シナリオ詳細
<半影食>日常との表裏一体
オープニング
●<半影食>日常との表裏一体
『ふぅ……やっと仕事、終わった。ったくよぉ……あんな無茶な仕事、突然押しつけてくんなよなぁ……』
極々普通の日常が広がる世界……希望ヶ浜。
既に日付も変わり、深夜1時頃。
帰宅直前に押しつけられた仕事をどうにかこなして、終電で帰宅……疲労困憊の中、家路をとぼとぼと歩く彼。
……そんな日常を過ごす彼を襲う、不思議な事件。
ふわぁぁ、と大あくびをしながら左へ、右へ……と道を歩いていると……。
「……ん? あれ……もう、夜が明けた……?」
漆黒の夜空だった筈なのだが……何故か赤く、染まり始める。
「朝焼け空にしては……明るすぎるぞ? いや、明けの明星なんて感じじゃねぇ……何だこれ……」
そんな不思議な事態に巻き込まれた彼。
傍らの張り紙を見て見ると。
ーーさからあぁぐがぁあさいさぁ。
「何だこれ? 誰かの悪戯の張り紙か? 意味分かんねえ……」
全く意味不明な文字の羅列に、眉を顰める彼。
更に周りの風景は、見覚えがある様だが……でも、難だか違和感が拭いきれない。
「あー……訳分かんねえ……疲れ過ぎか? 幻覚でも見えてるのか……?』
と溜息を吐いた彼の耳へ。
ーー……シャン、シャン……
『……鈴の、音?』
きょとんとしている彼。
訳が分からない事が、立て続けに起きており、思考が追いつかない。
……そして、訳も分からず、その場に立ち尽くす彼の頭上に差し掛かるのは……鴉の様で鴉でない……巨大な体躯の鳥。
それが彼の周りに次々と降り立ち、全方位を包囲すると、鳥は。
『キシュアアアアアアアアア!!』
甲高い、奇っ怪な鳴き声を上げて威嚇。
その鳴き声は、取り巻く周囲の状況に混乱していた彼に……狂気を与え。
『……う、うわぁあああああ!!』
叫声を上げた彼は、囲んだ鳥から逃げようと、駆けずり回るのであった。
●
「あら……皆さん、今日も来て頂いた様ですね? お暇な様でしたら? なら……ちょっと良いでしょうか??」
度々カフェ・ローレットを訪れるキミ達へ、声を掛けてきたのは……音呂木・ひよの。
彼女へ肩を叩かれたキミ達が集められると、早速彼女は。
「最近なのですが……この希望ヶ浜の悪性怪異:夜妖<ヨル>の活動が活発化している様なのです。それはどうも、今迄無害であった神が、急速的に影響を現世に強くおよぼしている様なのです」
「そしてその神がどうも、極々普通の……夜妖とは無縁な一般人達にも最近、強い影響をおよぼし始めているようなのです……その影響かはハッキリとはしてないのですが、神の作り出した異世界がこの希望ヶ浜の様々な所に現れ、何も知らない一般人達が次々と迷い込んでしまっている……という訳の様ですね」
と言いつつ、彼女は希望ヶ浜のある地域の地図を広げ、ある一点を指指す。
……極々普通の街の一角……何があるのだろうか、と皆が小首を傾げるが。
「皆さんには、この異世界に迷い込んだ人達を救出してきて貰いたい、って訳です。異世界はここ……街の一角に不自然な形で口を開けている様です」
「街中にあるものですから、一般人達も不意に異世界へと迷い込んでしまっている様なのです……恐らく被害者は異世界に迷い込んで、夜妖に襲われる未来が待って居るのは想像に難くありません」
「皆もこの異世界に急ぎ突入し、恐慌状態に陥っている一般人の救出を御願いしたいのです。余り詳細も分かりきっていない状態で頼むのはちょっと心苦しい所ですが……皆なら大丈夫ですよね?」
ひよのがくすりと微笑む……君達の実力を信頼しての事なのだろう。
そして……君達が頷くのを見て。
「それじゃ、宜しく頼みますね」
と、皆の肩をポン、と叩くのであった。
- <半影食>日常との表裏一体完了
- GM名緋月燕
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年08月22日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●日常からの遷移
極々普通の日常が広がる世界、希望ヶ浜。
とうに日付も変わった深夜一時過ぎ……殆ど人気もなく、静けさに包まれた街角。
「……異世界か。妖精郷のような綺麗な場所ならいいのだが……そうではないのだろうな」
と、『誰かの為の墓守』グリム・クロウ・ルインズ(p3p008578)がぽつり呟くと、それに『シュピーゲル』DexM001型 7810番機 SpiegelⅡ(p3p001649)が。
