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シナリオ詳細

<真夜中の星導>エブリナイト・ティー

完了

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ――ユーマ。お仕事は、落ち着きましたか?

●いとしいひとへ
「ねーねーユーマさぁん」
「……」
「顔険しいよ?」
「……」
「ちょっと、うさてゃんの話聞いてる?」
「……どちらかといえば、そこまで」
「もー、異世界の人って皆こうなの!?」
 オレンジブラウンの甘いカールを不満げに揺らしながら、『お茶会は毎日終わらない』有栖川 卯月 (p3p008551)は青年――ユウマに向けて怒りを示した。
 今宵卯月がこのとこしえの夜のくにを訪れているのは、彼の依頼のためだと言うのに、彼は口を開きやしない。秒針の金色の瞳に僅かに寂しさを携えて、彼の目の前にあるティーカップを眺め続けていた。
「なぁ、君」
「なぁに?」
「……紅茶は好き?」
「もっちろん! なんたって私はぁー、三月うさぎてゃんだもの!」
 ふふん、と端正な顔に花咲く笑みを添えて。ユウマはメロメロになるわけでもなく、『そうか』と少し満足げに微笑んだだけ。
「んもー、私一応アイドルなんだけどなぁ……私に興味持ってくれないひとなんて久々かも。へこむ」
「……い、一応既婚者なんだよね」
「ねえ待って何でそんな大事なこと先に言わないの???」
 ギンガムチェックのスカートがまたもや不満げに揺れた。ユウマは困ったように頬を掻いた。
「実は依頼って言うのも、妻の……スイのための、依頼なんだ」
「へぇ! 詳しくお願い」
 頷き。ユウマは告げた。
 暫く妻の体調が優れていないこと。
 彼女はお茶会が大好きだということ。
 それから、紅茶がとびきり大好きだということ。
「うさてゃんと相性ばっちりなのでは? うんうん、なるほどね! うさてゃんがんばっちゃう!」
「そ、そうか、助かった。じゃあ俺はスイの様子を見に――」
「大好きな旦那さんが自分のためにとってきてくれた紅茶、すっごく嬉しいだろうなあ」
「…………俺も行きます」
「ふふ、せいかぁい!」

●真夜中のお茶会
「全く……男の人ったら皆ああなのかしら!」
「彼だけじゃあないかな?」
 双子星のカストルとポルックスは、首を横に振って。やれやれ、世話が焼ける青年だ、とでも言わんばかりに。
「それにしても、日光もないのにあの世界で植物は育つのかな」
「んっとねぇ、月光が日光の役割を果たしているみたいだよ、カストル!」
 金糸揺らし、ポルックスは笑みを浮かべた。どれどれと覗き込んだカストルは、なるほどと頷いて。
「今回の依頼は、茶葉の自生地までユウマを導いてあげるんだ。それこそ、星の光みたいにね」
「皆、気を付けていってきてね!」
 ひらひらと手を振った二人からは、優しい茶葉の匂いがしたような気がした。

NMコメント

 リクエストありがとうございました。染です。
 三日月の彼は、愛しいひとを思うと夜もすがら眠れないのだ。

●依頼内容
 茶葉の採集

 嘆きの森と呼ばれる森に、茶葉を取りに行きましょう。
 余裕があれば、

●賢者の森
 美しくも広大な森です。
 蛍のように発行する昆虫や、白い毛皮の動物達が穏やかに暮らしているようです。
 毒のある植物はありませんが、森自体が暗いので、葉を判別するには光源があると良いでしょう。
 敵となる生物はいません。

 茶葉は奥に行けば行くほど生えているようです。どれも特有の甘い香りや、さわやかな香りがします。

●ターゲットとなる茶葉
 ・クラビウス
  →甘く濃厚な味わいになる茶葉。葉の色は紺色、丸っぽいです。
 ・嵐の大洋
  →すっきりとしたさわやかな味わいになる茶葉。葉の色は青、シャープなフォルムです。
 ・セレネ
  →甘さが後に残らない、シンプルな味わいになる茶葉。葉の色は白、薄く発光しています。
 ・神酒
  →誰からも愛される王道の茶葉。葉の色は金、生息場の近くに蝶が飛んでいることが多いです。

