PandoraPartyProject

シナリオ詳細

一日限定でミニスカ猫耳メイドになる話

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

 ●一日限定猫耳メイド
 シンプルな黒のワンピースに純白のフリルが眩しいエプロン。
 後ろで大きく結ばれたリボンは愛らしく、その中央から尻尾がフリフリ揺れている。
 白雪の髪はさらりと揺れて、たっぷりのフリルとレースをあしらったカチューシャに寄り添う様に、一対の猫耳がぴょこんと可憐に動いていた。
 カランコロンと来店を告げる鐘が鳴り、テーブルを拭いていたメイドが振り返った。

「お、おかえりなさいませ……にゃん。ご、ご主人様……!」
 耳まで真っ赤に染まり、瞳には涙を浮かべ震えながらも引き攣った笑みを浮かべているの9は『星雛鳥』星穹(p3p008330)である。
「わっ、かわいい~! 新人さんかな?」
「えっ、はい!!」
「そうなんですよぅ~! 今日だけ手伝ってもらってる一日限定メイドの星穹ちゃんですぅ~」
「えっ、今日だけなのー!? 残念……」
 常連客らしい眼鏡の男が初めて見るメイドの星穹に歓喜の声をあげる。
 緊張と羞恥の余り声が裏返った星穹に、このメイドカフェの店長であり本人もまたメイドであるエリスがその肩を抱き明るい声で紹介した。
「大丈夫よ、此処のお客さんは凄く優しくてマナーの良い人ばっかだから!」
「が、頑張らせていただきます……」
「そんなに固くなんなくても大丈夫よ~! ちょっとバックヤードで休憩してきな~」
「は、はい……」
 淹れてもらった温かい珈琲の入ったマグカップを手に、星穹は一旦バックヤードに退避する。
 マグカップに口を付けると、大人の苦さの中にまろやかなミルクと砂糖の甘さが溶け込んでほうとため息が漏れる。
「なんでこんなことに……?」
 珈琲を飲みながら、こうなった経緯を星穹は思い返していた。

 ●メイドじゃなくて冥土だったかもしれない
「社会勉強がしてみたい」
 最初は真面目な星穹らしい真っ当な理由であった。
 敬愛する先生の少しでもお役に立てるように。一つでも多くの経験を積んでおけば暦の役に立てるかもしれないと思ったのがきっかけであった。だが、本拠地である豊穣の地では求人が少なく、ならば混沌では珍しい依頼も多数集まる境界図書館ならどうだろうか。と、考え足を運んだのが数時間前。

「ほお……社会勉強がしたいからアルバイトみたいな依頼は無いか、ねぇ」
 立派な心掛けなこってと、星穹に相談された朧はぱらぱらと本の頁を捲っていたが、あるページで指を止めた。
「ああ、あるにはあるな。メイド喫茶だが一日限定で店員を募集してる」
「まぁ! 喫茶店ですか!」
 静かな店内に珈琲の香ばしい香り、バターがたっぷり染み込んだトースト、ゆったりとした音楽……。
 はう……と星穹は脳内で描いた喫茶店に想いを馳せる。
「是非行かせてくださいな!」
「ん、じゃあ行ってらっしゃい」
 るんるんとした足取りで異世界へ向かう星穹に手を振り朧は見送った。
「……おひいさん、メイド喫茶って何か知ってんのかねぇ……?」
 朧が呟いた時にはもう星穹は見えなくなっていた。

 そして今に至るという訳である。
「ちゃ、ちゃんと朧様に説明していただくべきでしたわ……!! 私のお馬鹿さんが……!」
 思わず、青色の上司の口癖が出てしまったが今更後悔してももう遅い。
 ちらりと壁に掛けられた時計は無慈悲にも、まだ勤務が始まったばかりなことを表している。姿見にはまあ「可愛いメイドさん」たる女性らしい自分が映し出されており、星穹は再度顔を伏せた。
 だが、衣装が嫌だから帰らせてください、だなんて無責任なことは絶対にできない。
「う、うう……」
「星穹ちゃんー? 大丈夫? 出てこれそう?」
「はっ、はい! 星穹出陣致します!!」
「戦場じゃないんだから! ゆっくりいらっしゃいね~」
 エリスの声かけに弾かれた様に立ち上がり、星穹はホールへと続く扉をねめつけた。
「み、見ていてください先生……!! 星穹は無事にこの地獄から生還して見せますわ!! ……あ、やっぱり見ないでくださいませ……」
 猫耳を揺らし、羞恥に震えつつも星穹はドアノブに手をかけた。

NMコメント

 リクエストありがとうございます。白です。
 意気揚々とうちの子に地獄を見せたいとのことで頑張って地獄生み出しましたよ!!
 
