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シナリオ詳細

大海の狩猫

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●大海の狩猫
 広大な海が広がる、ネオフロンティア海洋王国。
 様々な島が海域に点在し、それぞれの島は様々な特産品を産み出している……そしてそれを交易する事で、生活をしている人々もいる。
 各々の生活環境は様々であり、貧富の差こそあれここ、ネオフロンティア海洋王国で生きる為に、誰しもが一生懸命生きている。
 そして、そんな生活を支える為に、大海原を行き交うのは交易船。
「さて、今日はこの島の食材を運ぶだけか。そんなに難しくは無さそうだな」
 数名の乗組員で構成される交易船の船長が、周域の海路図を見て、一言。
 要する日数としては2日程度だし、よく通る航路。
 余り他の船が通らないけれど、まぁ……いつもと変わらないから大丈夫だろうという……慢心があったのかもしれない。
 島の特産物を仕入れ、金を支払い、船を出す……そんないつもの日常をこなし、船を出す。
 一日目は何事も無く順調に過ぎ去り、二日目の夜。
 明日の朝には到着するだろうから、監視を出して休もう……と船を止めたその瞬間。
『……ミャーーゥ……』
 遠くから聞こえてきたのは、鳥の鳴き声。
「ん……ああ、ウミネコか……」
 ウミネコが鳴く事だなんて、普通にある事。
 その鳴き声は、多少低い音だったが……まぁ、そういうのもあるだろう、と。
 ……ただ、その鳴き声は更に幾重にも。
『ミャァゥウ……』
『ミャァアアアウウ……』
 とても一匹だけでない。
 二匹、三匹……いや、それ以上の数。
 そんなウミネコたちは、恐らく船に積まれた資材の匂いを嗅ぎ付けて、やって来たのだろう。
 だが……その体躯は普通のウミネコに比べて、数倍もの大きさ。
 ……そして、船に向けて急降下したウミネコの怪物共は、船に穴を空け、資材を口に頬張り……船を瞬く間に沈めていくのであった。


「あー……どうやら集まってくれた様だな? んじゃ、早速だが説明させて貰うな」
 と、『黒猫の』ショウは、集まったイレギュラーズを見渡すと共に、不敵な笑みを浮かべると。
「今日皆に集まって貰ったのはまぁ……依頼な訳だ。ネオフロンティア海洋王国、そこでどうやら狂王種が出て来てしまった様でな? そいつを倒してきて欲しい、って訳なんだ」
 狂王種と聞いて、タコやらイカが? と思われるが、ショウは首を振り。
「今回の狂王種は、水棲系の生物じゃ無い様なんだわ……『カモメ』の一種、そう『ウミネコ』が巨大化してしまった物の様らしい」
「この『悪食の』ノイジーイーター、と呼ばれる奴らは、その二つ名の通り、人が食べる食べ物やら食材やらを奪いに飛来してくる。そして船の中にそういうものがあるとなれば、船諸共喰らい尽くしてそれを奪い去っていくという……まぁ食いしん坊な『ウミネコ』の群れの様だ」
「こいつらのせいで、今迄何隻もの交易船が海の藻屑と消えている。勿論乗組員達も、船諸共『ノイジーイーター』達に食われた、ってな訳だ。こいつらを放置しておくと、更なる被害が見込まれる。ってな訳でよ……皆にこいつらを討伐してきて欲しいってのが、依頼な訳だ」
 そして、最後にショウは。
「交易船ってのは、島々が点在する所にとっちゃぁ生活に欠かせないライフラインでもある。危険を放置しておけば、ライフラインの維持すらもままならねぇ。てな訳で皆、宜しく頼むぜ?」
 と、皆の肩を軽く叩き、威勢を付けるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 今回は海洋王国依頼……巨大ウミネコ退治です。

