シナリオ詳細
練達製VRマシンが買えなくて
オープニング
●これまでのあらすじ
呪われしブラッディ・ヒルより現れたデヴィルらの軍勢は、次々に周囲を支配下に収めていった。供物を捧げさせるための重度の苦役、反抗の芽を摘むための激しい拷問。今、人類は――いや物質界に住まう全ての種族は、ブラッディ・ヒルのデヴィルらの奴隷と化すことを運命づけられたのである。
だが、そんな中でも立ち上がる者たちがいた。後に『正義をもたらす者たち(ジャスティスブリンガーズ)』と呼ばれることとなるその冒険者たちは、デヴィルらによって封鎖された交易都市カリュアスを解放し、機巧都市ギブロンを苦痛で満たす魔侯爵ディーモドゥを討伐し、遂には元凶の地ブラッディ・ヒルの地下に眠る地獄の釜の蓋、『冒涜神殿』への道を拓いたのだった。
ハイエルフ族の予言の乙女シェーアによれば、冒涜神殿の最奥に座してデヴィル召喚儀式を続けるイヴィルタイタンの悪魔司祭ダグラグを倒すことにより世界は平和を取り戻す。物質界全ての命運は、今、勇敢なる冒険者たちの手に委ねられた!!
- 練達製VRマシンが買えなくて完了
- GM名るう
- 種別EX
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年10月14日 22時05分
- 参加人数6/6人
- 相談7日
- 参加費150RC
参加者 : 6 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(6人)
リプレイ
●最後の門出
『死こそ尊く、真実に最も近きもの』
不気味な文言とともに邪悪なデヴィルの頭像が据えつけられた扉を、ユアプスは無造作に押した。本来であれば許可なく触れた者に炎を浴びせかけたはずの頭像はしかし、今ばかりは沈黙のまま動かない――あたかも風精女王の彼女に畏れをなしたかのように。
「我が友『大金星の』アリカよ、その雪辱をいざ果たさん」
亡き友の遺した大太刀に誓い、慎重に地下に向けた最初の一歩を踏み出したのは黒髪の戦士。人呼んで『暁の』ムント。デヴィルどもの悪虐への怒りとも、これから為すべき探索行の重さとも裏腹に、その心は禅の境地たる平穏に満ちている。
その後ろに続くのは、左手に弩、右手の指の間に常に幾本もの矢を挟んでいる男。セルキィ。彼の白髪は仄かに聖なる輝きを、歳の割に幼なげな口許には微笑みを帯びており、どこか尋常ならざる聖性を湛えているようにも見える。
もっとも……それも彼の後に扉を潜る者たちと比べれば、よっぽど真っ当な人間に思えたのであるが。
「神殿は1キロは下ですね。間に敵はいなさそうですよ」
比良坂 武夫と名乗った男は材質も不明な時空忍者刑事装束を纏い、今も完全な光学迷彩効果を発揮していた。何もないように見える空間に、この先の地図を表示する未来的なタブレット端末だけが見える。そしてその光を目印に……どどどどど。『羊飼い』マルドゥーク率いる3000もの羊が、次々と雪崩れ込んでくる。本当は羊たちの中にゴッズ羊が混ざっているから彼らの次元『羊の楽園』の中で待たせておけば十分なんだけど、ほら、やっぱり安全な時くらいは出してあげたいし?
そんな突拍子もない光景を殿で見送りながら、黒鱗の竜人ニケ=ハプル・ヌンは細長い瞳孔が作る鋭い眼光を、扉の奥の暗闇に向けた。
「コノ先ガ、果タスベキ試練ノ地カ」
唾棄すべき悪魔司祭に正義の鉄槌を下すことにより、ニケの部族の成人の儀、『百悪掃滅』は果たされる――その期待に心踊らせながら、彼もまた、これまで誰ひとりとして戻ったことのない扉へと消えていった。
【参加PC】
・“暁の”ムント(人間の男性)
PL:『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)
主なクラス:パラディン/ウォーリア・オヴ・トゥルー・オース/ケンセイ
主なスキル:悪を討つ一撃/半歩ずらしの間合い
デヴィルの尖兵として祖国を滅ぼした友が実はデヴィルに魂を囚われ操られていただけだと知って復讐の誓いを捨てた、元聖騎士。これにより悪に対する特攻を持つパラディンのスキルを失わぬまま行動規範を解除できる上級クラスに就いたため、制約を気にせず有利な立ち回りができるようになった。弱点を、レベルが上がると忘れられがちなアイテムもきっちり揃えることで補っている。
講評:真っ当なビルドで真っ当に強い。
・『羊飼い』マルドゥーク(人間の男性)
PL:『言霊使い』ロゼット=テイ(p3p004150)
主なクラス:ビーストテイマー/プラナー・パスター
主なスキル:産めよ育てよ大地に満ちよ/品種改良/聖なるアングリーセーター/ジンギスカン
泥棒に盗まれた羊たちを取り返すために世界を旅していたら、いつの間にか強くなっていた羊飼い。ぽこじゃか増やした羊に上級クラスで異界の特殊能力を与えて数の暴力で突き進む。天界産のエンジェル羊、魔界産のディアボロ羊、ドラゴン界産のドラゴン羊……。『羊飼い』と『牧師』双方の意味を持つ上級クラス名から解る通り、羊を犠牲に僧侶呪文をばら撒く司祭系でもある。
講評:リソース代替系の例に漏れずチート。
・セルキィ(インカーネイティッド・セイントの男性)
PL:『繋ぐ者』シルキィ(p3p008115)
主なクラス:シューター/メサイア
主なスキル:支援の矢/援護の矢/轟撃の矢
