PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ラサの音楽隊、砂漠を征く

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●音楽隊は征く
 歌が響く。砂漠に歌と音楽が響く。
 それはラサに伝わる流離の歌。
 ラサの砂漠に生まれ消えゆくものの歌。

 ああ広大なる熱砂の海よ、我等の故郷
 我等は此処に生まれ消える
 砂塵の向こう、誘う幻
 希望は偽り、宝はガラクタ
 ならば笑おう、ならば歌おう
 母なる砂漠に抱かれたならば
 一夜の夢と笑えばいいさ

 ラサの砂漠を音楽隊が征く。
 町から町へ、オアシスからオアシスへ。
 行く先々で音楽を奏で、歌を歌って踊りを踊って。
 そうして金を稼ぎ、また次の町へ。
 日々の生活に忙しい人々の間を駆け抜け、文化という糸を繋げていく。
 だから彼等は音楽隊。
 ラサの音楽隊と人は彼等を呼ぶ。
 いつからいるのか。何処で生まれたのか。
 誰も知らない。きっと、知っても意味がない。
 ただ重要なのは……ラサの音楽隊は絶対に必要ではないが、不要ではないくらいにはラサという国に浸透しているということだ。

●ラサの音楽隊を狙うもの
「依頼です」
 チーサ・ナコックはそう言うと、集まった面々の顔を見回す。
「ラサの音楽隊……という連中の話を聞いたことがある人もいると思うです」
 ラサの音楽隊。
 それは町から町へ、オアシスからオアシスへ。
 ラサのあちこちを巡って歌や音楽、踊りを披露して回る者達のことだ。
 ラサには「音楽隊」が幾つかあるとされているが、どの音楽隊も自分たちが「どれ」であるかは名乗らない。
 音楽に垣根も縄張りもなく、故に名乗ることに意味は無し。
 そういうスタンスであるというのが理由らしい。
 そんなラサの音楽隊であるが……金を余らせたアホが欲しがるのが「文化」というものであったりする。
 故にそうしたものに巻き込まれないようにラサの音楽隊は常に移動を続けているわけだが……そんな彼等の旅路は決して平坦なものではない。
 砂漠に現れるモンスター、盗賊団。
 特に盗賊団にとってラサの音楽隊は美味しい獲物に見えるらしい。
 町から町へと渡り芸事で金を稼ぐ彼等が、たっぷりと金を貯めこんだ金袋に見えるのだろう。
 そんなこんなで、ラサの音楽隊は常に危険にさらされている。
 それでも旅を続ける彼等だが……そんな彼等にとって、特に恐ろしい場所が存在する。
 夢の都ネフェルスト。
 善と悪の入り混じるこの町だけは、何度来ても慣れない。
 何しろ此処で歌って踊って旅立てば、必ず悪漢の類が「ようこそ、俺たちはラサ名物です」とばかりに襲ってくるのだ。
 それでもラサの音楽隊はネフェルストを避けるわけにはいかない。
 それが彼等の信念であるが故に。
「ま、そんなわけで……ネフェルストから次の町に辿り着くまでの3日間、護衛してあげてほしいのです」

GMコメント

ラサの音楽隊の護衛をしましょう。
護衛だと分かる形で貼りついてもよし、音楽隊の一員として歌ったり奏でたり踊ったりしてもよしです。
ネフェルストで合流、歌って踊って町の端にテントを建てて野営して。
太陽が昇ると同時に次の町へ旅立ちます。
道中は完全に砂漠ですが、ネフェルストから発進してくる変な連中や、モンスターから見事守り切りましょう。

●今回の敵の皆さん
・悪漢の皆さん×20
ネフェルストで稼いだ彼等から身包み剥ぐべく襲ってくるアホの皆さんです。
剣や弓などで武装しています。

・サソリモンスター×たくさん
ネフェルストの周辺で最近増えてるモンスター。
ハサミ攻撃、高威力の毒針攻撃があります。

・アースワーム
でっかいミミズみたいなモンスター。
どうも、ラサ名物の地中からくるやつです。
噛みつき攻撃をしてきます。

●ラサの音楽隊×10
武器はないけど楽器はあります。
あ、でも自分の周囲5Mくらいの範囲を回復する「癒しの歌」は歌えます。
あと逃げ足はめっちゃ速いです。

●今回のパートについて
ネフェルストパートは思いっきり歌ったり踊ったり奏でたりするチャンスです。
まあ、道中でも音楽隊は歌ってますけど。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • ラサの音楽隊、砂漠を征く完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年10月27日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)
老練老獪
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
エルス・ティーネ(p3p007325)
祝福(グリュック)
築柴 雨月(p3p008143)
夜の涙
チェレンチィ(p3p008318)
暗殺流儀
ルナ・ファ・ディール(p3p009526)
ヴァルハラより帰還す
サルヴェナーズ・ザラスシュティ(p3p009720)
砂漠の蛇
嘉六(p3p010174)
のんべんだらり

