シナリオ詳細
<神異>大にゃんとーキャットバース
オープニング
●にゃーにゃにゃにゃー
其れは突然現れた。
不思議な『光』が差したような違和感を覚えて空を見上げた直後に、にゃんにゃかにゃーーんと明るい鳴き声めいた音が鳴り響き、片側三車線の道路のスクランブル交差点を横断中の人々は、不思議に思って足を止めた。
そんな大通りで足を止めても問題ないのは、最近希望ヶ浜のライフラインに問題が生じているせいだ。電気回線のショートにネットワーク断絶、通信障害。突然の原因不明の停電も相次ぎ――そうなってくると懸念されるのは車も人も交通量の多い信号機だ。事故が起きてから対処するのは遅いとの判断で、大きなスクランブル交差点を有し今時の流行りの店等が立ち並ぶここは早めに交通規制が入り、所謂『歩行者天国』となったのだ。
「え、なになに? 何かのイベント?」
「あれ、なんだろう。……猫?」
「猫……と言われれば猫? でも何かおかしくない?」
ソレは、テコテコ歩いた。
ソレは、にゃぁんと鳴いた。
――たぶん猫、である。
けれどソレは、ジジ、と揺れた。ドットで打たれたゲームキャラを拡大したかのようなギザギザの――『ジャギってる』感じの荒いポリゴン、の猫である。
「めっちゃいんね」
「可愛いー。あ、あたしこの猫知ってる気がするー」
「あたしもー。アプリのCM動画で見たのに似てるかもー」
何かのゲームの宣伝で、ホログラムなのかな、手が混んでるね。人々は危機感を覚えず、パシャパシャと写真を撮った。
『ネコ』たちはなんとも間の抜けた愛らしい顔で、ぶつかることなく人々の間をただテコテコと歩いている。他に気になる点があるとすれば、頭上に浮かんでいる『Lv1』という文字だろうか。どのネコもLv1で、体の色に合わせて文字の色も違う。
Lv1なネコたちは暫く歩き回っているが、それだけだ。しかしそこに変化が現れる。
突如お魚のぬいぐるみのようなものが現れた。ニボシとやはり名前が浮かんでいるソレをネコが食べた途端、ネコの頭上の数字は2へと変わった。
Lv2となったネコは――、
「えっ、猫が猫を殴って倒した!?」
Lv2のネコがLv1のネコを倒し、Lv3となった。
Lv3のネコがLv2のネコを倒し、Lv5となった。
ネコたちのLvは倒し合うことにより、ドンドンと上がっていく――。
●カフェ・ローレット
「今直ぐネコを退治して欲しいんだ」
「猫さんを?」
「いや……ネコであって、猫ではないのだけれど」
今しがた見てきた情報を端的に伝えた『浮草』劉・雨泽(p3n000218)は、猫という単語に反応して首を傾げる『淡き白糖のシュネーバル』祝音・猫乃見・来探(p3p009413)へと「現場を見れば理解できると思うよ」と告げた。
ネコ。あれは多分夜妖なのだが、『まるでゲームのキャラのよう』だ。否、きっと『ゲームのキャラそのもの』だ。
これは現在起きている希望ヶ浜のライフラインの問題のように、ROOから現実世界へと侵食――真性怪異たちによる希望ヶ浜への侵略だと受け取って良いだろう。
「今は人間には興味がないみたいだけれど、Lvが上がりきったらどうなるかは解らない。早急に手を打ってくれると助かるよ」
「……ん。わかったよ」
猫は好き。だけれど、似た姿の存在が人を襲うのは見たくはない。
そうさせない為にも、滲み出たゲームデータと思われる夜妖を消さねばならない。
小さな両手をぎゅうと握りしめた祝音を視界に収めた雨泽は浅く頷くと、他のイレギュラーズにもよろしくねと声を掛けた。
「僕が知っている広告だと、確かLv50を超えると――……」
ネコは、進化する。
勿論これはゲームの話だけれど、一応覚えておいてね。
そこまで口にした雨泽は『音呂木の鈴』をイレギュラーズへと配った。
何かあるといけないから、と。
- <神異>大にゃんとーキャットバース完了
- GM名壱花
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年11月01日 22時15分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●大にゃんとー!
