PandoraPartyProject

シナリオ詳細

服を溶かす系のスライム(美味しい)

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●見苦しい表現がある事をご了承ください

 世の中、よく分からん珍味というモノがある。
 しかし、そのよく分からん珍味を好んで食べる者もいる。
 特に美食に慣れた幻想貴族であれば、他者の食べた事のない珍味に手を伸ばそうとするのも自然な事。
 たとえば……そう、たとえばそれは。

「うわああああああああ!」
「ジョ、ジョニー!」
「ジョニーの服が! ちくしょう、なんて見苦しいんだ!」

 ジョニーと呼ばれた男の服が、半透明のスライムに包まれて溶かされていく。
 下着まで見事に溶けていく……逆に言えば布以外は溶けないその姿は、いっそ汚いとまで言える。

「くそっ、どうして男ばっかり連れてきたんだ!」
「仕方ねえだろ! コレ相手にするって言ったらゴミ見る目で見られたんだぞ!?」

 そう、これは服だけ溶かすスライム。
 えっちな本で登場率最多を誇り、全くそのつもりはないのにうっかり出会ってしまいたい系モンスター3年連続1位を誇るという、あのスライムだ。

 しかし、このスライム……実は、ひんやりして美味しい……らしい。
 なんか高級なブドウの味がするらしい。
 こんな汗臭そうな服を食べたスライムなんか食べたいとは中々思わないだろうが、それでも食べたいと思う人間はいる。
 そして……このスライム、結構えげつなく強いのだ。

●依頼になりました

「というわけで、そういうスライムの撃破と……死骸の回収依頼が出たです」

『旅するグルメ辞典』チーサ・ナコック(p3n000201)はとんでもなく嫌そうな顔をしながら、そう告げる。

 服を溶かすスライム。それも男も女も関係なく、その性質上ターゲットは男の服ばかり食べているのだという。
 更になんと、このスライム。誰かが着用している服を本人ごと取り込むのが好みであることが発覚している。

「その性質上かは知らねーですが、放棄された幻想貴族の別荘に住み着いてるみてーです」

 森の中にあり、持ち主である幻想貴族が飽きて放棄されたままになっているその別荘は、色んなものを置きっぱなしにしていたせいでスライムも服を食べに寄ってきたのだろう。
 たまに来る調査員や不幸な迷い人などの服を食べる事が出来るせいで、すっかり定宿として定めている気配すらある。

「ちなみに、今回の件でちょっと別荘に興味を持ち直したらしいです。なので、出来る限り壊さない方向でやるですよ」

 とはいえ、長い間人の手の入っていない建物だ。あちこちガタがきているのは否めない。
 おまけに無駄に広い。探索にも相応の時間がかかるだろう。
 それは当然、スライムにとっての狩りのチャンスが増える事でもある。

「……念のため、着替えとか持っていくといいと思うです」
 

GMコメント

幻想貴族の別荘は3階建て、本館と別館に分かれています。
ロビー、応接室、使用人部屋、主人の部屋、食堂など無数の部屋があります。
こんな部屋あるんじゃね、と思った部屋は大体あります。
何処かに拠点を定めて探索してもOKです。掃除は必要でしょうが……。

□服を溶かすスライム×5

すんごい強いです。捕まると一瞬で服が溶けます。
服を溶かされると、なんかベトベトした状態で吐き出されます。
なお、何らかの理由により溶けない服を纏っている、溶かす服が最初から存在しない相手に会った場合は色が赤に変化し戦闘力がおよそ100倍ほどになります。怖ぇ。
ただし、服を溶かした直後の10秒程はあらゆる能力が半分以下になります。

攻撃方法は身体を伸ばすことによる打撃攻撃と鞭攻撃。

□スライムの居場所
屋敷の何処かを常に移動しています。不定形の為天井の隙間から降ってくるかもしれません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はC-です。
 信用していい情報とそうでない情報を切り分けて下さい。
 不測の事態を警戒して下さい。


□最後に

諦めて服を溶かされること前提で挑みましょう。
ハジけたもん勝ちです。
なお、屋敷の掃除や修繕をしておくと幻想貴族がニッコリします。

  • 服を溶かす系のスライム(美味しい)完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年08月10日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)
木漏れ日のフルール
ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
剣閃飛鳥
Melting・Emma・Love(p3p006309)
溶融する普遍的な愛
リサ・ディーラング(p3p008016)
特異運命座標
紫乃宮・奈々(p3p008028)
仕込みバッター
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
一ノ瀬 由香(p3p009340)
特異運命座標
ユール(p3p009966)
機械仕掛けの羊

