PandoraPartyProject

シナリオ詳細

恩返しに参りました。この前助けていただいたファンブルです

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「えっ?」
 突然貴方の目の前に現れたのは巨大な『F』の形をした……な、なんだこれは? 精霊か? それとも魔物か……? 正体が分からないがしかし敵対的な様子ではない巨大『F』は貴方に語り掛けていて。
「覚えておりませんか――? そう、あれは三日前……山の狩人が仕掛けたトラバサミに捕まっていた私を助けてくれたではありませんか」
「えっ? えっ? えっ?」
「あの時のご恩をお返しすべく参りました。
 今日一日、貴方にはファンブルの加護が与えられます」
 こちらが事態を理解するより早く捲し立てる『F』はそこまで述べるといきなり体が消え始める――えっ? 何!? ちょっと待ってホントにどういう事なの!!? ていうかどうして消えるの!!? あっ! さてはこれ夢だな!!?
「貴方達にファンブル一族の祝福が有らん事を――」
「待って! ファンブル一族って何!!? やめて、そんな加護持って帰って――!!」
 叫ぶ貴方。しかしどんどん消え失せる『F』に手を伸ばしても間に合う事はなく。

 気付いた時には――ベッドの上で穏やかな朝を迎えていたとか。


 今朝見た夢はなんだったのか。ファンブルの加護などと……縁起でもない。
 だが所詮は夢であろう。
 念の為に体の不調が無いか確認してみたが、どこも悪いという事はなかった。
 それよりも依頼だ依頼。今日はたしか猫のミーちゃんがいなくなったから探して保護してほしいという依頼を受けていたのだった。まずはローレットへと向かい、共に向かう仲間と相談しようではないか――
 そう思って外へと一歩出れ、ば。
「お、とぉ!!?」
 直後。そこにあったのはなんと――バナナの皮!!
 馬鹿な。どうしてこんな所にバナナの皮が――と思ってももう遅い。豪快に滑りを見せれば体勢が崩れて思わず地へと転ばんとする! なんとかギリギリの所で身を捻り地面への落下を和らげる、が。
「ふぅ危ない危な――ぅおぉぉおあわあああ!?」
 直後にはなぜかいきなり雨が降り注いできた!
 まるでスコールの様な土砂降り。一瞬動くのが遅ければ全身濡れる所であった……!
 その後も貴方には不運が続いた。
 移動途中に見知らぬ犬に吠えられ、しかも何故か追い立てられ。朝食代わりにサンドイッチでも食べようかと思えば、空から襲来したカラスに一瞬で奪い取られ。挙句の果てにはまたバナナの皮が貴方の足を絡め捕らんとする――!!
 這う這うの体でなんとかローレットへとは辿り着いたものの、一体これはどうした事か。
 息を整え思考を馳せんとすれ、ば。

 『今日一日、貴方にはファンブルの加護が与えられます』

「まさか」
 あの夢は――現実だったとでも言うのか――!?
 そ、そんな筈はない。あれは只の夢だ! しかしなぜか絶不調なのは事実。
 これではたして猫のミーちゃんを見つけられるのだろうか……?
 まぁいざとなれば仲間がいるから皆に頼るという手――も――
「はぁ、はぁ……くそ! なんなんだ! さっきからやたら動物に襲われる……!」
「うう……バナナが……バナナの皮が降り注いできて……」
 あれ? なんか仲間たちも同じような目にあってるみたいだぞ???

 『貴方達にファンブル一族の祝福が有らん事を――』

 あ。そういえばあの夢……貴方『達』って言ってた様な……?
「あっ、皆さんお集まりですね! それじゃ猫のミーちゃんの保護作戦の概要を説明し……どうしたのです? なんかもう既にお疲れです???」
 と、そこへ依頼の資料を持ってきたのは『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)。
 彼女の目に映ったのは道中でファンブルの祝福に会い続けたイレギュラーズ達であったとか……

GMコメント

 よろしくお願いします!!

●依頼達成条件
 猫のミーちゃんの保護!

●フィールド
 天義聖都フォン・ルーベルグの街中です。
 綺麗な街並みの中で迷子になっている猫のミーちゃんを探して頂きます。
 今日は穏やかな昼下がり。うーん! 難しそうな内容でもないですし、特に何事もなく依頼を達成できそうですね! あ、ちなみに周囲を散策すればすぐ分かるのですが、ミーちゃんは近くの公園の木の上にいます。やったね!

