キルシェ様。おはようございます。今は、帰るところですよ」
「そっかぁ……もう少しだけ、寝るわ」
「ちょ、ちょっと、キルシェ!」
 和やかな一日は、まだ終わる気配はなく。

成否

成功

状態異常

なし

PAGETOPPAGEBOTTOM