PandoraPartyProject

シナリオ詳細

上手に焼かないと明けないメンテ部屋

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●『サンオイル塗ってくださる?』
 水着のひもに指をかけ、シートの上でうつ伏せに寝転ぶタント (p3x006204)。
 長い髪をお団子状にむすんだことで露わとなった首うしろのうなじと僅かにおりた銀色の髪。
 パラソルはもうない。ここにあるのは青空と太陽と砂浜と――
「ぼくブラックタイガー」
 全身真っ黒になったエビがサンオイルとパラソルをそれぞれ持って整列していた。
 その中のひとりが『ぼくらはとら』と書かれた立て看板を振りかざすと、くるりとひっくり返した。
 そこに書かれていたのは――。
『メンテ中(時間をおいてからアクセスしてください)!』

 ――完!





●『F5連打は厳禁なのです!』
「「ぜんぜんメンテが終わらないのです!」」
 オラァって言いながら看板を膝でへし折る夢見・ヴァレ家 (p3x001837)&夢見・マリ家 (p3x006685)。
「海で遊ぶだけで終わるクエストだって聞いたから来たのに! いつまで待たせる気ですか! こわしますよ! F5連打で壊しますよ! そして咎を現実の夢見が負いますわ――ますよ!!」
「ヴァレ家にアクセスさせるのが悪い! 串(くーし)! 串(くーし)!」
 割れた看板を地面に叩きつけ、悪質なイッキコールみたいに手拍子するマリ家。
 とろとろとバイクでやってきたセフィーロ (p3x007625)とリアナル (p3x002906)が、バイクにくくりつけていた荷物をおろしながらその光景を眺めていた。
「で、本当にメンテが終わるまで待たなくちゃあならないのか?」
「かれこれ4時間は待ってるわよ。まさか一泊してもメンテが明けないなんてことないわよね」
 そんな風に言っていると、フィンつって目の前に半透明なウィンドウが開いた。
 たまーに見かけるタイプのROOクエストウィンドウである。
 髪をまとめながら歩いてきたタントやリアナルが覗き込むなか、セフィーロはウィンドウを指でついついってしながら文章を読み始めた。
「どれどれ、ええっと……『上手に焼かないと明けないメンテ部屋』」
 一秒ほどの沈黙のあと、全員が一斉に振り返る。
 一列に並んだブラックタイガーたちがパラソルとサンオイルをバッと掲げた。
「「……あ、もう始まってる!?」」

GMコメント

 ROOについての説明はうしろのおまけ解説をご覧くだせぇ! 今日は美女たちが健康的な褐色美女になるシナリオだよ!
 ただし気を抜いてはダメだ。サンオイルを上手にぬらないと白いまんまで焼けない上、パラソルで隠されるとどんだけ焼いても白い状態に戻ってしまうというここは謎のバグ空間。
 ブラックタイガーを倒し専用オイルを奪い、隠そうとしてくるブラックタイガーを倒してパラソルをへし折り、かわりばんこでシートに寝転んで身体を上手に焼くのだ!
 ブラックタイガーは無限沸きだから気をつけよう!
 一番上手に焼けたひとは最後に健康的なあまり爆発四散してデスカウントがプレゼントされます。……デスカウントがプレゼントされます!?

●情報精度
 このシナリオの情報精度はPです。
 PはぺぇぺぇのPだった気がします。

================================

●ROOとは
 練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
 練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
 R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
 練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
 自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline

※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

  • 上手に焼かないと明けないメンテ部屋完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年08月02日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

一(p3x000034)
黒縁眼鏡の
夢見・ヴァレ家(p3x001837)
航空海賊忍者
※参加確定済み※
リアナル(p3x002906)
音速の配膳係
※参加確定済み※
タント(p3x006204)
きらめくおねえさん
※参加確定済み※
夢見・マリ家(p3x006685)
虎帝
※参加確定済み※
セフィーロ(p3x007625)
Fascinator
※参加確定済み※
ネコモ(p3x008783)
ニャンラトテップ
ブラン(p3x009208)
空白