 ●成功条件
   巨大ウミネコである、『悪食の』ノイジーイーター達を全て討伐する事です。

 ●情報精度
   このシナリオの情報精度はAです。
   想定外の事態は絶対に起こりません。

 ●周りの状況
   『ノイジーイーター』の群れは、深夜の刻に襲撃します。
   灯が煌々と照らされていると、近づいてこないという性質があり、更にその身体は黒っぽいので、周りが真っ暗でないと、そもそも出現しません。
   襲撃前には何度か鳴声を上げるので、周囲の音に警戒しておけば、襲撃の事前察知は可能です。
   又、食いしん坊な様で食材もしくは食べ物の匂いを嗅ぎ付けてやって来ますので、そういった物を持ち込む必要があります。
   尚、一度攻撃を仕掛けた後は、食いしん坊な面が強く出るので、基本的に全ての物を喰らい尽くさない限りは船から離れるような事は有りませんので、足止めする工夫は必要ではありません。

 ●討伐目標
   ・『悪色の』ノイジーイーター x 5匹
     狂王種のモンスターです。
     一体一体のHPがとても高く、タフな奴らです。
     更に嘴が鋭く、長い為にそれを槍のように使って船体に穴を空けたり、突き刺すような攻撃がメインになります。
     もしくはその嘴を大きく開いて閉じて、噛み砕くような行動を取ることもあります。
     また奇っ怪な鳴声を上げて、戦域全体に『混乱』のBSを引き起こす事も可能です。
     
     敵に対するBSですが、雷に対しては高い抵抗力を持っており、ほぼ雷は無効に近い状態となりますので、ご注意下さい。

   それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 大海の狩猫完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年06月27日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)
鏡花の矛
カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
海音寺 潮(p3p001498)
揺蕩う老魚
ルチア・アフラニア・水月(p3p006865)
鏡花の癒し
ジョージ・キングマン(p3p007332)
絶海
綾志 以蔵(p3p008975)
煙草のくゆるは
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色

リプレイ

●大海原に渡る
 一面に広大な海が広がる、ネオフロンティア海洋王国。
 航路上には様々な船が往来し、船が人々の生活を支えている……そして海の漢達は、航路上の天候を様々な方法を使い、それを予測する。
「しかしウミネコ……いや、ノイジーイーター、か。ウミネコだったらまだ身近な鳥なんだが、ここまでのサイズともなると、流石に迂闊にも愛でる事も出来んな。特に、船まで喰らうような大食らいとなっちゃ船乗りの天敵だ。ここで確実に仕留めて、被害を抑えなきゃならないだろう」
 と『絶海武闘』ジョージ・キングマン(p3p007332)が、未だ晴れている空を見上げながら呟くと、それに『幻蒼海龍』十夜 縁(p3p000099)も。
「ああ、それも狂王種ときちゃ、ここを往来している船も危険に晒される事になる。どでかいタコやらイカやらはもう見慣れたんだがねぇ……ウミネコとは、そう来たか……ってな感じだな」
 確かに縁の言う通り、狂王種と言えば……タコやイカなどの、水棲生物、という印象はある。
 でも今回の狂王種は水際に棲まう者ではなく、空を巡る鳥。
 ……そう言えば、同じく鳥種の仲間もいたような……と誰かが『風読禽』カイト・シャルラハ(p3p000684)をちらり視線を配す。
「ウミネコがなんだ。こっちはウミネコを捕食するタカなんだぞ!」
 その視線に気づいたかはわからないものの、拳を握りしめて、声を荒げるカイト。
 ……だが、それに『揺蕩う老魚』海音寺 潮(p3p001498)が。
「うむ、そうじゃな。それはそうとカイト、ほれ、これを刺しておかんとな?」
 その手には……先ほど市場で買ってきたネギが一本。
「おい、何だよそれ?」
「いやいや、これはオシャレなアクセサリーじゃ。頭に刺すとかんざしみたいでオシャレじゃよ?」
 ニコニコと笑顔で頭にネギを刺してこようとする潮……その後ろにふよふよ浮くポチも、カイトの周りをグルグルと廻り廻る。
 それを手で払いながらカイトは。
「かっこいいアクセサリって、カモネギじゃねーよ!! タカだよ!!」
「ふむぅ……そうかのぅ。長ネギが嫌なら、じゃなすびを代わりに着けても縁起がよさそうじゃな?」
「いや、ナスも違う!!」
 自然と息の合った掛け合いを交わす二人。
 それに『スピリトへの言葉』オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)も。
「まぁ、カイトは鷹で験担ぎっぽいんでしょ? いいことありそうなら大丈夫よね!」
 ニコニコしているオデットに、だから違うっ、とひたすら否定するカイト。
 そんな仲間達のわいわいとしたやりとりにははっ、と笑いながら縁が。
「まぁ、鷹は確かに強いからなぁ……俺はか弱い海種なんでな。あんなおっかねえ鳥が飛び回ってるとなりゃ、安心して酒も飲めやしねぇ。精々瓶三本位だ」
 肩を竦める縁だが、それに『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)が冷静に。
「瓶三本って……それは中々凄い量だな。俺は一本でも眠くなると言うのに」
 羨望の眼差しを向けるイズマにははは、と笑う。
「とまぁ……冗談はさておき、船どころか人まで喰っちまうような危険な連中なら、放っておくわけにもいかねぇよな」
「そうだな。何でも食べるのは……さすが狂王種といった所だ。だが、食われる方はたまったもんじゃない。喰らい尽くされる前に狩らねばならないな」
「ああ。ウチも商船をよく出すからなぁ……船ごと喰られちゃたまんねえ。しっかり退治させて貰うとするか」
「そうね。こちらも食べられるわけにはいかないし、しっかり全滅させるわよ!」
 『煙草のくゆるは』綾志 以蔵(p3p008975)に『「Concordia」船長』ルチア・アフラニア(p3p006865)が気合いを入れる。
 そして潮が。
「何でも食べるのは良いことじゃが、食べ過ぎは身体に良くないぞい。何事も腹八分目じゃ……ま、それはさておき、では船を出そうかのう」
 と言うと、イズマは。
「そうだね。一応廃棄予定の食べ物を色々と貰ってきたから、それを船倉に積んでおこう。匂いから彼らを誘い出せれば、ラッキーだと思うし」
「うむ。了解じゃ」
 そしてイズマと潮、二人の船にそれぞれ大量の食料を詰め込んで……イレギュラーズは、街から出港するのであった。

