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シナリオ詳細

世界は回るものだから

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

世界は回るものだから

●楽しげな君は空を見ていた
 天動説を戯言だと告げたものは正しかったのだ。世界は意識する、意識しないに関わらず、只管とぐるぐる回転するしかない。そんな思いきりの良さを反映したのがこの『光景』で、誰もがそれを受け入れる他に知れなかった。ねえ。今日は何して遊ぼうか。ぐるぐると回りながら子供達がはしゃぎ始め、それを眺める大人達もぐるぐるしている。公園の遊具で遊ぶのはどうだろうか。あの木の棒を額につけたら抱腹絶倒間違いなしさ。ぐるぐるしたくてたまらないと住民達が飛び出した――今では何もかもがぐるぐるしている。
 もっと。もっと。ぐるぐるしたいよ。もっと。もっと。ぐるぐるしてほしいよ。そんな声がたくさんザワついて、おんなじ向きへのぐるぐるに飽きていた。新しいぐるぐる教えてよ。住民のおめめは漸く一点に集中した――ごろり。よたよたと歩いていた誰かが、空を仰いでいる。

●ティーカップの中身は渦巻きだ
「ねえ。皆は小さな頃どんな遊びに夢中だった? わたしは、こう、クルクルした時にふわふわするスカートが好きだったよ」
 境界案内人であるポルックス・ジェミニはドレスのはしっこをつまんで、くるくるぐるぐる回ってみせた。
「今回のお話は、そんな、皆が一度はやっていそうな世界の1ページ。タイトルは――そうね――ぐるぐるしている世界、かしら」
 イレギュラーズの数名――おそらくは旅人だろう――が頷いた。たとえば回転する椅子、暇な時にぐるぐるした思い出。
「世界の住民はぐるぐるしているのが大好きみたいだよ。世界の危機とかはないんだけど、既存のぐるぐるに飽きちゃったみたい。皆でぐるぐるしたら楽しいんじゃないかな」
 ピタッ――ポルックスははしっこを持ちつつお辞儀を――出来なかった。よろよろと頭が地面に吸い込まれる。
「こ、こんなふうになっちゃうから程々に楽しんで!!!」
 各々木の棒や椅子やその他を持って、いざ『ぐるぐるしている世界』へ。

NMコメント

 にゃあらです。
 ぐるぐる回りましょう。
 そうしたら何もかもおかしくなる。

●ぐるぐるしている世界
 文字通り『ぐるぐるしている』世界です。何もかもがぐるぐるしています。人も鳥も虫も、天地もぐるぐるぐーるぐる。

●目標
 ぐるぐるしている世界の住民は新しいぐるぐるを求めています。
 楽しくぐるぐる遊びましょう。

●遊びの例
 回転する椅子でぐるぐる。
 いい感じの木の棒、お辞儀するように額をつけてぐるぐるぐるぐる。
 遊具、ティーカップのハンドルめっさぐるぐる。その他好きなように。
 大人ならお酒飲んでからぐるぐるしてもいいよ!!!

●特殊ルール
 この世界ではどんな種族であれ『ぐるぐるすると目が回ります』そうでなければ楽しくないでしょう。

●サンプルプレイング
「な、なんだかお花畑な気分になりそうな世界だな。よし、やるからには全力でぐるぐるしよう」
この遊具はハンドルをぐるぐるすれば本体もぐるぐるするんだな。自慢のフィジカルで高速ぐるぐるだ。ほら、住民の皆も楽しそうに……早すぎて見えねぇ!!!
「……た、立てない」

●その他
 皆でぐるぐるするのも1人でぐるぐるするのも自由です。宜しくお願い致します。

  • 世界は回るものだから完了
  • NM名にゃあら
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年07月06日 21時50分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
ジェック・アーロン(p3p004755)
冠位狙撃者
神宮司・早苗(p3p008333)
早苗流戦輪術

