シナリオ詳細
夏だもん、口説け、サンドリヨン・ブルー!! え、いや、おじさん?
オープニング
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小説家のおじさんには夢がある。そう、ローレットで切り出したのは小説家 藤井奏だった。彼は恋愛小説を主に書いている。
「ひと夏の経験ってやつをだね、僕はしてみたいのだよ!! それがおじさんだろうとね! ということで、サンドリヨンくん……君の名を貸してほしい」
「……? それはどういうことですか?」
【ロマンチストな情報屋】サンドリヨン・ブルー (p3n000034)は小首を傾げながら、おじさんこと奏の提案に妙にドキドキしている。だって、何だか面白そうなんだもん。
「簡単に言うと、ローレット・イレギュラーズの諸君に君を口説いて欲しいという依頼を出す。で、当日、素敵なプランを練って待ち合わせ場所に行くわけだ……うん、夏だから海がいいな。海で……口説かれてみたい……あれよ、ハーレム! 私の奏さんよ!!って言われてみたいのさ! ああ、すまない。僕の妄想が君を置いていってしまった。話の続きをするとだね、僕! 君の代わりに僕がいるわけだ」
「!! 凄いです。所謂、ドッキリってやつです。流石、作家さんです!」
「はは、よせやい……照れるじゃないか。ちなみに僕はBLも好きだから男性にも口説かれてみたいね……」
「ふふ。では、僕はレンアイスペシャリストがくるよう祈っていますね」
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当日、サンドリヨン・ブルーを口説くために海に集結したローレット・イレギュラーズ!!! サンドリヨン、知っているか? 恋愛はスポーツだ。緻密な作戦が勝利を掴むのだ。さぁ、まずはどう、皆を出し抜いて二人きりになろう。そして、それから………
「皆さん、お待たせしました」
穏やかな声に振り向き、笑顔を見せる一同。だが、その顔は一瞬で驚愕の表情に変わる。
「エ? ドチラサマデ?」
「初めまして、ローレット・イレギュラーズの皆さん。僕は作家の藤井奏だよ。君達に口説かれにきたんだ」
アロハシャツのおじさんがふにゃりと笑った。
「!?」
驚きながら、始まってしまった恋愛バトル。さぁ、果たして勝つのは──!!!
- 夏だもん、口説け、サンドリヨン・ブルー!! え、いや、おじさん?完了
- GM名青砥文佳
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2021年08月27日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
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「まさかいきなり見知らぬ男性を口説くことになるとはね。だが、準備していたことが多少変わるだけ。問題はあるまい」
『天穹を翔ける銀狼』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)が呟く。
「皆で依頼者を満足させられる様、頑張ろうねぇ♡」
『Queen』クイン(p3p009129)が楽しそうに目を細める。
「しかし、強敵ばかりだな」
『二人一役』Tricky・Stars(p3p004734)である稔が呟き──
「だが、この俺の完璧な脚本でアイツを屈服させれば良い訳だな? ヨシ!」
『えっ、お家帰っていい?』
虚が驚く。
「もしかして怖気づいたか? 俺の美貌に敵わないと」
『は? んなわけねぇし! 奏さんは俺のもんだ!』