リプレイ

●ネフェルストにて
「護衛ね。俺たちは道中タダで演奏が聴けるってこったろ? 役得だな」
『特異運命座標』嘉六(p3p010174)が、そんな事を呟く。
 夢の都ネフェルスト。そう呼ばれるこの場所で合流する相手である「ラサの音楽隊」は、ビックリするほど簡単に見つかった。
 何しろ、彼等はネフェルストの入り口で待っていたのだ。
 目立つ風体で堂々と集まっているだけに視線も集めているが……衛兵の目の前では流石に手を出せないらしい。
 流石の危機管理といえよう。
 そうして嘉六たちと合流したラサの音楽隊は、早速とばかりに公演を始めていた。
「ガヤガヤ騒ぐのは賑やかでいいもんだ。こんな場所じゃ特にな」
「俺は歌とか踊りは得意じゃないけど、見るのはすごく好きだよ。きっと彼らは沢山の人に笑顔を与えてるんだろうな」
『錆びついた放浪者』バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)に、『夜の涙』築柴 雨月(p3p008143)もそんなことを言う。
 すでにラサの音楽隊の周辺には無数の人が集まっており、賑やかな雰囲気になっている。
「ラサの音楽隊、ですか。初めて知りましたが、音楽に垣根も縄張りもない……成程、自由に音楽を楽しんでいる方々のようで」
 歌と楽器、そして踊り。どれも『青き砂彩』チェレンチィ(p3p008318)の目には楽しげに映り……だからこそ、守らねばならないと強く思えた。
 そう、だからこそ……ネフェルストで護衛組とは別に、情報収集に出た者たちもいた。
『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)もその1人である。
 ネフェルストに着いたら名物のお土産もとい悪漢の情報を集めよう、などと言っていた世界ではあるが……意外に冗談になっていない。
 何しろネフェルストに悪人の類は売る程いるのだ。
「幸い誰かさんに連れ回されたおかげでラサでもそこそこ知り合いはいるからな……」
 その「誰かさん」に感謝しつつ、世界は知り合いの中でも特に旅商人に絞って聞き込みをしていた。
 悪漢共はネフェルストの外で襲ってくるらしい。つまり、その辺りを可能とする構成であるということだ。
 メンバー構成、主な襲撃箇所、戦闘方法等聞きたい事は沢山ある。可能なら近辺の魔物の情報も欲しいところだろう。
「さて、まずは……と」
 そう言って知り合いを回る世界とは別に、『竜首狩り』エルス・ティーネ(p3p007325)も自身の名声を利用した情報集めを軽く行っていた。
 まあ、悪人がとんでもなく多いネフェルストだ。「隙あらば襲撃したい」と考える輩は山のように居るようだが……そんな程度の連中は護衛をしっかりしていれば防げるだろう。
「ネフェルストは音楽の街でもある……盗賊団が目を光らせている街でもあるのがなかなか難儀だけれど。でも……この街にいる間だけでも楽しんで行って貰えたなら……私は嬉しいわ!」
 その為にも、音楽隊は守らなければならない。
 エルスはそう気合を入れ直して。
「……ま、襲ってくる度胸もなさそうだが。目はギラついてんな」
「ええ。それにしても……本当に、楽しそう」
『月夜に吠える』ルナ・ファ・ディール(p3p009526)と『砂漠の蛇』サルヴェナーズ・ザラスシュティ(p3p009720)が、そんな事を言いあう。
 しっかりと護衛をすることで、ネフェルストの街中では仕掛けてくるアホはいないようだ。
 だが……街を一歩出ればその限りではないだろう。
 サルヴェナーズは……そのことをよく知っていた。
 だからこそ、ルナも周囲の警戒を怠らない。
 いざとなれば追従防止の為の策をするつもりだったが……此処で無遠慮に視線を向けてくる程度のチンピラには、やるだけ無駄な手間のようにも感じていた。
 そうしているうちに、エルスも混ざって一緒に踊っている。
 歌の名は「ラサの風は吹く」。即興で音楽も踊りも完璧に合わせてくる音楽隊と一緒に、エルスは歌う。