誰かのためになるのなら、どんな難事でも「やれやれ」と言って手助けしてしまう射手。特殊矢をたんまり揃えるのにお金がかかるから、タダで仕事することはないけれど。矢は大火力を出すのみならず、味方のバフまでできる優れもの。人間に見えるも、種族は耐性マシマシな受肉聖人。デヴィルどもから世界を救った後には天に召される予定だが、単発セッションで困るはずもない。
講評:壊れ性能データのつまみ食いは当然強い。
・比良坂 武夫(人間(SF世界)の男性)
PL:『どんまいレガシー』ジョーイ・ガ・ジョイ(p3p008783)
主なクラス:テック・ニンジャ/タイムスペース・パトロール・オンミツ
主なスキル:アナライズ/カラテ/時空忍術/時渡り
時空犯罪者を追って未来の世界からやってきた、時空忍者刑事。SF世界の強力な武装や探査機器を持ち込むと伝えた時のクック卿の唖然とした顔は見ものだった。OKは出たものの、時空刑事が過去を変えていいのかと問われて「冒涜神殿と手を組む時空犯罪者の逮捕が目的であります」と答えてしまったせいで、冒涜神殿にボスが1体増えることとなった。結果は……。
講評:お前はルーニーじゃないマンチキンだ!!!!!
・ユアプス(エア・エレメンタル・ロードの女性)
PL:『優しくて不確かなすべて』チュチュ・あなたのねこ(p3p009231)
主なクラス:シーフ
主なスキル:疾風纏い/風読み/風の噂/ウィークポイント
風任せに生きていたはずが生来の幸運が幸い(災い?)し、いつの間にか精霊女王になっていた紅一点。ただでさえ物質的な存在ではなく物理ダメージを受けないうえに、身長も20cmで風の力も纏っているため、魔法もかなり当たりにくいし罠も発動しにくい。そのせいで罠解除は大体「成功するまで再挑戦」。戦闘時は基本は無敵壁だが、攻撃に回ると突風で辺り一面が薙ぎ倒される。
講評:通したGMの自己責任以外の何物でもない。
・ニケ=ハプル・ヌン(ドラゴニュートの男性)
PL:『陽気な骸骨兵』ヴェルミリオ=スケルトン=ファロ(p3p010147)
主なクラス:バーバリアン/ファイター
主なスキル:卓越した戦技/獰猛なる怒り/ドラゴニック・ブレス(酸)
成人の儀の最中に一行と出会い、冒涜神殿を最終試練の地と定めた勇敢なるヌン族の若き戦士。バーバリアンの鎧制限を自前の鱗で補いつつ、対魔用銀加工を施した大斧を、バーサークして振り回す。しかもブレスを吐き、空も飛ぶ。そんな英雄級のニケでも成人の儀の最中って、どんだけ強いんだヌン族。まあ成人の儀の背景を取っておくと攻撃性能が上がるからなんだけどね。
講評:ねえ。誰か知ってたらちょっと教えてほしいんだけど、このパーティー、なんでこのビルドで器用貧乏と評すべき立ち位置になるの……?
●冒険のはじまり
「……と、こんな感じですかね?」
瑠璃が手元の紙を広げてみせれば、そこには英雄譚の第一幕が絵画化されていた。
幻影を作り皆の意見も聞きながら、最後に念写して生み出した記録画像。これからクック卿の下で行なわれる冒険の確かな証拠は、いつの日かきっと6人の思い出になることだろう。
特に、ふわもこの羊たちがたくさん描かれていたところなどは、ロゼットのお気に入りになったはずだ。何故なら、絵にマルドゥークが長年を費やして取り返した彼の羊たちの個性まで描き込まれていたのは、きっとマルドゥークにとっても嬉しかったに違いないから。
「お蔭でスケさん、気合いが入ってしまいましたな!」
クック卿、いざ尋常に勝負ですぞとヴェルミリオ。ただでさえ高いニケの筋力と耐久力に加えて、今ならダイス目も味方してくれてもおかしくはない。
もっとも……クック卿はそんな彼らの様子を見ながら、どこか心配そうな顔をしていたようにも見えたのだが。
「随分と戦士が多めですが、パーティーバランスは大丈夫ですかな?」
「ん~、大丈夫じゃないかなぁ?」
答えたのはシルキィだ。確かにムントやニケという戦士たちがありながら、彼女のセルキィもまた戦士。とはいえ……遠隔攻撃役のセルキィは、どちらかというと半分は魔術師役だ。
そんなセルキィの弱点は、探知系魔法が使えないから、完全に魔術師の代替にはならないことだった。ただし、そちらは比良坂が時空忍者刑事七つ道具を使えばいいので、パーティー全体で見れば困ることはない。
「本来は、未来世界キャンペーンの中で一時的に過去に戻って現代知識無双、がデータの意図なのでありましょうが、GM殿の許可もあったことですし問題ないですな」
そうジョーイが語っているとおり、クック卿は貴族としてのプライドからか、一度『何でもアリ』と決めてしまったものを今更撤回するなどできなかったようだった。セルキィの欠点踏み倒しみたいなビルドも通したし、ユアプスの種族も認めてしまった……精霊王、ルールブックには『基本的に自らの領域からは出ないが、認めた精霊使いと契約して同行することはある』、つまり暗に『NPC専用種族』と書いてあったのに。
「本当に構わなかったのよね?」
訊ねるチュチュに頷いて、クック卿は改めて6人にこんな説明をする。
「私は問題点を指摘して、諸君はそれを見事に補う背景を私に提示し、納得させてみせた。データとして行動制限を課す能力を所持しているのでもなければ、私はそれで構わぬということにしているよ」
それはクック卿の人柄によるものか? それとも、その程度では動じぬという自信の現れなのか?