 今回は一日限定でミニスカ猫耳メイド(性別は問わない)になって給仕をしていただきます。猫耳メイドなので語尾に『にゃん♡』をお願いしますね。つまり与太ですね。
 顔真っ赤にして苦しんでくださいね!!! 写真撮影は任せろ。金ならある。
 どうぞよろしくお願いします。

●舞台
 とある世界にあるメイド喫茶です。
 今日は「にゃんにゃんデー♡」らしく急遽人手が必要になったんだとか。
 店内は清潔感がありますが至る所ににゃんこの飾りがあります。超ファンシー。

●目標
 ミニスカ猫耳メイドを着用し、一日働く。
 メイド喫茶のお仕事は様々です。
 ・お料理を運ぶ
 ・ホールの掃除
 ・お客様のリクエストに応えて写真を撮る
 ・ポーズを決める
 上記記載以外のものでも勿論大丈夫です。
 ここはしっかりしたメイド喫茶なのでお客様も優しくてマナーの良い方ばかりです安心してください。
 只プレイングで「猫さんポーズを決めて、写真を撮らせてほしい」とか自ら地獄に突っ込んでいくのもありです。
 
●NPC
 エリス
 このメイド喫茶のオーナーにして自身もこよなくメイドをあいする女性。
 彼女は語尾に「にゃん」をつけてませんが、優しくサポートしてくれます。
 ご指名が無ければ登場しませんし大半の失敗はカバーしてくれますからご安心ください。

●プレイング
 勢い重視で構いません。思う存分恥ずかしがって目を回して地獄にダイブしてください。
 
 それではいってらっしゃい!!

 ちなみに私はロングスカート派ですがアキバ系メイドもかわいくて萌え系で好きです。

  • 一日限定でミニスカ猫耳メイドになる話完了
  • NM名
  • 種別リクエスト(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年08月01日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談8日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
星穹(p3p008330)
約束の瓊盾
※参加確定済み※
佐藤・非正規雇用(p3p009377)
異世界転生非正規雇用
暁 無黒(p3p009772)
No.696

リプレイ

 壱、どんな時も真剣に。
 弐、最後まで責任を持って。
 参、依頼主の為に命を懸ける。

「――此の誓い、捨ててしまいたい」
 星穹(p3p008330)は死んだ魚のような目で呟いた。
 誰ですかこんな誓いを立てたのは。私でした。
「どうか友人と師走先生だけは来ませんように。いやもう誰も来ないでください」
「こんにちは~」
「お帰りくださいませご主人様!!!」
「ごめんなさい!!!」
「はっ、思わず本音が出てしまいましたわ……」
「フン……この程度で恥ずかしがるとは、まだまだだな……この店ナンバーワンの座は頂きにゃん!!(星穹さんが恥ずかしさを克服しない限り……。星穹さんが、恥ずかしさを克服しない限り……!!)」
 モスグリーンに白のフリルとカフェエプロンを纏い雄々しいメイドの佐藤・非正規雇用(p3p009377)が腕を組んでいる。圧がすごい。
「ナンバーワンくらい差し上げますわ……佐藤様……」

「猫耳、ミニスカメイド……」
 猫耳に所謂アキバ系メイドに身を包んだエクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)は宇宙マリア顔と化していた。
「意図はわからない、が、そういうものなら、従おう。可愛らしい服では、ある……にゃん」
 今日はにゃんにゃんデー♡なので語尾に『にゃん』を付けている。
 にゃんにゃんデー♡なので。

「羞恥心とか副業でとっくに捨ててるっすから今更気にしないっす!」
 二本の尻尾を揺らしながらメイドになった暁 無黒(p3p009772)はドヤ顔であった。
(しかもついこの間ウェディングドレス着たばっかっすからね……女装も怖くないっす)
 ケモミミ女装っ子とか属性盛りすぎじゃないですか?

