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シナリオ詳細

再現性東京2010:言葉を綴る坂

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●再現性東京2010:言葉を綴る坂
 すっかり秋めいた空の広がる、希望ヶ浜地域。
 市街地からちょっと離れた山は秋の紅葉に包まれており、紅葉が様々な色に色付いている。
 そんな紅葉の景色に、昨今停電やらガス、水道等々……生活必需のインフラが不安定になり、更に浸食の月という見慣れないものまで発生している希望ヶ浜の住人達が癒しを求めるのは自然な流れ。
 坂の折り返しにひらがなが割り振られたこの坂もまた、観光名所の一つとして一般人が良く良く訪れる。
 ……だが、そんな観光名所も、深夜の刻となれば、不気味な坂に早変わり。
『ったくよぉ……急がなきゃいけないからって、こんな山道通らなくてもいいだろうがよぉ……』
『しゃーねーだろー。この山道、深夜はほとんど車通りも無いからよ、時間が読み安いんだって。ま、頂上の休憩所についたらちょっとやすもーぜ』
 大型のトラックに荷物を載せた、物流配送の仕事をする若者二人も又、そんな不気味な山道を左へ、右へと切り返していく。
 ……そして、まもなく頂上の休憩所に辿り着くという、直前の坂道をハンドルを切った、その瞬間。
『……? う、うわあああ!!!』
 突然叫び、ハンドルを逆の方向に切り返す運転手。
 ただ、逆に着るという事は……そこにあるのはガードレールで、その先は崖。
『お、おいっ!!! う、うわああああ!!!』
 助手席に座っていた者が慌てて叫ぶが、その動きを止められる訳も無く……大型トラックはそのまま崖の下へと転落。
 そんなトラックが慌てて切り返した所には。
『……』
 虚ろに佇む、黒い影の少女が道路の真ん中に、ぽつりと立ち尽くしていた。


「みんなー!! 秋だねー! 秋といえば怪談だよね!! ほらほら、みんな集まってー!!』
 と希望ヶ浜のカフェ・ローレットにて、綾敷・なじみは居合わせた君達の肩を叩く。
 秋と言えば怪談……とはあんまり聞いた事無いけれど、なじみは満面の笑みを浮かべたまま、有無を言わさぬ雰囲気で。
「今日はさー、せっかくの秋だし、秋らしい場所にみんな行って欲しいなーって! ほら、中々秋を感じる事ってないでしょ?」
 余計なお世話だ、と思うのもいるだろうが、なじみは気にせずさっさと話を進めていく……その手には、紅葉の色付く山の中の風景を見せる。
 その風景にピンと来た人も多数……紅葉狩りで有名な、つづらおりの坂道。
「みんなも知ってるこの坂道だけど、深夜の刻は車通りもあんまりなくて、ちょっと寂しい感じの場所なんだよねー。そこにどうやら夜妖が出た、って事みたいなんだよねー!」
「この夜妖、深夜に通りがかる車の前に飛び出して、次々と事故を引き起こしてしまってるんだ。でも、一般人に対しては事故の多い坂、というだけの認識で、妖怪がいるだなんて事にはなってないみたいなのさ。まぁ、早々に対応しとかないと、どんどん被害が大きくなっていってしまうから、まだ被害も少ない今の内に対処してきて欲しい、って訳だよ!」
 と、そこまで言う彼女に、今回の夜妖はどういうのか、と質問返し。
「あ、ごめんねー! どうやら今回の主犯は少女の姿をした夜妖なんだけど、その周りに狼の様な姿形をした夜妖達が、彼女を護る様に立ち塞がるみたい。こんな二種類の敵を確り倒して、この坂に平穏を取り戻してきて欲しいんだよ!」
 そして、最後になじみは。
「まぁ、彼女がどうしてこんな所に出没するかは解らないけどさー、一般人へ危害を加えるってんなら黙っている訳にはいかないよね! という訳でみんな、宜しく頼むね!!」
 と、皆の肩を叩き激励するのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 いつの間にやら10月……今年は安心して紅葉狩り出来ればいいなぁ、と思う今日この頃。

