シナリオ詳細
<大樹の嘆き>花、咲く勿れ
オープニング
●side:Emerald
石花病――それは幻想種が多く罹患すると呼ばれている病の一種である。
幻想種に限られた話ではないが混沌固有の病態であり、罹患患者の躰を石に変化させて、一輪の花を咲かせた後崩れていく奇病と呼ばれている。
多くの同胞がその病に侵され崩れ落ちて言った。
アレクシア・アトリー・アバークロンビー、否、『神官』アレクシア・レッドモンドは多くの同胞を救うがために姓を改め研究を続けている。
彼女が神官の座についたのは大樹ファルカウを訪れ己の奇病を嘆く者達が信仰に傾倒してゆくことを知っていたからである。
翡翠に住まう幻想種達にとって『大樹ファルカウ』は信仰の象徴だ。代々は神官となるレッドモンドの血筋ならばその立場に就く事も難しくない。
共に研究を行っているパートナーの『ルクア・フェルリアール』の協力の許、崩れ咲く同胞の命を護ることが出来たならば。
「神官様、どうか話を聞いてください」
日々訪れる患者たちの口から、ある言葉が齎された。それは『兄』から聞いていたものと同じである。
翡翠の国境沿いが騒がしいらしい。石花病の患者たちが不安がっているのは確かだ。その不安を排除してやらねば病状の悪化が始まるかもしれない。全てが『かもしれない』だらけである苦しさを感じながらアレクシアは「大丈夫ですよ」と微笑んだ。
●side:???
幼い頃は夢に見ていた。騎士となりたくさんの人を救うのだと。
だが、騎士などという職業は決してヒーローではなかった。必要であれば他者を切り捨てる冷酷さを持ち合わせて置かねばならないのだという。
そんな、恐ろしさを理解できないうちに――「坊ちゃま、落ち着いて聞いてください。奥様は『石花病』に……」
世界が流転する。
母が掛かった病は奇病として恐れられていた。人に伝染するのかさえ分からない。病態すら解明されない。
分かっているのは最後、その躰は石と化して花を一輪咲かせてから崩れ落ちるのだという。
貴族たちの間にはその病に侵された幻想種を拐かし、美しい花を咲かせて崩れ落ちる瞬間を観察する悪趣味な者もいると言う。
母は流行の熱病に冒されたこととなった。石花病などと『長耳の炎の魔女』が罹患する病に幻想貴族がなるわけがあるまい。
「母上、……私が必ずや母上の病を治す方法を探して参ります」
母は泣いていた。
シャル、と久方ぶりに聞いた優しい声音にとびきりの愛おしさを感じながら。
●『砂嵐』
国境沿いに一人の青年が立っていた。『青藍の騎士』シャルティエ・F・クラリウスは伝承騎士団の命を承け、遙々と此の地の調査に訪れていた。
成程、国境沿いには翡翠のレンジャー部隊が侵入を阻止しているという情報は確かだったらしい。キャラバン隊への伝令を言付かっていた騎士は彼女たちに囚われているのだろうか。
(……任務も大切だけれど、それ以上に――)
青年には一つの目的があった。彼には『秘匿すべき秘密』が存在して居る。
母が翡翠由来とされる病に罹患しているのだ。病を治すためのヒントはこの場所に存在して居る筈だ。
どうにかして翡翠の中に入り込まねばならないが、さて……。
「クラリウス。レンジャー部隊の気を引いてくれ。その間にルドルフの救出を行う」
上長の言葉に『囮役』を仰せ付かったのだと嘆息した。もしもこの作戦で死んでも伝令官の命を救った英雄として祀り上げられるのだろう。
「承知しました」
シャルティエは剣を引き抜き走り出す――その時、耳にしたのだ。
「石花病の研究をしてるレッドモンド神官がこの様な場所にどうして……」
「患者が国境沿いのことを不安がっていて。少しでも動乱を落ち着かせられないかと思ったので」
石花病の研究――?
