PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<lost fragment>こうして世界は__に包まれました。

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●正義とワールドイーター
 正義国は、既に侵略されていた――。
 正義国の大司教、アストリアが構築した『短期未来予測術式』『【偽・星読星域】(イミテイション・カレイドスコープ)』。その星よみの結果が見せたものは、国土の7割を虚空に飲まれた正義国と言う痛ましい現実だった。
 敵、『ワールドイーター』達は、世界のデータを喰らい、食らったデータをもとにでたらめな『バグの世界』を生み出し、正義の国土を侵略していたのだ。
 データが食らわれたことによって生じた世界の歪みを認識できるのは、限られたわずかな住民――そして、イレギュラーズである。
 イレギュラーズならば、バグを認識し、対抗できる。ワールドイーターに奪われた地を奪還すべく、正義国はイレギュラーズに協力を仰いだ。

「勇者の――イレギュラーズの諸君。協力に応じてくれたこと、感謝する」
 イル・フロッタ(p3n000094)は、招集されたイレギュラーズたちを大聖堂前で出迎えた。
 正義国の中でも異変(バグ)を認識できる数少ない存在――イルもその1人であり、イレギュラーズにとある情報をもたらす。
「正義領内の辺境の村で、妙なことが起きている――」
 イルは騎士らしい凛とした態度で、本題について語り出す。
 辺境の複数の村で、その異変は確認された。いつからそうなっていたのか、村人全員が視力を失う事態が起きていたのだ。しかし、村人はもともと全盲であったかのように暮らしている。その一帯は全盲の人々の共同体と化していた。
「――全員が昔から全盲だったというのは、有り得ない話だ。あの辺りの村でそんな話は聞いたことがない」
 イルは渋い表情を覗かせながら、ワールドイーターの仕業に違いないと語る。
 イルの調査によれば、初めからそこに目玉など存在しなかったかのように、村人らの眼窩は皮膚に覆われていたという。
 失われた村人の目玉――食らわれてしまったデータを取り戻すためには、ワールドイーターを倒すことが不可欠である。
 ワールドイーターが生み出したバグの世界――『異界』へとつながる入口の場所について、イルは地図の写し書きを示して詳細を伝えた。
「――この村の一本杉のすぐそばに、モザイク状の切れ目というか、境界が存在している。そこを潜った先に、ワールドイーターがいるはずだ」
 イルはイレギュラーズに向けて、重ねてワールドイーターのせん滅を願い求めた。

●モザイクの切れ目の先――
 モザイク状の切れ目は、イレギュラーズを誘うように出現していた。濃霧なようなものに包まれて見通せないその先へと踏み込めば、正義の村の光景とはまったく異なる空間が広がっているのがわかった。
 ワールドイーターが生み出したバグの世界――そこはまるで美術館の中そのものだった。壁には標本のためのケースが整然とかけられているが、中身は空っぽだった。しかし、更に奥へと進んだ先には、中身が飾られた標本箱が見えた。標本箱の中には、無数の球体が規則正しく並べられていた。
 遠目からは球体に見えたそれは、何百もの数の眼球だった。ワールドイーターは自らが食らったデータによって異界を作り出す。これら眼球もすべて、ワールドイーターが収集したデータを現わしているのだろう。
 更に奥のフロアには、標本以外の作品が展示されていた。7体の悪魔を模した彫像と共に、展示室の中央にはあるものが飾られていた。それは等身大の球体関節人形で、燕尾服を着せられている。また、大きく強調された人形の両目は、スプレー塗料で塗り潰すように大きなバツ印が描かれていた。
 アンティーク調の椅子に据え置かれていた人形だったが、侵入したイレギュラーズの気配を察知したかのように、唐突にその頭をもたげた。すると同時に、周囲の彫像も動き出し、侵入者に対して明かな敵意を向けてきた。

GMコメント

●R.O.Oとは
https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline


※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
 『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。


●『死に戻り』について
 付近のサクラメントは、バグの世界に取り込まれているものが多いです。
 戦線復帰には10〜15ターン程度かかります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●シナリオ導入
 あなたたちは正義からの要請を受け、ワールドイーターが巣食う異界へと向かった。そこは美術館の展示室のような場所で、人形の姿をしたワールドイーターに遭遇する。
 バグの世界の核であるワールドイーターを倒し、元の正義の世界を取り戻しましょう。

