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シナリオ詳細

<グランドウォークライ>医学の道を途絶えさせてはならぬ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●理不尽ここに集いしか
 鋼鉄帝国、その首都であるスチール・グラード。この地の一角にて、火薬の匂いが立ちこめていた。
 発砲音、硝煙、地面に落ちる空薬莢の音。
 周囲では白衣を着ている看護師や医師が、薄い青に色づいた患者服を着た者達を避難誘導している。
「早く!」
 医師が看護師を急かす。
 カルテや医療品などはスタッフルームに置いてきた。本来なら持ち出さねばならぬ代物だが、患者の命には代えられない。
 あまりに突然の事だった。
 シャドーレギオンによる襲撃。警備スタッフを数で押して突破し、彼らは建物のあちこちに発砲を始めたのだ。
「我々は今よりここを制圧する!」
 隊を率いている男が叫ぶ。彼の背後には十名程の兵士達。武器は銃火器をメインとして装備している。腰にも獲物を下げている事から、近接に持ち込まれても対応出来るタイプの兵士らしい。
 似たような小隊を有している隊長格は他と区別がついていた。盛り上がった筋肉を有した屈強そうな者、両腕に義手を備えている者、乱射タイプの銃火器を腕に装着している者、参謀タイプのようなインテリ眼鏡野郎など。そんな者達が先頭に立ち、小隊を率いて各階へと配置につこうとしている。
「医療品などを敵兵達に渡さぬ為にも、ここは我々が管理させてもらう!」
「また、治療を施すのは自分達にだ! 患者は放っておけ!」
「そんな!」
「逆らう場合は見せしめとして患者に被害が及ぶ事になるが、いいな?」
 横暴に声を上げた医師に対し、冷静な一人の小隊長が返す。言葉に詰まる医師を一瞥し、小隊長の一人は号令を飛ばす。
「これより当局は我々の管轄となる。しかし、聞きつけた敵がこちらにやってくる事が想定される。迎え撃て!
 我らは彼の方の不安を一つでも多く取り除くのだ!」
「イエス、サー!」
 力強い返しが病院内に響いた。

●その場所を奪還せよ
 自分の王国を手に入れんと画策していた『聖頌姫』ディアナ・K・リリエンルージュの計画――――シャドーレギオンの作成を悉く打ち破ってきたイレギュラーズ。
 痺れを切らした彼女が次に起こした行動は、首都スチール・グラードをシャドーレギオンの都市へと変える事。
 城はピンク色の水晶で飾られ、彼女の城と化す。
 精鋭戦士達もまたシャドーレギオンへと置き換えられている。
 闇の力に蝕まれそうになっている首都を奪還すべく、イレギュラーズ各位は動く事を求められた。
 そして、その首都の一角である大病院が襲撃と制圧をされたので奪還して欲しいという依頼が舞い込んだ。
 早速その場所に向かう事になったイレギュラーズ。
 彼らを案内するのは、過去にイレギュラーズによって歪んだ欲望を正しいものへと導かれた事のある軍人――――ライナー・トイフェル。
 今回は以前のような白いスーツではなくれっきとした軍服スタイルだ。機械の右腕を有し、筋肉隆々の若きイケメン軍人。
 両腕を後ろ手に組み、切れ長の目でイレギュラーズを見つめて口を開く。
「よく来てくれたのだよ、イレギュラーズの諸君!」
 軍人としてはおそらくこちらが彼の性分なのだろう。以前とは違う改まった口調に加えて、その声は軍人らしい厳しさを含んでいる。
「今回、我々と共に向かっていただきたいのはこの先にある大病院だよ! 避難した患者からの証言によると、敵兵達は銃火器を用いて大病院を制圧し、占拠しているとの事! また、医師及び看護師が多く残されているようなのだよ!
 本来ならば患者への治療に集中すべきかの場所を理不尽に占拠など、許されない事だよ!!」
 軍人らしい厳しさは結構だが、耳が痛くなるほどの声量は相変わらずらしい。
 片耳を押さえながらも話を聞くイレギュラーズ。
「今回はこの病院を不法占拠した敵兵達を殲滅し、医師や看護師などを救出する事を依頼したい!
 その為、今回に限り、君達には我が軍より配下が与えられる! 十人で隊とする小隊編成となる! 君達には各小隊の長となって彼らを率い、各個撃破を目指して欲しいのだよ!」
「いいけど、彼らに不満は無いの?」
「無論! かのシャドーレギオンなるものと戦ってきた実績のあるイレギュラーズに対し、不満などあろうはずもなしだよ!」
 どうやら、そういう事らしい。
 思いがけず小隊を組む事になったが、敵兵の規模を考えると妥当か。
 ライナーは話を続ける。
「また、注意してほしい事として、建物は出来るだけ破壊しないでほしい! 避難した患者を一刻も早く戻して治療に専念させたい為だよ! こうしている間にも治療が遅れている事で影響が及んでいる患者が居る。鋼鉄帝国の民を一人でも多く救う為にも是非協力してほしいのだよ!」
 軍人としては、確かに理に適っている物言いだ。
 少しばかり気になったイレギュラーズの一人が彼に問う。
「そうは言うけど、もしかして、看護師か医者に気になる人でも居たりする?」
 その質問に対し、ライナーは頬を赤らめて頭の後ろを掻く。
 「マジか……」と思いつつも、その辺の事は本人任せるとして。
 イレギュラーズは各小隊の長となって件の大病院へと向かっていくのだった。