シャルティエは立ち止まった。その背中に声を掛けることとなったのはイレギュラーズである。
そう、ここからがクエストなのだ。『シャルティエ』と共に翡翠のレンジャー部隊の気を引いて、伝令官ルドルフの保護を行う事。
どうやらレンジャー部隊に囚われた伝令官ルドルフは国境沿いを引き摺り回されているのである。
気を引くよりも、取り返すといった方が正しいのだろう。
「貴方方が『何でも屋(ローレット)』ですか。私は『青藍の騎士』シャルティエ・F・クラリウス。
どうやら騎士団の依頼を受けて派遣されてきたようですが……私には騎士の責務などどうでも良いのです。
あんな夢も希望もない、人の命など使い捨ての駒だとしか思って居ない連中に今更誉れなど感じません。
一つ、取引をしてくださいませんか。先程聞こえた石花病の研究者を私に紹介していただきたい。……無論、協力しなくとも構いません」
どのみち、ルドルフを助けぬ限りは隊には戻れない。イレギュラーズと協力するのは確約しようと青年は昏い瞳でそう言った。
- <大樹の嘆き>花、咲く勿れ完了
- GM名夏あかね
- 種別EX
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年10月16日 22時05分
- 参加人数10/10人
- 相談7日
- 参加費150RC
参加者 : 10 人
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参加者一覧(10人)
リプレイ
●
境界線が閉ざされた――
「しんりょ……じゃなかった。『翡翠』ね。本当に封鎖、されてるんだ。
……なんだか、苦しいな。なんとかなると良いんだけど」
シアン・ブルーの長髪を風に揺らがせて『星纏う幻想種』リアム・アステール(p3x001243)はそう言った。
折角ならば幻想種になってみたい。そう願い、訪れた『種にとっての故郷』はその入り口を固く閉ざし、訪問を拒絶する。
現実世界と乖離したネクストの物騒極まりない翡翠の様子を「ひゅー! 翡翠は今日も物騒だぜ!」とテンションUPでクエスト内容を了承する『心にゴリラ』ハーヴェイ(p3x006562)は今日も炎は絶好調。「ヒャッハー!」とクエスト開始地点に赴けばクエストNPCが立っている。
――『青藍の騎士』シャルティエ・F・クラリウス。
ネーム・プレートを表示すれば彼がNPCである事は簡単に分かる。話しかければクエスト開始。そんなRPGお決まりのシチュエーションを前にして『シャルティエ・F・クラリウスのアバター』シャル(p3x006902)は息を飲んだ。電脳世界の自分が目の前に立っている。それも、自身が憧れた騎士という立場などかなぐり捨てて、厭世に生きるかの如き姿で。
(……騎士の責務などどうでも良い?誉れなど感じない?
憧れてた騎士に……伝承の騎士になって。なのにどうしてそんな……こっちの僕に、一体何があったの……?)
何時の日か、騎士職に就く。民草の中での誉れ。憧憬の先に待ち受けていたのがこの様な姿であるならば居た堪れない。
華やかな空色のワンピースを身に纏っていた『青い瞳の少女』フィオーレ(p3x010147)は不安げにシャルとシャルティエを見比べた。
「始めたばかりなので、なぜここまでいがみ合っているのわかりませんの……。
でも、先ずは依頼されたお仕事に集中ですの! R.O.Oのシャルティエさまはどこかお疲れのようです?
なんだか、フィオには張りつめた糸のように思えますの……」
彼は何かに追い詰められている。冒険が楽しくてしょうがないオトシゴロであるフィオーレの『冒険先』はどうにも事情があるようだ。
翡翠の突如とした国境封鎖。黙っては通らせてはくれない砂嵐の盗賊達。そして――『伝承国』による調査。
『nayunayu』那由他(p3x000375)の眼前に立っているシャルティエの思い詰めたかんばせを見るに、彼は別の事情がある。
「普通の救出依頼かと思いきや、何やら別の事情も絡んでいるみたいですね。
自分の大切なものを守るためにあらゆる手を尽くす。うんうん、そういう物語も好きですよ、私は」
彼は国家の目的とは余所に、自身の護るべきを優先すると決めていた。それが騎士である自分を捨て置いてでも為さねばならぬ事なのだという。
クエストに提示されている追加文言を眺め、『天真爛漫』スティア(p3x001034)は黙りこくる。未来についての選択がこの10名には課されているのだ。
――クエスト達成後、『派生するストーリー』を選択できます。
それはコレより接触することとなる『石花病の研究者』とシャルティエを出会わせるかどうか、である。
石花病の研究者のNPCデータはクエスト情報より閲覧することが出来ていた。アレクシア・レッドモンド。その文字列をまじまじと見遣ってからアレクシア(p3x004630)は息を飲む。
己と同じ名前であるだけではない。レッドモンドの名は彼女の――……
「アレクシアさん?」
スティアの呼びかけにアレクシアは首を振った。接触すべき『神官』の個人的な情報は今は余所だ。顔を合わせれば理解できる可能性もある。
