PandoraPartyProject

シナリオ詳細

人間を憎む者達

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●光があれば影もある。

 『百鬼夜行の起こる街・第二章』
 本には、そう書かれている。


 お昼時の九重市のショッピングモールにて、人混みの中を長月遼《ながつきりょう》とぬいぐるみのハーヴィーが歩いている。
 その隣には遼の従兄弟であり、探偵の睦月和馬《むつきかずま》もいた。
 どうやら彼らは「ショッピングモールのとある店舗に変なものが現れるからどうにかして欲しい」という依頼を引き受けたのだが、この依頼は遼に向けて当てられたもの。
 依頼に全く関係のない和馬は苦虫を噛み潰したような顔で苦言を呈した。

「なんで俺まで来なきゃなんねぇんだよ……」
「たはは、悪い悪い。優夜とひーくんが仕事だからさ、運転手いなくって」
『悪いな!』
「免許取れって5年前から言い続けてるよな、俺??」

 頭を抱えた和馬はひとまず依頼達成に向けて、情報を集め始めた。
 遼とハーヴィーもまた、同じように情報を集め始める。

 すると、オカルト業界ではちょっと有名な『朽ち果て店舗』の場所が怪しいと2人は情報を掴んだ。
 朽ち果て店舗はもう何年も前に潰れてしまったのだが、何かしらの事故が発生してしまい立ち入り禁止の札が貼られている。
 探偵である和馬が一応各所に許可を取っているため、2人と1匹はすんなりと中へ。

 外は昼間だと言うのに明かりが何処にも入り込まないほどに暗く、一寸先は闇という言葉が非常に似合う。
 店舗の中にいると異世界に迷い込んだ感覚に陥ってしまい、一般人である彼らはこの先へ進むことを本能が押し留めている状態だ。
 それに加えてひんやりとした空気が流れており、電気も通っていないはずなのにエアコンの風に当たっているような……そんな感じがしてならない。
 それだけ、この場所は奇妙な感覚が付き纏う。

 とにかく前に進もうと一歩足を前に出したとき……和馬と遼の足元がぽっかりと口を開く。

「「え」」

 床が無くなり、着地点を失った彼らの足は奈落の底へと落ちてゆく。
 店舗の底なんて、普通は別の店舗があるはずなのに……何故か2人が落ちたところは真っ暗な闇だった。

 ヤバい、と思ったときには既に倒れた彼らを影で出来た動物達が喰らおうと近づいていた。
 嫌な気配に立ち上がることの出来た2人は、急いで脱出口を探そうと躍起になった。

 ……残念なことに出入り口は無くなっており、周囲にいる影の動物達を倒さなくては出口が作られないようだ。
 和馬は落ちていた鉄パイプで、遼はハーヴィーの力を借りて数匹を倒すが……既に辺りは数十体もの影の動物達に囲まれていて、2人だけの力では全てを倒すことが難しくなっていた。

「誰か……誰か、助けてくれ!!」

 遼の叫びに、"誰か"は――。


●影が生まれた理由。
「緊急でお呼び出しして申し訳ありません。本の中から助けて欲しい、という声が聞こえたので」

 1つの本を手にとって、カストルが声をかける。
 本の中にある世界の住人が、イレギュラーズに向けての救難信号を出したようで。

 舞台はN県九重市にあるショッピングモール、その中の1つにある『朽ち果て店舗』。
 元々はペットショップだったのだが、経営悪化で立ち退くこととなり……売り出されていた動物達は何処かへ"消えた"。

 消えたというのは言葉の綾。実際は殺処分にされたという話。
 その動物達の恨みや何やらが影を作り、やってきた人々を喰らっているところで今回、巻き込まれた人物がいる……ということだ。

「このままではバッドエンド一直線。……どうせなら、ハッピーエンドにしてあげたいので、力をお借りしたいのです」

 カストルは本をゆっくりと開いて、その物語の続きを作ってくれと告げる。

 この物語の続きは――。

NMコメント

 はじめましての方ははじめまして、御影イズミです。
 九重市ライブノベル第二弾、遼君巻き込まれ編第二弾です。
 プレイング内容次第では少しシリアスなお話になります。

