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シナリオ詳細

夏を効率的に楽しむ3つの方法

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 夏だ! 海だ! スイカ割り――――「お待ちくださいませ!」――え?

 勢いよく兄に似合うとアピールされ続けた水着を着用してイレギュラーズの前に現われたのは海洋王国貴族派筆頭コンテュール家の令嬢、カヌレ・ジェラート・コンテュール (p3n000127)である。
「皆様、スイカ割り等という恐ろしい事を考えていらっしゃるの?!
 水着で、海でスイカ割りだなんて! ああ、何という事でしょう――!」
 驚愕を口にするカヌレにフルール プリュニエ (p3p002501)はこてんと首を傾いだ。
「おねーさんはどうしたのかしら? スイカ割りというのはそんなにも恐ろしい事だったかしら?」
「いいえ、スイカ割りというのはレジャーではメジャーになっている行いです。何も恐ろしい事は無いはずですが……」
 一体如何したのだと津久見・弥恵 (p3p005208)がカヌレへと問い掛ける。「はわわ」と怯えた様な表情のカヌレはさめざめと顔を覆った。
「皆様が、スイカ割りをしようというのならば、わたくしは止めませんわ!
 ――と、言うわけで、此方のスイカをお使いください。献上物として頂戴したのですけれど、どうにも巨大スイカは割ろうとするモノを逆に割ろうとして、お兄様が!」
「ど、どうなった……」
「割れてしまって……」
「な、何が……!?」
 毎回、兄ことソルベ卿が何かの犠牲になっている気がしてならないレイリー=シュタイン (p3p007270)はスイカを割るくらいなら簡単だろうとカヌレが指し先を見てから「あれか」と問うた。
 巨大も巨大。人間サイズよりも更に大きい3mのスイカが其処には鎮座している。
「よく育ちましたね。それに、割ろうとすれば割り返してくる。その心意気は旦那様のお役に立つかも知れません」
 旦那様(の作成)のお役に立てそうになる澄恋 (p3p009412)にエレンシア=ウォルハリア=レスティーユ (p3p004881)はそもそもと切り出した。
「どうしてあれだけ大きなスイカが?」
「アクエリアで育てました」
 アクエリアなら仕方が無いか――と納得するわけもないが、兎にも角にも此れは依頼なのである。
「ならば、熟さねばなりませんか」
 凜とした姿を見せる女騎士、フィリーネ=ヴァレンティーヌ (p3p009867)。ただし、此処はビーチである。ドレスコードは勿論、水着だ。
 灼熱の太陽に、ぎらぎらと輝く白砂の美しさ。白波が心地よいコンテュールのプライベートビーチで水着女子一同がスイカと相対することとなる。

「皆様! このスイカ、恐ろしい事がありますの!
 スイカ割り用品種のスイカですから、倒す方法は目隠しが必要なのですわ! ええ、目隠しをして居ないと攻撃が通りませんの!
 目隠しをした人に指示を出して攻撃を、チームプレイが必要になりますの!
 勿論、わたくしも指示ならば出来ますわよ!」

 ウキウキとしているカヌレは「終わったらバーベキューを御馳走致しますわね!」と手を振り上げた。
 ……成程、この巨大スイカを割り終えればコンテュール家のお金で贅沢BBQを楽しめるらしい。
 彼等は海洋王国でも重鎮である。こんな雰囲気でも海洋王国のNo.2。飛行種に限れば筆頭なのである。
 ここで恩を売っておくのも良いだろう。
「わたくし、夏を効率的に楽しむ3つの方法を知っておりますわ!
 水着を着用する、ビーチに踊り出す! それから……ええと、忘れましたの!」
 ――兎に角、スイカを割ろう!

GMコメント

 夏あかねです。夏を楽しみたかったんや。
 当シナリオの戦闘難易度はイージー相応です。はっちゃけていきましょうね。

●成功条件
 スイカを倒そう!!

