シナリオ詳細
神様が鳴いてるんです! 水着着てくださいなんでもしますから!
オープニング
●常夏の街
––ヴァァァァァァァァァァ!!!!
「あづぅ……まいったねこの暑さは」
ジリジリと照り付ける太陽の輝き。熱された砂がジャリジャリと足元で鳴る。波で揺らめく透き通った海がずっと奥まで広がっていた。
––ヴァァァァァァァァァァ!!!!
ここは常夏の街、一年を通して夏が続いている不思議な場所。旅の途中で訪れた吟遊詩人カルヴァンは此処を暫くの逗留先と定め、詩を紡ぐべく人の多いビーチを彷徨い歩いていた。
「水着なんて持ってないし仕方ないのだけれどこの格好はきつ……あ、そこの貴女。ちょっといいかな」
「なぁに?」
「この辺で人が集まりやすい所ってどこかな」
「えぇと、たしかあっちのほ「ヴァァァァァァァァァァ!!!!」だと思うわ」
「え、なんて?」
「だからぁ、あっちの「ヴァァァァァァァァァァ!!!!」よ!」
「ちょっとごめん、聞き取れな「ヴァァァァァァァァァァ!!!!」うるせぇ!!! さっきからなんだこれぇ!」
唸り声なのか鳴き声なのか、到底人が出す声ではない何かにキレる吟遊詩人、女性もため息をつきながら鳴き声の元を向いて。
「夏神さまね。summer god」
「夏神さま?」
聞きなれない単語に反応を示すと、女性は頷きながら答える。
「この街はずっと前から夏神さま……summer godの加護で護られているのだけれど、一年に一回。夏神さまを奉る祭りを行って、godに感謝の気持ちを差し上げないといけないの」
人間の元気パワーを糧にまた街を守護する力とするということらしい。そしてその元気パワーというのが、水着を着て様々なパフォーマンスを見ると生み出されるというもの。条件が限定的すぎる。
「それで、毎年この時期にイベントをやっていると……」
「えぇ、いつもはもう少し後なのだけれど、競泳水着の制作秘話ビデオを見て早く祭りが見たいって早く来ちゃったみたい」
「大丈夫なのかいこの神様?」
●
「君達にはこれから水着を着てイベントに参加してもらいたい」
「お任せください」
ノーモーションで答える澄恋(p3p009412)にカルヴァンは頼もしそうな視線で頷き説明を再開する。
「いつもは出場者も多く、盛り上がるイベントなんだけど、夏神さまのお早い登場で参加者が足りないみたいなんだ。そこで君達イレギュラーズにも参加してもらってイベントの活性化をしてほしい」
5人で1チームで壇上でパフォーマンをして観客と審査員を湧かすのが今回の依頼内容。
「1人ずつパフォーマンスをだしてもいいし、協力して1つから2つ魅せても良い。とにかく夏神さまを水着で喜ばせればいいんだ」
僕も見に行くかな。と言いながら転送される特異運命座標を送り届けるのであった。
- 神様が鳴いてるんです! 水着着てくださいなんでもしますから!完了
- NM名胡狼蛙
- 種別リクエスト(LN)
- 難易度-
- 冒険終了日時2021年07月25日 22時05分
- 参加人数5/5人
- 相談8日
- 参加費100RC
参加者 : 5 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(5人)
リプレイ
●
夏のお祭り会場、そのステージ前には既に大勢の見物客が祭りの開始を待っていた。客席横には審査員席として長机が設置されており、四人の審査員が席についている。
ヴァァァァァァァァァァ!!!!
summer god!!!!
騒がしい客達と負けず劣らずの声をだしているのはこの祭りが始まった切っ掛けである夏神さま。そして……
「まさかこのトンチキ……じゃなくて個性的なご婦人が町長婦人だったとはね」
夏神さまの鳴き声に呼応しているのか、盛り上がる観客に反応してか、妙齢の女性が夏神さまを叫んで表現している様はなんとも声を掛けがたい。こんな調子で審査が務まるのかが心配ではあるが、隣に座る町長が言うには問題は無いと思うとのことらしい。思うとはなんだ、断言してほしい。
「妻の事は置いといて」
置いといていいのだろうか。
「妻も言っていただろうが例年に比べて開催が早い、出場エントリーも少なかった筈ではあるが大丈夫なのかね詩人殿」
「そこはご心配無く。きっちり手配しておきましたんで期待してくれて良いと思いますよ。頼りになる隣人達ですから」
「おっと、そろそろ出番みたいですよ––」と、カルヴァンの声で審査員達は揃ってステージの方へと視線を向けるであった。
●120分ドキュメンタリー『水着大陸』
ステージ裏に控えるイレギュラーズ達は近づいてくる出番に、改めて己が魅せる題目の確認を行っていた。
「夏神さまの見た競泳水着の制作秘話ビデオが気になって10時間しか眠れない今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。わたしは元気です」
刻々と近付いてくる出番にも、『花嫁キャノン』澄恋(p3p009412)は平時と変わらない余裕が見える。ハイカットのウェディング水着姿は何時もの白無垢とは違った嫋やかさと凛とした佇まいが優美に見える。
「エルは、胸が、ドキドキしてきました。夏神さま、楽しんでいただけるでしょうか」
代わって『ふゆのこころ』エル・エ・ルーエ(p3p008216)は幾分かの緊張を隠せないでいる。紺の競泳水着がエルの淡雪の様な肌と合わさりよく映えている。
「水着で観客の人を歓ばせる。楽しそう!