誰が泣いても笑っても、世界の命運を左右するジャスティスブリンガーズ三部作の最終話『冒涜神殿の邪巨人』は今、クック邸の遊戯室にて始まったのである。
●風雲の訪問者
不気味な静寂に包まれた地下洞窟を、1マイルはゆうに下っただろうか。自然の鍾乳洞に最低限の手を加えたのみだった通路の角を曲がるとそこに、再び悪魔的な門が現れたのだった。
聞き耳代わりの比良坂の端末が、内部に這いずる音を検知する。
「検証成功。15m四方の部屋に、スネーク・デヴィルが4体ですな」
粛々と為される比良坂の報告。余人であれば単体相手でも恐怖し命を乞う悪魔であっても、時空忍者刑事にとっては逮捕すべき犯罪者でしかないのであろう。
……もっとも。彼らが目的の前の些事でしかないのは、ニケやセルキィにとっても同じことだったようではあるが。
「ワガ酸スラ弾ケヌ鱗ナド、ヌン族ノ相手ニハ物足リヌ」
「やれやれ。こんなところで矢を費やすのも勿体ないから、時間を掛けずに仕留めるよ」
ニケが鈍い輝きを放つグレートアックスを構えれば、セルキィも指の中の矢をデヴィル特攻の銀の矢へと持ち替える。彼らが為すべき大義を思えば、この程度の敵が障害になってはならぬ。ただでさえ、一行は尊い命――ジンギスカンとして朝の食卓に供された、マルドゥークの羊を犠牲にしてここに立っているのだ……何の成果もなく逃げ帰るなど、たとえマルドゥーク自身が許してもできるわけがない。
「友よ、そなたの弔い合戦に、そなたの力を貸し給え」
朝食のお蔭で自身の内より湧き上がってくる力を確かめながら、ムントは大太刀を振り下ろしてやった。ユアプスの風すらも弾き返した魔法の封印も、友の遺した霊力を纏わせての剣禅一如はあっさりと断ち切ってやる。
ガラガラと崩れ落ちる扉材。けたたましい音に驚いて、大蛇の下半身を持つデヴィルどもは一斉にこちらを振り向いた。
「全員が驚いてる今ならチャンスだよ。知らないけど」
言い放つと同時に吹き荒れた激しい竜巻が、デヴィルどもの悲鳴と呪文詠唱をかき消した!
●初戦を終えて
「これで連携の確認くらいはできたろう?」
淡々と訊きながらクック卿はマップ上のデヴィル駒を片付けた。
「正直、ここまであっさりとやられるとまでは思わなかったが……君たちよりレベルが低ければ当然の結末だったろう」
蓋を開けてみれば僅か1ターン弱。朝食としてジンギスカンを食して丸一日フルブースト状態になっていた一行の活躍は目覚ましく、イニシアチブをユアプスに取られた冒涜神殿の門番たちは、初手の暴風に呪文集中を乱されたところを、残る者たちに次々に屠られて果てた。
接敵で誤射の可能性が生じる前に、まずはセルキィが4体全員に対して同時に射撃。そこにマルドゥークが羊たちを召喚し、善属性の踏み荒らしで更なる全体ダメージを追加。これだけでもHPの半分以上が削り取られたデヴィルらは、このターンは呪文が使えなくなっているので仕方なく前衛に尻尾攻撃を仕掛けるが、命中すれば継続ダメージばかりか拘束状態まで期待できたはずの尻尾攻撃も、突入前の追いジンギスカンのせいで拘束無効。そればかりか不用意に近付いたために直線上に並ぶことになった3体がニケの酸のブレスを浴び1体が脱落し、抵抗に成功した2体もダメ押しのグレートアックスの2回攻撃により次々と屠られた。そして4体め……鱗による防御力を貫通するムントの霊刀の斬撃は、回数制限のある対悪必殺技を消費するまでもなく敵を地獄に還す!
