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シナリオ詳細

北の味、暴れる味は

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●北の味、暴れる味は
 鉄帝国北東部に広がる一帯『ヴィーザル地方』。
 峡湾が広がりしその海域で漁をしているのは大多数がこの地域に住まう人々であり、北国の厳しい生活を過ごす上で必要な仕事であり、生活の術でもある。
 そんな海域に最近出没しているのは……釣果を奪う非道なるノーザンキングスの一派『クズネンコ』一族。
『さぁてと……んじゃあ今日はあの船を襲うとするかねぇ!! 野郎共、出航だ!!』
 威勢良く出航する彼らは、鉄帝国に徹底的に抵抗せし『ノーザンキングス』の一派。
 厳しくも平穏に過ごす一般人達を日に日に襲い、色んなモノを奪い去って行く彼ら。
 今日も又、彼らの被害に遭いし、一般市民達が出る……筈。
『おらぁ! そこの船! てめぇらの食料資材、何もかもオレ達のモノだぁ!!』
 と船を追突させて、混乱に陥る船員達にナイフを突きつけ、資材のアリカを聞きだろうとするノーザンキングス。
 ……ただ、今回はどうも話が違った様で。
『……グゥルゥゥ……!!』
 突如その場に響きわたったのは、何かの呻き声。
『ん……? 何だ?』
 船員と、ノーザンキングスの者共が小首を傾げた瞬間。
 ……海の中からザバァァン、と姿を表したのは、所謂マグロのような魚。
 ただ、その魚の頭頂部には鋭くそびえ立つ角のようなものが備わっていて……その角でもって、船に穴を開け、人を串刺しにする。
 ……そんなマグロの様な魚は一匹だけでなく、何匹も何匹も船の近くを跳ね回り、大暴れするのであった。


「あ、イレギュラーズの皆さん! こっち、こっちに来て下さいなのです!!」
 元気よく、大きく手を振る『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)。
 ローレットに偶然委合わせた君達に次々と声を掛けて、話を聞いてくれる言質を取ると、彼女はこっちこち、と引き寄せる。
 そして……そこには『ふゆのこころ』エル・エ・ルーエ(p3p008216)も居て。
「あのですね! 今回皆さんには、ヴィーザル地方にちょっとと向かって欲しいのです! ここにどうやらノーザン・キングスの一派が船を出している様なのです!!」
 自信満々な表情のユリーカ……まぁ、ノーザン・キングスの一派を倒して来て欲しいというのは良く聞く話。
 だが、でもそれだけなのかと思いきや……。
「あ、でもですね、今回はノーザン・キングスの一派も被害者と言えるかもしれない様なのです! どうやらこの海域には、海の魔物と呼ばれる生物が生息しているみたいで……この近くの村の方々に恐れられているらしいのです!」
「とっても鋭い角を持った、マグロみたいなお魚さんらしいのですが、気性も荒く、その鋭い角で何もかもを破壊する、という困ったお魚さんなのです。とは言えこれを捕獲できれば、一冬を越す食料には困らないといった具合の様なのですよ」
 小首を傾げる君達にユリーカ、そしてエルが。
「つまりは、この巨大マグロさんを迎撃しつつ、ノーザンキングスの一派もしっかりと倒してきて欲しい、って訳なのです!」
「つまりは、大きなお魚さんを巡っての、どったん、ばったん、なのですね? エルも、頑張るのです」
 と、頷き合うのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 今回の依頼ですが、北国ノーザン・キングス一派の討伐依頼ではありますが……敵が2種類居る様です。

●成功条件
 ノーザン・キングスの一派『クズネンコ』一族の討伐及び、荒れ狂うお魚さん『狂鮪』を倒す(出来れば捕縛)する事です。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●周りの状況
 今回の舞台は海の上です。
 海は敵が出てくるまでは荒れていませんが、狂鮪さんが出てくるとその巨体で跳びはねるので、その海域はかなり荒れ狂う事になるでしょう。
 なので、介入時においては足場は荒れては居ませんが、戦闘時は大荒れになるという状況になります。
 又、イレギュラーズの皆様が介入するタイミングでは、ノーザンキングスの一派がちょうど船員達に因縁を付けているタイミングです。
 そこから2、3ターンで狂鮪たちが仕掛けてきますので、3ターン目以降はどちらの対応も必要、という事になります。