リプレイ

●幻想貴族の屋敷にて

 森の中にある幻想貴族の屋敷は、かつて別荘として理想されていたというだけあって、放置されていてなお相応の立派さを保持していた。
 美しい石を敷き詰めた床も未だ劣化の様子をみせず、しかし壁や天井などに微かな穴などが見えている個所もある。
 そんな中、『木漏れ日の魔法少女』リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)達が拠点に選んだ場所は……使用人室だった。
 本館の2階の中央に位置する使用人室はそのまま1階にも3階にも、そして別館にも即座に移動できる位置にあり、拠点としてはピッタリであったのだ。

「このくらい掃除をしておけば大丈夫でしょうか?」

 建物が大丈夫でも、積み重なった埃だけはどうしようもない。
 だからこそ、そうしたものが気にならない程度にリディアは掃除をして着替えを置く。
 更にはスライム運搬用の樽もそこに置いてある。拠点の準備としては充分だろう。

「とりあえずこの部屋の周囲は問題なさそうだよ」
「よかった。此処を襲われたら意味がないもんね」

 エコーロケーションで安全確認をしていた『清楚にして不埒』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)に、『特異運命座標』一ノ瀬 由香(p3p009340)はあからさまにホッとしたような表情になる。
 何しろ、替えの洋服やマントなどをたくさん持ち込んでいるのだ。
 それがもし探索中に溶かされでもしたら……。
 もしかすると、帰りに全裸で大行進などということだってあり得る。

「……」

 想像してしまい、思わず顔を真っ赤にする由香だが……すぐに気を取り直す。
 そうならない為に拠点を厳選したのだし、念のために分散しておいている。きっと大丈夫のはずだ。

「スライム退治、頑張るぞー!」

 言いながら手を振り上げる由香に、『仕込みバッター』紫乃宮・奈々(p3p008028)も「おー!」と手を振り上げる。

「しかし……うーん、スライム…美味しいっすかねぇ…?」

 服を溶かすような、そんなスライムを食べたいという依頼なのだ。
 奈々がそう思ってしまうのも仕方のない事だ。
 けれど、もしかしたらそれだけ美味しいのかもしれないと……そう奈々は思う。
 そして、同じ結論に達したのは奈々だけではない。
『はらぺこフレンズ』ニル(p3p009185)も同様の考えに至っていたのだ。

「スライムっておいしいのですね? ニルは、とってもとっても気になります……けど。ニルたちが食べていいわけじゃないのですよね」
「まあ、依頼品ッスからねえ。でも、ちょっとは食べていいらしいッスよ?」

 ニルに『スチームメカニック』リサ・ディーラング(p3p008016)も頷く。
 まあ、いくら美味しくても毒見もなしに幻想貴族も食べたくはないのだろう。
 そう、美味しいスライム。そこまではいい。そこまではリサにも理解できるのだ。

「美味しいスライムを捕獲するって話かと思ったら、想像した方向とは別方向にぶっ飛んでいるっすね……あんま溶かされたくないっすけど、やれる範囲で頑張るっすかね」
「食べる仕事だと思っていたら食べられる仕事だった……か」
「まあ、食べる為に食べられる仕事っすかねー」

 呟く『機械仕掛けの羊』ユール(p3p009966)に、リサは笑う。

「しかし……初めてのローレットの仕事となるが、こういうのもあるのか。俺は美味いものなら食べたいが、ただ珍しいだけのものはそこまで食べる気がしない。今回は美味そうだったから参加したのに」
「美味しいらしいのは確かですけど、ね」

 保護結界を張っていたニルの答えにユールは「なるほどな」と頷く。

(というか女ばかりだな? ……今まで性質が性質だから男の服が主食化していた奴らにとっては、女の服が珍味みたいな扱いになるのだろうか。となると、珍味が珍味を食うのか……?)

