PandoraPartyProject

シナリオ詳細

愛の魔法と魔を奪う華

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●愛の魔法は永久には続かず

「あはは。ごめんね、私“もうすぐ”だから……もっと、もっと君と一緒に居たかったなぁ」
「馬鹿を言うな! もっとずっと、ずっと一緒に生きるんだ。その為なら俺は何だって――」
「止めて、お願い。私は――貴方の魔力を、将来を奪い続けて生き長らえるくらいなら魔力貧民のまま死んでやるわ――!」


 <魔法世界・マギアロア>。
 魔法と魔力を礎とした人々が暮らすその世界には、魔力富豪と呼ばれる者と魔力貧民と呼ばれる者が居る。
 それは字の通り、生まれ持っての総魔力量や魔力の質、魔力自然生産量等の複数の基準から総合的な魔力を物差しとした分類であり。
 当然ながらこの魔法世界においておいては生まれてから死ぬまで変える事が出来ないカースト制度でもある物だ。
 この世界では普遍的な魔法やマジックアイテムを用いた社会インフラを運用する為に魔力富豪達は多大な魔力を納税しており。
 その背景に基いて大小様々な区別や差別が横行していたというのも無理はない程の、純然とした格差だ。

 ――そう、区別や差別が横行していた、という過去形である。
 時代の流れか元々多くの者が疑問を呈していたか、それとも異世界人イレギュラーズ達の言動が決め手になったのか。
 ともあれ、昨今のこの<マギアロア>ではそれらの身分による差別等は大幅に改善傾向に向かっており、表向き世界は良い方向に、そして穏やかに動き始めているのだった。

 ……しかし。
 それ自体は確かに良い事だ。悪い等と言える筈がない差別意識の解消は、魔法世界において一つの小さなブームを生み出していた。
 ――身分違いの恋である。

 それ自体は、当然だが別段悪いと言われる事ではない。むしろ素敵な事であると言え様。
 何せ、身分違いの恋と言うのはかの魔法世界であっても物語において情熱的に語られる題材の一つだったのだから。
 
 ……そう。大きく、そして険しい障害があるからこそ、その恋は物語において情熱的に語られる物だ。それを乗り越えた事によるカタルシスによる物か、悲恋物語としてかはともかく。
 だが、この魔法世界におけるこの恋路における障害は何も今まで根付いてきていた差別意識、それだけでは決してない。

 ――“寿命差”だ。


 かの魔法世界で暮らす人々の本質は霊体であり、肉の身体など魔法で構築された受肉の為のアバターに他ならない。
 故に他の世界では一般的な肉体の寿命による死は彼らにはありえないのだ。
 ……だが、しかし。霊体の寿命による死は、彼らを以てしても抗う事が出来ないのだ。
 受肉体は若々しいままであっても……容赦なく、老化は進行していく。……魔力生産量の減少、という形を持って。
 魔力生産量が減少していけば、当然ながら仕事や生活に魔力を使う事も出来なくなり、そしてあらゆる生命活動においても微弱ずつ魔力を消費する為に……その水準以下の生産量になれば、もはやそれは絶対的な“死”であるのだ。
 そして、これまた当然ながら……魔力貧民の寿命と、魔力富豪の寿命。その差は比べ難い程に大きい物となっている――!!

 嗚呼、嗚呼。
 悲劇だ。悲痛な別れだ。どう足掻いた所で覆す事ができない自然の摂理だ。
 だが、それでも、あるいはだからこそ、人々は希求するのだ。
 そんな難題をも解決する、都合の良い奇跡を――――
 

●地獄に咲く魔性の華

「今回、皆様に依頼されたのはかの世界の秘境、<獄霊山>の山頂に咲く魔花【魔極華】の採取と納品の様です」

 先程の概略を話した後にその様に今回の依頼内容を説明するのは境界案内人・ディースだ。
 話の繋がりが読み辛く、疑問符を浮かべる君達に赤面しながら咳払いをして説明の続きを行う。

 <獄霊山>、そして【魔極華】と言うのは<魔法世界・マギアロア>の禁足地であるとある山とその山の異常の主原因となっている植物の名前らしい。
 その山の異常とは――立ち入る、そして近付く全てのモノが急速に魔力を失っていく、奪われていくという事。
 それ自体はまるで栄養や水分を奪い周囲の草木を枯らす植物と同様に、自身の成長の為に周囲の魔力を奪い、そして最終的に極めて純度の高い魔力を有しながら開花する【魔極華】の特性による物だ。
 ……その吸収の量、規模、範囲どれもが規格外である魔性の華、禁忌の花とも呼ばれている。
 が、だからこそその実が有する超純度の魔力が魔法世界の人々の寿命延長に有効だ――と、“言われている”が故の、依頼だ。

