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シナリオ詳細

絢爛たる宝の下に

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●絢爛たる宝の下に
 R.O.Oの世界に広がる様々なネクスト。
 その一つ、ここは百鬼夜行と和、の言葉が一番似合いそうな世界……神咒曙光。
 通称『神光』と呼ばれるこの地はここ最近のVer.2.0のアップデートで追加された世界であり、他のネクストとは一味違うテイストが漂う場所。
 しかしそんな世界に幸か不幸か、迷い込んでしまう者も居る訳で……。
『……あれ、ここは……?』
 きょろきょろと周りを見渡すのは、『侍』の様な装束に身を包みし少女。
 ヘッドセットを被って、ゲームのテストプレイだよ、と言われたのは覚えている。
 でも身体を触ったりすると、現実と全く違いが無い……本当に己が身でここに迷い込んでしまったのでは……なんて思ってしまう。
『……まぁ、いっか。テストプレイだもんね、この世界にちゃんと潜り込んで、体験しないとね!!』
 不安がりそうなのが普通だが、彼女は全く気に留める様子もなく、むしろこの世界でしっかりテストプレイを務めようと張り切る。
 そして彼女は村や町を歩き、歩く人、住まう人に声を掛け、クエストを一つ一つこなしていく。
 攻略本なんて無いし、一生懸命テストプレイを熟していく彼女。
 そんな彼女が行き着いた果てのクエスト……それは、とある城に多くの宝物が収蔵されている話。
 城主が悪逆非道の限りを尽くし、村人から搾取された富をしこたま蓄えているという。
 そんな話を聞いた、真剣な彼女は。
『わ、分かりました! みなさんを苦しめるだなんて許せません……! わ……拙者が、必ず奪い返して来ます!』
 胸を叩いて、苦しむ村人達を励ます彼女。
 そして城主の元へ向かい……瀕死の状態にさせると。
『財宝か……? それは、我が城の地下にあるぞ? しかし、御主が手に取ることが出来るかな? ……ぐふっ……』
 息絶えた城主の不穏な言葉……だが、宝を取り戻さない事には、クエストクリアにならない。
 そんな城の地下には……多数の罠が張り巡らされているのであった。


「あ……イレギュラーズの皆さん、ちょっと宜しいでしょうか……?」
 と、『深森の声』ルリア=ルミナス(p3n000174) は、ローレットに居た君達へ深々と頭を下げ、お願いする。
 ……不安そうな彼女の表情に、ほっとけなくなった君達が声を掛けると。
「あの、ありがとうございます……えっと、また、なのですが……『R.O.O』に閉じ込められた方を、救出してきて頂きたいのです……」
「今回の救出対象となるのは、テストプレイヤーとしてログインした、希望が浜の学生さんなのです……その学生さんは、とっても責任感が強く、テストプレイだとしてもしっかりとやらなきゃ、と言う具合に張り切っている少女の様なのです」
「そんな彼女がテストプレイでログインしたのは、最近アップデートされた世界の神咒曙光なのです……この世界でこつこつとクエストをこなし、成長していった彼女なのですが……最後の締めくくりとして受けたクエストが、悪徳城主のお宝を奪い返してくる、というものだった様なのです」
「城主がせしめたお宝は、その城の地下倉庫に収蔵されている様なのですが……この地下倉庫へと向かう道に、即死級の罠が大量に実装されている様なのです……」
「例えクエストでレベルを上げた彼女であったとしても……元は極々普通の学生さんです……即死級の罠には太刀打ち出来ません……そこで皆さんには、彼女を追いかけ、彼女をサポートして欲しいのです……勿論終わった後は、元の世界に帰るお手伝いもしていただけると、助かります……」
 そして、最後にルリアはもう一度皆を見渡して。
「……あの……いつもお願いばかりして申し訳ないのですが……どうか、宜しくお願いします……」
 とルリアは、申し訳なさそうに頭を下げるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 今回のR.O.Oの救出対象は、かなり真剣なテストプレイヤーさん。
 ……でも即死級の罠には太刀打ち出来ない様です。