●再現性東京2010街『希望ヶ浜』
 練達には、再現性東京(アデプト・トーキョー)と呼ばれる地区がある。
 主に地球、日本地域出身の旅人や、彼らに興味を抱く者たちが作り上げた、練達内に存在する、日本の都市、『東京』を模した特殊地区。
 ここは『希望ヶ浜』。東京西部の小さな都市を模した地域だ。
 希望ヶ浜の人々は世界の在り方を受け入れていない。目を瞑り耳を塞ぎ、かつての世界を再現したつもりで生きている。
 練達はここに国内を脅かすモンスター(悪性怪異と呼ばれています)を討伐するための人材を育成する機関『希望ヶ浜学園』を設立した。
 そこでローレットのイレギュラーズが、モンスター退治の専門家として招かれたのである。
 それも『学園の生徒や職員』という形で……。

●成功条件
 『ひらがな』の綴られた坂に現れた夜妖退治です。
 夜妖と、それの取り巻きに存在する狼型夜妖も全て倒す事になります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●周りの状況
 左へ右へ……と次々と折り返しの坂が続く山道です。
 街道の灯りはさほどなく、夜とも鳴れば真っ暗な山道となります。
 遠くの方には紅葉を彩る灯りはありますが、戦場の灯りとはなりません。
 
 戦場となる坂は頂上の2、3個前の坂です。
 深夜なので車通りは殆どありませんが、対策しなければ不意に通りがかってしまう可能性があるので、何らかの対策が必要でしょう。
 又この坂は歩行者立ち入り禁止なので、歩行者が侵入してくる事もありません。

●討伐目標
・悲しげな夜妖の少女『あかり』 x 1人
  何故かこの坂の道路のど真ん中に佇む少女の姿をした夜妖です。
  彼女が何故ここにいるのかは解りませんが……少なくともこの地に何らかのゆかりがある女の子でしょう。
  彼女は基本的に、周りの狼夜妖達に攻撃を任せ、自分自身は悲しげに泣き続ける事での呪縛のBSを戦場に与えてきます。
  ただ周りの夜妖達が居なくなれば、逆上して攻撃を仕掛けてくる様ですが、その攻撃手段は手刀の様です。
  武器は持たずとも、その手刀の一撃はかなり強烈なので注意っが必要です。

・少女を守りし『夜狼』 x 12匹
  彼女を護る様に立ち塞がる、狼のような姿をした夜妖達です。
  彼らの攻撃手段は接近しての噛みつき攻撃です。
  噛みつくと毒のBS及び、彼ら自身へのHP吸収効果がある攻撃です。

 どちらの敵も、暗闇の状態の中で行動制限を取られる事は有りません。
 
 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 再現性東京2010:言葉を綴る坂完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年10月22日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

レッド(p3p000395)
赤々靴
郷田 貴道(p3p000401)
竜拳
夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師
ジェイク・夜乃(p3p001103)
『幻狼』灰色狼
ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
剣閃飛鳥
ライ・リューゲ・マンソンジュ(p3p008702)
あいの為に
フラーゴラ・トラモント(p3p008825)
星月を掬うひと
アイザック(p3p009200)
空に輝くは星