GMコメント

 病院ってかなり大事な情報とか設備とか色々ありますよね。
 そんな場所を占拠されたら……考えただけで怖いですね。
 そんなわけで、今回は奪還の為に敵兵とドンパチしていただきます。

●小隊指揮について
・このシナリオには小隊指揮ルールが適用されます。
 PCは全員小隊長扱いとなり、十名前後の配下を率いて敵部隊と戦うことができます。
・兵のスキルや装備といった構成内容はおおまかになら決めることができます。
 防御重視、回復重視、機動力重視、遠距離砲撃重視、特定系統の非戦スキル重視……といった感じです。細かいオーダーは避けましょう(プレイング圧迫リスク回避のため)
・使用スキルや戦闘パターンの指定は不要です。(プレイング圧迫リスク回避のため)
・部下の戦意を向上させるプレイングをかけることで、小隊の戦力が上昇します。
 先陣をきって勇敢に戦って見せたり、笑顔で元気づけたり、料理を振る舞ってみたり、歌って踊ったり、格好いい演説を聴かせたり、効率的な戦術を指示したりとやり方は様々です。キャラにあった隊長プレイをお楽しみください。
・兵のデザインや雰囲気には拘ってOKです。
 自分と同じような服装で統一したり、自分の領地にいる戦力を選抜したり、楽しいチームを作りましょう。特に指定が無かった場合、以下のデフォルト設定が適用されます。

●配下となる兵士達
 基本的に何も手を加えなければ、次の特徴を備えた兵士達となります。
・銃火器の取り扱いのみに長けている。
・移動速度、攻撃力、防御力が平均的なステータスを有する。

●病院について
 東棟と西棟に分かれており、建物は上空から見るとHの形になっています。
 階はそれぞれに四階まであり、各階に一人ずつ小隊が居るようです。

●敵兵情報
小隊長×八人(東棟と西棟にそれぞれ一人ずつ)
・盛り上がった筋肉を有した屈強そうな者×二人
 銃火器の取り扱いに長けるだけでなく、近接では格闘技を扱います。
 パワーよりもテクニックを中心に立ち回りをするでしょう。
 彼らの小隊は小隊長の命令なしに動き回る事はしないようですが、煙幕や音を鳴らす手榴弾を投げるなどの妨害を仕掛けてきます。

・両腕に義手を備えている者×二人
 銃火器よりも義手に頼った動きをします。
 テクニックよりもパワータイプで、義手の力を借りて攻撃力に特化した拳を繰り出します。
 彼らの隊は小隊長を援護するように動きます。

