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シナリオ詳細

再現性東京2010:喉元過ぎた、夏

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●再現性東京2010:喉元過ぎた、夏
 練達の一区画『再現性東京』。
 極々普通に食べて、飲んで……遊んで、な生活が楽しめる『希望ヶ浜』地域では、サラリーマンやら学生やら、様々な立場と様々な生活が根付いている。
 そんな生活の一つ……学生生活。
『あーぁ……夏休みも終わっちゃって、だっるいなー……』
『そうねぇ……なーんだかつまらなく始まって、つまらないまま終わっちゃったなぁ……』
『……そうだねぇ……』
 晩夏の蝉の鳴き声を聞きながら、窓の縁から空を見上げているのは……四人の女子高生達。
 何か事件が起きるなんて事も無く……何の変哲も無い夏休みを過ごした彼女達。
 刺激の無い日々を過ごし、授業中も先生の言葉は録に耳へと入らない。
 ……まぁ、夏休み後の鬱的な状況と言えばそれまでだけれど。
 そんな所に、最近別の学校から転校してきて、彼女達とも打ち解けた少女『ひかり』が。
『ねーねー、みんなってさー、怪談話って興味あるー?』
 満面の笑みで声を掛ける。
 ……ただ、怪談話と聞いた、周りの女子高生達は。
『っ……怪談話……!?』
 心底から怯えるような、そんな表情を唐突に浮かべる。
 それを、怖い話が嫌いなのかな、と思ったようで。
『え、どーしたのー。みんな、怖い話が苦手とかー? あはは、おっもしろーい!』
 大きく笑うひかりに対し、周りの女子高生達は。
『な、そ、そんな事無いわよっ! 何、怖い話なんてへ、へっちゃらだってー!!』
『そ、そうそう!! ねえねえ、どんな話なのよー?』
 とひかりに問いかける。
『あのさー、この街の外れに草と蔦が生えまくった病院があるんだけどさー……そこに、お化けが出るらしいんだよねー。でもさー、こんな時代にそんなお化けなんて出る訳なくなーい?』
『そ、そんな訳無い……わよね……』
 声を荒げようとするが、直ぐにトーンダウンする彼女達。
 それもその筈、彼女達は……去年、実際に事件に遭ったから。
 とは言え一年も前の事……その恐怖心も段々と朧気になってきていたのだろう。
『うんうん。それじゃーさ、みんなで行ってみようよ! ほら、夏と言えば肝試しっしょー!』
 とひかりが言葉巧みに誘うと……周りの子達も、そうよね、大丈夫よね……とか言いながら、彼女の誘いに乗ってしまう。

 ……そして……深夜の刻。
 病院の前に集まった彼女達は、当然許可をも取らず、その病院の中に忍び込む。
『わー、こわいねー』
『これ、あれかなー? 人体標本、とか言う奴じゃなーい? わー、こわーい!』
 等と、恐れる事無く、病院の中にある者を触ったり、ふざけたり。
 ……そんな彼女達に、静かに近づくのは……。
『……う、ウゥゥ……』
 何かに苦しむ様な仕草を見せる、亡者……いや、夜妖。
 そして……彼女達がふざけ、気付いていない背後から。
『……ウグゥゥウウ……!!』
 と、不意に襲い掛かるのであった。