リプレイ

●最初から宇宙に居たんじゃあ上下左右もわからない
 コズミック! 唐突に幕を開けた深淵が、轟々と機体を迎えて魅せた。垂れ流すようなレールが地獄への門を抉じ貫けて、只管に発狂する貌は誰かへの当てつけか。乗り続ければいいんじゃない? 自棄を起こしたかのように『若木』秋宮・史之(p3p002233)(よみ:あきみや・しの)は片手を挙げた。つまんでいたのはフリーパス、乗り放題回り放題の酔り道に精神を投げ出せば大満足。天地がひっくり返れば気分は朦朧で、きっと世界の住民どもは歓喜を吐き散らすだろう。連中の眼球がぶらついた時、まだまだ余裕だとの声が漏れた――ぐるぐる物足りないというのならアルコール塗れのぶらりんは如何だ、ギフトを使えば隣同士、酔っ払いどもの顔は増々赤赤とわらう。ラム・ジン・ウォッカその他となんでもござれだ。瓶に詰められた思考回路は日々逆行を辿っている。痛飲すれば脳味噌ホルマリン漬け、つくづく嫌になるほどの水槽感だ。ジェットの勢いでそのまま宇宙までどうぞ――足が上で頭が下、心が左で肝臓が外、無重力状態でぐるぐる楽しい。いらっしゃいフィクション、この消失は二度目の濃厚さに違いない。宇宙と書いたらオマエ。如何に音読するのか。ほら、ソラを仰いだ君はロマンチスト。
 2リットルのドンペリが神経質な人類を殺していた。離れないくすくす笑いがこびりついて、嗚呼、彼方までの落下ならば置いていけるのだろうか。真逆、オマエは自身の漿液をこぼしたいとでも? 貝殻を耳にあてるのではなく、耳の中の石が転がっていく――両手で塞いだって響いている。耳鳴りとめまいを間違えてはいないか――本日も酔っ払い。
 昼夜を問わずにちゃんぽんしてやれ、晩酌待てないのんべえの渇いたあやまりだ。やってられないひとつとふたつを塩としてぐるぐる愛好家とお喋りしよう。まっすぐ歩けなくて何が悪いと謂うのか、おんなじ場所をぐるぐるぐるぐる悪くはない――狐に騙されて一番上、ポップコーン片手に落ちた――他人の悲鳴がキャラメルだ、胃液がぶくぶくしている。空き缶はごみ箱へどうぞ。
 まちがってもポイ捨てしちゃダメ。こんばんは堂々巡り、お辞儀して回る感覚は阿呆みたいだろう。笑って笑って、いられるだろうよ。

●塗れる事になったとしても料理名がわからない
 そこの可愛いお嬢さん、そんなに燥いでどうしたの。ご近所さんが微笑ましいものを見ていたのは大人になった今だからわかるのだ。懐かしさと甘酸っぱさが共存する中で『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)、妹とのお揃いワンピースを想起した。ぐるぐる、ぐるぐる、スカートがふんわりと踊りに踊って、お姫様みたいと言われた昔々。お父さんやお母さんのだっこぐるぐるはもう――どうしようもなく渦の底だろう――再現するならば如何しようか、さあ、とっておきのワンピースはあの頃と同じかい? 気分は囚われのプリンセスもしくは逃げ出したおてんばさん、けれど君、アルコールを忘れてはいけない。今日の気分は紹興酒! 食べるべきは中華料理だ。生地に包まれた女の子曰く、お腹が空いて目が回りそう! いちばん高級なレストランにご招待だ。
 たくさんの料理が望んだのはターン・テーブルだった。ぐるぐると回しながらくるくるとお箸を遊ばせる、あれもこれも無礼講だマナーなんぞ吐き尽くしてしまえ。つついた赤黒い泥状はとっても辛い、舌が焼けてしまいそうだ。粘ついたスープの中には脂肪じみた塊、頬が溶けそうな悦びだ。このアツアツホカホカなお饅頭の内側は如何だろう、おにくの種類は絶対にカタツムリと決まっている。美味しくて楽しくてどんどんお酒も進んでしまうわ。そういえばホルマリン漬けになりたかったのよ! 注ぎ足してさあ今すぐに!!!
 何度目かのぐるぐるが楽しさを倍加していった。もう、食べて飲んでが嬉しいのかぐるぐる回るのが楽しいのかわからなくなってきた。どこかしらにあった姿見を覗こうとしたらビックリ、私自身が回っていた――ねえねえ、そこのシェフの貴方も給仕の貴方も、隣のテーブルのお客さんも。いっそのこと世界中の皆を呼んで折角だもの。みぃんな一緒にぐるぐるしましょうよぉ――そういえばティーカップを置いていなかった。なんでそんなに大きいのかしら。ターン・テーブルに乗らないじゃない! 食べて飲んで食べて飲んでサア反芻!
 その内もっともっとと縋るように、誰も彼もがテーブルのど真ん中。大人のおねーさんはきっと最後にまわるのだろう。何もぐるぐるしているのは世界だけではないのだ。おめめぐるぐるいただきまぁす……君の頭もおっこちた。

