シナリオ詳細
むきゃむきゃふぇすてぃばる
オープニング
●むきゃむきゃふぇすてぃばる
「ムキャー!」
「ムキャー!」
――その光景は控えめに言っても地獄であった。
伝承国の街中にて、あるエネミーデータが暴れまわっている――その手には鉄パイプや木製バットなどが持たれており、各所の窓を叩き割ったりしているのだ。まるで思春期の不良行為に見えない事もないが……しかし『そのエネミーデータ』とは非常に特徴的な姿をしていた。
全身からは黒いオーラが巻き上がり、眼は爛々と輝いているも――間違いない。
それはリリファ・ローレンツ(p3n000042)の姿であった。
いや、正確には現実のリリファよりも身長が大分小さく、大の大人の半分もないぐらいのサイズであるが。しかし奇妙な事に『それ』は一体だけではない……二体、三体、五体、十体……いや数え切れないほどの数がこの街に湧いていて――
「こらー! 貴様ら何をしておるか……ぐぁ!!?」
「ああっ、隊長――!!? おのれ隊長の仇……ぎゃッ!!」
「ムキャー!!」
やがて騒ぎを聞きつけた伝承国の憲兵隊が駆けつけるも鉄パイプで一蹴される。
これだけの数が発生しているのはR.O.O特有のバグか何かかもしれないで説明が付くが……しかしそもそも一体どうしてエネミー・リリファは暴れているのか。彼女たちは何も語らない。ただ只管に『むきゃむきゃ』と言いながら街を練り歩いて破壊活動を繰り返している。
「ムキャー!」
「ムキャムキャー!!」
「うわああああ駄目だ、一度退け――! 後方で態勢を立て直すんだ!!」
あまりの数の暴力。思わず憲兵隊も逃げ出す勢いだ。
その後ろ姿を複数のエネミー・リリファが執拗に追っていく――やがて走り去っていった方で憲兵隊らの悲鳴が轟け、ば。
「いやちょっと! おかしいじゃないですか、なんで私のコピーが暴れてるんですか!! しかもこんな大量に!! おかしいですよねファーリさん!! 私あんなに乱暴じゃないですよね!!」
「いや俺に聞かれても……」
偶然、街を訪れたルナ(p3y000042)はファーリ(p3y000006)へと抗議の声を荒げるものだ――いや本当になんであんなのが湧いているのだか……まぁR.O.Oの世界となればなんでもあり、とは分かっているが。
「ふぅ、ふぅ……これじゃあまるで私が狂暴だって言うイメージが付いてしまいそうです。これはいけません、私の偽物たちを全て片付けて一刻も早くこの街に平和を取り戻さねば!! アチョ――!!」
「あっ、こらルナ! そんな無防備に姿を晒したら……!!」
とにもかくにも納得いかぬルナは武器を掲げてエネミー・リリファへと突っ込む――慌てたファーリが彼女を止めんとする、が。その前にルナが奴らへと攻撃を仕掛ける方が早かった――さすれば。
「ムキャー!!?」
「あ、あれ? 弱い!? 一撃で消えちゃいましたよこいつら!」
なんと憲兵隊を一蹴していたエネミー・リリファは、今度はルナに一蹴された。
……どうも防御力は非常に脆い様だ。あるいはこいつら、NPCには強いがプレイヤーには弱いのだろうか……? あっ、鉄パイプ投げてきた危ない危ない危ない! 一回逃げろ一回逃げろ!!
「あ、でもこれいけますよファーリさん! ヒット・アンド・ウェイで減らしていけますよ!」
「うーんでもリリファの姿してるじゃん?」
「??? 何言ってるんですか偽物ですよ偽物! ちょっとチョップするだけで倒せますよ!」
あんまり乗り気ではないファーリ。うーん、どうして!
ええい、だがとにかくエネミー・リリファを退治しなければこの街は終わりだ。憲兵隊はどうにも役に立たないようだし、イレギュラーズらの介入がなければ事態は解決しまい!
「皆さんも誘って、一気に叩いていくとしましょうかね……!」
ルナの右手にはハリセン。すぱーん、と叩けばエネミーが消える。
それでも尚に数は多く。あちこちから聞こえてくるわ『むきゃむきゃ』と。
さぁ――むきゃむきゃふぇすてぃばる、はーじまるよー!