◆開始地点
 和馬&遼の倒れた地点、真っ暗闇の中からのスタートになります。
 すでに店舗に飲み込まれた後という状態です。

◆最終目標
 『影の動物達』を倒す、説得するなどをする & 和馬と遼の生存

◆エネミー
 影の動物達
 ペットショップの経営難により、殺処分された犬、猫、小鳥などのペット達の怨念。
 人間をがっつり憎んでおり、店舗に訪れた人々を物理的に食べて恨みを晴らしている最中。
 どうして自分達が殺されなきゃならなかったんだ! という怒りが彼らを突き動かしています。
 彼らを説得したりすることで多少数は減らしますが、それでも物理的に言うことを聞かせなきゃならない子もいます。
 なお店舗に訪れた人を優先するため、積極的に和馬と遼を狙いに行きます。

◆サンプルプレイング1
 人を恨む影の動物達、か……。
 人間達の勝手な行いで殺されるなんて、本当に人間って愚かだよ。
 ごめんね、本当に。人間全員を恨まないでとは言わないけれど、いい人がいるのは本当だよ。
 和馬君と遼君だっけ? 君らはちゃんと逃げ続けてね?

◆サンプルプレイング2
 ちょ、説得しようと思ったらめっちゃ攻撃されるんですけど!
 こういう子って実力行使したほうがいいって聞いたことあるけど、やっちゃっていい!?
 いいよね!? とりあえず、おすわり!!(取っ組み合いからの強制おすわり)
 よーしよしよしよーし! 良い子、お前は良い子! よーしよしよし!!


 説明は以上です。
 物語の続きを、楽しみにしております。

  • 人間を憎む者達完了
  • NM名御影イズミ
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年07月19日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

フェルディン・T・レオンハート(p3p000215)
海淵の騎士
アクア・フィーリス(p3p006784)
妖怪奈落落とし
メリー・フローラ・アベル(p3p007440)
虚無堕ち魔法少女
リュコス・L08・ウェルロフ(p3p008529)
神殺し

リプレイ


 黒く塗りつぶされた世界に、轟々と吠える動物達の怨嗟の声。
 遼の助けてくれ、という言葉に駆けつけたイレギュラーズが現れたものだから、影の動物達は怯えるかのように吠え続けていた。

 和馬と遼の2人はまだ、影の動物達に喰われる前なので多少は耐えきれるだろうが……なんとも、場所が悪い。
 真っ黒に塗りつぶされた視界と、見えぬ者からの攻撃というのは一般人である彼らには耐えきれないものだ。
 今もまた、黒い犬が2人に襲いかかりそうになり――。

「危ないっ!!」

 フェルディン・T・レオンハート(p3p000215)が急いで駆けつけ、2人に襲いかかろうとした黒い犬を正しさを持って審判の一撃で薙ぎ払い、吹き飛ばす。
 続けて駆けつけたリュコス・L08・ウェルロフ(p3p008529)、メリー・フローラ・アベル(p3p007440)、アクア・フィーリス(p3p006784)も同じように和馬と遼を守るように彼らの前に立ち、動物達から彼らを守った。

「ここはぼくらに任せて、2人は安全なところに逃げて……!」

 リュコスは和馬と遼に向けて安全な場所を指し示し、その逃走を補助しておいた。
 彼らを失うわけにもいかないので、優先順位が高位なところから少しずつ手助けを行い始めた。

「多いね、この数」

 メリーは周囲の動物達がどれだけ居るのか暗視で確認しようとするが、その数を数えることは諦めた。
 なにせ、赤く輝く憎悪の瞳がずらりと、数百も並んでいる。これでは数えるのも面倒というものだ。
 だが数が多ければ多いほど、彼女にとっては燃えるもので。ニヤリと小さく、笑った。

「……そっか……キミ達も、わたしと、同じ……なんだね」

 赤い瞳に植え付けられた憎悪を感じ取ったアクアは、少し同情するかのように答えた。
 ……だが、答えただけだ。彼女はここにいる動物達に救いを与えに来たわけではない。
 むしろ彼女は動物達の怒りや憎しみといった、悪意の感情を食べに来たのだ。

 4人のイレギュラーズに守られている和馬と遼だが、本当に大丈夫なのかとおそるおそる問いかける。
 この場所に落ちたら最後、助かる道は殆どないというのがこの『朽ち果て店舗』でもあるそうで。
 しかしそんな言葉に対し、フェルディンが強く言い切った。