●成功条件
 ワールドイーターのせん滅。

●敵について
 動く悪魔の彫像(配下)7体と、動く等身大の球体関節人形(ワールドイーター)を含めた計8体。
 彫像の攻撃は物至単のみ。
 ワールドイーターは体のあちこちに仕込み刃(物近単)を備えている。また、開く形状になっている口からは吹き矢(物中単【毒】【麻痺】)を連続で放つことができる。加えて、スプレー缶のようなもので塗料を噴射し、宙にバツ印を描くことで相手へ攻撃を放つ。(神遠範【呪縛】【暗闇】)

 個性豊かなイレギュラーズの皆さんの参加をお待ちしています。

  • <lost fragment>こうして世界は__に包まれました。完了
  • GM名夏雨
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年11月18日 22時36分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

グレイ(p3x000395)
自称モブ
梨尾(p3x000561)
不転の境界
リュート(p3x000684)
竜は誓約を違えず
樹里(p3x000692)
ようじょ整備士
ジリオライト・メーベルナッハ(p3x008256)
D.S.G.P.
カノン(p3x008357)
仮想世界の冒険者
黒子(p3x008597)
書類作業缶詰用
ルージュ(p3x009532)
絶対妹黙示録

リプレイ

 美術館のような展示室を抜け、イレギュラーズの8人は更に奥へと向かった。そこで美術作品のように展示された等身大の球体関節人形――ワールドイーターと、そのけん属である動く彫像たちと対峙する。
 ワールドイーターが生み出した異界に至るまでの道中、『絶対妹黙示録』ルージュ(p3x009532)は目玉を奪い取られた村人の姿を垣間見た。その姿を思い返すルージュは、渋い表情で剣を握り直す。
「完全に存在ごとデータを奪われるのは何度か見て来たけど、目玉だけ奪われるってのは悪趣味すぎてヘドがでるぜ」
 剣を構え、悪魔を模した彫像との距離を測るルージュは、ワールドイーターへの怒りをにじませてつぶやいた。
 額に生えた角、コウモリのような翼を広げて低空飛行を続ける彫像らを指して、『仮想世界の冒険者』カノン(p3x008357)はつぶやく。
「悪魔の彫像……ガーゴイルでしょうか?」
 それぞれの彫像の動きを注視しつつ、カノンは自らの戦闘力を引き出すと同時に言い放つ。
「――そんな物に臆す私達ではありませんよっ」
 カノンの一言を皮切りに、双方は広いフロアを散開して交戦を開始する。
 『ここにいます』梨尾(p3x000561)は真っ先にワールドイーターである人形を狙い、自らの炎の力を発揮する。梨尾から勢いよく放たれた炎は、一瞬にして人形の姿を覆い尽くした。だが、人形はまとわりつく炎にも屈することなく梨尾へと襲いかかる。
 強度を高めた傘を武器として扱う梨尾は、傘を剣のように構えて人形の飛び蹴りを受け止めた。流れるような動作で押し退けられた人形は、空中で巧みに身を翻して着地する。その間にも、梨尾に続く者らは続々と彫像へ攻めかかり、混戦を極めていく。
「目標選択――」
 『書類作業缶詰用』黒子(p3x008597)は自身の務めを忠実に果たそうと、どこか役人らしい事務的な――無駄のない動きで、彫像の対処に当たる。
 黒い礫(つぶて)をその手から自在に打ち出す黒子によって、石こうの体にヒビを刻まれる彫像は大いに怯んだ。
 ここに向かうまでに大量の目玉の標本を見てきた『食いしん坊ドラゴン』リュート(p3x000684)は、不気味な異界の空間を前にして尻尾を巻いていた。
 ――負けたら目玉を取られるッスかね。わ、悪いことは考えないッス。考えるなら食べ物がいいッス!
「目玉よりも、目玉焼きがいいッス! どーんっ!」
 リュートは多くの彫像に向けて無数の光弾を放った。避け切れないほどの光弾が彫像の表面を打ち砕き、石こうの破片が辺りにボロボロと散らばっていく。
 彫像を圧倒するリュートの攻撃に乗じて、『D.S.G.P.』ジリオライト・メーベルナッハ(p3x008256)も己の拳を武器に立ち向かう。
「全部まとめて、ブチ壊してやる!」
 気炎をあげるジリオライトの拳は電流を帯び、激しく瞬く雷電と共に、凄まじい勢いで彫像の体を突き砕いた。
 最年少女児な見た目の『シュレディンガーのようじょ』樹里(p3x000692)は、イレギュラーズの勢いをくじこうとする彫像の動きを見極め、的確な判断で彫像の攻撃をかわしていく。
「おめめのびじゅつかんよりも、パンツのほうがぜったいにじゅよーがありましたね」
 まっすぐな眼差しでふざけた発言をする一方で、樹里も彫像を仕留めようと標的の動きを見定める。
 他の者が彫像に攻撃を畳みかける間、梨尾はできる限り人形の注意を引きつけようと、
「悪趣味な標本ですね。貴方に感情は存在せず、ただ集めたデータを分かりやすいよう置いているだけかもしれませんが――」