「おや、今日は初めての子が多いにゃん? この俺が手取り足取り教えてやるにゃん」
 偉そうなことを言っているが非正規雇用もメイド初心者である。
「非正規雇用は、慣れている、のか。なるほど、ライオンも広義では、猫耳だもの、な」
「と、言う訳で今日は語尾を変えて張り切ってご奉仕頑張っちゃうニャン♪」
「……えっ、男!!?!? このお店詐欺にゃん!!!」
 メイドとは女の子限定ではない。詐欺ではない、いいね?

 薄いスカートを摘まみ上げ、星穹は溜息を吐く。
「此のような防御性能、ふざけていますし。せめて内に暗器は潜めておいても……??……落ち着きなさい星穹。此処は知り合いなんて誰一人来ないわ 来やしないわ。依頼主は困っている。だから私に依頼を寄越した。つまり此処で頑張れば人の役に立てるのよ……!」
「メイドさーん」
 錆びついた歯車の様に振り返りながら星穹は「はーい♡」と半ばやけくそにテーブルへ向かう。
「…………はぁ。ご注文をお伺いします……にゃん(小声)」
「メイドさんのふわふわラブリーオムライスをください!」
 なんですかその名称は。ふざけているんですか?
 しかし注文間違えを防ぐためにも注文内容は復唱しなければならない。
「め、メイドさんのッ、ふわふわッ、ら、ラブリー、オムライス……でよろしいですか!?……にゃん(小声)」
「お願いします!」
(私が死にそうな思いをすればするほど客はつやつやとした顔になるの腹立たしいですね……)
 呪詛を内心に留める様にぎゅっと星穹はぎゅっと下唇を噛みしめた。痛かった。

「おかえりなさいませ、御主人様……にゃん」
「え、えっ」
「動画撮っていいですか!?」
 マリアの髪業に大興奮の客達。もはやサーカスを見ているような感覚である。
 豊かな金髪が自在に蠢き、注文された品々を一度に大量に。かつ一切零すことなく配膳していく。その度に歓声が上がった。
 ふとマリアは客商売ならば、お客様との会話も重要だろうと思い至る。
 こんな格好で出迎える店に通うくらいなのだ。きっと疲れている筈。
「会社の上司がうるさくてさ……。ここが癒しなんだよ……それにしてもマリアちゃん可愛いね! 良く似合ってるよ!」
「む……」
 無表情そのものだったが、可愛いと褒められマリアは目を逸らし、彼女の髪が内側に巻いた。可愛い。
 
 無黒は改めて店内を見渡す。やると決めたからには心を込めて真剣にやるのがプロというものだ。
 カランと来店を告げるベルの前に背筋を正し、無黒は丁寧にお辞儀をした。
「お帰りなさいませだニャンご主人様。お席のご用意が出来ておりますのでこちらへどうぞだニャン。ご用向きがありましたらなんなりとお申し付け下さいませだニャン」
「お邪魔します」
 穏やかな笑みを浮かべ無黒は穏やかな笑みを浮かべ、紳士を席に案内する。
 ゆったりと落ち着いた声色に言葉遣いは異国の城仕えのベテランメイドを彷彿とさせた。
 店内は清潔に。急がず焦らず気品と優雅さを忘れず。
(ご主人様に一時でも最大限の寛ぎと癒しを提供する事に全力を注ぐ……これが……奉仕の心! だニャン!)

 さて、各々特技やらなんやらで的確にご案内を続ける三人に非正規雇用はぐぬぬと悔しげである。
 非正規雇用自身、真面目に勤務はしていたがこのままだとまずい、三人に負けてしまう(何が?)功を焦った非正規雇用はビシイィと指さし高らかに叫んだ。
「ちょっと待つにゃん!! そんな風に、ご主人様に注文された料理をそのまま出すようなメイドでいいのかにゃん!? 」
 コホン、とひとつ咳ばらいをし非正規雇用は真面目くさった顔で続けた。
「真のメイドなら、注文なんか聞かなくとも、ご主人様が望むものが分かる筈にゃん……」
 なお一般的にコレをいちゃもんという。
「此処は!! スイーツ対決で真のメイドを決めるにゃんッッ!!!!」
「スイーツ対決!?」
 ざわ……ざわ……と店内が再度騒めきだした。
 四人を見守っていたエリスもにっこりとOKのハンドサインを作る。
「佐藤さんが急にご乱心っす! いや!佐藤さんの言う事も一理あるっす! 俺感動したっす! 若輩ながらその勝負受けて立つっすよ!」
 こうして突発的ではあるが『真のメイドさんを決めるにゃん♡~スイーツ対決~』が開催されることになった。