●『F』(ファンブル)の加護
 ――しかし所がどっこい! 今日の皆さんはファンブルに愛されています。
 理由は夢に現れた『F』の化身曰く、皆さんが先日ファンブルを助けたからです。記憶にない……!

 とにかく何をしても今日の行動は上手く行きません。
 歩けばバナナの皮を踏んでしまったり、なんか棒が風に乗って飛んできて直撃したり。
 スキルを使おうとしても絶妙なタイミングで子供たちが前を通ったりして発動し辛かったり、集中力を乱してきたりするでしょう。ミーちゃんを捕まえようとすれば引っかかれるかもしれませんし、腕の中をするりと抜けてまたどこかに走り去られていくかも……

 しかし依頼は依頼です。上手く行かない中でミーちゃんを保護してあげてください!

 ただしこの加護、本当に重大な不運だけは起こらない(もしくは絶対に回避できる)ようです。例えばナイフが飛んできて大怪我をする事はありませんし、或いはそういった危険物が飛んできても必ず回避出来ます。
 これは優しいファンブルなのです――いやファンブルに優しさとかあるのか分かりませんが。

●猫のミーちゃん
 近くの教会で飼われている子猫です。教会の前に捨てられていたのを拾われたのだとか。
 一瞬目を離した隙にどこか外に出かけてしまった様でローレットに保護依頼が出されました。焦げ茶の色が特徴的な猫で、人懐っこい猫だそうですが、今日はなぜか引っ掻いてきたりするかもしれません……

●『F』
 ファンブルの一族。夢の中に出てきた存在でホントに実在するのかしないのか……
 ともあれ奴の話が事実かはともあれ、確かに皆さんは今日ファンブルに愛されています。
 明日には治ってますので今日一日なんとか頑張りましょう――!!

●情報精度
 このシナリオの情報精度はFumbleです。
 嘘とかがある訳ではないですが、とにかく不運が襲い続けます――!!
 貴方に助けられたファンブルより、愛をこめて。
 グッドラック。

  • 恩返しに参りました。この前助けていただいたファンブルです完了
  • GM名茶零四
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2021年07月31日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
志屍 志(p3p000416)
密偵頭兼誓願伝達業
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
御天道・タント(p3p006204)
きらめけ!ぼくらの
高槻 夕子(p3p007252)
クノイチジェイケイ
ジョーイ・ガ・ジョイ(p3p008783)
無銘クズ
耀 澄恋(p3p009412)
六道の底からあなたを想う
シャーラッシュ=ホー(p3p009832)
納骨堂の神

リプレイ


 『流麗花月』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)が空を舞う――その理由はただちょっと先程バナナ三連ボーナスキャンペーン中、キャット空中三回転滑りをキめちゃっただけなんだ。彼女の三半規管はこれでズタボロだぜ!
「オロロロ、だが大丈夫、ファンブルは振り切った。
 これでもう不運に見舞われる事はノォ――!」
 おおっと汰磨羈選手そのまま子供達が公園の砂場に作っていた落とし穴にダイレクトだ――! ナンデ? ねぇナンデ??? あっ子供達よ埋めるな! 待てって言ってるだろマテ!
「ぴえん……今日はなんだかハードラックとダンスっちまってる一日でありますな……さっきからパンを持ってる訳でもないのに鳩が狙い撃ちしてくるでありますが、一体これは……」
 あぁまたヘルメットに奴らめが~! と嘆くのは今日の朝から鳩の糞と勇敢に戦い続けている『良い夢見ろよ!』ジョーイ・ガ・ジョイ(p3p008783)である。今日と言うこんな日は家でじっと引きこもっていたいのだが……仕事とあらばやむなしと。
「オーッホッホッホンゴホッ!? そ、んなのわたくしに、けほっこほっごほんっ!! む、むせま、けほっ! したわっ……けほっ、けほっ……ぷえー!」
 空を警戒すると同時に周囲を眺めてみるジョーイ――の背後。突然埃を吸い込んでしまったのか盛大に咽あがっているのは『きらめけ!ぼくらの』御天道・タント(p3p006204)様である! 先程から自慢のドレスにお醤油をどばーっしてしまって、しくしくモードではありましたが!
「ううっ、こんなときでもわたくし!」
 タントはめげない! 指を鳴らしていつもの動作!