「そうだね……ひよのが言うには、赤い空に意味不明な文字の羅列……そして、多くの夜妖達が蔓延る世界、との事」
「ああ……そういった世界が街の至る所に現れるとは、すごく恐ろしいものだ」
溜息をつくグリム。
そう……今回イレギュラーズ達が受けた依頼は、希望ヶ浜の各地で起きている、異世界の門を越えてしまう一般人を救出してきて欲しい……という依頼。
それが、何らかの切っ掛けを元にしているという訳ではなく、ただただ普通に生活する人々の傍らにひっそりと、口を開けてしまうという事件。
その結果として、何も知らない一般人達がそこへと迷い込んでしまうという事故が多発している。
「へぇ……異世界かぁ。まぁアタシ達ウォーカーにとってはこの世界も異世界なんだけどねー。これは境界みたいなもんかしら? 一般人が入っちゃうのは確かにまずいよね?」
と、そんな事件を耳にした『ハイテンションガール』郷田 京(p3p009529)が笑いながら小首をかしげると、『青混じる氷狼』グレイル・テンペスタ(p3p001964)と『羽衣教会会長』楊枝 茄子子(p3p008356)が。
「……うん……怪しい場所に……一般人が迷い込むなんてこと……今迄、そこまで起こってなかったよね……? これって……ひよのさんに聞いたように……再現性東京に、何か良くない事が起こっている……という事なのかな……? ……そもそも……ここ以外でこんな場所が発生したって事自体……聞いたことがないし……迷い込んだ場所で……何をされるか分かったものじゃないね……」
「そうだね! まあ一般人に危険が迫っている事は間違いないし、早く助けてあげないとね!」
「……うん。今回の依頼人も心配だけど……僕たちもこの場所の空気でおかしくならないように……気をつけなくちゃ……」
二人の決意に『シティガール』メイ=ルゥ(p3p007582)が。
「そうなのです! 異界に侵入してー、めーい☆ちゃんね……おっっとと、ここはR.O.Oではなかったのです。最近はR.O.Oの依頼が多かったので、あちらの癖が抜けないのです」
苦笑するメイ。
確かに異世界の雰囲気が漂う、赤い空の世界……R.O.Oのネクストの一つか、なんて思ってしまうのも仕方ない所。
でも、今回は現実世界の姿形で迷い込み、事件を解決せねばならない。
「しかし人を守護り魔を退ける……やりがいのあるお仕事ですが、魔物の姿を見たり、鳴き声を聞いたりすると狂気に陥る、というのは困りものですね。守る対策を戦場から遠ざけて、戦う我々の方も可能なかぎり対策したい所ですが……さて、どうしたものでしょうかね」
『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)が肩を竦めると、『テント設営師』フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)が。
「そうですね……少なくとも鵺という危険な怪物に襲われているツトムさんは、一刻も早く助け出す必要がありますね。奇っ怪な鳴き声は私たちには抵抗出来るとは思いますが……ツトムさんが聞いてどうなってしまうか、という点が不安ですね」
「そうですね。恐慌状態になって動けないとかならまだ救いはありますが、発狂したりしてしまったら、目も当てられません。そうなったら、攻撃を受けるのも厭わずに拘束する……位でしょうか?」
「そうですね……分かりました。そうなったら、私が頑張りますね」
フォルトゥナリアは覚悟を決めるかの様に頷く……そして、グリムが。
「とにかく、何も知らない人間が犠牲になるのは正しくない。全力で救いにいこう」
と力強く宣言すると。
「そうなのです、とにかく、迷い込んだツトムさんを探してお助けしなければですね!」
「おっしゃー、いっちょ京ちゃんが一肌脱いであげましょーか! 覚悟しやがれ一般ピーポー、超特急で助けてやっからなー、あっはっはー!!」
えいえいおー、と言う感じで元気いっぱいに拳を振り上げるメイと、ポキポキと拳を鳴らす京。
そして……そんなイレギュラーズ達は、ひよのに指定された場所へ。
ただただ普通の街角を何カ所か曲がると、漆黒の夜空が段々赤く染まる場所に到着。
「この辺りの様ですね?」
と瑠璃はぱぱっ、とその周りに三角コーンを立てて、簡易的に封鎖。