●ROOとは
 練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
 練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
 R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
 練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
 自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
  特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline

●成功条件
 希望が浜の学生さん『壱歌』さんを救出し、倉庫に収蔵されたお宝を手に入れる事です。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●周りの状況
 今回は神光のとある城の地下倉庫へのルートが舞台となります。
 元々城主が仕掛けた即死級の罠が大量に仕掛けられています。
 それに加えて何故かここに侵略してきた狂気を伝搬させる『魔』に侵された城の武士達がおり、それが同時に仕掛けてくる様です。
 尚『壱歌』との合流は、地下倉庫へ入る直前となります。
 最初は不審がるでしょうが、真剣な性格なので同じテストプレイヤーとか言えば、簡単に信じ込むでしょう。
 
 罠については、色々な罠が仕掛けられている様です。
 足を踏み入れると、両方向の壁がパカッと開いて毒矢が飛んで来たり、脚が踏み抜け、そこに大量の槍が突き立っていたり、毒が充満して命を削ってきたり……と、不用意に歩けば即死も免れません。
 
 特に今回『壱歌』は罠には警戒しているものの、元々は極々普通の学生……罠の切り抜け方の経験値は皆無なので、その辺りをケアしないと即死し、依頼失敗という可能性すらあります。

●討伐目標
・狂気に囚われた『魔侵武士』 x 12体
  上の罠に加え、狂気のままに動く『魔侵武士』が現れます。
  彼らも罠には掛かりますが、不思議と罠で命を失うという事は無いようです。
  彼らは一人でも多く道連れにしようと行動します。
  武器は血濡れの刀のみですが……この刀の一閃は単体攻撃ながら、強力なダメージかつ、体力吸収の効果を持ちますので、
  攻撃こそ最大の防御……という具合で行動します。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 絢爛たる宝の下に完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年08月15日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧(p3x001107)
不明なエラーを検出しました
天魔殿ノロウ(p3x002087)
無法
カノン(p3x008357)
仮想世界の冒険者
壱狐(p3x008364)
神刀付喪
黒子(p3x008597)
書類作業缶詰用
ハンモちゃん(p3x008917)
金枝 繁茂のアバター
天狐(p3x009798)
うどんの神
フィーネ(p3x009867)
ヒーラー

