PandoraPartyProject

シナリオ詳細

灼熱サウナデスマッチ! 特異運命座標VS冬将軍!!

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●夏だ!海だ!ビーチに行くはずだった!
 海の恋しい季節がやって来た。
 青い空、白い雲。底抜けに爽やかな砂浜のビーチ!
「なのに僕達は季節感のない境界図書館で仕事ばっかり!」
「いーじゃねぇか、空調きいてて暑くないし」
「ヤダヤダ、僕も海で遊ぶんだいっ!」
 同僚に諭されようと、駄々をこねはじめた『境界案内人』神郷 蒼矢(しんごう あおや)のワガママは止まらない。
「だいたいお前、去年だか一昨年だかにプール付きの遊園地に特異運命座標を連れて行ってなかったか?」
「全日にワクワクしすぎて寝不足で、寝込んじゃったんだよぉ!」
「小学生か!!
……ったく。そこまで言うなら今年も海のありそうな異世界の仕事、持ってくりゃいいじゃねーか」
 的確な助言に一瞬きょとんとする蒼矢。そして次の瞬間、ガサガサともの凄い勢いで本棚の方に張っていき、それらしい本を探しはじめたのだった。

●夏だ!吹雪だ!熱々サウナだ?!
「やっほー特異運命座標! 水着の準備はバッチリ?」
 数日後、境界図書館には夏を満喫するべく四人の特異運命座標と蒼矢の姿があった。現地には更衣室が無いそうで、事前に水着を着てから異世界に渡るのである。
「それじゃあ異世界に連れて行くよ。
『踏み抜けよ明日へ。我が蒼は示さん、次なる導は此処に在り!』」
 蒼矢の詠唱に呼応し、向かうべき異世界の本が開かれる。特異運命座標の足元へ光の陣が現れ、転送が始まりーー

「さっっぶぅううぅ?!!」

 転送された先は極寒の海、吹雪く大地。寒さから逃れようと特異運命座標と境界案内人が逃げ込んだのは、側から見ても目立つ立派なログハウスだ。
 しかし扉を開けた瞬間、恐ろしい熱気が五人を襲う!

「あっつううぅ!! 何これ、もしかしてサウナ?!」
「がははは! よく来たな挑戦者よ!!」

 そこに居たのは四人のむくつけき男達。薄らと水色がかった銀髪と、雪の結晶じみた小さい羽がなんとも可愛らし……可愛らしいか? ギャップ萌えにしては絵面がちょっと厳しくないか?!

「我らシーズン過ぎてバカンス中の冬将軍の精霊なり! このビーチはワシらが全て占拠した!」
「ってことは、外の吹雪は君達のせいなのか?!」
「いかにも! 止めて欲しくば漢(オトコ)を見せぃ!」

 灼熱サウナで我慢くらべ。誰が生きるかくたばるか!!

NMコメント

 今日も貴方の旅路に乾杯! ノベルマスターの芳董(ほうとう)です。
 暑さにやられました。暑さにやられたんです。言い訳なので何度でも言います。

◆目標
 サウナの我慢比べで冬将軍の精霊に勝つ!

◆場所
 常夏ビーチ(極寒)
  異世界にある常夏のリゾート地。白い砂浜と温暖な気候がウリでしたが、冬将軍の精霊たちによって猛吹雪に晒されています。
  決戦の舞台は立派なサウナ。大きなログハウスの中にあり、9人が乱闘しても大丈夫な広さがあります。本気で痩せたい人のために塩の入った壺や、バーニャ(ロシアのサウナ)風を楽しむための白樺の箒など様々なサウナグッズを完備。
  実は隣に快適な控室もあるので、吹雪で身体を覚ましたらそちらに逃げ込む事もできます。