  \きらめけ!/
  \ぼくらの!/
\\\タン\フニャーン///

‪「──‬はっ!? 今のはお猫の声!? どこですかしら――!?」‬‬‬‬
 てってこてー! ステーン、コロコロコロ、ガッ、ゴッ! ふぎゃー! 
 歩いて行った先から音が響いてきている……ま、まさかいつもの煌めく一連の流れを猫に妨害されるなんて……! やはり今日と言う日はいつもと違うようだ!
「ねぇん、そこのおにーさん。こういう猫知らないかなぁ?
 もしも知ってるなら、あとであーしがとびっきりのサービスを……えっ、聖堂騎士?
 あっ。ちょっとま、あっ、にっげろ――!!」
 同時。待て――! と追いかけられているのは『クノイチジェイケイ』高槻 夕子(p3p007252)だ。猫を探すなどまずは人に聞くのが一番……ふふ、あーしの魅力で人手を――などと思っていれば聖騎士であり、逆に追われる立場に! なんで!
「しかし……私がトラバサミに掛かっていたF殿を助けたなど、記憶違いでしたら大変申し訳ないのですが人違いか……或いは何か誤解ではないでしょうか……?」
「私もまったく身に覚えがないのですけれども……さて一体全体どういう事なのか」
 同時。『納骨堂の神』シャーラッシュ=ホー(p3p009832)と『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)も己らが身に起こっていた『Fを助ける』という存在しない出来事に首を傾げざるを得なかった――
 が。実際ホーもたった今目の前を通過した馬車に泥水を跳ねられ水浸しになった直後であるッ! 何か妙な力が働いていると思わざるを得ない。
「やれやれ……困ったものですね。しかし凶夢と言えど所詮は夢に過ぎません。明日の訪れと共に儚く消え去ってしまう夢幻。心配は杞憂に過ぎないのでしょう――おっと二台目が」
 手元に持っていたハンカチで顔を拭っていた所に追撃の泥水。
 ふむ。ファンブルの加護とやらは……手強いですね……!

「なんの! イレギュラーズたるもの不測の事態をも楽しむべきですニャ!」

 しかしこんな事態に負けはしない! とばかりに新品のぱんつを履いてきて(なお後で破けた)意気込むのは『太陽の翼』澄恋(p3p009412)である――どうしたんです澄恋さんその語尾は?
「ンkittenッッ (完璧発音)の気持ちを理解しようと装備を整えていましたら何故かこうなってましたニャ……この世には不思議が沢山あるニャ……しかし! この装備のおかげでンkittenッッの行きそうな所がよくわか、ッアハーァ! またたびィィ゛ッッ!! ァァァァアアア!! スーッッッ、ハーッッッァ!」
「た、大変ですの! 澄恋さん、が、マタタビの虜に! ああこんな、無防備な、姿勢を!」
 kittenッッの居場所が分かる前に突如として目の前に転がってきたマタタビにやられる澄恋ッ! 続いて近所の野良猫たちも周囲に集って来れば『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)は恐ろしさに身を震わせるものだ!
 何故かって猫はノリアの天敵であるッ。あぁどうして猫がいるこんな依頼に指名されてしまったのか!!
「『F』の陰謀、おそろしいですの……! でも、負けませんの……!」
 だがノリアは屈していない。如何にFの加護と言えど最初から失敗を織り込んだ行動に対してはきっと無力に違いあるまい! 故に――そう。
 澄恋と共にマタタビに目を蕩けさせている猫達の下へと彼女は往くのだ。
 必勝の策をもって! Fの加護に――打ち勝つ為に!


