シナリオ詳細
ふわもこさまぁほりでー!
オープニング
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幻想王都、メフ・メフィートは夏の盛り。
故郷である深緑の夏といえば、空の大半を覆い尽くす緑と、その合間から覗くスカイブルーの空と、ファルカウよりずっと高い場所にあるふわふわの雲と――そう、そんな心地好い記憶だ。
家屋が立ち並ぶ煉瓦造りの道を、『リチェと一緒』キルシェ=キルシュ(p3p009805)がふらふらと覚束ない足取りで歩く。右に、左に大きく迂回し――そしてぴたりと立ち止まると、肩に背負ったリュックサックを下ろしガラス瓶を手に取る。蓋を開け口元にそれを運ぶも、水滴はぽたりとも垂れてこない。
「あれ、飲んじゃったかぁ……よし!」
目を閉じ両手で握った瓶に念じれば、目を開けた瞬間瓶の中には薄黄の水が満たされて。蓋を開けそれを飲めば、甘酸っぱいレモンの味と香りが広がった。
「ふぅ……今回はレモン味だったんだね! よし、次の日陰には――えいっ!」
瓶をリュックサックに仕舞うと、キルシェは気合を入れ大きく腕を振り、ひょいと日陰へとジャンプする。深緑にいた時は日陰を『探す』ことなんてことがなかった彼女にとっては、この小さな遊びは楽しさと――大量の汗を連れてくる。
「……あ、あつい」
「きゅい?」
飼い主の嘆きに、大型犬――いやそれより一回り大きいだろうか。ぽてぽてと歩く巨大なモルモットがキルシェを見上げる。
「あついね、リチェ。もうすぐローレットに着くから水浴びしようね」
きっとふわもこのこの子はもっと暑いだろうから――そう撫でようと手を伸ばした直後、キルシェの腕は灼熱の空気に包まれる。
「うひゃあ! り、リチェものすっごい熱さ!」
手を思わず引くキルシェは、逡巡ののち「そうだ!」と思いつく。
(ローレットの仕事もいいけれど、予定変更!)
目指すは幾度か通った場所――境界図書館!
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「本当? 涼しくてもふもふの動物と遊べる世界があるの!?」
のんびり過ごせて、モルモットが居て、出来れば暑くない世界――そんなキルシェのリクエストに、境界案内人は一冊の本を指し示す。大判の絵本を案内人が机へと開けば、そこには芝生のあちこちで思い思いに過ごす動物たちが描かれていた。
ウサギたちは追いかけっこをし、大きなモルモットの上には中くらいのモルモット、その上には小さなモルモットが積み重なる。ライオンのたてがみをキツネが毛繕いする様子を見れば、この世界では動物たちの強弱はなく皆仲良く暮らしているようだ。
境界案内人曰く、この世界の動物たちは異世界よりの来訪者に癒されてもらうのが至上の喜びのようで、思い思いに過ごしてくれればよいのだという。
暑さに負けた来訪者か、はたまた癒されたい者か。
気付けば絵本を覗き込んでいたイレギュラーズと共に、キルシェ達は本の中へと吸い込まれていった――
- ふわもこさまぁほりでー!完了
- NM名飯酒盃おさけ
- 種別リクエスト(LN)
- 難易度-
- 冒険終了日時2021年08月16日 22時06分
- 参加人数4/4人
- 相談8日
- 参加費100RC
参加者 : 4 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(4人)
リプレイ
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「わ、危なかった!」
吹く風に攫われそうになった帽子を慌てて抑えた『リチェと一緒』キルシェ=キルシュ(p3p009805)は、ほっと胸を撫で下ろす。
きゅい、と答えた愛モルモットのリチェルカーレを見れば、その周りには子モルモットがわらわらと集合していた。モルモットの親玉と化したリチェルカーレの姿に、キルシェはそのかんばせを輝かせる。