リプレイ

●夜紅葉桜
 秋の風吹く再現性東京の希望ヶ浜。
 市街地から少し離れた所には、いろはにほへと……と各々のカーブにひらがな一文字が付けられた山道が存在している。
 丁度この秋の時期になると、美しく咲き誇る紅葉と、それを照らすイルミネーションがとても美しい景色を描き出している。
 しかし……そんな美しい景色の下をで巻き起こる事件。
「んー……秋と言えば怪談っすかね?」
 と『赤々靴』レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)が小首をかしげると、それに『喰鋭の拳』郷田 貴道(p3p000401)も。
「ああ、怪談だ。でもまぁ……怪談って言ってもなぁ……こいつら殴れるんだよな? 物理攻撃が効く輩なんざ、オバケもチンピラも変わんねえだろ」
 苦笑する貴道が言う通り、今回この場で起きているのは夜妖の事件。
 この坂にあらわれた夜妖は少女の姿をしており、深夜の刻にふわりと姿を表すという……。
「あらあら……彼女に何があったかは知りませんが、厄介な物ですね。泣いていたって、どうにもなりはしないのに」
 と手を合わせ敬虔なシスターの如く言葉を紡ぐ『あいの為に』ライ・リューゲ・マンソンジュ(p3p008702)。
 そんな彼女の言葉に頷きながら。
「何だろう……迷子の赤ずきんと狼さんって感じかな……泣いてちゃわからないよ……何か手伝って欲しいのなら、口に出さなきゃ」
「そうだな。夜遅くに、こんな場所に居ちゃ危ないよ? 反省も退きもしないなら……君は「悪い子」だね」
 『恋する探険家』フラーゴラ・トラモント(p3p008825)に『都市伝説“プリズム男”』アイザック(p3p009200)はいたずらに微笑む。
 そんな仲間達の言葉に、貴道が。
「ああ。正直、ミーにはよく分からねえが……なんか怖いこと、あんのか?」
 首を傾げるものの、彼女の真意は遭遇しない事には分からない。
 きょとんとしているレッド。
「そうっすか? 夜妖ってアンデッドとどう違うのか気になるっすよ。なじみさんに御願いされる依頼も初めてっすから。とりあえず、初めての夜妖退治、頑張るっす!!」
 ぐぐっ、と拳を振り上げて元気いっぱいなレッド。
 それに貴道もはっはっは、と笑い。
「ああ、ミーも拳が効かないなら効かないで、気合いで倒しちまうけどな、HAHAHA!!」
 と豪快に笑う。
 まぁ、今回はただの夜妖退治であるのは間違いないし……敵もそんなに特殊な能力を持っている様子ではない。
 ただ……ちょっと気になるのは、最近空に輝く浸食の月。
 その月明かりに照らされるこの坂の紅葉は、目にも鮮やかに美しい。
「名もなき『いろは坂』ですか……あかり様はこの坂の怪異なのでしょうか……」
 と『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)に、『『幻狼』灰色狼』ジェイク・夜乃(p3p001103)は。
「そのようだな。しかしこれは興味深い事件じゃないか! 幻、呼んでくれてありがとうな! 夜妖が出るという事、それには何らかの意味がありそうだな?」
「ええ……この夜妖……この坂にかかれているひらがなに何か因縁がある気が致します。皆様に、坂の由来と名前を思い出して頂きたいものですね……」
 幻の言葉にああ、と頷くジェイク。
 そんな仲間達の言葉を聞いていた『夜に一条』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)は。
「それにしても、事故が多い峠かぁ……辛気臭くて嫌になるね。それに浸食の月から再現性東京の存在そのものに不信感が残るんだよね……まぁ、この綺麗な紅葉や息づく命や人々は、本物だと信じたい所だけど」
 ミルヴィの言う通り、最近の希望ヶ浜の空には『浸食の月』が輝いている。
 かの月の影響によるものかは分からないが、希望ヶ浜の安心安全なインフラは最近不安定になっており、希望ヶ浜に住まう人達からすれば不安な日々が続いている。
 しかし、不安を解決する手段はまだまだはっきりしていない。
 ……だからこそ、イレギュラーズ達の力で一つずつ解決するしかない。
 この事件も……その事件に関連している可能性は無い、とは言い切れず、解決すれば解決の糸口が見つかるかも知れない。
「まぁ……泣いている少女は放っておきにくいのですよ、いや本当に」
 手を合わせて祈りを捧げるライに、フラーゴラも。
「そうだね………ごめんね。でも、まずは立ち退いて貰うよ」
 呟くと共に、イレギュラーズ達はつづら折りの坂へと急ぐのであった。