高いビルが囲む広い交差点。
そこを闊歩するのは、ひとよりも『ネコ』が多かった。
イレギュラーズたちが辿り着いた時にはネコの話しがSNSで拡散されたのか、若干ひとがいつもよりは多い気はするが、それでもやはりネコのほうが多い。ネコたちは我が物顔――つぶらな瞳をパチパチさせながらアニメっぽい間の抜けた顔で、のんびりとトコトコ歩いたり立ち止まったりニボシをムシャムシャしたりしている。とても自由だ。
「猫ちゃん……大きい猫ちゃん可愛い……もふもふしたい……」
思わずはわわと口が開きかけた『嘘に塗れた花』ライアー=L=フィサリス(p3p005248)は慌てて口元を両手で押さえた。視界を少しずらしても、ネコ、ネコ、ネコ、ひと、ネコ、ネコ、ネコ、ネコである。それが本物の猫でなかろうとも、猫好きにはちょっとした天国かも知れない。
(これが緊急事態でさえなければ……!)
口元から降ろした拳を、思わずくうっと握りしめてしまう。実に惜しい。惜しすぎる。
「このネコちゃんたちを倒さないといけないのよね……」
「一般の方々も危険なものとみなしていませんね」
「……はっ! なんでもございません、ええ、何もございませんのよ!」
直ぐ側から聞こえてきた『黒靴のバレリーヌ』ヴィリス(p3p009671)と『不眠ノ燭』藤野 天灯(p3p009817)の声にライアーは慌てて居住まいを正すが、先の呟きを聞き逃していたふたりは唐突に言い訳をしたライアーへと不思議そうな視線を向けることとなり、ライアーはこほんけふんと咳払いをして誤魔化した。
「ゲームとしては面白そうですね! これで被害が出てゲームの方がサ終しないよう、わたしたちでしっかり対応しなければ!」
「そうですね……」
サ終……つまり、サービス終了。ゲーム会社の預かり知らぬところでデータを使われて終了となっては、ゲーム会社としても溜まったものではない。
しっかりと皆さんのサポートをします、とキリッと真剣な顔をしてみせた柊木 涼花(p3p010038)の隣で相槌を打つ天灯の声の調子は彼等とは少し違う。天灯から見ればこの世界自体が『ジャンル:ファンタジー』なゲームめいているけれど、R.O.O開発の末端の末端として働いていた身だ。末端の末端とは言え開発していたゲームがログアウト不能を起こしてユーザー閉じ込め、そして実際に現在進行系で眼前ではバグが現実に侵食してきている。子供の見た目をしているが列記とした大人である彼には、少し思うところがあるのかもしれない。
「さあ、被害が出る前に片付けてしまいましょう!」
剣靴を煌めかせたヴィリスが膝とつま先を遠くへ伸ばし、踊るように前へ進み出る。
「え、なに? やっぱり何かのイベント?」
剣のトウで踊るバレリーナ。突如現れた『非現実』に、一般人たちの中ではより『イベント感』が増したようだ。
ヴィリスの後に続いた涼花がそっと口元に指をひとつ立て、その指でそのまま胸元のリボンを指して意識を向けさせる。
「あっ、もしかしてイベントのスタッフ? あそこにカメラがついてるのかな」
「きっとそうだよ~。へえ、結構凝ってるね」
「うん、そうなんだ。実はこれ、ゲームのイベントの撮影なんだ!」
明るく響いた声に視線を下へと向ければ、赤毛の少年が子供らしくにっこりと微笑む。目元の隈が子供らしさを欠くが、ゲームのキャラクターに寄せたメイクなのかもしれない。
「サプライズだからまだシーッなんだけど……知ってる? 『大にゃんとーキャットバース』」
「あ、知ってる知ってる! ちょっと前に出たゲームだよね?」
「うん。だからね、映っちゃわないように交差点から出ててくれると嬉しいな」
あそこら辺より向こうに居てくれたら、俺たちもっと派手なパフォーマンスができるかも。
なんて指をさして示せば、天灯が声を掛けた一般人はオッケーと大きく頷いた。
「皆様には公開を待っていただきたいのです。ですから、ここは下がって頂けませんか……?」
公式の公開を前にどこぞに動画等がアップされてしまえば、話題性がなくなってしまう。ゲームのためにもお願い出来ませんか? と少し離れたところでケータイを構える一般人にもライアーが声を掛けていく。
「出来れば他の人にも伝えてくださいね」
上目遣いで可愛らしくお願いもしておけば、ライアーの容姿が刺さったひとたちが自主的に広めてくれるだろう。
普通にお願いをしても大抵の者は「そうなんだ」と納得してくれるし、帰れと言われず『これだけ離れてくれればいい』を示せばそれに従ってくれるため、人を遠ざけるのは簡単だった。
「もしわたしたちが見逃しているネコがいたら教えて下さいね!」
イベントのためにご協力を! と涼花が大きく手を振って告げれば、わかったと手を振り返された。
「ほら、あなたはこっちですわよ。いらっしゃいな」
トコトコと近寄ってきたネコが一般人の側にいかないように誘導し、引き離す。
「それでは皆さん、始めましょうか!」
ジャーーーン!