 さてノリアの策が何かと言えば――まずは己がしっぽを美味しそうに振る事だ。
 隙だらけなその身に訪れる事はなにか……きっと大別すれば四つだろう。

 1.ミーちゃんにおそわれて、ひどい目にあう。
 2.ミーちゃんにも他の猫にもおそわれて、ひどい目にあう。
 3.今日にかぎって、猫たちが興味を示してくれない。
 4.他の猫におそわれて、ひどい目にあうけれど、肝心のミーちゃんだけは見つからない。

「――いずれの、場合でも、だいじょうぶ、ですの」
 1と2ならばミーちゃんが見つかる。3なら安心してミーちゃんが探せる。
 4は……猫を引き付ける事で、きっと他のどなたかが上手く行きやすくなるだろう! そう。いずれのパターンでも想定して、最悪でも仲間の援護になればそれでヨシなのだ! という訳でさぁ、どうなりますの……って。
「ニャー」
「ニャー」
「わ、わわわ。ど、どういうこと、ですの! さっきよりも、数が、十倍ぐらいに増えて」
 わぁ! と。ちょっと目を離した隙に何故かそこいらの草むらから大量の猫達が顔を出していた! あ、何匹かは首輪してるのが、みえますの! つまりこれ飼い猫も混じって、もうミーちゃんがいるのかいないのかも、あああ! 大量の猫に襲われるノリア――!
「……おや? あれが件のミーちゃんでは? 特徴が一致してる気がしますね」
「えっ!? そんな馬鹿な、こういうアンラッキデーにそんな風に探してミーちゃんが出てくることが!? 吾輩、突撃隣の路地裏! した今の苦労は一体、あ、野良カラスが追撃してきて、アイタタ!!」
 が。気付いた。ノリアを襲う一匹の中にミーちゃんがいる様な。
 周辺の人に聞き込みをしようとして、風に運ばれてくる大量の木の葉(全部顔面直撃)に妨害されていた瑠璃は確かに見た。ミーちゃんに似ている様な……
 そんな馬鹿なと。逆転の発想で普通はいかない、もしくは行くと明らかにトラブルになりそうな気配の在る場所に突撃したジョーイは、案の定数倍のトラブルになって己に降り注いでいた。カラスには襲われるし野良犬は何故か執拗に尻を狙ってくるし……
 僅か数分で満身創痍になったというのに――こんな近くにミーちゃんが!?
「あっ逃げるでありますよ! 追いかけなくては!」
「ふむ。ならば私にお任せを……こんな事もあろうかと神父服の姿を用意していたのです」
 と、見ていればミーちゃんらしき猫が跳躍しながらどこか別の場所へ。
 慌てて追いかけようとし、また盛大にスッ転んだジョーイ――の意志を継いで追いかけるのはホーだ。その姿は正に神父服。見事な変装に、人を引き付ける圧倒的カリスマ性(※当社比)。そして神父の身分性すら纏えばどこからどう見ても神父であり……
「おお、神父様~すまねぇオラの話をちょっと聞いてほしいだ……」
「神父様! これ、教会への寄付に!」
「皆さん落ち着いて下さい。これには事情があって……ええと……」
 しかし神父すぎたのが災いしたのか、神父に用のあった一般人に取り囲まれてしまった! 完璧である事が災いするなどそんな事が有るというのか――!?
「……そうです。私は教会の神父です。ですのでまずはミーちゃん殿をお迎えに、ぬぁ」
 こうなれば神父ゴリ押しで信徒たちと共にミーちゃんを捕まえようかと思ったがその矢先にどこからか風に乗って飛んできた妙な紙が彼の顔に直撃! 何故か水に濡れていてやたら粘着性もある。
 引きはがしている内にミーちゃんらしき影はどこぞへと――と?
「オーッホッホッホッ! あ、今度は言えましたわ!
 ともあれ、わたくし遂に突破口を見つけましたわ――!!」
 そうしていたら現れたのはタントだ! なんとかクリーニング屋に辿り着いた――時に閃いた。そうだ。己でダメなら、他者の手を借りればよいではないか――!
「ですので用意しましたわ! おたずねお猫のイラストを!!
 自信作ですわ! これを地道に配っていけば目撃情報ぐらいは」
「おねーちゃん、絵ヘタだね!」
「な、なななんですって――!!?」