●巨大なスイカ
 アクエリア産。スイカ割り用のスイカです。何でかこんなに巨大に育ってしまいました。
 スイカ割り用の品種で有る為に目隠しをして居る所謂『スイカ割りフォーム』の人からの攻撃しか通りません。
 皆さんは目隠しをして居る仲間に指示を送りスイカ割りをしましょう。スキルを載せて棒を叩き付ければOKです。
 尚、スイカは反撃してきます。目隠しをして居ないメンバーに理不尽にも「当たりが悪い!」などと文句を言いながら攻撃をしてくるようです。

●本日のコスチューム
 水着です。誰がなんと言おうと此処はビーチなので水着を着用してください。
 いいですね、水着です。この水着を着てるよと言う指定プレイングでして頂いてもOKです。

●コンテュールのプライベートビーチ
 以前には男性にだけ反応する触手君がいたりしたコンテュールのビーチです。今回は巨大なスイカが鎮座しています。
 人払いは済まされており、スイカさえ何とかなれば自由にビーチを楽しむことが出来そうです。
 スイカさえ何とかしてしまえばカヌレがBBQの準備やサマーパラソルの設置を行ってくれます。
 BBQの食材も持ち込み可能です。カヌレにお願いしておけばある程度の準備もしてくれるでしょう。お酒の用意もありますが未成年の飲酒はNGです。

●カヌレ・ジェラート・コンテュール
 何でかご一緒しているコンテュールのご令嬢です。お兄様に似合うと力説されたウエディング水着を着用しやって来ました。
 皆さんのスイカ割りの指示のお手伝いを致します。BBQもお声かけ頂ければ参加します。お酒には弱いです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

それでは、楽しみましょうね!宜しくお願いします!

  • 夏を効率的に楽しむ3つの方法完了
  • GM名夏あかね
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年08月30日 22時06分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
フルール プリュニエ(p3p002501)
夢語る李花
※参加確定済み※
エレンシア=ウォルハリア=レスティーユ(p3p004881)
流星と並び立つ赤き備
※参加確定済み※
津久見・弥恵(p3p005208)
薔薇の舞踏
※参加確定済み※
レイリー=シュタイン(p3p007270)
ヴァイス☆ドラッヘ
※参加確定済み※
耀 澄恋(p3p009412)
六道の底からあなたを想う
※参加確定済み※
フィリーネ=ヴァレンティーヌ(p3p009867)
百合花の騎士
※参加確定済み※