 流石にそれを口に出しはしない。そもそも「女の服の味」などという単語自体が、考えているユール自身に疑問符を浮かべさせてしまうのだ。
 ふう、とため息をつくとユールは小さな小瓶を取り出す。

「それは?」
「飲めば強くなる薬らしい。足手纏いにはなりたくないからな」
「ふーん……そうなの」

 ユールが飲んでいる小魔女の強壮薬を見ながら、『溶融する普遍的な愛』Melting・Emma・Love(p3p006309)は相槌を打つ。
 人型スライムであるMeltingとしては、他とはちょっと違った視点を抱いていた。

(服を食べるぐらいならそこまで問題じゃないとは思うの。でも色んな人の迷惑になっているのならそれは倒さないとダメなの)

 ちなみにMeltingも今回は服を着ている。そういう文化があるわけではないが、相手は服を溶かすスライムであり最初から服を着ていない相手を見つけると凄まじく強くなるスライムだ。着ざるをえないというのが実情だ。

「でもさー……なんでえっちなモンスターが多いわけ!? 清楚の名に懸けて成敗だよ!」

 ミルヴィの言葉に答える者は居ない。
 何故えっちなモンスターが多いのか。清楚とはえっちを成敗する類の称号であっただろうか。
 全ては不明だ。この場にえっち学者でも居たら解説してくれたかもしれないが……残念な事に、居なかった。

●スライムを成敗せよ

 どろり、とスライムが壁から染み出るようにして現れる。
 応接室として使われたであろう部屋に現れたスライムは……目など無いはずなのに、しっかりとミルヴィ達を認識していた。

「木漏れ日の魔法少女リディアが相手です、かかってきなさい!」

 叫ぶリディアにスライムは反応し……凄まじい速度で接近する。
 同時にリディアも囮として突っ込んでいくが……2人が交差する瞬間、スライムがスッとリディアを避ける。

「え?」
「は?」

 スライムが飛び掛かった相手は、なんとユール。

「ぐああああああああ!」

 頭から丸呑みされたユールの重ね着をしていたはずの服は一瞬で溶かされる。
 スライムに裸で飲み込まれた形になるユールの姿はなんとなくエッチな気がしないでもないが……そのままプッと吐き出される。
 まさかの1人目が男でしかもベトベトで全裸で吐き出された事実に女性陣がサッと目を逸らすが……そうしてはいられない。

「と、とにかく今がチャンスだ!」

 ミルヴィの放った黄昏のアーセファが吹き荒れる剣と嵐の幻影を創り出し、剣の嵐と共に攻め立てる。
 Meltingのダークムーンが、ニールのスティールライフが、そして由香の蹴りが、奈々のバットに仕込まれた秘剣カツオノエボシが閃く。
 次々と叩きこまれていく攻撃は、能力が半減したスライムをアッサリと撃破してしまう。

「ふうー……これで半分以下になってるんだ……怖いね」

 ユールにマントを渡していた由香が、そう呟く。
 そう、ユールの服を溶かしたことで弱くなったスライムではあるが、それでも充分すぎるほどに強かった。
 つまり……これからも誰かの服を犠牲にしなければならないということである。
 1度拠点に戻りスライムの保管、そしてユールの服を取り換えると、再び探索を始めるが……ユールのあの状態を見た後だと、全員警戒心が予想以上に強くなってしまう。

「それにしても……新人さんが狙われたのはどうしてだろうね?」

 ミルヴィが、そんな当然の疑問を口にする。
 リディアを無視してユールに襲い掛かったのはなぜか。
 確かに全員が思う疑問だが……Meltingが「あっ」と声をあげる。

「Loveが思うに……あの薬が原因なの」
「薬? そういえば何か飲んでましたね……でも……」

 確か力が強くなる薬だったはずなのに、とニルは首を傾げる。
 そう、そうなのだ。しかしユールの飲んだ小魔女の強壮薬には「なぜかえっちな目にあいやすくなる」という副作用があったりする。無論、本人が知るはずもない事だが……。

「とにかく、しっかり倒せることも分かったっす。これなら……」
「リサ!」

 エコーロケーションにスライムが引っかかったことを察知したミルヴィが叫ぶが……もう遅い。
 そしてミルヴィ自身、危機に陥っていた。
 スライムは下から、そして上から。