リプレイ

●上手に焼かないと明けないメンテ部屋
 これまでのあらすじ!
 かつてないおせくしーを繰り広げようとしたタント様を聞きつけダッシュで止めに来たいも――ハッ、これ違う台本だ!
「クエストのメンテナンスを終わらせる為に肌を焼くんですか……」
 痴呆が進みすぎたおじいちゃんの話を聞く孫みたいな顔で、『学生』一(p3x000034)は虚空に浮かんだクエストウィンドウを眺めていた。
「バグってるクエストをクリアしてもきちんとメンテが終わる保証はないような気がしますが……」
 そうつぶやいてから、ROOにまつわる話のいくつかを思い出した。ジーニアスゲーム・ネクストを攻略した際、少なからずバグの原因に迫れるヒントが収集できたという。レオンでもぱっと見でそう分かるくらいなのだから、三塔の研究員たちならもっと多くの情報を獲得できるだろう。この『上手に焼かないと明けないメンテ部屋』から得られる知見も、決して少なくはないはずだ。
 自分たちはMMORPGのクエストを攻略しているつもりだが、研究員たちからすれば世界のデバッグを行っているようなもの……ということである。
「挑戦することに意義がある、ですか」
「考えてみたら、『上手に焼く』の定義も曖昧だしな」
 『調査の一歩』リアナル(p3x002906)がサマーアバターに着用していたスクール水着の肩紐をぱちんとやってから振り返る。
 さっきからブラックタイガーの集団がパラソルを回したりオイルを手に出して仲間に塗りつけたりと奇妙な行動をとっていた。
 見るたび数が増えていたが、どうやら上限があるようで途中で数がとまっている。無限沸きってやつだろうか。
「これ、水着をまくって全裸で焼けってわけじゃないんだよな?」
「『上手に焼く』に体表面積の提示がないので、おそらくは……」
 そんな中で、ビーチチェアの上でゆっくりと脚を組み直した『Fascinator』セフィーロ(p3x007625)。
「バグだらけの世界だってのはよくよく知ってるわ、ええ
 だからと言ってトンチキの宝箱である必要は無いんじゃあない??」
 ねえ? と首をかしげてみせると『空白』ブラン(p3x009208)が握りこぶしを作った。
「メンテが終わらないとみんな海を楽しめないんですね……。
 そういうことなら、みなさんのためにもがんばります……」
 まあそうなるわね、と青空を一旦見上げるセフィーロ。
「ともあれ、来てしまったからにはやるしかないわ。じゃないと帰れないし。いつまでもエビに囲まれてマイムマイムされるのも癪ですし」
 そう言って視線をまわりに移すと、パラソルを掲げてセフィーロのまわりとぐーるぐーる周り続けるブラックタイガーの集団があった。
 今まで無視して喋っていたのが不思議なくらいうざかった。どうやらこのエビ、煽る才能に長けているらしい。
 同じくそんな風に煽られていた『航空海賊忍者』夢見・ヴァレ家(p3x001837)と『航空海賊虎』夢見・マリ家(p3x006685)。
「何度F5を連打してもメンテが明けないなんて、こんなの絶対におかしいです! 何かの陰謀に違いありません!」
「ヴァレ家を陰謀に巻き込むとはけしからんエビです!
 何やらよく分かりませんがしっかりと日焼けすればいいのですね? 頑張りましょう! ヴァレ家!」
「夢見シスターズのコンビネーションを見せてやりましょう!」
 がおーと言ってとらの構えをとるマリ家とさそりの構えをとるヴァレ家。
 蠍のポーズってよくわからないんだけど両手をガオーしてるマリ家の頭に顎のっけてダブルピースしてるヴァレ家をご想像ください。プリクラかな?
「全員が褐色に焼けるまでメンテが終わらないにゃって!? にゃんと恐ろしい状況にゃ……」
 っていいながら内心にまにましている『にゃーん』ネコモ(p3x008783)。下心がないといったら嘘になるが、それをおくびにも出さず猫の尻尾をふらんとやった。
「ともあれ、海を楽しむためにも順番にしっかりこんがりと焼いていくしかないみたいにゃね!」
「こんがりと……日焼け……」
 『きらめくおねえさん』タント(p3x006204)が背景を宇宙にして太陽を見上げた。
 それは現実の太陽などではなく、ROO仮想空間に作られた擬似的な太陽なのだが、現実のそれと同じくじわじわと白肌を焼いているのがわかった。
「現実混沌のわたくしは日焼けなんてしないから、新鮮だわぁ。
 ……アレね。太陽に焼かれるって、わたくしにとっては……UVならぬ、DVねぇ……」
 タントの出自を知るものなら頷くところだが、よくしらないネコモあたりは『でぃー?』と首をかしげていた。
 さておき……。
「ここから出られないのは大問題。まずは邪魔なエビをかたづけちゃいましょぉ!」
 水着姿のタントは羽織っていた半透明な上着を脱ぎ捨てると、バトルの構えをとったのだった。