だが、問題は『石花病』の方であった。リースリット(p3x001984)にとっては耳馴染みのない、郷土の流行病だ。
「石花病、石花病か……石花病の研究者との引き合わせを、との事だけれど……恐らく望む結果は得られない。
……それでも、事態を動かす意味でも引き合わせてみる意味はある、か?」
それは現実世界では石花病は死に至る病であると知られている。引き合わせてもシャルティエの望む回答はアレクシアから得られず、それ所かリスクになる可能性もあるというのだ。
「ねこです。よろしくおねがいします」
常通りにログインを行った『かみさまのかけら』ねこ神さま(p3x008666)は淡々とクエストを見遣る。
此方に選択を求めるシャルティエを一瞥し、ねこ神さまは嘆息する。暗闇の中で手探りをするとはまさにこの事だ。
「これはどちらを選んでも悪影響が出る選択ですよね。
追々あり得る状況ですが、このような形で振りかかるとは……決めねばならないですね。決断すべきは、今です」
『ご安全に!プリンセス』現場・ネイコ(p3x008689)は頷いた。クエストを受注する選択を。そして――
「石花病の研究者さんを紹介して欲しい……か。
――うん。気になる事や考えるべき事は色々とありそうだけど、先ずは目の前の目的を何とかする事が先決だよねっ!」
今は為すべき『救出』を。
●
シャルティエ・F・クラリウスは伝承の騎士だ。アウイナイトと言えばクラリウス家であるとさえされる名門。
代々その称号を継ぐ騎士が輩出されることで知られているクラリウスの中でも若くしてその栄誉を賜った騎士である。
彼は言う。
「あんな夢も希望もない、人の命など使い捨ての駒だとしか思って居ない連中に今更誉れなど感じません」、と。
だが、人命が掛かっている現状でシャルティエはむざむざと伝令官を見殺しには出来なかった。
故に、こうしてレンジャー部隊の気を引くという『栄誉ある役割』を遂行しているのだ。詰まり其れは死をも覚悟せよという命だ。
シャルティエの傍らに立ったシャルは気になることばかりだとその横顔を眺め見る。
「……気になる事ばかり、だけれど。今はとにかくクエストだ。僕……いや。俺達もシャルティエに協力して、伝令官を救出しよう」
「そうだな! ヒャッハー!! レンジャー部隊をぶちのめしてルドルフを助けるぜー!」
ぴょんと跳ね上がったハーヴェイにシャルは重く頷いた。此方を虎視眈々と狙い澄ますレンジャー部隊。其れと向き合った『アウイナイト』は冷徹な瞳を彼女たちに向けている。
「……どうにも守りが堅いな。『長耳の炎の魔女』め……。翡翠の風土病でしかない石花病に斯うも苦戦されるとは」
思わず呻いたシャルティエにシャルは些か不安げに目を向けた。この様子であれば、石花病に罹患した身内がいるのだ。そうとしか思えない。
問いかける前に、苦い表情をリアムは「シャルティエさん」と凜と声を張る。
「長耳の炎の魔女……だなんて、呼ばないで欲しい。幻想種だって、感情を持った人間なんだ。
こうなった事にだって理由がある。だからって、傷つけあう事を容認する訳じゃないけど」
『長耳の乙女』であるリアムを見遣ったシャルティエはすまないと小さく呟いた。種族も出自も関わらず力あるものが戦いに出向く『何でも屋』
イレギュラーズとはそうした存在だ。故に、シャルティエは『幻想種の姿をしたリアム』の気を害したことに気付いたのだろう。
「戦う前に、聞いておきたいことがありますの!」
溌剌にフィオーレは問いかけた。『ローレットのアレクシア』が救出対象の元に辿り着く為の道を切り開く任を担っている少女はまじまじとシャルティエを見遣った。
「長耳の炎の魔女……どうして研究者に会いたいのかお聞きしますの! 幻想種は嫌いなのでしょう? 会ってどうするつもりですの? 殺してしまいますの?」
フィオーレの単刀直入の問いかけにアレクシアの肩がぴくりと動いた。神官の娘を殺してしまうのか。
少女らしい『まっすぐな言葉と瞳』にシャルティエは面食らったようにイレギュラーズを眺める。那由他は「あらあら」と笑みを零し双剣ナギサを手にしながらシャルティエの答えを待った。
「いや……その様な事は」
「殺すつもりならば逢わせる事はできませんの!
……教えてください。シャルティエさまが困っていることを。
お力になりたくても、相手方に害が及ぶなら手を貸すことはできませんの。どうか、シャルティエさまを助けさせて」
真摯な少女に那由他は「ええ。私たちはルドルフさんを助けるだけでは無く、貴方の力にもなる為にやってきたのですから」と微笑んだ。
「……母が、石花病に罹患した。母上は人間種だ。幻想種ではない。伝承から出ることも無かった。
だが、母上は徐々に弱っていく。それを、……見過ごすことが出来ようか。だからこそ、『研究者』に逢いたい。治療法を聞きたいんだ」
シャルティエはその時ばかりは年齢相応の表情を見せた。実母の病に不安を滲ませた彼にアレクシアは大きく違っているのだと感じた。
風土病たるこの病は『ネクスト』では全国的に広がりつつあるのだろう。
……現実世界では『深緑』のごく僅かな者が罹患するだけの病であった事が始まりであろうが、世界が違えば事の次第も大きく変わる。