「みんなー、ねえねえ、ちょっとこっちにきてくれないかなー?」
 そして希望ヶ浜にある、カフェ・ローレット。
 綾敷・なじみは、カフェでくつろぐ君達を見つけると、次々と声を掛けてくる。
 そんな快活な彼女の言葉にやれやれ、と思いながらも頷いた君達が集まると共に。
「あのね、どうもまた妖怪事件が起きそうなんだよねー」
 と肩を竦める彼女。
 『また』という部分に眉を顰める君達へ、なじみは。
「去年くらいかなー? 学校の裏手にある廃校舎に幽霊が出るって、肝試しに行った女子高生がいるんだけど。どうやらその子たちが、また怪談話を聞いて、そこに行こう、ってなっちゃったみたいなんだよね」
「彼女達だけでなく、この夏休みに新しく転校してきた子も一緒みたいなんだ。彼女にそそのかされて、という感じだから、彼女達からすれば被害者なのかもしれないんだけどね、でも放っておく訳にもいかないから、みんなの力を貸して欲しい、って訳!」
 そしてなじみは、その場に居た白夜・希をちらっ、と見て、ウィンクしつつ。
「喉元過ぎれば……って誰かが言ってたけど、まぁそれが本当になっちゃったのかもねー? ま、彼女達に恐怖を刻みつけて、もう後は無い、って言うのも優しさだと思うし、みんな、宜しく頼むね!」
 と、皆の肩をぽん、と叩くのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 希望ヶ浜の怪談事件は、まだまだ収まる所をしらず……事件に巻き込まれるのも「おかわり」が出てしまいました。

●再現性東京2010街『希望ヶ浜』
 練達には、再現性東京(アデプト・トーキョー)と呼ばれる地区がある。
 主に地球、日本地域出身の旅人や、彼らに興味を抱く者たちが作り上げた、練達内に存在する、日本の都市、『東京』を模した特殊地区。
 ここは『希望ヶ浜』。東京西部の小さな都市を模した地域だ。
 希望ヶ浜の人々は世界の在り方を受け入れていない。目を瞑り耳を塞ぎ、かつての世界を再現したつもりで生きている。
 練達はここに国内を脅かすモンスター(悪性怪異と呼ばれています)を討伐するための人材を育成する機関『希望ヶ浜学園』を設立した。
 そこでローレットのイレギュラーズが、モンスター退治の専門家として招かれたのである。
 それも『学園の生徒や職員』という形で……。

●成功条件
 希望ヶ浜の女子高生達(『ひかり』他、合計5人)を救出した上で、
 彼女達に襲い掛かる『悪性怪異:夜妖<ヨル>』を退治する事になります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●周りの状況
 今回の舞台は、町外れの病院です。
 草もボーボーに生えており、人手を離れてかなりの時間が経過し、朽ちて居る状況です。
 そんな病院なので、足元には崩れたアスファルトなどが転がっていたりして、足場は悪いです。
 そして、そんな病院の中には、ヒトガタの夜妖が24人程巣くっています。
 
 彼らは人の気配を感知し、特に心が弱い者を襲います。
 悲鳴等を上げれば、そっちの方に誘導されるように動きます。
 勿論女子高生達は、「ひかり」を除いては過去の経験もあり恐怖心が最初からかなりのものになっています。
 なので女子高生達の元に誘導されるように動きますので、彼女達を一刻も早く探し出して、護る様に戦う必要があります。

●討伐目標
・死の苦しみを訴えるヒトガタの夜妖 x 24人
  死の苦しみに苛まれた夜妖達です。
  彼らは人語を介する事はしませんので、説得等は一切出来ません。
  ただ人の弱い心を感じ取る性質を持っている様で、不安・恐怖……等の気持ちを感じ取ると、それを優先的に狙います。
  
  彼らは医療道具や、大きく無い武器を得物とします。
  メス、ナイフ、包丁など、基本的には近接の斬撃攻撃となります。
  攻撃力は並程度ではありますが、その一撃にHP吸収と、猛毒の効果が付与されますので、ご注意下さい。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 再現性東京2010:喉元過ぎた、夏完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年09月11日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

伏見 行人(p3p000858)
北辰の道標
メイ=ルゥ(p3p007582)
シティガール
海紅玉 彼方(p3p008804)
扇動者たらん
白夜 希(p3p009099)
死生の魔女
コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)
慈悪の天秤
フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)
挫けぬ笑顔
山本 雄斗(p3p009723)
優しき笑顔
囲 飛呂(p3p010030)
点睛穿貫