◆エネミー
 冬将軍の精霊
  冬一郎、冬ニ郎、冬三郎、冬四郎
 仲のいい四兄弟の精霊。いずれも筋肉ムチムチの巨漢です。この世界ではサウナ荒らしと恐れられており、色々な場所で我慢比べを強いているのだとか。
 ノリが良く、いい筋肉にはリスペクトを、細い身体には筋トレレクチャーをしてきます。
 戦闘は応じますが、スキルを使うと施設が壊れるので、相撲やレスリングなどの肉弾戦のみ応じるようです。
 なお、彼らは性質が雪の精なので魅惑の冷たい身体を持っています。

◆その他
・境界案内人の蒼矢は自信満々ですが、ヘタレなので戦力にはなりません。必要な道具の仕入れなどのサポートはしてくれると思います。
・この依頼は見ての通り与太依頼です。全年齢向けの描写ですが、PCのトラウマになる場合もあります。強く生きよう。

説明は以上です。それでは、よい旅路を!

  • 灼熱サウナデスマッチ! 特異運命座標VS冬将軍!!完了
  • NM名芳董
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年08月14日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
金枝 繁茂(p3p008917)
善悪の彼岸
白夜 希(p3p009099)
死生の魔女
シャルロッテ・ナックル(p3p009744)
ラド・バウB級闘士

リプレイ


「廻刻(ツァンラート)のお仕事で色々と悔しく思う所があったから、誰もいない場所でぼんやりするのもいいかーって思って参加したのに。
……さすがに寒すぎだったから流れで入ったけど、なんなん???」
 この状況、『死生の魔女』白夜 希(p3p009099)でなくとも唖然とするだろう。常夏リゾートという甘い誘惑にのってみれば、外は大雪、猛吹雪!
 おまけに逃げ込んだ先は、熱気と汗に満ちた地獄そのものときたもんだ。加えて、このサウナの中に普通の利用客は誰もいない。

 例えば、目の前で戦闘態勢に入っている冬将軍長男こと冬一郎と『青白い令嬢』シャルロッテ・ナックル(p3p009744)は、抑えきれない闘魂を燃やしてサウナの室温を上げまくっている。

「ほう、貴様……女といえど油断ならぬ闘気だ。どれ、ひとつ拳を交えてみるか?」
「えぇ、えぇ! よろしくってよ。冬将軍様が満足出来るよう、ワタクシも誠心誠意努めさせていただきます――SUMOUで!」
「すもー?」
「説明しよう。SUMOUとは、シャルロッテ殿の元いた世界に存在する伝統的な決闘法の一種である。
 数千年前に極東の地から来訪した大柄で筋骨隆々の女性が男をあれよあれよと薙ぎ倒し、強さを示したという伝説からSUMOUが決闘の一種として選ばれた。
 ルールは足の裏以外が地面に付いた方の負け。それ以外は殴って良し、蹴って良し、締めて良しの単純にして明快な決闘方法で老若男女問わず人気を誇り、世界でもポピュラーな決闘法である」
 希の素朴な疑問に対し、真顔のまま『霊魂使い』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)が説明に入った。彼の手にはカンペが握られており、言わされた事を隠す様子がまるで無い。
「蒼矢殿が解説宜しく、と」
 名指しされた当人はすでにのぼせて力尽きているようだ。境界案内人がああなっては、強制的に境界図書館へ帰る事もままならない。
「帰れないなら、もういいや。スルーだスルー。私にはギフトに『闇の帳』まであるんだから無視できる、できる」
「そうは言っても希殿、流石にこのエターナルフォースブリザードは夏の海の生物が可哀想なのでは? 助けてあげた方がいいように思うが」
 無視を決め込み独りサウナを楽しもうとする希へ、アーマデルは首を振った。この状況でも彼は冷静に解決策を考えているように見えたがーー
「それにしても、過熱で変質したタンパク質が生に戻る事は無いが、急速冷凍は正しく解答すればダメージが低い分まだマシという事か…?
 いや、だがこの冷え切った浜辺では卵を埋めておいてゆで卵にすることは不可能…ッ」
「……」
 アーマデルもすでにのーみそがバグっている。プスプス頭から湯気を出しひとり問答をはじめた彼から希は視線を離し、他にマトモなのはいないかと視線を彷徨わせたところでーー目が合った。
「だーいじょうぶ、希ちゃん。相手が冬将軍ならハンモは閨将軍だぞ☆」
 ばちこーん! とウィンクをかます『ヘビー級ハニートラップ』金枝 繁茂(p3p008917)を希は止める術を持たない。というより、この時点でもう気持ち的には「どうにでもなれ」である。

