PandoraPartyProject

シナリオ詳細

嚥下せよ、ペルセポネ

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●柘榴の乙女
「ああ、コレー!! どうして、あああ!」
 大地の女神デメテルが嘆き、悲しんでいる。
 目に入れても痛くない愛娘が冥界の王に娶られるなど。もう逢えないなど受け入れられる筈がない。
 デメテルから溢れた怒りと絶望が緑豊かだった大地を雪に閉ざす。草花は枯れ、生きとし生けるものは凍り眠りについた。人々は強い飢餓に襲われ、僅かに残った食べ物を巡り争いまで起きる始末。
「む……これは、まずい」
「貴方が!! 勝手に決めるから!!」
「すまないハデスなら不足はないとあいだだだだた髭引っ張らないでデメテルさんいだだだだ」
 元はゼウスがハデスに「コレーを妻にしたい」と相談されデメテルの知らないところで勝手にOKを出しており、話が通じていると思っていたハデスがコレー……ペルセポネを迎えに行ったら実質誘拐になってしまっていた、ということである。
 ハデスの髭を散々引っ張り回した後、再びデメテルは顔を伏せ嘆き始めてしまった。彼女の涙に呼応するかのように吹雪が全てを白く塗りつぶしていく。

「……と、言うわけで私が連れ戻す様に言われて派遣された訳ですけども」
「えっ、認められてたんじゃなかったの? だからペルセポネあんな驚いてたの??え、めちゃくちゃショックなんだが??」
 げっそりとした顔で交渉に訪れたヘルメスから経緯を聞き、ハデスは困惑していた。たしかに強引だったかなーーと思いつつ、まあでも許可貰ったしな、とか思ってたらまさか地上がそんなことになっているとは。
「うーん……非常に寂しいが、私も無理矢理攫ったようなものだし。本人もきっと帰りたがっているだろう。だが、すまない。あまりにも彼女がお腹が空いたと言うので此処の柘榴を4つだけ与えてしまった。一年のうち4ヶ月は此処で過ごさねばならない」
「ああー……成る程。ちょっとデメテル様達に相談してみますね」
「彼女には悪いことをしたな……」
「まあ大体あのオッサ……おほん、ゼウス様が独断でやったせいなんですけどね」
 良かった案外すんなりいったとヘルメスは胸を撫で下ろした。もしコレでハデスがゴネようものならどうしたものかと思っていたのだが。

「ペルセポネ、帰る支度をしなさい。お母様が君に会いたがっている……よ……」
「まあ! おふぁふまふぁ?」
 無邪気に喜ぶペルセポネは今日も可愛い。
 そう、ちょっとあの。空になったお皿を持っているけど。指先がちょっと柘榴の汁で汚れてるけど。
 ほっぺがもきゅもきゅ動いてるけど。ハムちゃんかな? おかわよ……いや、そうではなく。
 ハデスの肌をダラダラと冷や汗が流れていく。
 おかしいなあ、ヘルメスが来る前にはちゃんとお皿の上にあったんだけどなあ、柘榴。
 ハデスは引き攣った笑みを気合いで隠しながら、なるべく彼女が怖がらない様に跪き、ゆっくりと問いかける。
「あの、ペルセポネさん?」
「ふぁい」
「此方に柘榴が置いてあったと思うんですけれども」
「ええ」
「お幾つお召し上がりになられましたかねぇ……?」
 ごっくんと口の中に残っていたものを嚥下してペルセポネは元気よく答えた。
「とっても美味しくて全部食べてしまいましたわ!」
「わあ、すっごくいい笑顔〜〜!」
 ペルセポネの満面の笑みにうんうん頷きながら、ハデスはヘルメスを呼んだ。
「あの、ペルセポネさん……あ、コレーさんですね。ちょっと柘榴12個食べてしまわれたみたいなんですけども」
「えっ……つまり?」
「あの、冥界の食べ物を……それだけ食べたので……一年……居てもらうことに……なりますね……」
「ひえっ」
 ペルセポネが一年ずっと冥界にいる。
 これは、どういうことか?
 母親であるデメテルが悲しみ荒廃し、冬が訪れる。というか、ずっと冬のままだ。春が来ない。
「ええっ、そんなことしたら地上終わりですよどうするんですか!??」
「まさか私も全部食べてしまうとは思わず!!いえ、彼女は何も悪くないんです、うっかり此処に置いておいた私の責任なんですが!!」
 アアアアアと頭を抱え絶叫するヘルメスとハデスを他所に、ペルセポネはとても幸せそうな笑顔でもきゅもきゅとご飯を食べていた。
 それを見ていたハデスに仕える亡霊の一体があっ、と閃いた。
「冥界のご飯を食べ過ぎてしまって此処にいなきゃならないんなら、その分地上のご飯を食べさせれば良いんじゃないですか?」
「天才か??」
 ハデスとヘルメスがハモった。
 ペルセポネはとても幸せそうな笑顔でもきゅもきゅとご飯を食べていた。

