シナリオ詳細
<大樹の嘆き>再会を求めて、もしくは、悪徳ジャスティーンクラブ
オープニング
●悲しまないことと、手放せることは違うんだ
暖かい木漏れ日のなかを、荷車を押して歩く青年がいた。
モノクル越しに優しげな垂れ目をした、白い髪の男性。手には可愛らしいビスクドールが抱えられ、エプロンは塗料でうっすら汚れているがそれがなんだか花模様みたいで可愛らしい印象をもたせる。
その横を歩くのは、これまた可愛らしいウサギのぬいぐるみだった。
いかにもドール職人といった風貌の彼と、歩くぬいぐるみ。不思議な組み合わせだ。
ぬいぐるみ――もといアダム(p3x006934)が歩きながら男性を見上げる。
「ねえ、コウ。『その子』も一緒に帰るの?」
「そうだね。ドールはとても繊細だから、定期的にメンテナンスがいるんだ」
ビスクドールというものの伝統や技術やその莫大なコストに関して述べるのは、もはや野暮だろう。それらを通り越した所に、彼――『ドールマイスター』コウの愛情や優しさがあった。ドールを抱く手にも、それは現れている。
「君のほうは、もう帰るのかな」
「ううん。けど、お仕事があるから航海国にいかなきゃ」
ぬいぐるみの瞳に表情はない。けれど、コウはそれを読み取ったようだ。
「また、遊びにおいで」
「……うん!」
アダムは駆け出して、身体ごと振り返り、手を大きく振った。
「また来るね! コウ!」
――翡翠国の国境封鎖を知ったのは、それからすぐのことだった。
●本当のことを知らなくちゃ
「ほんとうに? どのサクラメントも無理? 端っこでも!?」
子供用のテーブルの端っこをぬいぐるみの手でぽふぽふ叩いて叫ぶアダム。ぬいぐるみ的フェイスも相まって可愛らしく見えるが、ぷんすかしたエフェクト(?)が出ているせいで彼女が焦りや不安や、憤りのようなものを感じていることがわかる。
うーん……とカルネ (p3y000010)は腕組みをして難しい顔をした。こちらは表情が分かりやすい。
「ROOの内と外から同時に情報を集めてるけど、翡翠国内のサクラメントはすべて停止してる。それは間違いないよ。理由は……実際に行って調べるしかないって所だね」
つい先日。ROO内にて緊急クエスト『大樹の嘆き』が開始された。
クエスト内容は翡翠砂嵐間の国境線を目指すというもので、突如国境を封鎖しすべてのサクラメントを停止してしまった翡翠国の謎を解明するというものでもある。
「謎の解明と言っても、いまは現地に向かうことから始めなくちゃいけない。サクラメントが停止してるのはなにも翡翠国内だけじゃないからね」
先ほどから話題に出ている『サクラメント』とは、ROO内に存在するワープポータルのことである。
アダムたちイレギュラーズ・アバターはこの世界にログインした後、最寄りのサクラメントを通じて受諾したクエストの舞台へと出かけていく。時には既存の交通網を使うこともあるが、国から国までの移動が必要になるケースは覇竜領域の踏破クエスト以来だろう。
「困るよー! コウとまた会う約束をしたのに!」
ぽふぽふとテーブルをまた叩くアダム。
言葉ではこう言っているが、とても親しい人物と突如連絡がつかなくなったら、誰だって不安になるものだ。
想像してみてほしい、あなたの大切な誰かと連絡が突如途絶え、そしてその安否すら確認できない状況を。
だが幸いにもこれはクエスト。攻略までの道筋がある程度は示されている。
「まずは国境付近を目指して移動しよう。停止してるサクラメントを再起動させるんだ。やってくれる?」
「……うん」
●砂嵐のキャラバン
かくして始まった国境を目指す大規模クエスト。
砂嵐(混沌でいうラサ方面)のサクラメントからスタートし、馬車を使って翡翠国境線方面へと移動する。
まずは第一中継地点である『クリムゾンズ』という宿場町を目指そう。
「といっても、砂嵐盗賊団とは『ジーニアスゲーム・ネクスト』でやり合ったばっかりだからね。素直に入れてくれるとは思えない」
クリムゾンズはジャスティーン・クラブという盗賊団が縄張りとしているエリアだ。
悪名高き盗賊ジャスティーン・トロット率いる盗賊団で、彼らは取り分が減ることを嫌がって他の盗賊団と連携をしないらしい。他の盗賊団も寄せ付けないようにしているようだ。ある意味、中継地には向いている障害となるだろう。