「ひゃあっ!?」
「くっ……やめろぉ……アタシの肌は高いんだよ! ちくしょ……やぁ……ぁ……!」

 呑まれる。溶かされる。ぬるり、ぐちゅりと。裸のリサとミルヴィがスライム達から吐き出される。

「この……!」

 しかし、ミルヴィもやられてばかりではない。
 緊急時の着替えを仕込んでいるのだ。

「ナニコレ!? えっちなぱんつじゃん……あ、あいつらー!!」

 仕込んだ領民達のサムズアップの幻影が見えた気がしたミルヴィだったが……すぐさま履くと、舞うような動きでスライムへと襲い掛かる。

「アタシはストリップは専門外なんだよっ! 価千金のこの肌と剣舞! とくと見な!」
「ここで倒させてもらうの」

 ミルヴィが、Loveが……仲間達が襲い掛かり、スライムは見事に倒される。
 倒したスライムを回収して運ばなければならないが……なんと、スライムは残り2匹もいるのだ。

「やだぁ……ベトベトぬるぬるする……早くシャワー浴びたい、グスン」
「一応こんななりでも女性っす、羞恥心の一つくらいはあるっすよ。全く、許せねぇよっす……!」

 マントを纏ったミルヴィとリサだが、此処にいるのが女性ばかりなのは実に幸運だっただろう。
 もし不埒な考えを抱く男でも居ようものなら、目隠ししてスライムに叩きこむような非道な真似を考えていたかもしれなかった。
 
「今回男子一人だけでよかった。裸見られるの恥ずかしいですし」
「服が溶けるのは、恥ずかしいことだって教わりました。これ以上、みんな恥ずかしくならずに終わるといいのですけど……今の時期は寒くなくてよかったですね?」
「教わっても分かってないじゃないですか……」

 首を傾げるニルにリディアはどうしたものかと頬をヒクつかせるが……こればかりはどうしようもない。

「とにかく、まずは……えっ?」

 警戒をしていたミルヴィに出来た隙。それを狙ったわけではないだろうが……リディアと由香に、スライム達が天井から垂れてくる。
 ぼちゅん、と。スライムが落下しリディアと由香を呑みこむ。
 じゅわっ、と一瞬で溶かされ消える服。
 それで用無しとばかりに吐き出されるベトベトのリディアと由香だが、2人の反応は異なっている。

「あー、なんか取り込まれて服だけ溶かされる瞬間、少しひんやりして気持ちいいかも」
「きゃぁぁぁ!? いやーーーっ!?」

 達観した様子のリディアと、恥ずかしがる由香。
 べとべとでぐったりしているリディアとうずくまって身体を隠す由香の差は何処にあるのだろう。
 乙女力だろうか?

「スライム、覚悟するッスよー!!」

 とにかく、これは大きなチャンスだ。奈々を先頭に全員がスライムに襲い掛かり、能力が半減したスライム達はあっという間に倒されてしまう。

「ふぇぇ……ベトベトだし裸にされるし、早く帰りたいです」
「もう終わりなの。あとはスライムを運ぶの」
「そうですね……」

 Meltingに言われリディアも由香も気を取り直すが、これを運ぶとなると……中々に気分が下がってしまう。
 とはいえ、そこまでが仕事であることは間違いない。

「このスライムはかき氷にしてゴリゴリ削ってやるー!」

 ミルヴィがそう叫ぶと、女性陣が顔をパッと輝かせる。

「かき氷、いいね! 葡萄味なら、かき氷のシロップとかにしてみたらどうだろう……? もしくはアイスやゼリーはどうかな?」
「それは美味しそうっすね!」

 賛同する由香にリサも頷き、奈々やリディアも何度も頷く。
 これはかき氷は確定路線だろうか。
 そんな事をユールが考えていると、その肩をMeltingがツンツンと突く。

「どうしたんだ?」
「悪いことをしたスライムは美味しい? らしいからLoveも食べてみるの。食べるというよりも取り込むが正しいかもしれないの。でも、そうなるとLoveも美味しくなっちゃうの?」

 なるほど、Meltingはスライムだ。そんなスライムが美味しいスライムを取り込んだら、取り込んだ側のスライムの味に変化が出るのだろうか?
 しばらく考えて……ユールは、答える。

「いや……分からんな」

 分かりはしない。ユールはスライム学者ではないのだ。

「さあ、どう食べるか決まったら、まずは着替え。それとスライム運搬と破損個所の修繕! お仕事お仕事っすよー!」

 リサの号令に従って、全員が動き出す。
 かくもスイーツは女性の気持ちを上向かせるには最適であり。
 世界は、今もなお謎に満ちていた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

コングラチュレーション!
見事にスライム達を撃破しました!

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