●嚥下せよ、ペルセポネ
「今回の星座は乙女座だぜ」
 朧の問いかけにあなた方は首を傾げる。
 乙女座ならば先日アストライアーの物語があった筈だ。また乙女座? と疑問符を浮かべるあなた方に朧は解説する。
「ああ、実はな。乙女座のモデルになったとされる女性は他にもいるんだ、今回はペルセポネだな、名前くらいは聞いたことあるんじゃねえか?」
 ハデスに誘拐され後に妻となった女性。
 柘榴を4つ食べてしまい、彼女が4ヶ月母親であるデメテルの元から離れたことにより冬が毎年訪れるようになったというのが神話とされている。
「……の、筈なんだが。どうやらおひいさん、ハデスが目を離した好きにその柘榴を12個全部食べちまったみたいでな。結論から言うと、地上がこのままだと終わる」
 お茶目がすぎる――。
「ってな訳で、地上の食べ物を与えて余分に食べちまった分を上書きしようって訳だ。ハデスが自ら食わせた4つ分は残るから残り8個分の料理なり食べ物なり与えて中和してやってくれ」
 じゃ、頼んだぜと朧はあなた方を送り出した。

NMコメント

 初めましての方は初めまして、そうでない方は今回もよろしくお願いします。
 星座のモチーフ大好きな白です。
 つい先日乙女座やったけど、もう一つの乙女座の話も出したくなりました。
 今回はちょっとほのぼのコミカルなお話です。
 以下詳細。

●目標
 ペルセポネに地上の料理(もしくは食材)を八品目(八種類)食べさせる。
 
 本来の神話では交渉により地上へ返してもらうものの、4つの柘榴を食べたことにより一年の内、四か月を明快にて過ごすことになったペルセポネ。
 しかし今回は柘榴が美味しくて全部食べてしまいました。結果このままだと地上へ戻れずデメテルが出てこなくなり地上が永遠の冬に閉ざされてしまいます。
 結末が同じ(ペルセポネが地上へ帰れるようにする)ならば、途中の道筋が変わっても構いません。
 語り継がれた神話のうちの一つとなるでしょう。

●舞台
 神と人が暮らす星座の神話の世界です。
 今回は『乙女座』の話の舞台です。

●敵
 ペルセポネ
 乙女座のモデルとされる春を告げる乙女です。
 今回は無邪気でちょっと食いしん坊さんな、笑顔が可愛いレディとして登場します。
 ちなみに最初こそ驚いたもののハデスがとても優しくしてくれた為、彼のことは大好きだそうです。

 ハデス
 ペルセポネを攫った(本人は迎えに言ったつもりだった)冥界の王様です。
 ペルセポネに一目ぼれし、彼女にとても甘いです。
 目を離した隙にペルセポネが柘榴全部食べてて頭を抱えています。

 ヘルメス
 ゼウスからペルセポネを還す様に交渉役を命じられやってきました。
 とんでもないことになってしまい、頭を抱えています。
 地上の食材は彼が持ってきてくれます。

●備考
 冥界には地上程調理器具などは揃っておりませんが、以下はあるものとします。
 鍋、かまど、包丁(というより、よく切れる石)、縦横1m程の台座
 
●サンプルプレイング
 うんうん、美味しい物って手が止まらなくなるわよね。
 アタシもポテチとか気づいたら一袋開けてるもの。
 でも地上滅んじゃうのは良くないわね~!?
 そうね、ひとまずサラダとか作ってみる?

 こんな感じです、それではいってらっしゃい。  

  • 嚥下せよ、ペルセポネ完了
  • NM名
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年07月28日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)
片翼の守護者
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
皿倉 咲良(p3p009816)
正義の味方