●如何しても架け橋、ななつめがわからない
 回れや回れ、鬼火を引き連れた獣どもが如く『早苗流戦輪術』神宮司・早苗(p3p008333)は溌溂としていた。回り回ってくるくると揺れる巫女風が遊ばれている。なのじゃ! びしっとポーズを決めたならば高層ビルの真下、晴天の内で幕開ける宴は至福の極みだろう。なんじゃなんじゃ! 乱れ狂った棚の上には無尽蔵なアルコール、はやくコールしてくれとスピリタスその他も笑っていた。うむうむ、くるしゅうないのじゃ。指をふったら此方か彼方か、強そうなものからほんのりなものまで全部が全部狐のもの。しかし如何してだろうか。おつまみないのじゃ? 残念ながらお外には見当たらない……仕方ないのじゃ。ぐぅぐぅと鳴っている胃袋を慰めるにはぐるぐるするしかない。いかんいかん。世界を見失う前に目的を見失ってはいけない、ふと横に煌びやかなステージ。
 ゲーミング・ライトが騒がしい中、オマエは意気揚々とど真ん中に着地した。ぐるぐる魅せつけるならば現とばかりに両手を広げ、スピン・スピンと拍手喝采――早苗さんの華麗なるダンスを見せてやろう! ほれほれくーるくる。ピルエット技術なんて持っていない、この程度ならば余裕余裕の油揚げ前だ。
 ふふ、普段からぐるぐるしとるわしがこの程度で目を回す訳がなかろう。脱落者が増える中でのダントツ一位、高笑いが響き渡る毎に軸がブレていく。わしが一番長く回ってやるのじゃあ!!! ところで傍らに投げた酒瓶、これで何本目だ――速度がぐるぐるからくるくる、ゆるゆるに変わっていく。
 顔色のステージ照明も忙しないもので、青々とした姿は限界を迎えていた。お、お酒入ってるの忘れてたのじゃ……舞台上の幕にしがみついて膝から崩れ、ぐったりとお空を見てくれないか。ちょっとタンマのじゃ……復活した脱落者の波が押し寄せてくる。もっとぐるぐるしてよ。しないの? もっと楽しもうよ。待つのじゃいやほんと――抱えられたら地獄よりもおそろしい。
 め、目が回るのじゃ……キラキラしたもの出てしまうのじゃ。

●君にはコマの気持ちなんて微塵もわからない
 真白な肌が艶々と輝いたのは光の加減に違いないだろう、向日葵じみた『神翼の勇者』ジェック・アーロン(p3p004755)は太陽を追い駆けて追い駆けて弾丸と呼ばれる色をこぼしていく。ぐるぐる、ぐるぐる。疑問符が咲き乱れた頭の中で理解を示せば迷々、新しいぐるぐるを探す他に知れない。先の三人みたいにお酒は飲めない、たとえばフル回転した脳味噌、どうしたら全身を使ってくるくるできる――いもむしごっこは? もうやった。その場でぐるぐるするのは? 毎日やってる。提案しても提案しても次々とバツ印、こうなったら練達の諸々を使うしかない。主導メリーゴーランドを作るのはどうかな? 何それ何それおもしろそう! えっとね――必要なのは大きな大きな紙。もっといえばパラバルーン……ふんわりと宙から落ちてきた。なんかちょっとだけお酒臭いけど、きっと君達の気の所為だろう。
 皆揃ったなら片手で持って、ピンっとはりながら走ったりするの。右へ左へ全力したら絶対楽しいと騒がしくなっていた。真ん中にいちばん背の高い人が入ったら、その人もぐるぐるすると喜ばしい。これはメリーゴーランドじゃなくて回転ブランコじゃないか? 住民の一人が声をあげた。すばらしいね。お姉さんも準備良い? あんまりフィジカルには自信ないけど……何事もめいっぱいに。回るよ――心臓と肺が渦巻くような、お馬さんのいないカラフルにご案内――歩いていたら急加速、走れ走れと線じみた景色が煽ってくるくるくるり……息があがる。はぁ、はぁ……もうだめ、目がまわっ……。
 休憩時間はアッという間に過ぎ去った。それこそ眼球振盪が治まるか治まらないうちに。幼い子たちが押し寄せてきて他には何かないのと問うてくる。これも練達なんだけど――小さな公園でみつけた遊具、確か名前はグローブジャングルだったか――ぐるぐる回る円型のジャングルジム……みたいな。外に掴まったり中に入ればぐるぐる囚人、勢いづけて蹴るのも他の人に任せるのも大正解。あれもぐるぐるしてて楽しそうだった。いいな、やりたいな、そう思ったら出現するのがこの世界、早く乗ろう速く回そう!
 アタシも一緒にぐるぐるしたい。いいよお姉さんもたくさんぐるぐるしてね! こういうのは最初が肝心。横棒部分をすべらないよう、しっかりと握り締めて――思いきり……いくよ。いっせーのーでっ!

 ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる!!!
 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!

 早い早い早い早い!!! 絶叫が世界に融けるがもう手遅れ、ぐるぐるは愈々ぎゅるぎゅるになり、ぎゅるぎゅるは筆舌し難い回転へと達していた。君達をのせた円は型を忘れている。

 目ーがーまーわーるうううううううう!!!

●ぐるぐる
 ギャルルルル――無限にも思える回転を世界中の人々が楽しんでいた。目を回した君達も合流し、全てが綺麗に混ざっていく。きっと裏口から迷い込んだふらつきに揉まれて脳味噌ほどけたのだろう。幾度も幾度もぐるぐる。

成否

成功

状態異常

なし

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