リプレイ


「このビーチ、呪われてるんじゃね? 大丈夫か?」
 そんな事を口にした『鳥種勇者』カイト・シャルラハ(p3p000684)に胸を張ったカヌレ・ジェラート・コンテュール (p3n000127)は「ご都合主義ですのよ!」と声高に言った――夏、海洋王国の日差しは燦々と降り注ぐ。
「うーん、夏真っ盛りだねー」
 遠方を眺める『若木』秋宮・史之(p3p002233)は敢て目を逸らしていた。そう、彼の後方には割って下さいと云わんばかりに指定位置に鎮座している巨大な西瓜が佇んで居るのだから。
「青い空白い雲照りつける太陽、そして砂浜と……スイカ。うんだがしかし、こいつがバカンスの邪魔をするってんなら全力で割ってやるよ」
「っと、とにかくスイカだな。デカいからって調子に乗ってやがるなこのスイカ。ソルベ様の仇討ちといこうじゃねぇか!」
 ――気付いたら自派閥の貴族令息に死んだことにされていた(ソルベ心の句)。
 そんな男子二人組を一瞥してから「あらあら、大きなスイカ」と朗らかに微笑んだのは『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)。薄い桃色は妖精をイメージしたほんのり透け感ビキニ。背中には翅をあしらって愛らしさも全開に。
「皆で食べても余ってしまいそうね♪ しかも割ろうとしたら割り返しにくるのでしょう?
 ふふふ、楽しそうね。きっと楽しいわ。貫き、割って、砕きましょう。
 大丈夫、きちんと貫くわ、澄恋おねーさんの角(きゃんでー)で。本物の角でも良いわよ?」
「(シュコー)はひ(シュコー)」
 にこりと微笑んだフルールの後方に『花嫁キャノン』澄恋(p3p009412)は堂々と立って居た。背負った銃は旦那様のため。海で遊ぶ気は全開で。白スク水に白いパーカー、シュノーケリングの準備は万端だ。角隠しを思わせるパーカー姿の花嫁ははっとしたように口を覆っていたマウスピースを外す。
「か弱さカンスト勢ゆえ西瓜割るどころか割る用の棒を持つこともできません。
 よってプロ花嫁として誘導頑張ります。西瓜に旦那様適性があるかどうかも確かめたいですね!」
「旦那様適性……?
 いいえ、見て下さい! この太陽を! 夏だ! 海だ! スイカ割りだー♪
 ここは舞姫らしく華麗に割ってお楽しみいただきますよ。ご覧になって下さいませ、カヌレ様♪」
 白いビスチェタイプの水着に身を包んだ美しい舞姫、『銀月の舞姫』津久見・弥恵(p3p005208)は澄恋から僅かに発された狂気には知らない振りをした。そう、これは楽しい楽しい西瓜割りなのだから。
「夏に相応しい依頼よねスイカ割り。……割っていいのは割られる覚悟がある者だけって言葉が鉄帝にあるわ!」
 鉄帝的西瓜割りを遂行することとなる『ヴァイスドラッヘ』レイリー=シュタイン(p3p007270)は堂々と胸を張った。白いビスチェにミニスカートの裾がひらりと揺れる。コーディネートに合わせた白いリボンが夏の風にはためいた。
 そんな清純そうなコーデに身を包みながらも鉄帝イズムを全開にしたレイリーに『戦場を舞う鴉』エレンシア=ウォルハリア=レスティーユ(p3p004881)は一寸止った。紅色のビキニには黄色のワンポイントが飾られている。そんな夏真っ盛りな愛らしさを前面に押し出しているエレンシアの眸が好奇に細められて――
「割ろうとすると割り返しに来るだぁ? ははっ、面白れぇじゃねぇか! 上等だ、叩き割ってやんよ! つーかここ、なんでそんな変なもんばかり出るんだ?」
 その言葉にカイトとカヌレは首を振った。都合が良いという言葉が当てはめられるコンテュール家の悲哀である。
「……まあいいや。終わったらバーベキューだってな、楽しみだぜ!」
「ええ、そうですわね。さあ、楽しいスイカ割りの時間ですわ!
 スイカが割ってくることもあるようですけど……スイカ割りとはこのようなものなのですわね! しっかりとスイカ割の作法を学びますわ」
 勉強になりますと頷く『百合花の騎士』フィリーネ=ヴァレンティーヌ(p3p009867)にフルールは「普通はスイカは割ってこないわ?」と首を傾げる。
「そうですの?」
「ええ、多分……」
「割り返してくるならば思う存分にその心に応えなくてはなりませんわね!」
 そんなフィリーネ、白百合をの意匠を存分に凝らした水着でビーチに参戦である。水辺の女神の名は伊達では無いと手にはしっかりとエビを持っていた。
「勿論BBQの持ち込みも忘れないですわ。今日は海ですので、海鮮…大きめのエビを持ってきましたの。あとスルメですわ」