「幻想種だけど、石花病を治そうと奮闘してる人なら、きっと貴方の力になってくれる筈。私達も……そう、なれるように。努力するから」
リアムにシャルティエは頷く。リースリットはどこか悩ましげな表情を見せる。
彼が望む結果を得られなかったら? その時にシャルティエがアレクシアに何か手を上げぬ保証も無いのだ。
そのリスクを承知の上で。スティアは悩んでばかりでは居られないと訳知り顔をして散華と、月天を引き抜いた。
「今後のことを考えるとどういう選択をするのが正しいのかはわからない。シャルティエさんのお母さんの事が分かっても、研究者さんだって事情があるかも知れない。
上手くいかない可能性だってあるよ。けどね。少しでも救える人が増える方を選びたいし、苦しんでいる人がいるのに何もしないのは性に合わない!」
スティアは森を注意深く見遣った。レンジャー部隊に動きがある。がさりと森の中で音がした。ハーヴェイは『アレクシア』と思わしき存在が後方に下がったことを確認する。
矢が焔を纏い砂へと埋もれる。此方を威嚇しているのか。近づかなければルドルフの奪還は相成らない。
ならば――
「だから私はシャルティさんに協力しようと思う。誰もが笑顔で暮らせるようになるようにと信じて!」
神速の居合いが氷の花びらを舞い散らせる。それは現実世界の叔母の――氷の騎士の剣戟にも似ていて。
スティアの動きに合わせてネイコは妖刀『無限廻廊』を引き抜いた。『プリティ★プリンセス』が握るにはあまりにも無骨な刃は愛らしい光を帯びる。
「行くよ! シャルティエさん! 話は後でね。まずはルドルフさんっ!」
敵の探査は完了している。彼女たちは『遠距離攻撃』を得意としているならばその得手を遮れば良い.其れだけだ。
「――さぁ、貴方達の相手は私だよっ!」
一気に踏み込めば無数の矢が、魔法が飛んでくる。聞き馴染みのないリズミカルな文字列。
『―――』
その響きによって生み出された風。ネイコは「何言ってるか分からないけどッ!」と声を張り上げた。範囲に広がるプリティな気配。
気持ちまで塗装して安全にも配慮。現場作業は迅速に!
ネイコが前線へと飛び込めば、フィオーレはセスタスの効果を得てアクティブスキルを放つ。開戦した。遊撃に回るべきシャルティエと共に前線へと躍り出た那由他は「参りましょうか」と微笑んだ。
「一先ずは命は奪わぬように配慮してください。彼女たちとて『住居』を護るためですから」
「……貴殿等は害されそうになっているというのに?」
眉間に皺を寄せて理解不能だという表情を見せるシャルティエに那由他は小さく笑った。「ええ」と。とどめを刺さない程度でという注釈を付け加える協力者に彼もなあなあに頷くことしか出来なかった。
●
「さて、難しい問題ですね」
ねこ神さまはそう首を傾いだ。炎の気配を纏うエンチャント・データ。その側で黒ねこさんがほっとした表情を浮かべている。
そのかんばせには感情を乗せず。敢えて全知全能の神のように周囲を見下ろした。靱やかに、宵闇を歩いたねこ神さまは境界線(ボーダーライン)の上で俯瞰する。
仲間達の様子を見ればシャルティエに協力するという意思が強いのだろう。故に彼を『アレクシア・レッドモンド』の元へと送り届ける為にクエストをクリアしたい。スティアが言うように彼の母の病が完治する幸いを手にできるかも知れない。だが、リアムが危惧していたシャルティエが幻想種に向けている偏見――と、言い切れないのがR.O.Oの苦しいところである――が何らかの影響を及ぼす可能性さえもある。
黒ねこさんが直線にみょいんと伸び上がる。その勢いで切り裂かれるレンジャー部隊の幻想種が鋭くねこ神さまを睨め付けた。
「睨まれました」
「……どうやら、俺達はここでは侵略者だ」
シャルはそう呟いた。それでも、『シャルティエ』の発言がシャルの心を掻き回す。彼の言う『ネクストでの母親』は屹度、現実の母親を再現したものであろう。自身の記憶が、自身の存在がこの世界にコピーされた『自分自身の母』が病に冒されている。
シャルティエが任務を終えて研究者の元へと赴きたいという逸る気持ちが痛いほどに理解できる。
ぱちりと音を立てた焔をも遮った魔剣グランティーヴァ。その加護はドラゴンの炎さえも物ともしない。シャルのアクティブスキルは鋭き太刀筋でレンジャー部隊を薙ぎ払う。
「侵略をするというのですか、外の者よ!」
「いいや。君たちが捕らえたという『身内』を引き取りに来ただけだ。戦うことも命を奪うことも本意じゃない――で、理解してくれれば嬉しいけれどね」
其れだけでは何事も済まないかとシャルは苦々しく唇を噛む。幻想種から此方に向けられる怒りは如何したことだろうか。
外の者と.そう呼び分けるほどに彼女たちは排他的なのか。それがネクストであるからか――それとも『何か事情がある故』なのかは分からない。
「外の者って、交易は立派な事だろ!?」
ハーヴェイが焔を纏いなら四つ足で躍動してゆく。針の代わりに燃え盛るその体。穏やかさよりも猛々しさが彼を『ハイ』にして征く。
「外の者を――『ファルカウへの信仰がないもの』を受け入れることが間違いだったと言うのに!