「もふもふがいっぱいいるわ……!」
「本当に、つやつやもふもふな子がいっぱいなのです」
両手で掬い上げたモルモットの頬をつついた『はらぺこフレンズ』ニル(p3p009185)も、その柔らかさにふにゃりと頬が緩む。
(ニルは、前におっきい羊さんをもふもふしたことがあります。そういえばあの時の羊さんは、ころころ転がっていましたっけ)
「オーッホッホッホッ! さあさ、かわゆいアニマルの皆様―! この! わたくし!」
\きらめけ!/
\ぼくらの!/
\\\タント様!///
「――が! 遊びに参りましたわよー!」
荒ぶる鳥類のポーズ、猫のポーズ、そして思い切り髪をばさっと手で払う三連ポーズをキメる『きらめけ!ぼくらの』御天道・タント(p3p006204)が、頭上に輝く太陽と揃いのオレンジの水着に付いたパレオを揺らす。
羊やアルパカ達は鳴き声でそれを囃し立て、その横で『わもきち』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)もぺちぺちと小さなヒレで拍手をしていた。
「まぁ、ワモン様まで! 嬉し恥ずかしタント様ですわー!」
「おー、なんかすげーきらきらしてたから思わず拍手しちまったぞー……ってオイラは食べ物じゃねぇ!」
「ワモン様ぁー!?」
アルパカに齧られているワモンを慌てて救出するタントだが、すぐにそのふわふわに吸い寄せられてしまう。
「あったかあつあつのおこた様のような心地好さですわ……ではなくて! 皆様! 湖へ大移動ですわー!」
「ですね、水着も着てきました!」
パーカーを羽織ったとて胸元に光る秘宝種の核は隠せず、それを晒すのはほんの少しそわそわするけれど――けれど、こんなにも遊び日和なのだから、今日ばかりは曝け出してしまおうとニルも微笑んで。
「リチェってば、もふもふもいいけどリチェもひんやりするのよ!」
首を傾げるリチェルカーレに「水浴びよ」とキルシェが告げれば、ぶんぶんと首を振り抵抗モード。
「もう、みんな助けてー!」
「なんだなんだ、押せばいいんだな! うおおおアザラシパワー!」
「ニルもお手伝い、します!」
キルシェの助けにワモンとニルが応じ、リチェルカーレを三人で押し始める。
「フレー、フレーですわー!」
その後ろで、太陽によく似たたてがみをのそのそと揺らすライオンに跨ったタントが三人に声援を送り――
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「うひょー! 湖! 水浴び! いろんな動物!」
馴染みやすい世界だと頷くワモンは「オイラのアザラシ式泳法をみせてやるぜー!」と早速湖へダイブ。
「まあ! ワモン様ったら水を得たアザラシですわ! こちらも負けてられませんわねお猫様、いっちにー、いっちにー!」
タントはその姿を見送ると、浅瀬で猫と両手を繫ぎ猫かきの指導に熱が入る。
「おハム様そこは深いですのよ! むむ、ニル様その箱から浮き輪を出してくださいまし!」
「浮き輪……これですか? え、えいっ」
縁の切り株に腰掛け、膝の上に乗せた兎を撫でながら足だけを水に浸けぱしゃぱしゃと遊んでいたニル。タントの呼びかけに兎をそっと隣へ下ろすと、切り株の隣にある木箱から小動物サイズの浮き輪を取り放り投げる。
「うむっ、これでおハム様もおモルモット様もばっちりですわー!」
「浮き輪、すごいですね……わ!」
足元に感じた衝撃に、思わず尻もちをつくニル。びしょ濡れになったことに目を丸くすれば、そこにいたのは先ほどまで膝の上にいた兎で――すいすいと泳ぐその姿に「泳ぐの上手だったのですね、兎さん」と、笑みが零れてしまうのだった。
「ほらリチェ! お水でリチェもひんやりね!」
キルシェはリチェルカーレの身体に優しく手で水をかける。
「そういえばワモンお兄さんは……ぴぁ!? あっという間にあんな遠くに泳いで行ったのよ!?」
一瞬の後に向こうへ消えたと思えば、飛沫はこちらへとUターンして――