 行こう 熱砂の都市、夢の都ネフェルスト
 行こう 商人達の風が吹く
 行こう 冷たい夜になる前に 辿り着こう
 行こう 熱砂の国に辿り着こう!
 360度も広がる砂漠の果て
 今日も活気のいい声がする

 歌は響き、その様子を嘉六もバクルドも楽しげに見ていた。
「さあ、では次の曲です!」
 そうして響く歌を、チェレンチィも楽しげに聞いていた。
 響くのは、ラサに伝わる流離の歌。
 聞いているうちに、チェレンチィの口からも歌が流れ出る。
「母なる砂漠に抱かれたならば、一夜の夢と笑えばいいさ……♪」
 歌ってみて、ふと雨月の視線に気付きチェレンチィは軽く咳払いをする。
「……何ですか、その意外そうな顔。ボクだって鼻歌くらい歌いますよ」
 別に何でもない、などと言いながら、雨月は思う。
(きっと彼らは沢山の人に笑顔を与えてるんだろうな。その笑顔を絶やさない為に、俺も頑張って護衛しないと! 職種や笑顔にする方法は違えど、俺も沢山の人を笑顔にする医者になりたいんだ)
 そんな雨月の決意の中、歌は響く。

 ああ広大なる熱砂の海よ、我等の故郷
 我等は此処に生まれ消える
 砂塵の向こう、誘う幻
 希望は偽り、宝はガラクタ
 ならば笑おう、ならば歌おう
 母なる砂漠に抱かれたならば
 一夜の夢と笑えばいいさ

「中々楽しめるな。この礼に護衛するってのも吝かじゃねえな」
 そんなバクルドの言葉は、何とも楽しそうであった。
「まあ音楽の心得なんてねえんで、じっくり聴かせてもらおうかね……にしても情報通り、目ぎらつかせた阿呆が湧くもんなんだな」
 言いながら、嘉六は状況が全く見えずにからもうとしていた馬鹿を1人捕まえる。
「おう、そこのお前だよお前。刃物持って何する気だよ拳骨すんぞ。悪ィもうしたわ。あ~こんなんが一体、道中どんだけいるんだろうなァ…面倒だ」
 転がる男を路地裏に蹴りこむと、なんだか身ぐるみはがされていたが……完璧に平穏とはいかずとも、それなりに平穏な時間を音楽隊は過ごせていたのだ。
 そして最初の夜は、一部のとんでもないアホ以外の襲撃もない、平和な夜だった。