涼花がギターを掻き鳴らせば、それが『イベント』開始の合図。
天灯の手元から飛び立つドローンを人々はワッと歓声を上げて見上げた。
(ごめんなさい、猫ちゃん。けれどこれは皆の為ですの……!)
決意とともにグッと秘薬を飲み込んだライアーとくるりくるりと躍り出たヴィリスに、涼花の音の支援がその身を包む。
「ふふ、ごめんなさいねネコさんたち。大にゃんとーは私が勝たせてもらうわ!」
観客は、歓声は、たくさん。
今日のステージは、交差点。大にゃんとーの舞台。
剣靴のバレリーナはネコたちを相手に踊り始めた。
(いやな感じだね……)
Lvの低いネコだが、背筋を厭な感覚が駆け上る。ぶるりと身体を震わせた『言霊使い』ロゼット=テイ(p3p004150)は、あれが『未知の物理法則によって顕現している何か』なのだと本能的に理解した。『侵略的外来種』と言っても良い。カフェで配られた『音呂木の鈴』を握りしめると少しだけざわつきがマシになる。Lvが低くともそう思うのだ、あまりマジマジと見ないほうが良いのだろう。
きっとこの感覚は、この街――希望ヶ浜の者たちは日常と隣り合わせに感じているのだろう。他の国での当たり前が彼等にとってはそうではないのだから。
「ロゼットさん、何か気になることがあった?」
「いや、大丈夫だよ」
思案げなロゼットに声を掛けた『淡き白糖のシュネーバル』祝音・猫乃見・来探(p3p009413)が耳を澄ませば、離れた場所で動き出した仲間たちの声が拾える。僕らも行こうと口にして、祝音はネコを写真取っている高校生たちの元へと駆けた。
「大変大変、こんなに近くにいると危ないよ?」
足から光の翼を生やした祝音が現れれば、高校生たちの視線は祝音に集まる。
「え、なにあれ、どういう仕組み?」
「やばくない? すごくない? 友だちに写メ送っちゃお~」
ケータイを取り出したまま動く気がない彼等にそっと近付いた祝音は、如何にも『マイクに音が入らないようにしています』の体で声を潜め、「僕等はとあるゲームのテスターです」と予め考えておいた『ゲームのサプライスイベント』という事情を説明した。
「このネコは育つと危険なネコになるから、巻き込まれる前に逃げろー! にゃー!」
関係者らしく可愛らしいポーズとともに避難を促す祝音の背後で、突然『砂嵐が発生した』。
『にゃー』『にゃー』『にゃー』『にゃー』『にゃー』
複数のネコたちがよくわかってなさそうな顔のまま巻き上げられ、シュンっとノイズの残滓を残して消えていく。
「え、やば」
高校生たちが思っていたよりも、どうやら大掛かりなイベントのようだ。邪魔にならないようにと去っていく背中に「PV楽しみにしていてねー」と手を振った祝音はロゼットが放った砂嵐と同じ砂嵐を発生させ、ロゼットの砂嵐で消滅しなかったネコを消滅させた。
「これも、一応」
落ちているニボシの破壊も忘れない。そのままにしておくと移動してきたネコがニボシを食べてしまうかもしれないから、破壊か回収が望ましい。
広域俯瞰による視界を確保した『猫神様の気まぐれ』バスティス・ナイア(p3p008666)は仲間たちが動き出したことを別の場所で感知しながら、眼前のネコをじっくりと眺める。
ネコはネコであって猫ではない。
つまり、バスティスの眷属ではない。
それどころか、『生命体』ではなくデータの夜妖だ。
「猫の見た目で悪さをされると困るんだよね」
眷属ならば諭して事件を止めるけれど、これはただの風評被害に近い。
バスティスが側にいても、ネコたちは気にせずトコトコと歩いている。ネコが形態を変えるまで興味があるのはニボシか同じネコ、そして攻撃してきた相手のみのようだ。