想像してみて欲しい、荒野にぽつんと存在する数軒の店が並ぶだけのウェスタンな街並。
宿屋の向かいにある酒場には特徴的なウェスタンドアがあり、吹き抜け二階建てのフロアには複数のテーブル。奥のカウンターテーブルについた男ジャスティーン・トロットが魔法のライターで煙草に火を付けている。
酒場にいる全員は彼の部下で、全員が店に入ったあなたに明確な敵意を、あるいは殺意すらを向けてくるだろう。
そしてあなたは――。
「まずはこの酒場を制圧して、サクラメントを再起動させるんだ。やり方は任せるよ。
正面突破でも、油断させる作戦でも、裏から侵入する作戦でも……ね」
- <大樹の嘆き>再会を求めて、もしくは、悪徳ジャスティーンクラブ完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年09月24日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●クリムゾンズにて
翡翠国全域にてサクラメントが起動を停止したというニュースは、ROOのミッションに携わるローレット・イレギュラーズたちにとってホットなものだが、厳密には翡翠国の国境線からこっち側、つまり砂嵐側のサクラメントにもいくつか影響が出ていた。
サクラメントによるポータルワープによって行軍に際して兵站を要さないイレギュラーズはしかし、サクラメントが遠いことがそのまま致命傷になり得る。そのために、徐々にポータルを再起動しその補給路を確保する必要があった。もちろん国境線のあっち側で起きている事件を無視などしないが、それとはまた別に、である。
「告知も無く国境封鎖なんて、一体何があったんでしょうかね……。
疑問は沢山ありますが、まずは一つ一つ、出来る所から近付いていくしかありませんねっ」
『仮想世界の冒険者』カノン(p3x008357)はそう言って、砂漠地帯を進む馬車のなかで地図を広げていた。
サクラメントを利用できるのはイレギュラーズ(厳密にはアバターとしてログインしているプレイヤー)のみである。ネクスト世界のNPCたちにとってサクラメントはなんかデカいオブジェでしかない。それが人為的に止めたのか、それとも機能停止に至る事故が起きたのか、そういった根本的な所からしてわからないのだ。ただのバグだという線だってなくはない。
「しっかしなんとも急な話だな。よっぽど緊急で、滅多に触れてもらいたくないような事態なのか……。
翡翠と深緑はどんなに似てても気質が微妙に異なる。下手に突いて何が出てくるのかちょおっと怖くはあるが……連絡すら取れないなんて異常だぜ」
『大鴉を追うもの』クシィ(p3x000244)の言うとおり、翡翠国はサクラメントの停止のみならず(むしろこちらが本題だが)迷宮森林に入ろうとするよそ者を警備隊が徹底的にかつ攻撃的に排除しているという話だ。鎖国といって差し支えない状態である。
「深緑――ROOでは翡翠でしたか?――方面はこれから開拓していくつもりでした。こちらの予定もお構いなしに封鎖などされては困ってしまいます」
そんな風に語る『志屍 瑠璃のアバター』ラピスラズリ(p3x000416)とは別に、『灰色模様』グレイガーデン(p3x005196)が両手でパタパタと扉のジェスチャーをしていた。
「あの町って、あの扉あるんだよね。ウェスタンドア。知ってる知ってる、砂埃が吹き込んで掃除大変なんだよね」
気楽と言うべきか、器が大きいと言うべきか、もしくはその両方か。
いずれにせよグレイガーデンの言葉でやや和んだ馬車の空気をそのままに、彼らの馬車は一路クリムゾンス宿場町へと進んでいく。
一方、後ろをぴったりとついていく馬車がある。
こちらも同じく四人乗りの箱馬車だが、メンバーはだいぶ違う。
『うさぎのおひめさま!』アダム(p3x006934)と『よく弾む!』フラッシュドスコイ(p3x000371)。
可愛いぬいぐるみとなんかぽよんぽよんする丸いロボが隣り合って座っていた。
「うー、端っこのサクラメントも使えないなんて……。
翡翠の中はどうなってて、コウはどうしてるんだろう……
でも、弱気になってちゃ駄目だよね!