●討伐目標
・ノーザンキングス『クズネンコ』一族 x12人
  ノーザンキングスに属する、人型の一族です。
  武器は身軽さを重視しており、ナイフが得物となります。
  戦闘時は軽快に戦場を動き回り、回避率が高いのと共に、混乱の最中においても、船員達を優先して傷付けようとしますので、ご注意下さい。

・海に棲まう『狂鮪』 x5匹
  鋭く生えた角が特徴的、かつそれが主な戦闘武器である、海の魔物です。
  気性が荒く、まるでその角をスピアの如く突き立て来ます。
  更にその角が刺さった相手より、体力を吸収する効果を持って居る為、攻撃かつ防御を両用出来る相手です。
  尚、基本的にこいつらは、海から飛び跳ねてきて攻撃し、そのまま海に潜る……というヒットアンドアウェイを繰り返してきますので、上手く戦うには船の上に落下させる、等の工作が必要となります。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 北の味、暴れる味は完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年09月23日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
エッダ・フロールリジ(p3p006270)
フロイライン・ファウスト
エリス(p3p007830)
呪い師
エル・エ・ルーエ(p3p008216)
小さな願い
フリークライ(p3p008595)
水月花の墓守
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
マグタレーナ・マトカ・マハロヴァ(p3p009452)
彼方への祈り
ユール(p3p009966)
機械仕掛けの羊

リプレイ

●北の海に眠る者
 鉄帝国北東部、ヴィーザル地方。
 峡湾が広がる海岸線には、厳しいこの地で生活する人々の村が点在していて、人々の生活の拠点となっていた。
 そして村の人々は、もう間もなく冬がやって来るこの季節……すべきことがある。
 この時期に少しでも蓄えを蓄えることで、冬の極寒の時期を少しでも楽に過ごせるようにする。
 その為にも、魚を釣り、それを干物にしたり、塩漬けにしたり……冬の間でも食べられるように加工したり。
「そうだな。冬の食料と薪は、多ければ多いほど良いからな。資材も本格的な冬が来る前に、屋根などの補修に必須だからな」
 『機械仕掛けの羊』ユール(p3p009966)の言う通り、冬の前の時期であるからこそ、様々な準備作業をしておく必要が有る。
 だが……そんな時期を過ごすヴィーザルの地に、『ふゆのこころ』エル・エ・ルーエ(p3p008216)が仲間達を連れてきたのには、理由がある。
 この海に、活きの良いマグロが現れ、暴れ廻っているという話。
「わわわわわっ。ヴィーザルの、お魚さんは、とっても元気、なのですね。エル、覚えました」
 と目を煌めかせるエルだが……そんな鮪を獲ってこい、という訳ではない。
 そんなマグロを釣り上げたヴィーザルの地の村人達の船に、更にノーザン・キングスの者達が襲い掛かるという、幾重にも重なる構造。
「マグロ……マグロ?」
 と『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)が小首を傾げると、それに『呪い師』エリス(p3p007830)が。
「ええ、マグロ、との事でしたね……まぁ正式には『狂鮪』と名付けられている様ですが……どんな味なんでしょう?」
「そうですね。どんなお味、なのでしょうか? エルはとっても、気になります」
 鮪の襲撃よりも、鮪の味を気にする仲間達。
 ……まぁ、巨大な鮪だという事に、誰しも興味が無いと言われれば、そんな事も無いだろう。
 とは言えそんな素晴らしい釣果を横取りしようとするノーザン・キングスという存在も、許す事なんて出来ない。
「……本当、ノーザン・キングスの連中がまた湧いてきたようですね」
 と『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)は瞑目すると、それに『永久の新婚されど母』マグタレーナ・マトカ・マハロヴァ(p3p009452)が。
「ええ……ノーザンキングスと言うのも、あの手、この手で悪事を働くものですね。ただ……そうそう上手く行く訳ではないというのも確かなようで……今回の様にマグロが降ってくる、とは中々想定出来ませんね。同情は致しませんが、鉄帝とは驚かされる事が多いですね?」
 と小首を傾げると、『はらぺこフレンズ』ニル(p3p009185)が。
「ええ……冬が越せるくらいのまくろ……ニル、見るのが楽しみです。そんなにおっきくても、やっぱりおいしいのでしょうか? 皆様、どうやって食べるのでしょう?」
 彼女の興味津々な言葉に、オリーブは。
「自分も、そんなに聞いた事は無いので詳しくは分かりませんが、北の湖は良く荒れます。そんな荒波を越えてきたからこそ、身は引き締まり脂も少ないのでしょう……」
 と言いつつも。
「狂鮪、とんでもない魚であるのは間違いないと思います。でもこれを上手く捕まえられれば、村人の方々も冬を楽に越せるとの事……食糧問題は鉄帝に住まう者の常、何とか出来るなら何とか出来るように努力しないといけません。だからこそその釣果を奪う奴らは許せません。海の藻屑、あるいは魚の餌にしてやりましょう」
 ぐっと拳を握りしめるオリーブに、ユール、エリス、『水月花の墓守』フリークライ(p3p008595)も。
「そうだな……死ぬ気で得た釣果を奪おうとするとは……なんとも罪深い奴らだ。許す訳にはいかないな」
「そうですね。釣果を奪うノーザン・キングス一派……これはもう許せませんね! ただ、鋭く生えた角が特徴的な狂鮪も相手にしないといけないので、骨が折れそうですねぇ……」
「ええ……まぁ、鮪がどうであれ、何でもいいのであります。腹の足しになれば、それで良しなのであります」
「ン。楽、シヨウトスルト、落トシ穴、アルモノ。フリック、地道、コツコツ、頑張ル」
 熱の大小はあるにせよ、困っている鉄帝の民を守る為に、拳を振るうイレギュラーズ。
 そして彼ら彼女らは、船に乗り込み、極寒間近な海へと漕ぎ出していくのであった。