「まったく、ライバルが多いな」
『甘いくちどけ』金枝 繁茂(p3p008917)は花冠を抱え、ふっと笑う。
「でもさ、ライバルが多いと燃えるよね! 特に今シーズンは色々と男喰の技術を模索してきたからその成果を応援してくれる人たちに魅せていきたいね! あれ? これ、選手コメントだ!」
金枝繁茂の疑似人格、男喰のハンモが花冠を頭にのせ、豊満な身体を大きく揺らし始める。
「ふふ、楽しそうですねぇ。でも……サンドリヨン殿に騙されるなんてとても悲しいですねぇ。今度、お会いしたら泣いてあげましょうか。そして……永遠に許してあげませんから……と、まぁ茶番はこの辺りにして」
『被虐の心得』日暮 琴文美(p3p008781)は『自然を想う心』エルシア・クレンオータ(p3p008209)を見つめる。
「エルシア殿はどのような戦略を? わたくしは海辺で行われる花火に誘うつもりです」
「良いですね。琴文美さん、私のコンセプトは傷心旅行中の一期一会です。弱みを見せて誘うのは王道ですからね!」
エルシアは笑う。
そこから少し離れたところに『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)が立っている。
(俺は沢山、予習してきたんだ。だから大丈夫かな。まぁ、読むのは初めてだったけど)
この三日間、何処からか届いた参考書(様々なおじさん総受けの漫画や小説)を読み耽った。
「いけるよ。俺は貴方に一目惚れしたんだから」
恥は捨て情熱を秘める。
「夏は開放的だ。そして、とても暑い」
『機械仕掛けの羊』ユール(p3p009966)は知的に背筋を伸ばした。ユールにとって依頼は2回目だ。1度目はスライムと戯れるような仕事であり、今回は誘惑。何だか凄いことになりそうだ。
「藤井おじさま~、大好き☆」
ハンモが奏の雄っぱいをツンツンしまくり、奏が顔を真っ赤にする。
「何やら周りは甘言を述べているが経験者のする事だ。何か意味がある筈。なるほど……ああやって警戒心を解くのだな! 正直、経験は無いが引き受けたからにはせねばなるまい」
ユールは頷き、ラブポーションの蓋を開ける。そう、友人にすすめられ持ってきた香水。
「香水はデートの基本らしい。 ん、デート? それなのに何だ? デートなら何故、カナデは俺の元に来ない?」
手首と首筋にラブポーションを塗りたくり、ユールは奏を睨み付ける。
●
「おじさま、すっごい体でハンモどきどきしちゃう♡」
ハンモが奏のうなじを指でなぞり、耳に息を吹きかける。
「わっ!?」
「奏」
「ど、どうしたの、稔くん。喉でも渇いた?」
「いや? 喉よりも俺は奏に飢えているな」
上目遣い&真っ青な舌で自らの唇を稔はペロリ。誘うような仕草に奏はどきりとしたし、目の前が急に真っ暗になった。
「え? あれれ?」
「おじさま! すいか割りの時間だよ☆ 皆で囁いておじさまを導くの!」
ハンモが奏を大きく回し始める。
「スイカまでまだ遠いぞ、集中しろ」
繁茂が囁く。
「それでは外すぞ。左だ」
稔の冷静な声。
『奏さん、違うよ。右だよ。俺を信じて』
「虚くん」
ドキドキで立ち止まる奏。
「下も大きいのかな?」
ハンモが突然、奏の下半身に触れる。
「あひゃっ!?」
「奏、呼吸が荒いが大丈夫か?」
「繁茂くん……大丈夫だよ」
『慌てるな、俺がいるよ』
虚が奏を後ろから抱きしめ、手を添える。
「おいおい、妬いてしまうな」
稔が笑う。
「ふふふ☆ 皆でこのまま二刀流しちゃう?」
ハンモが囁く。
「!!」
「バカの言った事は真に受けるなよ」
繁茂が言い切る。
『奏さんの身体、熱いね』
「うん、皆のせいだよ」
「おじさま、ちょっと後ろだよ」
ハンモが不意に囁く。