・乱射タイプの銃火器を腕に装着している者×二人
 銃火器の中でも乱射タイプの物を持っています。もちろん体格は屈強。
 こちらの小隊長は建物の破壊を気にしないタイプの為、戦いには注意が必要です。
 彼らの小隊は戦いを特に好む事もあり、イレギュラーズとの戦いの債には好きに暴れ回ろうとします。医師や看護師に危害を加えないという話は戦いの最中で忘れるでしょう。

・インテリ眼鏡系×二人
 銃火器の扱いはそれなりですが、自分で持つ事はあまりありません。
 こちらの小隊長は医師や看護師を手厚く保護する傾向があります。戦おうとすれば背後に医師や看護師を控えさせているでしょう。
 彼らの小隊は小隊長の指示により、隠密行動を得意として動きます。

●ライナー・トイフェル
 「<フルメタルバトルロア>花嫁を腕に求む」に登場した人物。
 当時はプライベートであった為、口調も砕けていたが、現在は軍人として振る舞う為、厳しめな口調を維持している。
 右腕は機械だが、今回は後方指揮及び後始末としての任務を帯びている為、前線に立つ事はありませんん。
 新規の情報を得次第、イレギュラーズに連絡する事はあるようです。

※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • <グランドウォークライ>医学の道を途絶えさせてはならぬ完了
  • GM名古里兎 握
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年09月24日 22時25分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ニアサー(p3x000323)
Dirty Angel
シャドウウォーカー(p3x000366)
不可視の狩人
グレイ(p3x000395)
自称モブ
神様(p3x000808)
R.O.Oの
ナハトスター・ウィッシュ・ねこ(p3x000916)
叫ぶ流星
イズル(p3x008599)
夜告鳥の幻影
アルフィンレーヌ(p3x008672)
ムッターロボ
アズハ(p3x009471)
青き調和

リプレイ

●東にする? 西にする? それとも……
 件の病院に侵入するルートは、協力者であるライナー・トイフェルの手助けによって敵に気付かれずに近付く事が出来た。
 ライナーからは、耳に装着した通信機のような物で情報を逐一届けてくれる手はずになっている。こちらからもライナーに通信が取れるとの事で、まず『白き星の守護者』アルフィンレーヌ(p3x008672)が彼に問うた。
「調理室はどこかしら?」
 仲間達の怪訝そうな顔を余所に、彼女はライナーから場所の位置を教わる。
 彼女が何をするつもりかは置いといて、イレギュラーズはそれぞれの好みに合わせた小隊を引き連れて散開する。
 全員が正面から突撃する理由は無い。窓から、あるいは裏口から、などのルートを想定しての動きを見せる。
 東と西のどちらの棟に入るかも既に話してあり、それぞれが目的を持って進んでいく。
 裏口から入っていくメンバーの中で、アルフィンレーヌ率いる小隊は調理室に入っていく。
 部下となった者達の一人が不思議そうに問う。「何をなさるおつもりですか?」と。
 彼らの部隊は機動性を重視した近接型だ。だというのに、ここに来てどうするつもりなのか。
 困惑する彼らに対し、彼女は事もなげに言い放った。
「戦いの準備として、カレーを作るよ」
 ますます部下達の間に困惑が広がったのを、彼女はどう捉えたのだろうか。多分、彼女なりのこの小隊への鼓舞方法なのだとは思うのだが……。