リプレイ

●神の光と悪意の光
 R.O.Oのアップデートにより、新たに追加されたネクスト『神咒曙光』。
 他のネクストとは一味違うテイストを醸し出す、純和風な世界。
 そして、そんな世界に迷い込んだのも……和の様相に身を包んだ、希望ヶ浜の学生のテストプレイヤーである、『壱歌』。
 彼女は純粋に、このテストプレイをしっかりとやり遂げようと、この世界で過ごしている。
 その部分だけ切り取れば、まだ問題無いかもしれない……。
「……しかし神咒曙光、R.O.Oでの豊穣の世界にも来るコトになるとはな」
 周りの雰囲気を見渡しながら、『妖刀付喪』壱狐(p3x008364)が軽く微笑むと、それに『書類作業缶詰用』黒子(p3x008597)が。
「ええ……確かに豊穣の世界とそっくりな雰囲気ではありますね。まぁ、行き交う人々までが一緒、という事ではないので、本当の世界とはまた違う世界でしょうが……」
「そうだな……まぁ神咒曙光の世界かどうかは余り関係無いだろう。むしろ今回は城主のお宝が眠る罠屋敷の攻略……これまた厄介なクエストだな」
 壱狐の言う通り……そんなテストプレイヤーに牙を剥くのは、易々と死を与える罠の数々。
「罠屋敷ですか。罠屋敷とはテンションが上g……げふんげふん。実に難易度の高い依頼ですね」
 と『仮想世界の冒険者』カノン(p3x008357)が内心踊る心を抑えきれずに口にすると、それと同じくして『無法』天魔殿ノロウ(p3x002087)も。
「そうだね! お宝が! あると! きいて!!! 悪徳城主の地下倉庫だなんて、金目の物がわんさかあるに決まってんじゃねーかひゃっほぅ!!」
 と、心を躍らせている。
 ……確かにお宝を見つける為に罠をくぐり抜けていこう、というのは……様々な世界で冒険しているイレギュラーズ達からしても心躍り、楽しい事なのだろう。
 とは言え今回の保護対象者は、テストプレイヤーとしてこの世界で色々とクエストはこなしてきているが、本来は全くの素人である学生……罠の対処方法なんて、知って居る訳も無い。
 更に言えば、何故そんな罠が張り巡らされている城の地下に、どうやってお宝を隠したのだろうか……というのもあるし、更にそんな地下倉庫に、狂気に囚われた『魔侵武士』も現れるというおまけ付き。
(「主人も倒れてるのに、取る訳でもなく宝を護り続ける武士というのも何かが狂ってしまったゲーム、って感じがひしひしとするねぇ。さて、此処もまた狂気の匂いがぷんぷんするけど主題はそこじゃあ無い」)
 『不明なエラーを検出しました』縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧(p3x001107)がごにょごにょと呟く。
 それを聞いてかどうかは分からないが、それに『不滅の癒やし手』フィーネ(p3x009867)が。
「救出……というよりは、今回は罠を彼女が通り過ぎる為のエスコートに近そうですね。少しばかり、救出よりは難しいような気がします。しかし、目の前で困っている人を見捨てる訳にはいきません! 誰も死なないように頑張りましょう!」
 と言うと、それにカノン、壱狐も。
「そうですね。彼女が不慣れな中、一人で吶喊しなかったのは大正解でしょう。餅は餅屋にお任せ下さいっ」
「うんうん、救助対象のためにも頑張ろうか!」
 と頷き合い、そして『きつねうどん』天狐(p3x009798)と『疑似人格』ハンモちゃん(p3x008917)も。
「うむ。いざ往かん! なんか怖い地下へ!!」
「ふふ、そうだねー♪ それじゃー頑張ろっか!」
 気合い十分、そして舌げ繧が。
(「何はともあれ……」)
「ん、宝探し、がんばろ」
 聞き届けられる言葉を紡ぎ、そしてイレギュラーズ達は急ぎ、神咒曙光の悪徳城主の城へと急ぐのであった。