ジョーイが手持ち無沙汰そうにしていたのが印象的な戦いだった。もっとも彼の仕事は事前の敵の同定であり、それがなければこうも綺麗に作戦が決まることもなかったのではあろうが。
「さて、エントランスホールの奥の壁にはワープポータルがある」
そうクック卿が説明したならば、時空忍者刑事がその先をスキャンする。廊下だ。廊下はすぐに左に折れ曲がり、いかに時空管理局製の探査装置といえども、ポータル経由ではそれ以降の安全は判らない。
「ここは、ユアプスだけで偵察すればいい?」
訊くチュチュの手の親指の爪が、本人も意識せぬ間に口許に伸びた。反対の手に握られたダイスが、どこか心配げに手のひらの中で転がる――自由を尊ぶまでは同じでも、テキトーで楽観的な彼女のキャラクターとは違い、彼女自身は思慮から無縁じゃいられないから。
「ううん、みんなで一緒に行こうよぉ」
それに答えたのはシルキィだ。確かに、ユアプスの偵察結果を元に事前に最適なバフができるならそれに越したことはない……けれども式神までも動員したシルキィの、セッション前の1時間ほどを除いては睡眠時間も惜しんで続けた研究の成果が、冒涜神殿の罠が物理的なものに留まるはずがないぞと囁いている。
「ふむ。全員で潜ることにしてしまったか」
クック卿の顔に悪徳幻想貴族の愉悦が浮かび、そして彼はこう続けてみせた。
「……残念! 誰かがポータルを潜ったら角の奥に隠れていた敵に通知が行って、ポータルを閉じる手筈だったのだがね。こちらの敵は集中なしで呪文を使えるのでユアプス君でも厳しかったはずだが……」
……うん。全員揃っていればやっぱり1ターン保たなかったね。
●外道なるリドル
……が、早くも一行はその先で、次に向かう先を失ったのだ。
「ナイナ」
ニケが唸りを上げる。折れた廊下の先にはポータルの操作板があり、そこではポータルを閉じる以外にも、行き先を72の邪印から3つを選ぶことにより入力できるようだった。
「ダガ……行キ先ノ一覧ハドコダ? マサカ、全テ確カメルノカ?」
学のないニケにはその総数こそ計算できずとも、全パターンを確かめるには途方もない労力がかかることくらいは直感で判る。試しに、適当な組み合わせを試してみるが……間違った場合は一見問題のなさそうな部屋に繋がって、直後にポータルが閉じて中にいた者が空間もろとも消滅させられそうになることはマルドゥークの羊により確かめられた。
「おおよしよし、怖かったですねショーン……」
涙目で顔を擦りつけてくる次元移動羊を宥めてやりながら、マルドゥークは彼の次元移動にも回数制限があるのだと告げる。全ての次元羊を移動先の調査だけに使ったとしても、6万の全パターンを確かめるには3ヶ月……え? むしろたったそれだけで済むの? いずれにせよ悠長すぎることに違いはないが。
どんなに高い捜索能力も、探す場所の見当すらつかねば役に立たぬのが世の常だった。さて、どこを調べればいいものか。一行が頭を捻りはじめたその時……禅の瞑想により自身の内に答えを問うていたムントが、唐突に倒したデヴィルの全身をまさぐりはじめると声を上げた。
「やはり、斯様な処に隠されておったか……。悪魔どもの腕に、邪印の並びが描かれておる!」
それは神殿の主たる邪巨人がデヴィルらに与えた、神殿各所への通行許可の証。落とし穴や即死魔法といった罠を潜り抜け、並み居る敵を肉体を破壊しきらぬよう倒し、新たな邪印の並びを得たらその先を調べることを地道に繰り返すことこそが、遥か古代、冒涜神殿を建立した何者かが定めた手順であったのだろう――本当に?