 彼女の部隊がそんな事になっているとは知らず、他の仲間達はそれぞれの目的に沿った道を進み、階段を駆け上がっていく。
 大病院故に建物も広いが、そこはコツがあるというもの。
 例えば、『ハンドルネームは』グレイ(p3x000395)などは、自分に敵対心を持つ相手を感知する事が出来る。更に、グレイの耳から除く深いアメジストのイヤリングは、その感知能力を底上げするサポート付きだ。
 その恩恵を受けつつ、彼は道すがらで得た情報を逐一仲間に報告する。
 建物の損傷具合や聞こえてくる音などを報告する事で、敵のタイプを予測する目的もある。
 なお、グレイの隊は盾などの防御に長けた者達で構成されている。
 彼らに対し、「医療従事者が人質になっているかもしれない、彼らの保護をしよう」や「中にはライナーが想いを寄せる人が居るらしい……どんな人なのか見てみたい? なら尚のこと気合い入れていこう」等と声をかける事で士気を上げていた。特に後半に対してやる気を出している様子だったのには些か苦笑を禁じ得ないが。
 彼が狙うは、敵部隊の一つとされるインテリ系の部隊。東棟の階段を上がり、進む。
 グレイと同じ目標を定めているのが『不可視の狩人』シャドウウォーカー(p3x000366)だ。
 彼女の小隊の容姿は雰囲気が異なる。白いデッサン人形みたいな姿を取っており、また、近接機動力を重視したものとなっている。グレイとは真逆のスタイルだが、戦闘におけるバランスとしては良い。
 グレイから得る情報を元に先を行く。
 三階に進んだ所で、聞こえてくる音が他と比べて小さい事に気付く。インテリ系が潜むならばこういう場所だろうと予想し、その階に踏み入れる。
 思った以上に遺体の数は少ない。医師や看護師などが手厚く保護されている可能性が高そうだと考え、辺りに注意して進んでいく。部下達にも注意を促す。
「物陰には気をつけろ、下手に背中を見せてはいけない」
 グレイが感知した敵の存在を伝える。どの辺りに敵が居るのか。その詳細を得て、彼女の小隊は突撃をかける事が出来た。
 崩れた瓦礫の影に隠れて銃を撃つ敵。だが、それを防ぐグレイの小隊。彼らの影からシャドウウォーカーの小隊が飛び出し、銃火器を持つ者達へと肉薄する。
 先陣を切るシャドウウォーカーの短剣が敵の一人に刺さる。急所を外したものの効果を含めた威力は強い。
 高圧電流を纏った短剣は、急所ではなくとも人体のどこかに当たれば十分な代物だ。予想通り、こういった高圧電流への耐性が無い様子の敵が悲鳴を上げる。
「みんな、ワタシに続いて……この場を一気に制圧するよ!」
「イエス、マム!」
 軍人の模範的な返答。しかし、先陣を切り、力量を見せつける彼女の働きぶりを見れば、彼らの返答にも熱が籠もるというもの。
 彼女の希望で再現されたレーザーソードが敵の銃身を焼き切る。
 近接戦闘、ならびに機動力に長けているシャドウウォーカーの小隊を守りつつ、彼女達と共に奥へと進むグレイの小隊。
 見えてきたのは小隊長と思わしき男の存在。眼鏡を掛けており、なるほど如何にも知的そうな雰囲気だ。
 背後の壁に集めているのは医師や看護師だと一目で分かる。彼らに銃口を向けている事からも、人質として扱っている様子。
「それ以上進めばこの方々がどうなるか、おわかりですね」
 彼の一言で足を止める。
 シャドウウォーカーが動く。前へ、ではなく、横に。
 小隊長の視線が油断なく彼女を追う。
 意識がそちらに向いている事は、グレイにとって僥倖となった。すぅ、と短く息を吸って、グレイが吼える。
「医療従事者を人質に取るその所業、実に度し難き!! 鋼鉄帝国に仇なす者共よ、報いを受けるが良い!!」
 グレイのアクセスファンタズムにより、その喉から発された声色は、ライナーを模したもの。
 それは意外にも敵の動揺を誘うのに一役買ったようだ。
「まさか、あなたは以前に見たあの軍人か?!」
 それがどういう場面だったかは知らないが、模した声色の主を知っているらしい。
 シャドウウォーカーから意識が逸れたのが、彼の敗因だった。
 先導する彼女の部隊が敵小隊を襲う。
 部下達のレーザーソードが敵小隊の武器に斬りかかり、彼女本人は小隊長へナイフを持って接近する。
「距離が近い分銃火器をまともに使えないよね」
 その呟きと共に、毒を盛ったナイフを腕に突き立てる。場所はどこでも良いのだ。大事なのはこの毒を敵の体に巡らせる事だから。
 強力な毒は急速に血中を巡る。銃を持つ事すら出来ぬほどの痛みを伴って。
 取り落とす銃。そこを逃さず、グレイが迫る。彼の手にあるのは冷凍カジキマグロ。
「なんですかそれは?!」
 毒を受けながらようやく絞り出した敵のツッコミに対し、無言で顔面に叩き込んだ。
 敵が率いていた小隊もまた、二人の小隊によって無力化され、無事に医療従事者達を保護する事に成功した。