リプレイ

「これは食いしん坊っていう理由だけで済まされる問題なのか……????」
「あーなんだっけ、向こう側の食事を食べると帰れなくなる法則……日本だと、えーとヨモツヘグリ?」
 『紅獣』ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)と『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)は視線の先のペルセポネを見つめて、二人揃って首を傾げていた。あの乙女が食いしん坊で神話が変わって地上滅亡……いや食いしん坊で済ませてよいわけはないのだが。
「異界の食べ物は『美味い』ものなんだ。沢山食べると戻れなくなるからこそ、より多くが欲しく……癖になる。そういうふうにできているというか」
 『霊魂使い』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)は冥府に通じている、彼自身、霊魂使いを名乗るほどだ。現へ還さぬ為なのだろうが異界の食べ物は美味なものが多い。味はもちろん馨しき香りで此方を誘ってくるものなのだ。
「なので乙女殿がついムシャムシャしてしまうのはある意味必然ではある、12個は食い過ぎだけど……食い過ぎだろ、12個だぞ? 粒じゃなくて個数だぞ?」
 柘榴一つが結構な大きさがある。それを12個全て美味しく頂いたというのだから驚きである。ちらりとアーマデルはペルセポネを見た。細い腕にすらりと伸びた長い脚からは『食いしん坊』というような印象は見受けられない。
「そもそも食ったものどこに入ってるんだ?」
「乙女の秘密に触れると死あるのみっすわ……」
「……俺が悪かった」
 酒蔵の聖女に酒瓶で頭を殴られるような気がしてすっとアーマデルは両手を上げて降参のポーズを取った。
「まぁ、分かる。美味しいものってやめられないとまらないよね!」
 某河童と海老の様なキャッチコピーを口にしながら『正義の味方(自称)』皿倉 咲良(p3p009816)は腕を組み頷いている。
「まぁでも、地上の食べ物もたべないとなんか色々まずいしね! 美味しいもの食べよ!」
「美味しい物でございますか!」
 地上の惨事などいざ知らず。ペルセポネはぱあっと花が綻んだような笑顔を浮かべている。
「ええ……嫁可愛いのでは……?」
「今そんなこと言ってる場合じゃないんですよハデス様」
 嫁の笑顔を拝んでいたハデスの頭を叩きながらヘルメスは地上の食材を持ってきた。地上との往復は疲れますね~などと言いながら腰のあたりを揉んでいる。

「まあ、冥界成分?を上書きするのは確かに正し……正しい?」
 手慣れたようにエプロンの紐を結び、んーっとルーキスは首を傾げていたが「まあ本人達がいけるっていうなら大丈夫なのか」と久しぶりに料理の腕を振るうことにした。
「んー、何がいいと思うルナ? 前菜にスープとサラダぐらいならぽんと思いつくんだけど。いっそお兄さんが食べたいものでもいいよ案くれ案」
「ん? 俺が食べたいものか?」
 シャツの袖を捲っていたルナールは妻の問いかけにふむと顎に手をやり考える。
「あー……ルーキス、トマトのスープ作ってくれよ。俺もあれ好きだし。あとは甘味、とか? 女性は好きだろ?」
「ああ、それなら我が家伝統のパンケーキも作ろう。そういえばルナールが最初に食べたのもこれだっけ?」
「あー、確かに。パンケーキが最初だったなぁ」
 ルナールが若干不器用な手付きでパンを薄く切り、生クリームをパンに塗り食べやすい大きさに切った
 苺をたっぷりと挟み込んでいく。若干大きさが不揃いなのはご愛敬。
 その隣では慣れた手つきでルーキスが野菜を刻み、鍋に湯を沸かしていた。
 湯を沸かす間に小麦粉に卵と牛乳を入れて混ぜてタネを作る。
「いやあこの料理から始まって気が付けば結婚してるんだから人生とは面白いものだね」
「スープが残ったら俺が食う」
「はいはい」
 しれっとつまみ食いを宣言する夫にルーキスはくすくすと小さく笑う。
 妻の微笑みにルナールは目を細め、ハムとキュウリを食べやすい大きさに切りレタスをちぎって器に盛る。
「……こんなお手軽料理、猫でも作れるな?」
 きょとんとルナールが首を傾げるがサラダも立派な料理です。

「うーん、何作ろっかなー」
 ヘルメスが持ってきた食材を手に取って咲良は献立を考える。野菜に卵、肉や魚もある程度は揃っている様だ。豪勢なものは作れないが、かつての世界でもよく作っていたアレにしようと咲良はトマトと卵を手に取った。
「ヘルメス君、マヨネーズってあるかな」
「まよねーず……ですか? すみません、初めて聞きました……」
「あー……万能調味料なんだけどな」
 あちゃあと頭を抱えた咲良だが家庭科の授業で、お手製のマヨネーズを作ったことを思い出す。
「卵とお塩、お酢を油をいれながら少しずつ入れながら混ぜて」
「まぁ!」
「へー……こうなってるんだ」
 見慣れぬ響きの物を作り出した咲良の周りに神々が集まりだす。神話研究者が見たら卒倒しそうだ。
「うん、初めてにしては上出来! 後はこれをフライパン……は、ないから鍋に入れてトマトをソテーして……炒めてる間に卵をまたマヨネーズを含ませて混ぜる!」
 じゅわあとマヨネーズが焦げる香ばしい匂いが広がり、おおと周囲から感嘆の息が漏れる。
「トマトと卵のソテーだよ! あっ、マヨネーズが出来たってことはあれも作れるかな」
 胡瓜と人参を食べやすい棒状の大きさに簡単に切っていく。透明な硝子の器に立てかけるように盛り付ければ見た目にも涼やかな野菜スティックの完成である。
「あとスープは被っちゃうけど……タラがあるし、茸もあるし。もすくとお豆腐は無いかあ」
「モズクトオトウフ?」
「多分それ二つの名称ですよハデス様。咲良様は不思議な食べ物をたくさん知っていらっしゃるんですねえ……」
「よく考えたら二つとも日本の食べ物だもんね、でも大丈夫! 美味しいスープ作るね!」
 茸を湯に入れ出汁を取る。取った後は刻んで食感が楽しい具材にして再度鍋の中へ。
 タラは丁寧に皮を剥がして身だけにした後一口大に切る。
「あっ、唐辛子はある! じゃあ仕上げにこれを入れて……完成! デトックスもできて体に優しいスープ。もちろん美容にも効果的なんだけど、どうかな?」
「まぁ! 嬉しゅうございます!」
 
