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シナリオ詳細

悪徳娼館。しかしてその実態は

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●悪徳娼館ですがなにか
 ラサの夢の都ネフェルストには悪人には少しばかり有名な悪徳娼館がある。
 女神の前足。そう名付けられた娼館であり、少しばかり奥まった場所にある娼館でもある。
 今日も、そんな店から2人組の悪人が出てくる。
「じゃあ、確かにそいつは売ったぜ」
「はい、確かに。また入荷するようなら持ち込んでくれよ」
「ははっ、もう次の催促か!? ったくよう!」
 カラカラと笑いながら金袋を持って悪人2人は去っていくが……どうせ酒代に消えるのだろう。
 そんな事を考え、娼館主である男は煙管の煙を吐く。
 ちなみにこの煙管の中身は煙草ではない。似たような挙動を見せるハッカの一種だ。
 娼館主は煙草があまり好きではないのだ。
「おい、イーモン! さっき売られてきた女だが!」
「……うす」
 娼館主の声に応え出てくるのは、顔面に幾つもの切り傷を残すイカつい男だ。
 体格もかなり大きく、その場にいるだけでかなり威圧感があるだろう。
「まずは風呂に入れて、しっかり飯を食わせとけ! あとは……そうだな。確かリインが暇してるはずだな? 面倒みさせとけ!」
「うす」
「布団はきちんと綺麗なの出しとけよ! 手ェ抜いたの分かったら明日のデザートはねえと思え!」
「う、うす!」
「ちゃんと好物と食えないものも聞いとけ! そういう細かいとこから始まるんだ!」
 ここで、気付く者は何か変だと気付くだろう。
 悪人から女を仕入れている悪徳娼館にしては、何かが変だと。
「ぐああああああ!」
 ドガン、と。2階の扉を壊しかけない勢いで半裸の男が部屋から転がり出てくる。
 その男は部屋の中の女にさらに蹴られ、そのまま這う這うの体で1階の娼館主とイーモンのところまでやってくる。
「お、おい!」
「お客さん、いかがなされたんで?」
「いかがなされた、じゃあない! あの女、私の顔に蹴りを! 見ろ、鼻血が出ている!」
「おお、こいつは大変だ。おいミリア! ミーリーアー!」
 娼館主に言われ、2階から……やはり半裸の女が降りてくる。
 気の強そうな、スレきったような風にも見える女だ。
「何よ。そいつ、鞭が好きなんだとかいって棘鞭出してきたのよ? 死ぬってえの」
「な、なんだそのくらい! 充分な金は払っているだろう! おい娼館主! この女を」
「イーモン」
「うす」
 娼館主に言われたイーモンは、迷わずに男の顔面を掴む。
「もが!? もひ! まはひにゃ!」
「お客さん、うちは持ち込み禁止って言ったでしょう。ルールを破ってもらっちゃ困りますなあ」
「はひほ! まはひほふぁへふぁほ、ふぉもって!」
「イーモン、不届き者がお帰りだ。身ぐるみ剥いでどっかに放り出しとけ」
「うす」
 元お客の男を放り出すと、娼館主は「はあー……」とため息をつく。
「やれやれ、困るなあ。ただでさえロクデナシどもに目をつけられてるっていうのに……あっ」
 物凄く悪い事を思いついた。そんな感じの顔だと言われそうな表情で、娼館主は手を叩いた。