 サーフボードは一先ず預けておいて、ラッシュガードを着用したカイトは「俺は割る方だ!」とやる気を満ちあふれさせた。兎に角、肉体美を魅せつけるのだとやる気十分な鳥さんとは対照的に、エメラルドグリーンのサーフパンツに白いパーカーの史之は気後れしていた。
「男の水着ってたのしい? ……まあスイカが! バカンスが! 目の前にあるなら! 水着にくらいなってやろうじゃん!」
「ええ、その意気よ。ねえ、みんな。スイカが動いて居るみたいなの」
 指さして首を傾いだフルールにエレンシアは「うお」と肩を跳ねさせた。早く割りに来いと痺れを切らす西瓜、非常にシュールなのである。
「カヌレ様、今日も一段と綺麗ですね。大きなスイカですが大丈夫、私の後ろは貴婦人の安全圏にございます。しっかり誘導してくださいね」
 自然な流し目でカヌレを安心させようとする弥恵。目隠し布をそっと手に取った彼女にレイリーは「成程、ちゃんと西瓜割りをするのね」と呟いた。
「西瓜割り、というのは目隠しをしなくてはなりませんのね……?」
「ええ、そうなのです。そうして棒で叩き割る……いえ、物理交渉は旦那様にだけ。西瓜には我が声だけで充分です」
 フィリーネは「その様な恰好をする必要があるのですわね。勉強になりますわ……」と感心していた――が、その目の前に立っていたのはおめめガード代わりのゴーグルにギルオスのぱんつを顔面に張り付けた恐ろしき花嫁なのであった。
「何だっけか、目隠ししないといけないんだったか? まあちょうどいいハンデ戦だ、付けてやろうじゃねぇか。戦場は何があるか分からねぇ、ちょうどいい訓練にならぁ」
 堂々と目隠しをしたエレンシアの隣で、カイトも同じく目隠しをして堂々と立っていた。
「ま、俺は海の男だ。翼に当たる潮風が俺を味方してくれる! というか、カヌレ様の前で失敗は出来ねぇからな!」
 広域俯瞰で覗き見ようとしたカイトは西瓜に抗議されたが、それはさて置いて――海洋王国民として貴族派筆頭のコンテュール令嬢の前での粗相は許されないのである。
「割りたかったら目隠しするのね? ふふ、何も見えないわ?」
 こちらかしらと首を傾いだフルールにサポートはお任せ下さいとプロ花嫁が胸を張った。
 割ろうとしてくる西瓜vsイレギュラーズによる決死の西瓜割りの戦いの勃発である――!
「このデカい種植えたら大きく育つのかな。アクエリアで大量発生とかしてないよな?」
 初っぱなにフラグを立てるカイトに小さく笑ったエレンシアは「植えたら沢山食えるな」と戦意を漲らせながらそう言った。棒を構えた少女はレイリーの立てる音、そして叫ぶ澄恋と堂々と支援するフィリーネに頼り、地を蹴って。
「よっし行くぜ! 特大スイカ割りだ!」
 ドオオオオオン―――――
 銅鑼を鳴らすようにレイリーがスイカの目の前でそう叫んだ。
「さぁ、私の相手をしてもらうぞ! 巨大スイカ! さぁ、みんな聞こえる? こっちよ!」
 スイカを己の元に惹き付ける。盾を大きく出して、スイカを惹き付けるレイリーは己の身を削っても西瓜割りを成功させる気概であった。
「ソルベ様の仇ぃいいいいい!」
 まるでソルベが死んだかのようにカイトは全力で西瓜へと叩き付ける。まだ割れないか――西瓜が勢いよく種ミサイルらしき謎の攻撃を発した刹那、「きゃあ!」
「カヌレ様!」
 大事なお姫様を護らなくてはならないと界人が振り返る。ソルベの暴走も恐ろしい。慌てて振り返ったその先で目隠しがあれど音でその居場所は分かったと弥恵がカヌレを護る様に立った。
「レイリーさん、そっち行ったよ!」
 史之の言葉にレイリーは頷いた。彼女のテスタメントで寄り音を拾いやすくなった耳は司令塔として十分だ。
「OK、有難うね!」
 レイリーが盾で種全てを退ける。フルールは任せてと云わんばかりに『適当』に投げた。