「いいや、もっと前だ」と繁茂。
「え、えと」
「ね? 誰を信じる?」
ハンモの声が耳の奥に響いた。
「迷う必要はない」
繁茂の声が聞こえた。
「そうだ。右に進もう、奏?」
『左かな、奏さん』
虚と稔の声が交差する。
「さぁ選んで」
「早く選べ」
ハンモと繁茂が囁く。
「えいっ! 此処かな!」
奏はその場で棒を振るう。
「あ、違ったね」
砂を叩く奏。
『優しい人だね、奏さん』
虚が目隠しを外し、最高の笑顔をプレゼント。奏は目を細めた。虚のオレンジ色の髪が輝き、虚の視線が奏を貫く。
『俺、奏さんのこともっと知りたい。いっぱい教えて? でさ、俺のことも知って欲しい。奏さんには年下の子供じゃなくて一人の男として見てもらいたいんだ』
正面から奏を抱きしめる虚。
「虚くん」
『奏さん、鼓動が早くなってる。俺と一緒だね。奏さんと過ごしてると普通じゃいられなくなる』
「……物欲しそうな顔をして。これだけ愛を与えられてもまだ足りないのか? 強欲な奴だ」
奏の耳に別の声が触れる。
「!?」
「俺を選んでみるか、奏。この世では味わえないような幸福でお前を満たしてやろう」
「稔くん」
奏の頬を両手で優しく包み込み見つめあえば、途端に奏は目を逸らそうとする。
「俺からは逃げられない」
『ちょ、奏さんは俺とお喋りしてるんだけど!?』
「そうか? 奏は俺にしか興味がないようだが?」
「ううん、ハンモかな☆」
「奏は俺と付き合うべきだ」と繁茂。
「選べないよ~~!」
叫び声を上げた瞬間、昼間用の打ち上げ花火がぽんと打ちあがり、猫のぬいぐるみが奏の胸元に。
「え、え?」
キャッチした奏にStarsが言った。
「今日のプレゼントだ、奏」
『いいね、驚いた顔も可愛い』
●
「イズマくぅーん、こっちこっち☆!」
ハンモが飲み物を抱えたイズマを呼んでいる。そこには奏とStarsとユールがいた。水着姿のイズマが大きく片手を振り、奏に駆けていく。
「はい、運動の前の水分補給」
イズマが冷えた缶を奏に手渡せば、奏は嬉しそうな顔をする。
「僕、麦茶大好きなんだ」
そして、始まるビーチバレー。観客はStars。
「んっ!?」
奏はボールを顔に受けそうになったり、転倒しそうになった。そう、誰と組んでも。イズマが奏を抱き寄せ、ボールを片手で弾き「カナデ、怪我はないか?」とユールが倒れそうになった奏を抱きしめる。
「奏さん、俺がそのボールを貰おう」とイズマ。
「下がっていろ、俺が打つ」とユール。
奏にボールを触れさせないイズマとユール。
『ビーチバレーってこういうもんだっけ?』と虚。
「いいや、まるで違うがイズマとユールにとって奏は姫のようだな」
稔が笑う。
「あっ」
遠くに転がっていくボールを奏が追いかける。
「カナデ、俺も行く」
パッと飛び出すユール。
「カナデ」
「ユールくん」
ボールは奏の足元にあった。
「……アンタは可愛すぎる。だから、俺は我慢が出来ない」
ユールが上目遣いで奏を真正面から見つめる。勿論、スキルは使わない。
「カナデ、俺のもとへ来い。共に繁栄しよう」
「繁栄!?」
「俺はアンタの子を宿せる」
「ふぁっ!?」
「……それとも」
目を伏せ、儚げなユール。
「故郷亡き身元も知れない俺では不安だろうか……?」
「え、ちが……あっ」
奏は口を噤んだ。ユールが胸ぐらを掴み、奏を引き寄せる。
「だが、悪いな。力づくでも来てもらうぞ……カナデ、これはアンタが悪いんだからな」
ユールはふんと鼻を鳴らし、奏を見据える。
「そうだね。僕が君達に……いや、君に依頼したことだ。だから、僕が責任を取るよ……」
奏は微笑み、ユールをそっと押し倒した。
「奏さん、遅かったな。あれ、ユールさんは?」
イズマが小首を傾げる。