●悪徳娼館(偽)からの依頼
「依頼です」
『旅するグルメ辞典』チーサ・ナコック(p3n000201)はそう言うと、説明を始める。
 今回の依頼主は夢の都ネフェルストにある娼館、女神の前足。
 悪徳娼館と名高いその娼館だが、実は悪徳でも何でもないのだという。
「むしろ悪徳娼館というていで売られてくる子を買い取って助けたり、犯罪者一歩手前の連中を上手くコントロールしたりしてるです」
 ラサは……特に夢の都ネフェルストはその性質上、悪徳商人がキノコより良く生える。
 そういった連中が生えてくる土壌を作らない為に用意された「悪徳娼館風の娼館」が女神の前足なのだ。
 しかし本物連中からしてみれば景気の良い商売敵であり、隙があれば潰したい、あるいは取り込みたい場所でもある。
「今回、女神の前足に買収を持ちかけてる悪徳商人がいるですが……」
 宝石商人ウリガル。出所の怪しい宝石でも構わず扱う商人だが、奴隷商人としての顔も持っている。
 かなり強引な手法を使う事でも知られており、今回は商売拡大の一環として女神の前足に目をつけたのだという。
 しかし、女神の前足が頷くはずもない。
 ならば娼館主を誘拐なり殺すなりして有耶無耶のうちに権利を奪ってしまえ……と。こうなったわけである。
「どうにもかなり計画が練られているらしく、実行も間近なのです」
 なんとか防いでほしい。
 チーサはそう言うと、一礼するのだった。

GMコメント

「女神の前足」の娼館主ギルギットを守ってください。
ギルギットの誘拐、あるいは殺害計画は現場到着から3日以内に実行される事が分かっています。
この間ギルギットを守り切れば依頼は完遂です。
宝石商人ウリガルについては、今回の依頼の成否には関係しません。

・「女神の前足」娼館主ギルギット
立てば悪人面座れば悪人面、歩く姿は悪人大行進。
実際にはかなり優しい人。悪人面を活かして「悪徳娼館風の優良娼館」を経営しています。
かなり大きな穀物商もやっていて、買い取った子をそっちにも回しています。
・「女神の前足」用心棒イーモン
デカくて怖い用心棒。実際パワーとタフネスは凄いけど心優しいでくの坊。
顔の傷は猫に引っかかれた跡。
・「女神の前足」娼婦たち
悪徳商人に騙される一歩手前となった所を拾われています。
元から娼婦をやっていた者も多く、待遇は3倍以上によくなっているとか。
・女神(猫)
女神の前足で飼われている黒猫。名前はメガミ。
皆のアイドルですが、何故かイーモンにだけは辛辣です。

□今回の悪人
・宝石商人ウリガル
ごっつい悪徳商人。金が全てな生き様をしています。
・盗賊×30
ウリガルが裏からこっそり手配した悪人。
ギルギットを誘拐、あるいは殺害しようとしています。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

  • 悪徳娼館。しかしてその実態は完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年08月31日 21時50分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ワルツ・アストリア(p3p000042)
†死を穿つ†
ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽
マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)
記憶に刻め
エルス・ティーネ(p3p007325)
祝福(グリュック)
アルトゥライネル(p3p008166)
バロメット・砂漠の妖精
チェレンチィ(p3p008318)
暗殺流儀
チヨ・ケンコーランド(p3p009158)
元気なBBA
サルヴェナーズ・ザラスシュティ(p3p009720)
砂漠の蛇

