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シナリオ詳細

<アニマルドラゴン>玉砕のマグロドラゴン

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●この世で一番の悪
「皆、手の空いている者は至急集まってくれ――大変な事態が発生した」
 ギルオス・ホリス(p3n000016)は言う。額に手を当て、眉間に皺を寄せながら。
 一体何事なのか。静寂なる雰囲気がローレットの一角に漂う。誰かの、生唾を飲み込む音が聞こえたと同時――

「現れたんだよ。アニマルドラゴンが」

 アニマル、ドラゴン? 紡がれた言葉はどうにも聞きなれない言葉で。
「アニマルドラゴンというのはね。幼体時は普通の動物となんら変わらないが、時を経て成熟すると……ドラゴンに酷似した身体を持つようになる珍しい種族なんだ」
「何それ」
「問題なのが発見の難しさでね。成熟するまでは身体がドラゴンではない普通の動物だから、見分けるのは不可能と言われている」
「いやそういう事じゃなくて」
 無視して続けるギルオスの言葉を適当に纏めると、要するにそのアニマルドラゴンとやらが成熟を果たし、発見されたらしい。一体だけならそう脅威でもないのだが――
「見つかったのは三体でね……伝承によるとこの種族は三体集まると合体融合して恐ろしい呪いをまき散らすようになるんだ……! という訳で皆には奴らが合流する前にその一角を担当して討伐してもらいたい!」
 勢いで押し切ろうとしている様子が見られるが、なにそれ呪いが発生ってどういう理屈なの。
 ……いや魔物の一種と思えばどういう事が発生してもおかしくはない、が。けどさぁ。
「ちなみに参考までに。他チームが相手取るのは『ゴリラドラゴン』と『ライラックブレステッドローラードラゴン』なんだ」
「待って待って? 一個目も二個目もなんだって? もう一回お願い」
「そして君達に担当してもらうのは――こいつだ!」
 バーン! と机に思いっきり叩きつけるのは紙である。『奴ら』の姿が描かれているそれは……
 えと、それは……見間違いなどでなければ身体がドラゴンで、頭が――その――なんというか――
「そう御覧の通り『マグロドラゴン』だ! 近くの海から這い上がってきていてね! アルティメットゴリラックマグロテッドローラードラゴンになるべく、同種との合流を目指して時速二キロで爆進中だ!!」
 長い長い長い長い!! 何その名前合体名!? ていうか時速二キロって遅くない!?
「いや、元がマグロだからね。エラ呼吸から肺呼吸に上手く適応出来てないみたいで。正直瀕死なんだよねコイツ」
 討伐しなくても死ぬのでは? イレギュラーズは訝しんだ。
「その可能性もなくはないけど今の所死ぬ様子はなくてねぇ……ホントに合体されたら呪いをまき散らす大変な事になるから頼むよ」
「ちなみにさっきから呪い呪い言ってるが――具体的には何が起こるんだ?」
「米が不味くなる」
 よし、殺そう。

GMコメント

 お世話になります。茶零四です。
 米を不味くする(可能性を秘めた)超危険生物の来襲です!! 皆様の力をお貸しください!!

■勝利条件
 マグロドラゴンの駆除。駆除!!

■マグロドラゴン
・MAGUROの頭とドラゴンに酷似した身体を持つ全長3mくらいの生物。
・魚なので水場での戦いが得意です。でも今いるのは地上です。
・ついでにドラゴン形態になってから上手く泳げなくなってます。
・肺呼吸が辛いお年頃。時々川辺で休憩しながらゆっくり進んでいます。
・魚らしく跳ねたりします。巨体なので当たったら痛いかもです。
・ていうかきもいです。
・きもいです

・ゴリラドラゴンとライラックブレステッドローラードラゴンの2匹と合体することで
 アルティメットゴリラックマグロテッドローラードラゴンになり、強力な呪いを撒き散らします。