 梨尾の言葉に反応したように、人形は右腕の部分を外し、腕の関節の先に仕込まれた鋭利な刃を見せつける。
 刃を構える人形にも臆することなく、梨尾は挑発を続ける。
「燕尾服を纏った紳士がやる事じゃないです。ゲスとか外道が付く紳士を目指してるなら言う事は無くなりますが……」
 人形の格好を揶揄する梨尾の言動を理解しているのか、人形は梨尾に対して猛然と刃を振り向ける。その勢いに気圧されることなく、梨尾は刃を振る人形に食い下がる。
 梨尾と人形の攻防に注意を向けつつ、『ハンドルネームは』グレイ(p3x000395)は全体の状況把握に努める。
 ――目を奪う敵……ということは、俺たちの視界も奪ってくるってこと?
 グレイはワールドイーターの未知の能力を警戒しつつ、仲間に向けて治癒の力を発揮することで、戦線の維持を続けた。
 次第にイレギュラーズの攻撃は激しさを増していき、2体の彫像が粉々に崩れ去るほどだった。
 カノンは彫像に向けて弾幕を張るほどの無数の魔弾を一気に射出する。カノンが繰り出す魔弾は対象を撃ち漏らさず、彫像の体にはいくつもの亀裂が走った。
「『この体は無限の受理』――」
 ささやくような樹里の声は強力な言霊と化し、その魔力を自在に彫像の体に刻む。光輝く文字の羅列のようなものが彫像の表面に浮かび上がった瞬間、生じた爆発によって彫像の姿は完全に崩れ去った。
 更に激しく攻めかかろうとするルージュの剣は神々しく輝き、一際瞬く光を放つ。その直後に鋭く振り抜かれたルージュの一太刀は、衝撃波となって彫像の1体へと襲いかかる。その彫像の腕の一部を切り崩した勢いのままに、ルージュの斬撃は更にもう1体の彫像にまで達した。
 人形は、炎の力を操る梨尾に翻弄され続けていた。正攻法で挑むのは厳しいと判断したのか、人形は残る4体の彫像の間に紛れるようにして、梨尾の攻撃から逃れようとする。
 すばやく距離を取った人形に向けて、梨尾は燃え盛る炎弾を放つ。彫像は梨尾の攻撃を阻むように飛び出し、炎弾を受け止める。彫像の体を深く削ると同時に、その炎弾からは激しく火花が飛び散った。あまりにも激しい火花の勢いに対し、周囲の彫像や人形は一斉に退避する。
 彫像の数をある程度減らしたところで、人形に向けて攻撃を展開しようとする樹里とカノン。カノンが放つ無数の魔弾の弾幕にも怯まず、人形は自らの周囲に瞬時にスプレー塗料を撒き散らす。宙に滞留する塗料は膜のように人形を覆い、バリアのような役目を果たして攻撃を防いだ。
 神聖な言霊の力を引き出そうと樹里は口を開きかけたが、人形の周囲の塗料に違和感を覚えて身構える。
 人形を中心にして放射状に広がった黒い塗料は、激しい衝撃と共にイレギュラーズを襲った。
 何かが吹き付けられる感覚と、衝撃を受け止めたジリオライトの視界は暗転する。それでも構わずに、ジリオライトは他の感覚を頼りに敵を迎え撃とうとした。
 ジリオライトは接近する彫像の気配を感じ取り、大きく身を逸らして拳をかわした。すると、彫像は振り向き様に自らの翼でジリオライトの体を打ち据える。石こうの翼に弾かれたジリオライトは、「くそっ!」と悪態をつきながらも身構え続けた。
 黒くかすむ視界に悪戦苦闘しながらも、ジリオライトはしつこい彫像の攻撃に懸命に対処する。人形はそのジリオライトを狙って動きを見せた。
 くるみ割り人形のようにぱかっと開いた人形の口から、瞬時に発射された鋭利な針がジリオライトへと向かう。
 剣と盾を手にしたグレイは、その攻撃を阻むようにジリオライトとの間に踏み出した。自らの盾で連続で射出された針を弾き、グレイは更に聖なる加護を帯びた剣の力を引き出す。グレイの剣からあふれる癒しの力は、ジリオライトを含む周囲のイレギュラーズを包み込む。
 グレイの能力によって完全に視界が晴れたジリオライトは、透かさず反撃を試みる。
「好き勝手やりやがって! くたばれ!!」
 そう言って、ジリオライトは一挙に彫像へと距離を詰め、紫電を帯びた拳を突き出した。ジリオライトの拳は強烈な一撃を放ち、4体目の彫像が粉砕された。
 人形はイレギュラーズの勢いをくじこうと、攻勢を強めていく。イレギュラーズの視界を奪おうと、スプレー塗料を噴射し続ける。衝撃波となって広がる黒い塗料に翻弄されつつも、グレイは自らの能力を駆使して周囲の者の傷を癒す。
 視界を覆う塗料をかき消すために、リュートや黒子らも支援の手を伸ばす。リュートは小動物のように愛らしい鳴き声を発しながら、治癒の能力を発揮する。その手の中に霧状のエフェクトを発生させる黒子は、同様に癒しの力を送り込んでいく。
 梨尾は塗料を噴射し続ける人形の動きを見極め、武器である傘を構えて反撃の動きを見せる。広げた傘で迫り来る塗料の衝撃波をはね除け、梨尾は自身の間合いに人形を捉えた。
 人形は炎を放つ梨尾の攻撃に反応したが、炎が塗料に作用するように強烈な爆発に巻き込まれる。吹き飛ばされる人形は宙に体を踊らせた。