リプレイ

●護衛開始
 女神の前足の娼館主の部屋で、『紅き弾道は真実に導く』ワルツ・アストリア(p3p000042)達は歓待を受けていた。
 護衛で来たという話はアッサリ受け入れられ、『無限陣』マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)が提出した警備計画も少し目を通しただけで「ではお願いします」との即承認だった。
 具体的には2人組×4班の24時間交代制でありA班をワルツと『砂漠の蛇』サルヴェナーズ・ザラスシュティ(p3p009720)、B班を『剣砕きの』ラダ・ジグリ(p3p000271)と『可能性の壁』アルトゥライネル(p3p008166)、C班をマニエラと『青き砂彩』チェレンチィ(p3p008318)、D班を『竜首狩り』エルス・ティーネ(p3p007325)と『元気なBBA』チヨ・ケンコーランド(p3p009158)と分けるもので、それぞれ直接護衛→見張り→休息→情報収集のサイクルで実施するというものなのだが、ならばと娼館主ギルギットは空き部屋を休息用に貸してくれてもいる。
「煙たく思う気持ちは理解します。ですが、必要なことですので」
「ははは、煙たいなどと! 美しいお嬢さん方に囲まれて役得なくらいですな!」
 悪人面で笑うギルギットにサルヴェナーズは微笑み返す。
「娼館で働く方のためにも、失敗するわけにはいきませんね。ご安心下さい。必ず、守ってみせますから」
「ええ、お願いします。まだまだ倒れるわけにはいきませんからな」
 サラサラと書類を処理していく姿は何かの悪事を企んでいる姿にしか見えないが、よく見れば福利厚生の改善計画に関する試算のようで、しかもパッと見ただけでも内容はかなり良い。
「何だか、悪徳どころかむしろホワイトな現場よね。こういう場所は、ずっと残しておかないといけない気がするわ……。この都の未来の為にも、ね。自分の利益しか頭にないアホ商人やチンピラ盗賊共に、ここのみんなの居場所を奪わせてなるもんですか!」
「ハハハ、そう言っていただけると有難い。いや、お恥ずかしい話ですがチンピラ悪人の類がよく出ますからなあ。今までも色々ありましたが今回は……おっと」
 部屋の隅にいた黒猫メガミが机に乗って、書類の上で転がってしまう。
 絶対にどかないぞ、という強い意思を見せるメガミだったが、事前に猫じゃらしを渡されていたワルツの元へと、書類を蹴りながら跳んでいく。
「今回襲撃してくる連中……全員丸太でも抱えて娼館に突っ込んで来るのかしら! ないか。視界の悪い夜間襲撃って線もあるかも。何かしら事前に予兆は掴みたい所ね」
 あるいはこの子が先に襲撃や異変に気付くかもしれないわ、などと言うワルツにサルヴェナーズもギルギットも笑う。
「もしフリーになったら、私にも仕事くれる? 娼婦以外で」
「そうですなあ。今後手を広げていく予定もございますし、その時は是非」
 そんな会話が交わされていた頃、B班であり今は見張りのラダとアルトゥライネルは見張りを実施していた。
 ギフト「mimesis」で茶色い夏毛仕様のオコジョになっていたアルトゥライネルであったが、娼館の中に敵……具体的にはスパイの類がすでに潜入しているのではないかとも考えていた。
「こういう商売の所には知らない所で世話になってたりするもんだ。ちょっとした恩返しだな」
 そんな事を呟きながら、ラダは周囲に異常がないか慎重に確認していく。
 こういう所では場所柄色々聞こえてしまうものだが、今の時間は娼館はむしろ準備時間として「色々」なかったりするのでラダは少しホッとしていたりもした。
 見張りも兼ねているので娼館の中も歩き回っている2人ではあるが、何処を見ても平和な光景しかなかった。
 あちこち掃除も行き届いており、たまに抜けた猫のヒゲが落ちているのはご愛敬だろうか。
 新しいペットとして伝えられているせいか、たまにアルトゥライネルが「かわいい」と撫でられたりしているが……そうしていると、この娼館の名前の由来でもあるという黒猫メガミが通りがかる。
 あらかじめアルトゥライネルはメガミに賄賂を渡している。
「獲物と認定されても困るからな。不審な人物がいれば知らせてくれ、というのは難しいか?」と、そんな事を……伝わっているか分からないが伝えてもある。
 その結果、通りすがったメガミはオコジョなアルトゥライネルをじっと見ると鼻先を嗅ぎ、ひと嘗めして歩いていく。