- むきゃむきゃふぇすてぃばる完了
- GM名茶零四
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2021年10月31日 23時50分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●
そこかしこで聞こえるリリファの蹂躙――いやナニコレ?
「うん、ナニコレ。今回ナニしたん。正直言ってみ? 怒らないから、言ってみ?」
「え、なんで私を見るんですか! 私何もしてないですもーん!」
しまった。つい中の人がちょっと出てしまった――と思考するのは『雪風』玲(p3x006862)だ。危ない危ないと口を手で塞ぐ仕草を。
「よーし、なにはともあれ妾もがんばるぞいっ!
なぁに安心せい! 妾らが来たからには、あのような胸の亡者などに負けは……
って、なんで……、なんでおむねが大きい娘だらけなのじゃあ!!」
が。気を取り直せば『理解』してしまうものだ。このクエストに集った者達は女性ばかりであり……そして『一部分の戦力』が隔絶している者が多い事に……!
「リリファさん、こんなにちっちゃくなっちゃって……可愛らしいですね! わ、暴れないでくださいよ! もうちょっとだけ抱っこさせて……きゃあ! 強く抱きしめたらもっと暴れる様に! どうしてですか!?」
その内の一人は『クィーンとか名前負けでは?』シフォリィ(p3x000174)だ――
彼女は群れからはぐれたリリファを一匹抱え上げる。ふふ、とてもちっちゃくなっちゃって可愛い……と思っていれば、抱き上げる事により発生する胸部圧迫がなにかの癇にさわったのか抵抗が激しくなる――!
めっちゃお怒りモード。鉄パイプは取り上げてるのでビンタしてくるぐらいです。おむねを。
「ムキャ……? 特徴的な鳴き声ですね。いえ、人の形っぽいので鳴き声でいいのかもわかりませんけれど。とにかくこのままでは阿鼻叫喚の地獄絵図、街の皆様のためにも早く対処しましょう!」
「作戦内容把握。これよりエネミー・むきゃむきゃぺったん……?
失礼、名称が違いました。エネミー・リリファの討滅を実行します」
「名称掠りもしてないですよね? ねぇちょっと!!?」
ともあれ早くなんとかせねばと『雪の花』シュネー(p3x007199)は攻撃しやすい地点へと移動しつつ同様に『キョウシン』アンジェラ(p3x008016)はルナからの壮絶な抗議を全力で受け流しつつ――気を窺う。
まずは観察だ。己を透明化しつつ討伐対象を見据える。事前情報のみでは様々な行動を行っているが故、通常の範囲攻撃では収まりにくいと想定しているのだ。故に的確なる位置取りをせねばならぬ……
「――測定。IQや精神年齢等は学童期に値する存在であると推定。
また、攻撃対象としてはファーリ殿や特定の女性を中心に襲撃をする傾向有」
ふむ。これは貴重なデータだ……武装展開を準備しつつ戦術思考を巡らせれば。
「やれやれ。それにしても予想以上に多いですね……? あちらをみてもこちらも見てもリリファさんばかり。それに皆さん攻撃的な感情に染まっている様で……理由は何なのでしょう?」
「リリファちゃんがいっぱい!? しかもリリファルゴン化しちゃってる……! ううん、どうしてこんなこ……って、あっ! けふんけふん。まぁ理由に関しては全く想像もつかないけれど――なんとかしてみましょう」
同時。角から広場の様子を覗く『『恵』の守護者』ハウメア(p3x001981)は無数に存在し街を蹂躙しているリリファ達を見据える。しかし最早彼女達が暴れている理由は重要ではない。とにかく鎮圧する事が先決だと『氷神』吹雪(p3x004727)は確信するものだ……
かわいそうにリリファちゃん。遂にリリファルゴンがR.O.Oにもコピーされちゃったんだね……と、そう焔……じゃない吹雪は脳裏の片隅で思考しつつ。
「ちょっと状況イマイチ訳わかんないんだけどとにかくあのいっぱいいるのを倒せばいいのね? 風穴開けるの可哀想だけど……でもこれもクエストの一つよね。うん、よし! 割り切らないと!!」
とにかくこのまま放置していても埒が明かない――故に『砲兵隊長』オルタニア(p3x008202)は遂に武器を構えた。高所へ移動し、射撃を放ちやすい様にしつつ……目標は大量のリリファ!