●素早い猫は天の助けを借りたもう
 時は少し遡り。
 同じく東棟ではあるが、別の階を目指す二つの小隊。
 一つは『夜告鳥の幻影』イズル(p3x008599)。彼の小隊は回復をメインとしたものとなっている。彼を含めて足音があまりしないのは、それぞれが飛行手段を有しているからである。
 基本的には仲間の支援を行なう為の部隊。そんな彼らの先を行くのは『星の魔法少年☆ナハトスター』ナハトスター・ウィッシュ・ねこ(p3x000916)の小隊。こちらは機動力を重視したものとなり、そのおかげか、イズルを知らず後方に置いて行く事になりがちな程の速度を有している。
 更には、猫っ毛、猫耳を備えている彼ならではのアクセスファンタズムが小隊の手助けをしてくれていた。
「にゃーん」
「うん、引き続きよろしくね」
 猫である。どこからどう見ても猫。それも真っ白で、毛量は少ないながらも毛並みが綺麗なお猫様である。
 召喚主である彼に好意的なその猫は、彼の指示である敵の索敵をそつなくこなしてくれていた。
 本来ならば動物は基本的に病院に入れてはいけないのだが、緊急事態だ。後でライナーが何とか言ってくれるだろう。
 少し前に入ったグレイからの情報と、イズルの救出を要請する者達からの思いを感じ取った情報を元に推測した結果、ナハトスターが相まみえたいと願う小隊が居るであろう四階に辿り着く。
 廊下を進んでいけば、銃火器を手持ち無沙汰にしている集団が遠目からでも判別できた。それはもちろん、あちらからもだが。
「小隊の皆は病院の人達の保護かこっちの援護お願い! ボクも頑張るよ!」
「キミの小隊は全てキミの援護に回すといいだろう。病院の人達の保護は私達の方で行なっておく」
「お願いね☆」
 簡潔なやり取りをかわし、それぞれの目的の為に動く。
 保護するべく、動くイズル小隊。敵の銃火器が彼らに向く前に、ナハトスターが一直線にビームを放つ。
「星猫魔法奥義……穿て、WSランチャー! にゃーーーー!!」
 放たれた超火力のビームの周囲で煌めく星が回る。もはや魔法というかなんというか、であるが、そこは深くは聞かないのが魔法のお約束というものだ。
 さておき、ナハトスターの放ったビームは、着地した結果の範囲が広い。つまりどういう事かと言うと、敵の小隊を纏めて吹き飛ばす事が可能である、という事だ。
(巻き込まれなくて良かった)
 少し離れた先から聞こえる悲鳴。小隊の一部に命中したと思われる音を聞きながら、胸を撫で下ろすイズル。
 医療従事者達の保護の為に駆けるイズル小隊。
 彼らに意識が向かないように、ナハトスターは更に踏み込み、距離を縮めた上でいくつかの流れ星と猫を召喚する。
 狙う範囲は敵小隊のただ中へ。それらは小隊の視線を奪い、自由気ままに舞うように動いては翻弄する。
「しゃらくせぇ!」
 だがそれを遮った小隊長と思われる人物が、腕についた乱射タイプの銃を撃ち出す。彼にとっての味方もお構いなしの様子に、イズルは眉を顰めた。このままでは建物も医療従事者達も危ない、と。
 部下達に医療従事者達の探索を保護を任せ、その間にイズルは扇状に技を放つ。それは敵の命を奪う事は無いが、呪い、その場に縛り付ける事が可能である。低確率ではあるが、動きをしばし止める事も出来るもの。
 上司の攻撃を受けてもなおしぶとく生き残る部下の一人が銃口から火を噴かせる。肩を撃ち抜かれたものの、イズルには傷を癒やす手立てがある。
 自身や小隊を癒やし、また、小隊が保護した医療従事者達にもその癒やしを分け与える。
「さて、お次はこれだ」
 自身のアクセスファンタズムによって生成した容器付きの薬液。
 それを敵集団へ放り込む。思った通り、銃でそれは攻撃されるが、それでいい。
 もろにそれを浴びた敵達が光り輝く。
「なんじゃこりゃあ?!」
 強く光ったりする状況に困惑する彼らの隙をついて攻撃するのは容易く。
 ナハトスターによる再度の広範囲ビームが敵小隊を沈黙させた。
「建物が破壊されないのは奇跡だねぇ……」
 帽子を深く被りながら、イズルはそう零すのだった。