 それがどういう意味であるかは分からないが、とりあえず良い関係を構築できているようではあった。
 さて、そんな感じでB班の面々が見張りを遂行している中、C班のマニエラとチェレンチィは休息中、そしてD班のエルスとチヨは情報収集に動いていた。
 ちなみにマニエラはどうにも若い娼婦と報酬天引きで一緒に寝ているようだが……まあ、それはさておこう。
 話を持ち掛けられたギルギットは一瞬も迷わずお勧めの子を紹介していたから何も問題はない。
「へぇ……ラサにもあんな方がいるのね……やっぱりこの国の方々は悪い方ばかりではない……人情に溢れた方々は居るんだわ!」
 エルスはそう言って、ふとチヨへと振り向く。
「……ところで、娼館ってどんなところなの?」
「ほほ、つまりのう……」
「え……か、身体を売る? 意味がよくわからないけれど……え、なになに、私また変な事を言ってるのかしら……!? そ、そんな微笑まれても?!」
 チヨはニコニコと微笑みながら、ウリガル周辺の情報について聞き込みを進めていく。
 今回の黒幕、宝石商人ウリガル。彼が最近よく顔を見せる場所、よく一緒にいる人間……勿論手下を使っている可能性も念頭に入れながら調査を進めていくと、おぼろげではあるが事件の輪郭らしきものも少しずつ見えてくる。
 どうやらギルギットの悪徳商人「風」はあくまで「風」であると見破られていないらしく、恨みを持った者による犯行……と、そんな方向でいくつもりのようであった。
 また、どうやらギルギットによって奴隷商のほうが上手くいっていない恨みもどうやらあるように思えた。
 ギルギットさえいなくなれば、と。そう考えているのは明らかであった。
 しかし、それはチヨにとってもエルスにとっても看過し難いものである。
「なんじゃ、まーた奴隷商売か!! この間痛い目見とったのに悪ガキ共は懲りんのう!!! ほほ、チヨ婆におまかせじゃ!! ギルギット坊を守るんじゃよ!!!!」
「ええ、とにかくギルギットさんを守りましょう。あの方の信念に私は心打たれた……あのような方を失う訳にはいかないもの!」
 そして時間は過ぎ24時、夜の商売もピークタイムを過ぎ、酔っ払いと「より怪しい連中」が動き始める頃合いにC班のマニエラとチェレンチィはギルギットの護衛をしていた。
「うん、砂蠍もかくやといった顔。むしろ凄いな」
「ハハハ、それは重畳。この顔も商売道具ですからな」
 マニエラに言われ、ギルギットは誰かの殺害を考えていそうな顔で笑う。
 こんな夜中まで仕事をしているのか……ともチェレンチィは思うのだが、忙しくない昼に椅子で寝ているらしい。
 その時頭の上にメガミが乗っていたせいか、どうも首に違和感があるらしくコキコキとやっている。
 そのメガミは今何処にいるかというと、休息をとっているワルツの顔の上に陣取っているようだ。
 ちなみに……ギルギットが今やっているのは今日の売り上げに関する書類だ。やっている事は「出来る男」そのものなのだが、脱税の企みでもしているように見えるのは、本当に不思議ではある。
「ラサにも色々な方がいますが、こんなに優しい大物もいるものですねぇ。そして当然のようにそれをよく思わない輩がいると。まあ、仕方の無いことなのかもしれませんが」
「ふふふ、大物とはまた買いかぶりですが。敵は大勢いますな。自力で対処できる範囲であれば問題ありませんがなあ」
「護衛は経験がありませんが、持っている技能は割と護衛向きですし、割り振られた仕事はこなしてみせますよ」
「期待しております」
 まるで暗殺の仕事を頼んでいるかのような悪人顔に、チェレンチィもマニエラも慣れてきた。
 それは恐らく、娼婦達もそうなのだろう。仕事しなくても食べていけるだけのお金を稼いだ者もいるが、そうした者も此処を離れずにいるらしく……それは、ギルギットの善人性によるものなのだろうということは想像できた。
 そして……チヨの報告により、女神の前足を見張るように見ていた怪しい男の存在が明らかになった。
 その男はウリガルが接触していた怪しげなチンピラ共の仲間であることも分かっている。
 ……となると、それは襲撃前の事前偵察。恐らく明日にはもう仕掛けてくるだろう。
 この情報は、まさに値千金で。
 ババア・アイはいいお目目! 怪しい奴は見逃さんのじゃ!!!!
 ……とは、チヨの言葉であった。
 その後、サルヴェナーズの魔眼により裏付けもとれ、まさに襲撃を迎え撃つ態勢は整ったのである。