また会おうねって約束したんだから、元気で会いに行かないとコウに心配かけちゃうもの!」
割とちょくちょく遊びに行っていたアダム。ROOの中でできた友達……と言うべきだろうか。そんな存在と急に連絡が取れなくなれば、誰とて不安になるものだ。
「遠くにいても、いつでも会えるなら安心だけれど、会うための手段が無く無くなってしまったら、心配でたまらないよね……」
気持ちはわかるよと言って目をぱちくりさせるフラッシュドスコイ。
「ボクも頑張ります! 一緒に翡翠国へのルートを確保しましょう!」
「アダムさん、どうか気を落とさずに。
翡翠には俺も確かめに行かなければならない事がありますし、力を合わせましょう」
そう語ったのは『殉教者』九重ツルギ(p3x007105)だった。彼も彼なりに、翡翠国(もとい深緑国)に思い入れがあるのだ。
「ウサギ姫――アダムの『約束』は、叶えねばならん。
憂いを抱えた姫君の望みを叶えるのが、騎士のつとめであり――当たり前のように会えることは、機会を喪ってから分かる奇跡であるが故だ」
『名もなき騎士』ウーティス(p3x009093)は涼しげな目で革の幕を開き、車窓の外へと頭を出した。
クリムゾンズまで、もうすぐだ。
●
「どーもこんにちわっ。ここまで旅をしてきたんですけど」
そう切り出すカノンは、流石と言うべきか砂漠地帯を旅慣れた者の格好をしていた。とても観光道楽物見遊山のいでたちには見えない。何かの研究や探索のための旅をしている人間の姿であった。
その上で、カノンはクリムゾンズ宿場町に暮らす靴屋の男に声をかけていた。
黙々と作業をしていた男は眼鏡をかけなおしてカノンを見ると、露骨に顔をしかめた。
「ここは旅の途中に立ち寄る場所じゃあない。わかるだろう? ほら……」
男に言われるまでもなく、カノンにはなんとなく分かっていた。
宿場町特有の空気がないというか、物資のためかたや道のならされかたが山賊のアジトめいているのだ。
なので。
「で、しょうね……」
カノンはそうとだけ返して、男にスッと紙切れを渡した。
戻ってきた蝙蝠が肩にとまり、キィとなくと姿を消した。
グレイガーデンは蝙蝠に礼を言い、酒場の二階を指さした。
「あの辺からなら入れそうだ。真ん中の部屋には人が寝てるから、音はできるだけたてないようにね」
彼らが立っているのは酒場の裏。二階が宿になっているらしく、数部屋が並んでいた。砂漠地帯だからなのかそもそも窓が広く、ガラス戸でなく布を窓枠に垂らすタイプの部屋であるらしい。
「ははーん、そういうアレね……じゃあ俺は先に行ってロープを垂らすから、ウーティスはグレイガーデンに能力をわけてもらいつつ待機だ」
クシィはそう言うと、雨樋のようなものを伝ってするすると二階へとよじ登っていく。一方のウーティスは黙って手を出し、グレイガーデンに握って貰った。グレイガーデンの『葉は森の中に』という能力はもう一人にまで適用でき、その発動条件であるらしい。流石に手を繋いだまま二階の窓へよじ登るのは難しいが、上下で見張りをつけながら慎重にやれば一人くらいはなんとかなるだろう。
そんな具合であれやこれや面倒な手順を挟みつつも、ジャスティーン・クラブの連中に見つかることなく彼らは二階の宿部屋へと侵入できた。
そして床に小さな穴をあけて糸を通し、カップと耳をあてて会話を盗み聞く。
「何々……『大樹の嘆き』が出た?」
会話を要約するとこうだ。
翡翠国の迷宮森林を自分たち(つまりは翡翠外部の者たち)が荒らしたと言いがかりをつけられており、そのせいで『大樹の嘆き』とかいう存在が出たという。
それがどういうものかわからないが、侵入が難しくなって迷惑しているという口ぶりであった。彼らが森を荒らしていないとは言い切れないが、直接的原因だと言われるのは心外だという主張らしい。彼らも彼らでこの状況に戸惑っているのだろう。
そんな酒場の裏手。フラッシュドスコイとアダムが荷車を引いて酒樽を指さしていた。
「いつもの酒屋はどうしたね」
初老の店主らしき男が問いかけてくるが、アダムはその可愛らしい外見からフレンドリーな雰囲気を発し、フラッシュドスコイと一緒に首をかしげて見せた。こうされるとなんだかファンシーな空間に迷い込んだようで、店主もすこしほっこりとした顔をした。