「大丈夫。ボク達に任せてくれ……!」

 暗闇の中、戦いが始まる。


●正義を正す者
「この者達は――犠牲になった動物達、なのか……?」

 ぐるぐると唸り襲いかかってくる動物達を前に、フェルディンは剣を使って攻撃を凌いでいた。
 連続で襲いかかる動物達は種類もまちまちで、攻撃方法にはばらつきがある。

 それでも全ての動物達が人間に対し『怒り』『憎悪』を向けていることに、彼は気づく。
 怒りと憎悪の元となるのは、やはり殺処分されたことに対する恨みだろう。

「……そうか……」

 人というものは罪なものだ。可愛さ目当てに飼育と繁殖を繰り返し、いらなくなったら捨ててしまう。
 特に此処に居る動物達は皆、殺処分された。可愛さ目当ての飼育と繁殖の結果、育てられないと判断されて。
 故に、フェルディンは……剣を下ろして、動物達に頭を下げた。

「すまない。……本当に、すまない!」

 自分が謝ったところで、影の動物達の命が戻ることはないし、元のように楽しく過ごせるわけではない。
 だがそれでも、尽くさなければならない誠意というものはあるのだ。

「この2人の命を、失わせるわけにはいかない! キミ達と同じように、無念の死を遂げさせるわけにはいかないんだ!!」

 大きく声を張り上げたフェルディンに、1匹の猫が爪を立てて襲いかかる。そんな事知るかと言わんばかりに。
 ――虫のいい話だとわかっているからこそ、彼は礼儀を尽くした。だが彼らはそれでも襲いかかってくる。

「それでも引いてくれないというのなら……斬るしか、ない」

 剣を構えたフェルディンは、襲いかかってくる影の動物達を振り払うように剣を薙いだ。


●憎悪を喰らう者
「……おいで。その怒り、恨み、憎しみ、復讐、怨嗟、殺意……全部、わたしが食べてあげる……」

 大きく吠える動物達に向け、救いを与えるかのように手を伸ばすアクア。
 その手に飛びかかってきた黒い犬は、噛みちぎろうとするが……直後、黒い結晶で出来た槍が黒い犬の身体を貫いた。

 ……救うなんてとんでもない。
 最初から動物達と話が通じたとしても、向こうが色々と騒ぎ立てたとしても、耳を傾ける気なんかない。
 例え救いを求めても、助けてと吠えられても、ただ倒すだけ。
 むしろ、その憎悪でわたしの憎悪(こころ)に勝てると思うなと大声で言いたかった。

 とは言え今回は同じイレギュラーズの仲間もいる。
 迷惑をかけない程度に憎悪を見せつけて、動物達を倒すことを決めたのだ。

 真っ黒な背景に真っ黒な影が襲いかかるが、黒水晶ノ槍は的確に影の動物達を貫く。
 アクア本人の直感が動物の場所を割り当てるのか、真っ直ぐに飛び出す槍を動物達は避けられずに霧散する。
 だが動物達の数が多く、アクアに傷を与える者も出始めた。

「……死んだ動物風情が、調子に乗るなァ!!」

 痛んだ身体から、漆黒の炎が燃え上がる。
 弱りきった彼女の精神に反応して、大きく、大きく。

 何匹群がろうが、どんなに手数で攻めようが、クズはクズで無駄なことだと大声で叫ぶ。
 無念が形になっただけの弱い群れは、全て叩き潰してやると――。

 黒い水晶が、黒い影を何層にも重ねて突き立てられた。


●殺戮を楽しむ者
「ふふ……そう、たくさん遊びに来てくれたのね!」

 一方、少し離れたところで動物達に挑発を仕掛け、誘導を行ったメリー。
 今から行うことは少しだけ、仲間達の目に入れてはならないと判断した故にこのように別れた。

 何故なら、彼女がこれから行うことは――。

「さあ、どんな殺し方がいい?」

 にっこりと笑ったメリーの瞳は、まさにこれから『楽しいことを起こそうとしている』顔だ。
 焼死、水死、凍死、窒息死、毒死、餓死、墜落死、轢死――今まで動物達に対して行ってきた残酷な行いを並べ立てる彼女には、動物達への罪悪感なんてまるでない。

 それもそのはず。メリーは動物を殺すのが、大好き。大好きだ! 大好きだ!!
 畜生達は人間様に利用され、おもちゃにされて、食べられるだけの、ただそれだけの存在!
 如何に憎悪を撒き散らして襲いかかってきたとしても、人間様に歯向かうのならば容赦はしない!