「この湖思ったより浅いな! アザラシ式泳法はやめてアザラシ船とっかり丸になるぜー!」
乗船手続き中だぞー、と背中をぺちぺち叩くワモンに浮き輪をつけた小動物達がよじ登る。
「リチェもよかったらオイラにのってみねーかー?」
恐る恐るワモンに前足をかけるリチェルカーレだが、先客に加えお互いの対格差では上手く行かず、とっかり丸は沈没していく。
「リチェはちょっと難しそうなの。ワモンお兄さん、みんなでいってらっしゃい!」
「おー、それじゃーいくぞアザラシ遊泳船とっかり丸! 出航だー!」
キルシェたちが手を振り、ワモンは再び泳ぎだす。
「リチェ様もたくさん涼みましょうね」
びしょ濡れになったニルは、もう観念したようで水をリチェルカーレにかけ始め、タントもその様子に目を細める。
「リチェ様もひんやりできておりますかしら! 良かったですわねキルシェ様!」
「あ、でももしかしてそろそろ……」
――ぷしゅん。
気の抜けた声の元へと三人が目をやれば、リチェルカーレの鼻からは提灯がぶら下がっていて。
「わわ、そろそろ上がらないとリチェもルシェも風邪ひいちゃうのだわ!」
自身も決して身体が丈夫ではないキルシェは、陸へと上がるとキルシェの身体を拭き始める。そこに兎や猫も並び出して「じぶんも!」とぴょこぴょこアピールする。
「あら? みんなも水遊びもう良いの? じゃあ拭いてあげるから、水浴びもういい子はおいで~」
その声に、動物たちは大集合し――キルシェのお世話は大盛況となった。
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「いただきまーす!」
濡れた身体を拭き、あたたかいタオルも羽織り――湖畔の木陰にシートを広げた一行と動物達はランチタイムへ。
「おー、オイラはツナマヨのおにぎりにするぜ! なんていったってツナはマグロでうめーからな!」
「ワモンお兄さんってばずるいわ! ルシェもいっぱい遊んだからお腹ぺこぺこだもの……これにするの、いただきます!」
キルシェもおにぎりをひとつ手に取ると、かぷりとそれを一口。同時に隣では、小さなモルモット達と顔を寄せ合うリチェルカーレが青く茂る若草を食む。
「リチェも美味しそうな草いっぱいだね、みんなと仲良くするのよ?」
んぐ、と返事代わりに鳴る鼻は至極幸せそうで。その頭を撫でて食べ進めれば、口の中にはふわりと塩気が広がる。米の甘さにこのほろほろ零れるオレンジの具はなんだろうか、判らずとも美味しい物は食べる口が止まらない。
「まあまあ、すごい量ですわ!」
隣の木箱をタントが開けば、人参にキャベツにきゅうりに――動物用の色とりどりのご飯は、まるでおもちゃ箱のようで。せっせとそれを外に出せば、そこはもう賑やかな子供部屋。
「皆で仲良く、いただきますですわ……あぁ、アニマルズ様そんなに急がずともまだまだ沢山ありましてよ! 仲良くなさってくださいましー!」
「きらきらぼくらのタント様お姉さん! これ凄く美味しいのよ!」
おもちゃ箱がひっくり返された様相にタントが慌てるも、そこにキルシェがずい、とおにぎりを差し出せばその誘惑には勝てるはずもなく――後で片付けましょうか、と諦め一口。
「これは何なのかしら? タント様お姉さんは知ってる?」
「むむ、これはおサーモン様ですわね! ニルさまもご覧くださいまし、とってもおいしいですわよ!」
「そうだぞー! こっちのドーナツもうめーぞ、遊んだ後は腹がぺこちゃんなるからな!」
ニルはタントの差し出すおにぎりと、ワモンの差し出すドーナツをそれぞれ受け取るとじぃっとそれを眺め、交互に一口。
(おなかがすく、も、おいしい、もニルにはわかりません)
けれどこれは、世界がニル達のために用意してくれたもの。そしてこちらを見る三人の顔がとっても輝いている。沢山遊んだ後のごはんはおいしいと聞いたことがあるから、きっとこれは――
「とってもとってもおいしいのです」
そう言えば、口の中に「おいしさ」が広がった。
