シナリオ詳細
合コンレクイエム
オープニング
●貴族だって合コンくらいすんだろ!
「大事な話がある」
テーブルの上で手を組み、パイプを加えたまま煙を吐くドレッドヘアの男。
そうは見えないやもしれないが、幻想西部バルツァーレク派貴族のひとり。名をジェリコ・ゴンコーレ。
派閥に違わず商業と芸術を重んじ、特にコミュニティやネットワークの維持構築に生涯を捧げてきた男である。
そんな彼が、ローレットのイレギュラーズを10人ほど屋敷に招き、豪華なテーブルにつけて語ったのは――。
「合コンができないんだ」
椅子を立とうとするイレギュラーズを、ジェリコ氏は必死になだめた。
「『合コン』を知らない者のために説明しておこう。
これは効率的な人脈マッチングシステムのひとつで、あるウォーカーから学び取ったものだ。彼女は伝説のJKとして知られていた……」
昔を懐かしむように語るジェリコ氏。過去形ってことは何かあったっぽいのだが、触れるにはばかられる浸りようであった。
「方法は簡単だ。男女数名が集まり、パーティを行なう。
守るべきパーティの様式は三つだ。
――1.誰かの屋敷ではなく必ず店で行なうこと
メンバーの公平性を保つための工夫だ。誰か一人が優位に立ち続けてはならない。
――2.コストパフォーマンスを高くすること
これも前述した要素に絡むが、かかる金額が高すぎては回数がこなせない。誰か一人が多額を支払うこともさけねばならない。
この様式を提唱したJKは『男女ワリカンすべし』と述べていた。男女の身分差を持たぬ幻想国家の様式を考慮したのだろう。
――3.できる限り参加者個々人の魅力を知り合うこと
最も重要な要素だ。合コンは互いの魅力を知り合うパーティであって、無難に流したり政治的意図を仕込んではならない」
ここまでを黒板に書いて説明したジェリコ氏だが、目頭を押さえてうなだれた。
「知り合いの貴族たちを招いてこの合コンを試したが……散々なものだった。
誰の屋敷で開催するかでもめ、それを避けても誰の息がかかった店かでもめ、出資比率で競い合い、最終的に莫大なコストの黄金パーティが開かれる。これでは貴族の政治パーティーと何も変わらない! マジ卍!」
野太い声でマジ卍とか言い出してびっくりしたが、どうやらジーザスクライシス的な意味で言ったらしい。
「よしんばこれらの条件をクリアしたとしても、皆ナルシズム全開のトークで場をしらけさせたり、無難に場をやり過ごす者ばかりになったり、とてもではないが合コンと呼べる者ではなかった。よくて会食、最悪会合だ。
私はなんとしても、この『合コン』を再現したい。
ローレットのイレギュラーズたちは多種多様な才能をもつと聞く。どうか、その才能で合コンを達成してくれたまえ!」
- 合コンレクイエム完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2018年07月05日 21時35分
- 参加人数10/10人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 10 人
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参加者一覧(10人)
リプレイ
●マジ卍卍!
「わーい合コン。合コンってなんだっけ?」
『ハム子』主人=公(p3p000578)が途中まで上げた拳をぴたりと止めた。
「さっき説明された通りじゃなかったんでしたっけ?」
ノリよく一緒に拳を上げようとしてあげ損なった『白き歌』ラクリマ・イース(p3p004247)が、中途半端な姿勢で振り返る。
「じんみゃく……まっちんぐ……しすてむ? GMS?」
「総合スーパーの略ですねそれは」
ちゃきっと黒縁眼鏡のブリッジを薬指で押し上げる『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)。
「ゼネラルマーチャンダイズストア。他にもジオステイショナリティメテオロジカルサテライト……気象衛星の一形態の略でもあります」
「ごめん、えっ、なに、何語? バベル生きてる?」
混沌世界にきてから前世界の記憶が抜けているからこその反応だが、仮に記憶が残ってても同じ反応をしそうな公である。
話を戻しましょう。と寛治が眼鏡のレンズを日光反射で光らせた。
「カレシカノジョを作る場です」
アクセントをレとノにつけて語る寛治に、ラクリマが眼帯の花をパッと咲かせた。なにそのギミック初めて見た。キャラ崩壊とかしてない? 大丈夫?