■戦場
・天気快晴。雨降らなくてマグロ死にそう。
・一応小川が近くにはあります。子供の膝丈ぐらいまでの深さの小川が。
・一般人は近くにはいません。


※注意!!
このシナリオは『<アニマルドラゴン>粉砕のゴリラドラゴン』『<アニマルドラゴン>大喝采のライラックブレステッドローラードラゴン』の2つとは同時参加ができません。予約は可能ですが、ご注意ください。
>>予約:いくつでも
>>当選:ひとつだけ

  • <アニマルドラゴン>玉砕のマグロドラゴン完了
  • GM名茶零四
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2018年07月11日 21時35分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

鶫 四音(p3p000375)
カーマインの抱擁
江野 樹里(p3p000692)
ジュリエット
トリーネ=セイントバード(p3p000957)
飛んだにわとり
河津 下呂左衛門(p3p001569)
武者ガエル
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
アーサー・G・オーウェン(p3p004213)
暁の鎧
しだれ(p3p005204)
特異運命座標
エメト・イス・ファルガリィア(p3p005592)
ただの旅人

リプレイ

●マグロのマは「まぁめっちゃおいしい」の「ま」!!
「そんな筈がないでしょう。幾らなんでもありのこの世だからといって本当になんでもやるのはどうかと思うんですよ。マグロ頭ドラゴンなんて混沌世界なら存在してもおかしくないですね――なーんて納得するとでも思っているんですか。どうなんですか聞いているんですか? 聞ーいーてーるーんーでーすーか――ッ!」
 天に叫ぶのは『カーマインの抱擁』鶫 四音(p3p000375)である。ご、ごめんなさい。すみません。違うんです。悪いのは私じゃないんです。主犯はYさんなんです。信じてください。
 と、とにかく閑話休題。ちょっと混乱していたようですね、と四音は少しばかり平静を取り戻している。そして目前――というには些かまだ距離はある、が。そこにいた。何が? マグロが。
「いやだからドラゴンじゃろ一応! ……いやしかし、ホント、なんというかこう……」
 遅すぎないか貴様……と哀れみの目で奴を見据えるのは『千法万狩雪宗』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)だ。時速二キロ。計算するとなんと機動0.6という驚異の数字を叩きだすマグロは――ホント遅かった。
 息切れしてるよ。思わず顔を覆う汰磨羈だが、これも依頼。仕留めるとしよう。
「そういえば皆して最初から食べる気満々で、拙者含め誰も疑問を呈さなかったでござるが。依頼的に言うとアレを斃すだけで良いのでござるよな」
「でもマグロって美味しいから仕方ないわよね。食べちゃ駄目とは言われてないんだし、いいんじゃない?」
「むぅ反論の余地が一片もない完璧な返答……是非も無し!」
 そうそう是非も無し! と『武者ガエル』河津 下呂左衛門(p3p001569)は思考を放棄して『聖なるトリ』トリーネ=セイントバード(p3p000957)と共にマグロを見据える。食材として。
 しかしあれがドラゴンとは……なんともすごいものだとトリーネは思考する。見るからに遅い。鈍そう。ひよこの方が早そう。もっと言うとひよこの方が元気そうだ。あんなに息絶え絶えじゃないし!
「見れば見る程本当に頭はマグロだな……まぁマグロと言えば、焼いたり揚げたりした奴が美味ぇよな――特に塩がよく合う」
 そうしていれば『烈鋼』アーサー・G・オーウェン(p3p004213)が過去の記憶を引っぱり出しながら舌を出す。やっぱり皆食べる気満々ですね。
「よ、っと。お米の準備、ばっちぐーです……♪ あとはマグドラを捌くだけですね……♪」
 そして魚には米が欠かせぬと『ジュリエット』江野 樹里(p3p000692)が準備したのは米である。自らの軍馬に樽を乗せて。その中にびっしりと詰め込んでいた。滅茶苦茶重い。御主人そろそろ限界っす、とばかりに辛そうな軍馬が樹里を見つめるが。
「お馬さん、もうちょっとだけお米は頼みましたよ?」
 遠回しに延長戦を示唆される。なんてこったいッ!
「うぅん……マグロ、はわかるけど元の世界にはいなかったこともあって、ドラゴン……というのはよくわからないね~でもなんだか~ドラゴンっていうイントネーション的にあの頭がちがうのはわかるよ~」
 言うは『幽霊……?』しだれ(p3p005204)である。マグロは理解できる。ああいう頭の魚類だ。だがドラゴンというのは知識の外にある為、どういうモノなのか些かイメージが難しい。
 それでもわかる。あれは違うと。とにかく違う。違うったら違う。お米が不味くなるのは非常に困る為頑張って倒そう~などと思っていれば。
「……さ。そろそろ戦闘だね。色々準備も出来たし……あっ。大丈夫だよ、キミを使おうなんて思わないから安心して、レジア」
『ただの旅人』エメト・イス・ファルガリィア(p3p005592)がマグロを見据えながら言葉を紡いだ。レジアと、呼んだそれは『喰紘樹』と呼ばれる植物の一種にして――エメトの相棒である。何に対して安心させたか、と言えば。それはエメトの集めた訳ニ十本ほどの木串と薪を見れば一目瞭然だろう。
 そう。バーベキューの準備である。それ以外に何があるというのだ。焼くよ。彼は焼くよ。絶対焼くよ。
「――!!」
 そんな調理……じゃない。戦闘の気配に気づいたのかマグロが視線を彼らへ。
 激突する。生存本能と食欲の戦いが、今始まるのだ――ッ!

