PandoraPartyProject

シナリオ詳細

荒ぶる神に慈悲はなし

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●プレイヤーログ:『イルマ』
 混沌とは似て非なる世界――仮想空間に構築された『ネクスト』。
「ちょっとー! なんでログアウトできないのさー!!」
 そこは『正義』の国内に位置する村の近辺。特徴的な白樺の木――サクラメントをチェックするためにネクストにログインしたのは、『イルマ』という登録名の練達の技術者だった。
 愛らしいマスコット的な猫のアバターの姿で、イルマはログアウトできない不具合に顔をしかめていた。
「焦ってもしょうがないし、近くの村の様子でも見に行ってみよー」
 その内ログアウトできるようになるだろうと予想し、イルマは徒歩圏内にある村へと向かった。
 そこは森に囲まれたのどかな村――のはずだったが、村人の反応はイルマが予想していたものと大きく異なっていた。
「きゃあああああああ!」
「も、もも森神様じゃあああああ!!」
「やめろ! 大声を出すな! 森神様を刺激するんじゃない!!」
 村に踏み入ったイルマを見つけた村人は、そろって恐れる様子を見せ、『森神』という言葉を口にした。
「な、なんだよー?? この状況は……」
 イルマは村人の様子に困惑するばかりであった。そして、事態は更に悪化する。
「も、森神様が……?!」
「うわあぁぁ?!」
 イルマは村人が注視する先に視線を向けた。そこには巨大なクマの群れが村に侵入し、村人を襲い始める光景が広がっていた。

「どうやら村人が言う『森神』というのは、動物のクマのことらしい。なんでかわからないけど、村人には僕のことがクマに見えてるようだよー。僕自身の体にはまったく変化がないんだけど……村人の視覚というか、村全体にバグが生じてる感じー?
 クマの群れはひとまずいなくなったけど、また来るかもしれない。見た目は普通のクマだけど、パンチ力は何十トンにもなる危険生物だよー。僕は村の付近に隠れ――」
 イルマのログはここで途切れていた。

●R.O.Oの世界へ(R.O.Oの概要)
 『強制召喚を打ち破り、元の世界に帰還する事』を目標に、日々研究に打ち込む練達科学者達。その悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想空間、R.O.O――正式名称『Rapid Origin Online』。
 現在、R.O.Oには原因不明のエラーが生じている。管理者である練達三塔主の権限すらはじき、ログイン中の『プレイヤー』たちがR.O.O内に閉じ込められる事態が発生しているのだ。ログイン装置につながれたままのプレイヤーが目を覚ますことはなく、その意識はR.O.O内に留まり続けていた。

 コントロール不能となったR.O.Oの調査、閉じ込められたプレイヤーを救出するため、三塔主はローレットに協力を要請した。
 R.O.Oの世界『ネクスト』で活動するためには、プレイヤーとしての姿――『アバター』を構築する必要があった。要請を受けたイレギュラーズは、各々が構築した『アバター』の姿でログインするに至った。

●村の調査
 イレギュラーズが調査を依頼されたのは、ネクストにおける天義――『正義』の国内に位置する村の調査だった。その村の近辺で練達の技術者の1人がログアウトできない事態に陥り、消息を絶っていた。 
 村全体のバグ――村に踏み入るプレイヤーの姿は、村人たちにはクマの姿にしか見えなくなる事象が確認されている。
 村人たちは森のクマを神として信奉し、クマの殺生を禁じている。そのため、村人はクマに危害を加えられても、退治するという行動を決して取らない。村の周辺、森の中を徘徊する8頭のクマに怯え、家屋の中に身を潜めることしかできずにいる。
 村を襲ったクマの群れもエラーの1つであり、クマたちを退治することで、バグを取り除ける可能性が高い。クマの群れを退治し、村に身を隠しているはずのイルマを連れ戻すまでが果たすべき務めとなる。

GMコメント

●重要な備考
 R.O.Oシナリオにおいては、『死亡』判定が容易に行われます。
 死亡した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシート内に『デスカウント』が通知される形になります。
 現時点においてアバターではないキャラクターには影響ありません。

●ログアウトについて
 『クエスト』受注時には自身でログアウトを行う事ができず、『クエストを達成/失敗』するか『死亡』する事でログアウトを行う事が可能となります。
 死亡後、サクラメントから戦線に復帰するには、約5ターン程度かかります。