「ま、まさかそんなイベントだったなんて……戦闘するより緊張しますね」
「とりようによっては人殺す方が楽みたいな台詞ですけど大丈夫それ」
「そういう依頼受けてなければ大丈夫――あっだめだ受けてた俺。撤回撤回」
うんうんだよねえと頷く公。
言わないと最後まで分からなそうなので言っておくと、公はどっちの性別にもなれるデュアルアバターの持ち主である。今回は男女比半々になるようにと女性アバターで合コンに参戦してくれた。
今の話の流れだとカノジョにもカレピッピにもなるわけだが、その辺はあえて考えないラクリマ七分咲きであった。依頼主のジェリコ氏も人脈マッチングシステムとして合コンを見ていたようだし。
『パリピなイベントとか何気初じゃね?俺としちゃ見逃せないやつ。とりま皆と仲良くなれたら嬉しい感じ。稔も手伝ってくれよ!』
「一応な。ところで、その難解な言葉使いは女子受けしないと思うぞ」
『演劇ユニット』Tricky・Stars(p3p004734)が一人で会話していた。一人っていうか一人の中に融合した二人分の人格が会話しているのでそのたびに外観がコロッコロ変わる。カレピッピ候補としてみた場合公と別の意味で何か考えさせる相手である。
「美味しいものも食べれて友達もできるなんて素敵☆ よーし、楽しむぞー♪」
『特異運命座標』ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)はというとあんまりその辺を考えていない……というか、そもそも説明されていないので、単純なパーティーとして見ているらしかった。
「色んな人がいるから、きっと楽しいよね!」
パチンとウィンクするミルキィ。それまで虚空を見ていた『極夜』ペッカート・D・パッツィーア(p3p005201)が『あ?』と言ってこっちの席兄戻ってきた。
合コンってーのは大体男女側の両幹事が中心になって人数を揃えるので二種類のコミュニティの集団どうしが向き合う形になるわけだが、混沌世界の中でもより混沌としているイレギュラーズにふったせいで多種多様な顔ぶれになった。
職業どころか世界からして違う人たちである。
男女それぞれでピックアップすると……。
「吾! はじめての合コン!」
『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)が熊でも殺しそうな構えで路上ど真ん中に立っていた。
道行く人が自然と避けて端っこを通るくらいの威風である。
「よくわからぬが……お茶会みたいなものであろう?」
ニヤリと笑って目を光らせる百合子。
この人の言うお茶会って互いに毒を盛り合って徐々に耐性をつけていくマッポーニンジャみたいなやつなので、もはやそこからして違った。
それに対して、街路樹の枝の上から胸を張る『GORILLA』ローラント・ガリラベルク(p3p001213)。
「合コン……魚などは、産卵期になると産卵場所に集まって卵を産むが、この催しもそのような習性に近いのであろうな。やはり、異種の生態とは面白いものだ」
なんていうかゴリラだった。控えめにいって全裸だし、握力ヤバいし。合コンの待ち合わせにゴリラがいるってだけでもちょっとおかしいのに、振る舞い自体は普通に紳士なのがズルかった。
そんな個性で人を殺しそうな連中とは打って変わって、ぱっと見(幻想基準で)普通な『遍歴の騎士たるヴァンパイア』シャルロット・D・アヴァローナ(p3p002897)がベンチで足を組んでいた。
「合コン、ね。やっぱり権力差を自慢したがる貴族同士ではちょっと難しい内容だったんじゃないかしら。参加メンバーの多くが旅人なのはいいサンプルになりそうね」
「然様」
「同意」
シャルロットの両側に座ってリンゴジュース(リンゴを素手で握りつぶして口に注ぎ込む最も純粋なやつ)を飲み始める魁美少女とゴリラ。
もうサンプルっていうか特殊な実験の様相を呈していた。
その辺の店で待ち合わせまで時間を潰していた『多重次元渡航忍者』獅子吼 かるら(p3p001918)が、アクセサリーショップから出てきた。
「合コンかー。懐かしいなー。他校の男子と朝までカラでオケった時は……あっもう皆揃ってたんだ」
紙袋を手に手を振り、ぴたりと止まるかるら。