でも神様が本当に鳴いてるって面白い世界だよね。泣いてるんじゃなくて鳴き声なんだ……」
「水着見たさに鳴いている神……なんとまあ、業が深……んっん!!」
『テント設営師』フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)の言葉に『氷翼』冰宮 椿(p3p009245)が咳払いで誤魔化す。その見解は間違っていない。
フォルトゥナリアの長い金髪がサラリと水肩に掛かる。愛嬌の良い笑顔と飾りのついたビキニに森の色のパレオをはためかせた水着姿が相まって健康的な見目麗しい容貌となっていた。椿はボディラインがハッキリと分かる黒いビキニ。色白の肌に対した黒色は人目を惹く色気を出している。
『首神(首刈りお姉さん)』紅迅 斬華(p3p008460)は澄恋の横でワクワクを隠せない声音で話しかける。
「夏神さま……なんだか強そうな方ね?」
「斬華様、本日は……」
「分かってますよぅ~♪ 何かの首でも刈ってれば夏神様も満足してくれるはずです♪ 頑張りましょう!」
斬華の言葉に「はい!」と頷く澄恋だが、首を刈る事はつっこまなくて良いのか。
白いビキニに水色のパレオを着用した斬華は、花の飾りが付いた麦わら帽子を被り鼻をふんす、と鳴らして張り切っている。
やがてアナウンスが流れ、5人は歓声響くステージへと向かうのであった。
●PON☆PON
「澄恋ちゃーん! 椿ちゃーん! フォルトゥナリアちゃんも頑張ってー♪」
「エルたちも、直ぐに、いきますから」
3人は観客と審査員が待つ壇上へ出る。湧き上がる歓声から生まれた仄かな緊張と高揚感を抑え、息を吸って目を開き。
「か゛よ゛わ゛い゛お゛と゛め゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!!!!」
声を出したのは澄恋でした。
(すごい……口も開けずに涼し気な表情のまま……!)
椿が見たものは、口を閉じたままデスボイスを放つ澄恋の姿。観客から見れば、まるで前に出たフォルトゥナリアが出したようにも見える。
(場は温まっているが、それ故に初手から此方に主導権を引き込むのは少々骨が折れます。まずはわたしがこの熱気の悪い所だけリセットしましょう)
そして何より、呆気に取られた客達はフォルトゥナリアに視線が向いている。この一瞬を外す彼女では無く。
「みんなー!! 初めまして! 私はフォルトゥナリア・ヴェルーリア! 今日はよろしくね!」
今度こそ快活な声がステージから響き渡る。間を入れずジェットパックで身を浮かし、揺れる金髪を発光させながら客席の上を飛べば観客達は熱気を取り戻していく。
「出だしは快調。そちらがヴァァァァならばこちらはか弱い乙女ェ゛! 服なんて飛ばしてやりましょうね」
言いながら息を吸い込み、透き通る華憐な歌声を披露する。
「すっPON☆PON☆ すっPON☆PON☆ カエルはさっぱり鶏肉味ィィィィ!!!!」
カエルはやめるのです。
信じられないことだが、この歌詞でヘヴィメタなのであった。
「あの声帯からあんな声が……だが確かにインパクトは既に他の組より大きく差をだしているな。なぁ妻よ」
審査員席でウェットスーツを着ている町長は隣に座っている夫人へ同意を求め。
「summer god……」
「それしか喋れないのはずるくない?」
ヴァァ
場の空気も温まってきた時、夏神さまが立つ。視線の先に居るのは俯いたままの椿。澄恋の歌声が落ち着いていくと入れ替わり、背の翼を大きく広げ前へと進む。先程までの激しい曲調から一転、落ち着いた雰囲気から流れる彼女の舞踏と優しい歌声。頭上を舞うフォルトゥナリアの光が椿を包み神秘的な舞踊と成す。
「さぁ、ここからです。わたしも楽しまなければ見てくださる方も楽しめません。全力で楽しみ、全力で盛り上げて、全力で最高の夏に!」
しっとりした空気から緩急つけてテンポをあげていく。そしてそのまま空を駆けている彼女とバトンタッチ。
「実は私、ちょっとした壁くらいならすり抜けられるの。スタッフさん、例の壁の準備をお願い!」
パチンッと指を鳴らし、ステージ床が開くと土台のような壁がせりあがってくる。
「わわわっ、壁が、でてきました」
「おおぅ!? そろそろクライマックスですかね♪」
エルと斬華が準備も終わらせ見守っている。出番も近いようだ。
「ようしいっくよー!」
フォルトゥナリアがアップテンポな曲を披露しながら壁の周囲を回っていく曲のラストは壁の透過を見せてブイサインで〆。
