PandoraPartyProject

シナリオ詳細

終わらぬ僕らの夏休み

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●あのさ、「しゅくだい」おわった?
 いわゆる地球と呼ばれる惑星の日本という国に近い世界。
 この世界の子供たちは暑い季節は勉強に集中できないという理由から、学校に「なつやすみ」が設けられている。
 海水浴に行くもよし、山へキャンプに行くもよし、はたまた家で友達とゲームするもよし……。
 各々が、思い思いに過ごしたなつやすみも終わりに差し掛かってきている。
 しかし、なつやすみは「ただ楽しめばいい」という物ではない。
 
 ーー学生の本文は何ですか?
 ーーはいそうですね。勉強です。

 ということで、学校は(当たり前と言えば当たり前だが)宿題を学生たちに出すわけだが。
 いるんですよね。「全く宿題に手を付けてない」奴。

「うわー! どうしよう!」
 8月31日、なつやすみ最終日に10歳の誕生日を迎える少年ショウタは、目に涙を浮かべている。

 ところでこの世界。一つだけ一般的によく知られた「夏休み」とは違った事象が起こることがある。
 それは、「夏休みの最終日に手つかずの宿題から怪物とが現れ、その子を食べてしまう」というものだ。
 起こることがある、というのは、すべての子供に言えることではなくいわゆるウワサ話でしかないと思っている子供も大勢いる。
 ショウタもそのうちの一人だった。

 しかし、目の前には怪物がいる。しかも、宿題全部に手を付けてなかったからか、いろんなものが。

●夏の夜の大勝負
「まったく……仕事にしても何にしてもそうだけど、宿題をぎりぎりでやろうとするのがそもそもの間違いだということに気づかない人は多いよねぇ……」
 呆れたようにカストルは苦笑いして状況をイレギュラーズたちに説明する。
「えっと、今回ショウタくんが終わっていない宿題は4つ。算数の計算問題、絵日記、自由研究・読書感想文……うん、なかなかのラインナップだ。」

 ここから導き出される結論、それは単純明快である。
「ショウタくんが宿題を終わらせることができれば、助かるって話だね。ということで、その手のお仕事もさっさと終わらせることができるイレギュラーズ諸君、期待しているよ。」
 図書館内の風鈴が、チリンと小粋な音を立てた。

NMコメント

 おはようございますこんにちはこんばんは。
 お久しぶりです。水野です。
 皆さんは宿題は早く終わらせる方でしたか?それともギリギリでしたか?
 私は常にギリギリでした。

 ということで、夏の思い出を作っていきましょう。

●目標
 ショウタくんの宿題が終わるまで、終わってない宿題の怪物4匹を抑え込む

●出来る事
 大きく2つのことができます
 ①ショウタくんの宿題を手伝う
  →もっている知識や技能で翔太君に手を貸すことができます。
   「絵が得意なので絵日記を手伝います」などのプレイングがあるでしょう
 ②宿題たちを抑え込む
  →ショウタくんを集中砲火してくる怪物たちを相手取り、抑え込むことができます

●敵
 算数の計算問題
 絵日記
 自由研究
 読書感想文

 以上の4体がいますが、こいつらはショウタくんを集中攻撃しようとするだけのエネミーです。
 抑え込んでの弱体化は狙えますが、怪物が消滅するための具体策は「宿題を終わらせること」です。
 なお、正答率などの出来栄えは問いません。埋まっていることが大事なので。

●味方
 ショウタくん
 →命がかかっているので、全力で宿題を終わらせようとします。


●サンプルプレイング
 ①宿題かぁ。めんどくさいよね。分かるよ。
  ただ、ほったらかしとくとこういうことになるんだよなぁ。
  よし、ここは俺がバケモンを抑えるから、君は宿題を進めるんだ。

 ②ダメでしょ、ちゃんとやらなきゃ。
  でもまぁ、これでお灸を据えるいい機会になったんじゃないかしら?
  私料理が得意なの。自由研究のテーマ、美味しいオムライスの作り方なんてどう?


 それでは、皆様のご参加を心よりお待ちしております。

  • 終わらぬ僕らの夏休み完了
  • NM名水野弥生
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年09月10日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

海音寺 潮(p3p001498)
揺蕩う老魚
エルシア・クレンオータ(p3p008209)
自然を想う心
バク=エルナンデス(p3p009253)
未だ遅くない英雄譚
囲 飛呂(p3p010030)
きみのために