●世界観
 『真夜中の星導』と呼ばれる世界の中。
 永遠の夜の世界。朝という概念がありません。
 大きな特徴は「星を大切にしている」ということ。
 例えば、街の明かりは全て星を捕まえて灯したものです。ごく稀に食べられる星もあるようです。
 人々は星を愛する思いから、街中に星を用いています。それこそ、導のように。

●NPC
 今回登場するかもしれないNPCです。

 ・ユウマ
 青年。一風変わった処方箋を出す医師として名が知れています。腕前は良いのだが、その分抜けているところがあります。
 妻のスイのために紅茶を採集したいようです。

 ・スイ
 ユウマの妻。物腰柔らかな淑女、可愛いものと紅茶が大好きな少女です。
 ここ暫く体調が優れていないようで、床に伏せています。

 以上となります。
 皆様のご参加、お待ちしております。

  • <真夜中の星導>エブリナイト・ティー完了
  • NM名
  • 種別リクエスト(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年07月14日 22時05分
  • 参加人数6/6人
  • 相談11日
  • 参加費100RC

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(6人)

サクラ(p3p005004)
聖奠聖騎士
カティア・ルーデ・サスティン(p3p005196)
グレイガーデン
茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)
音呂木の蛇巫女
有栖川 卯月(p3p008551)
お茶会は毎日終わらない!
※参加確定済み※
朔(p3p009861)
旅人と魔種の三重奏
ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)
開幕を告げる星

リプレイ


「森も危険はないみたいだし、ちょっとしたお散歩気分でいこうかな!」
『聖奠聖騎士』サクラ(p3p005004)は雰囲気を大切に、ランプを持って散策を。
「ユウマさんも足元に気をつけてね!」
「ああ、ありがとう。助かるよ」
 愛する人のために茶葉を集めたい、という気持ちはなんとロマンチックで素敵なのだろう。その気持ちを応援するためにも、サクラはサポート重視で茶葉を探し始めた。
 蛍に動物。自由に生きている動物達は、混沌とはまた違っていて、サクラの目にはどれも新しく見える。散歩とは言え少しだけ気持ちが弾んだのもまた事実で。
「奥さんが元気になったらお二人でお茶っ葉を摘みに来るのもいいですね!」
「確かに、それもありかもしれない。ありがとう、サクラさん」
「ふふ、どういたしまして! ……と、どんなものを探せばいいのかな。特徴とかはある?」
「えーと……これとか、これとか、かな」
 ユウマはいくつかの葉を、千切ってサクラの手に乗せた。ふむふむ、と頷いたサクラは茂みの中に潜っていく。
「たくさんカゴにつんできたよ! どう?」
「……お、惜しい、かな」
「そっかぁ~~~」
 サクラはがっくりと肩を落とすものの、それだけで諦めるようならば騎士など勤まるものか。
 もう一度気合いを入れ直して、サクラは茂みの中を進んだ。依頼主が笑顔になれるように。心待ちにする人のために。