最後は澄恋が椿に手を引かれながら壁の天辺まで上がり着地。舞台装置として依頼していた飾りと己の背に装着していた防具、いと白き翼をステージいっぱいに広げ、観客席のテンションは最高潮に至る。町長夫人と夏神さまは上がりすぎて先程からずっと叫んでる。
「わたし以外にもデスボの使い手がいるとは…これは仲間として応えてあげなくてはなりませんね」
翼を広げながら白目を剥き、胡座で高速スライド全力反復横跳びしながらヘドバンをすれば夫人も観客も夏神さまもヘドバンを始める。後の話だが、ウェディング水着でヘヴィメタが住人の間で流行り始めたらしい。
(ラスボスじゃん……)
異様な光景に置いてかれている町長とカルヴァンの心をフォルトゥナリアが読めば椿に知らせ、それを澄恋に耳打ちする。
「ハ゛ル゛ハ゛ロ゛ッ゛サ゛ァ゛ァ゛!!」
まるでお前達をマイクロビキニにするぞとでも言いたいかのように念を込めたか弱い花嫁の歌で3人のパフォーマンスは終了する。
●最後は冷たいこの子を召し上がれ
「ふふ~ん♪ みなさーん! 楽しいライブで盛り上がった後は冷たい甘味がほしくなりますよね♪」
暗転から明るくなると、三人と入れ替わりに斬華とエルがステージに立つ。ご丁寧に料理教室みたいな机も設置されており、二人は水着にエプロン姿だ。
「エルは、涼しく過ごせるように、おいしいアイスクリームを、作ります」
たららった、たったったー。
口ずさむエルの口歌に観客も、審査員達も、隣にいた斬華や裏で見ていた三人は揃えて。
(可愛い……)
と、ほんわかした。私もした。
「まずは、ボウルに、生クリームと、バニラビーンズと、お砂糖半分を、軽くまぜまぜ、します」
斬華も手伝い、手際よく作っていった後。最後に机の下からボウルを取り出し。
「……という課程で、作ったものが、このアイスクリームです」
料理番組で見られるあらかじめ技法を見せてアイスクリームが完成。
「さぁ! 次はお姉さんの番ですね♪ 参ります♪」
どこからか取り出した氷塊を手に、ウインクをして。
「では今からこの氷塊の首を刈ってかき氷にしてしまいますね♪」
首とはなにか、の言葉に意味深に笑い、氷塊を空へ放る。すぐさま構えれば一瞬『首神』の目を見せ。
「首刈術虚式・裏斬華流麗…」
呟きと共に一瞬にして氷が粉々に砕け散る。観客達からは何をしたのかも分からない程のスピードで大きな塊が粒子になっているのだ。口をあんぐりして惚けているのも無理ないだろう。
「シロップは、色々あります、神様も、町の方も、参加した方も、一緒にもぐもぐ、しましょう」
アイスクリームとかき氷、熱狂に包まれた会場では最高のアイテムだ。パフォーマンスの〆は観客も審査員も参加者達も交えた甘味パーティー。ひんやり冷やしてくれる夏の風物詩は皆を、夏神さまも笑顔にしてくれたのだった。
「優勝は特異運命座標チーム!!」
町長の宣言と共に祭が終了する。
ヴァァ♪ ヴァルヴァロッヴァ♪
何か新種な鳴き声と共に夏神さまは海へ還っていった。今年もこの町の夏は平和になることだろう。
さて、今回の物語はここまで。ありがとうイレギュラーズ。続きはまたどこかで。次回もよろしく頼むよ。
成否
成功
状態異常
なし
NMコメント
この度はリクエストありがとうございます。
水着は好きですか? 私は好きです。
●名も無き世界
この世界には名はありません、皆さんと冒険していく内に何かがわかるかもしれない。
気候が限られている場所があることがなんとなく判明しました。
●会場
綺麗な砂浜、透き通った海。砂浜に設営された屋外ライブ会場のようなステージ。
●目的
水着を着てパフォーマンスをしよう。品評する審査員達や観客を湧かすことで夏神さまは元気パワーが貯まります。5人で何かしても良いし、1人ずつ魅せても良い。
●敵
いません。強いて言うならば暑さ。
●パフォーマンス
小道具を用意してなどがあれば、カルヴァンか街の人が用意してくれると思います。なんでも言ってください。
●NPC
審査員 夏神さま……動きがあるパフォーマンスが好き。でも一番は水着で盛り上がっている様子を見ること。
審査員 町長……おじさん。セクシーが好き。
審査員 町長婦人……おばさん。筋肉もスレンダーも好き。
審査員 カルヴァン……ギャンブル好き。
●その他
あるものは何使ってもいいです。海の水や砂、魚釣って焼いて食ってもいいです。水着なら。
●サンプルプレイング
水着で●●早食いって盛り上がると思うから、ちくわぶ食います!
××と一緒に水着一発芸するわ!
この肉体美を見ろ! 会場からのナイスバルクボイスが流れれば盛り上がるだろう。
ご縁ありましたらよろしくお願い致します。
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