待ち合わせ場所(幻想名所がひとつパチ公像前)には異様な面々がそろっていた。
魁美少女、ゴリラ、吸血鬼、悪魔、お菓子の国のひと、ソシャゲ主人公、二重人格、ファンドマネージャ、なんか薔薇の眼帯してるひと(自称悪のそしき)。
「やばたにえん」
そう言うかるらもJKアサシン。
カオスな合コンが始まるぜ。
●店選びがスムーズ過ぎて逆に書くことが無くなった時のパート
「どうも、予約した新田ですが……前払いですか? お値段は……カード使えますか? ええっ……今はピン札しか……ええっ……?」
寛治が慣れ親しんだデジタル貨幣経済から隔絶されて軽く困惑しているさなか、ミルキィたちはレストランへと立ち入っていた。
天井からぶら下がる豪華なシャンデリア。煌びやかな調度品に囲まれ、清らかなテーブルクロスと転がって眠れそうな絨毯に包まれる。各所のテーブルにはあちこちの地方から集められた食材が並んでいるが、どれもこの辺ではよく見る料理である。
そこそこのコスパ。そこそこの見栄えである。
「甘いものも美味しいお茶もあるー! ふっふー♪ 食べ放題なら遠慮なく好きなもの食べまくっちゃうぞ♪」
ミルキィがわーいと言って両手を広げ、店の中をてくてくと歩いて行く。
ここぞとばかりに薬指で眼鏡のブリッジを押すと、寛治が決め顔でいった。
「私が予約しました」
「うん、ありがとう」
「完全に任せっきりにしたよねボクたち」
「だって打ち合わせの段階でいきなりケータイ取り出すから」
用意された10人用半個室席に入り、それぞれの椅子になんとなく座る一同。
「よぉーし今日は皆楽しもうねー! むん!」
軽くガッツポーズをとってみせるかるら。周りの空気を見つつ、ふと提案しなおしてみる。
「前にもやったけどさ。改めて自己紹介とかしてみない? あたし獅子吼かるら、十中八九女子高生!」
「はーい、ボク主人公! 本名は忘れちゃってるんで仮の名前なんだけどね。出身は現代地球世界です。元の世界での記憶を喪失したまま召喚されたんだけど今のところ何とかやってます。今日は男女問わず皆ともっと仲良くなれたらいいな」
流れるように時計回りに進んだ所で、ちょうど隣にいたラクリマが水を噴きそうになった。
「あっ俺か。ラクリマです。俺はお肉がすべてなので今日はお肉ばかりを食べます!」
「自己紹介のベクトル」
「間違えた。花と魔法と、あとネコが好きです!」
「次、吾!」
立ち上がった百合子が熊でも殺しそうな目で顔の前に拳を固めて見せた。
「吾は咲花百合子! 美少女である! 現在フリー故、相手ができたらよいなぁとおもっておるぞ。よしなに!」
「次は私だ」
立ち上がるゴリラ。虫も殺さないような顔をして指を立てた。
「ローラント・ガリラベルク。休日は森の散策をしている。やはり落ち着くのでな」
「一番気になっているのはローラント殿である! ゴリラで強そう故!」
「強さは必要だ。全命平等の権利と義務を護るため、それらを脅かす全てと戦う」
「つまり……美少女ということだな?」
「……そうなるな」
がしりと握手を交わす美少女とゴリラ。
場を沈黙が支配しようとしたところで、シャルロットが手を上げた。
「シャルロット・D・アヴァローナ、旅人にはそれなりの数いるらしい吸血鬼と呼ばれる種族よ。我が世界では吸血鬼が騎士となり領主となり、民の暮らしを守っていたので、そう邪悪なものではないわ。よろしく」
場の空気が戻った。吸血鬼で戻っていいのかと思ったが充分戻ったのでよしとした。悪い人じゃなさそうだし。
「異世界からきたペッカート。前の世界ではカーペットって渾名でいじめられてました。今日は新しい渾名がもらえると聞いて楽しみにしてます。よろしくな」
流れるようにペッカートが手を上げて自己紹介を重ねてきた。
ある意味一番ダークそうな枠がフレンドリーに埋まったので、場の空気が徐々に和んでいくのを感じる。誰が感じたのかってかるらが感じたのだが。
そこで、トリッキースターズが派手に立ち上がった。
「俺達は二人で一つの演劇ユニット! 屋外・野外問わず色んな場所で創作劇を上演してるんだー。興味あったら招待券をプレゼントしちゃうから、声かけてね☆ 休日は劇の打ち合わせしたり、稔の趣味でスイーツの食べ歩きとかしてるよ」
不思議枠がエンジンをふかしはじめた。