「えと、一人で休みたいって……」
「そうか。奏さん、今から皆でカレーを買いに行かないか?」
「いいね!」
「良かった。カレー美味しいもんな」
「でも、二人だけがいいな」
奏の言葉にイズマは無意識に頷いていた。
幸福な時間。思いがけず、奏を独り占めできた。
「美味しかったね」
「だな。美味しかった。奏さん、後片付けをしようか」
何も知らない奏を連れ、イズマは海の家の裏に向かう。
「あれ?」
不思議がる奏を見つめ、イズマは壁に奏を追い詰める。
「俺より少し背が高いな……ゴメン」
首筋に顔を寄せ、脚を絡め奏の姿勢をパッと崩す。転んだと思って奏は声を上げたがしっかりとイズマが奏の脇や腰を支える。同じ目線。身体を密着させれば、何もかもあつい。
「俺、奏さんのことが好きだ」
耳元で囁くイズマ。びくりとする奏。イズマの香水だろうか。上品な薔薇の香りが心を大きく揺らす。
(奏さん、いい名前だ。音楽に生きる俺が最も大切にする字。最上の存在。俺じゃなきゃ駄目だ)
「だから……付き合ってくれないか」
額を当てて、熱を伝えて。奏に優しく触れながらイズマは伝える。
「うん、僕も君が好き……」
「ありがとう」
イズマは唇を触れあわせる。奏の唇はとても柔らかかった。
「……そろそろ皆の所に戻ろう。でさ、後でまた二人になろう? 俺、もっと奏さんのことを知りたいんだ」
イズマは笑い、奏に指を絡めた。
●
「どぉも、お兄さん♡ 隣いいかなぁ? 俺はクイン、恋愛のお話が大好きな唯のお兄さんだよぉ♡」
青いビーチチェアーに座る奏がクインを見つめ、頷く。
「奏ちゃんってぇ、恋愛小説家なんだってぇ? よければ色々とお話聞きたいなぁ♡ ね、そういうお話はどこで仕入れるのぉ?」
クインは真っ赤なビーチチェアーに腰掛ける。
「知人や友人、僕自身からかな。本屋の店員に恋をした男が駐車場で彼女を何時間も待ってたりとか」
言いながらクラクラしてしまう。そう、強力な媚薬を飲んだかのように。
「わぉ、過激な感じだぁ。そういう話もいいねぇ♡ 俺の周りにはね、両片思いの子達がいるよぉ♡」
「いいね。至極、眩しくて可愛いなぁ」
「だよねぇ。ふふ、恋してる子達のお話聞くのはもちろん楽しいけど第三者からのお話もとっても楽しいなぁ♡ ねぇ?」
奏を自らの胸元に引き寄せるクイン。動揺した奏がビーチチェアーから転げ落ち、砂の上に座り込んだ。立ち上がり、クインは座り込む奏を見下ろす。
「キュートだなぁ♡」
クインは奏の頬をゆっくりと撫でつけ、耳元で囁く。
「奏ちゃんの事、気に入ったから俺の初めての人になって欲しいなぁ♡」
「!?」
「……あはっ♡ なぁんてね♡ ドキドキしてくれたぁ? ドキドキしたなら、ご褒美、ちょーだい♡ んふふ、いいでしょぉ♡ 奏ちゃん?」
クインは手を伸ばし奏の顎に触れ──軽く持ち上げる。
(勿論、NOはないよねぇ。だって、奏ちゃん。俺に夢中なんだもん♡)
色欲の悪魔は優しい笑みを浮かべ、奏の唇に自らの唇を強く押し当てた。
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海の家はとても賑やかだ。そう、自然と相席になれるくらいに。エルシアは奏に近寄る。
「小父様、相席しても?」
エルシアは缶ビールを手に尋ねた。
「ええ」
「良かったです、とても混んでいるので助かりました……」
エルシアは暗い笑みを浮かべ、席に座る。ビールには手を付けない。頬杖をつき浜辺を眺め、エルシアは溜息をついた。
「大丈夫?」
「ええ。ただ、海にいると……何故か、どなたでも魅力的に見えますよね」
はぐらかすような口調。奏は静かに頷く。
「……」
(それに比べて私は)
自嘲気味に笑えば奏が心配そうな顔をしている。