『グレイガーデン』カティア・ルーデ・サスティン(p3p005196)は持ち前の知識を惜しみ無く使用する。
(夜は紅茶よりもノンカフェインのハーブティの方が向いているけれど、飲む方の好みが一番だよね
 紅茶はカフェインの興奮作用よりも、リラックス効果の方が高いそうだし)
 うんうん、と納得し頷いて。ただ、ひとつ気になることがあった。
「スイさんの体調不良って、どんな感じなのかな?
 例えば、気持ち悪くてものを食べるのが辛いようなら、濃厚なのは飲み難いかもしれないし……眠れないなら刺激は避け、はちみつ入りのミルクティーにしたりするよね?」
「……確かに、食欲はないと聞いているな。吐き気も強いらしい……」
(もしかして、ご懐妊……? 紅茶は…摂り過ぎなければ大丈夫らしいけど。ブレンドしてはいけないハーブ等もあるから、気を付けよう)
 鈍感なのかスイが告げていないだけなのか。ユウマ自身は気付いていないようなので、自分で頑張るしかないだろう。カティアは頬を掻きながら、夜の森に一歩踏み出した。
「体調がすぐれないなら、嵐の大洋かセレネが良さそうに思うけれど…スイさんは普段はどんなものを好んでいるのかな?」
「ん? ああ、リストにあげたものは全部好んでいるよ」
「そっか。それじゃあ痛みの少ない綺麗な葉を選ぼう」
 運よく星、あわよくば食べられる星が手に入れば……なんて考えていたカティアにとって朗報だったのは、この森はよく星が落ちているのだとユウマが語っていたことだった。
 はい、と手渡された小さな煌めきが星だったときの驚きを、カティアは忘れないだろう。
「それにしても、カティアさんは約束に詳しいんだね」
「んーと、僕の居候先は、薬草を使ったお茶やお酒、軽食を提供するカフェバーでね?
 僕はそれほど詳しくはないけれど、店長はそういうの詳しくて……あと一応薬師的な人もいてね…うん、一応ね…」
 博識に近くともこの世界の専門知識は無いことを理解しているカティアは、そういった世界による違いのある部分はユウマに頼ることにした。
「ここの植物は僕の知ってるものとは結構違うみたいだし……何より、ユーマさんが一番、奥さんの好みを知ってるだろうしさ」
「はは、照れるね」

「私、やっぱり好きなんだよねー! それがねぇ…なんだか星くん食べたくなってきた。…じゃなくって」
『音呂木の巫女見習い』茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)は一面の星空に興味津々。
「なんだかここ、キラキラしてて、ワクワクしちゃって止まらないんだよね!
 ウェーイっ、テンションあげぽよー! よっしゃー! 茶葉を頑張って取ってくればいいしょっ! 張り切っていこうぜ!」
 おー、とユウマが添えた手を確認すると、秋奈はずんずん森の奥へ。
「やべーぞ!! めちゃんこ広い! それに癒される! なんか森林浴的なアレっ!
 なんか名前わっかんないけど虫とか動物とかすっごい!」
「そちらの世界とは違うのかなあ」
「植物とかてんでダメダメマンだかんね、私ちゃんっ!」
 ほぼカンだけど、光ってるやつとか金ぴかのやつなら割とすぐ見つかりそうな気がする。たぶん。きっと。めいびー。
 秋奈の感は外れなかった。これはどうだ、と渡した草が茶葉であるときのどや顔ときたら。
「あー、クチんなか甘くなってきたー! うおーっ!頼れるみんなのお姉さん、秋奈ちゃんだ! 捜索のスキルを信じるんだ!!!」
 うおー! と叫びながら摘み取っては進み、摘み取っては進みを繰り返し。ユウマの持つ籠は、ようやく半分ほどに溜まってきた。


 うさぎである『お茶会は毎日終わらない』有栖川 卯月(p3p008551)は元々夜行性。つまり夜目は聞くほうだから心配はない。
「というかユウマさん奥さんいたならもうちょいこう……頑張っても良くない!?」
「おっしゃる通りです……」
 本人たちには本人たちの幸せがあるだろうしなんとも言えないけども、いやもう言ってる。
「嘆きの森なのか賢者の森なのかわかんないけどしゅっぱーつ!」
「おー……」
 卯月が狙うのは高品質な神酒。王道なら全員飲めるだろうからと踏んで。可能な限り奥へ奥へと進んでいく。
「うさてゃんはぁ幸運なので蝶々も見つけられるでしょう! あっほらあそこ! あとは導かれるように神酒を手に入れましょう?」
「ほんとに……幸運だなあ」
「あ、ユウマさん全部とるのは生態系が壊れちゃったり他の人が取れなかったり、来年が怖いのでNGだから。そんなに勢いよくとらないで」
「わ、わかった」
「というか~、スイさんはどれが好きなんだろう? ユウマさんは知ってる?」
「全部好きだよ。他にも生えているけど、リストにあげたものが特に好きなんだ」
「へぇ~、そうなんだ。じゃあんー、自分用にも欲しいな。今回リストに乗ってないやつならいいかな?」
「勿論!」
「やった~! どんな合わせ方をしようとかアイスホットどっちが合うのかとかめっちゃ気になる〜! 持って帰って研究しなきゃ!
 それでもって彼の方が好きそうなら差し入れにしよっと!」
「……そっちの茶葉は、誰でも飲みやすいよ」
「ほんと~!? ありがと!」
 卯月を見る目はまるで騒々しい妹を見るような眼差し。くすくすと笑ったユウマは、茶葉の茂みを探し始めた。