リプレイ

●終わらない宿題。目の前の化物。
 そんなショウタの危機を救うべく現れたイレギュラーズ一行は、三者三葉の反応を示す。
「仕事まで宿題に追われなきゃなんねーのかよ!!」
 囲 飛呂(p3p010030)は学生の本分という名目で課される宿題という言葉を聞いて心の叫びを漏らす。
 正直な話、勉強が得意ではない彼はショウタの気持ちが痛いほど分かる。が、流石に自分も宿題を手伝うとなるとそれはそれで嫌なのだ。
「とはいえ、宿題を熟せぬということは、大人になって任された仕事を期待されたものに熟せぬ存在となってしまう。それは、本人にとっても善きこととは言えぬであろう」
 バク=エルナンデス(p3p009253)は淡々と、しかしどこか慈愛のある表情で飛呂を諭す。
 見た目こそ華奢で小柄な少年だが中身は大人。そのあたりの世の常を、彼はよく知っている。
「でも学生の身としては「宿題」という単語自体がトラウマみてーなものなんだよ……。最近は特に頑張んなきゃいけねーし……」
「はっはっはっ。起きてしまったことは仕方がない。わしらのできることは、ショウタを手伝うこと。そうじゃろう?」
 空中で後ろからひょっこり顔を出しているポチと一緒に、海音寺 潮(p3p001498)は朗らかに笑う。その手には野菜やソースのいい香りがするバスケットを下げている。中に入っているのは、夜食のサンドイッチだ。
「ショウタが頑張るなら、わしらも全力で手を貸そう。」
「それに、守りに入ることも、今回は意味がないと思うのです。何はともあれ、ショウタくんの宿題を終わらせましょう。」
 エルシア・クレンオータ(p3p008209)はショウタの山盛りの宿題を見て小さくため息を吐く。
「……原因こそショウタさんの自業自得とはいえ食べさせるわけにはゆきませんから、怪物達に幻想種の知性を見せつけて差し上げましょう」
 ショウタは彼らの姿を見て、半べそをかいて頷く。分からないなりに、宿題に取り掛かり始める。
 潮とエルシアがショウタの宿題の面倒を見始める。
「うだうだ言ってねーで仕事だ仕事! 食わせたりなんか、ぜってーさせねぇからな」
 宿題は嫌でも仕事はこなす。飛呂が化物に飛び掛かっていく様子を見てバクもそれに呼応する様に構える。
「あ、そうだバクさん。」
「なんじゃ?」
 ふと言いたいことがあり飛呂はバクに声を掛ける。
「ショウタくんのことは、あまり叱らないでやってくれ。……言われすぎても、トラウマになっちまうからな。」
「うむ。言ったところで後の祭りじゃ。今後気を付けてもらえれば良いな。」
 二人はフッと笑うと、改めて宿題の化物に向かっていく。

●後悔よりも手を
「うわーん!! わかんないよぉっ!!」
 早速ショウタの泣き言が聞こえる。躓いているのはプリント10枚分の算数の宿題。図形の面積の求め方など子供が躓きがちな問題が並んでいる。
「そうか、解き方が分からないんじゃな。」
 潮はそう言うと、床に散らばっていたチラシの裏にさらさらと公式を書き始めた。
「算数は基本的に公式さえ覚えていれば、あとはどうにかなる。本当はきちんと理解しないといけないのじゃが、今は解くことに専念じゃ。」
「うん……やってみるよ……!!」
 計算がややこしいところは計算機を使いながら、一生懸命に問題を解いていく。
 その側で、器用にも潮はニンジンに何か彫っていた。
 最後のプリントに差し掛かり、集中力の切れたショウタが、何だろうとのぞき込む。
「ふむ、疲れてきたのなら休憩がてら見てみるといいじゃろう。これは、野菜のスタンプじゃ。」
 よくできました、という文字を桜の花びらが囲っている。これにはショウタも大盛り上がり。
「え? これ、食べ物を無駄にしてませんか?」
 エルシアが眉を顰める。ショウタ自身は喜んでいるが、スタンプに使ったのは野菜。
 食べ物を粗末にしているように感じたようだ。
「大丈夫じゃよ。これは野菜の残りじゃ。傷んでいて人間が食べるにも渋みが強くて美味しくはないのじゃ。であれば、有効活用もよかろう。」
「なるほど……。寧ろ、食べ物を無駄なく使っている、ということですね。」
 エルシアは納得すると、原稿用紙を眺めて考え始めた。
「私が得意なのは読書感想文です。少し方法を考えますから、少々お待ちください。」

 少しずつ、でも着実に宿題が片付いていく。
 しかし、まだまだ残っているからか、化物たちは攻撃の手を緩めることはない。
 算数のプリントや自由研究、読書感想文以外にも、宿題はある。
「絵日記って、何書けばいいんだろう……。」
「日記なんてホントは毎日つけないと意味がないはずですよ?」
「だってぇ……。」
 エルシアのいう通り、日記なんていうものは毎日つけていないと意味がない。しかし、それでもやりたくなかったのだ。
「であれば、今日のことを日記に書くのはどうじゃろう? かっこよく、わしらのことを書いてな。」
「……うん!! 絶対、みんなのことしっかり描くよ!」
 ショウタは力強く返事をする。頑張って宿題を進める様子を、ポチが旗を振って懸命に応援している。