「どすこーーいっ!」
「ぐぬぉおおっ!!」

 シャルロッテの四股で部屋が揺れ、冬一郎がよろける。
「負けんな兄者、踏み替えせー!」
 外野からヤジを飛ばしているのは冬二郎。彼も冬将軍の一員だ。その逞しい巨体の横に、すすすっと近づきピッタリくっつくハンモ。
「なんだお前は! その女性的な柔の動き、男ならば男らしさを見せねぇ…か……あれ?」
 ハンモを退けようと腕を上げるつもりでいた冬二郎が、目を見開いた。全くもって動けない――いや、そればかりか腕を勝手に動かされ、胸の谷間に挟まれている。
「えっ、あれ??」
「男を見せろと言われたけれど、ハンモも冬将軍様の男を見せてほしいかな♡」
 ずじゅるるぅ。
「ひぎゃああぁぁ!?」
 リップ音と言うにはあまりにも生々しい音がした。冬将軍ともなれば流れる汗も冷水そのもの。冬二郎の汗を啜り、ハンモは己の体温を冷まして持久戦に耐えているのだ!
「あら、汗がもったいないですね、んちゅ♡ 冷たくてとぉってもおいしい♡」
「ひゃっ、ゃ、やめろぉ! サウナでこんなアヤシイ事、許されると思ってるのか!」
「イケナイ? ふふっ冬将軍様がそれを言うのぉ?サウナの周りを猛吹雪にしている冬将軍様がぁ?笑っちゃいますよ~
……でもぉ」
 青ざめはじめた冬二郎の腹筋をつつ~っと指でなぞり、鳥肌の立った冬二郎へ熱い眼差しをくれるハンモ。
「エゴイスティックな殿方ってハンモは嫌いじゃありませんよ♡」
「俺はいやだあぁぁあ!……ヘヴンッ!?」
 とうじろう は にげだした!
 しかし回り込まれて――程度ならまだマシだった。すかさず膝に馬乗りになり、顔を胸で挟み立ちあがるハンモ。息ができずバタつく腕を恋人繋ぎでギュッと押さえ、彼は酸欠でしんなりした冬二郎をずーるずーると引きずって歩きだす。
「冬将軍様どちらにごようですか♡ こういうのがご希望でしたか♡」
「……」
「でしたらたぁっぷりハンモを堪能してくださいね♡」
 青ざめるを通り越して真っ白になった冬二郎は、かくしてサウナ奥の控室に引きずり込まれていくのだった。

「じ、地獄だ。これで控室にも行きづらくなったじゃないか!」
 そろそろサウナから切り上げようと思っていた冬三郎はカンカンだ。彼は兄弟に興味がなく、自分のように美しいものが好きなナルシスト。ゆえに今、目の前で身体が夏になるあの水着でバァーン! とポーズをキメたアーマデルの姿が眩しく瞳に焼き付いた。
「なんて美しいんだ! 彼こそ生足魅惑の人魚姫!」
「何だいきなり矛盾したような事を言って。冬将軍殿ものぼせているのでは?」
 人魚姫なのに生足とはこれいかに。冷静に切り返されてしまいつつも、冬三郎はアーマデルを気に入ったようだ。隣に座りながら、激しい張り手合戦に発展したシャルロッテと冬一郎を遠目に見、他愛もない会話に花を咲かせる。
「人魚姫は砂漠の生まれなのかい?」
「そうだ。冬三郎殿とは生まれも育ちも違う。だから筋肉その筋肉は、正直羨ましいな。
 体質的なもので、特殊な能力を受け継ぐほど、見るからにガチムチにはなれないんだ」
「人魚姫はそのままがいいよ。だって美しいだろう? 僕なんか肉付きの加減によく悩まされているよ」
 と爽やかに笑う冬三郎は、言うなればスリ筋。他の冬将軍の力強い筋肉とは違い、己を美しく見せるために鍛えている様だった。
「密度の高い筋肉は脂肪の割合が低く、水に浮きにくいし寒さに弱いそうだが
 寒冷地仕様のマッチョだとガチガチのガチムチではなく、脂肪の割合の高いムチムチのガチムチなのかと…」
「ふふっ。触ってみるかい?」
 さわさわ、もみもみ。真面目な様子でアーマデルは冬三郎の身体をあちこち触ってみる。比較対象に思い浮かべた男と"見せ筋"重視の彼では肉の弾力が違うようだ。
「大丈夫怖くないぞ。よーしよしよし」
「俺はペットか何かかな?」