リプレイ

●今日も、夏
 夏休みも終わり、学校も平常運転が始まる9月のとある日。
 ……学生生活を過ごすは希望ヶ浜の学生達ではあるが……その中に置いては今迄に怪談事件へと遭遇し、イレギュラーズ達に救われた経歴を持つ様な、そんな学生達も居る。
 だが……そんな痛い経験をも、時が経てば風化してしまうもの。
「……えっと、なになに……去年のあの子達が、新入生に煽られて、こうなった、と……」
 静かな雰囲気でぽつり、と呟くのは『スズランの誓い』白夜 希(p3p009099)。
 それに『特異運命座標』囲 飛呂(p3p010030)が。
「……今回のって、前科ありなのか……コレ、後ですげぇ怒られるヤツじゃん……でも、自業自得だし、庇えないよな……」
 と、希の言葉に、肩を竦める。
 前にも同じ経験がある子達が、同じような事件へと巻き込まれてしまう。
 そんな状況に、『慈悪の天秤』コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)が。
「ふぅん……前にも似たようなごたつきに巻き込まれたんだってぇ?」
 と言うと、こくりと頷く希。
「本当、なにも知らねえガキは、これだから怖いわねぇ……」
 希の気持ちを代弁するかの様に肩を竦めるコルネリア。
 そしてしゅたっ、と仮面を付けてきた『シティーガール仮面』メイ=ルゥ(p3p007582)ことシティガール仮面と、『ヒーロー志望』山本 雄斗(p3p009723)も。
「まったく、こりないお姉さん達なのですよ!」
「そうだね。でも一度怖い目に遭って、時間がたつと恐怖が薄らいだり、友達に見栄を張ったりとかはあるかなー。ボクもダメだと分かってても、お母さんが取っておいたおやつを勝手に食べて、しょっちゅう怒られるもん!」
「それはそれは、いけない雄斗さんなのです! お母さんを怒らせてはダメなのですよ!」
 びしっ、と決めるメイに、雄斗は。
「大丈夫だってー。でもさ、このお姉さん達のしている事も、分からなくも無いかなー? 希望ヶ浜だと、あくまでも自分達がいるのは平穏な日常で、前にあった非日常は早々に起きないから大丈夫ってなっちゃうの、僕もイレギュラーズになる前は、希望ヶ浜の一般人だから、なんとなく分かる気がするんだよね」
 と言うと、『希望ヶ浜学園高等部理科教師』伏見 行人(p3p000858)が。
「そうだな。日常ってのを送ってると、自分がやけにつまらない奴だって思う時がある。だから『これだけの事が出来たんだから、自分はそうじゃない』って言う証明をしたがるのかもしれないな?」
 と小首を傾げる行人。
 そして……『空に願う』フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)が。
「まぁ自業自得感は強いけれど、それでも人の命が奪われようとしているのは見過ごせない。一刻も早く助けてあげたいね。まぁ……今回お一人がお亡くなりになれば、他の四人は絶対こんなことしないと思うし、もしかしたらその方が幸せなのかもしれないけれど……それをする訳にも行かないからね」
 少しだけ辛辣なフォルトゥナリアの提案。
 まぁ、それぞれが色々と思う所はあるかもしれない……でも、今回の依頼は彼女達の救出である。
「これはまた、厄介なことをしてくれましたね……とりあえず、彼女たちの安全を最優先にした上で、ほどほどに怖がって貰いましょうかね?」
 と『レディ・ガーネット』海紅玉 彼方(p3p008804)の言葉に、コルネリア、メイが。
「そうねぇ……依頼だから助けるけれど、ちょっくら説教をかまして、しっかりと分からせてやる必要がありそーね。ま、アタシ達にとってはこれは仕事。金は払われてるんだからこなしてみせるわ」
「そうなのです。ピンチの人を助けるのはヒーローのつとめ、まずは無事に助けるのですよ!」
 と、そんな二人の言葉にこくり、と頷くのは希。
「……二度あることは三度あるとは言わせない。お仕置きだね……うん」
 もうこれ以上、彼女達を同じ目に遭わさないために……今回は少しばかり、厳しく行こうと決意。
 ……そしてイレギュラーズ達は、彼女達が肝試しへと立ち入った、夜妖の出る廃病院へと急ぐのであった。