「……汝猫でなし。罪在り」
「あ~! ネコの格好してる! コスプレ? カワイ~!」
ネコたちへと終焉の帳を下ろそうとしたその時、甲高い声とともに一般人が近寄ってくる。
「大にゃんとーキャットバース! ネコを巻き込むキャットばしバトル! ド派手なバトルでネコを吹っ飛ばせ!」
映えるポーズと動作を心掛けて終焉の帳を下ろせば楽しげな声と拍手が重なるが、「もう少し下がってね」と注意するのも忘れない。
その時、バスティスの頭上に影が落ちた。人々はつられるように空を見上げる。
ビルの間を飛んだ影は小さく、『まるで人のよう』。けれどそんなはずはない、とこの街に住まう人々は思う――が、これはゲームのイベントだ。
その人らしき黒い影はビルの屋上から飛び降り――いや、『飛び立った』。
足に生えた光の翼がその人影を浮かせ、彼はそのまま飛んでいく。
チラリと一瞬視線を向けられたことに気がついたバスティスは、こっそりと親指と人差し指でオッケーサインを作る。注目度もイベントっぽさも、バッチリだ。
バスティスはLv3までのネコなら纏めて一撃で倒すことができる。まばらに残っているネコはいるが、バスティスが周囲のLv1を倒すついでに巻き込めば問題なく倒せるレベルだ。
超視力で一瞥してそう判断した『特異運命座標』囲 飛呂(p3p010030)は、仲間たちがまだ辿り着いていない場所の電灯の上へと降り立つ。
「うわ、すげ。技術どうなってんの」
ケータイを構えた若者へ、指を天に向けて撮影用ドローンがあることを知らせると、飛呂は鋼の驟雨をネコたちへ放つ。一撃で倒せるネコたちを倒せばまた飛び立ち、レベルの低いネコが固まっている場所へと導く天灯のドローンの後へ続いた。
飛行で機動力の確保出来る飛呂は、まずは低Lvのネコを確実に減らしていくことが目的だ。一撃で倒せないネコが残ったとしてもそのネコの周りの低Lvネコが居なければレベルがすぐに上がる事はない。ネコがテコテコ移動し、他のネコとエンカウントしてキャッツファイトが始まる前に仲間たちが倒せば問題ないのだ。
手分けをし、イレギュラーズたちは着実にネコたちを減らしていく。
●キャットバシ!
『にゃー』
ばたんきゅーの声を上げ、ネコたちは順調に消えていく。砂嵐が収まった後にネコの姿を確認した祝音は、流石に疲れてきたとふうと溜息を吐いた。
祝音が立つ場所からは、他のネコは見えない。そろそろ全て倒した頃だろうか? それともまだどこかに潜んでいるのだろうか? 索敵を専任してくれている天灯が定期的にくれる連絡で順調に倒していけているはずだが、終わりが解らない。
次は――とロゼットとともに移動を始めようとした時、TrrrrrrrrrrとaPhoneが鳴った。
『路地裏にネコが残っています。同レベルで殴り合っている様子。至急向かってください。俺たちもすぐに向かいます』
天灯からのaPhoneへの飛呂と祝音への着信、aPhone所持者の側に居ないバスティスはドローンの誘導により、指定された路地裏へと急行した。
「ああ! あのネコたちか!」
「25と25だ……!」
他に倒すネコが居ない上に辺りにニボシも無いせいで、同Lvのネコがポカポカと殴り合っている。
「殴り合い……であっているのか?」
「あたしには見えない鏡が置いてあるように見えるよ」
立ち上がり、前足を素早く繰り出しあい、互いに前足で応酬を受け合うネコ。
本ネコたちは本気のガチンコバトルだ! の気分で素早くうおおおおっとやりあっているようなのだが、なんとも可愛らしい応酬にしかみえない。正直なごむ。
しかし、やらねば! ならないのだ! 心を鬼にして!