●響く鳴き声
 そしてイレギュラーズ達は出港して数夜。
 時間を調整し、狂王種が出る、と言われた海域の近くに辿り着いたのは、深夜の刻。
 灯りを灯せば彼らはその場から離れてしまうかもしれない……だからほんの僅かな薄明かりの中で航行するイレギュラーズ。
「うーん……真っ暗ねぇ……」
 と、己の翼の光も閉じることで、ほんのわずかに漏れる光だけしかない……そしてオデットは周りを見渡しながら、不安気にぽつりと零す。
 ……そんな彼女の雰囲気に、親友であるルチアが。
「ん……大丈夫?」
 と声を掛ける。
「ええ……さすがに船にも慣れたけど、真っ暗な船旅ってさすがに不思議ね……でも大丈夫。ルチアも一緒だし、真っ暗以外は怖いものはないわ」
 精一杯強がるオデットに、ルチアは。
「そう……確かにあなた、暗いの苦手だったかしら? 怖いなら手、握ってあげてもいいわよ?」
 と微笑みながら手を差し出すと、オデットはぷくーっ、と頬を膨らませて。
「何よルチア……火狩りの妖精なんだから仕方ないでしょ、手なんて繋がなくても平気だから! 子ども扱いしないでよ!!」
「ん、ごめんごめん! でも、本当に怖くなったら言ってくれていいから、ね?」
 取り繕うルチア。
 そんな二人の言葉を聞き流しつつ、深夜の空を見上げるは以蔵。
「しかし……真夜中に飛ぶウミネコか。随分変わった生態を持ってるんだな」
 と小首をかしげると、ルチアが。
「あ、そうね……ウミネコをちょっと調べたんだけど、カモメみたいな見た目して、夜目はきくし獰猛だしで、中身は全然違うのね?」
 それにジョージが。
「確かにな。まぁ狂王種になった時点で元々の性質なんてあって無い様なもんだとは思うけどよ。とは言え鳴き声は……ん、変わらない様だぜ?」
 風を感じるように、耳を澄ませたジョージ。
 遠くの方から、朧気に聞こえてきた鳴き声。
 勿論それが狂王種のものかどうかは、まだ判断出来ない。
 ただ、奇っ怪な鳴き声を事前に挙げてから、襲ってくるという修正があるとは聞いており。
「本当かどうかは分かんねえけどよ、ノイジーイーターが釣れるまでは取りあえず警戒しておかねえとな。後は美味しい匂いとかで、もうちょっと誘い出した方がいいか?」
「そうだな。んじゃ、船の上で焼き肉と行くか?」
 縁にニヤリと笑みを浮かべる以蔵。
 事前に購入しておいたまぁまぁ良い肉を、船の上、強火で焼く。
 ……ジュー、と美味しい音が響き渡り、更に香ばしい匂いが辺りに立ちこめる。
「肉……ってのは、焼けば良い匂いがするもんだよな? 食材として適しているなら、な」
 そう言いながら……視線はカイトに。
「いや、だからなんで、俺を食おうとする!?」
 それは、食材適正を持って居るからこその宿命……かもしれない。
 ともあれそんな美味しい匂いは空へ立ち上り……遠く離れた狂王種にも、届いた様で。
『ミャァアゥウウウ……』
 と、先ほどよりもはっきりと、何者かの鳴声がその海域に響き渡る。
 その鳴き声を、暗視等で見渡し、さら自分たちに敵意を向けている者がいないか、を確認。
「しかしこの鳴声は、どういう意味なのだろうな? ……襲撃する前に、意思疎通を鳴声で図っているのか?」
「かもしれねぇな。んじゃ、ちょっと俺が誘導に行って来るぜ?」
 とカイトは先ほど焼いた肉や、重ね焼きした焼き鳥などを両手に持って上空へと飛翔。
 これ見よがしにそれらを上手そうに食べる事で……敵の襲撃を誘い出す作戦。
 ……そうしていると、またも鳴声が聞こえる。
 その鳴声はみるみる内に近づいてきて。
「……ん、来るわよ、皆」
 ルチアが敵意を感じ、その方角を指示。
 カイトがその方向にちょっと飛んで行くと……。
『ミャァアアウウウ……!!』
 更に敵意を孕んだ鳴声が聞こえて来る……そしてその声と共に、二隻の船の情報に、ウミネコの狂王種『悪食の』ノイジーイーターが飛来。