●命のひかり
「……ここ、でしょうか?」
 と彼方がそっと見上げる先には、漆黒の闇、立ち入り禁止のロープが張り巡らされており、陰鬱たる雰囲気が漂う廃病院。
 既に人の手を離れてかなりの時が経っている様で……コンクリートの壁は所々が剥がれ落ちており、ロープも軽く乗り越えられるくらいの高さしかない。
「……取りあえず、周りの状況、調べる……」
 そう希は言うと共に、取りあえず周りに人気が無い事を確認した上で、廃病院の周囲を飛び回り、状況を確認。
 ……とは言え外から見える光景にはさほど変わりは無いが……建物の構造を把握するには充分な所。
 その情報を元に、どういうルートで女子高生達を追いかけるかを早々に導き出しつつ、行人は入口の近くに漂う精霊達へ。
「今日、自分達以外で、ここに来た人はどこに行ったか、知って居るか?」
 と、その手にお礼の角砂糖をチラリと見せながら言う……と。
『……キャァアアアア-!!!』
 突如、静けさに包まれていた廃病院を劈く悲鳴。
 それも一つだけでなく、幾つもの悲鳴が折り重なり、廃病院の中から聞こえてくる。
「早速現れたようですね……急ぎましょう!」
「ああ。今悲鳴を上げた人のところまで案内してくれ!」
 彼方が皆を促し、行人は精霊に尋ねつつ、そしてメイと雄斗が救いを求める声を鋭く察知し、その方角へと急ぐ。
 すると、逆の方向から走る女子高生達の姿と……その背後から迫り来る、人の姿をした影の夜妖達の集団。
『……う、ウゥゥゥ……』
 上げる呻き声は、まさしく命を求める亡者のもの。
 ……そして、そんな呻き声を聞き慣れていない彼女達は発狂の一歩手前で夜妖から逃げようと、仲間が転んだりしても、それを乗越で自分だけでも、と言った具合に逃げてくる。
 そんな彼女達の姿を発見すると、すぐさま雄斗は。
「ロール、チェンジ!!」
 と、変身バンクからヒーロースーツを装着し、女子高生達の前に立ち塞がる。
 更にメイも。
「そこまでなのですよ! メイ達が、これ以上は夜妖の好きにはさせないのですよ!」
 とaPhoneの音楽アプリから、某ヒーローもののBGMを掛けて、二人のヒーローが夜妖の前に立ち塞がる……というシーンを作り出す。
 ……とは言え女子高生達は、そんなのを見ている暇も無いし……心の余裕も全くと言って良い程に無い。
 そんな女子高生達の前で、フォルトゥナリアは煌々を発光する事で彼女達に安心感を与えつつ……自分達の背中へと誘導。
 そして、フォルトゥナリアが。
「大丈夫! 私たちが来たからにはもう安心だよ!だから……ちょっと離れててね!」
 と、彼女達の心に響くよう訴えかける。
 そして、彼女達を壁の方まで寄せると共に、コルネリアは彼女達に段ボールをばさっ、と掛けながら。
「ほら、段ボール、被っときな。後は片付けておくから、中で震えて待ってる事だ!」
 と宣言。
 ……そして彼女達が段ボールを必死に被って気配を遮断しようと頑張っているのを見つつ、女子高生達の人数を取りあえず確認。
「3、4……5人、と。はぐれた子とかもいなさそうだから、後は夜妖達を倒すのみですね」
「了解……んじゃーアンタ達。その目に焼け付けときな。アンタらがどんだけ危険な奴らと対峙しそうになっていたかをね!」
 彼方に頷きながらコルネリアは早速、前方から近づいてくる夜妖達に向けて鋼の驟雨を撒き散らす。
 その銃撃は仲間達を躱しつつ、的確に夜妖達を蜂の巣にして先端を切る。
 そんなイレギュラーズ達の攻撃を受けた夜妖達は。