「ずっと暗いままってのはなんとも……不思議な気分だ。こういう世界もあるんだな」
 朔(p3p009861)はランプを下げて森を歩く。危険はないと解っているけれども、道中は周囲に気を配りながら。
「そういやここはなんで『嘆きの森』って言うんかね。ユウマは知ってるか?」
「ここかい? ここは、精霊たちの住みかだから精霊たちの言葉なんだよね。俺たちにも理由は解らないんだ」
 うーんと首を傾けたユウマ。精霊たちがどこかで笑っているような気がして、朔は思わず遠くへランプの光を伸ばした。
 しばらく歩くと、そこには茶葉の群生地があった。
 茶葉か、そうでないか。どの茶葉なのかを判別するためにもランプは欠かせない。きぃ、と鳴る音が、二人と茶葉を照らした。
「ひとまずで採取されちゃあ森も迷惑だろうし、俺たちも二度手間だ。1種類ずつ、ある程度の量を集めてから次の種類へ行かないか?」
「うん、そうしよう」
「さてさて、クラビウスの葉は……丸っこいのか。飲むと甘いって聞いたが、匂いもそうなのかね?甘いならミルクティーなんて良さそうだ」
 ぷちん。
「こっちは嵐の大洋で、こっちはセレネ……どちらも甘いと言うほどではないらしいが。そういやスイはどんな紅茶が好きなん――」
 きらり、きらり。羽ばたきを見る。ひかりで溢れた、そのつばさを。
「……なんだ、あれ。鳥…ではないな? なんだ……?」
「……追ってみる?」
 頷いて。二人は、森の奥へと駆け出した。

「ちなみにスイさんはこの茶葉が特に好きー、とかはあるのですよ?」
「今回リストにあげたものは特に好きなものだよ」
「なるほどーなのですよ!」
『にじいろ一番星』ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)は頷いて夜の森を進む。
 白背景にしたaPhoneを持ちこんだルシアは、それを手元の光源にしていた。
「使用不可、は繋がらない、ということだとルシアは考えたのです」
「すごいね、この板」
「ふふ、でしょう! こうすれば灯りの代わりになるのでして~」
 さあ、探索開始……かと、思いきや。
「月明りとお星さまと多分蛍……ですよ? とにかく、とっても綺麗だと思うのでしてー!」
 ルシアは少し遠回りをしながら、茶葉の群生地へと向かうことにした。せっかくのお出掛けなのだ、楽しまなくてはもったいない。
 茶葉の特長を教えて貰いながらすすめば、ほら、丁度ぴったりだ。
「たしか、葉が青いのは……『嵐の大洋』ですよ?」
「うん、正解。これも取っていこうか」
「暗くてよく分からないけど……向こうの、多分クラビウスかもでして!」
 採集をしてみる。ルシアの鼻を擽ったのは、柔らかな茶葉の甘い香り。
「これは! すごいのでしてー……!!」
「でしょう。これだから、森の探索は楽しいんだよね!」


 茶葉は見事に集まり、森を抜けて今は二人の家。
「ユーマ……これは?」
「皆からの贈り物だよ。スイの体調が悪いことを心配してくれたんだ」
「……じ、実は、私、」
「うん?」
「妊娠して、いるんです」
「えっ」
 ユーマの悲鳴に、察していたカティアを除く五人が駆け込んでくるまで、あと数秒。

成否

成功

状態異常

なし

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