集中の一筋が紡がれる――
絞り上げる引き金あらば大量のリリファを瞬時に吹っ飛ばして。
「ムキャ――!?」
「……わぁ。すっごいお空に飛んでるよ……リリファさんが」
さすれば宙にもぶっ飛ぶリリファ。
ソレらを眺める様にしているのは『ご安全に!プリンセス』現場・ネイコ(p3x008689)だ――何だかよくわかんないけど大変な事になっちゃってるぞー? これもバグの所為なのかなー?
「兎も角っ! 発生しちゃった物は仕方ないけどもこのまま放置する訳にはいかないよねっ! うん! という訳でファーリさんはデコイをよろしくね!! あの子達なんかファーリさんをよく狙うみたいだから」
「なんでなんだろうな……?」
不思議そうに首を傾げるファーリ。狂暴性は……うん。ご覧の有り様だが、まぁファーリならなんとかするだろう……多分! あっ、既によじ登ってきたリリファに頭から噛まれてる! どうして!
「やっぱりこれってさ、亮さ……じゃない。ファーリさんが失言か何かして発生しちゃったんじゃ……例えばまたお胸の事に関して言及したりとか……」
「ムキャ? ファーリさん何か言ったんですか?」
「あ、げふんげふん。な、何でもないよー?」
ムキャ? 危ない危ない。また此処で一体リリファルゴンが発生する所だった。
まぁなにはともあれエネミー・リリファ掃討戦――開始である!
●
「えい!」
「ムキャ――!?」
ハウメアはチョップ一つ。さすれば、寄ってきていたリリファがあっけもなく吹っ飛ばされる――たしかこういうのを練達の用語で……ムソーゲームというのだっただろうか?
「むぅ。ちょっと可愛らしいリリファさんを払いのけるのは心苦しいですが……今は仕方ありませんね!」
であれば彼女は往く。広場の方へと躍り出れば、怨敵ハウメアを目の前にして沢山のリリファが鉄パイプ片手にやってくる――故に。そこを狙って紫焔の魔矢を。雨の如く降らせれば『ムキャキャ――!?』と面白い程に吹き飛ばされていくものである――
流石に味方を巻き込む訳にはいかないので位置を気にする必要はあるが、しかし。
「これなら何とかやって行けそうですね……と!? いつの間に後ろに!!
こ、これは一時退散ですね! きゃああ! 一点集中で来られると対処がッ!」
「ムキャ――!」
直後。そのハウメアを後ろから襲来する別のリリファ達。
彼女が動くたびに周囲のリリファ達の視線も一斉に動く。無数の赤き眼がずーと追いかけてくるのは、なんとも恐怖であるが……しかし一体何が原因だというのか!
「くぅ、全く分かりません……どうしてこんな不毛な暴力を振るうんですかリリファさん! きっと話せばわかる筈です! お互い胸を割って話し合いませんか――あ、間違えた腹を割って――」
「ムギャ――!」
「んきゃぁっ! 胸を引っ叩かないで!? 痛たたっ!! そんなに引っ張らないでもげちゃう! る、ルナさん!! そんな名称しがたい表情で歯ぎしりしてないで助けてください! あれ? なんでハリセンをこっちに向けて――きゃああああ!!」
たゆんたゆん。ブチギレリリファ達の追撃が強まる! あれ? 本物も混ざってない?
「ふぅ……なんていう事なのかしら。本当にどうしてこうもリリファルゴンが……」
同時。別箇所では空間を凍らせる吹雪がリリファを大量に倒していた――
その中央。ベンチに腰掛け思考する……おっと、この身体だとお胸が邪魔だなぁ。体の前で腕を組んで考えるにも一苦労である。だから、お胸の下でお胸を持ち上げる様な動作をしてから……んっ?