●ネフェルストの先へ
 流しの音楽隊は、中々に良い商売であるらしい。
 彼等は、ネフェルストではかなり稼いでいた。
 まあ、その稼ぎの大半を食糧の仕入れなどに惜しみなく使ってしまうのだが。
 余分な金を貯めこんでもロクなことにならないが、ロクデナシから身を守る程度の金は必要。
 そういうスタンスであるらしいが……その金への執着の無さが、馬鹿には「散在してもいい程金を持ってる」と映ったりもするらしい。
 そうした連中は、ラサの中では決して仕掛けてはこない。
 悟られるような真似もしない。
 彼等が次に何処に向かうのかをあたりをつけた上で、最高のタイミングで襲ってくる。
 だからこそ、護衛の気を抜くわけにはいかない。
 昼間は全員、夜は世界、エルス、バクルド、嘉六のチームとチェレンチィ、サルヴェナーズ、雨月、ルナのチームに分かれて護衛することが決まっていた。
 かといってその道中、ずっと無言というわけにもいかない。
 ラサの音楽隊自体話好きがとんでもなく多い為、自然と会話は多くなる。
 まあ、あまり個人的な話をすると歌にされる恐れもあるのだが……そのリスクを承知で、ルナは音楽隊に踊り子として同行していたユノ・シンティ・ロマに話しかけていた。
「タウロスの一族か……『居なくなった』という噂は聞いてるわ。明らかに何かがあった、とも。何か厄ネタとは思うけど……それ以上は知らないわね」
「……そうか。仕方ねえな」
「ああ、さっき口ずさんでた歌の部族のことか」
 そこに、音楽隊のリーダーがひょいっと顔を出してくる。
「残念ながら俺も知らないが……それを探したいと願うなら、歌を辿りな。あらゆる全ては歌になる。何処かの誰かがアンタだけが知る何かの符号を歌うかもしれねえ。ま、簡単な道のりじゃねえが……」
「いや、それで充分だ」
 歌を辿る。確かにラサの音楽隊のようなものが複数あるのであれば、ルナだけがそうと分かる情報を歌う者もいるかもしれない。
 それは、ルナの足に力をもたらす確かな手がかりではあった。
「まあ、今回の仕事は任せな。並みの足に負けるつもりはねぇぜ?」
 そうして、音楽隊はラサの道なき道を行く。
 時折歌いながら、音楽を奏でながら。
 そんな中、護衛として音楽隊の中に混ざる事ですっかり違和感がない程に仲良くなっていたサルヴェナーズは、1人のもっていた楽器にふと惹かれる。
 それはリュートと呼ばれる類の楽器だが……なんだか、妙に惹かれたのだ。
「あの、すみません。その楽器、持たせて頂いてもよろしいですか? それと、もし宜しければ、演奏の仕方を教えて頂いてもーーー」
「いいとも。弾き方だが、まずは……」
 快く楽器を渡してくる楽師に、サルヴェナーズは笑みを返す。
「ふふ、ありがとうございます。実は昔から、ずっと興味があったのです」
 そうして弾くリュートからは、何とも軽やかな音が響く。
「見て下さい、鳴りました。鳴りましたよ皆、こうやって音を奏でていたのですね。これが、私が初めて奏でた音……」
「音楽を背景に旅するのも案外悪く無いわね」
「ああ、悪くない」
 エルスに世界も同意するように頷き、雨月も頷く。
「俺にも何か手伝えることがあればいいんだけど……まぁ、歌ったり踊ったりとかはできないから音楽隊の力には流石になれないかな?」
 しかし、言うが早いか音楽隊の踊り子が雨月に絡みつく。
「あら、踊りほど自由なものはないのよ? あとでおしえてあ・げ・る」
「い、いや俺は……」
「やらず嫌いはよくないわ、お医者様?」
 実を言うと医者でもなく医者志望の医学生だったりするのだが……聞いてくれるとも、エルスには思えなかった。
「……これは!」
「ミミズだ、来やがるぞ!」
 ドバアンッと。凄まじい音をたてて砂から顔を出すアースワームの襲撃に嘉六が叫び、しかし世界のテスタメントによって強化されたルナのハイセンスと嘉六の超反射神経がアースワームの不意打ちを許さない。
「思ったよりデカいな……全員気をつけろ!」
 そんな世界の指示が飛び、ラサの音楽隊が手早く逃げていく中、無事にアースワームも撃破する。
 そうして進んで、進んで。2日目の夜。
 相も変わらずラサの音楽隊は起きていたり寝ていたり、楽器を弾いたりと自由気ままだ。
「ていうかずっと演奏してて疲れねえの? タフだなあんたら」
「そうさなあ。その問いは魚に泳いでて疲れないかと聞くのに似ているな。私らは、こうしてるのが生活の一部なのさ」
「なるほどな……」
 分かったような分かってないような頷きを返しつつ、嘉六は「そういう生き方なのだろう」と納得する。
「やっぱり、こういう時の砂漠の荷運びにゃ自動で動いて水やエサもいらねぇ妖精の木馬が重宝すんな」
「便利なものだ。明らかに木馬なのにな」
 警戒をしながらも音楽隊と話しているルナも、すっかりなじんだようで。
 雨月もチェレンチィも、周囲の警戒を怠らない。
 他の仲間も休みながら、しかしいつでも動けるような態勢を整えている。
 エネミーサーチに暗視……様々な技能が周囲を常に監視し、それ故に潜んでいた盗賊たちがそれに引っかかる。
「暗がりに乗じて襲ってくる輩を見落とすことはありません。隠れていても無駄ですよ」
 チェレンチィが潜んでいる者達へと宣言し、雨月が周囲へ呼びかける中、リュートを引き続き教わっていたサルヴェナーズも立ち上がる。
 同時にバクルドがbeginning bellを使って仕掛けていた鳴子の罠も慌ただしく鳴り、何人かがロープに引っかかって転ぶのが見えた。ついでに世界に渡されて仕掛けていた精霊爆弾も起爆するが……面白いくらいに引っかかっている。
「急拵えの罠に引っかかるとは、俺の腕も存外捨てたもんじゃねえな」
 キルデスバンカー白銀αを構えたバクルドが、そう叫びながら立ち上がる。
「失せな賊共、お前さんらはお呼びじゃねぇんだ」
 そう、その気持ちはサルヴェナーズも一緒だった。
「良いところを邪魔するとは、許しがたいですね」
 本当に良いところだったのだ。音楽の真理すら見かけていた……かもしれないのに。
「いつも通り前で戦うわ、サポートをお願いするわね」
 そうして、真っ先に飛び起きたエルスが飛び出し、スーサイド・ブラックを放つ。
 ギア・ゼロでリミッターを外したチェンスチィのソニックエッジ、ルナのブルーコメット。
 運よく近づけた盗賊も嘉六の外三光が撃破する。
 これは負けはしないだろうと音楽隊も癒しの歌を歌い、雨月のスーパーアンコールがそれをサポートする。
「さて、そろそろ決めさせてもらおうかしら!」
 そんなエルスの言葉が……終了の合図だった。
 そして……怒っていたサルヴェナーズが、自らのギフトである「三頭六眼の悪龍」を発動させていた。
「復讐です。これは私の正当な権利です。命までは奪いませんが、私のギフトで悪い夢に悶え苦しみなさい」
「ひえっ……」
「すいません! すいません!」
「駄目です。私、根に持つタイプですので」
 そんな事をやっているサルヴェナーズを誰も止めもしないまま、チェレンチィは思う。
(折角関わったから隊の名前くらい調べても……と思いましたが、それは野暮ってものですねぇ。ラサで活動していればまたすれ違うこともあるでしょう。その時を楽しみに)
 そう、彼等はラサを巡る。
 此処でなくとも、いつかまたどこかで出会うだろう。
「ふわぁ……野営なんて賭博で文無しになった時以来で疲れたぜ。眠い。普段聴かねえ音楽も、何だかんだで楽しんだな……にしてもマジでずっと歌ってるな」
 そう、ラサの音楽隊は今日の戦いを歌にするならああだこうだと作曲合戦が始まっている。
 実に元気だと嘉六は思わざるを得ない。
「これからも素敵な音楽を奏でるんでしょうね……応援しているわ!」
 エルスがそう言えば、ラサの音楽隊はピタリと動きを止めてにじり寄ってくる。
「そんな寂しい事言わず……」
「ああ、今すぐ歌おう!」
「そして踊ろう!」
 そうして、全員を巻き込んだ音楽会が始まっていく。
 響くのは、流離の歌。