●それはエビ!
 パラソルをかざして真っ白お肌に戻そうと一斉に襲いかかる(?)ブラックタイガーたち。
 さっきのプリクラポーズをとっていた夢見シスターズは、そのままギャッと戦いにシフトした。
「ほらほら、そんな貧相なボディの輩を邪魔しても時間の無駄でしょう? それならむしろ拙者を――」
 ヴァレ家渾身のせくしーぽーずをとった。
 ぱんぱかぱーんっていう効果音と共に背景を唐草模様が覆った。
 ぜったいセクシーの時に出てくる背景じゃなかった。
 後ろを振り向き、もいちどエビを見て、最後にちらっとマリ家を見るヴァレ家。
 マリ家はタイガーサブアームで顔を覆っていた。
「そういう可哀相な生き物を見る目は止めなさい! ぶっ飛ばしますよ!」
 オラァといって夢見きりもみキックをたたき込んだヴァレ家は奪い取ったパラソルでエビをぼこぼこ叩き始めた。
「体型への苦情は現実の夢見へ送りなさい!」
「ヴァレ家!?」
「叩き潰して黒エビ炒めにして海の家で売ってやりますよ!」
「ヴァレ家!?」
 マリ家の頭上にほわんほわーんって浮かぶ想像雲。二人で『海のサマ家』って書いたTシャツを着てエビチャーハンやエビラーメンを運ぶ姿。
「ヴァレ家は天才ですか!? これで拙者達は大儲け間違いなし! これにはショッケン殿もにっこりですね!」
 助太刀致します! といってタイガーソウルを高め手腕副腕それぞれでエビを殴りまくるマリ家。

 一方ビーチチェア。あっちは放っておいても大丈夫そうねとつぶやいたセフィーロはテーブルに置いた瓶にきゅってねじった布を詰めると、ライターでくわえ煙草に火を付ける。煙草をくわえたまま煙をはき、そして瓶につめた布にも火を付けた。
 後ろ手に放り投げた瓶が爆発し炎をあげ、巻き込まれたエビが『トラァ!?』ていいながら燃え上がっていく。
「まずはエビしばきタイムにゃ! 手の空いてる人は今のうちに奪ったオイルで体をやいとくにゃ!」
 ネコモはしゅっしゅと空パンチするとダッシュでエビへ急接近。下段の弱キックを入れてからパンチや肘に繋ぎ、キュピーンと必殺技の光エフェクトを出すと昇猫拳でエビを天の彼方に吹き飛ばした。更に猫道拳を連射しエビをぽこぽこ弾き飛ばしていく。
 こうなればリアナルも黙ってはいない。
「エビ、エビ、エビ退治には……あ、これか」
 鞄の中をごそごそあさってから『エビキラー』って書いてある小包を開いた。目をバッテンにした車エビのイラストがかかれたスプレー缶である。こいつをしゃかしゃかふってから同じ小包に入ったピッケル状の物体を缶側面に突き立てる。一秒とまたず放り投げると、爆発がおきてエビが一斉にばたばたと倒れていった。
 それに合わせて、ブランが攻撃スキルを発動。広い範囲にかけてブラックタイガーへとAP吸収攻撃を仕掛けていく。彼女の役はデコイらしく、ここで手に入れたオイルを自分に塗って寝転ぶことでパラソルをもったエビを集め、集まってきたところで範囲攻撃で散らしていこうという作戦のようだ。
 くるくる回ってとんできたサンオイルをキャッチするリアナル。しげしげと眺めた。
「こいつを塗ればすぐに焼けるわけか……自然と焼けるのがおわるまで戦い続けるのはムリだしな。使わせて貰うとするか」