「合コンには五つの獣が潜んでいるという」
それを見ていたジェリコ氏が離れたテーブルから急に語り始めた。
「強豪な獣。仕切る獣。漆黒の獣。純朴な獣。不思議な獣……それぞれが対を成したとき、合コンは完成する、と」
なんでこんなこと急に語り始めたのかといえば、自己紹介の順番がトリッキースターズからミルキィに渡ったからである。
「ボクの余暇の過ごし方は新しいお菓子作りの挑戦や、喫茶店巡りをして新しい味の調査だね☆ 世界を跨げばお菓子の味も微妙にかわるから新鮮だよ♪」
「ミルキィ君と甘味処の情報交換をする約束だったな。後ほど俺のお気に入り、練達にあるスイーツカフェを紹介したい」
「トリッキー君ありがとー!」
「トリスタンもミルミルもいつのまに……このメンバー、割と最初から定まってない? ねえベッキー」
「ベッキー?」
ペッカートがかるらを二度見した。
眼鏡を外してシルクでぬぐう寛治。
「合コンは皆が楽しむ事が重要。ですが、幹事などの立ち回りで個人の好印象なポイントを稼ぐ事もまた重要です。今回私は雰囲気作りに熱を注ぐ予定ですので……今日は少し付き合ってください」
「いーよー、カンチ」
「カンチ?」
寛治がかるらを二度見した。
「例えば就職する企業を選ぶとき、最初に面接した会社になにがなんでも就職し生涯を捧げなければならないということはありません。合わなければ就職しないことも、そして就職した後転職することもできる。それを不義理ととらえる方もいるようですが、社会構築という点においてはより相応しい職場へ移ることは非常に利点が大きいと言えるでしょう。合コンの回数を重ねることもまた然り。ですから――」
「愛してる」
「こういう事態もありえます」
「ラビュー」
トリッキースターズに左右交互で壁ドンされながら寛治がこっちを見てきた。
顔をそらすかるら。
「俺の目を見ろ」
ペッカートが人でも殺しそうっていうか魂喰いそうな目をして、金色の左目をキラリと十字に光らせた。
「かっこいいはかっこいいけど思ってたのと違う!」
「王様ゲームなのだ」
「王様の言うことは絶対であるぞ」
二人して豪快なマンキーダンスを疲労するローラントと百合子(ゴリラとゴリラ。じゃなくて美少女)。
「はい、あーん☆」
「甘い物を食べるには限界が――別腹にもリソース限界がね……っ」
ミルキィに生クリームめっちゃ乗ったマカロンのお化けみたいなのを口に突っ込まれる公がいた。
「ああでもこれはこれでアリな気がしてきた」
「皆命令が大変なの分かりますよ。けど俺も頑張って遂行してるんだから……こう、思い切って行きましょう! ね!」
ラクリマがぐっと拳を握った。
シャルロットの膝を枕にして頭をよしよしされながら拳を握った。
「らっくんだけ完全にご褒美じゃん」
「俺かなりギリギリなんだぞ!」
敬語が崩れるらっくんである。
ラクリマの頭を撫でながら目を閉じるシャルロット。
「まあ、ポッ○ーゲームとか言い出さないだけマシよ。このくらいペットにするのと同じでしょ」
「らっくんが新しいご褒美を貰ってる」
「そう聞こえる? 本当に?」
両手の拳を上下に振り回しながら決め顔をするローラントと百合子。
「王様の言うことは絶対」
「反逆者は略式死刑もありうる」
「踊りながら言うの恐いからやめて?」
この後適当に雑談を交わしたりお互いのひととなりを語り合ったりしたわけだが……なんだかすごく長くなりそうなので一旦飛ばすことにしよう。
「プレゼント交換~!」
寛治が両手の指を立て、身体をめいっぱいにのけぞらせながら叫んだ。
大学のノリを取り戻したのだろうか。今にもピッチャーでビールを飲みそうな勢いである。
「皆さんには事前にプレゼントを用意してもらいました! 手にあるクジに番号がふってありますので、番号通りのプレゼントがランダムに配られることになるでしょう! もう王様ゲームでやり尽くしたので罰ゲームはナシで!」
さっきまでユリーカちゃんのモノマネをさせられていた寛治は頭上で大きなバツを作った。
皆もそろそろ罰ゲームを課しても(おもしろいけど)意味ないなと気づいてきた所だったので誰も反対しなかった。
「では、いっせーの……せ!」
全員クジを開く。
反応は別にして誰の何が誰に渡ったかを一旦解説して行こう!