「スイーツ、か。では、マリアは特製の、デザートピザ、を」
 薄く伸ばした生地にリンゴにイチゴ、バナナ、モモ。スライスした果実を盛り付け、上から蜂蜜をとろりと回し掛けオーブンで焼き上げる事数十分。蜂蜜の芳醇な香りがフロアを包んだ。どこか蠱惑的なその香りにごくりと誰かが生唾を飲んだ音がする。ピザカッターで切り分けて、そっとご主人様の口元へ。
「では、御主人様。はい、あーん……にゃん」
「あ、あーん……お、美味しい……! マリアちゃん、美味しいよ!」
「そう、か……」
 ちょっと照れたようにエクスマリアは目を伏せた。

「スイーツ……私、あまり料理は得意ではないのですが。ゼリーなどが宜しいかしら。涼しげですし、見目も良いですから」
 調理台の上の食材と数分睨めっこして星穹はゼリーを作ることにした。
 だがゼラチンを溶かして固めるだけでは芸がない。星型に繰り抜いたナタデココにみかんを少し入れる。ぷるぷると揺れる透明なゼリーは金魚鉢の様に涼やかである。
「うん、上出来では? 勝っても負けても問題ありません。ご主人様に此方を差し上げましょう」
(手作りですけど、毒は入っていませんし、ね?)
「美味しそう……いただきます!」
 つるんとした食感にナタデココの歯ごたえ。アクセントのみかんの甘酸っぱさにご主人様は大いに満足したようであった。

「俺はアレにしようか」
 非正規雇用は牛乳と卵を溶き、食パンをひたひたになるまで浸す。
 たっぷり卵液を染み込んだことを確認し、バターを溶かしたフライパンへ食パンを投入し焼き上げる。今日は特別にフレンチトーストの上にバニラアイスを添えて、シナモンを振りかける。
「お泊りした翌朝に、一緒に食べようぜ……にゃん」
「やだ好き抱いて……」
 ばちこーんとウインクをしたええ声の非正規雇用にとぅんくとご主人様はときめいていた。

「勝負事となれば手は抜けないっす! いや抜くつもりは更々ないっすけど!」
 手際よく桃のコンポートを作った無黒はボウルにマスカルポーネ、レモン汁、生クリーム、グラニュー糖、ゼラチンを入れ混ぜていく。
「こんなもんっすかね!」
 冷蔵庫で固めた後は猫の形の可愛らしい透明なグラスにコンポートと共によそう。
「夏にさっぱり男性でも甘すぎず食べやすいレアチーズケーキ桃のコンポート添えだニャン! 召しませだニャン♪」
「さっぱりしてて甘すぎなくて美味しいね!」
 こうして四つのスイーツが出揃った。
 エリスが順々に口にし、時折頷きながら審査をしていく。
「優勝は……」
 フロアを緊張感が包み込んだ。

「みんなね!」

 非正規雇用と無黒がすっ転んだ。
 エクスマリアと星穹も予想外の結果に瞬きを繰り返す。
「一生懸命作ってくれた物に順位なんて決められないわ、みんな違ってみんないい、よね~」
 振り返ったエリスに客達は笑顔で頷いていた。

「まあ……結果は予想外だったが。どうだ? 互いの健闘を称え記念撮影でもしないか?」
「賛成っす! 大変だったけど皆と一緒でとっても楽しかったし貴重な体験をさせてもらったっすよ!」
「写真撮影、か。いいだろう、良い記念、だ」
 非正規雇用の提案に無黒とエクスマリアが乗る一方で星穹の瞳から光が消えた。
 逃げようと思った時には既にエリスが笑みを浮かべてカメラを構えていた
 ――仕事? 主命ですか? 依頼ですか?
 そうですか……。
「はい ならやります はい」
「みんな並んでね~」

 エクスマリアは折角ならばと普段はしない横ピースを(ただし無表情)
 無黒はご主人様が癒されるようにと最大級の笑顔で猫さんのポーズを。
 非正規雇用は「最終メイド奥義」と叫んで瓦割を……えっ何処から出したのその瓦。
 星穹は最期迄私らしくあるべきだと背筋を伸ばして口許には微笑みを。

「撮るわよ~」
 ぱしゃりとシャッターを切る音が店内に響いた。

成否

成功

状態異常

なし

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