 その他のR.O.Oの詳細はこちらです。
https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline

●成功条件
 『正義』の村周辺を徘徊するクマ8頭の討伐。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●『正義』の村について
 クマを『森神』として信奉している、5世帯ほどが暮らす小さな村です。
 村とその周辺に踏み入ったプレイヤーは、村人からクマとして認識されるようになります。言葉も通じません。また、プレイヤーをクマとして認識するのは村人たちだけです。プレイヤー同士では変化はありません。
 クマの殺生を禁じていることもあり、村人たちはクマを恐れて近づこうとしません。極端に構い過ぎると、反撃される場合もあるかもしれません。
 クマを倒した後に変化があるかも……?

●討伐対象について
 クマ8頭が討伐対象です。全長は、平均2メートルほどです。攻撃手段はパンチ、噛みつきなどの物近単、物至単のみ。
 クマは各々バラバラに村周辺を徘徊しています。特性は動物のクマそのものなので、誘き寄せる工夫は難しくはないでしょう。

 個性豊かなイレギュラーズの皆さんの参加をお待ちしています。

  • 荒ぶる神に慈悲はなし完了
  • GM名夏雨
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年07月30日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

那由他(p3x000375)
nayunayu
ハルツフィーネ(p3x001701)
闘神
エマノン(p3x007812)
スクエア(p3x008096)
□□□□□□□□□□
オルタニア(p3x008202)
砲撃上手
きうりん(p3x008356)
雑草魂
ジャスティーナ(p3x009816)
正義の騎士
ダブル・ノット(p3x009887)
ヒーラー

リプレイ

 イレギュラーズ一行は、クマの群れの脅威に晒さられる村に訪れた。
 村と森の境界から見渡しても、村人らしき人影は確認できない。
 すでに屋内に退避している様子の村人らには構わず、8人は村周辺の探索を優先する。
――余所者が熊に見えるバグ……か。よく解らないが、村人にとっては気が気でないだろうな。
 エマノン(p3x007812)は家屋が並ぶ村の様子を横目に眺めながら、心中でつぶやいた。
 村のどこかにイルマが隠れているということを考慮し、『ヒーラー』ダブル・ノット(p3x009887)も村人との接触を後回しにするよう行動する。
 ――村人の反応も気になるところではあるが……変に手出しするのも怖いしな。