そう錯覚させて疲弊させることこそが彼らの狙いではなかったなどと、はたして、誰が言えるだろうか? 彼らが少しして気付いたことは、ただ敵を倒すだけでは、これ以上の邪印の並びを見つけられなくなったということだった。
●玄室へ
「そういえばこの部屋、左右に『ぼこぼこと音を立てながら溶岩が流れている』とのことでしたね。私以外に火ダメージ無効になれる方はいます?」
その瞬間に瑠璃の言葉の意味を理解し得たのは、恐らくはクック卿だけだったに違いなかった。マイキャラは受肉聖人だから大丈夫だよぉ、と答えるシルキィも、溶岩に入って何かするのかな、くらいの認識だったろう。
どんなにデータを組み合わせ、強力なキャラクターを作ったところで、時にひとりのプレイヤーのリアル直感の前には霞むのがTRPGというものだ。
そして瑠璃のリアル第六感に続いたのは、ジョーイのようだった。
「溶岩にもルール百科のオプションルール『壁越しの聞き耳』を応用できそうでありますが、音探アプリを使用して構わないでありますか?」
「達成値を」
クック卿が淡々と応えれば、ジョーイは実際に時空タブレットを操作するジェスチャーをしてみせる。そしてダイスを転がして……。
「溶岩表面から3m以内の、溶岩の音の『しない』空間をお教えいただきたいですぞ?」
予想通り、溶岩の底には球状の空間が見つかるのだった。やはり溶岩の中に最奥部へのワープポータルを隠していましたか、と、したり顔をしてみせる瑠璃。
だが、溶岩の中に別の罠が仕掛けられているのでは? チュチュが再び爪を噛む。
「この溶岩……、魔法ダメージ扱いになるのよね?」
いかに罠だけなら解除できるユアプスであっても、時間を掛ければ中で燃え尽きてしまう。ならば、いっそのこと最初のポータルみたいに、皆で一蓮托生の溶岩ダイブにチャレンジしたほうがいいのだろうか……と首を傾げたその時。
「待って、今羊を増やすから」
ロゼットが何か不思議なコンボを決めると、酷使されすぎて半分以下まで減っていたマルドゥークの羊が、一気にもさっと元近い数まで増えた。そして耐火バフのためまたすぐ減ってゆく。
「悲しいけど、マルドゥークならきっとこう言うだろうね……『彼らは、僕に命を委ねればきっと全てが上手くゆくって信じているんです。ですから僕はそれに応えるんですよ』……サプリメント『ダビデ』のワールドセクションの『羊飼いとは?』の受け売りだけど」
その犠牲に報いるために、ユアプスは溶岩の中へと飛び込んでいった。振り直し含めて幾つかの判定を終えた後、彼女は再び一行の下へと戻る。
「では折角の耐火呪文が切れてしまわないうちに、スケさんもポータルへと向かいますぞ!」
「じゃあ、セルキィも。『これほど嫌らしい場所に入口を隠すだなんて、この先はよっぽど僕たちを入れたくないようだね。やれやれ、さあ、デヴィルたちの脅威から世界を救おうじゃないか!』」
改めてそれぞれのリソースと現在のバフ残り時間を確認し、次々に溶岩の中に飛び込む英雄ら。最初のポータルの通過がデヴィルらに通知されたのだから、溶岩下のポータルを通った瞬間から敵の迎撃準備は始まるに違いない。出た先の荘厳だが吐き気を催す死と罪業のモチーフの飾り柱の回廊を一行はこれ以上は罠にもかかれとばかりに駆け抜ける。
「この先は敵に準備時間を与えぬために、ニケもユアプス殿の隣を並走しますぞ! もっとも、いかに野生の勘逞しい竜人といえども、ユアプス殿特化した直感ほどの達成値は出ませんぞ。セルキィ殿が再ロールのスキルをお持ちでしたな、スケさんの出目が低かった時には何卒!」
物理の、魔法の罠が絶え間なく飛んで、その度にセルキィは援護の矢をニケへと撃ち込んだ。『敵の意識を一瞬奪い、好機を作る矢は~』とのフレーバーを考えたなら、味方の攻撃判定時くらいにしか使えなさそうなスキル。にもかかわらず説明文から対象となる判定の指定が抜け落ちている=罠発見にでも罠回避にでもどんな判定にも使えるのはクック卿も確認済みだ!
揃って罠を物理で踏み潰し、最後の扉を勢いよく開いたならば、生贄の儀式を捧げていた巨大な人影が、まさかといった表情でこちらを振り向いた。その悔しげに結ばれる口許は、果たしてクック卿のロールプレイによるものか? はたまた卿自身の憚ることなき内心か?
「矮小なる種族どもめ! 如何にして彼の罠ばかりの回廊を斯くも疾く越えた!?」
クック卿――ダグラグは歯噛みする。
「貴様らが息も絶え絶えで現れたなら、我が聖域呪文にて絶望をもたらしてやろうと画策しておったのに。だが、呪文はあと僅かで完成を見る……せいぜい今のうちに、最期の希望に縋っておくがいい!」
●最後の戦い
ダグラグが口上を終えると同時、左右に並んだ化け物たちが一斉に不気味に嗤う。全身が棘に覆われたデヴィルやビーム満載の目玉の化け物といった、これまで戦ってきた、戦闘シーンすら省略された魔物たち。あるいは黒山羊の頭と黒い翼を持った、初めて見る巨大なデヴィル。
「確か、貴様の宿敵もあれらの中にいると言っていたな」
ダグラグは傍らのサイボーグに問うた。
「ああ、見えるぜ、見える! 光学迷彩で隠れてるつもりらしいがオレには丸見えさ!」
時空犯罪者は違法薬物でハイになった目で、比良坂が隠れている場所を凝視する!
咆哮が満ちた。
「ワレ、ニケ=ハプル・ヌン! オマエ倒ス! ヌン族ノ誇リニカケテ!」
竜人族の信奉する秩序の名の下に、悪への怒りを灯すのはニケだ。血走る瞳。逆立つ鱗。その荒々しさにはデヴィルらの中にすら震え上がった者もいたようではあるが、そのことに彼ら自身も憤り、一斉に英雄らへと飛びかかってゆく。
が……先に行動を完成させたのはユアプスだ。暴風が、冒すものを許さぬデヴィルらを打ち据える。幾らかが足並みから零れ落ちてゆく……しかしより強大な悪魔はそれすらものともしない!