 あ、念のため申し上げますがこれは戦闘依頼であり料理依頼じゃないんです。お願い信じて。
「……あれ。マグロを食べるって聞いてきたのだけど? そんな依頼じゃなかったかしら?」
 信じてトリーネさん!!

●大将! 大トロ一つ!
「はたしてどちらが玉砕の名に相応しいか。いざ、尋常に」
 参ります――その声を置き去りに、跳躍したのは樹里だ。
 遥か彼方。具体的に言うと六十メートル離れた地点から一手で接近。激突寸前にて地を踏み砕かんばかりに右足へ力を籠めれば。
「ふっ……ッ!」
 再加速。肩を丸め、そのまま――体当たり。今日の彼女は(見た目だけ)重量級である……! ドラゴンの腹部らしき場所へと身をめり込ませる。鳩尾だったか? マグロの顔がマグロしてれば。
「流石ね樹里ちゃん! なら私も……ッ、こけえぇぇぇ――ッ!」
 巨大なインコの幻影が空に浮かぶ。揺らめくソレは、トリーネの随伴影。
 力ありし聖鳥の言霊に合わせ――射出される一条の光。遍く総てを薙ぎ払い、マグロを焼く。位置上、樹里を避けながらもマグロを捉えて突き穿つのだ。これが聖鳥の力。鳥類の底力。魚など所詮、餌に過ぎぬ――ッ!
「その様。見ているだけで拙者としては心痛くなってくるでござる、が」
 駆ける下呂左衛門。水辺を良しとする目の前の存在には、蛙たる己にとって他人事とは言えない共感を些か感じる。弱った体に強烈な陽射し? 辛いでござるよなぁ……
「が――ここは弱肉強食の戦場でござる。弱い肉は強者の糧に。赦せよ、マグロドラゴン!」
 共感はすれど見逃しはせぬ。マグロ頭とはいえドラゴンはドラゴン。油断は禁物と、トリーネの一撃から水辺側に逃げようとするマグロを追い越し――川辺に陣取る。え、休憩? させないよ? ここは拙者の至福のくつろぎスペースでござるよ?
 既に満員じゃボケェ! というオーラを出しながら追い払おうと。
「……混沌らしい生き物っていうか、なんというか……水中特化なのになんで陸地に……いや、うん。こっちに有利ならそれでいいや」
 そしてその背後からエメトが。
「たしか――お肉は叩けば柔らかくなって美味しくなるって聞いたことがあるよ」
 後、塩も振るんだったかな? と言いながらレジアに形成させるは、大口径銃身。心意植装『魔銃態』である。エメトの右腕に絡みつく様に形作られたその銃口を、マグロの背に向けて。
「頭に当たったらごめんね!」
 放つ。魔力を帯びたその威力は銃身全体を揺らし、右腕だけでは支えきれない。
 故に左手で抑えて――射線を安定。空を裂く魔の一撃を奴の腹部にしかと着弾させれば。
「…………あの。弱肉強食とかお肉の旨味の出し方とかいろいろ聞こえるんですが、え、まさか本当に料理して食べるんですか? これを? この摩訶不思議生物を?」