 直後。通りすがりの子供にタント制作の(残念ながらヘタな)お猫イラストを駄目だしされ――あっしまった手を放してしまいましたわ! あああ風に飛ばされて……お待ちになって――ふぎゃー!(また転んだ)
「んぬぬ! めげませんわ、この程度で……ならばお醤油から転じての作戦を!
 猫と言えばお魚! つまり――誘き寄せ作戦ですわ!」
 しかしタントは決してめげない! ハチマキ付けて魚屋気分。
 華麗に魚を捌けば――タント様特性のおさしみの完成ですわー! これさえあればお猫など。
「ぬ? あら、別のお猫が……はっ! 此方からも別のお猫が! ど、どうしてこのような……ぷええ! しまりましたわ! わたくしからおさかなの匂いが!? あっ、ダメですわ! お顔の上でごめん寝するのは、あ、あっ、あっ~」
 ――が! 予想外にタントの周囲に満ちる子猫たち――! しかも中にはお昼寝を始めた子もいるぞ! こ、これは動けない! 今微かにでも動けば起きてしまう!! 子猫を起こすなんてそんな事は……タントには、出来ないッ! くっ! 至福~~!
「あー猫見っけ! ふふん、やっぱりあーしの運、いいじゃない!!」
 その時! 公園の方で遂に見つけたのが夕子だ。
 公園の木の上。そこで呑気にくつろぐ様にしているミーちゃんを発見して……
「怖くて降りれないとかしょーがないわねー。今行ってあげ、わひゃああ!?」
 直後に馬車が通りかかって水を跳ねられる――!! 木を登っている途中で、しかも全身ずぶ濡れ状態。薄い服が透けて、素肌と服の間にある下着のラインを映し出し――
「み、みないで! 着替えてくるからぁ! あ、まってミーちゃん! ダメよ、あーしが迎えに行くまでその場から動かないで、ひゃ、ひゃ、ひゃあああああ!!」
 直後。ミーちゃんなぜか夕子の頭にジャンプ。
 そしてその口にはなぜか虫が――加えられていて――
 ポトリ。そんな擬音が夕子の頭の上で生じれば、同時に悲鳴が聞こえた様な気がして。
「いいか少年たちよ。人が落とし穴に落ちたというのに埋めに掛かるとは大罪であり……あっ、ミーちゃんではないか! ええいお説教はまた後だ! 待てぃミーちゃん、すぐに助けて終わらせてやるぞ、ぐぇあ!」
「ふぎゃあ!? た、たぬきちと頭が……!
 くぅ! ミーちゃん待つニャ! ああ、またどうして木の上になんて登って……
 また降りれなくなってるニャ! 案の定ニャ!!」
「今たぬきって言ったか? んっ???」
「いえ、たぬたぬしい雰囲気を感じたのでついそう述べニャ゛ア゛ア゛!(デスボ)」
 落とし穴に埋まった後に子供にお説教してた汰磨羈。ミーちゃんの影が見えたので即座に走り出せば、同時に行動を開始した澄恋と頭をドストレートにぶつけてしまう。悶絶仕掛ける二人だが、ここで見過ごせば二度と見つけられない気がして揺れながらも追う――!
 そしたらまたミーちゃん木の上に登って降りれなくなってる!
「いや……分かるニャ? どうしても猫は高い所を見ると……上りたくなっちゃうんだニャ……今なら、その気持ちが分かるニャ……!」
 だけれどもゆっくりと木を登りながら接近する澄恋は気付いていた。
 この衣装が猫の気持ちを教えてくれる――猫は登りたいのだと――だから――!
「ミャー」
「えっ、ちょ、頭の上に登るのは、あ、あ、ミーちゃん案外軽快にうごニャア”ア”ア”!!」
 差し出すにゃんにゃんおやつセット。そしたら器用に一個だけ取り出して澄恋の頭の上をジャンプして――降りた。
 えっ、降りれるの!? じゃあさっきの切ない声はなんなの!? お腹すいてただけ!? あっ、まずい。猫になり切っている今の澄恋では今度は自らが降りれなく――あっー!
「ミーちゃんもうダメよ! ほら、捕まえたからお家にかえりましょ……ひゃあううん!? ミーちゃんどうしてスカートを狙って、あ、そんな的確に割かないで――!」
「……うーむ。どこか警戒心が普通に強い気がしますね?」
 割かれる夕子のスカート。更に悪ガキどもが寄ってきてスカートをめくらんとしてくる! ふ、不正義! ともあれミーちゃんの様子を見て気付くのは瑠璃だ。