もっとも、押し寄せるデヴィルらが傷を生んだとしても、ムントは大太刀の振るわれる先を、ただ一点へと見定めたままだった。常人など一撃で屠るであろうデヴィルらの攻撃も、歴戦の戦士をマルドゥークの羊たちの命懸けの祈りが支えれば、必ずや跳ね除けられると知っているから。
「目玉よ、お主のあんちまじっくびいむ、見過ごしてはことぞ」
英雄の身体は往々にして、それに相応しい道具を纏う。即ち、邪教の総本山に乗り込むほどの者ならば、全身が高価な魔法の品々で強化されていると言っても過言にあらず。富への執着は確かに憎むべき悪ではあるが、かといってそれらの品々が無効化されて、英雄が力を失えば、世界は闇に包まれる結果となろう。
セルキィの放つ矢はムントの太刀筋と一体となり、その鋭さに磨きをかけた。彼が全てをその一撃に賭し、為すべきことを為すために。
大金星が輝きを帯びる。疑念より秩序への献身を自ら捨てた身なれども、それでも人の善性への信頼は、今も決して失われぬから。
「ワレ、オマエ、助ケル!」
悪を討つ大太刀が目玉の右側から食い込んだならば、原初の怒りに満ちたニケの大斧が左の側からそれを迎えた。目玉の全身ががくがくと震え、次の瞬間には2つの軌跡が交差して、哀れな目玉を上下に分かつ。
勝利の気炎をブレスの形で吐いたニケにより、幾らかのデヴィルが溶解する肉塊へと化した。味方の哀れな最期に唖然とし、どうすればいいものかと召喚主をチラ見した別のデヴィルを、ニケは更なる斧の一撃で両断してみせる。
『痴れ者どもめが』
巨大デヴィルの声が、その場にいる者全ての脳裏に響いた。
『余の配下でありながら、定命の者ごときに遅れを取るなど。
いや――ここは素直にそなたらの実力を称えるべきであろうな。褒美に、そなたらに余の名を教えてしんぜよう。余こそは、魔神バフォメット。無論、そなたらの前におる余は数多の化身の一つにすぎぬが――それでもこうして余にまみえたことを誇るがいい!』
巨大デヴィル――バフォメットの掌から、とりどりの色の魔力がほとばしった。炎、氷、毒、酸、雷……あらゆる力がニケを襲って、彼の最大HPを超えるダメージを叩き出す。
が……ニケは倒れなかった。
「酸ハワレニハ効カヌ!」
黒竜人の鱗は魔力のうち酸の寄与する部分を弾く。加えて滾る悪に対する怒りが、彼の生命の限界を引き上げている!
次々に羊たちが自ら命を捧げて、ニケの傷を癒やすジンギスカンとなった。
『やはり、ダビデの技を受け継ぐ輩は厄介であるな』
バフォメットは忌々しげな思念を発すると、今も一心不乱に聖域呪文の詠唱を続ける召喚主を威圧し中断させる。莫迦め、あと何ターンそんなことをしているつもりだ。
敵の戦力を正確に見積もることに関しては、魔神は、そう呼ばれるだけあって巨人より遥かに正確だった。見よ――そなたが味方に引き込んだ未来人とやらは、あっさりと宿敵に捕らえられて無力化させられているぞ。ダグラグにはいつ何が起こったのかはさっぱり判らなかったが、魔神の目は全ての出来事を捉えている。比良坂は光学迷彩を発揮したまま自分だけ極度に早く進む時間軸に転移して、一瞬の間にありとあらゆる時空忍術を自身と時空犯罪者にかけたのだ……そして、ガン=カタ・アーツを含めたカラテを次々に叩き込み、最後に無理な時渡りの代償で軋む体を救急キット内のエナジードリンクで癒やしてターン終了だ。
「馬鹿な……」
邪巨人は絶句して、しかしすぐに魔神に言われたとおり、新たに別の呪文の詠唱を開始した。文言を聞くだけで耳が腐れ落ちるかのような、この世の邪悪を煮詰めた祈りを。
「この祝詞は……ぐっ!?」
ムントが味方に警告を発し、次におびただしい血を口から吐いた。強き意志で耐え抜いて、それですらこの有様だ……他の者たちはどうなったのか。霞む視界で辺りを伺う。結果は……ああ、何と恐ろしいことだろう! 旅の間、いつも踊るように空を舞い、絶やさぬ笑顔で皆に希望を振り撒いてくれた精霊女王が、今では苦痛の表情を浮かべたまま地に堕ち動かない。
「羊たち。可愛い僕の子供たち」
マルドゥークの涙が羊たちの毛に落ちて、羊たちは哀しげに鳴いた。どうか彼女のために命を譲っては貰えませんか――そんな懇願をマルドゥークにさせるために、自分たちはいるのではないと言うように。
羊たちが自らの体を投げ打つと、石畳の上のユアプスの指先が、ぴくりと小さく引きつった。青白くなっていた彼女の肌が温かみを取り戻し、彼女は不思議そうにその場で上体を起こす。
「そっか。生き返ったんだ……。ならもう大丈夫だよ、知らないけど」
ユアプスは再び風を纏い、もう一度殺してやるとばかりに殺到する低級デヴィルらを次々に吹き飛ばす。