 その総身の本質が霊体、そして魔力である彼らにとっては絶対的な死地だ。しかし、イレギュラーズにとってすればそうではない。
 いわば絶大の【ロスト】を受け続けている様な物。勿論、全く問題がないという訳ではないが……活動には支障はないだろう。
 それでも、人立ち入らぬ秘境の探索行には数多の障害が予想されるだろう。

「それでも、皆様であればきっと大丈夫であると期待しています。――それでは、行ってらっしゃい」

NMコメント

 こんばんは、NMの黒矢と名乗っている者です。
 今回のお話はうぃるだねすあどべんちゃー!
 大体そんな感じです。


●世界説明
 <魔法世界・マギアロア>。その名前の通り、魔法が基幹にある異世界です。
 ただの中世ファンタジー世界という訳ではなく、魔力を動力として動かす魔動機械等もあり、部分的には現代と同程度の文明力を持っている様に見えます。
 日常を過ごす上では混沌世界と変わらぬ様な生活を送る事ができるでしょう。
 しかし、それでもやはり世界の主流は魔法であり、絶対の指標として存在しています。
 生まれ持った魔力量が少なかったり魔法の才能が劣っていたりすれば差別的な場面に遭遇する事もあるかもしれません。
 ――しかし、且つてのイレギュラーズとの邂逅によりその傾向は少しずつ改善して来ている様です。
 この先この世界がどう変容していくのか……それは未来を読む魔法でも分からないでしょう。


●目標
 より多くの【魔極華】の採取と納品。
 
●予想される障害

・行軍と山登りによる疲弊
 通常イレギュラーズの身体能力であれば問題ありませんが、魔力を極限まで奪われる為疲労しやすい状態となるかもしれません。

・険しい山道
 人が進む為の道はなく、道なき道を切り開いていきます。途中で滑落したり怪我したりしても飛行や治癒に魔法も使えないかもしれません。

・適応化した動植物
 魔力を必要としない方向へと進化した動植物が皆様の行く手を阻むでしょう。
 その毒性や異常性、特殊能力や身体能力は特筆する程の物ではありませんがその対処をする為に魔力を使うのも容易ではないかもしれません。

●特殊ルール
 <獄霊山>の近辺までやってくる事で非常に強力な【ロスト】状態となり実質的にAPが使えない状態になります。
 しかし、ここは<魔法世界・マギアロア>。高いAPや【能率】【充填】などによっては突破できるかもしれません。 
 
●サンプルプレイング
・例
 元より魔法に頼るたちじゃねぇ、普通にそして入念に山登りの用意をして挑むぜ!
 水に食料に毛布に~っと。
 俺の必殺剣は魔力なんて使わない(消費AP0)から野生動物との戦闘の際には積極的に前に出て戦っていくぜ!

  • 愛の魔法と魔を奪う華完了
  • NM名黒矢
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年07月11日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
ウルリカ(p3p007777)
高速機動の戦乙女
ロロン・ラプス(p3p007992)
見守る
ノット・イコール(p3p009887)
想いの届人

リプレイ

●極地、来たりて

「愛する人の為に……ですか。確実性はどう見ても無い様に思えますが、その藁をも縋る思いが愛、なのでしょうか」

 <魔法世界・マギアロア>、そして依頼の地である<獄霊山>へやってきたイレギュラーズの一人、ウルリカ(p3p007777)はそう呟き先頭を歩く。
 詳細を聞いてもその不確実性には疑問符を浮かべざるを得ない。しかし……得てして情による物事と言うのは割り切れる物ではないのかもしれない。
 そう思いながら進んでいくウルリカであったが、<獄霊山>近郊に到達し、異常に――否。聞いていた通りの正常に遭遇する。

 魔力が、吸収されていくのだ。
 その速度は予想以上に早い。対策を取らなければ実力に裏打ちされた魔力量を持つウルリカであっても数分と経たずに枯渇するだろう。
 これが、この山での常態だ。これは自分達に依頼もする筈だと独り言ちる。この山は、この世界の人間には絶死の脅威なのだと。

「わーあ、身体が重ーい……これは確かに、魔法人にはちょっとどころじゃなくしんどい場所みたいだねぇ」
「これだけ魔力を吸われるのはちょっと大変だね。少しだけ燃費を抑えた方が良さそうかな」