「なんだ食べねぇのか? 俺は後でわさびとかそういうのも探してみようと思ってたんだが……」
 ……い、胃薬は用意しておきますね。と、わさびを探す気満々のアーサーに対し、四音は言葉を。いや食べたいというのならそれはいい。その気持ちまで否定する気はそこまでない。ただ。
「――私は遠慮しておきます」
 にっこり微笑み。その優し気な表情には、やんわりとした拒否の色を秘めていた。
 だってマグロ頭のドラゴンだもの。跳ねるマグロ頭のドラゴンだもの。こういう存在がまた狂気事件を呼び起こすんだもの。いや本当に。だってマグロ頭のドラゴンだよ!?
 空に描いた魔法陣が光り輝き、遠距離術式を発動してマグロを叩きのめす。討伐しよう。これ、ぜったい。
「マグロに名乗るのもアレだが今は俺の立派な相手だ! 聞け!
 我が名はアーサー・G・オーウェン! テメェらから明日を生きる、罪なき米を守る者だ!」
 アーサーの一撃がマグロに迫る。拳が芯に。全身に響く――故にマグロ、足掻く。
 嫌だこんな所で死んでたまるか。己はアルティメットゴリラックマグロテッドローラードラゴンに成る為に生きてきたのだ! そう! 待望のアルティメットゴリラックマグロテッドローラ、いてぇ!! 舌噛んだ!!
「今から貴様に仕掛けるは、体勢を崩す技だ。それを踏まえた上で言いたい事がある」
 そんな舌噛んだ痛みで跳ねまくるマグロに対し、汰磨羈は跳躍して。
「――貴様、とっくに崩れまくってないか? まぁいいが喰らえ!!」
 指差しながら同時に一閃。脚部より噴出される貯蔵のマナが汰磨羈の身体を急回転。
 踵を落としたのだ。足場がなくとも勢いさえあれば、確かなる力がマグロのこれまた腹部に刻まれる。揺らぐ。奴の身体が、奴の頭が。息切れ激しく生命も揺らして。
「そのぉ~正直な所、アルティメットゴリラックマグロテッドローラードラゴンになるとどんな姿になるのか、少し興味はあるの~」
 でも~と言葉を続けるのはしだれで。
「お米が不味くなるのも困るから、合体される前に倒すけどね~
 どういう原理で不味くなるのか~イマイチ分からないけれど~」
 きっととても凄い神秘的な理由でお米を不味くしてしまうのであろう! だからこそ許されない。至近へと踏み込んだしだれは、そのまま卒塔婆をうぇぽんとして格闘技術を仕掛ける。
 足掻き続けるマグロの腹に抉り込むように突き込ませ、痛みに歪んだ所へ掌底一閃。顎を撃ちぬいた。
「おぉ!! 奴の動きが更に鈍くなっているでござるよ!
 ――あっ! いかん! 新鮮さが失われる!! すわ、一大事!!」
 時間を掛けて仕留めては味が落ちるやも――! 下呂左衛門、水辺である程度元気になった余波で、マグロへの追撃を示さんと駆け抜ける。カマトロォ――! マグロの希少部位、カマトロォオ――!!
 げに恐ろしきは食欲。流石は生物の三大欲求の一角なのであった。