『くはっ、くははははっ! この寡兵でこれほどの戦いぶりとは、敵ながら見事なり!』
バフォメットの高笑いが辺りに響いた。そして愉快そうに彼は言葉を続け。
『そなたらが余の軍門に下れば、地上などすぐに支配できるであろうに! どうかね? そなたらも弱者を虐げる愉悦に身を委ねてみるのは。無論、それだけが従属の報酬とは言わぬ……余の下に参り、ともに物質界を手に入れたならば、世界の半分をそなたらに遣ろ……』
「……やれやれ、そんなに代金を貰えるのなら、矢を大盤振る舞いしなくちゃならないね」
言いかけた魔神の右目へと、幾本もの銀の矢が突き刺さっていた。
『……であろうな』
セルキィの答えに魔神はしかし、満足げに嗤う。
『元より、そなたらがこの程度で宗旨変えするとは思っておらんわ。
だが、それで良い。そなたらは余と余の信徒を倒し、地上にて多くの信奉者を得ることであろう。それは取りも直さず、そなたらは死した後に神として列せられ、永劫なる善悪の戦いに加わることを意味するものだ。
彼岸にて余とそなたが交わる時が、何時になるかまでは余も知らぬ。しかし、それは実に楽しみな未来ではあるまいか……そなたらは善なる大義を推し進めることができる。余は、今日の雪辱を果たすことができる。どちらにも利のあることだとは思わぬかね?』
「その時が貴方にとって、屈辱を重ねる結果にならないことを祈っているよ」
セルキィが最後にもう一度矢を撃ち込んだならば、魔神に刺さった矢の全てが爆ぜた。いや、あまりにも強烈な最後の矢が正確に再び同じ箇所に命中したために、刺さる他の矢ごと魔神の右目を抉り取ったのだ。
『ではさらばだ、善なる使徒どもよ』
「そんな、お待ちくださいバフォメット様……ぐわぁっ!?」
力を失い消え去った魔神の化身に懇願するダグラグの側頭部に、強烈なつぶての一撃が襲いかかった。
「メリー、ラム、リサ……貴方たちの犠牲は、必ずや未来に繋げます」
もはや、あれほどいたマルドゥークの羊たちもほとんど残っていない。けれども彼にはまだ武器がある……銘付きスリングショット『☆ゴリアテ殺し』は、巨人に対する特攻が備わっている!
「おのれ、あと1分……いや30秒でも早く聖域呪文の詠唱を始めていれば!」
邪巨人は後悔すれども後の祭り。魔神の化身と比べてさえ頑強だったはずの彼の肉体も、すぐに無数の傷に覆われていった。呪文は……もう、大技は使い果たした。使える手をどのように使っても、自身を守る者のいない今では、全てがユアプスの嵐に阻まれる。あるいは、たとえ嵐による集中妨害を突破できたとしても……突撃してくるニケを止めるには威力が足りそうにない。
「では、膝の裏を失礼して……」
比良坂のカラテが炸裂し、巨人をその場に転倒させた。本来ならば圧倒的な筋力差により耐える公算のほうが大きかったはずのそれも、セルキィの矢による援護があれば容易く逆転を果たす。
いつもは高みから見下していた巨人の目線が、今では下から憎々しげに見上げるばかりになっていた。哀れなり……ムントは目を閉じて、それから、介錯つかまつると小さく一言。
「我が太刀の銘は大金星。太陽に魁る明星だが、友の国ではこれをもってじゃいあんときりんぐの意を持つ」
かっと見開くその双眸。太刀を構える手に力が満ちる。
「いざ巨人よ、これが手向けの一太刀ぞ! 《悪を討つ一撃》――改め《朝を呼ぶ一撃》! 悪魔らに蹂躙されし地上に、今こそ朝日を取り戻さん――」
●冒険の終わり
「かくして元凶たるイヴィルタイタンは討ち取られ、一行は魔神の化身すらも討ち倒した神殺しの英雄となったのであった」
クック卿は手元のシナリオ本を閉じ、マスタースクリーンを畳むと脇へと退けた。
「さて、ではこの後の英雄たちの向かう道について少し物語りたいところだが……残念ながら、キャラクター作成と激しい戦闘のせいでもう時間がなくなってしまった」
気付けばクック卿の呼んだギルド・ローレットへの馬車が、屋敷の門前に停まっていた。ゲーム内では1分にさえ満たない、僅か5ターンの最終戦闘だけでも、5時間はかかった計算か。
「ありがとう。今日は、実に楽しい時間を過ごさせて貰った」
クック卿は礼を言い、特異運命座標たちを自ら送り出した。
「君たちさえよければ、これからも遊びに来てくれると有り難い。その際に、新たな友を連れてきてくれるのであれば尚更だ」
ひょんなことから始まったTRPGの輪は、これからもっと広がってゆくのかもしれない。
だが、今はまだ語るべき時ではない。語るのは――次のゲームマスターとプレイヤーたちなのだから。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
……で、最終回だけ赤の他人にやらせてよかったのか、だって?