「ムキャムキャァ……!」
「……なるほど、この怒り具合……今回はリリファさんの性質を正しくコピーしているようね、となれば。ねぇルナさん――この姿だと重たいし動くと揺れて痛いし、こんなのあっても邪魔よね。あんな風に暴れまわっても平気なリリファさん達のような体にした方がよかったかしら。あら、ルナさんどうしたの? ルナさん!?」
「うぐぐぐぐ……なんだか私には関係ない筈なんですが心にダメージが……!」
リリファの習性を悟った吹雪が挑発がてら言を紡――いだら、なんかルナにもダメージ入ってた。倒れ伏す彼女を慰めるようとしたら、あっ。腕より先にお胸が接触しちゃった。この身体の悩みだなぁ★
「ムキャ――!」
故、キレた! またキレた! 鉄パイプ掲げて突進――して来れば一気に吹き飛ばす。
あ、でも躱せた個体もいるぞ――何故――? あっ。
「あら? 当たったと思ったのだけれど……ああ体を横にしたから当たる面積が薄くなったのね。もう少し胸の辺りが大きければ当てられたのだけれど……ルナさんも攻撃する時は気を付けて。思わぬ貧乳回避をされる恐れが、アイタ」
あれ? 今ルナから攻撃が飛んできたような――これはクエストが終わったら逃げた方がいいだろうか。まぁともかく。
「残存戦力未だ未知数……しかしこれ以上の延期は無意味と推定。戦闘を開始します」
直後にはアンジェラも来るものだ――ハウメアなどが引き寄せているリリファなどを狙いて、一撃。速射の連撃をもってして次々とリリファを撃破していく――
「ルナ殿、ファーリ殿、今回のエネミーについて、何か心当たりは?」
「いやぁむしろこっちが聞きたいぐらいだよなぁ、ルナ?」
「そうですよ! こんな狂暴な私……もっとおしとやかですもんねー!」
もしも原因が分からねば『次』があるかもしれないとアンジェラには不安要素が湧き出るものだ……ファーリが狙われる傾向が強いため彼が何か知っているのではと思ったのだが……
「あっ、ファーリさんあぶなーい!」
瞬間。警告の声をネイコが挙げるのだが――遅かった。
家の屋根より降り注いだリリファがファーリに飛び掛かる――! ムキャー!
「ああもう、全く……どれだけの数がいるのよ! 動かないでよねええと、ファーリ!」
直後。ファーリに噛み付く個体を撃ち抜いたのは――オルタニアだ。
高台より放ち続ける彼女は片っ端からリリファを砕いていく!
弾を貫通させ複数のリリファを吹っ飛ばし。走る個体にも集中の一撃を。
「まずっ、位置がバレた! ちょっと移動するわ! 皆、その間は気を付けてよね!」
「ムキャキャ――!」
が。大量のリリファが壁を登ってオルタニアの下へと到達しようとしている――!
故に脱出。銃撃放ちながらその場を離れてまた一撃。
やれやれ本当にリリファ達はどうしてここまで発生しているのか……あっ、特にファーリは大変な事になってる。ファーリをボコボコにする個体もいれば、ファーリの背中に引っ付いて離れない個体もいるし、袖を引っ張って自身の存在をアピールしてるが如き存在もいるのだ――どうして? 何がどうして?
「なんだか色んな性格の奴がいるみたいじゃのう……」
「ムキャァ……」
まぁともかくそんなファーリを囮にして皆で頑張ってリリファを叩いて――いたのだが、玲はちょっと疲れてきたので休憩していた。隣で日向ぼっこしてるリリファと一緒に。
「ん? なんじゃ? ああ鉄パイプ……って違う! 妾ムキャらんし! まだ10歳じゃし! 某オギナノ神がむちむちに描いてくれるし!! 同族じゃないんじゃが!! じゃが! 一緒に暴れようと誘わんといてくれんかの!!」
「ムキャ?」
「信じろし!!!!」
信じてないリリファ。おむねを見た後に仲間だと思っている。おのれ!!
でも妾、ホントに同族じゃないしー現実だとばいんばいんじゃし! うそじゃないし! 見るか? 写真見るか? コレじゃぞコレ! どうじゃ嘘でないことが分かったであろ、ん、なんじゃその赤い瞳――あっ。
りすぽーん。
「ええーい! ぜんぶぶっとべーい!」
だけどその前にぶっとばーす! ホント、事前情報通り面白いぐらい吹っ飛んでいく。
なんか、こう……適当に全部攻撃してりゃ何とかなるやつじゃな!!!!!