●容赦なく、そして徹底的に
 所変わって、西棟。
 ここでは『Dirty Angel』ニアサー(p3x000323)、『R.O.Oの』神様(p3x000808)、『アルコ空団"路を聴く者"』アズハ(p3x009471)が、それぞれ別の階に向かって駆け上がっていた。
 ライナーからの情報では、東棟では既に二つの小隊が落とされているという。残る小隊も彼らが対処する可能性が高いだろうという事。また、先に避難した少数の者達からの情報を得たとの事。
 得られたいくつかの情報と、乗り込む前にニアサーが外から中を確認して得た情報を照らし合わせた上で、彼ら三人の小隊は別々の階を選択する事になった。
 ニアサーが向かったのは四階。
 神様が向かったのは二階。
 アズハが向かったのは三階。
 そして、それぞれが各小隊と対峙する。

 ニアサーが辿り着いた時、廊下を闊歩する小隊長らしき姿とすぐに遭遇した。
 彼女は命中を重視させた黒き小隊を率いている。
 敵の小隊長とその部下達を睨みつけ、宣言する。
「病院を狙うなんて……やらせませんから!
 おっと、背後がでるところだった……」
「ああ?」
「いや、こっちの話だよ」
 怪訝そうな顔をした男に返した後、改めて構える。
 両手に義手を装着しているのが小隊長のようで、彼の背後には銃火器を持つ小隊の姿。
 銃口をこちらに向けている事に対し、臆する様子も見せないニアサー達に警戒を滲ませる。
 長曽祢虎徹と呼ばれる刀を持って突撃するニアサー。
 後ろに控えていた小隊も彼女に続くように動く。
 榴弾を使えるようにしたかったが、あれは砲弾だ。建物を破壊する恐れがある。狭い場所で扱うのならば手榴弾程度となるだろう。
 この場合は手榴弾を扱う事として、部下達はそれを放り投げた。ニアサーを巻き込まぬように注意を払い、放たれたそれは、敵集団の中へ、外へと落ちる。
 弾ける音。爆発するエネルギー。
 それらによってバランスを崩す敵小隊。
 だがその中でなお立ち続ける小隊長は、流石部隊を引き連れているだけはある。
 ニアサーの長曽祢虎徹が振るわれる。斬り上げと斬り下ろしを交互に、そして乱雑に繰り返す技を披露し、小隊長にダメージを与えに行く。
 時には回避される事もあったが、諦めずに振るい続ける。
 小隊長の両手にある義手が動く。
 「むんっ!」と一言で腕に力を込めた一撃がニアサーの体を横から殴る。幸いにして腕へのダメージは少なく、まだ刀を振るえるようだ。
 一度距離を取り、自身を天使のような動きを付与する。羽も無いのに宙に浮き、飛び始めるニアサーに対する小隊長の反応はというと、眉を顰めるだけで終えた。
 飛んだ事で、ニアサーは一つの方法をとる事にした。
 彼から遠くまで距離を取る事にしたのだ。それを逃げと見たのか、小隊長が「逃げるのか!」と野次を飛ばすが、ニアサーにとっては問題無い。
 かなり離れた位置から、彼女は両手を突き出して、放つ。
 無数の球雷が現れ、そして耳をつんざくような雷鳴と共に、それは敵小隊を巻き込んだ。
 体を走る雷撃に、小隊長を含めた敵小隊が声にならぬ悲鳴を上げる。
 ニアサーの部下達による手榴弾攻撃や銃剣での近接攻撃、そしてニアサーからの二度目の雷撃。
 数度それが繰り返された後、沈黙した小隊からは焦げた匂いがした……とだけ記しておこう。