「あ、ごめんなさい。あの、良かったら飲みますか? つまらない女のお詫びとして」
普段は飲みもしない麦酒を奏に譲り、エルシアは作り笑いを。
「何を貴女に伝えるか僕は迷うけど人生は難しいものだね」
「はい……でも、小父様の方が若いのでしょうね」
「え? ああ、そうか、君は」
この言葉に続くのは──きっと、僕より永いのだね、だろうか。
「同情はいりませんの……でも! 私なんかより遥かに短期間で老成できて……忙しない毎日に、後悔も罪も洗い流せて……そうでなくとも何百年も苦しむ必要がないのが誰よりも羨ましいだけですから……」
エルシアは奏の悲しそうな顔にハッとする。
「……小父様、危ない火遊びにでも現を抜かせば、私も気が紛れるのでしょうか……優しい小父様なら……私に何をしてくださいますか……?」
欲望を向けるエルシア。
「僕……ならば、そうだね……」
奏が唇を寄せるように近づき、目を閉じたエルシアの耳元で囁く。
「君と猫カフェに行きたいな」
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ゲオルグの視界に笑顔のエルシアと嬉しそうな奏が映っている。
(二人とも良い笑顔でとても、楽しそうだな)
ゲオルグはほっこりする。勿論、それを邪魔する気はない。
(盛り上げるための演出になるならいいとは思うのだがせっかく二人きりになれたのに他の者によってアピール出来ないのは辛いからな)
ゲオルグは静かに待っている。酔いやすい奏と二人で酒が飲みたいと思った。だから、私が口説くのは後の方がいい。
(奏に何かあっては困るのだ)
少しずつ人のいないテーブルが増えていく。良い感じだ。
(これで口説いている姿を見られる心配もない。それに話も出来れば、聞かれない方がいい)
そんなことを考えていたら、奏は一人になっていた。ゲオルグは息を吐き、ぐいとシャツのボタンを胸元まで外し、歩き出した。
「一人で飲むのも寂しいのでな。良かったら一緒にいいだろうか?」
ゲオルグは缶ビールを二本、奏に見せ笑う。奏は頷き、隣に座るゲオルグと乾杯する。ビールが舌に触れ、瞬く間に喉に流れていく。
「(二本目だから)眠い」
口実のようにゲオルグの肩に頭を預ける奏。
「普段、飲んだりはしないのか?」
「うん……」
甘え、とろんとする奏。ゲオルグの服装はシャツにサーフパンツ。ちらりと見える胸元。大人の色気がむわりと漂う。
「そうか。書くのは楽しいか、奏?」
「え? うーん、大変かなぁ……でも、終われば楽しくてまた書きたくなるよ」
「奏、とても偉いぞ」
「ありがとう」
「ああ、聞くくらいするさ」
奏の肩を優しく抱き寄せ──
「奏、私と一夏のアバンチュールと洒落込まないか? 何もかも忘れて」
ゲオルグは奏の顎に指を添え、軽く引き上げた。互いの瞳がキラキラと光っている。
●
琴文美は海を眺める奏の大きな背を見つめる。
「ああ、素敵な貴方」
「え?」
「僕? 貴女ではなくて?」
「ふふ……お上手、なんですねぇ」
「本音なのだよ」
「ならば、わたくしと……夕暮れの花火にご一緒して下さりません? 子供のようなわたくしとではつまらないかもしれませんが」
「僕は……子供とか大人とか関係なしに貴女と花火が見たいな」
へへと笑う奏。
「ありがとうございます……わたくしはフミと申します、あなたの名前をお伺いしても?」
「僕は奏だよ」
「奏殿、ですか……お名前も素敵ですねぇ。ふふ、ねぇ……もっと近づいてもいいでしょうか?」
琴文美は奏の腕に手を添える。
「ぼ、僕、汗臭くない?」
「いいえ。むしろ、甘くて美味しそうな香りが」
「えっ」
「冗談ですよ……でも、近づきすぎちゃいましたか? 離れた方がよろしいです?」