イレギュラーズ全員で攻撃しても最低5ターンは掛かるが、幸いなことにキャッツファイトでネコの体力は削れていっているはずだ。問題は、相手のネコに最後の一撃を取られてはいけない点である。そうなれば討ち取ったネコは進化をし、スーパーネコの発生となってしまう。
「こっち向かないな」
飛呂が攻撃して、祝音、ロゼットも砂嵐を発生させるが、ネコたちはにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃと素早く猫パンチの応酬である。
スーパーネコになっていないネコは、Lv上げを優先する。ネコ以外を倒してもLvが上がらないから、攻撃をしてイレギュラーズたちが気を引こうとしてもネコを倒そうとしてしまうのだ。
「どうすれば……」
駆けつけた天灯が息を整えながら呟いた。その時だった――。
「……え?」
「可愛い猫ちゃんたちがこっちに――!」
「ネコさんたち、私と踊ってくれる気になったのかしら!」
天灯と涼花を庇うように前方へ踊り出たヴィリスが閃光を放ち、心の痛みに耐えながらもライアーが妖精犬を放った。
「さっきまであたしたちには何も反応しなかったのに、いきなりどうしたのかな」
やっぱり猫は気紛れだから?
終焉の帳を降ろしながらバスティスが首を傾げれば、「あ」と口を開いた天灯が白衣のポケットへと手を入れ、何かを取り出した。
『にゃー』『にゃーーー!』
ネコたちが『ソレ』を見て、目をキラリと光らせる。
「ああ、なるほど、ニボシ」
砂嵐で妨害しながら合点がいった表情をロゼットがすれば、何人かからも「ああ」と納得の声が上がった。
ニボシを発見したら破壊していった者たちが多い中、天灯だけはニボシを拾って回収していたのだ。
そして、勝負がなかなかつかない同Lvのネコ。ネコたちがニボシで1Lv強くなり相手を倒してやろうと考えるに至るのは当然の帰結であった。
しかし、これでネコの目標はニボシwith天灯となる。
ニボシ(天灯)を守り抜きながら攻撃をすれば――。
そうして、同Lvのネコたちを倒した時のことだった。
今までに無かった変化が起きた。
――『 MISSION COMPLETE! 』――
空中にカラフルな文字が浮かび上がり、パァンパァンと小さな花火が打ち上がる。
ひらひらと紙吹雪の舞うそれは、夜妖討伐という『ゲーム』終了の合図なのだろう。
思わずポカンと見上げそうになったイレギュラーズたちだったが、くるりとターンを決めたヴィリスが美しい所作で舞台終了のお辞儀をするとそれに続く。
「ご協力ありがとうございました」
「ご協力ありがとうございました!」
涼花と天灯の挨拶に合わせ、ロゼットもぺこりと挨拶をして。
「ネコ討伐特別イベント参加ありがとうございました! 今なら特別ログインボーナス実施中でーす!」
そんなログインボーナスあるのかしらないけれど、と勝手に宣伝までするのはバスティスだ。
「でもそういうのあるといいかも?」
「俺が連絡しておきますね」
祝音が首を傾げて連絡しようかなと呟けば、ROO開発関連からのゲーム業界への伝手がある、と天灯がゲーム会社への連絡を引き受けた。
その後は皆揃って急いで撤収だ。
帰る時まで演出を交えて姿を消せば集った人々もゆっくりと捌け、往来にも『日常』が戻ってくる。
その日から数日、ゲームのランキング上位に『大にゃんとーキャットバース』が急上昇でランクインし、この日起きたことを知らない人たちの間では不思議に思われていたという。
因みに、PVが公開されることはなかった。
しかしそれを気にする人はいない。没になったのだろうと思われるだけである。『健全な日常』を生きる人々は忙しい。話題は常に移り変わるし、現場に遭遇した人もきっとすぐに忘れてしまう。
人々も、街も、そうして『いつも』に戻っていくのだ。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
シニャリオへのご参加、ありがとうございましたにゃー。
ゲーム開発の会社はよくわからないけどいいことが起きてラッキーと思っていますにゃ。