 物陰に餌などを設置し、観察などをしていたのだが――ミーちゃんの様子がおかしい気がする。Fの加護以前になにやら警戒している様な……もしかしてこれは、と。
「はっ、そうか――下手に不運を割けようとするからいけないのだ!
 そう、それなら――逆に利用すればいい!」
 思考していたその時。澄恋と同様に木に登らんとして、枝が折れて受け身取れずに手が滑って顔面着地した上に突如襲って来たカラスに何度も突かれていた汰磨羈に天啓が轟いた!
 ――そこいらに落ちていたバナナ。
 ――反対側に重いものがなぜか落ちてきそうなシーソー。
 ――なんか変な軋み方している気がする滑り台。
 これらを用いてピタゴラ・ファンブルで辿り着く!
「例えパンドラ復活を使ってでも成し遂げる……往くぞミーちゃん、これで終わりだ――!」
 ダッシュ。ツルーン、ペチーンダン、ポヨヨーン。ギャー!
「…………どうしてさっきミーちゃんがいた木の更に上に引っかかっているのだろうか?  しかも絡まって動けな……あ。待てハトよ。私は餌とかではないぞ。違うやめろ! 突くな――!」
「ああ、汰磨羈さんが、ハトに、大ピンチですの!」
「いかんですぞ! あれは助けないときっとヤバイですぞ! 肩車、肩車するからレスキューを――!」
 やっと猫達から解放されたノリアが公園に駆けつけ、そしてジョーイの救援と共に汰磨羈救出大作戦が繰り広げられる――あれ。ミーちゃんを探しに来た筈がどうしてたまきちを!
「やはり、こんな事になるぐらいなら……
 ファンブルする要素のない、体力が、正義ですの……!
 判定の余地がない、というのは、さいきょー、ですの……!」
「ノリアさん? どうしました突然……ノリアさん?」
 辛うじて汰磨羈を救出したノリアはやはり今回の件をへてHP最強説を確信するのであった――しかしこれには平常心を保っていた瑠璃も驚くものであったが。
 ともあれその後も散々であった! 猫の気持ちになりすぎた澄恋は高い所から降りれなくなってるし、ホーはその後も新聞紙やらに纏わりつかれミノムシ状態。夕子はぱんつが木の枝に引っかかってこのシナリオが封印されそうな事になるし、タント様は子猫たちと一緒にすやすやごめん寝しちゃった。だって子猫が暖かいんですものー!
 ――が。それでも。
「さあようやく捕まえましたね――どうしてこんなに抵抗するのですか?」
 遂に瑠璃がミーちゃんを捕まえれば事は収束に向かうものだ。Fの加護も段々と消え始めているのだろうか……? ともあれ、微かに抵抗するミーちゃんを手の中に収めれ、ば。
「もしかして子供でも生んだのかもしれないですね。警戒心はその為かも」
「なんと、子供ですの! はっ、もしやこの中にその子がいて!?」
 ミャー、とタントの膝元から離れない子猫を見据えてやっぱり至福タイム。ともあれミーちゃんの行動の変化はそういう事かもしれぬと思えば、後で依頼元の教会にも少し話手をしてみるべきかと思考して。
「ミ、ミーちゃんは無事か……? 無事か、そうか。
 ならば、良い……これで、ミッションコンプリート……」
 がくっ。たまきち――!
 しかし、皆色々あったが疲労困憊気味。気付けば時刻も夕方に迫っていて。

「さあ、一緒に教会に戻りましょう。皆、貴殿の帰りを待っていますよ」

 さすればホーが優しく諭すものだ。
 ああ全く。ただ猫を保護するだけの依頼の筈が……なんという一日になったというのか。
「FumbleのFはFantasticのF、実質良いこと……ニャ!」
「澄恋殿。まだその口調取れないのでありますか?」
 またたびを絶対に誰にも渡さないように抱えている澄恋。
 ジョーイが声を掛けるも、まぁ明日には治っておりますかねと思い――帰路につくのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ファンブルファンブルゥ!

 依頼、お疲れさまでしたイレギュラーズ!
 Fの一族は……いつでもあなたを見守っておりますよ!
 ではありがとうございました!!

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