●D・H・A!
「なんにしてもお米が美味しくなくなる呪いなんて、天災な事この上ないね。嫌すぎる……だから、そろそろ確実に倒させてもらうよ!」
 エメトだ。攻撃集中からの魔力弾は絶えず、マグロの胴体を狙い続ける。もっと美味しくなぁれ。
 腹部直撃。跳ねる。そこへもう一発。痛みで跳ねる。
「さぁ行くわよぴよちゃん! あの反撃なんだか痙攣なんだかよく分からない踊りに巻き込まれた人達を癒しに……あ、ぴよちゃん! いくら不憫だからってドラゴンは応援しちゃだめよ! 敵よ敵! 一応!」
 ぴよぴよぴー? と、トリーネへ『違うのー?』なる上目遣いをしているのは彼女の召喚したヒヨコ達だ。攻撃出来たり回復出来たり器用な子達だが、マグロに関しては不憫すぎて敵味方の区別をうっかり間違えかけた。が、敵なの? 敵なのね? とハッキリ認識すれば。
「……あ、ぴよちゃんえらをかじっちゃダメ! ステイステイ、お腹を壊しちゃうわ! ぺっしなさいペッ!!」
 お肉が薄そうな所を狙うのよ! ヒヨコにたかられるマグロ。その様は既に浜辺に打ち上げられた魚類の様で。いや『様で』というか正に『そう』で。
 ――と、その瞬間トリーネは感じた。己がフレンズ、樹里の――
「立ちはだかる玉砕の全てを貫き喰い破れ――我が祝砲」
 魔法の発動を。漆黒に染まりし大剣でマグロを示し、黒炎が如くの一閃が襲い掛かった。

 マグロと樹里の両方を。

 なんたる不運。所持しているディスペアーの呼び寄せたアレだろうかアレ。しかし樹里もめげず。
「ふふん、今日の所はこの程度で勘弁してあげましょう――玉砕の名は、そう容易く何度も見せるモノではないのです……!」
 一手で彼方まで。臆病者の願望を装備している故か、相変わらず凄まじい移動距離だ。マグロでは永遠に追いつけないだろう。あ、向こうから魔力弾が! ひどい! ひどいやマグロの手は届かないというのに!
「魚――それは人生の一構成。魚無き世の理など、考えられぬ」
 故に、と往くは汰磨羈だ。
「そのマグロ頭、頂戴する! DHA――!! チェスト・マグロ頭ァ――!!」
 厄狩闘流『破禳』が一つ――破禳・威踏み。
 仙鶴を背へ。振りかぶると同時に腰も落とす。さすれば体重が両の足に掛かり――更にそれを自身に渦巻くマナにて強化。地を踏み砕く。力の放出に土台の方が耐えれぬのだ。されど、足が地を完全に粉砕するよりも早くに、一歩を踏み出す。
 勢いのままに。あるがままに。流れを殺す前に敵を殺す。
 一閃。マグロ頭とドラゴン体の、こう、どうなってんのかよく分からない部位を一閃。血が噴き出る。
「おぉ。見事なりし一太刀。これは拙者も負けてはいられぬでござる……!」
「無理をするな。カマの塩焼きが喰えなくなるぞ?」
「なんのなんの――殿様ガエルを目指す身なれば、傷を負うても呑み下す気概もまた必要でござろう! なにより美味しいマグロの為ならば」
 是非も無し! 下呂左衛門もまた往く。
 必要なのは豪胆さか。食欲か。あるいは武力か食欲か。ともあれ、斬って食べてから考えようと追撃すれば。大分いい感じに調理……もとい、マグロを弱らせることが出来ていた。
「小川の方には行かせないよ~悪いけれど、お日様の下で散ってね~」
 そして下呂左衛門と同様にしぐれも。万一にもマグロが小川に近寄れない様に警戒しながら一刀両断。卒塔婆の一撃をマグロの背に叩き込む。
 戦いの最初から割ともう駄目な感じだったが、今や正真正銘マグロはマグロする寸前である。跳ねる力に元気がなくなり、口をパクパクと開いたり閉じたりしている。
 しかしこの弱り切った姿。もしかしたら遠くから石投げてるだけでも勝てたのでは? と、四音は思っていたが。
「……ですが横着はよくないですね。真面目に戦いましょう。でないと」
 やっぱり絶対また狂気事件が起きてしまう。
「人の心は――そんな強くないんです! 私、知ってるもん!」
 人の心はガラスみたいなもんである。壊すに容易く、愛でるに難しく。
 こんな色んな意味での超生物がいては人類にとってきっと悪影響! 排除せねば! 四音の放つ癒しの力が皆へと染み渡る。支援の力が戦線を安定させ、マグロをいつか滅ぼすであろう……!
「……グェェェッ!」
 その時、マグロが鳴いた。いや泣いた? どっちでもいいが、このままやられてたまるかと最後の輝きを見せに走った。玉砕のマグロドラゴンここにありと知らしめてやる。至高の跳ねる技術はここにあるのだ。
 鳴り響くは地を揺らす音。自身の体力をも削りながら跳ね続ける。これいよいよホントにほっといたら死ぬんじゃ? ――と、誰もが思った、が。