 攻撃の機を窺いながら、カノンは心中でつぶやく。
 ――所業といいその様相といい、あちらにも何かしら壮絶な訳があるかもしれません。
「――が、それはそれ! 如何なる理由があろうと、村人たちは元に戻してもらいます」
 人形を狙って、カノンは瞬時に無数の魔弾を放つ。
 人形は全身を回転させ、より多くの魔弾から身をそらしながら、カノンの下へとまっすぐに落下していく。魔弾の弾幕を突っ切り、カノンへ飛びかかろうとした人形だったが、グレイはその目の前に飛び出した。カノンへの攻撃をそらすグレイに対し、人形はそのまま組み付く。
 強靭な力で人形を押さえつけようとするグレイに向けて、人形は開口部から針を発射した。グレイは直前で人形を押し退けたが、わずかに人形の動きが上回る。
 グレイは冷静に態勢を整えつつ、針を突き立てられた自身の体の異変に気づく。
「ん? やはり毒針か……」
 グレイは手足に痺れを覚えながらも、更に食い下がる人形の追撃に対処する。腕から生えた刃を振りさばく人形と、盾を掲げるグレイとの挙動に差が生じ始めたとき、弾丸のように放たれた黒い礫が人形を捉えた。
 黒子の放った礫は、人形のこめかみ部分に亀裂を刻み、グレイはその衝撃によってよろけた人形からすばやく距離を取った。
 人形は頭を真後ろに回転させ、妨害した黒子の姿を視界に捉える。イレギュラーズに集中していた人形だったが、残る2体の彫像が破壊される直前という状況に気づく。
 彫像に立ち向かうルージュの太刀筋は、凄まじい勢いで彫像を突き飛ばし、その弾みによってもう一体の彫像へ激突させる。瞬時に距離を詰めたルージュは、重なった彫像2体の体を一太刀で粉砕して見せた。
 わずかな間に崩れ去った彫像を見つめる人形は、一瞬その動きを止めた。梨尾は透かさず自らの間合いに人形を捉え、燃え上がる炎の脅威で更に人形を追い詰めようとする。
「……自身の目を塗りつぶされたからって他者の目を奪っても、つけられないなら意味がないじゃないですか」
 梨尾は絶えず人形の注意を引きつけようと、挑発を繰り返す。
「――こんな事する前に、石鹸や洗剤で顔を擦り洗っては?」
 意志疎通の手段が内容に思われた人形のワールドイーターだったが、梨尾の言葉に反応を示すように、頭のパーツをガタガタと激しく揺らした。梨尾に向かって飛び出した勢いのままに、人形はその苛烈な太刀筋で裂傷を刻もうとする。しかし、彫像がすべて破壊された状況下では、イレギュラーズの攻撃は人形へと集中する。
「村人たちの目玉、返してもらうぜ!」
 そう言い放つルージュは果敢に攻めかかり、イレギュラーズは一様に攻撃に拍車をかける。持てるすべての力でイレギュラーズに報いようと、人形も必死の抵抗を続けた。
 攻撃を集中させるイレギュラーズに対し、人形も決死の力を引き出し、相手を押し返そうと奮戦する。放射される塗料の攻撃を越えた先でも、剣戟を繰り広げる人形は極限までイレギュラーズに抗う。
 人形の攻撃に翻弄されながらも、リュートは自身を奮い立たせる。
「簡単に倒れるわけには行かないッス! 沢山たくさん遊ぶッス!」
 「ぎゃうーっ!」と鳴き声を発したリュートは、同時にその手に魔弾を発現させて人形を狙い打つ。
「支援行動に切り替え、散布開始――」
 そうつぶやく黒子を中心にして広がる濃い霧は、空間を滑るようにして傷を負った者の下へ達し、癒しの力で包み込む。
 イレギュラーズは力を結集させることで、異世界の核であるワールドイーターに全力で挑む。
 わずかでもイレギュラーズに報いようとする人形の攻勢は衰えず、両者共に限界に達するデッドヒートを繰り広げる。
 デスカウントと引き換えに離脱する者も出始める中、樹里は聖句となる言葉を繰り返し人形に向けてささやいていた。
「『芸術は爆発だ』――」
 樹里の強力な言霊は、聖なる響きを以って人形に影響を及ぼす。人形は、体を仰け反らせるほどの見えない力に苦しみもがき始めた。
 ようやく動きを鈍らせた人形に対し、ルージュは自らの刃を閃かせる。人形に向けて突き出されたルージュの剣は、その体の中心を激しく貫いた。
 バラバラと飛び散る断片と共に、人形は力なく床に倒れ伏した。ワールドイーターが力尽きると共に、主を失った異界は地鳴りと共に崩壊の兆候を見せる。
 壁から天井へと次々に亀裂が走る様を見ていた樹里は、ドーム上になっている展示室の天井に気づいた。その天井を見上げる樹里は、あるものを連想する。
 ――めがたくさんあるこのくうかん……ここもまた、眼孔の中ということでしょうか。
 樹里は再度自身の言霊の力を引き出そうと、精神を研ぎ澄ます。
 ――それならば。このせかいを、この受理でうめつくして。ついでにとびだしておおってしまうのも一興かもしれませんね?
「――『この体は無限の受理で出来ていた』」
 崩れる天井を前にした樹里は、その能力によって、輝く無数の文字の羅列を展示室全体に刻んだ。イレギュラーズの頭上に迫ろうとしたガレキが粉砕されると共に、まばゆい光が視界を覆った。