●潜みし影と
 そしてイレギュラーズ達は、深夜の刻の坂の麓へと到着。
「さて、と……取りあえず一般人が入ってこない様に細工が必要っすよね?」
 とレッドの言葉に頷くフラーゴラ。
 そんな彼女の手には、どこかから手に入れて来たのであろう工事用看板。
『この先行き止まりにつき通行止め。崩落あり』
 と記された看板を、まずは坂へ登る曲がり角の道路のど真ん中に設置。
「同じ看板……幾つか持ってきた……手分けして設置……」
「了ー解。それじゃこことここと……あとここもかな?」
 アイザックは携帯の地図を眺めながら、てきぱきと看板を設置する場所を指定すると、それに従い次々と看板を設置。
 ただ、看板だけだと素行の悪い暴走族やら、急いでいる人やらが入ってこないとも限らない。
 ただでさえ、希望ヶ浜の世論は今荒れている状況……だから。
「……これで良いか?」
「あ、いいと思うっすよー!」
 貴道に手伝って貰って、道路沿いの木々同士を結び合わせ、ロープでも道路を封鎖していく。
 ……そんな作業をしている最中に、来てしまった運転手さんには。
『んー……あー、何だぁ? この先、通れないのかー?』
「ええ、ええ……どうやらこの先で、少々危険な動物が目撃されてしまい、通行止めになっている様ですね……我々も、生徒が近づかない様に見回っているんです……」
『そうかぁ……先生も大変だねぇ……ま、位と危ないから、周りには用心しなよ?』
 という風にライが親切な態度で言いくるめる事で、中に入らないように注意し、入らないように送り返していく。
 ……そんなイレギュラーズ達の道路封鎖作戦が一通り終わった所で。
「これで大丈夫っすね! それじゃ、行くっすよ!」
 と再度イレギュラーズ達は集合し……道路を昇る。
 最初の曲がり角は『い』、次の曲がり角は『ろ』、そして『は』『に』『ほ』『へ』『と』と続く坂。
「やはり……いろはにほへと、ですね」
「ああ。取りあえず今の所は……おかしな所はなさそうだな」
「ええ……」
 と幻とジェイクが会話している一方で、ミルヴィはその手のaPhoneを操作。
「……んー……」
 暫し操作した後に、ちょっと空を見上げるミルヴィに貴道が。
「どうした? アンタ、何か分かったのか?」
 と問うと、ミルヴィは。
「いや、ちょっとね……この山道で発生した事故と、その『あかり』について調べて見てたんだけど……事故は起きているけど、その中に「あかり」っていうのは居ないみたいね」
 勿論、ニュースにならずに死んで行った者が居ないとは限らない。
 ただ、少なくとも明らかになっている犠牲者リストの中には、「あかり」と言う名前の女の子はいないのは間違いない様で。
「そうですかそうですか。となるといよいよ彼女がここに居る理由は分かりませんねぇ……遙か昔から棲みついているとか、それともどこかからやって来て、住み着いてしまったのか……といった所でしょうか」
「そうね……まぁ事故はここ数ヶ月の内に頻発しているみたいだし、後者の様な気がするわ。となると……余りこの場に居着かせる訳にもいかないわね」
 ミルヴィとアイザックの会話。
 そうしている間に更に坂を昇り行き、「ぬ」の曲がり角に到着すると、その場のガードレールは少し曲がってしまっており、文字の看板も少し斜め。
 更には、その「ぬ」のひらがなは、車が当たったのか、誰かがスプレーで描いたのかは分からないが……黒い筋が見て取れる。
「ここの被害は結構大きそうですね……恐らく、ここから車が落ちたとかでしょうか……」
「かもしれないな……」
 幻にジェイクが瞑目。
 ……そして、更に更に坂を上り、後少しで頂上につく坂へと到着。
「……ん……?」
 足を踏み入れると共に、陰鬱とした気配を感じ取る貴道。
 そしてその場に足を止めたイレギュラーズ達に……漆黒の闇に今迄紛れていたが如く、小さな少女の影が闇夜の中に現れる。
『……っ……う……うぅ……』
 その顔は漆黒に包まれていて、表情を読み取ることは出来ない。