我らは大樹ファルカウの信仰の徒。……象徴を傷つける者は許しません。あの男は小枝を折ったのです。許せるわけがないでしょう?」
朗々と語らった女はエメラルドの瞳に強き光を宿していた。其れは怒りか。
ハーヴェイは「小枝って」と小さく呻く。アレクシアも困惑した表情を浮かべた。どうやら『ネクストの故郷』は過激だ。
元より、閉鎖的な国であったことはアレクシアも知っている。外の者が国を掻き乱すのは何時ものことだ。故に、国を閉ざし長く、自身等の文化で行き来ていることをその地で生まれ育った幻想種は知っている。
だが――
「伝令官を捕らえ殺すのは得策ではないでしょう。私たちのように強襲部隊が伝令官の奪取にやってきます。
分かりますか? 伝承という国は、民を傷つけられて黙っているような場所ではないのです」
凜と声を張ったリースリットは深紅のドレスを揺らしてレンジャー隊の目を引きつける。伝令官の居場所はリースリットの目には見えていた。助けを呼ぶ声がその位置を如実に知らせているからだ。
アレクシアによる伝令官の確保援護のためにその位置への道を作る――それが今の役目ではあるのだが。
ふと、レンジャーの目がスティアに、そしてネイコに向けられる。その目に乗せられた憎悪。身に覚えのない感覚にスティアは「え!?」と目を見張った。
「スティアさん!」
「……うん。良く分からないけど『私たちのことをしっかり見てた』」
スティアとネイコに向けられた視線の意味は分からない。この場に居るイレギュラーズは全員が余所者だ。だ、と言うのに如何して彼女たち二人にだけ恨みがましい視線を向けたのか。
(二人は『ログアウトが出来てない』。其れだけしか私たちと変わるところはない。けれど、まさか――?)
其れが何らかの理由になるとでも言うのか。ねこ神さまはこてりと首を傾げてから。「ねこは今は答えが出ないと思います」と囁いた。
「そう、だね。今はルドルフさんの確保だ……!」
リースリットが示した道を、シャルとハーヴェイが開く。アレクシアがルドルフに送った合図。
指先をぱらぱらと動かしたアレクシアが動くことをイレギュラーズ全員が認識する。
リアムは直ぐにもアレクシアのためにと身を張った。森を傷つけたくはない、殺したくもない。殺し合いがしたいわけじゃない。
それでも、自身は今は『幻想種』だ。彼女たちからすれば同種族が伝承に与して裏切っているように見えるのだろうか。
(森を傷付けた者は許さない、それが翡翠の幻想種。……判らない訳じゃない。私だって――
でも、傷つけ合うだけじゃ、きっと翡翠も、伝承も、いつか取返しが付かなくなるんじゃないかって。
……今は、助けるべき人を、助けさせて欲しい)
ルドルフだってそうだ。伝承は『傷つけたい』訳では無かった。
この突如とした国境封鎖の謎を解きたいだけだった。
一気に飛び込んでいくアレクシアの側で不安を浮かべたリアムにシャルは言った。
「きっと、彼女たちにとって『幻想種』であれど外からやってくる者はみんな余所者なんだろう。僕……いや、俺も。皆も」
其れを悔やんでいる暇も無い。道を開き、そして『ルドルフ』を確保する。
アレクシアが後方で待っているシャルティエのもとへと辿り着いたときクエストクリアのファンファーレが鳴り響いた。
●
茂みの中で此方の動きを一部始終眺めていた『神官』の姿にアレクシアは気付く。
己と似たかんばせ。R.O.O世界での自分自身が『NPC』として存在しているのは不思議で仕方が無い。
彼女は戦線に参加しようとしていたのだろうが『イレギュラーズ』側から聞こえていた話し声に耳を傾けていたのだろう。
石花病。
その言葉に彼女が興味を示し、此方の様子をうかがっていた事は見て取れた。
「……先に話してくるね」
シャルティエへとそう告げるスティアは突如として自身等が押しかけるのは彼女にとっても負担になるだろうという気遣いだ。
「石花病に苦しんでいる人達がいるなら救いたいと思うし、私にできることがあるならやりたい。
でも嫌がるレッドモンドさんを無理やり協力させるのも違うと思うからまずはお話をしたいんだ」
「……どうぞ」
その答え次第ではシャルティエは彼女と対話することも叶わないのだろうか。そんな不安を感じる彼を一瞥して、リアムは「今は待ちましょう」と囁いた。
危害を加える可能性も捨て置けない。イレギュラーズが慎重な姿勢を示すのはリアムに諫められた自身の発言が起因しているのだとシャルティエは察している。
「研究者が非協力的であってもどうか冷静に。貴方方が『長耳の炎の魔女』等と思っているように、幻想種の多くも他種族を忌避しているのですから」
リースリットは再度、彼へとそう言った。母を救う為に躍起になっていることは分かる。だが、それに犠牲を伴えば何も得ることは出来ない。
何より、神官レッドモンドは『石花病』に関しては最前線で立ち向かっている存在なのだろう。NPCデータにそう書かれていたからには彼女以上にその病の治療方法を探る物は存在していない。
「協力を得たいのなら、最低でも最後まで礼を尽くすべきです。万一にも手荒な事をすれば、研究成果の提供は得られない。……違いますか?」
「いいや。だから、まずはイレギュラーズに任せよう。……『長耳』と彼女たちを愚弄してきた自分では、上手く事を運べるか分からない。
それに、俺は先ほどまで小枝を折って処刑されかけていた男の身内だ。同国の兵士をそうも易々と受け入れてはくれないだろう」
シャルティエは冷静に頷いた。アレクシアは己と彼が出会うその瞬間まで緊張を拭えやしない。
何が最善かはわからない……それでも見て見ぬふりが出来ないのだ。いつだって皆が幸せになる未来を諦めないで居たいのだから。
『アレクシア』がそう判断するのならば、送り出す。フィオーレは武器をそっと地面へと置いた。
「お二人の会合が成るのであれば、シャルティエさまには武装解除をお願いしますの。
アレクシアさまは外の方を嫌っていらっしゃるから武装状態では会ってくれないと思いますの」
不安要素は少しでも解消しておきたい。フィオーレにシャルティエは頷いた。まずは、会合の機会を得るところからだ。
「じゃあ、シャルティエさんに神官さんを紹介する条件を提示するね。失礼な事や危害を加えようだとかは絶対に思わない事。話を聞こうって言うなら相応の態度は必要だって分かるよね?