●命を掠める
 そして……イレギュラーズ達が辿り着く城下。
 既にクエストを始めている結果だろうか……城の周りの兵士っぽい者達は倒され、伸びてしまっている。
 城の中へと足を踏み入れ、更に地下へと向かう階段を探す。
 ……程なくして階段と……そこに足を踏み入れようと、決意の表情を浮かべる『壱歌』の姿。
『……うん、大丈夫。いけるいける!!』
 ぐっと拳を握りしめる壱歌。
 そんな彼女を見つけると共に、ハンモが。
「あ、『壱歌』ちゃん?」
 と、取り急ぎ声を掛ける。
 突然声を掛けられて、驚いた表情を浮かべて振り返る彼女。
『エ……? は、はい……その、どなたですか??』
 きょとんとしている彼女にハンモは笑みを浮かべつつ。
「こんにちは! ハンモはハンモだよ♪ クエストの案内でここに来たんだ。支援とちょっと妨害とかできるよ! 同じテストプレイヤー同士よろしくね☆」
 満面の笑みを浮かべる彼女に、更に天狐も。
「うむ。しかし単独で挑むとは、中々の勇者じゃのう!? まぁ、仲間は多い方が心強いじゃろうて! とりあえずほれ、うどんでも食べて深呼吸するがよい。どうやらこの地下には、魑魅魍魎やら初見殺し、宜しくは即死トラップが満載らしいからのう! ハッハッハ!!」
 きつねうどんを差し出して、落ちつかせるように促す天狐。
 ……こんな所できつねうどんを出すのは何故、という表情をする壱歌だが、でも。
『あ……そうですか、同じテストプレイヤーさんなんですね? 今迄ずっと私一人でしたから、他にいないのかな、って思ってました。でもこうして出会えるって事は、他にもいたんですね、良かった……それじゃ、宜しくお願いします!』
 『テストプレイヤー』という言葉に、敏感に反応する彼女。
 外の世界から来た人でなければ、そのような言葉を掛けてくる訳も無いし……同じ仲間が居るという事に安心感を覚えた模様。
 そしてノロウが。
「ん、ま、死なない様に注意してくれよなー。んじゃ、さっさと行こうぜ」
 彼女の肩を叩きつつ、イレギュラーズ達は彼女を陣の中において、城の地下へと降りて行く。
 当然その通路は真っ暗……灯りを灯し、通路を照らすが……ぱっと見る限りは何かある様にも見えない。
 静けさが包み、何一つの音すらもしない……そんな地下の道を目の当たりにして。
『……えっと……何だか声が響きますね。でも凄く静か……』
 壱歌が小首をかしげると、それにノロウが。
「ああ、確かになぁ……ま、でもこういう所だからこそ、危険が待ってるもんだぜ? んじゃ、アンタは後ろに居てくれ。俺達が前で行かせて貰うからな」
 と言うが、それに壱歌は。
『え、と……でも、それで大丈夫でしょうか? 私も、戦う力はあります!』
 目をキラキラさせる彼女だが、そんな彼女を宥めるように壱狐が。
「ええ、まぁ、適材適所ですね。戦う人、罠の対処をする人……レベルアップのリソースは同じでも、振り方は人それぞれなのがここですから」
 と、それぞれの役割をこなすべき、と説明。
『そ、そうなんですね? ……今迄ずっと一人でやってたから、そういった所、あんまり分からなくて……すいません』
「いえいえ、大丈夫……という訳でちょっと後ろに下がっておいて下さいね」
「そうねー。ハンモ、か弱いから壱歌ちゃんに護って貰えると嬉しいなー」
 壱狐の言葉に加え、更にハンモが役割を御願いする。
 ……すると壱歌は。
『わ、分かりました……! がんばりますね!!』
 と、その役割を受け入れる。
 そして壱歌はハンモの前に立ち、同じ場所には舌げ繧と黒子。
 一方の前線にはノロウ、カノン、壱狐に天狐……そして間にはフィーネという配列を取る。
 そして隊列を取ったイレギュラーズ達と壱歌は、静けさに包まれた白の地下を進んで行く。
 勿論前線を歩く者達の仕事は、進軍先の罠の探知と、破壊。
「さて、と……金で買った情報も正直渋かったんだよなぁ……ま、罠に掛かった奴らは、悪霊にないないされちまった……って事なんだろうかねぇ」
「ええ、もしくはそこまでプログラムされてなかった……とかかもしれませんね」
 ノロウに苦笑するカノン……そんな会話を交わしつつ、城の地下を進むイレギュラーズ。
 暫く歩いて行くと……今迄歩いてきた壁とはほんの僅かではあるが、壁の色が違う場所を発見。
「……ストップ」
 と壱狐が仲間達に呼びかけ脚を止めさせる。
『ん……どうかしましたか?』
 と頚を傾げた壱歌。
 ただ、彼女cの問いに答える事無く、カノンはレリックのインベントリーから10フィート棒を取り出す。
 ……そして、その10フィート棒を伸ばして、壁や足元をトントン、と叩く。
 暫くは何もない……が、次の瞬間、左右の壁から次々と射出される毒矢。
 叩いてから少し遅れたタイミングで射出されたのは、足を踏み入れて安心させた上で殺そうという、罠設置者の悪意であろう。
 そんな罠の状況を目の当たりにした壱歌……彼女が一人で挑んでいれば、間違いなく毒矢に蜂の巣にされていた事だろう。
