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シナリオ詳細

<Bloom*Bloom>その赤が花開く

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●勇敢であれ
「……はぁ」
 今日がっくりと肩を落としているのは、トラブルメイカー、台風の目とも呼ばれる妖精女王のフローラではなく、シスコン朴念仁天然、フローラの兄たる外交担当のグレイシアでもなく。
「お、どうしたんだよカナタ」
「いやー……俺って無力だなって」
 彼らの護衛たる花冠師(フルール)のカナタ。若干19歳にして魔法使い――花冠師の頂点へと登り詰めた彼なのだが、巻き込まれ体質の女王様の側近になってからというものの、胃薬を片手に駆け回る毎日なのだ。
「そんなことねーだろ、あの女王様にへろへろでもついてってんだ。俺らの希望だぜ、カナタ」
「はは……」
 そう和やかに語らうのが酒場であればよかったのだが生憎ここは王城に設けられた医務室だ。
「お前はなんでそう頑丈なんだか」
「俺もそこで寝てえよ……」
「まぁ女王様の寵愛ってやつだろうさ」
「そうだぞカナタ、ありがたいことだぞ」
「まぁ確かに怪我しないのはいいことなんだけども」
 ぼんやりと頬杖をついたカナタ。目の前で横たわる病人や重症患者たちの包帯の量と言ったら、絆創膏と湿布だけで済まされた自分のメンツが保たない。
「俺達はお前よりぜんぜん健闘してねえのによ」
「まあそんな時もある」
「いつもだろうが」
 未開拓の地を拓き、野生のモンスターと戦い、時に侵略者たちから国を護るのも花冠師の仕事の一つとなった。女王が誘拐されたあの日以来、彼女の目の届かない場所での戦争は激化していた。
 一国の、それも妖精界を統べる女王の誘拐。内密に済ませたとは言え、噂が外に漏れるのは早いものだ。
「……考えなきゃなあ」
「何を?」
「なんでも!」
 カナタの銀の髪に、影がはらりと舞い落ちた。

●騎士ではなくとも
「ってことで今回は俺からの依頼。嗚呼勿論、お代は後で渡すから安心してよ」
 ポケットマネーだから弾むわけじゃないけど、と付け加えたカナタ。手書きの羊皮紙に端正な文字が跳ねる、踊る。
「今回は俺と鍛錬をしてほしいんだ。理由はまあ……色々。
 君達は知らなくたっていいことだよ」
 まあどうせ知ってるんだろうけど。物語である以上はそれが誰かの読み物になる可能性を孕んでいることを、カナタは知っている。
「武器はなんでもいい。肉弾戦でも魔法でも、ある程度は出来る方だと思ってるからさ。それに、」

「本気の君達を見てみたいんだよ、俺も」

 本当かどうかは知らない。けれど、世界を救う可能性を孕んだ可能性の渦、世界を変える主人公が君たちなのだから。
「それじゃ、気が向いたら来てよ。待ってる」

●で。
「待ってるって言ったはいいけどあなたを待ってたわけじゃないんですよフローラ様」
「私だって戦えるもの。遊びましょ!」

NMコメント

 強くなりたいと願うきっかけは人それぞれ。
 染です。カナタからの挑戦状、受け取って下さい。

●依頼内容
 カナタ&フローラと戦う

 いやなんできてんねん。それがカナタの気持ちでした。
 怪我しない程度に相手をしてあげましょう。

●世界観
 魔法世界『ブルーム・ブルーム』。
 花と魔法で満ちた世界。魔法で文明が築かれています。
 基本的には物理攻撃よりも神秘攻撃がメインの世界です。
 また、ファンタジーな世界ですので、妖精やドラゴンなど、ありえない生物がいます。

●フルールについて
 フルールとは、花冠師のこと。
 魔法や魔術を使う人々のことを指し、この世界に住まう人々の半分は花冠師です。
 現地の人々はもちろん、異世界から来た人がフルールと呼ばれる場合もあります。
 また、フルールにはギルドがあり、各々所属している団体があるようです。

●NPC
・フローラ(ティターニア)
 妖精女王、花の妖精。若草色の髪が特徴で、桜色の髪留めが宝物。
 エルフのような長耳と少女のような凹凸の少ない身体。性格はお茶目でお転婆、然しながら王としての自覚も芽生えつつあります。

 神秘範囲アタッカー。BS付与に長けています。
 内容こそは言いませんがちょっと反則な技があるようです。

・カナタ
 花冠師ギルド『Flowers Flag』のギルドマスター。
 トップクラスの実力を持つ温厚な青年です。
 剣術を得意とし、フローラ達の護衛として腕を買われています。

 両面アタッカー。回避盾がいいところです。
 攻撃はそこそこ重めです。

●フィールド
 王城内の空き地。遮蔽物は有りません。

 以上、ご参加をお待ちしております。

  • <Bloom*Bloom>その赤が花開く完了
  • NM名
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年08月13日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