『……コロス……殺すぅ……』
 まるで地の底から響きわたるかのような恨み声を上げ、イレギュラーズ達を威嚇。
 勿論その声に惑わされる事も無く。
「怖がる女子高生さん達を驚かして楽しいのですか! そんな悪い事をする夜妖さん達は、シティーガール仮面が成敗するのです! あちょー!!」
 とメイは口上を述べて夜妖達の注意を惹きつけつつ、敵に向けてスラスターを解放し、突撃為ながらの音速の刃で斬り込んでいく。
 そんなメイの攻撃に続き、再びコルネリアが銃弾の雨で夜妖達を蜂の巣にし、希は神の光でもって夜妖を浄化。
 更に雄斗も、仲間達から一歩下がった所より気を込めた球を放ち、更に飛呂も味方を巻き込まない様に魔弾を発射。
 そして中・後衛達が一通り攻撃為た後で、夜妖達の反撃が次々と繰り出される。
 その切先は勿論……不安で不安でしょうがない少女達だが……彼女達との間に立ち塞がるイレギュラーズ達が邪魔であり、どうにかイレギュラーズを倒して先へ進もうと、ナイフや包丁、メスなどの切先鋭い武器で攻撃してくる。
 ……そんな攻撃をも、彼方と行人、そしてメイの三人がしっかりとケアしてディフェンス。
 そして一通り敵の攻撃を掻い潜ったところで、彼方と行人が。
「教師の前で学生に手ぇ出すとは良い趣味してんじゃねえか」
「そうだね……くらえ、神気閃光!」
 と、行人が敵の怒りを買いつつ、彼方が神の光で纏めて灼き尽くしていく。
 共に行動が一巡し、次の刻。
 とは言え敵の動きがすぐに変わるなんて事は無い。
 イレギュラーズ達を倒し、何も知らない少女達を惨殺しようと言う意識を露わにしながら、前へ前へと進軍し続けてくる。
 その動きを抑えつつ……後ろから感じる視線に、彼方は。
「もう、こうやって私たちを困らせないでね! じゃないと……ああやって苦しめるんだからね!」
 と声を上げて彼女達の琴線へと訴えかける。
 そんな彼女の言葉に、女子高生達は。
『うう……わ、わからないよぉ……何よぉ、またこんな羽目に遭うなんてぇ……』
『な、何よぉ! 私が悪いんだってのぉ!? 貴方達だって、付いてきたいって行ってくれたんじゃないのよぉ!!』
 段ボールに覆われたまま、やんややんや恨み辛みを叫び合っている。
 ……どうやら、自分達が救出されているというのよりは、誰が悪いなんて言う事を押しつけ合っている様な感じにも聞こえる。
「本当、しょうがないお姉さん達なのです。でも、怒るのは後回しなのです!」
 とメイは息巻きつつ、再度ジェットパックに火を付けて一閃。
 素早いメイが戦場を動き回って、夜妖を攪乱していった所に、他のイレギュラーズ達が個々に撃破していくことで、夜妖の数を確実に減らして行く作戦。
 元々24匹と、かなり多く居た夜妖達ではあるが、イレギュラーズ達は傷つきつつも倒して行く。
 ……そして、女子高生達を匿ってから、数十分が経過した頃には、残る夜妖は後2匹までに減少。
『……グゥゥ……』
 小さく呻く夜妖の声色は、どこか救いを求めるかの如く。
 ……でも、もう時既に遅し。
「みなさん、後もう一息です! 一気に嗾けますよ!」
 とフォルトゥナリアが先導し、彼女の神の光を射抜くと共に、一匹を仕留める。
 そして、最後に残った医者風の夜妖の退路を完全に封鎖し、包囲するイレギュラーズ。
「んじゃぁ、これで最後だな……ま、逝きな」
 とコルネリアの宣告と共に放たれた鉛の弾丸に、最後の夜妖もまた、崩れ墜ちるのであった。