『……』
 そんな目の前の状況に、黙り込んでしまう彼女。
「冒険を重ねていないと、こういう事は思いつかないかもしれません。他と変わらない道にみえても、そういう所に罠は巧妙に隠されているのです」
 と黒子が伝え、更にフィーネが。
「余り気にする必要はありませんよ? ……そういう事も、少しずつ経験を積んでいけば良いのですから」
 と、彼女を励ます。
 ともあれ、そんなイレギュラーズの罠の対処方法には隙は無い。
 そんな対処方法を目の当たりにした壱歌は、頷いたりしながら、罠の対処方法をしっかりと勉強していく。
 そして幾つかの罠を乗り越えた所で……。
『……う、うぅぅ……』
 今迄静寂に包まれていたこの場所に、突如聞こえてきたのは亡者の呻き声。
 ……その呻き声は、生きる者に対する恨み辛みが籠もっており、聞いた者の足を竦ませる。
 一旦その場に立ち止まると、暗い通路の先から歩いてくる亡者の影。
『うわぁ、何だかヤバそうなのが来たねぇ……壱歌ちゃん、ちゃーんと護ってね♪」
 とハンモが壱歌に声を掛けつつ、彼女の服の裾を掴んで、足止めさせる。
 ……そして、亡者の影が灯りの下に照らされるのは、12体の落ち武者の様な姿をした者達。
 ただその姿形は朧気な影を纏っており、ゆらり、ゆらり……とただ立っているだけでも、左、右と揺れ動いている様に見える。
 そして彼らは前へと歩みを勧め……ガタッ、と音を立てて片足、抜ける床に落下したり、その身に毒矢を受けたりしてしまう。
 だが……彼らの歩みは決して止まらない。うう、うう……と呻き声を上げながら、イレギュラーズと壱歌達の間合いをみるみる内に詰めてくる。
『な、何ですあれは……!?』
 罠を喰らっても、傷ついても前へ前へと進んで来る彼らに、流石に恐怖を感じる壱歌。
 でもしかし、そんな武士達に対して対峙の体制を整えつつ、ノロウは。
「ったく、なまくら振り回してお前等喜んでんの? ちゃんちゃらおかしいぜ!」
 ノロウが威勢良く挑発すると、更に天狐も。
「そうじゃのう! ほれ、こっちじゃこっち!」
 と、罠の張り巡らされた所まで出る事はせず、そこから距離を取った所まで惹きつける。
 そんなイレギュラーズ達の挑発に感情は無いものの、前へ前へと歩む武士達。
『ウウ……グゥゥ……』
 罠に掛かった恨み辛みも怨恨に乗せた彼らがその間合いまで近づくと……血に濡れた刀を次々と振り落としてくる。
 その大振りの一撃を掻い潜りつつ、その懐に潜り込んだノロウが短剣を手に、関節部に向けて一閃。
「攻撃こそが最大の防御だって? 奇遇だな、オレもそうなんだよ。つってもこっちは数撃つ型だがな!」
 彼が放った一閃は、敵の体力を吸い取る一閃。
 それに続き、黒子は号令を叫び、敵の行動を大幅に制限し、更にハンモは壱歌の横から。
「思い出して、大切な記憶を! あなたに愛があるのなら!」
 と、キラキラした黄色のエフェクトを敵に向かって放つ。
 ……しかしそのエフェクトは、効果は無かった様で、更に呻き、怒り狂う敵。
 更に天狐は。
「本当に厄介な奴らじゃ! しかし傷ついている今こそがチャンス、さぁ、更に行くぞ!」
 と言いながら己の幸福を呼び寄せつつ、踏み抜いた敵へと乱れ打ちを叩き込む……その攻撃に倒れた一匹が消えると共に、その場にポン、と転がるのは『天かすうどん』。
 ……それがどういう意味かは分からないけれど、続く壱狐は構えを取りつつ、流れる様に太刀を叩きつけ、更にカノンが。
「私たちを道連れになんてさせませんからっ!」
 と彼らの動きを堰き止める魔法の一撃を放ち、更に舌げ繧は範囲に影響をおよぼすバグを展開させる事で、敵をバグに蝕ませる。
 そして……敵からの攻撃を一通り喰らった後で、最後に動くのはフィーネ。
「皆様大丈夫ですか? 体力の回復は、私に任せて下さい」
 と、仲間達の体力度合いを見た上で、傷ついている仲間を確実に回復する。
 ……そんなイレギュラーズ達の連携した戦い方を目の当たりにした壱歌。
『……す、すごい……テストプレイなのに……みんな、慣れてる……』
 と驚きの表情。
 現実世界で戦い馴れているからこその経験は、彼女にとって憧れの存在。
 ……そんな彼女の羨望の眼差しを受けつつも。
「あ、壱歌ちゃん! あ、きゃっ!」
 ハンモが転ぶ素振りをしつつも壱歌を後ろに押し倒したり、フィーネが危ない、とその手を引いて後ろに下がらせたりと、彼女のフォローは決して忘れない。
 ……そんなイレギュラーズ達の連携とフォローのお陰で、壱歌には殆どダメージが流れる事無く、敵数が減っていく。
 そして敵陣が姿を表してから、十数分後。
 ボロボロの武士達は倒れると共に……その身は影の如く消失。
 残りは後1体。
「皆様、後もう一息です、頑張りましょう!」
 とフィーネが皆に声を掛け……そして、舌げ繧のバグが、その頭上から降り注ぐ。
 その闇に呑まれ……最後の一匹の影も、その場に霧散していった。