●北に荒れる
 そしてイレギュラーズ達が北の湖に出航し、暫し。
 海の上は極々平穏で、大きく波が立つことも無い。
 冬となれば氷が張るレベルの極寒の海……勿論今も極寒ではあるものの、冬の海の方がノーチャンスだろう。
「さて、海の上か……水の中は死ぬ程冷たいからな。落ちないように努力しよう」
 とユールが、そんな極寒の海を見渡しながらぽつり一言を零す。
 ……特に今回の狂鮪は、船の上で大暴れするというから、身体を跳ねさせる鮪に弾き飛ばされる可能性は十分あるし、更には狂鮪のせいで船もも大きく揺れたり、穴が開いたりしてしまう事も十分に考え得る。
「取りあえず……船がダメにならない様に、ニル、船に結界を張っておくのです」
 と、ニルは船に保護結界を展開。
 勿論、それで万事解決……という訳にはいかないだろうが、最低限の対策は出来た筈。
 そんな対処をしつつ、大海原を更に進んで行くと……遠く、水平線の辺りにぼんやりと見え始める船影。
「ん……あれは何だ?」
 とユールの言葉に、じっと目を凝らすイレギュラーズ。
「……どうやら、あれは普通の漁船の様でありますね。そして、その周りには……」
 その船から単眼眼を左へ、右へと動かしていくと……その船から少し離れた所に、別の船。
「……どうやら、あの船で間違い無さそうでありますね。では、此方も急ぐであります」
 彼女の目に入ったのは、その漁船に向けてスピードを上げて近づいて来ている者達。
 その目は血走り、争いを求めているかの様……そして、船が近づいて来た漁船の方は、その船と距離を離すべく、漁用の投網等を引き上げ始めていく。
 流石にこのまま船を動かせば、投網が船に絡まりかねないから、すぐに動く事は出来ないだろう……その隙に襲い掛かって、何もかも奪おうっていうのが、恐らく襲撃者であるノーザン・キングスの『クズネンコ』一族の狙い。
 それに対応する様、イレギュラーズ達の船も速度を上げて、一直線に漁船へと進軍。
 ……ただ、僅かではあるが『クズネンコ』一族の船の方が距離も短く、漁船の横から船を軽く衝突させて動きを止める。
『おうおう! てめぇらよぉ! 中々いい釣果が出ているようじゃねぇか! そこんところ、俺達にも分けて貰おうじゃねぇかよぉ!!』
『拒否しても無駄だぜぇ? 拒否したら、てめぇらの命を奪って、船毎奪い去って行くだけだからよぉ! はっはっは!!』
 大笑いしながら、鈍く輝くナイフを漁船の村人達に見せつける男達。
 勿論、村人達は武器など持って居らず、脅されれば。
『ひ、ヒィィ……いいいい、命だけは、命だけはよぉ……!!』
 と悲鳴を上げて、手を上げて無抵抗な体勢を取ることしか出来ない。
 ……そんな無抵抗な村人達の釣果をさっさと取り上げ、自分の船の倉庫に運び出そうとした……その時。

--ザパァァン!!!