「勉強組が頑張ってるのに、俺たちも負けてられねー。」
「うむ。そのためには、あれをショウタから引きはがす必要があろう。」
 暫し待たれよと言うと、バクは眼前の化物たちに聞こえるよう、聖職者に似つかわしくないダラッとした体制、そして声色で呟く。「しゅくだいなどというものは、かったるいのぉ」
 えっ、という顔をして、飛呂はバクの方を見る。バクの方を見たのは、飛呂だけではない。
 化物たちはショウタへの襲い掛かるのをやめ、バクをギロリと睨みつけるが、構わず彼は続ける。
「なーにもおわっとらん。じゃが、へーきじゃ。ばけもののうわさなど、うそっぱちじゃのぉ!!」
 聞くや否や、化物たちはバクへと飛び掛かる。
「釣り上げたぞ、今じゃ!!」
 バクの声とともに、飛呂が攻撃を仕掛ける。
 放たれた魔弾が化物たちの動きを止めていく。それでも彼は追撃の手を緩めない。
 化物たちの攻撃も、宿題が終わるにつれ次第に弱くなっていく。
「確かに宿題終わらせてないのは悪いだろうけどさ、だからって子供食うなんてことするヤツらに、手加減なんていらねーだろ!!」 彼の攻撃の一つ一つに力が籠り、化物を一掃する。
「俺も勉強は得意じゃねーけどさ。……さて、あと少し!!」
 気が付くと、残された化物は原稿の化物……読書感想文のみだ。

「さて、あとは読書感想文ですね。」
 エルシアはそう言うと、ショウタに作戦を説明する。
「読書感想文は、作者絵のファンレターです。」
 キョトンとしているショウタを他所に、彼女は話を続ける。
「ファンレター……略してFLとしますが、送信ボーナス期限ギリギリまで出し忘れていた時、どうすればいいのかを考えれば答えは簡単です!」
 送信ボーナス……聞き覚えのある人もいると思うが純粋な目で見てほしい。
「つまり…短い仮FLを書いてから、後から本当のFLを出せばいいんです!! FLですと仮FLでも最低限の礼儀と内容は必要ですけれど…今回は適当に伸ばし棒をでも連ねておけば書いた事になりますでしょう」
「つ、つまり、作者さんに『ここ良かったよ!』って一旦テキトーに書いたらいいんだね!」
「そういうことです! 今は怪物をごまかすのが先決。あとでしっかりとしたFLを書きましょう。後で出すと言ってて出さないことほど失礼に当たることはありませんから……!」
 ショウタはとにかく、原稿用紙いっぱいに感想文を書いていく。ひらがなで駆けるところは全力で。
 そして、翔太君はエルシアの助言通り、仮FLもとい読書感想文を(一応)書き上げた。
「おうじさまのへんしんするばめんが、めちゃくちゃかっこよかったです。またよみたいとおもいました」
 書き上げると同時に、原稿の化物がさらさらと音を立てて消えていく。
「よく頑張りましたね。ではここで、読書感想文の本当の書き方を。これは自分の感想というより、本が読者に与えたかった感想を書くといいんです!! 本当の感想を書いたら『宿題めんどくさかった』になるに決まってますからね。作品は読者に、どう思って貰いたかったのか……そしてそれぞれの表現が、その為にどんな効果を持っているのか。そんな評論ができれば一人前の読書感想文ですね!!」
 彼女はそう言うと、優しく少年の頭を撫でて続ける。
「これに自身の感激を加えればFLになるので、大きくなってPBWを遊ぶ時の為に覚えておいて下さいね!!」
 ぷれーばいうぇぶ?
 ーーそんな表情を浮かべつつも、すべての宿題を終わらせた達成感から思わず笑みが零れるのだった。

●夏の終わりに
 すべてを終え、一気にイレギュラーズたちの肩の力が抜ける。
 宿題は終わったのだ。ショウタに労いの言葉をかける。
「改めて、よく頑張ったな。ちゃんと終わらせて、偉かったな。」
「次からは、宿題を熟すことも、念頭に入れねばならぬぞ。とはいえ、よくやった。」
「しっかり頑張りましたね。休み明けもこれを忘れずに。」
「これにはもう懲りたじゃろうが、それでもよく逃げださなかったな。疲れとるじゃろう。サンドイッチでも食べるのじゃ。」
 潮が作ってきたサンドイッチを頬張りながら、次からは真面目に宿題をすると語ったショウタ。

 さて、ここで触れられていない宿題がある。
 そう、ーー絵日記だ。
 夏の最後に、ショウタは決意を新たにする日記を書いて、宿題の締めとしている。

『今日は宿題が終わらなくてお化けに囲まれて怖かったけど、カッコいい人たちがたすけてくれました。自分もカッコいい大人になるために、やらなきゃいけないことはちゃんとこれからやります!!』

 終わる夏に、新たな決意を。
 絵の欄には戦うカッコいいイレギュラーズたちが、いきいきと描かれていた。

成否

成功

状態異常

なし

PAGETOPPAGEBOTTOM