 一匹はみるみる内に高度を下げてきて、初撃船に穴を空けようと、大きな嘴を突き立てようとする。
 ……が、その攻撃を咄嗟にカバーリングする縁。
「っ……初っ端から船を狙うなんて、躾けがなってねぇなぁ……?」
 縁に攻撃を防がれた一匹は、一端退き間合いを取る。
 その間にすぐルチアが聖なる守護を掛けてて傷を癒す。
 そして、敵が食らい付いた所にカイトが早速。
「ウミネコっていやぁ肉食だよなぁ? ほら、この肉は美味しいぜぇ?」
 と肉を見せびらかしつつ。
「さて、海上は俺の領域だ! 俺よりうまく飛べると思うなよ!」
 と周囲に怒りをばらまき、引き留める。
 とカイトが五匹の狂王種を引き付けた所で、オデットが翼を開き、イズマや潮も光を点し、視界を確保。
『ミャァアアア!』
 まるで眩しい、と言わんばかりに咆吼を上げて威嚇。
 鋭い嘴を大きく開いて、閉じて……喰おうとばかりに動き回る狂王種。
 更に甲高く、奇妙な鳴声を上げ続けるのは、正しくその二つ名である『ノイジー』にぴったり。
 だが、そんな彼らの暴れっぷりが船体へと向けば、下手すれば沈没してしまうだろう。
 潮とイズマで二隻の船を出しているとは言え、いつ船に壊滅的なダメージが出てもおかしくはないだろう。
 それに。
「コイツらは、共食いもするのだろうか? ……ま、そんなのはどうでもいい。一匹残らず、狩り尽くすとしよう! これ以上、航路を荒らされては、こちらの商会にも影響が出るからな!」
 ジョージが言う通り、航路の安全が保たれなければ交易船も中々出るのは難しくなるだろう……だから、早急に仕留めねばならない。
 そしてジョージが先ずターゲットにしたのは、先んじて船へと攻撃してきた狂王種。
「悪く思うなよ。これも弱肉強食。次は、貴様らが食い尽くされる番だ!」
 辛辣な言葉と共に、作り出した黒の大顎が敵を喰らう所に、更にイズマも。
「さぁ、タフだろうと倒しきるぞ!」
 と言い切りながら、彼も同じく大顎の一撃。
 二人の大顎に喰らわれた狂王種は悲鳴を上げる。
 だが、悲鳴を上げるだけではなく、大きく暴れてしまい、船体にその翼が当たり、軽く割れてしまう。
 咄嗟に潮がその被害状況を見定め、問題無いと判断すると、彼は仲間に祝福の囁きを与える。
 そしてオデットとルチアの二人が続く。
 先に動くはオデットで……周りに存在する精霊達に向けて。
「海の上だからって油断しちゃだめよ? 友人たる精霊達、力を貸して!」
 と、己に紋章を翳すと共に、熱砂の精を使役し、嗾ける。
 一方ルチアはは、己に聖躰を下ろ、耐性を付けていく。
 更に縁が。
「お前さん方、悪食なんだろ? だったら遠慮しねぇで、俺達の攻撃も残さず喰らっていってくれや!」
 憎まれ口を叩きながら、敵の鳴声を耐えつつ、一体に向けて真下より噴き上がる狂濤を浴びせかけ、敵をその場に繋ぎ止めると、そこに以蔵が連携し。
「お前達には腹一杯にならねぇ煙で悪ぃな。ま、悪食ってんなら楽しんでいってくれや」
 煙をくゆらせながら、敵を一斉掃射していく。
 そして、次の刻。
 敵の動きはさほど変わる事は無く、船の近くで暴れて船を傷付けるが……邪魔するカイト。
「っ……猛禽の俺を喰おうなど、百年早い! お前らの中で一番強い奴から挑んで来やがれ!」
 とカイトは敢て挑発し続ける事で、船への被害を最小限にする様、身を呈し続ける。
 勿論一撃毎に、かなり体力を削られてしまうが。
「くっ……おれは風に、空になる!」
 と精神集中すると共に、己の体力を回復し、耐え続けながら。
「いいか皆! 鳥の弱点はだいたい脚が弱いんだ! だから、そこを狙ってくれ!」
 とカイトは仲間達に弱点を指示。
 そして惹きつけてくれている間に、残るイレギュラーズ達は一体に狙いを定め、集中砲火。