 おお偉大なりし熱気の風よ、我等の故郷
 我等はいつも此処を想う
 砂塵の彼方、消える面影
 出会いは別れで、別れは出会いさ
 ならば笑おう、共に歌おう
 裏切りの刃(やいば)この身刺しても
 愚か者めと笑えばいいさ

 ああ広大なる熱砂の海よ、我等の故郷
 我等は此処に生まれ消える
 おお偉大なりし熱気の風よ、我等の故郷
 我等はいつも此処を想う
 だから笑おう、だから歌おう
 母なる砂漠を想うのならば
 俺とお前で笑えばいいさ

 響く歌は、流離の歌。
 出会いと別れ。別れと出会い。
 ラサに生きる者達は、何処までも自由で。
 誰もがきっと、教えられずともそれを知っていた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

コングラチュレーション!
ちなみに今回出てきたラサの「流離の歌」はこんな感じです。
好きな時にご自由にお使いください。

『流離の歌』
 ああ広大なる熱砂の海よ、我等の故郷
 我等は此処に生まれ消える
 砂塵の向こう、誘う幻
 希望は偽り、宝はガラクタ
 ならば笑おう、ならば歌おう
 母なる砂漠に抱かれたならば
 一夜の夢と笑えばいいさ

 おお偉大なりし熱気の風よ、我等の故郷
 我等はいつも此処を想う
 砂塵の彼方、消える面影
 出会いは別れで、別れは出会いさ
 ならば笑おう、共に歌おう
 裏切りの刃(やいば)この身刺しても
 愚か者めと笑えばいいさ

 ああ広大なる熱砂の海よ、我等の故郷
 我等は此処に生まれ消える
 おお偉大なりし熱気の風よ、我等の故郷
 我等はいつも此処を想う
 だから笑おう、だから歌おう
 母なる砂漠を想うのならば
 俺とお前で笑えばいいさ

PAGETOPPAGEBOTTOM