 一行は、森の奥へ奥へと歩みを進めていく。鬱蒼とした森の中を見渡しながら、『半魔眼の姫』オルタニア(p3x008202)はどこか不安そうな表情を浮かべていた。
 ――クマかぁ、現実でも怖いのに、ここだと余計怖く感じるかも……って気後れはなしなし!頑張れ、アタシ。
 気持ちを切り替えるオルタニアの横で、『□□□□□□□□□□』スクエア(p3x008096)は索敵を始めていた。
「マップ画面を起動します」
 見た目は30センチ四方の正方形――スクエアからは、機械的な音声が流れてきた。
 スクエアの目の前に映し出されたノイズ混じりの映像は、周辺の地図を現していた。その地図には、対象となる存在の位置が『unknown』という字で表示されている。
 時折乱れる地図の映像を頼りに、スクエアはクマの位置を把握しようとする。
 ――クマさんを崇めるとは……この村の方々は大変見処がありますね。
 クマをこよなく愛する『魔法人形使い』ハルツフィーネ(p3x001701)は、クマを崇める村の存在に興味を抱いていた。
 ――しかし、そんな方々を無闇に怯えさせているクマは減点、ですね。私がクマさんとはなんぞやというのを見せてあげるとしましょう。
 魔法人形である等身大のテディベアを抱えながら、ハルツフィーネは静かにやる気を燃やしていた。
 ハルツフィーネはもう1体の小さなテディベアを生成し、更にその背に天使のような翼を付与した。ハルツフィーネは、上空を飛行するテディベアを自在に操る。テディベアと視覚を共有することで、ハルツフィーネは上空からもクマの索敵に専念する。
 一方で、オルタニアはスクエアが表示させたマップを頼りに、クマの居場所を探ろうとする。
 オルタニアは視覚に意識を集中させることで、超人的な視力を発揮することができた。オルタニアはその場で立ち止まり、木々の向こうへと千里眼のごとく視野を広げ、クマの姿を捉えようとする。
 ――相応に大きい生物が8頭も徘徊してたら痕跡位は見つかるでしょう。
 『nayunayu』那由他(p3x000375)は仲間の能力を頼りにしつつも、自らもクマの痕跡がないか周囲を探し回る。
「クマって、木に引っかき傷を付けたりして縄張りを示すんだっけか?」
 そうつぶやくノットも、那由多と同様に注意深く周囲を観察する。
 ――クマに関する知識はある程度聞きかじってきたが……。
 エマノンはクマの嗅覚を利用しようと考えていた。
 クマが好みそうなハニービッツの巣――蜜がしみ込んだ巣蜜を持ち出したエマノンは、木の根元などの各所にそれを配置しておく。その間にも、オルタニアはクマの姿を見つけて声をあげた。
 各々の能力でおおよその方角を把握し、一行は森の中を進んでいく。迅速に距離を詰める8人は、クマの脅威に対処するために、単独で徘徊するクマを1体ずつ倒そうと目論んでいた。
 植物の意思を感じ取ることができる『開墾魂!』きうりん(p3x008356)は、進路に間違いがないことを確信していた。
「うん……この方角で間違いないよ!」
 警戒しつつ進んだ先に、木々の間から覗くクマの姿を見つけた。その瞬間から張り詰めた空気が漂う中、8人は静かにクマへと迫る。共に気配を殺す『正義の騎士』ジャスティーナ(p3x009816)は、クマを確実に仕留めようと身構える。
 ――気の毒ではあるが、身の安全の確保のため、討伐は真面目にさせてもらおう。
 クマとの接触に備えて、ノットは対象を強化する能力を発動する。宙に浮かび上がった魔法陣は、強い輝きを放って周囲の者らに作用した。
 クマはノットの魔法陣の輝きに反応するように視線を向けたが、閃光を放ったのはノットの魔法陣だけではなかった。ハルツフィーネは自らが操る巨大テディベアにクマを狙わせ、即座にビームを放った。テディベアの目から放たれたビームは、クマの姿を爆炎によって包み込んだ。
 ビームが放たれたタイミングに合わせて、一同は一気にクマとの距離を詰める。
 エマノンは味方を巻き込まないよう注意を払いながら、自らの魔力を引き出す。エマノンを中心に広がる魔力の波動は、クマの弱体化を図っていく。
 ハルツフィーネらの攻撃に怯みながらも、クマは激しく吠えて威嚇を繰り返す。野生のクマとはいえ、凶暴さはモンスターと変わらない。巨大な戦斧を構えた那由他は、依頼達成につなげるためにも、クマの動向を注意深く観察する。
 強力な力場を発生させる装置を利用し、ジャスティーナはその力を自身の拳に宿す。
「危害を加えるなら、放置してはおけない!」