「それじゃ、異世界に突撃ー!!」
と茄子子の掛け声と共に、イレギュラーズ達は紅蓮の夜空の世界へと足を踏み入れていった。
●影虚ろに
そしてイレギュラーズ達が足を踏み入れた、赤い空の異世界。
……周りを見渡す限りは、先ほど迄通っていた街並みとほぼ同等。
ただ、赤い夜空は心の中をざわつかせ、恐怖感を募らせていく。
「……」
そして、そんな世界に足を踏み入れるなり、瑠璃とフォルトゥナリアは周囲のわずかな音に対し聞き耳を立て、グレイルは鋭い嗅覚にて人の匂いを捜索。
また、メイは敵の気配を察知するアンテナを貼り、京は救いを求めるセンサーを張り巡らせる。
五人それぞれ、アンテナを高く張り巡らせることで、一刻も早くツトムを見つける様にする。
そうしながら暫く歩いて行くと……先ずアンテナに引っかかったのは、メイ。
「む……何だか明らかに敵意を纏ったのが、あっちの方に感じたのですよ!」
「了解! いっそぐぞー! 出来る限り一直線に!!」
と指を差したメイの方向へ走り始める京。
そして……ほぼそれと同時に。
『や、やめろおおお、来るな来るなああああ!!』
慌てふためく絶叫が、イレギュラーズ達の下にも響きわたる。
その方角は、先程メイが指し示した方角と同じ。
「早速襲撃開始の様です、急ぎましょう」
フォルトゥナリアが促し、皆、駆ける。
幾つかの角を曲がった先……憔悴した表情で、此方の方向へ必死に走る男と、その背後から追いかけてくる、漆黒の闇。
「居たな! っしゃ、先ずはこいつだぜ!」
と先陣切った京は彼とすれ違い、敵を射程内に収めると共に火炎を纏いし片腕で、むんずと闇をひっつかむ。
そして力任せに、そこに炎を炸裂させ吹き飛ばす。
……そして逃げてきた男を、瑠璃が抱き留める。
『わ、な、何だ何だよぉ……!?』
恐怖の後の、突然の事態に慌てふためいている彼に、京が。
「んー、待たせちゃったかな、おにーさん? 郷田京ちゃん、堂々の見参たい!」
自信満々にニカッと笑う京、更に茄子子とフォルトゥナリアが。
「助けに来たよ! もう安心して!」
「もう大丈夫だよ、ツトムさん! 私たちが助けに来たから! 安心して今は眠っていて!」
「……え?」
呼びかけの眠っていて、という言葉にきょとんと顔を上げた所に、瑠璃がじっと、その目を見つめる。
その視線に、ふっ……と意識が遠のくような感じがして……その場でばたっ、と眠りへ落ちる彼。
「……これで良いでしょう。フォルトゥナリアさん、後は頼みますね」
「ええ、分かりました!」
そしてフォルトゥナリアは彼を抱き上げて、仲間達から少し離れた安全な位置まで避難。
ただ、逃げる彼を追いかけようと闇……いや、夜妖達が追いかけるべく、カァァァ、と奇っ怪な鳴き声を上げて威嚇。
「っ……見てはいけないもの、人が理解してはいけないもの。心を殺して何とかなればいいが」
とグリムは感情を塞ぎ止める……がその鳴き声は、イレギュラーズ達の心に作用し、凄まじい不安感を刺激し、無傷とはいかない。
……だが、まずは初撃は、そこまでの被害にはならなかった模様。
「させないよ! これは会長のご加護だよ、会長のお墨付きなんだから!!」
と仲間達を鼓舞する声を掛ける。
更にメイは、先程見たツトムの幻影をすぐさま作り出し、自分達の傍らに作り出し、囮にする。
そこに誘い出されてきた夜妖達へ、京は再度炎を炸裂させ、グレイルは黒狼を作り出して、それを嗾ける。
しかし、そんなイレギュラーズ達の攻撃に決して怯むような事は無く、夜妖達は反撃開始。
炎と氷のブレスを吹き付けて戦場を灼き尽くし、それに加えて雷鵺の雷撃はイレギュラーズ単体を狙い済まして放つ。
しかし、攻撃を受けた仲間は茄子子が。
「サポートは会長が何とかするから、みんな頑張れ! 会長攻撃出来ないからね! 適材適所!!」
と仲間達に言いつつ、彼女は回復だけに専念。
避難誘導させているフォルトゥナリアが戻らない事には、回復の手を緩める事も出来ないだろう。
そして、回復を任せた上で一番素早く動き回るメイは。
「攻撃は最大の防御なのです!」
スラスター搭載の羊さんバッグでスピードをつけて、敵の懐に潜り込んだと此で、炎鵺に渾身の一撃を放つ。
更に動きの素早い京が飛び上がってからの踵落としで空を飛ぶ鵺を地面にたたきおとす。
続く瑠璃は……胸ポケットに入れてカメラ部分だけ出したaPhone10を活用し、敵の姿に重なるように巨像を投影。