 しばらくして、周囲の空気の変化に気づいたイレギュラーズは、まぶたを開く。そこは村はずれの一本杉の前だった。そこに存在したはずのモザイク状の切れ目は、跡形もなく消え去っていた。
 イレギュラーズ一行はワールドイーターの影響を退けたことを確かめるために、最寄りの村を目指した。その道中、何やら顔を覆って立ち尽くす村人らしき女性を見つける。
 イレギュラーズに声をかけられた女性は、両目を覆っていた手を外し、その目で確かに相手の姿を認識した。
「ご親切に、ありがとう。なんだか急に景色がまぶしく感じたのだけど……もう大丈夫よ」
 そう言って、女性は以前と変わらぬ村の日常に戻っていく。
 ルージュは一通り村を見て回りながら言った。
「良かったなー。あの人達はたぶん問題が起きていた事すら覚えてねーと思うけど。それでも、無事に治って本当に良かったと思うぜ」

成否

成功

MVP

梨尾(p3x000561)
不転の境界

状態異常

グレイ(p3x000395)[死亡]
自称モブ
梨尾(p3x000561)[死亡]
不転の境界
ジリオライト・メーベルナッハ(p3x008256)[死亡]
D.S.G.P.

あとがき

 ご参加ありがとうございました。
 ワールドイーター、GMの趣味が反映されやすいというか、こういう敵と戦うからこそ映えるイレギュラーズの戦い!的なのを創造したくなります。

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