「……」
 ……。
「……」
 数秒の沈黙の後、そっとアーマデルは視線を逸らした。他の三人がてきぱきと料理をこなすなかその瞳は固く閉じられ、腕は組まれたままである。
 アーマデルは決して仕事をサボろうなどと考えてはいない。
 むしろ彼は真面目そのものなのである。ならばこの沈黙の理由は何か?
「俺が頑張るとちょっとやばいものが爆誕してしまうらしい」
 果たして料理に『爆誕』という言葉を使うことがあるだろうか、いやあるまい。(反語)
 なお彼は山賊には致命傷を負わせた前科がある。どういうこと??
「故にあまり頑張らない。即ち、凝ったものを作ろうとはせず、シンプルに逝く」
 ……いまナチュラルに「逝く」って言ってたな???
「……コホン、まあ、あれだ。シンプルイズベスト、だ。『美味い料理を作って供えないと出られない部屋』に閉じ込められた時、部屋が認めたのは『ツナとチーズ、そして醤油を掛けただけのトースト』だった……未だに納得は出来ていないが」
 多分部屋も妥協したんじゃないかな、しらんけど。
 ともあれアーマデルが過去に作って上手くできたのはそれだけなので。今回もその方向で行くことにする。素材の味を活かすのだ。
「パンはあるが……さすがにツナはないか。いや無くても大丈夫だ、原理は分かっている。動物性たんぱく質、塩気この組み合わせだ。ハムエッグを載せ、マヨネーズをかけるこれでも同じ筈だ」
「あ、それならマヨネーズ使う?」
「ありがたい」
 アーマデルは徐々に不透明の白に変わる白身をじっと見つめたまま、咲良からお手製マヨネーズを受け取った。なおこの間にハムエッグは2個炭と化した。どうして。

 ともかく特異運命座標達の尽力によりメニューが完成した。
 トマトスープにパンケーキ、生クリープたっぷりの苺サンド。
 ハムとキュウリのレタスのサラダ。
 トマトと卵のソテーに野菜スティックにタラのスープ。
 そしてハムエッグトースト。
「まぁ! 美味しそうなお料理が沢山!」
 テーブルに並んだ料理にペルセポネは手を合わせ喜んだ。
 どれも地上の暖かな気が漂い、美味しそうな湯気がホカホカと立っている。
「どれも美味しそう~! あー、アタシもお腹すいてきちゃった! とにかくあなたが帰って来れなくて困……寂しい人は沢山いるんだから、ちゃんとたべて帰るべきところに帰るべきタイミングで帰るんだよ!

 口の端から垂れかけた涎を慌てて拭いながら咲良はペルセポネを諭す。
 野菜スティックをもぐもぐしながらペルセポネは咲良の言葉に頷いていた。
 相変わらず美味しそうに料理を頬張っている笑顔にやれやれとルナールは苦笑いを零す。
「なんともまぁ、これで上書き出来るんだからある意味助かったな?」
「いやあ、ほんとですよ」
 はは、とヘルメスが遠い眼をしている。今回の騒動で彼の胃は荒れに荒れまくっていた。
「まさか異世界に飛んでまで調理をすることになるとは……次からはほいほい大食いしないように気を付けるんだぞ」
「さて、家に帰ってルーキス手製のオヤツで一息つきたいんだぞー」
「おやおや、我が旦那様は手料理をご所望。帰ったらきちんと作ってあげるよ」
 せっかくならば二人の思い出のパンケーキが良いだろうと二人は見つめあって笑い合う。
「……体はなんともないか、乙女殿」
「?」
 トーストを咀嚼していたペルセポネはアーマデルの問いに首を傾げる。
 よかった無事に地上へ帰れそうだ。
「ペルセポネ、君に会えない時間が増えるのはとても寂しいが、君に会える時を楽しみに待っているよ」
「はい! ハデス様!」
 こうしてペルセポネは春を告げる乙女として地上に舞い戻ったのであった。

成否

成功

状態異常

なし

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