 ふんさーい、ぎょくさーい、だいぎょくさーい!

「樹里、いっきま――す!」
 そーんな玉砕芸を見せられて黙っていられないのが樹里であった。何を一華咲かせようとしているのだ。己を差し置いて! ずるいッ! 距離の優劣など吐き捨てる。前に出る。駆け抜け、輝き放つは樹里の魔法。超絶至近距離にて発動させたその一撃は、天をも突き。

 勝利の祝砲が――今、鳴った。

●マグロターイム!
 イレギュラーズはマグロに勝利した。のでマグロ実食に入った。当然ですね。
「わさびどっかにねぇか? ちと、細かいのを探すのは苦手だが……ありゃ必要な物だろ」
「あっ、そうだね~小川の辺りとかにないかな~? マグロの肉と完全に一緒ならわさびがあればより美味しく食べれそうだしね~」
 アーサーとしぐれはわさび探しを。一方でこちら調理班。樹里はマグロの骨を焼き出汁を取る。そしてそれを用いて米を炊けば――と。その前にもう一点、隠し味にマグロの目玉をいれれば。
「樹里ちゃーん、お水汲んできたわよ! え、何? このいい感じの匂いは。うーん中々素敵……あっ。しま、足がすべ」
 った。コケッ――! という声が米を炊いている中から聞こえる。おお出汁の活きが良い証拠だ。やったぜ。
「ちょっと待つでござる。それ隠れてないでござる。こっち向いてたでござる!」
「小川の清流を眺めつつのマグロパーティ。んむ、実に良い……さて、後はドラゴンの肉の方も食えるのか、だが……」
 マグロの目玉を覗き込む下呂左衛門。マグロを兜焼きにして食しつつ――ドラゴンステーキが可能か汰磨羈は期待の目で胴体部分を眺める。ふふっ、精が付きそうな肉だ。大変宜しい。
「――ふむ。ちょっとやってみようか。固い部分は避けるとして……あ、この叩いた部分とか柔らかそうになってるね。うん、これをぶつ切りにして、と」
 さればエメトがドラゴン肉の調理に入る。用意していた串を巧みに。適当な大きさのぶつ切りとした肉へ――持参した魔法のスパイス。知人より教わったカレー粉なるモノを振りかければ。
「……うん、いい香りだ。後は焼き色が付けば完成、かな」
 ちょっとした料理、ではあるが。良き香りは漂い、食欲を増進させる。
 ただ。それでもやっぱりあのマグロ造形の味を食す訳に四音はいかず。故に彼女は。
「ふぅ……外で飲むお茶というのも美味しいですねえ……」
 遠くを見据えながら紅茶のを楽しんでいた。マグロの解体ショーを背後に。
 あぁ――今日もいい天気である。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

いえーい!! マグロォォォ!!!!!!!!!!

はい! という訳でお米たちの未来は守られました……恐ろしい敵だった……!
全体的に食べる気満々だったので食事パートを追加。マグロは骨まで使われました!
ではでは、ご参加どうもありがとうございました!!

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