「邪魔しちゃだーめ、よぉ」
 ガラスのように煌めいたハイヒールが、エビのパラソルを蹴り飛ばした。
 タントの体幹はゆらぐことなく、長い脚で膝をあげたまま足首を器用に動かしてくいくいとつま先で手招き(脚招き?)をする。
「ふふふ、次にこの脚で折られたい子はどなたかしらぁ?」
「「トラァ……」」
 タントの脅威を察したのか、エビたちがプラカードを武器にゆらりと構える。
 対するタントも彼らをなぎ払おうと、親指を口元へもっていく独特の構えをとった。
 にらみ合う両者――の間を抜けていく魔法の矢。
 エビの額にスコーンとささった矢によって、ブラックタイガーはぶっ倒れた。
「あまり肌を焼きすぎるのも”わたし”のイメージとは違うんですけれども、仕方ありません……」
 ニノマエはブラスバンドが持っていそうなバトンをくるくるとやると、音符マークのきらめきを形にした。発射された無数の音符がブラックタイガーたちを打ち倒していく。
 そして胸元に手を当てると、一瞬の早き替えで紺色の学校指定水着へとチェンジした。
「今から、焼かせていただきます」
 キラリ、と眼鏡のレンズが光る。

●オイルを塗ってくださる?
 Japanese animation historyの各所で登場する夏の風物詩。それが『オイル塗ってくださる?』である。
 なにもやましいことしてないのになんかおせくしーなことしてる気分になれるあのシーンは古来より脈々と受け継がれ、現実にはいうほどおせくしーな感じしないのにアニメのなかだけ奇妙にねっとりとしていた。
 していたはずだが。
(肌を焼いても見せる相手がなー……)
 両腕を組むようにして顎を乗せ、うつ伏せの姿勢をとっているニノマエ、彼女の投げ出した脚に、タントがせっせと丁寧にオイルを塗っていた。その真剣さたるやエステティシャンのそれであり、決して日焼け具合にムラがあってはなるまいとオイルを脚の隅々までなでのばしていた。
 なんか思ってたオイル塗りと違う、と思ったタントだが、ニノマエも特に気にしていない様子だったので続けることにした。
 暑さのせいか、汗でわずかにずれる眼鏡、『おっと』と言ってフレームを指でおしあげる形でもどすと、レンズ越しにみえた波打ち際に誰かの後ろ姿が見えた。赤い海パンと半袖のジャケット。こちらに笑顔で振り返る姿が逆光に紛れ――
「センパ――!」
 思わず体を起こすと、眼鏡を落としてしまった。裸眼でぱちくりと瞬きをするも、誰もいない。誰もいなかった。
「じゃあ、私の番ねぇ」
「あ、はい……」
 タントはよろしくねぇといってオイルを手渡してくる。言われたとおりニノマエはタントの前身にオイルを塗ってやった。
 慣れても不慣れてもいない、ごくふつうのオイル塗りである。これでよかったのかな? と思わないでもないが、ムリしてもよくないとも思う。
 そう考えていると、タントがビキニのおしり部分をくいっと指で食い込ませ、浮かべた手鏡の反射を集中させると日焼けシールを利用したハート型の焼け跡マークを作った。
「できあがり。男の子ってこういうの、好きでしょ?」
「どうなんでしょう……?」