……なんて、皆に言われて分かってると思うんだけど。それだけ私たちも『この選択』を重く考えてるんだ」
ネイコはしっかりと向き合ったのだと言う。気になることは多い。アレクシアから攻撃される可能性だってある。
彼女からシャルティエを護ることは出来よう。それでも、シャルティエがアレクシアを攻撃した場合に自身等は同罪になるのだ。
それでは彼女と『石花病の治療』に関しては絶望的になる。口を酸っぱくして繰り返す言葉はシャルティエにしっかりと受け止められている。
ゆっくりと、歩を進めたリアムは「レッドモンド神官でよろしいですか」と問いかけた。
その背を眺めるネイコは息を飲む。アレクシアと瓜二つの神官が警戒したように魔道書に手をかけたことに気付いた。
「はい。……君は幻想種? 私を知っているの翡翠の出身だから?」
アレクシア・レッドモンドはリアムをまじまじと見遣った。彼女になんとも答えられないままリアムはそろそろと言葉を重ねる。
「病気の……石花病を治す研究をしてると聞きました。翡翠の外にもその患者はいます。助けを求めている人が、外にも……此処にも居る。
せめて、話だけでもしてくれませんか? 危険が無いよう、私達も配慮しますから、きっと……」
「石花病にかかっている人がいるんだけど、少し力を貸して貰えないかな?
治療薬を作っても効果検証って絶対必用だと思うし、幻想種の人に試す前の実験って感じでも良いから協力して貰えないなって」
続くスティアは何もしないままなら絶対に助からない。少しでも助かる可能性があるのなら試して欲しいと懇願した。
「ねこです。はじめまして」
「……はじめまして」
礼儀正しく挨拶をしたねこ神さまは「紹介したい人がいます。石花病に苦しんでいる人の、ご家族です」と後方でネイコと共に待機するシャルティエを一瞥する。
「石花病に苦しんでいる人がいて、その研究者の方がいる。助かる可能性があるならねこは会わせてあげたいです。
シャルティエさんと出会いこの依頼を受けることでアレクシアさんは翡翠に帰ることが出来なくなるかもしれないです。
もしかするとシャルティエさんの所属する伝承がアレクシアさんを誘拐したと思われてしまうかもしれません。
ですが、これでシャルティエさんのお母さんが助かるかもしれません。
ですが、これでアレクシアさんの石花病の研究が進むかもしれません。
すいません、ねこの勝手な言い分ですが、お互いの国の、お互いの種族の、それぞれが抱える事情などを乗り越えて、手を取り合っていただけないでしょうか?」
「……私はこの国の神官。だから『今、こんな状況の翡翠』では外に出ることは叶わないよ」
アレクシアは首を振る。ねこ神さまは「協力というのはどうでしょうか」と淡々と問いかけた。
「協力なら……」
「はい。国と種族の垣根さえ取り払えば一人と一人、人と人、手を取り合えるはず。何も恐れることは無いのです」
ねこ神さまが、そしてスティアとリアムが其れを保証すると言うようにアレクシアに対話の機会を求める。
アレクシアは困った様子で小さく頷いた。彼女の言うとおり『研究が進む』可能性は捨て置けないのだから――
●
シャルティエの言動を鑑みてシャルは逢わせたくはないとは考えていた。幻想種は『長耳の乙女』と呼ばれている。だが、その名に炎の魔女が付け加えられることが多いのだ。
炎の魔女とは彼女たちが好んだ術式のことを指している。火の魔法で森を傷つけた者を灼く苛烈な娘達を外ではそうした言葉で投げかける。長命の種であること、そして――余りに排他的であることから、隔絶されているのだろう。
シャルティエの様子を見た限り、それは神官達幻想種の側にも当てはまる。此方を余所者と呼んで愚弄するものの数が多いのだ。
治療のために手を取り合うのだと再三告げられたシャルティエは頷いてはいた。だが、シャルはあの言動と瞳を持ったシャルティエが何かしでかすのでは無いかと不安な予感だけがよぎっていたのだ。