 と、突然海の中から飛び出してくる魚影。
『ん、な、何だ!?』
 突然の事に驚きの声を上げ、そして頭上を見上げる船員及び、クズネンコ一族。
 ……海から飛び出してきたのは、やはり『狂鮪』。
 まずは軽く船の上を飛んで威嚇……といった所の様だが……慌てふためくのは、主に村人達。
 そして戦場で慌てふためいている所に、やっとイレギュラーズ達も合流し、すぐに漁船へと飛び乗り、村人を守る様に立ち塞がる。
『な、何だてめぇら!!』
 割り込んできたイレギュラーズ達に、因縁を付けるクズネンコ一読だが、そんな彼らを無視しつつエッダが村人達に。
「ここは危険であります。一旦、自分達の乗ってきた船に避難するでありますよ」
 と避難する様に促し、更にエルも。
「そうなのです。ぐらぐらで、すってんころりん、しないように、注意して下さい、なのです」
 と村人達の手を取って、漁船からの避難を促す。
 そして避難させている間に、ユールが先陣を切ってクズネンコ達に向けて。
「全く……お前たち、冬の厳しさは俺も十分理解しているが、いつか天罰が落ちるぞ? 例えば……そうだな。お前たちがよく知って居る、海の方から見放されるかもな?」
 と挑発すると、更にニル、オリーブも。
「そうなのです。船を襲うなんて、良く無いです!」
「お前達は、村人達の生活を考えたことがあるのか? この地に住まう者ならば、冬の厳しさを知らない訳はないだろう?」
 と、それぞれが非難するものの、クズネンコ達は。
『うるせえ!! 俺達は俺達がやりたいようにやる! その為に村人の奴らなどの不利など知る者か!!』
 と声を荒げる。
 まぁ、当然と言えば当然だが……自分達のことしか考えていない彼らにとって、戦う力の無い者達など、捕食されるもの、位の認識でしかないのだろう。
「酷い……! 村人さん達はどうなってもいいって言うの!?」
『勿論だっ! てめぇらも邪魔するって言うなら、殺すだけだ!!』
 更にエリスの非難に、クズネンコ達はナイフをまた掲げ、威嚇する。
 その瞬間……再び海の中からザバァン、と姿を表す狂鮪。
 今度は狂鮪は船を飛び越える事無く、漁船の上へ落下し、その鋭い角をぶんぶんと振り回して、クズネンコに刺撃一閃。
『ぐぁっ!?』
 荒れ狂う鮪の不意の一撃に驚き、一旦距離を取り直すクズネンコ。
 ……そんなクズネンコが怯んでいる間に、ユールは全力を解放し、紫色の電撃で鮪を薙ぎ払う。
 雷撃に撃ち抜かれた鮪はビクビクッ、と身体を跳ねさせ、戦場に居たイレギュラーズと、クズネンコ達に反撃。
 慌てて逃げ惑うクズネンコ達と、落ちついて対処しているイレギュラーズという、真逆の展開が船上にて繰り広げられる。
 ……そう逃げ惑うクズネンコ達をまだまだ無視しつつ、狂鮪をまずは一匹、確実に仕留めていくイレギュラーズ。
 すると、次なる狂鮪がまた海から飛び上がってきて、暴れ廻リ、イレギュラーズ達も無傷とは行かない。
「危ナイ。ミンナ、大丈夫?」
 そんな仲間達のダメージを、しっかりと回復していくフリークライ。
 そして、鮪たちに向けてマグタレーナが放つは、絶望の海を歌う歌。
 冷たく、呪いが含まれた歌声で船上に居ない鮪たちにもその声を届け、魅了効果を先行して付与。
 更にニルのは単体鮪に向けて命を蝕む一閃を喰らわせ、オリーブ、エッダも。
「とりあえず、船上で暴れられると船が沈みかねません。打ち上げられたのは、早々に倒すとしましょうか」
「ええ、そうでありますね。早々に倒すのでありますよ」
 と、鮪へ攻撃。
 そうイレギュラーズ達が鮪を倒して行く中、混乱しているクズネンコ一族。
 ……近くに逃げ遅れた村人がいれば、破れかぶれに殺しに掛かったのであろうが、イレギュラーズ達の船に避難している状態故、攻撃する事も出来ない。
 そして、狂鮪達4匹を倒し、残るは後一匹になった所で、エッダがふとクズネンコ達に振り返り。
「……? あ、お前等いたんでありますか? 今すぐかあちゃんのところに帰れば許してあげるでありますよ?」
 彼らを敵と見做さず、歯牙にも掛けないかの様に笑いながら声を掛ける。
 ……恐怖に陥っているとしても、そこはプライドもあるクズネンコ達。
『ふ、ふざけやがって!!』
 勇気を振り絞って、そのナイフで斬りかかる。
 ……だが、その攻撃をその身でカバーするのはフリークライ。
『な……何だこいつ!?』
 と叫ぶと、フリークライは。
「……オ魚サン、傷付ケサセナイ……モチロン、皆モ」
 心優しき言葉ではあるが、クズネンコ達からすれば、それは恐怖の言葉。
「さて……そろそろ覚悟を決めて貰いましょう」
 オリーブは務めて冷静に言葉を吐く。
 だが、その内に秘めたる思いは、とてつもない怒り。
「さぁ、回避が高い様だが、弱点三段を全て避けきれるでしょうか? 串刺しにしてやります」
 とオリーブは集中し、敵の頭、喉、鳩尾の三箇所を一突きで撃ち抜く一閃。
 その一閃を喰らいし者は、存命出来る訳も無く、その場へと倒れこむ。
 更にエッダは、威風を伴いながら。
「おい、選べ。今『自分』と戦って素直に負けるか。あるいは『私』に背を向けて、泣いて謝る方がマシな目に遭うか」
 と挑発。
『くそが……ふざけやがって!!』
 クズネンコ達の選択は、戦い。
「……仕方ありませんね。であるならば……倒す他にありません」
 とマグタレーナはこぼし、歪みの呪言を紡ぎ、一人を石化。
 隣の者が突然石化し、更に。
「ひえひえかちこちに、なってくれたら、嬉しいなってエルは思いました」
 とエルの手から飛び出す、兎の姿に氷の棘が生えた召喚獣が生まれ、敵に飛びかかって囓り、刺し、倒す。
 ……そんなイレギュラーズ達の猛攻に耐えきれず、クズネンコ一族の者共も全て、漁船の上に臥していくのであった。