●神は全てに
(信仰の自由はお好きに、だけど、こればかりは許せないね)
 神様を自負する者は、小隊に向けて声をかける。
「ほいじゃま……、神と伝説を作る勇者一行は、各所の補佐に向かおうね」
 神であるが故にという理由で浮遊するその者は、小隊を率いて廊下を進む。
 ライナーからの情報では、東棟での建物の被害が少ない場所にインテリ系の小隊が居たという。
 音の大きさや建物の被害状況を鑑みて当たりを付けた神様の勘は間違っておらず、廊下を進めば、予想通り。
 得た情報と違わず、眼鏡を掛けたインテリ風の男を小隊長としている様子の小隊と遭遇した。
 医療従事者達を壁に集めて控えさせている様子に肩をすくめる。
「彼らを助けに来たのか。それは許さんぞ」
「それはこっちの台詞なんだよ
 というか、モテないみたいよ、アンタ。……こんな事してりゃあね?」
「うるさい」
 溜息混じりに返した言葉は相手の癪に障ったのか、不機嫌な声で返された。
「帯同させてる従事者、脅しじゃなければなんだ? テロリストに加担させるってのは良くないなあ」
 更に追い打ちをかけて、部下達に下がるよう指示をする。
 それを見て、「なんだ、やはり撤退するのか」という顔をする相手の油断に、内心でほくそ笑む。
 にたり、と口元を歪ませて、神様は一つの奇跡を振るう。
 瞬間、振るわれたのは猛風。狂ったように吹き荒れし、嵐のような風。
 広範囲に広がったその暴風は、敵小隊を吹き飛ばし、壁に激突させる。
 壁に集められていた医療従事者達も壁に縫い付けられていたが、こちらはそもそも壁際に居たので問題等無かった。
 そして神は再び奇跡を振るう。小隊長のみに向けて、裁きの炎を。
 ほどほどの火力とはいえ、その威力はすさまじく、滅却するに十分な程であった。
「あ、やべ。保護して保護」
 熱に巻き込まれない内にと、慌てて部下達に対象の者達を保護させる。
 無事に保護した後は、残る小隊を始末するのみだった。

●音は雄弁に物語る
 ほぼ同時刻に聞こえる音に、「派手だなぁ」という感想しか出てこない。
 アズハのアクセスファンタズムによる周囲の状況を音で把握する、というものはこういう時存外便利だ。
 さりとて、今の彼はのんびりしている訳ではない。
 妨害の耐性を持つ小隊を率いて、彼は今、屈強そうな小隊長と対峙していた。
 繰り出される拳に対し、どうにか防御をとるものの、食らえば痛い事に変わりはない。その代わり、相手にも反動が来るように、仕掛けてあるのだが。
 敵の小隊が何かを投げようとするのを、アズハの小隊が突撃するなどして阻止していく。小手先の技術でこちらが不利にさせられては適わないのだ。
 時には範囲攻撃を繰り出す事で相手が不利になるように仕掛けていく。少しずつ動きが鈍くなる様子も見られ始め、徐々に有利に持ち込んでいる事を確信する。
 一つ一つを、確実に叩き込む事に集中する。
 持久戦にも持ち込む程の戦いの中で、アズハが助かった事と言えば、仲間が援護に来てくれた事だろう。
 回復の援護を受けながら、アズハは辛くも勝利を収めたのだった。

 その後、残る小隊も総攻撃で倒す事で制圧を迅速に終えたイレギュラーズ。
 アルフィンレーヌの炊き出しで癒されながら、一時の安らぎを得るのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

お疲れ様でした。
無事に医師や看護師を保護出来たようで何よりです。
ライナーの思い人は誰なんでしょうねえ。機会があれば、またその辺はいつか。

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