 ウルリカの呟きに反応するのはパーティの神秘型担当でもある『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)と『無垢なるプリエール』ロロン・ラプス(p3p007992)だ。
 二人はある意味でこの山の異常さを強く実感している。
 特にロロンは自らも水精な事もあり、運命逆転力による増幅がなければ奥地へ進む事も出来ないだろう。
 魔力が生命そのものであり、運命逆転力も持たぬ者であれば……“獄”の名を付けられるのも頷けるという物だ。

「――それでいて、誰も手を出せないから山としても自然と険しくなっている訳だね」

 彼らにとって深海や宇宙の様な極限領域、手が出せない場所なのだろうと『特異運命座標』ノット・イコール(p3p009887)は考察する。
 元々は魔力の無い世界出身の彼の様な者ならともかく、魔力を必須としている種であればこそこの山の険しさは極まっていくだろう。
 そうでなくとも遠目にも理解できる程の大山ともなれば、秘境探検と言っても過言ではない。
 あるいはそれ以上の難易度を有しているかもしれないその山を前に。

 ――少しでも力になってあげたいね。

 苦悩する人々の為、依頼の為に。イレギュラーズは<獄霊山>へ歩みを進めるのだった。


●大山鳴動

 <獄霊山>に入り、道なき道を進むイレギュラーズ。
 元々相応の準備をしてきたイレギュラーズにとってそこまで問題はない。筈だったのだが。
 
「やっぱり少し辛そうだ……もっと水飲む?」
「ありがとう。頂くよ。想像以上に消耗する物だね」

 疲労は蓄積していく。その原因は、【魔極華】の魔力吸収だ。
 特にノットとウルリカ、二人の魔力は既に枯渇しており――それだけなら問題ないが、枯渇した魔力を吸収せんとするその感覚。
 魔力の代わりに体力を直接奪われる、とはならないがその感触が纏わりつく様に違和感となり、少しずつであるが消耗を防げ得ない状態だ。

「やっぱり、魔力の有無を知覚すると皆しんどいよねー」
「はい、疲弊は可能な限り避けなければなりませんね」

 各々の装備や能力で悪路を飛行し回避し進んでいくが、ふと思う。魔力が枯渇していると言うのにこれほど立派な森や山になるのだろうかと。
 この山の植物達は逞しく、疲弊している様子は見られない。

「それは此処の動植物が“それ”を前提として適応・進化して来ているからだろうね」

 ノットはそう推察し、ルーキスは同意しながら補足する。
 確かに魔力による急成長、超成長、異常成長する様な動植物は少なくはないが、ノットが元居た世界の様に、全く魔力がない所だって生命は芽吹くのだ。
 今でこそイレギュラーズとなり魔力を有するノットらが疲弊しているのは魔力を有し、そして生産している器官にまで吸収圧を受けているから。
 “元々その様な器官がない”動植物であれば、何も影響はないのだ。

 きっと、ここは豊かな霊山だったのだろう。
 その上で、かの華により魔力を糧とする種が駆逐され、長い永い時を経てこの様な立派な山となっているのだろう、とルーキスは結論付ける。
 特異でありながら自然に、健やかに成長していった結果であり

「……同様に動物達も非常に立派に成長している、という訳だね」

 ノットの言葉と同時、草木を掻き分ける音と共に姿を現すのは――数十頭からなる大狼達。
 珍しい人を見つけ捕食対象としたのか、包囲しながらイレギュラーズ達に襲い掛かるのだった!




「どうやら、物理により特化しただけあって強靭です……!」
「こちらには制限があるのに、あっちは魔力がなくても狩りは平常運転だよね」

 衝撃波を、氷槍を、宝石魔術を用いて近寄らせぬ様に牽制するも、相手は身体の強靭さも俊敏さも優秀な狩りのプロフェッショナル。
 数体は攻撃の直撃を受けて倒したが、以降は狼達に警戒されてか遠巻きに包囲を継続させてくる構えだ……こちらの消耗を狙っているのだろう、とノットも気付いている。
 しかし、この状態では図らずも狼達の想像以上にそれは最善手だろう。こちらは魔力吸収による疲労があるのに対し、この山に適応した狼達にはそれが存 在しないのだから。
 ウルリカのカバーもあり、イレギュラーズ達は未だに一度もまともに被弾はしていない。
 だが、包囲を突破しようとすれば流石に負傷は避けられないだろう。このまま目論見通りに消耗を続ける訳にもいかない。
 どうした物か。そう思索を進めている その最中。