●悪人どもを迎え撃て
 2日目の夜。コソコソと動き回る不審者たちの姿が、メガミの前足の近くにあった。
 武装は様々。そのうちの1人が突入の合図を出すと同時。ラダのベルの音が鳴り響く。
 すでに全員部屋に籠っているように指示は出来ているし、メガミも娼婦の1人が抱えて部屋に籠っている。
 他に被害が出ないようにと玄関ホールに陣取ったギルギットをマニエラが直接護り、更にそれを全員で守るように布陣している。
「よう団体さん、ここは持ち込み禁止だって聞いてないか?」
「ぐあっ!」
 ラダのプラチナムインベルタとワルツのチェインライトニングが突入してきた不届き者たちを撃ち抜き、エルスとチェレンチィ、アルトゥライネル達の攻撃が更に不届き者たちを倒していく。
「くそっ、どうして襲撃がバレてんだ!」
「……大丈夫よ、あなたのような卑劣な方は苦しんで逝かせてあげるわ。手加減は忘れたの」
 そう言い放つエルスの攻撃は苛烈で、チヨのヒット&アウェイを体現するかのような動きもまた凄まじい。
 やがて襲撃者たちが全滅したのを確認すると、エルスは小さく息を吐く。
「こんなところかしらね……」
 この連中も雇われただけではある。その結果がこれというのは本人達にとっては不本意かもしれないが、放っておけばギルギットが殺されるという理不尽が発生していただろう。
(ラサの為に頑張っていれば理不尽な終わり方をする方も多いけれど……でも……ギルギットさんみたいな方が増えてきているのなら……これほど嬉しいことはない。これからも走り続けなくては……ラサがラサらしくある為に私も全力でこの国を盛り上げたいもの……っ!)
 そう、エルスにとってはギルギットは変わるラサの象徴にも思えたのだろう。
「ほっほっほ。疲れた子も多いじゃろ。ワシのギフトで温泉でも沸かすかのう?」
「それはいい考えです。向こうもこれだけやれば、当分は懲りて妙な事はしないでしょう」
 チヨにサルヴェナーズも同意し、ギルギットも悪人顔で笑う。
「ええ、ええ。皆様の集めてくださった証拠で奴を抑え込む事も出来るでしょう。まさに皆様のおかげですとも」
「悪を装い、悪を制する。それはいっそラサらしくもあるか。そこに君臨し続ける手腕、今回の件をどう収めるか見せてもらおう」
 アルトゥライネルはそう言って……ふと、思い出したように声をあげる。
「そういえば……イーモンはどうしてメガミに嫌われているんだ?」
「ああ、どうしてイーモンを私に近づけないのかと思ったら、そういうことでしたか」
 納得したようにギルギットは頷くと「デカいからですよ」と答える。
「デカいから……? え? どういうことですか?」
「メガミはね、自分よりデカいのが嫌いなんです。で、イーモンは特にデカいでしょう? 威圧感あって大嫌いみたいなんですな」
「ああ、そういう……」
 思わぬ理由にチェレンチィは苦笑し、マニエラも笑う。
 唯一メガミに嫌われているから何か怪しい部分でもあるのかと思えば、まさかの「デカいから」である。
 笑い声は自然と伝播していき、終わったことを確認した娼婦達が顔を見せ始める。
 当然のようにメガミもスルリと部屋から出てきて、手始めにサルヴェナーズの匂いを嗅ぎ始めて。
 遠くから羨ましそうに見ているイーモンに気付き、再度の笑いが広がっていく。
 ラサには未だ悪人の種は尽きず。しかし女神の前足は、そんな中でも正しさを貫いていくのだろう。
 それを守れた喜びは、きっと何よりも大きなものだった。

成否

大成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

コングラチュレーション!
見事に女神の前足を守り切りました!

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