●真摯なプレイヤー
 ……そして、全ての魔侵武士達を倒したイレギュラーズ達。
『す、すごいです……凄いです……!』
 と目をキラキラとさせて喜んでいる彼女に対し、カノンが。
「いやいや、そんな事ありませんよ。テストプレイヤーとしての経験は、壱歌さんの方が、きっと長い筈ですから」
『え?』
 きょとんとする彼女だが……そんな彼女にノロウが。
「ほら、後もう一仕事残ってんだろ? この地下倉庫に眠るお宝がよ! クエストを受けてんのはアンタだから、道案内頼むぜ?」
 と肩を叩き、彼女の仕事を真っ当させる様に促す。
 わ、わかりました、と頷き……彼女と共に、更に通路を進んで行く……まだまだ沢山の罠があるが、それらも一つずつ、確実に解除してのりこえていく。
 最奥部へと到着し……扉を開けると、千両箱の様な物に詰まった、大量の大判小判を発見。
「ヒュー! こりゃぁいい! これで大金持ちだな!」
 と笑いながら金を回収。
 ……勿論これを外の世界に持ち出せる、という訳ではない。
 でも、手にしたという実感、満足は十分に満たせる。
 ……ともあれ、これで無事に彼女のクエストも無事に完遂できた訳で……後は、彼女をログインポイントへ送り届けるのみ。
 彼女はイレギュラーズの皆とやり切った、という満足感と共に晴れ晴れとした表情を浮かべ……朧気な記憶を元に、彼女のログインポイントを割り出し、その場へと連れて行く。
『ほんとう、ありがとうございました……! 皆さんとした冒険、忘れません!!』
 と、笑顔で手を振り続ける彼女に……イレギュラーズ達も、彼女の姿が完全に見えなくなるまで、しっかりと送り届けるのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

壱狐(p3x008364)[死亡]
神刀付喪

あとがき

ROO、死に罠のたっぷり仕掛けられた悪徳城潜入作戦、皆様ご参加ありがとうございました!
壱歌はある意味、皆様のおかげで成長した様です……R.O.Oの世界が安全なゲームになったら、いいプレイヤーになる事でしょう。

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