「フミさんさえ良ければ僕は構わない、よ」
「ふふ、貴方に近づきたくて……少し性急でしたかねぇ?」
空を着飾る真っ赤な光。
「ああ、フミさんみたいに奇麗だ」
火の粉が小さな光を放ち、ゆっくり消える。
「ありがとうございます。でも……貴方の方が素敵に見えてしまいます……どうしてでしょうか」
「どうして……僕は、貴女から聞きたい」
「わたくし、こんな気持ちになるのは初めてで……どう言葉にしたらいいものか。ふふ、お恥ずかしいです。わたくしの気持ちは……ふふ、貴方の解釈にお任せ致します、奏殿。それに乙女から先に言わせるなんて……いけずな方。それとも……こんなに焦がれているのは……わたくしだけでしたでしょうか?」
琴文美の言葉に奏が喉を鳴らす。
●
夜は波の音がとても良く聞こえる。
「楽しかったよ。皆、ドキドキさせてくれてありがとう! 僕、絶対、若返ったね!」
奏はにこにこしている。
「楽しかったけど、恥ずかしくて赤面しかけたな」
イズマがぽりぽりと頬を掻く。
「んふふ、お疲れ様ぁ♡ 口説くなんて初めてだったけど、ドキドキしてくれてたかなぁ♡」
「嘘、初めてだったの!?」
クインを見つめる奏。ユールは熱っぽい視線を奏に向け、イズマは持ってきた手持ち花火を繁茂と稔に手渡す。
「僕、フミさんにもドキドキさせられっぱなしだったねぇ」
「恋愛小説やら色々と予習をしたのです」
(わたくしは何事も自分が劣る事を許しません。そんな自分は誰かを斬り殺したくなる程に解釈違いですから)
ふっと笑う琴文美を見つめながらエルシアが手を上げる。
「皆さん、もう少ししたら星空観賞でもしませんか?」
「いいね、賛成!」
微笑む奏。一同はゲオルグが用意した巨大なレジャーシートに横たわり、星を見上げる。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
ぐへ~~~~、このリプレイ、甘すぎるッ!!!! ときめき過ぎて奏以上に青砥のハートが壊れるかと思いましたよ……みんな、良かった……すき……あ、告白しちゃった。そして、MVPは貴女に贈ります。奏を翻弄する感じが最高に良かったので……(拝む)皆さん、ありがとうございました!!! また、お会いしましょ♡!!!
GMコメント
青砥です。夏はね、恋愛の季節だよね!!! やったー!!!!! あ、騙してごめんなさーい!
●目的
おじさん奪い合いの恋愛バトル。全てを駆使し、おじさんの心を掴め! 性別問いませんので是非!!! 口説くことに自信がある方は是非とも!! 腕試しだよ!!
●場所
カムイグラの奇麗で穏やかな海
シチュエーションは昼間 人はそこそこいます。海の家で焼きそば、焼きおにぎり、焼き鳥、かき氷、いか焼き、カレー、フランクフルト、フライドポテト、たこ焼き、ジュース、アルコールの提供があります。浮き輪と水着のレンタルもあります。
●小説家 藤井奏(ふじい かなで)
四十五歳。恋愛小説を書き、そこそこ売れている。王道シチュエーションが大好きなおじさん。ロマンティックかつ情熱的に口説かれてみたい。すぐ、ときめいちゃう。見た目は優しそうなおじ様。短髪(白色)+色黒+眼鏡。実は脱いだら凄い。190㎝程ある。お酒は弱いけどすき。あと、泳げません。あれ、イケオジかしらん……?
●情報精度
このシナリオの情報精度は不明です。だって、恋愛に……想定内、なんてものはないでしょう?(ドヤ顔)
【注意】
リプレイに【ロマンチストな情報屋】サンドリヨン・ブルー (p3n000034)は登場致しません。
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