サイズ(p3p000319)
妖精■■として
武器商人(p3p001107)
闇之雲
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
Kirill Lukich Shuvalov(p3p010046)
always【BADEND】

リプレイ

●故に、彼女は寂し気で。
「あら、サイズ! これは腕が鳴るわね、わたしが戦えるってことを証明するチャンスじゃないの!」
 けらけらと笑うフローラを横目に『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)はカナタに目で問うた。なんでここにフローラが、と。首を全力で横に振っていることから本意ではないのだろう、勝手に来たとでも言いたげである。
 本当に苦労が絶えないようだ。
 しかしこれはまずいことになった。カナタには悪いがカナタだけを狙うことにさせてもらおう。
(いやだって、妖精の武器として、フローラ様に攻撃するわけにはいかないしー、万が一俺のコアにフローラ様の血がついたら確実に妖精の血への渇望が暴走…狂気状態に陥るしー)
 今日はあえて組んでこなかった得意のスキルを発動してしまうかもしれないし、そうなってしまえばもう二度とこの物語に入ることはできないかもしれないという焦りが、サイズを追い詰める。故にカナタしか狙わないのだ。ちゃんとこれも作戦の内である。
「折角腕のある花冠師と戦えるから、それくらいはしっかりやり遂げないとね。サイズさんも、それで大丈夫かな」
「ああ、問題ない」
「ちょーっと、サイズ! どうして無視するのよ!」
 そりゃあなたが想定外の参戦をしているからでしょう。とはさすがに言えない。ぷりぷり頬を膨らませたフローラは仕方ないとため息をついて、後衛へと下がった。
「もういいわ、カナタやっちゃいなさい!」
「それってすっごい悪党の台詞見たいです、ねッ!!」
 虚空を薙いだ剣。サイズは身を反らしながらおまけ程度に蹴りを添えていく。
「なんでその体制から蹴れるんだよ……」
「まぁ経験って感じだな……」
「ちょっとカナタ! しっかりしてよ~」
 ぷうぷうと支援魔法を展開するフローラ。彼女も例にもれずチートに愛された女王なのかもしれない。
「わたしは相手されなくても、ちくっとさせちゃうわよ!」
「……っ」
 多勢に無勢とはこのことか、妖精の悪戯がサイズをつつみこむ。ああ、これだから妖精は!
「フローラ様、回復は控えてください」
「えー?」
「だって俺、ここまで戦うの久々なんですもん。手合わせが終わったときで大丈夫ですから。ね?」
 カナタが笑い、フローラはしぶしぶ頷いて。

●銀月
「カナタの旦那ァ。女王サマも一緒に戦うの?」
「みたいだね。俺は頼んでないんだけど……」
「…ほんとに?」
「ほんとに」
「…そっかァ。……ヒヒ」
 ゆらり、影は笑い。『闇之雲』武器商人(p3p001107)はカナタの前に立った。あるべき脅威のかたちをなぞって。
 太陽の下伸びる影が揺らめいた。踊る影が誘う。嗤う。その瞳を奪う。
「ッ、なかなかだね!」
「ヒヒ。これでも勇者だからねェ」
「ならさしずめ、俺は魔王ってところかな!」
「ちょっとちょっと、魔王なら私は――?!」
「フローラ様!!」
 身を挺して守るカナタ。いくら一介の女王とは言え、傷付いてはならない。守らなくてはいけない。護衛として刻まれたその本能が、身を盾にしてでも彼女を守る。
「うっ――、」
「カナタ……!!!」
「ちょっとした打ち身だねぇ。ヒトの身体は脆いから、すこし苦しいかもしれない。ごめんね?」
「いや、それでこそ手合わせだから大丈夫。フローラ様、回復をお願いします」
 剣を杖代わりに立ち上がったカナタは笑っていた。それでこそ不屈。それでこそ従僕の在り方。正しく、魔王は意地汚い。そうであらんとする彼の意志には惚れ惚れする、が。
「其れ以上は、いけないねェ」
 指鳴らし、影はカナタを覆う。勝てない? ならば『勝てば』いい。悪夢は消えない夢幻の在り方。さあ、おやすみなさい。
「っ――!!」
「もう、もう! 私だって戦えるのよ!」
「『知っている』とも」
「いけない、フローラ様!!」
 黒炎は消して、油断を見逃さず。手を翳したフローラの一瞬の隙をつつき、ねじ伏せた。
「さて。どうするかな、魔王サマ」
「……降参だ」
「ヒヒ。じゃあ我(アタシ)の勝ちだね?」
「……はぁ、やっぱり武器商人さんの戦い方はすごく面白いな」
「ヒヒ、そう? それはどうも」
「俺もそんな風に戦えたらまた世界が変わるんだろうけれど」
 応援係の妖精たちがわらわらと二人を囲む。スポーツドリンク、塩分をつめこんだキャンディ、はちみつ漬けのレモネード。
「ヒトにしては善戦してたと思うよ」
「まぁでも、あなたからしたら弱いでしょう?」
「そりゃねェ」
「すがすがしいくらいだ」