「刺さるかしら? 味方に当たったらごめんなさいね。前が見えないから、ね?」
「きゃあ!?」
 弥恵の叫び声が聞こえる。刺さった――訳ではないのだろうが。水着がずるんとずれた『気配』がしたのだ。弥恵のその様子にフィリーネがタオルを投げて寄越す。AP(ちから)を余分に使った気さえした。
「え、え、大丈夫ですか!?」
「え、ええ、大丈夫ですわ! 一先ずは!」
「一先ずってなんですか――――!?」
 大騒ぎの弥恵にくすくすと笑ったのはフルール。のんびりマイペースながらも西瓜を狙う手は止らない――アルミラージが早く早くと急かすのだから、のんびりしても居られないだろうか。
「割れたら頭らしいスイカが赤い液体を飛び散らせながらバラバラになっちゃうのよね。なんか可哀想ね。
 でも私達も食べたいですしねぇ。まぁ仕方がないわね。ほら、アルミラージはよだれを垂らさないの。そのままじゃ攻撃は当たりませんからね?」
 涎をだらだらと垂らしている一角ウサギのアルミラージの涎が滝になっている。そんな様子にもフルールは「あらあら」と小さく笑った。
「メェ゛!」
 左、と澄恋が叫んだ。
「右ですわ! 2m程走って!」
 フィリーネの指示と食い違っていると弥恵の足が絡む。
「……すみれ様、誘導がバラバラで……え? そっちは? キャーーーー!? これはカヌレ様!? あれ、レイリー様もちょっとー!!」
「ぎゃふん」
 ばたんと倒れたカヌレを下敷きにする弥恵。うっかりハプニングに巻き込んでしまったと大慌ての弥恵が起き上がれば、迫りくるスイカの位置を確認した史之が棒に炎を纏わせて一気に飛び込んだ。
「――割れろ、いいや、はぜろ!」
 灼熱の日差し、灼熱の砂浜と来たならば、そう。灼熱のスキルに限る。
「攻撃出来なくても護ることは出来るわ」
「攻撃が来そうですわ! 構えて下さい!」
 叫んだフィリーネは自身の責務は果たしたと云わんばかりにバーベキューの手伝いに馳せ参じていた。決してコレはサボりではないのだ。APの節約と維持という戦略的な休憩である。
 レイリーを回復し、戦略的に指示を送るフィリーネの声を頼りにカイトが「よっしゃあ!」と棒を振り下ろす。
 がん、と固い音。中々割れないとボヤくカイトに史之も肩を竦めて。確かにこのスイカ、一筋縄では割れてくれないのだ。
「まあ、こんなにも割れないものなのかしら? まだ割れていないの?
 ええと、じゃあ、こんなのはどうかしら。大きなスイカ。ばーんと割れて貰えると嬉しいのだけれど♪」
 にんまりと微笑むフルールが「えい」と可愛らしい掛け声と共にスイカへ向かって『きゃんでー』を放った。
 遠距離的に飛んで行くそれに合わせ、エレンシアは「どっちだ!」と叫んだ。
「めぇ゛!」
 南南東と澄恋は叫ぶ。デスボイスさえもが武器となる、げに恐ろしい花嫁である。
「あたしを割れるもんなら割ってみな! 逆にぶち割ってやるぜ!」
 スイカ如きに負けててたまるか。その勢いの儘巨大スイカへ向かってエレンシアは叩き込む。訓練にも丁度良い、手を抜くこともない一撃がスイカに罅を与えた。
「罅が入りましたわ!」
 フィリーネの驚愕の声に弥恵が「此の儘参りましょう!」と躍る様に飛び込み――タオルがひらりと舞う。
「弥恵様、いけませんわよ!!」
 カヌレの叫び声にフルールはそっと目隠しを隠して「まあまあ、弥恵おねーさん、大変ね?」と小さく笑うのだった。
「きゃあああああ、助けてください―――――!?」
 本日も天爛乙女はハプニングの連続なのだった。ハプニングの支援を行うフィリーネとカヌレを一瞥してから、お任せあれとデスボイスを響かせたのはプロ花嫁。
「か弱い乙女ェ゛! ――ふう、割れる西瓜はただの西瓜……旦那様に相応しくありません!」
 ばきん、と音がしたスイカはものの見事に砕け散ったのだった。