●涙零して
 そして……。
『う、うう……な、何なのよぉ……あれはぁ……』
 ぽろぽろと涙を零し、その場に座り込んでしまっている少女達……。
 だが一度ならず、今回は二度目故に、イレギュラーズ達から投げかけられるは、厳しい言葉。
「全く……お姉さん達、ここ再現性東京には、今も助けを求める人がいっぱいいるのですよ? なので、助けに行けない人もいるかもしれないのです」
 明かに、自分達よりも年下な少女に怒られているという状況。
 プライドがあれば、逆ギレしかねない状態な気もする。
 でも、すっかり怯えきってしまった彼女達はメイの言葉に。
『だって、私も嫌だったのよぉ……でも、『ひかり』が行こうって聞かないからぁ……!」
『なによぉ! アナタ達だって、それじゃいきたくないって言えばいいじゃないのよぉ……!!』
『行きたくなかったわよぉ!! でも、あんたが行こう行こうって聞かなかったんじゃないのよぉ!!』
 そんな、女同士の言い争いは暫くの間続く。
 ……そんな彼女達を遠目に見ながら、飛呂は。
(「……こういう「普通じゃない」のから目をそらすのは、ここに住んでいる以上はやめらんねーんだろうな……」)
 と思いつつ、深く溜息。
 とは言えそんな言い争いは、何やかんやで延々と続きそうな様相を呈してくる。
 そんな彼女達に、やれやれ、と息を吐きながら飛呂が。
「まぁ……何にせよだ、そもそも化け物がいなくても、夜は普通に危ねーぞ? 特に女学生とか、変質者に狙われやすいだろ。それに危ないものがいない保証も、助けが来る保証もないんだ。こういうのはもう止めてくれよ。助けられなかったらこっちだって嫌だし、依頼持ってきた人だってツライだろ?」
 肩を叩きつつも、少し優しい言葉を掛ける飛呂。
 更に雄斗が。
「そうですね。ボク達は希望ヶ浜から御願いされて貴方達の救助に来たのですが……二度目までは役所の方が持ち出してくれますが、三度目からの救助費用は自分達に負担して貰う形になるんです。大体金額は……この位かな?」
 手持ちのaPhoneに表示した請求書には、大体五十万くらいの表示がされている。
 そこに、更に希も。
「そう……私が知る限り、新入生が校舎裏に肝試しに入った所、お化けに髪をざっくりやられてしまった事があったわ……その犠牲は、決して表には出ず、秘密裏に処理される……貴方達達も、そうなりたいの?」
 その言葉に、ふるふると首を横に振る女子高生……だが、更にフォルトゥナリアが追い打ちを掛ける。
「次は本当に、救出されたらこの金額になるわよ? ま、もしそれではらえないとかなら……さっきの夜妖に食べられて貰う事になるけど、仕方ないわよね」
 フォルトゥナリアはそう言いつつ、彼女達の心をそっと読むと……流石に、かなり怯えている様な感触に気付く。
「……頭では正しいと思っても、説教なんてつい無視しちまうもんだ。けど、あんたらの事を心配してくれる人の言葉、ちゃんと聞いてやってくれ」
 と飛呂は先ほど迄の厳しい言葉から一転優しい言葉を掛けると、コルネリアとメイが。
「……一度目、今回の二度目は助けが来た。だが三度目……次があるかわからないわよ? 死にたいのなら止めやしないけれど……もし来なかった時の事、考えておく事ね」
「そうなのです。多くの人を助けるためにも、自分から危ない場所には行ってほしくないのですよ。シティガール仮面との約束なのですよ!1」
 びしっ、とポーズを決めつつメイが手を彼女達に差し出すと……藁をも縋るかの様に、その手を握る女子高生達。
 そして。
「……ま、何だ。悩みがあんなら、それくれえは聞いてやんよ。俺は此処に居るから、何かあったら気軽に来てくれ」
 と名刺を女子高生達に渡し……そして彼女達と共に、陰鬱たる雰囲気の廃病院を後にするのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

2回目の夜妖に襲われる女子高生以来、参加頂きありがとうございました。
彼女達の様に若気の至りを繰り返してしまうのは癖みたいなもので、中々治らないのかもしれませんね……。

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