「お前さんが何か大事な事情があるって事は分かるよ。でもだから無礼を働いてもいい理由にはならねえ。慎重に、丁寧に話すんだ」
ハーヴェイは行こうぜとてこてこと歩き出す。ルドルフの保護を完了し、もう一仕事となればやる気を振り絞らねばならないか。
「情報交換すれば見えて来るものもあるかもしれませんし、治癒方法に煮詰まってるなら悪い話ではないと思いますが。
まあ、やるなら情報提供者同士として最低限の礼儀は期待します……お互いに大人ですしね」
那由他が送り出すようにシャルティエの背を叩いた。
最初にハーヴェイは「立ち会いに来たぜ!」と神官アレクシアへと告げた。ハーヴェイによろしくお願いしますと頭を下げたアレクシアは促されるようにやってくるシャルティエをまじまじと見遣る。
「初めまして。伝承の騎士、『青藍の騎士』シャルティエ・F・クラリウスと言う。貴殿が『石花病の研究者』だろうか?」
「はい。石花病を研究しています。翡翠の神官、アレクシア・レッドモンドです。
シャルティエさんが石花病の患者さんのご家族ということですね? 最初に言っておきます。……まだ治療法はできあがっていません」
堂々とアレクシアはそう言った。NPCであるアレクシアは神官という立場故、誰かに縋られることが多かったのだろう。
期待をさせては其れを引きずることを彼女は知っている。リースリットは神妙な表情を見せた。
「……せめて、病状の進行を遅らせる方法でもあればよいのですが」
彼女に那由他もこくりと頷く。ハラハラとした様子でシャルティエとアレクシアを眺めるハーヴェイは不安げだ。
「なんとも言えません。……完璧な治療方法があるならば、力を貸せたでしょう。ですが、これ以上は何も話せません」
アレクシア・レッドモンドは非常に排他的な娘だった。それが翡翠に住まう者としての当たり前の様子だ。
彼女が「お帰りください」と冷たい声音で言えばシャルティエがと一歩前へと踏み出す。咄嗟にその体を押さえたネイコは首を振った。
「外から来て無理を言ってるのは百も承知だけど……幻想種同様、苦しむ人がいる。
それに、外の患者からだけ得られる症例もあるかもしれない。患者を皆救う為に力を貸してくれないか」
シャルにアレクシアは「それでも余所者は信じられません」と外方を向く。
「ッ――余所者余所者と! 勝手に国境を閉ざしたのは貴様達だろう!」
「先に森を傷つけたのは其方では!? 私は聞きました。偵察隊から、『貴方たちに似た人たち』が森を荒らしていたと!」
アレクシアが差したのはネイコとスティアであった。シャルは驚いたように二人を見遣る。二人には身に覚えのない余罪だ。
意味が分からないと首を振ったネイコにシャルティエは「彼女らは協力者だ。身に覚えが無いと言っているが」と食い掛かるように告げる。
「身に覚えが無いのとしらばっくれるのは同じです。どうして信用できると!?」
アレクシアが声を荒げる。それは『両方とも』だ。
「どうして、そうまで幻想種以外の人を排斥するの? 姿は少し違うけど、同じ人じゃない!
協力できればもっと研究も進むかもしれない。そうすれば、もっと多くの人を助けられるかもしれないのに!」
誰かを護りたいのは同じ気持ちであるはずなのに。『同じ顔をした少女』の問いかけに神官はぐ、と息を飲む。
「国境が封鎖されたのは森に仇なす者が現れたから! それでも、外を信じろと!?
私の愛する森を傷つけたのは『貴方たちなのに』!」
「どういうことだ? それは伝承の騎士が小枝を一本。たかだか折っただけの話をしているとでも!?」
母の治療に非協力的な理由はそれなのかとシャルティエが食い掛かるようにアレクシアへと叫ぶ。
「おやめくださいですの! どうか、冷静に考えて欲しいですの! お二人が目指すのは"石花病"の治療法のはずです。
その活路が見えているなかで背を向けてしまえばお二人の目指す場所は余計に遠ざかってしまいますの!
第三者が何をと思うかもしれません……でも、第三者だからこそ、申し上げますの!