 だが、その泣き声は心を抉るかのような……切ない泣き声。
 そんな彼女に先んじて幻が。
「あかり様、貴女が悲しい理由は……この坂の仮名を忘れられてしまったからじゃないですか? 意味があるのに」
 ……そんな幻の言葉に対し、少女はというと。
『……うぅ……うう……』
 と泣き続けるばかりで、目立った反応は見せない。
 いや、そんな泣き続ける彼女の近くにぽつ、ぽつ……と姿を表し始める『夜狼』。
『がるうぅぅぅ……』
 牙を剥き、威嚇している夜狼達。
「やはり……私達の声は、聞く耳を持っていない様ですね……であればしかたありません。さっさと毛だもおを片付けましょう。そうしないといつまでも彼女はぐずぐずと見るに堪えない」
 最初は優しくも、急に荒々しい言葉になるライ。
 そして彼女は前に進み出て、夜狼に退治すると共に己の運気を強化しつつ、ロザリオに込めた平和への祈りを捧げ、攻撃を放つ。
 ライの攻撃に続き、幻は破壊貫通力に特化した魔砲で纏めて攻撃。
 更にミルヴィも。
「好きにはさせないよ!」
 と言いつつ、アイザックと共に狼達へ攻撃。
 四人が狼達に攻撃すると共に、あかりから離れるように後退。
「さあ、こっちだよ!」
 とあかりと夜狼を分離する為の作戦を採る。
 ただ、あかりも夜狼を追いかけ、動こうとする。
 ただ、それをさせない様レッド、ジェイク、貴道、フラーゴラの四人が入れ替わるようにあかりの下へ。
『……うう……うぅ……』
 その泣き声は一際強くなり、仕掛けてきたイレギュラーズ達を精神的に蝕み、呪縛効果を及ぼす。
「……泣き声をずっと聞いていると、なんか責められてる気分になって、嫌っすね」
「ああ。だがよ、泣き続けてちゃ意味は伝わらないぜ? さぁ、フラーゴラ!」
「ええ……泣いてるだけで、役立たずの困った人……かかって来なさい」
 と素早いフラーゴラがあかりを挑発して怒りを付与すると共に惹きつける。
 そして惹きつけられた相手と共に、夜狼達とは逆方向に進む事で、更に両者を分断。
 分断された少女は。
『うう……ああああ!!』
 泣き声と共に、悲鳴を上げてその手刀の一撃を放ってくる。
 だが、その攻撃をカバーリングする貴道。
「ふん。速攻で片付けてやるさ!」
 と貴道は全体重を乗っけたフックを叩き込むと、ジェイクも死神の力を纏いし狙撃で一射を放つ。
 そしてレッドは、大きくダメージを喰らった仲間に祝福を与えて回復を施す。
 完全に夜狼とあかりを分断した一刻目。
 次の刻、あかりは夜狼達の元へ向かおうという素振りは見せない。
「どうやら分断成功した様ですね。あかりさんはお任せしましたよ」
 とアイザックはあかり達を担当する班に声を掛けると、それに手を上げて応えるジェイク。
「良し。集中攻撃でさっさと倒すぞ!!」
「うん……!」
 頷くフラーゴラが、あかりをブロックして動きを制限。
「皆……! 攻撃するなら、今!」
 と仲間達を誘導し、前衛のジェイクと貴道、更にレッドがあかりを攻撃。
 本来は夜狼に守られるべき彼女、だが守る者がいなければ、上手く対抗は出来ない。
 数刻の集中砲火の前に目立った抵抗も出来ず……あかりは倒れてしまう。
「こっちは終わったっすよ!」
「ああ。数だきゃあ多いからな、いちいち相手してらんねえぜ。屠殺してやるからさっさと掛かって来いよ、HAHAHA!」
 レッドに続き、貴道が声高らかに宣言。
 12匹という夜狼達の前後両面を包囲する形で対峙。
「さぁ、狼仲間のよしみだ! 俺が引導を渡してやるよ!」
 とジェイクが死の凶弾を放つと、それに続けてライが。
「そう、そうです。逆上でも良い。自らの手で動きなさい!」
 笑みを浮かべながら、夜狼を平和への祈りで蝕む。
 加えて幻の奇術と、ミルヴィの殺人鬼の力が次々と敵を打ちのめす。
 そんなイレギュラーズ達の攻撃は確実に一匹ずつ仕留めていき……12匹居た夜狼達も十刻ほどの間に、全て崩れ堕ちていくのであった。