 その一言と共に突き出されたジャスティーナの拳は、不可視の力をクマに向けて叩き込む。ジャスティーナの攻撃に圧倒されるクマだったが、即座に牙をむいて襲いかかろうとする。しかし、オルタニアは正確な弓さばきで矢を射掛け、ジャスティーナがクマの攻撃から逃れる隙を生み出した。
 8人は順調にクマを追い詰め、危なげない戦況を維持して1体目のクマを討伐した。
 他のクマの合流を阻止するためにも、ノットは周囲の様子にも注意を向けていた。そのため、ノットは木々の間に見えたクマの影にいち早く気づく。
 闘争の気配を感じ取ったらしいクマの1体は、イレギュラーズから遠ざかろうと背を向け、村の方角へと走り出していた。
「待てー! そっちには私みたいにおいしいエサはないよ!」
 きうりんもクマの向かう先に気づき、駆け出したノットと共に先導する。
「――待てこの!」
 すばやく矢をつがえたオルタニアは、見る見る遠ざかるクマに向けて連続で矢を放つ。
 次々と体をかすめ、進路上に突き刺さった矢は、パニック状態のクマを更に煽った。一瞬スピードを緩めたクマの注意を引きつけようと、ノットは声を張り上げる。
「おーい、こっちだ!!」
 クマは踵を返し、興奮気味に鼻を鳴らしながら距離を詰め始めた。
「ほら!ㅤエサが自分からやってきたよ!ㅤみずみずしいよ!」
 野菜そのものの体質を持つ種族――きうりんは、自らを囮としてクマの目の前に進み出る。
 きうりんやノットに気を取られるクマに向けて、那由他は構えた戦斧を鋭く振り抜いた。波動となって放たれた那由他の斬撃がクマを襲い、その後の追撃がクマを更に追い込む。
 ハルツフィーネは巨大なテディベアを操る一方で、上空から周辺を見渡しているもう1体のテディベアに意識を向ける。飛行するテディベアと視覚を共有しているハルツフィーネは、複数のクマの姿に気づく。クマたちは、エマノンがエサとして各所に配置した巣蜜に釣られ、分散している様子がわかった。
「――今の内に、潰してしまいましょう」
 周囲のクマの動きを把握したハルツフィーネは、迅速な対応を促す。
 宙に浮かぶ箱そのもののスクエアは、開かれたフタの下からミサイルを発射させる。
「〇×◇◆!!、暴走モードに突入します。コロスコロス、クマコロスぅうぅぅ!」
 クマに対してミサイルを発射し続けるスクエアは、次第にその攻撃性を加速させていく。
 ミサイルでクマを仕留め、勢いに乗るスクエアは、即座に単独で行動しているクマの下に向かう。
 各々が攻撃に集中する中、二丁の拳銃を乱射するエマノンも、クマを確実に追い込んでいく。
 4体目を討伐した直後に、激しい唸り声が響き渡る。それは、巣蜜を取り合って互いに牙をむき合う2体のクマの声だった。
 激しくもみ合い、互いをけん制し合う2体だったが、
「気に入ってもらえたようだが――」
 銃口を向けながら、エマノンはつぶやいた。
「もう食事の時間は終わりだ」
 エマノンは容赦なく弾丸を撃ち込む。
 切れ目なく攻撃をつなげようと、ジャスティーナは積極的に前線に臨む。攻撃を仕掛けるイレギュラーズに対し、クマはエサを奪われまいと激しい抵抗を見せた。半数の討伐までに少なからず消耗を強いられた面々に、強靭なクマの攻撃が迫る。
 ノットはクマの攻撃に対抗しようと、自らの能力を引き出す。ノットを中心にして波紋のように放たれる神聖な力は、皆の治癒を促進させる。神聖な力を帯びるノットと共に、きうりんも体を張って支援に当たる。
 きうりんは急速再生する自らの体を利用し、
「これ食べて!ㅤ大丈夫怖くないから!!」
 みずみずしい断面をさらけ出す、もぎたての手の一部を負傷した者の口にねじ込もうとする。見た目はきうりんの手の一部そのものだが、口にすれば青々としたきゅうりの味を感じられる。
 きうりんとノットの支援もあり、クマの攻撃にもくじけることなく立ち回る一同。
「偽クマ達よ――」
 クマに向けて手をかざすハルツフィーネに合わせて、テディベアの目からはすべてを焼き切る光線がほとばしる。
「真クマの聖なる光の前に消え去れ……です」
 ハルツフィーネの言葉通り、光線に貫かれたクマの1体は絶命した。
 イレギュラーズの勢いに圧され、もう1体のクマは戦線から離脱する動きを見せる。ジャスティーナはクマの目の前へと回り込むが、クマの抵抗は激しさを増す。ジャスティーナを突き飛ばすほどのパンチ力を発揮したが、ジャスティーナが突き出す拳の威力も負けてはいない。強力な力場を宿し、クマの巨体諸共地面を突き砕く。
 ノットはクマの攻撃の手を自らに向けようとした。ノットはジャスティーナの体力の限界は目前と感じていた。それでもなお、近接戦を挑むジャスティーナは互角の戦いを繰り広げる。
 うまくクマを挑発するノットによって、クマは異常なほどノットへの執着を見せた。