「いつもの人は腰を悪くしちゃったから、代理なの」
「そうかい……」
深くは追求しない店主をみて、アダムとフラッシュドスコイは頷きあった。
そして紙切れを一枚手渡すと、すぐに捨ててねと言った。
キィ――とウェスタンドアが開いたのを、盗賊団のボスシャスティーン・トロットは聞いた。
部下の一人であるガイノスが酒をあおった途端ぶっ倒れたので調べてみたら酒に毒が入っていたという。どうせよそ者の仕業だろうが、管理のできなかった店主は吊し上げてやろう……と思ったが、既に留守にしていた。店主が帰ってきたら死ぬより酷い目にあわせてやろうと考えていた矢先のことである。
二人の人間が、酒場へと入ってきた。
一人は美しい銀髪の人間で、ともすれば女性に見まがうのではというほどの美形であった。
変わっているのは、ハーモニカで穏やかなブルースソングを奏でながら酒場に入ってきたことだ。
どう見ても初見。注目を嫌でも浴びるのに、初見の酒場にそんな入り方をする人間をジャスティーンは見たことがなかった。
二人はカウンターまで歩いて行き、店主不在のその場に向かって『ミルクを』と言った。
一方は同じく銀髪の女性で、ウェスタンハットを被った涼しげな目をした人間だ。
酒場の連中は皆笑った。皆、ジャスティーン・クラブの部下たちだ。
時折こうして宿場町だと思って入ってきた人間を捕まえて金に換えることをしているので、先の運命もろとも想像しつつの笑いだろう。
部下の一人であるザナグエが太った腹を揺らしながら立ち上がり、のしのしと女の後ろに立つ。
「おいネーチャン、俺が奢ってやろうかあ? ただs――」
最後まで言わなかった。
彼の鼻っ面を、酒瓶が打ったから。
●
よろめくザナグエ。立ち上がったラピスラズリの手にはいつの間にかもう一つの酒瓶が握られており、咄嗟に銃を取ろうとした別の男めがけて投擲された。
ツルギは今回のために用意してきた銀のリボルバーピストルをこの革製ホルスターから抜き、テーブル越しの男達へ発砲。
グエッといって倒れた男はしかし、それだけで死んではくれなかった。
「まあ、そんなところでしょうね」
こちらとて、銃弾一発で殺されては困る。ツルギは慣れた身のこなしでカウンター裏へと飛び込むと、同じく飛び込んできたラピスラズリと顔を見合わせてからちらりとカウンター越しに様子をうかがった。
ジャスティーンたちは荒事になれているのか速攻でテーブルを蹴倒しバリケードにしつつ銃撃で牽制。こちらが身を乗り出す余裕を与えないつもりだ。
が、こちらとて丸腰ではない。
「いちにのさんで行きましょうか。いちにの――」
ツルギは円形の盾をかざしてカウンターの上から身を乗り出すと、それを壁にしたラピスラズリが手にした皿をフリスビーか手裏剣のように投擲。色々遮蔽物を挟んでいるにも関わらず上手に敵に命中させていく。
そして、その攻防が――決定的な勝利の陣形を作り出した。
「すきありーーーーー!」
フラッシュドスコイが店の入口側から出現。
「おりゃー!痛い目をみろー!」
謎のジェット噴射で飛ぶと屈強な男の背に激突。倒していたテーブルごと更に転倒させた。
安全なエリアが壊されたこと。背後からの襲撃をうけたこと。あとなんかそいつが丸っこいロボだったことに若干の混乱を見せつつも、ジャスティーンは『ジェッカ、マメジ、後ろのをやれ!』と端的に命令して陣形を整えた。
「さあさぁ、やっちゃいましょうっ!」
流石と言うべきなのだろうか。アダムは特性のピストル(ピンクの花柄)をぬいぐるみの手に掴むと、扉越しにスッと身体をのぞかせ射撃。牽制射撃を二手にわけた盗賊達を狙い撃ちにする。
今まさにフラッシュドスコイが店内を跳ね割っているので敵の混乱は抑え切れていないようで、その隙を突く形で手下の一人の手首をゴム弾でうちはじいた。
思わず手から飛んでしまったピストルを拾うべく手を伸ばす。ジャスティーンの手下であるワイトという男だ。
だがそこに、ドサリと人間の頭が落ちてきた。
宿部屋で寝ていたはずのササドの首だった。