 その一方で、ネコモとブラン。
「それじゃオイル塗るにゃよー、全身むらなくぬりぬりするけど、触られたくない場所があったらいってにゃー、そこんとこは避けておくからにゃー」
「よろしくお願いします。ところで、これってバフみたいな効果なんでしょうか……?」
「さあ?」
 ネコモはしらにゃーいと言いながらブランの体にオイルをまんべんなく塗ってやった。別に全身真っ黒に焼けってわけじゃないらしいので、見えてるところだけである。
 ひとしきり塗りおえると、今度はブランにオイルをパスしてぺふんと寝転がった。
「それじゃ全身まんべんなくぬりぬりしてにゃー、しっぽの周りとかぬりにくいかもだから慎重にぬってにゃー。後ろぬりおわったらひっくり返るから表面もよろしくにゃ!」
 ニャッとダブルピースしてみせるネコモ。
 ブランは『がんばります』といって、オイルを手に取った。
 そうこうしている間にも周りでエビとの死闘(?)は続いている。
 爆発やゴシャアっていう破壊音に囲まれながら、時折おこる砂煙を手ではらいながらオイルをぬっては焼いていく二人。
「ほう、良い具合だな。よし交代だ!」
 リアナルがスクール水着の尻のあたりの食い込みを指でなおしつつ、親指で『戦いに加われ』のサインを出した。
 その横に並ぶセフィーロ。手にはついさっきエビをへし折って手に入れたオイル。
「私、焼くと赤くなるからイヤなのよね……」
「あー、わかる。肌によっちゃひどくなるよな。だが今回は……」
 ぴこんと片眉を上げてみせるリアナル。セフィーロも同じく眉をあげた。
「アバターなうえ、『そういう空間』だから問題ないってわけね」
「そういうことだ。ま、ジュースでも飲みながらぬられとけ」
 セフィーロの脚にオイルを塗っていくリアナル。長くしなやかな、そして力強い脚だ。
「いやいや、苦しゅうない」
「こいつぅ」
 にやりと笑い、指の間にオイルをすりこませていくリアナル。
 ひとしうきり塗ったあとは、自分の脚をだした。
「私の布面積ならオイルを塗るのにも時間が掛からないだろう? さっさと塗ってこんがり焼こうぜ」
「こんがり……」
 リアナルのどこか肉付きのよい脚にオイルをぺたぺたしながら、セフィーロは目を細めた。
「今は、ハム的なものを想像しただろ!」
「してないしてない」
「照り焼きロースハムを想像しただろ!」
「具体的すぎない!?」
「ええいもっかいチェンジだ。角煮かってくらいオイルまみれにしてやる!」
 オイルのボトルをとりあってばたばたする二人。
 そんな二人にそーっと近寄るエビ――を、二人によるダブルキックが吹き飛ばした。
「争ってる場合じゃねえな」
「こうしてビーチで快適な時間を過ごすのも……って思ったけど、メンテを明けてからになりそうね」

 というわけで夢見シスターズの日焼けタイム。
 ヴァレ家はオイルを手のひらにとりながら、仰向けになってバンザイしたマリ家を見下ろした。
 なんだろうこの、おっきな猫の腹をなでまわすみたいな時間は。
「実のところ、どのくらい塗ればいいのか皆目見当がつきませんが、心を込めて塗りますね!」
「はい! よろしくお願いしますヴァレ家!」
 とかいってるマリ家のおなかによーしよーしって片手で撫でていく。
「目指すは、そう、トレーディングハウスBLACK CATの看板娘! 取引する品の宅配を求めて、お客様が押すな押すなと……」
「ヴァレ家!?」
 それは何か違う生き物では! と起き上がると、ヴァレ家とボトルを交換した。
 お願いしまーすといってうつ伏せになるヴァレ家の背中に、オイルを広げた手でかるくぺちぺちしていく。
「ヴァレ家、どうですか? ちゃんとオイル濡れていますか?」
「おそらく? 自分からは見えないので……」
 うつ伏せのまま首をかしげる。
 マリ家はぺちぺちを広げながら、ちらりとブラックタイガーを振り返った。
「それにしてもあのブラックタイガーは何なんでしょうか……」
「さあ。トラァと言ってるからトラなのでは」
「あれはエビ!」
 何かが魂から漏れ出た。口元を自分で覆ってもごもごするマリ家。
 そうして二人でオイルをぬりあってころころーってすることしばし。
 そう時間もかからず、健康的にこんがり小麦色になった夢見シスターズができあがった。
「「完成DEATH!」」
 ぱんぱかぱーんと赤と黄色の放射縞背景を背負ってトラさそりポーズをとる夢見シスターズ。
 すると、エビたちがしゅーって消えていき、空にウィンドウが開いた。
 どうやら一番健康的に日焼け出来たメンバーを選出しているようだが……。
「これって、うまく日焼けしたらどうなるのです?」
 振り返るマリ家。
 リアナルが神妙な顔で、腕を組んだ。
「爆発する」
 ババーンという音と共に空に表示される『夢見シスターズ』の文字。
「「……どうして」」

 そして、夢見シスターズは夏のビーチで爆発した。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

夢見・ヴァレ家(p3x001837)[死亡]
航空海賊忍者
夢見・マリ家(p3x006685)[死亡]
虎帝

あとがき

 ――クエスト完了!

PAGETOPPAGEBOTTOM