『カァ!?』
突然、巨像が現れて驚いた風に見える鵺達……その一瞬の隙を狙い、二時の如く煌めく雲を鵺達のエリアに生み出し、彼らを雲に巻いていく。
しかし雲から何とか逃れた鵺も居るので、そいつに対してはグレイルが神狼を自身に纏いし一撃を放ち、ダメージを積み重ねる。
そして最後に動くグリムは、敢えて敵陣ど真ん中に突っ込んで、立ち止まる。
「……浄化の聖光よ、邪悪なるモノをどうか打ち払い給え」
場所故、全員を巻き込む形での神聖なる光を展開し、全てを飲み込むような光が鵺達を苦しめる。
そしてイレギュラーズ達の攻撃も一巡。
……まだまだ元気いっぱいの模様な鵺達は、逃げた男とフォルトゥナリアから、まずは目前に立ち塞がるイレギュラーズ達を殲滅すべし、とターゲットを変更。
更なる炎、氷、雷と三つの属性の嵐が戦場に吹き荒れさせ、イレギュラーズ達の体力を確実に削る。
流石に回復役が茄子子だけ、では戦線維持は中々厳しい所。
「でも、大丈夫!! 会長は強いんだからね!」
と茄子子は全力で仲間達の回復に傾注。
その一方で攻撃側としてメイが。
「皆さん、狙いを集中させるのです! まずは、あの炎を吐くのからなのです!」
自分が攻撃した相手を集中砲火する様に声を上げ、それに京は。
「ああ、そうだな。あいつも遠ざかったし、こっからが京ちゃんのターンだぜ! アンタらは蹴られるのと、燃やされるの、どっちがお好みかしら!」
と威風堂々言い放ちながら、敵に特撮ヒーロー如くの飛び蹴り一発。
その一発にメイは速度を威力に活かした彗星の如き一閃を放つ。
すると、今迄のダメージの蓄積か、それとも当たり所が悪かったのかは分からないが……炎鵺の一匹は地面に叩きつけられ、そして……まるで煙が立ち上るかの様に、消え失せる。
「……まずは、一匹……かな。復活する様な力も……ないみたいだし……」
「ああ……終わりが見えずに叩き続ける、なんて事にならなくて、まずは安心か」
「……うん……それじゃ……一匹ずつ、集中して倒して行こう……」
グレイルとグリムの話し。
そうしてイレギュラーズ達は、確実に炎鵺達を一匹ずつ狙い、倒して行く。
四匹倒れれば、次は氷を扱う鵺。
彼らの氷撃が当たれば、命中、回避とスピードが制限される事になるが……スリップダメージは回復手一人の状況では厳しいので、まだそちらの方が幾分は楽であろう。
勿論敵の数が減ったことにより、総合的なダメージも下がる。
更に、戦闘開始から5分程経過した時。
「お待たせしました! ツトムさんを怖がらせない為にも、急いで倒しましょう!」
と避難誘導をしていたフォルトゥナリアがツトムの避難を無事に終わらせ、戦列へと復帰。
彼女の役目も、仲間達の回復……回復手が二人になったお陰で、戦線の維持は幾分楽になってくる。
そんな心の余裕が出来ると。
「っしゃぁ、もう遠慮しなくていいんだよな! 出血大サービスでアタシの自慢の素敵な生足、拝またげる!」
意気揚々と、強烈な攻撃を次々と繰り出す京。
そんな彼女の動きに合わせ、他のイレギュラーズ達も氷鵺に集中攻撃し……十数分の後に、全てを仕留める。
そして、最後に残ったのは、一回り体躯の大きな雷鵺。
仲間達を倒された怒りに、更なる恐怖の方向を上げるが……イレギュラーズ達が怯む事は無い。
「ほーら、よいしょ! 英霊の御加護だよ、みんな頑張れ!」
バッドステータスの方向を、さっさと回復する茄子子と、ダメージを回復するフォルトゥナリア。
そんなイレギュラーズ達が、それぞれの役目を確実に果たし……9匹居た夜妖達は、全て消え失せていった。
●狂気の狭間
そして……どうにか夜妖達を倒したイレギュラーズ。
「ふぅ……取りあえず、終わったみたいだね! みんな大丈夫?」
と茄子子が皆の状態を確認……かなり傷を負った者はいるものの、死までは至らず。
「ああ……大丈夫だ。さて、と……では、あの男はどこに避難した?」
「あ、うん。こっちだよ」
グリムの言葉に、フォルトゥナリアが誘導……するが、一人グレイルは離れる。
「ん、グレイルさん、こっちなのですよ?」
と手招きするメイだが、グレイルは。
「……僕は、いいよ。だって……自分の姿を見たら……また恐怖が、ぶり返しちゃうかもしれないから……」
心優しい彼だからこそ、その半人半分獣の姿を魅せることに抵抗がある模様。
勿論、それを無理強いする事はせず。
「わかったのです。でも、見守っててあげてください、なのですよ! それじゃみんな、れっつごーなのです!」