「貴様は何もせぬのか?」
 声をかけられ、希は半眼で冬四郎を見た。せっかく気配をうすーくして、隅っこで水分とりながらサウナを楽しんでいたのに。
(……ま、結局のところ考え事してる時点で気晴らしにもなってないんだけど)
「黙っていては分からんぞ。見ればその腕、細いではないか!
 対して……見よ! 虐め倒した俺の筋肉。筋トレがてら、鍛え方をレクチャーしてやろう」
「や、そういうのいいから」
「まずは両手を前に出し、腰を落として……」
 スパァン! と筋トレの指導にはいった冬四郎へ大きな何かが振り落とされる。ふわっと香る木の香りにカサリと葉音が重なった。
「ぬぅっ。それは白樺の箒! まさか貴様、極熱サウナ『バーニャ』を知っているというのか!?」
「そうだね。バーニャでの箒の使い方は、血行をよくするために軽く叩くとか、邪気払いとか所説あるけど――こう使うんだよ!」
 スパァン! スパパパァン!
「ぐおおぉぉお!?」
「悪霊、退散……悪霊退散、悪霊ッ退散!!」
 勿論これはサービスではない。不機嫌な希の憂さ晴らし。枝が折れないようスナップ効かせて振り下ろす白樺の全力攻撃は、箒というよりもはや鞭!
「らめぇ、新しい扉開いちゃうぅ!」
「鉄槌で殴られてないだけ感謝しなさい、ほらァ!」


 数時間後、蒼矢が意識を取り戻すと、目の前にバターン! と泡を吹いて冬三郎が倒れ込んできた。
「何事!?」
「健康にいいスムージーを勧めてみたんだが……味がお気に召さなかったか」
「いやアーマデル、彼口から泡吹いてるんだけど!?」
「ひぎゃ!…んぐうぅぅう!?」
 今度は何だと蒼矢が控室を見る。扉を開けて逃げようとしていた冬二郎が、ハンモから熱いベーゼを受けているところだった。
「何、飲ませ…て……」
「いやんっ、ただのラブポーションよ♡ 冬将軍が四人いるなら一人ぐらい減っててもだれも気付かないよね?ね?
 という訳で――第2ラウンドとイきましょうか♡」
「あ……ぁ…」
 虚ろな目でとろんとする冬二郎が再び控室に引っ込む頃、今度は希がドッス!! と箒を冬四郎に突き刺したところだった。
「キャンっ!?」
「次に会う時までに悲鳴も鍛えておけば? 二度と無いだろうけど」
 トドメを刺して幾分かスッキリした様子の希は、そのまま蒼矢の方へと歩いていく。
「帰ろっか。役目は果たしたし」
「本当だ、外が夏空を取り戻してる! 何が起こったか分からないけど凄いよ得意運命座標! さっそく帰――」
「いいえ、まだですわ!」
「応とも、シャルロッテ殿!」
 話を遮るシャルロッテと冬一郎は、尚も肉体言語で語り合う。二人両手で組み合い、ギリギリと力を込め合って。
「さぁ、このままサウナで汗を流しましょう。――目指せ24時間ですわ!!」
「「いや、流石にもう帰らせて!?」」

成否

成功

状態異常

なし

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