「あぁ、スイカ割り楽しかった♪」
 割られてびくびくしているスイカなんてとっても愉快だったとフルールはくすくすと笑い続ける。
 まるで生物のような死に(われ)様であったと目を細めて笑えば、足下ではアルミラージがかしかしとスイカを齧っているのが目に入る。
「あらあら、つまみ食いはイケない子よ?」
 ひょいと抱え上げればもっと頂戴と精霊がフルールにアピールしていた。ビーチで水着で、そして西瓜割りをして。
 夏を満喫したのならば、乙女の為にサポートするのが男子諸君の役目だと史之はカイトをこつんと小突いた。早速のバーベキューの始まりだ。
「このスイカって食べれるんでしょ? 実を砕いて甘いサワーを作ろうか。誰かどうかな?」
 史之が準備をして居る様子を眺めているレイリーは「あら、美味しそうじゃない!」と微笑んだ。
 レイリーはちゃっかりとビール片手に肉の焼かれ待ちをしているのである。網の上に肉を運んでいる澄恋はにこにこと微笑んで居た。その頭にはギルぱんを被っているのを抜きにすれば良妻である。
「その、頭にかぶっているのは……?」
 恐る恐ると問い掛ける弥恵に澄恋は「良いでしょう? 何故かこのギルぱん持つと上手く料理ができますから」と優雅に微笑んだ。
「その様なことあるのでしょうか……」
 ――思えば屹度あるのだろう。
 カクテルグラスを手にしていた弥恵は準備段階で三角巾のようにパンツをかぶっている澄恋にそういうものもあるのだろうと妙な納得を強いられている気さえしていた。パンツから角が二本ちゃんと出せてかぶりやすいですよねぱんつ……。
「具材、串に刺しておいたよ。火加減もこれでいいかな?」
「ええ、有難うございます。それでは、ファイヤー!」
 史之の細かな気遣いを受けながら、澄恋は早速と肉をばんばん焼き続ける。
「はい、カヌレ嬢。そういえば、お兄ちゃんどこ割られたの?」
「………」
 カヌレは目を伏せた。史之は後でソルベを揶揄いに行こうと心に決めたのだった。
「肉! 肉! 時々ねぎ。肉! ついでに魚と貝! 流石いい食材を使ってるぜ。少なくとも魚介は良い目利きしてるぜ。
 焼肉のいい匂い、食欲が湧くぜ。羽毛に匂いがついちまうが気にしない! ……や、俺は食材じゃないからな!?」
 そういえば、鶏肉が足りていないような。史之は串打ちして焼き鳥をビール片手にというのも最高だと語った。
 レイリーが「良いわね」と微笑み、コップにソフトドリンクを注いでいたエレンシアも笑みを零す。
「いい匂いだからって焼くなよ!? 絶対に焼くなよ!? アアアアアーーーーーー!?」
 カイトの叫び声を聞きながらレイリーは鉄板の上の肉を取り分ける。フルールの皿に野菜と肉をバランス良く取り分ければ「あら、有難う」と彼女はチェアに腰掛けて穏やかに微笑んだ。
 サマーパラソルの下でフィリーネはのんびりとウーロン茶を飲んでいた。カヌレとレイリーが「フィリーネ様、こちらはどうですの?」「ほら、これも食べなさいな」と奨めてくる様子に目を細めて。
 フィリーネは姿の見えなくなったカイトは何処に行ったのかと少しばかり気にもなったが――肉と海老、海鮮類の供給にそれもすっかりと頭から抜け落ちたのだった。
「さぁさぁ、みんな食べなさい! カヌレ殿も配ってばかりじゃ無くて食べなさいよ?」
「それは自分自身にも伝えろよ。一仕事済んだ後の肉と茶は旨いな!レイリーも焼いて配るだけじゃなくて自分の分も食えよ」
 揶揄うように笑ったエレンシアは運動の後の肉は一層に旨いと茶を呷る。史之がノンアルコールカクテルを配り歩く。
「こういう日は遠慮しちゃいけないわよ! っと、有難う。エレンシア」
 レイリーはビールを手にし、取り分けておいた肉を口に運ぶ。ビーチのBBQは格別な味がする。
 食事時ならば歌と踊りで余興を楽しんで欲しいと弥恵は夏らしく情熱的に踊り続ける。
 宙返りを織り交ぜた派手なダンスは目に美しい。
「花嫁のお嬢様、良ければお手を拝借させてくださいませ。
 まるで指輪を嵌めるようにそっと左手に手を添えて踊らせてくださいませ」
 微笑む弥恵のダンスに誘われるカヌレに「まあ、綺麗」とフルールが手を叩いて。ワルツならば淑女の嗜み。堂々と踊るカヌレへと微笑む弥恵は「さあ、魅せましょう」と笑みを零した。
「あれ? ……そういえば、カイトさん知らない?」
 史之の問い掛けにフルールは「カイトおにーさん? 知らないわ」と首を振った――

成否

成功

MVP

耀 澄恋(p3p009412)
六道の底からあなたを想う

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でした!
 ぱんつ、どうしてかぶったの……(一番振り切れていたので、MVP差し上げます)

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