●北の風
 そして……狂鮪とノーザンキングスを倒したイレギュラーズ。
「オワッタ。フリック、ミンナ、呼ンデクル」
 とフリックは、避難した村人達を自船から呼び戻しに赴く。
 その間に、倒したノーザンキングスの者達は、彼らの船に遺骸を運び、村人達の目に付かないようにする。
 ……そして、狂鮪を目の前にした村人達に、エッダが。
「ところで……この辺では、これは良く出てくるのでありますか?」
 と村人に問いかける。
『そうだなぁ……周りの村から噂は時々聞くけどよぉ、実際に目にしたのは初めてだぁ! でもよ、こんだけ大きな鮪だったら、冬を十分越せるだよ!』
 とても嬉しそうな村人達に、エルが。
「そうなのですね? あの……どこかで、もぐもぐ、出来るのでしょうか? エルは、とってもお腹が、ぐーぐー、です」
 お腹が空いて、しょんぼりしているエル。
 更にニルも。
「そうですね、もしよければ、村人さんのお料理を食べてみたいです! みんなでごはんを食べれたら、きっと「おいしい」と思うのです」
 ニコッと笑みを浮かべる彼女に、村人達は。
『ん、そうだなぁ!! ほんとう、皆が居なかったら、俺達死んでただよ! お礼も兼ねて、村に招待するよ!!」
『ああ! んじゃぁ、取りあえず下拵えはしとかんとなぁ!!』
 と村人達はさっさと手際よく、鮪を血抜きしたり、一部痛みやすい所を解体したり。
 やはり村人も漁師……そういった所の手際はとても速くて、イレギュラーズ達が手を出す暇も無く。
 ……そんな漁師達の動きに、マグタレーナは。
「素晴らしいですね……これで冬を越す食料には困らないとは伺いましたが……首尾良く行けば幸いですね」
 と言うと、それに漁師達は。
『ああ、多分大丈夫だぁ! 本当、あんがとよぉ!』
 と心底から感謝する。
 ……そんな村人達の感謝の思いを、一先ずは帰港して、村人達の手料理として受けるイレギュラーズ。
 以外に狂鮪の味は美味しくて。
『本当、こんな大漁だとは思わなかっただよ! 本当、イレギュラーズの皆さん、ありがとうだよ!』
 そんな村人達の感謝と共に、暫しの時を楽しむのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

ノーザンキングスの北海に眠る狂鮪退治、皆様お疲れ様でした!
狂鮪、美味しかった様ですし……この村の方々も、皆様のおかげで冬は楽に越せることでしょう……!

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