●光を受けて
 そして、無事に夜妖達を退治したイレギュラーズ。
「ふぅ……どうやら無事に終わった様っすね! 皆さん、お疲れっす!!」
 汗を拭いつつ、笑顔で皆へと呼びかけるレッド。
「それじゃ、僕はさっさと後片付けをするとしようか」
 とアイザックが言うと、フラーゴラや貴道らが。
「あ……うん。ワタシも、手伝う……よ……」
「そうだな。力仕事だろ? ミーの力に掛かれば問題無しだぜ!」
 頷くフラーゴラと、はっはっはと豪快に笑う貴道。
「それじゃ、その片付けは任してもいいかな? 少し……やっておきたい事があるんだ」」
「ん? ああ、勿論だぜ!」
 ミルヴィにサムズアップで答える貴道、そしてこの坂の入口に設置した看板やロープをせっせと片付けて行く一方で、ミルヴィは先程調べたこの坂で事故が起きた所を一つ一つ回り、弔いの歌を捧げる。
 更にジェイクは周囲に鋭敏な感覚を張り巡らせる。
「何か、この坂の因縁と関連付いていればいいのだが……ああ、幻も手伝って貰って良いか?」
「ええ、勿論です」
 妻の幻と共に、坂つづら折りの坂一つ一つをしっかりと確認する。
 先程のニュースからは、この辺りに関連付いていそうな少女はいない模様なので、無駄に終わる可能性は十分にありうる所。
 だが、現地でしか分からないであろう情報を得る為に、一つずつ確実にチェックしていく。
 そんな調査をしつつ、更に幻は。
「僕は戦いのような無粋な事より、粋なことをしたいものです。僕の場合、戦いでも華やかなのですけれど、やはりゆっくりと奇術を堪能して頂きたいではないですか?」
 と、ぽつり呟く都共に、ひらがなの形をしたネオンをギフトで作り、ひらがなの看板の所にそっと差し出す。
 深夜の刻故に、ひらがなの看板は深夜は真っ暗。
 ただそのネオンによって照らす事で、一つ一つの坂を彩っていく。
 そしていろは全ての看板にネオンを灯した後で、幻は。
「これで、あかり様の気持ちが落ちつくといいのですが……」
 と瞑目し、ぽつり。
 そんな彼女の言葉にジェイクは頷きつつ。
「そうだな……一応掃除屋経由で御願いしとくか。文字が消えかけているのもあるから、塗り直してくれ、ってな」
「ええ……それが良いと想います」
 ……色鮮やかな紅葉の色。
 そんな紅葉が、この地に住む人々と共に……この地に眠る犠牲者達を癒してくれるよう祈りながら……イレギュラーズ達はその坂を後にするのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

ひらがなの坂に住まう夜妖退治、お疲れ様でした……!
彼女の裏に隠された事実はわかりませんが、きっと皆様のおかげで少しは浮かばれた事でしょう……。

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