玲が鉄パイプで殴られるが、それ以上にぶっ飛ばしていく――
適当にHPが下がれば復讐の効力で威力もあがるのだから……え、何に復讐かって?
「とうぜんおむねじゃ!!!」
激しき攻防。投げられる鉄パイプ――さすれば。
「あ、あちらもこちらも『むきゃむきゃ』ばかり……! あっ! また見つかった!」
「ムキャー!」
シュネーは一度退くものだ。だって――か弱い乙女なのです! ええ! どこかのどなたかと違って!
「バットを手に追いかけないで! 鉄パイプ投げないで! むきゃむきゃ言ってても通じませんから! ど、どなたか! このむきゃむきゃさんたちもお願いしまーす!! あー! 頭を掠める――!!」
「ああ、シュネーさんが危機に! うう、流石にあの数に押し寄せられたら危険ですね……
上手く引き寄せられることが出来るか分かりませんが、ここは私も!」
次いで、シフォリィも往くものだ――おのれぇ……生意気な!
そのお山がある限りリリファの心が開かれる事はないのだ、ムキャー!
「リリファさん! こんな暴れまわるのなんてリリファさんらしくないですよ! 私と一緒に大きな胸に憧れるリリファさんに戻ってください! あ、イタイ! なんで! なんで攻撃が苛烈になったんですか!? どうして! あ、リリファさんダメー!」
前にでるシフォリィがリリファの波に飲み込まれていく――ポコポコ殴られているようだ。代わりにシフォリィもポコポコ反撃してはいるようだが、あぁ~数の差が~~!
「はぁはぁ、ここで一端息を整えて……あれ?」
と。距離を離したシュネーが見かけたのは――日向ぼっこしてるリリファだ。
のんびり日向ぼっこしてる子にはほっこりする。攻撃性が無く、大人しければなんとも可愛くみえるもので……あっ。隅の方で転んで泣いてる子がいる。
「ムキャ~……」
「大丈夫ですか? 痛いの痛いの飛んでいけーってすれば、もう痛くないですよ。
ほら。痛いの痛いの飛んでいけー!」
と。膝をすりむいていたのでそこを押さえて手を離した――瞬間。
指先がお胸にぽよよん。
……それは偶々だったのだが。しかし、再びリリファのスイッチが入るに十分であり。
「……どうして怒り出したんですか!? 親切にしたつもりだったのですけれど……!? あっ、まずい! どこから鉄パイプを取り出して……あ、あ、あっ――!!!」
再度逃げだすシュネー! 一瞬のミスが闘志を呼び起こしてしまうとは――!
「えーい! ファーリさんから離れるんだよ、リリファさん!!」
直後。デコイとしてリリファを引き付けていたファーリの周りを一掃するのがネイコだ。
ほぼ自動的にリリファのヘイトを稼ぐルナ……なんて効果覿面なんだ……
「ふぅ、ふぅ。助かったぜネイコ……」
「大丈夫? ファーリさんだけに任せておいたら負担が凄いからね……!
って事で私も頑張ってリリファさん達を引き付けるよっ!」
だけれども彼にも限界があろう――だから、ネイコは思考する。
どうすればリリファ達のヘイトを集める事が出来るかと。
……いやそもそも今回のリリファ達はどうして怒ってるんだろう?
やっぱりお胸、お胸なの?
でもこっちは現実じゃないからお胸のあるリリファさんだって……
「……あっ、もしかして!」
その時。ネイコは一つの発想が閃いたのだが。
とんでもない事を即座に口走ってしまう――
\リリファさんお胸のデータ落しちゃったの!?/
――瞬間。その失言は全リリファの逆鱗に触れた!
ネイコの下に殺到するリリファ達! 街のあちこちから濁流の如く――
アイタ! 痛い痛い痛い!
「痛いって言うか怖っ!? うわーん、もうコレしかないよ――!!!」
流石のネイコも大ピンチ! でもこれも予測通りなんだなぁ。ナチュラル失言ではあったけど。
集まった所へ……どっかーん一撃!!