とメイが先陣を切って、彼を避難させた所へ。
……人家のブロック塀の後ろで、ガクガクブルブル震えている彼。
「大丈夫なのです?」
と声を掛けるメイに、彼は……な、何なんだよぉ……と声を震わせる事しか出来ない。
流石に恐怖がすぐに抜けきる様な事は無く、震え続ける彼……そんな彼を優しく宥めたり、水を飲ませたり……と、恐怖を取り除こうとするイレギュラーズ。
……少し時間は掛かったものの、どうにか落ちついた彼。
「それじゃツトムくん! 一緒に帰ろうか! ここはきちゃいけない場所だからさ!」
「そうなのですよ! 長くいて、変なものが現れるのも怖いので、皆さんで早く帰るですよ!」
メイと茄子子の声に、彼は。
「い、いいよ……俺、大人だし……」」
と、自分よりも年下そうな人達に助けられたことに、気恥ずかしそう。
でも、そんな彼に。
「いやいや、いくら大人でも、夜道は危険だからね! ほら、こっちこっち!」
有無を言わさずその手を引いて、来た道を戻る。
幸い、他の夜妖や恐怖に襲われる事もなく……彼と共に、イレギュラーズ達は赤き空の世界から脱出するのであった。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
赤き異世界へ誘いに参加頂き、ありがとうございました!
今回は一般人が、現実の傍らの異世界へ迷い込んでしまう……というものではありましたが、皆様のお力のお陰で無事に救出完了です。
とは言えこのような世界が近くにあると、希望ヶ浜も暫くの間は落ちつかなさそうですね。
GMコメント
皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
今回の依頼は、希望ヶ浜において異世界へと迷い込んでしまった一般人の救出依頼です。
●Danger!(狂気)
当シナリオには『見てはいけないものを見たときに狂気に陥る』可能性が有り得ます。
予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。
●成功条件
仕事帰りでとってもお疲れな社会人『ツトム』を、夜妖達の襲撃から守り、元の世界へと連れ帰る事です。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
●周りの状況
今回の舞台となるのは、姿形は希望ヶ浜の街の一角とほぼ同様の場所です。
極々普通の家が並ぶ住宅街、空は赤く染まっており、ぱっと見では希望ヶ浜とほぼ同様ながら、何か違う……そんな雰囲気の場所になります。
そんな希望ヶ浜の様で、希望ヶ浜ではない場所に迷い込んだ『ツトム』の周りには、大きな鳥の様な姿形をした『鵺』が一体と、その周りに鋭い鉤爪を持った鵺の配下の巨大鴉達が点在しています。
当然一般人である彼は、単独では逃げる事は敵いませんし、敵が攻撃してくればほぼ無抵抗で殺されてしまう事でしょう……それを守るのが、今回の肝となります。
●討伐目標
・死を待つ鴉『雷鵺』 x 1匹
周りの鵺よりも一回り身体の大きな、鴉の様な鳥です。体躯の大きさに比例して、体力は部下の鵺よりも2倍ほどある様です。
鋭い鉤爪による裂斬攻撃と、口から噴き出す雷鳴による単体への雷撃が軸となります。
又、奇っ怪な鳴き声を上げる事で、周りの人々を狂気に陥いれるという効果を持ちます。
皆様イレギュラーズは抵抗可能ですが、一般人はこの声を聞けば狂気に包まれ、逃げようと暴れ廻ります。
尚リーダー的な存在ではありますが、こいつが死んでも他の鵺達は逃げませんので、ご注意下さい。
・死を誘う鴉『炎鵺』x4匹 『氷鵺』x4匹
リーダーの鵺よりは一回り小さな鴉の様な鳥です。
体力は皆さんとほぼ同等位の耐久力はある様です。
攻撃手段は同じく鋭い鉤爪と、炎か氷を口から放つ事での、周囲への範囲攻撃とBSを合わせ持ちます。
鳴き声を上げるも、こいつは狂気に陥れるような効果は持ちません。
とはいえ、こいつらに攻撃されれば当然一般人はひとたまりもありませんので、此方も放置は出来ませんので、ご注意下さい。
それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。
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