MVPは索敵担当をしてくれた、あにゃたへ。
おつかれさまでしたにゃ、イレギュラーズ。
GMコメント
ごきげんよう、イレギュラーズの皆さん。壱花と申します。
希望ヶ浜の全体シナリオをお送りします。
●情報精度
このシナリオの情報精度はCです。
情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。
●成功条件
ネコの掃討
●シナリオについて
希望ヶ浜の繁華街にネコの夜妖が発生しています。
このネコはLv1の時はただ歩いているだけですが、ニボシを食べるとLvが上がり、以降自分よりも低いLvのネコを倒せるようになります。
大にゃんとーし続けるネコたちを倒し、騒ぎを収めましょう。
●フィールド
希望ヶ浜の繁華街、片側三車線(計六車線)の広い通りの交差点。
危険だとは思っていないので、普通に一般人がウロウロしたり「何かのイベントー?」と写真や動画を撮っています。
●大にゃんとーキャットバース
にゃんこたちがにゃんこをかっ飛ばして倒すゲーム。
アプリの途中で挟まれる広告を見たことがある人もいるかもしれません。
●敵
・ネコ×300体
ネコは中型犬くらいの大きさで、少し大きいので探すのには困りません。
皆さんが到着する時には250体くらいに減っており、それだけLvが上がっているネコがいます。倒している間にも数は減り、Lvは上がり続けます。ニボシを食べても上がります。ネコのLvは、自分のLvと相手のLvの足し算になります。
ネコの頭上にはLvが表示されていますが、これは小さく、ネコの体の色と同じ色をしています。白ネコはかなり見辛いかも知れません。
ネコは強くなろうとします。そのため強いネコにキャッツファイトを仕掛けます。(Lv10のネコがLv1とLv3とLv5の側に居たら、Lv5を優先的に倒してLv15になります。)
Lv1のネコの場合、威力が100あれば一撃で倒せます。
Lv2のネコの場合、威力が400あれば一撃で倒せます。
Lv3のネコの場合、900ダメージ与えれば倒せます。
Lv10のネコの場合、10000ダメージ与えれば倒せます。
Lv49までのネコの体力は、最大値20000です。
・スーパーネコ
Lv50に達したネコは、スーパーネコへと進化します。
進化前のネコたちは頭の上の小さな文字でしか違いが解りませんが、進化するとバスくらいの大きさになるので一目瞭然です。人間を捕食するようになります。
ここまで成長してしまった場合、目を合わせてはいけません。
●Danger!(狂気)
当シナリオには『見てはいけないものを見たときに狂気に陥る』や『反転に類似する判定』の可能性が有り得ます。
予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。
●侵食度<神異>
<神異>の冠題を有するシナリオ全てとの結果連動になります。シナリオを成功することで侵食を遅らせることができますが失敗することで大幅に侵食度を上昇させます。
●重要な備考
<神異>には敵側から『トロフィー』の救出チャンスが与えられています。
<神異>ではその達成度に応じて一定数のキャラクターが『デスカウントの少ない順』から解放されます。
(達成度はR.O.Oと現実で共有されます)
又、『R.O.O側の<神異>』ではMVPを獲得したキャラクターに特殊な判定が生じます。
『R.O.O側の<神異>』で、MVPを獲得したキャラクターはR.O.O3.0においてログアウト不可能になったキャラクター一名を指定して開放する事が可能です。
指定は個別にメールを送付しますが、決定は相談の上でも独断でも構いません。(尚、自分でも構いません)
但し、<神異>ではデスカウント値(及びその他事由)等により、更なるログアウト不能が生じる可能性がありますのでご注意下さい。
それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。
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