 皆の援護を受けるジャスティーナは、苛烈な攻めの姿勢を崩さず、自らの能力で、クマの頭上へと飛び上がると、
「これで仕留める!」
 クマの下へ勢いをつけて滑空し、神々しい後光に包まれたジャスティーナは、更に強烈な一撃でクマを葬った。
 目の前のクマに攻撃を集中させていた那由他だったが、すぐそばの茂みの向こうに気配を感じ取る。クマの気配を察知した那由他は、茂みに向かって斬撃を飛ばした。那由他の攻撃に驚いたクマは茂みから飛び出し、那由他へと鋭い爪を向けた。しかし、わずかな間にクマの動きを見切った那由他は、反撃の態勢を整えようと、瞬時に飛び退く。
 興奮状態のクマはイレギュラーズの間を動き回り、仕切りにほえることで威嚇を繰り返していた。また、きうりんは別のクマの気配にも感づく。
 茂みの向こうから覗く鼻先に向かって、きうりんは言った。
「ほら! みずみずしいエサならここに――」
 そう言いかけたところで、茂みから飛び出したもう1体のクマは、勢い良くきうりんに食らいつく。予想以上の食いつきに面食らったものの、きうりんは冷静に対処する。こん身の腹パンを命中させると、きうりんはクマが怯んだ隙に距離を取る。千切れかけてぶら下がっているだけの腕を自らつかんだきうりんは、
「おりゃー食らえー!!」
 引きちぎった腕をクマに向かって投げつけた。きうりんは痛々しい姿になりながらも、他の者に対して攻撃を促す。
「――クマコロスコロスクマクマ、クマコロスぅうぅぅ!」
 暴走モードのスクエアは、際限なくミサイルを発射し続ける。ミサイルの爆撃により白煙が立ち込める中、各々が巨大な敵影に向かって的を絞った。残る2体となったクマは、イレギュラーズの総攻撃にうろたえながらも包囲を突破しようと攻撃を繰り返す。
 デスカウントという犠牲を払いながらもクマの1体を葬り、イレギュラーズは攻撃の勢いを緩めることなく相手に挑んだ。
 クマの動きを抑え込むように、弾丸を浴びせ続けるエマノンに合わせ、オルタニアは狙いを定めて弓を引き絞る。鋭く放たれたオルタニアの矢が最後のクマの脳天を貫き、クマはようやくその巨体を横たえた。
「ふぅ……一応、村人に報告を――」
 と言いかけたエマノンだったが、木の間からエマノンらを見つめる村人らしき人影に気づいた。複数の人影はどこかイレギュラーズを恐れるように、村の方へと引き返していった。その村人の様子を不審がりながら、ノットは言った。
「イルマサンは……まだ村にいると考えていいんだよな?」
 プレイヤーのみに送信することができる特殊なメッセージを、ノットは範囲内にいるはずのイルマに向けて飛ばした。その後、村に訪れたイレギュラーズは、思わぬ歓迎を受ける。
 村人たちはイレギュラーズに平伏し、口々にイレギュラーズを讃えた。
「あなた方こそ、真の森神様です!」
「どうかこれからも村をお守りください!」
 村人の目線では、バグが解けたことで、クマだったはずのイレギュラーズが人の姿に戻ったように見えていた。
「何を隠そう、さっきうろうろしていたクマ達はクマ様の皮を被り、皆さんを脅かしていた偽物です」
 ハルツフィーネは困惑するでもなく、村人らに真理を説くように語りかける。
 ハルツフィーネは自身が操る巨大なテディベアを指して、
「私のクマさんこそが本物の熊神様。見なさい、この神々しいフォルムを。
さあ、子供達よ遊んでやろう……です」
 ハルツフィーネのテディベアを妄信的に崇め奉る村人たちから、ジャスティーナはイルマの居場所を聞き出そうとする。
「私たちは、人を探しているのだが――」
 その直後、家屋の向こうからイルマが姿を見せた。
「やあやあ、ご苦労様だよ! よくわからないけど、君たちが真の森神ってことかい?」
 村人の反応から察するに、バグは解消されたと考えて間違いない。サクラメントに戻ろうとするイレギュラーズを引き止める村人たちだったが、ハルツフィーネはそれらしい理由をつけて村人らを言いくるめる。
「私たちはクマさんの――熊神様の素晴らしさをあまねく広める使命があるのです。さらば……です」
 イレギュラーズは新たな森神の伝説をその村に刻むことになった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

きうりん(p3x008356)[死亡]
雑草魂
ダブル・ノット(p3x009887)[死亡]
ヒーラー

あとがき

ご参加ありがとうございました。
クマのパンチ力はリアルにモンスター級なので、対処できるイレギュラーズもクマ並みか、それ以上にやばいということですね。

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