●弾丸鋭く
(……まぁ、当然不測の事態というものはいつもこちらの希望や意志と反して起こるもので。
 目の前の女王様とカナタの二人を見ていると、微笑ましいようなカナタに同情してあげるべきのような……。なんとも言えない気持ちになっちゃうんだよなあ)
 なんてぽりぽり頬を掻いたのは『always【BADEND】』Kirill Lukich Shuvalov(p3p010046)。Kirillからみても割と不憫な状況らしいカナタは、なんとも言い難い表情をしながら剣を握りなおした。
(それでも引き受けたからにはしっかり役目を果たしてあげないと、せめて常々胃痛の種を抱えていそうな巻き込まれ役のカナタに対して誠実な結果が出せるように!)
 よし、と落ち着いて。深呼吸して。
「ふっふーん、それじゃあ私から行くわね!」
「ちょっ、フローラ様!」
「て、手加減のての字を知らないのか!」
 にょきにょきと地中から大樹が芽生え、足元を狙っていくフローラ。彼女は妖精女王、世界に愛された妖精。チート技も軽く使えてしまうのが憎いところだ。
「あっぶな……」
「ふふ、でもこんなところじゃないでしょう?」
「まぁな! オレだって伊達に特異運命座標やってないぞ、行くぜ!」
 不運なわけがない。こんなところで負けたって、そりゃ痛くもかゆくもないけれど、プライドが許すかと言われれば別だ。
「おらっ!!」
「ひゅう、射撃って好きよ!」
「そりゃどうも!!」
「はぁっ!!」
「うわ…っ、今のスレスレ……いやほんと、邪魔だなアンタ?!」
「だって邪魔するのがわたしの役目だもの!」
 きゃらきゃら笑うフローラをカナタに向かって押すようにぶつければ、二人纏めてチェックメイト。
「これでどうだ!」
(とは思ったものの………いや、普通にまだ不慣れのオレにはハードル高かったんじゃねぇの!?)
 肩で息をしながら銃を向けたKirill。カナタは両手を上げて降参し、フローラがまとめて回復を施す。
「BS付与に回避盾……オレの攻撃…………効いてますか………?」
「うん、なかなか手ごわかったよ。射撃制度があがると更に手ごわかったかな」
「ほんとねえ! 遠距離からでも打てるってなかなかずるいわ」
「近づかないとだめですもんね」
 なんて話すカナタとフローラ。Kirillも加わって、三人で戦いの振り返りをすることにした。

●お前こそがライバル
「本気を見てみたいだのなんだの言われてもな……。
 すでに幾つかの事件である程度示してるし今更戦う必要も無いと思うんだが。後ぶっちゃけ面倒だし」
「めんどくさいっていうと思ってたよ、お前だからな」
「それにティターニアが加わるんだろ? サイズがそっちについて実質3対3とかにならない?
 そうするとパワーバランスが崩れてこっちがやられるだけで終わる気もするんだが」
「なってないよ。俺だけ痛めつけられた(語弊)」
「そしてなにより報酬が割に合わない。これは徒労に終わる予感しかしない。故に辞退させていただきたい。もっとも追加報酬をだすというならば考えよう。巷で人気のスイーツを奢るとか」
「あー……まぁそれくらいなら」
「えっ」
「えっ」
 そうとでも言わないとお前は戦わないだろうなんてカナタは笑って、『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)に告げた。
 近接型のカナタは否が応でも狙われることを理解していた。世界がフローラにあまり手を出さないだろうことも。怪我をさせたいわけではないので木剣ではあるけれど、ぶつかると痛いし魔法はAPを食うし、なんてこったと言うのがお似合いだ。
「おらっ!」
「おい、カナタ。俺だけ手加減してないとかないだろうな?」
「ヒーラーは耐久もあるだろう。それだけは厄介だから、なッ!」
「だーかーらー、そうやって力込めるなって」
「割と効いてないだろ」
「ヒーラーだからな」
「もう! 私の攻撃も効かないじゃないの!」
 BS回復という概念。世界が回復を繰り返して立ち上がる度に拗ねたフローラ。どうやらこの試合は、世界の粘り勝ちのようだ。

「さて、勝ったご褒美として巷で人気のスイーツとやらをカナタに奢ってもらおうか」
「はぁ。ちょっとだけにしろよな」
「ついでに何故カナタが鍛錬をしようと思ったのか聞いてやるか」
「はぁ!? お、お前、知ってるだろ?!」
「知ってるはずだって? いや俺ってば本のページは飛ばし飛ばしで読んじゃうから全くもって知らんなぁ!」
「こんの!! もっぺん勝負しろ、今度こそぼこぼこにしてやる!」

成否

成功

状態異常

なし

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