真に成したいことがあるのならば、その為の道を見失っていけませんの!」
フィオーレは叫んだ。その言葉に両者は驚いたように目を見開く。
「……けれど、『余所者』が森を傷つけたのは確かなんだ。それだけは……」
アレクシアの呟きにシャルティエは「その余所者が『伝承(われわれ)』でなければ、協力してくれるだろうか」と問いかける。
「……構いません。私だって、『外』を排斥したいわけじゃない。
ただ、翡翠は翡翠としての独自の文化で生きている。それを、害さないで欲しいだけなんです。
私たちは、私たちの森と共に生きている。それを愚弄される謂れはない。試薬を作ります。それと……この森を取り囲んだ恐怖を取り除く事に尽力して下った際にお渡しします」
アレクシア・レッドモンドは懐から瓶を取り出した。揺らいでいる液体は淡い水色をしている。
「この試薬の名前は『希望の蒼穹』――翡翠でしかとれない植物から作り出した、私にとっての希望」
少女はイレギュラーズへ言う。安定した薬の作成にはこの森を取り囲んでいる『恐れ』を拭わねばならないと。
「勿論、無理になんて言いません。だって、貴方たちは翡翠とは関係ない。それでも、森の危機を救ってくれると約束してくれるなら……」
その時は、改めて協力しましょうと彼女は言った。
揺らいでいる希望にもう少しで手が届くのかとシャルティエは息をのみイレギュラーズへと返答を促して――
成否
成功
MVP
なし
状態異常
あとがき
このたびは返却が遅れ誠に申し訳ありませんでした。
お客様にはご迷惑をおかけ致しましたことをお詫び致します。
アレクシアさんとシャルティエさんは出会いました。ですが、まだ石花病については始まったばかり。
そして、翡翠の『レンジャー隊』が言っていた余所者とは……さて、次回、どのような結果が齎されるでしょうか。
GMコメント
夏あかねです。クエストを達成する後に『派生するストーリー』を選択できます。
ただし、その選択によっては『シャルティエ・F・クラリウス』と『アレクシア・レッドモンド』の今後が大きく左右されますので注意して下さい。
●クエストクリア目的(シナリオ成功条件)
伝令官ルドルフの保護(伝承騎士団へと引渡すこと)
●クエストクリアによる『派生ストーリー』
シナリオ成功条件を満たした上で下記の選択を行う事ができます。クエストを達成する後に『派生するストーリー』を選択できます。
ただし、その選択によっては『シャルティエ・F・クラリウス』と『アレクシア・レッドモンド』の今後が大きく左右されますので注意して下さい。
プレイング(EXプレでも可)に【A】【B】のどちらかを記載してください。ただし、意見が割れていた場合は多数決となります。(同票であった場合は二人は出会わなかったこととしてストーリーが進行されます)
【A】『シャルティエ・F・クラリウス』を『アレクシア・レッドモンド』へと紹介する。
シャルティエ・F・クラリウスはどうしても石花病の研究者と会いたいと願っているようです。
アレクシアの意志は兎も角として、シャルティエにとっての目的を果たせる可能性があります。彼にとっては良い選択になるかもしれません。
【B】『アレクシア・レッドモンド』を保護し、『シャルティエ・F・クラリウス』に見つからないようにすること。
事前にアレクシア・レッドモンドに接触し、シャルティエから彼女を隠します。
アレクシアは幻想種ですので『外』に対しては排他的でしょう。彼女にとっては良い選択になるかもしれません。
●シチュエーション
翡翠と砂嵐の国境沿い。迷宮森林からはレンジャー部隊の姿が多数見えます。
後方では伝承騎士団がイレギュラーズが相手にするレンジャー部隊とは別の部隊と戦闘を繰り返しているようです。
翡翠のサクラメントは使用不可能です。砂嵐のサクラメントを利用することとなります。
・レンジャー部隊 10名
イレギュラーズが相手にすることとなるレンジャー部隊です。彼女たちはルドルフを捕えています。
どうやら伝承騎士団が相手にするレンジャー部隊にルドルフがいると見せかけて居るようです。
無遠慮に森へと踏み入って小枝を折ったルドルフを処刑しなくてはならないと宣言しています。
基本的には遠距離攻撃(弓や炎の魔法)を使用してくるようです。幻想種以外には排他的です。
・伝令官ルドルフ
伝承貴族がキャラバン隊へと向けていた伝令官です。約束の時刻にキャラバン隊が現われないために無遠慮に踏み入り、捕縛されています。
彼は一応は貴族の『所有物』ですので出来る限り無事を保証して返してやらねばなりません。
・アレクシア・レッドモンド
R.O.Oのアレクシア・アトリー・アバークロンビーさん。石花病と呼ばれる奇病の研究者であり大樹ファルカウの神官です。
何らかの予感と、患者の不安を拭うために前線へとやってきました。古代魔術と呼ばれる霊樹の民が用いる魔法言語を駆使して戦うファイター。
心優しい娘ではありますが幻想種以外には排他的であるのは否めません。彼女の研究は幻想種の為です。
素顔を隠していますが身形などから神官であることが分かります。
●味方NPC?
・『青藍の騎士』シャルティエ・F・クラリウス
アウイナイトの称号を有する青年騎士。伝承に愛想を尽かしていますが、お家のためにも騎士として働いています。
母の罹患した石花病を完治させるべく、イヤイヤながら国境戦線に参加しています。ルドルフを助ける協力はしてくれるでしょう。
ただし、彼は普通の伝承貴族と同じく幻想種のことは『長耳の炎の魔女』『人間ではない』と認識して居るようですが……。
●ROOとは
練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline
※重要な備考『デスカウント』
R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。
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