「いやぁこれは、なかなかどうして……うん、此処ならやれるかな」
「何か、妙案でもありましたか?」
「うん。ロロンちゃんにも手伝って貰おうかなと思ってるけど」
「ボクですか? ――そうですね、さっさと突破した方が良さそうだ」

 会話の直後に、ルーキスとロロンが“魔力”を練り上げる。
 直ぐにその魔力も吸収の影響を受けるが……魔力の膨張は留まる所を見せない!
 そう……ここは<魔法世界>。
 この世界において、運命逆転力を持つイレギュラーズ達の魔法素養は爆発的な向上を見せる。
 そして、イレギュラーズの中でも、元よりルーキスとロロンは有数の『魔力充填量』を保有しており。

「向かって右前方に居るのが狼のボス個体です!」
「カバーはお任せを。撃ち漏らしは気にせず全力でお願いします」
「致せり尽くせりだね、これは良い訓練になるようなならないような不思議な状態だ!」
「良い経験だと、ボクはそう思いますよ」

 ――直後に発動した二人の魔法、迸る雷電と氷槍により魔法防御力すら皆無だった狼達はその殆どが壊滅。
 大規模戦闘と魔法により武威を見せ付けた彼らに襲い掛かろうとする動物は居なくなったのだった。



●極上にして極限の魔を秘める華

 山頂に辿り着いたイレギュラーズを出迎えたのは――凝縮された魔力の光が幻想的に辺りを照らす、【魔極華】の群生地であった。
 人は勿論、動物も立ち入らないのであろう。何一つ障害もなく華麗に、健やかに咲いているのが輝く花弁からも伺える。

「……きっとこの景色を見た人は、この世界ではそう多くないんだろうね」
「へぇ~。これが魔極華かぁ……うん、凄いね。花の形はしているけど殆ど超純度の魔力結晶みたいだよ」

 天然の花園に驚嘆せれど、彼らは依頼でここまでやってきたイレギュラーズ。自らの仕事を忘れる事はない。
 ロロンが花弁の一枚を味見してその効能を確信し、動物の襲撃に警戒しながら手分けをして採取を始める。
 ノットが予め準備しておいた強固な結界術の刻まれた手袋とバッグによって不自由なく採取を進めていく。

「……この花は、彼らの為になるでしょうか?」
「そうだねー……これ程の純度の魔力塊だ。彼らの生態からしても、上手くやれば期待できそうではあるけど」

 そう言いながら行うのは採取だけではない。未知の部分が多いという【魔極華】の植生の詳細、それも特に求めている物の一つであるのだから、調べない手はないだろう。
 ある程度は想像が付く。この花は成長に魔力以外の何物も必要とせず、時期も選ばぬ年中開花の魔花。
 成長中こそ極限の魔力吸収を行っているが、開花、満開、結実に連れて魔力吸収効果が減衰していっているのを肌で感じる。
 おそらく、この手袋やバッグの様に適した処置を施せば……どの程度かはさておき、その恩恵を受ける事が出来るだろう。

 その推測に頷きながらも用意してあったバッグ一杯にまで【魔極華】を詰め込み、イレギュラーズは<獄霊山>を後にする。
 確かな成果を手にしながら。



「ひゃー、疲れたねえ! さっさと帰って休みたいよー……でも、皆お疲れ様!」
「――それでは、こちらが約束の品です。効果の保障まではできません、が……効果がある事を祈らせて貰います」



 ――その後、急ピッチで進められた【魔極華】の研究は想像以上の結果を齎す事となる。
 多少の加工により摂取する事で魔力生産量、最大魔力量の増加という伝説に謡われる効果を得る事が出来たのは望外の喜びであった。
 だが、それはこの研究の成果の一部分に過ぎない。それだけの成果であれば採ってきて貰った【魔極華】がなくなればまた同じことになるしかないのだから。
 何よりも重要な成果。それは【魔極華】が持つ超純度の魔力その物ではない。その純度、量の魔力をその身に保持しておく機能の研究と模倣に他ならない。
 即ち……十分量の魔力を用意できれば、それを圧縮、濃縮する事で人工的に【魔極華】と同じ効能を持つ物を創造する技術!

 勿論、それは言葉で言う程単純でも簡単でもない。様々なハードルが今も尚残っているままだ……それでも。
 イレギュラーズの活躍によって、愛する者達の間にも希望の光が灯ったのは紛れもない真実であった。

成否

成功

状態異常

なし

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