悲鳴をあげて手を引っ込める。そして上を見ると……。
「ジャスティーン・トロットとごろつき共よ。貴殿らの運は今宵終わると知れ!」
堂々と現れたウーティスが手すりから跳躍。空中でカッと光を放つと彼の鎧と剣そして盾が現れ、素早く装着された。でもって、あろうことか敵陣ど真ん中に着地し剣を天高く掲げてみせる。
その堂々たる現れ方に二度見し、慌てて銃を突きつける――と、その手首にクシィのナイフがざっくりと刺さった。
目立ちすぎるウーティスに隠れる形で階段を降りてきたクシィが素早く側面から襲いかかったのだ。
「こちらには回復手がいるから幾らか分はあるが、サクラメントが停止しているのが痛いな。早めにカタつけちまおうぜ!」
「了解、っと」
後からふわりと飛び降りてきたグレイガーデンがジャスティーン・トロットへと剣を抜く。
ジャスティーンは舌打ちし、魔法で作り出した火炎瓶をグレイガーデンたちめがけて投げつけた。
かち割れ、炎上するグレイガーデン……だが、グレイガーデンは薄く笑みを浮かべるのみだった。
「残念だけど、その手は効かないんだ」
炎上したまま、グレイガーデンとウーティスが迫る。
ジャスティーンに、もはや有効な手札はない。
剣で幾度も斬り付けられ、そして更にはラピスラズリによってボコボコに殴られまくったジャスティーン。
彼は壊れたテーブルの上でゆっくりと身体を起こし、そして不敵に笑った。
「俺を生かしてどうする。情報でも欲しいのかよ? これでも砂嵐の盗賊だ。暴力なんぞで絶対にクチを割ることなんかねえんだよ!」
●
ズザァっと馬で引きずられたジャスティーンが酒場の前に止まった。
「お前等人の心はねえのか!」
首に縄をくくられたまま叫ぶジャスティーン。
「まだ元気そうですね。タキオン、もう一週いきますか?」
「わかった喋る! 喋るから馬を歩かせ始めるな!」
その後、アダムたちがほっぺをぺちぺちしながら質問してみたところさらなる情報が引き出せた。
どうやら翡翠国が殺気立っているのは本当らしく、彼らはよそ者のせいで森が起こっているのでよそ者は殺してでも追い出すという姿勢をとっているようだ。
自分たちにそこまでされる覚えはないとジャスティーンは(馬にちょっとずつ引きずられながら)言っていたのでおよそ間違いはないだろう。
「なら、『大樹の嘆き』っていうのが別の理由で現れてることになるんだろうけど……」
アダムはうーんと考え込むように腕を組む。
大樹の嘆きとは何なのか。
それはどうして現れたのか。
ただのバグだと割り切るにはあまりにも印象的なそれについて、まだまだ、調べる必要があるようだ……。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
あとがき
――クエストクリア!
GMコメント
●シチュエーション
クリムゾンズという宿場町(町と言うには小さすぎる、店の集まり)へと訪れ、そこを縄張りとしているクリムゾンズを倒します。
別に殺しちゃったりする必要はなく、彼らがこの街から撤退すればOKです。(殺しちゃってもそれはそれで問題はありません)
ジャスティーン・クラブは日頃から酒場に集合してダラダラと酒を飲んでいます。
なので一網打尽にするなら、この酒場を襲撃するのがイチバンでしょう。
盗賊達はそれぞれ戦闘慣れしており、ピストルやナイフといった武器を行使してきます。
ボスであるジャスティーンは炎の魔法を得意とし、範囲攻撃は強力です。(ですが逆に敵味方入り乱れている時は範囲攻撃がしづらいので、それを利用してしばらく封じておくという手もあります)
彼らを倒したあとは宿場町にあるサクラメントを再起動し、国境線を目指すためのポイントとしましょう。この成功が着実に次へ繋がることでしょう。
================================
●ROOとは
練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline
※重要な備考『デスカウント』
R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。
Tweet