「全部、ぜぇ~んぶ! 楽しかったわ! それをまたここで繰り返せるのね!」

 ぐるぐると吠え立てる動物達は、何やら文句を言いたそうにメリーを睨み、憎悪の念を増幅させて飛びかかる。
 睨んでいることが気に食わないのか、メリーは手を軽く振って神聖な光を発生させ、それを壁に動物達を消滅させた。

「文句がある奴はかかってきなさい! 強制成仏させてあげるわ!」

 煌めく光の壁の中、メリーは自分への"憎悪"を餌に神の光で殺し尽くした。


●もふもふする者
「君たちのうらみとか、怒りとか、悲しいって思う気持ちはわかるよ……!」

 リュコスは名乗り口上を使い、暗闇の中で影の動物達の注目を集めた。
 真っ黒な背景で真っ黒な影達が赤い瞳を向けて、無防備な状態のリュコスの元へと走る。
 和馬と遼に被害が行かないようになるべく彼らから離れるように距離を取りながら、リュコスは動物達に声をかける。

「ぼくは君たちの復讐には協力できない。……だからもう、君たちが苦しんで悲しみを生み続けさせないために、解放するんだ!」

 解放する。その言葉の中身は他の3人も同じだ。
 だがリュコスはちょっとだけ、3人とは違う方法で動物達を慰めようと考えた。

 飛びかかってきた影の動物達に対して攻撃をすることはなく、ぎゅーっと抱きしめていっぱい撫でる。
 リュコスが行うのはこれだけだ。ただただ動物達の毛並みを楽しみ、彼らへの愛情を目一杯注いだ。
 最初は吠え続けていた動物達も、リュコスに撫でられるとしゅんとおとなしくなり……敵意を喪失。もっと撫でて欲しいとリュコスに張り付く者まで現れ始めた。

「ほんとの君たちはもうここにはいないけど……成仏できるようになるまで、ぼくがいっしょにいるよ」

 目に涙を貯めながら、リュコスは彼らの気持ちに寄り添った。
 もふもふとした姿は1匹、2匹と増え続け……気づけば彼の周りには、癒やされたいと願う者達で溢れかえっていた。

「……うぇへへ……ぼくの耳しっぽも君たちももふもふ……」


●消えゆく影、その憎悪は……。

 4人が影の動物達と戦って、長い時間が経った。
 フェルディンの剣が、アクアの槍が、メリーの光が、リュコスの手が、動物達の積もりに積もった憎悪を打ち消し、払う。

 憎悪を憐れむ者もいれば、憎悪を受け入れる者、はてはそれを利用する者もいるが……最終的な目標は影を打ち払うことだ。手法は問われていない。
 謝罪して、刺して、殺して、遊んで行くうちに……やがては動物達の唸り声が減る。
 無念が晴らされた、あるいは消滅したのだろう。周囲の環境が少しずつ見えるようになってきた。

 朽ち果て店舗の名にふさわしい、ボロボロの店舗。その柱に隠れていた和馬と遼は、無事の様子。
 動物達は皆いなくなり、外の光が差し込んできた。

「……ごめんね」
「でも……次、うまれる時があったら、その時はどうかちゃんと……愛されて欲しい、かな」

 アクアとリュコスは成仏した魂たちに向けて、謝罪と次の生への祈りを捧げた。
 メリーもまた、この戦いへの感謝の表情を向けていた。

「せめて、約束させてくれ。……未だ何処かで命があるキミ達の仲間は……ボクの手が届く限り、必ず護ると」

 騎士の誓いを立てたフェルディンは、ゆっくりと祈りを捧げる。また同じことが起きないように、必ず守り抜くと。


 4人は和馬と遼を安全な場所まで届けた後に、世界を後にした――。

成否

成功

状態異常

なし

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