公:夏用のストール(by百合子)
ローラント:超メルヘンなハンカチ(byペッカート)
百合子:ホテルの食事券(by寛治)
かるら:宝箱風小物入れ(byトリッキースターズ)
シャルロット:ピアス(byかるら)
ラクリマ:ハーブティ詰め合わせ(byシャルロット)
TrickyStars:手作りクッキー(byミルキィ)
寛治:小さな籠に花をあしらったフラワーアレンジメント(by公)
ペッカート:花の香りの香水(byローラント)
ミルキィ:マカロン(byラクリマ)
「以上デース!」
それぞれの反応が書きづらいと察した寛治が頭上で大きな○を作った。
●すったもんだで
「はーたべたたべた。沢山喋った」
「思えばあっというまでしたねー」
うーんと背伸びをする公とラクリマ。
「めっちゃ面白かったー! また遊ぼうねー」
「食えないもんもなかったし? いいんじゃないか?」
かるらとペッカートもどこか満足げな様子で店を出る。
「じゃあ今度は」
「ああ、約束したからな」
ミルキィとトリッキースターズもなんかいい感じで甘い物食べに行く約束とかしていた。
「新鮮な体験をした」
「いずれデート(手合わせ)願う」
ローラントと百合子が拳をガッとぶつけ合った。
「諸君……なかなかの合コンだった」
なにげに全部見ていたジェリコ氏がスッと出てきて、報酬と食事代をスッと出してきた。寛治が一時的に全額払っていたので、ぱっと見大金を手渡ししてるように見えるが気のせいだ。
前髪をつまんでくるくるとやるシャルロット。
「今回は権力に関係ない旅人ばかりが都合よく集まったけど、貴族同士でやるよりは人脈とか欲しい商人の方が向いてそうよね」
「……なんと、その通りだ。気づかなかった。マジ卍卍!」
野太い声でマジ卍卍とか叫んで頭を抱えるジェリコ氏。
そんな反応をよそに、手にした大金(?)を翳してみせる寛治。
「所で……どうです皆さん。二次会でも」
「「いくー!」」
この後、ジェリコ氏も加わってなんかめっちゃ盛り上がった。カラオケいった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
このシナリオは個性豊かなPCたちが互いの狙いを成就させるべく心理戦を繰り広げる10人プレイカードゲームみたいな仕組みになっていたのですが、カンチさんがこれ以上無く仕切ったことで普通に楽しく食べて喋る会になりました。
カンチ☆にMVPを差し上げることに異論ありますまい。
GMコメント
すげーながなが話しましたが、要するにちゃんとした合コンをしようって話です。
一口にいっても色々種類がありますが、ジェリコ氏が述べた「店でやる、コスパがよく男女ワリカン、なるべく全員にスポットがあがる構成にする」を守るようにしましょう。
・段取り①『店選び』
相談開始日からもう真の合コンは始まっています。
参加メンバーを一度見渡し、そのメンバー全員がまあ納得するであろう店を決定してください。
その上で――雰囲気がよく、邪魔が入らず、出費がヤバすぎない場所にするべきでしょう。
・段取り②『席順』
誰が誰の隣だとか、テーブルはどうするとか、地味に流れに関係してきます。
相性の良さそうな人を隣同士にすることで会話を弾ませ合コンの成功に導くこともできるので、地味に戦略性が問われる要素でしょう。でしょう!?
・段取り③『プログラム』
ただ集まって喋るだけでは会食の域をでないかもしれません。
ブーストするような何か……そう、何か、あの、あれ、あれだよ、あるでしょあれ! あれ!
●お勧めしないプレイング。
ちょっと余計かもしれませんが、空振り回避のために三つだけ書きます。
・全員名指しで台詞を書く
一人60字以下とか無理がある
・料理を取り分けるだけの人になる
一般合コンでは善き行ないですが、ジェリコ氏は無難さを望みません。
よしんば取り分け係が生まれるとしても、その座を争っての壮絶な心理戦が行なわれることになります。つまりただ『適切に取り分けます』と書いた人がトングが奪われるのです。
・貴族マネーをアテにする
もし合コンが成功したならジェリコ氏が諸経費を補填してくれますが、一旦このことを忘れて「自腹で行く」という気持ちで挑んでください。なぜなら貴族のおごりでメシ喰うとなると必要要件を満たせないからです。逆に言うと、アテにしてると失敗します。
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