やってたさ! その結果……当然のようにクック卿は彼らを全滅させてしまった。
以降、彼の仲間たちは、何度再戦セッションをやろうと呼びかけても忙しいからと応じてくれてないらしい。
今回はだいたい力技で全部壊されちゃったからあまり関係ないけど、あんまりひどい罠を出しすぎると友情が壊れるからみんなも気をつけようね!
GMコメント
●ほんとうのあらすじ
幻想貴族クック卿はボードゲーム仲間であるシュピール子爵が練達製VRマシンを導入したのが羨ましくて自分も買おうと思いましたが、提示されたお値段が予算を1桁ほど上回っていたため手が出ませんでした。
そこで彼は「体感ができないのであれば想像力で補えばいい」と思い立ち、代わりに練達で最も大規模に展開されているTRPGの書籍を大人買いしたのです。基本ルールブック・上級ルールブック・クラス系追加データ集・地域系追加データ集・種族系追加データ集・モンスターをプレイアブル種族として扱うための追加ルール集・シナリオ集・トラップ集・リプレイ本・ノベライズ本・サポート誌のバックナンバー・ライセンスされたサードパーティー製の各種出版物……。
皆様は多忙なクック卿のゲーム仲間たちに代わり、彼がゲームマスターを務める一大キャンペーンシナリオの大トリ、最終ダンジョン攻略シナリオに付き合わされることになりました。
最終シナリオ『冒涜神殿の邪巨人』は、適切な探索手段の準備を怠れば次に進むべき部屋も発見できずに詰むと言われる鬼畜ダンジョン。クック卿の累計数万ページに及ぶルールブック&サプリメントコレクションを読み解いて皆様だけのキャラクターを作り、冒涜神殿の攻略を達成できれば、クック卿からの依頼は成功です。
●冒涜神殿
扉の罠を調べようとすればその手前の床で罠が発動し、壁を壊せば毒でも魔法でもないアンデッド化ガスが充満し、中には魔法防御の効かない超能力を使用するデヴィルやら、4回攻撃してくる骸骨剣士やら、装備破壊ビームなり魔法消去ビームなりを撃ってくる目玉やらといった超スペックのモンスターがうろうろしている、凶悪なダンジョンです。推奨レベルは15(英雄級)。ボスである邪悪な巨人ダグラグは、多数の強力なデヴィルを従え、抵抗に失敗すれば悪の存在以外は皆殺しにされる呪文さえ行使する、恐るべき悪魔司祭です。
邪道な攻略法には対策が用意されているため正攻法での攻略が必要です……が、強力なバフで力押しするのも正攻法のうちには入ってしまうので、邪道な超強力バフは防げないんですよねこれが。えげつない仕掛けが満載の冒涜神殿も、「流石にシナリオ作者も後々そんな追加データが出てくるとは想定してねーよ!」みたいなチートコンボの前には形無しです。
●プレイング
この場で予め冒涜神殿内のギミックを全て提示しておくことは到底不可能ですので、皆様もプレイング内で具体的な対策を行なうことはできないでしょう。
ですのでプレイングには、以下のような内容をご記載下さるとよいかと存じます。
・キャラクター作成
どんなデータを用い、何ができるキャラクターを作るのか。強力なキャラクターを作るには様々なデータを上手く組み合わせる必要があるため、特定クラスでしか購入できない装備を購入するために1レベルだけそのクラスを取得しておくとか、種族に強力だが邪悪なモンスターを選んで改心呪文をかけてもらってから善のクラスを取得するとか、次元移動呪文を修得したらSF世界に渡って体を機械化してから舞台のファンタジー世界に戻ってくるとか、とにかく普通ならやらないようなデータ構築をするとよいでしょう。皆様がTRPGにありそうだと思うデータやルールは、基本的には何でもあるはずです。
面白おかしいけれど納得のゆく経歴になっているほど、高い能力のキャラクターを作れたことになります。特異運命座標自身が文献調査やゲーム研究のためのスキルやクラスを所持している場合、より強化されます。パンドラを消費するほどデータ研究に打ち込んでも強化されます。
・自キャラクターのプロフィール
作ったキャラクターの、名前とか、設定とか、口調とか。基本的に善もしくは善悪軸において中立的なキャラクターを作ることが想定されていますので、邪悪なキャラクターを作る場合、善人を助けて悪の敵を倒す理由を提示する必要があります。
キャラクター名をつけ忘れると、自身と同じ名前のキャラクターを作ったことにします。
・探索&戦闘時の行動
どんなに強力なデータを持っていても、使いこなせなければ無いのと同じです。どんな時にどう使うのか、ご指定ください。具体的なシーンを想定した遣り取りでも構いませんが、内容次第ではご期待に添えない可能性もございます。ご了承ください。
特異運命座標自身が探索や戦術のためのスキルやクラスを所持している場合、より上手く使いこなせることでしょう。
・その他
どれくらいロールプレイするのかとか、必要であればキャラクターとしてではなくプレイヤーとしてクック卿とどう接するのかとか。
効果はあまりありませんが、クック卿を誘惑して手心を加えてもらうなどを試してみてもかまいません。ゲーム進行に支障をきたすレベルだとハイルール違反扱いになりますが。
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