「ムキャ――!!」
「今よ! ネイコの周りに全てのリリファがいる――押し切る好機だわ!」
「再度武装展開。目標、敵主力群……殲滅します」
であればその好機、逃す訳にはいかずオルタニアが、アンジェラが撃を重ねるものだ。
あっという間に削れていくリリファ達――次いで吹雪やハウメア、シフォリィ。復帰した玲らも。
「はぁ、はぁ。ルナさんがハリセンを突如向けてきたからビックリしましたよ……どうしたんでしょうね、まったく!」
「とにかく総攻撃じゃ!! ここで押し切るのじゃ――!!」
そして攻勢を仕掛けていく。薙ぎ払う様に、リリファを叩いていけば――
やがて最後の個体が消え失せる。『ムキャー!』という一声と共に。
「お、終わりですか……? もうむきゃむきゃさんいませんか……?
あれは……いったい何だったのでしょう……??」
ひょっこりと顔を出すシュネー。全く、暴風の様な個体達だった……
と、その時。建物の影に隠れていたのか、リリファが一体残っていて――!
「あ、待ってくださいリリファさん!」
その個体を、シフォリィが抱きかかえる。全てが終わった後リリファさんが残ってたら胸に抱えてもちかえるつもりであって……はっ? ちょっと待て『胸に』抱えて持ち帰る……? 腕の間違いでは? どこに乗せるつもりだ、オイ!!
「え、持ち帰るのだめですか? だめですか……仕方ないです、じゃあ自然に帰るんですよ……!」
「ムキャ」
待ちの外へと誘導。シフォリィから離れ、とことこ歩いて森の方へと帰っていくリリファ――が、一度引き返してきて。
「あ、なんです? やっぱり一緒に帰りますか!? わーい歓迎しますよ、さっそくお家に」
「ムキャ!」
スパーン! と、おむねをビンタしてからまた走り去っていった。どうして……
うう。照れ隠しでしょうか? あくまでもシフォリィは前向きに事態を捉えているが……森に帰しちゃって大丈夫だっただろうか? またなんか大量発生とかしたりしないだろうか……? まぁ未来の事はともかく――
これにてクエスト、完了である! ムキャー!
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
ムキャー! ムキャムキャキャー!!!
ありがとうございムキャー!!!
GMコメント
うわああああ沢山のリリファルゴンだあああああ!
以下詳細です!
●クエスト達成条件
エネミー・リリファを掃討せよ!
●フィールド
伝承国のとある街中です。あちこちでエネミー・リリファが暴れまわっています。
事態を鎮圧しに来た憲兵隊は撃退されました。彼らがクソ雑魚だったのか、エネミー・リリファがNPCにだけは強かったのかは謎ですが、この街の命運は皆さんに託されています……!
●エネミー・リリファ×たくさん
それは現実のリリファ・ローレンツ(p3n000042)の姿に酷似したエネミーデータです。「むきゃむきゃ」としか喋らないため、意思の疎通が可能かは分かりません……
性格はとっても狂暴。鉄パイプや木製バット片手に街で暴れまわっています。具体的には窓ガラスを割ったり、屋台の上によじ登ったり、石に躓いて転んで泣いちゃったり、日向ぼっこしてたりします。
数は多いですが防御力は非常に脆いようです。チョップするだけでも一撃で倒せます。
囲まれたりしない限りは恐らく優位を保ったまま戦う事が出来るでしょう。
彼女たちが暴れまわっている理由は不明です。
それは何かバグによるものかもしれませんし、何か怒りが溜まって暴れているのかもしれませんし、もしかしたらいつも通りおむねの大きい人に嫉妬でもしたのかもしれません。
しかしこのままでは街の中は滅茶苦茶です……なんとかして止めてください!
●ルナ(p3y000042)(味方NPC)
リリファ・ローレンツ(p3n000042)のR.O.Oのアバターです。
なぜか発生した己の偽物。「あんなに狂暴じゃありませんもーん!」と言いながらハリセン片手にバシーンと叩きまわってます。引き続きバシバシ叩いたり皆さんの援護に回ったりします。
●ファーリ(p3y000006)(味方NPC)
どつかれまくってます。デコイに最適です!
※重要な備考『デスカウント』
R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
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