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「お腹いっぱいでお昼寝……もふもふいっぱい、幸せいっぱいね」
キルシェはすやすやと寝息を立てるリチェルカーレのお腹に頭を預け、すっかり昼寝の体制に。
満腹で心なしか丸さを増した兎や小モルモットにハムスター、小さな毛玉たちがキルシェのお腹へと飛び乗ると、キルシェはそれを「みんな一緒に!」と抱きしめる。
「心地良い風とふわふわの毛皮……最高のリラックスデーですわぁ」
タントもライオンに身体を預け、腕の中には最高級枕――アザラシたんぽのワモンを抱える。
「へっへーん、オイラを抱っこすればぐっすり快適快眠生活だ……ぜ……」
自慢を言い切る前に、二人そのまま夢の中へ。
「ニルお兄さんもね、この子たちと一緒に寝ると幸せな夢見られると思うわ……」
キルシェの誘いも、どんどんと微睡みに溶けて――ニルもそっと、キルシェと逆側のリチェルカーレの腹へと頭を預ける。
風の音に応じて形を変えて足元に落ちる葉の影は、まるで何かを囁きかけるようで。
(とってもとっても、穏やかな時間ですね)
眠くならないニルにとっても、この時間は何だか穏やかで暖かく――ぴょんとお腹に飛び乗ってきた羊を抱き締めれば、もふもふのふわふわだけではない何かで、胸の核辺りがポカポカする。
(みんなで楽しくて、癒されて――それが一番素敵なのです)
「皆様おやすみなさい、良い夢を」
そうしてニルも目を閉じて――
「ふぅー、よく寝たぜー! 遊んで涼んで元気回復! 明日もきっといい日になるよな、ハム五郎!」
夕暮れの中ワモンがハムスターに話しかける声に、全員の笑い声が響いていた――
成否
成功
状態異常
なし
NMコメント
お待たせして申し訳ございません、リクエストありがとうございます。
もふもふは夢なのに、犬猫アレルギーの飯酒盃おさけです。
●目標
動物たちと遊び、目一杯癒される。
●舞台
やさしい絵本の中の世界。
湖のほとりにある、平和な草原です。
天候は晴れ、気温は半袖で快適な程度。過ごしやすい陽気です。
●動物たち
この世界には沢山の動物が居て、のんびりと過ごしています。
犬、猫、キツネ、タヌキ、ハムスター、モルモット、カピバラ、羊、ヤギ、牛、馬、そして普段は気軽に触れられないライオンや虎なども、他の動物や来訪者に危害を与えることはありません。
なぜならこの世界の動物は「来訪者が癒されること」が何よりの幸せなのですから。
なお、どの動物も毛はつやつやでもふもふ、極上の毛並みです。
●できること
・芝生
動物たちを思いっきり撫でてごろごろしたり、乗ってみたり。
エサをあげたい場合、芝生の中に点在する木箱に入っています。
その他、木箱には毛布やボール、猫じゃらしなど遊びに使えるものが沢山有るでしょう。
遊び疲れた皆さんには、動物たちからのおもてなしとしてレジャーシート、おにぎり、ドーナツ、ジュースにお酒も用意されています。
動物たちと昼寝をするのも気持ちいいかもしれませんね。
・湖
湖は膝程度の深さであり、動物たちと水遊びもできます。
折角のサマフェス期間、とっておきの水着を着て動物たちと水遊びもいいかもしれませんね。
●プレイングについて
長めのイベントシナリオと思って頂いてOKです。
動物の種類も、例以外にも沢山居るでしょう。
その他、ありそうなものはありますし、持っていけそうなものは持っていけます。
混沌の一般的なショップで手に入れられそうなものであれば、プレイングで指定頂ければ持っていると判断します。
アイテム装備の必要はありませんので、自由にのんびりだらけてみてくださいね。
動物と戯れるのを建前に、お友達や恋人さんとの時間を過ごすことを重視しても構いません。
ライブノベルは成功が確約されています、思いっきり自由にどうぞ!
それでは、ご参加をお待ちしております。
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