 熾烈な猛攻……確実に狂王種の体力を削り去り……数刻掛けて、やっと一匹仕留める。
「先ずは一匹。良し、次はこいつだ!」
 と次のターゲットをすぐさま以蔵が定めて、集中攻撃。
 かなり時間は掛かるが……一匹ずつ、確実に仕留めていく。
 鳥故に、万が一にでも飛び去って逃げてしまう可能性は充分にありうる……だから、逃げる暇も与えずに、攻撃に継ぐ攻撃。
 ……五匹居た狂王種達は、数十分の戦闘の後に、残るは後一匹。
 勿論逃げられないよう、足止めを何度も何度も付与し続けて、船の上へと縛り付ける。
 そして……。
「さあ……後はお前だけだ。ここで、仕留める」
 以蔵が宣告と共に放つ、死の凶弾をその頭めがけて放つ。
 その一閃を避ける事も出来ず……最後の狂王種は、そのまま船の上へと落下し、骸となった。

●海の掃除屋
 そして……どうにかウミネコ狂王種達を退治した、イレギュラーズ。
「ふぅ……どうやら終わった様じゃのう。皆、お疲れ様じゃ」
 息を吐き、皆を労う潮に、ジョージはああ、と頷いて。
「そうだな……まぁ、中々厄介な敵だった。と……船の被害はどうだ?」
「うむ。被害無しとは言えぬが、取りあえず港に帰るには少し補修が必要じゃな。という訳でわしは修復に向かわせて貰うな?」
 と言うと共に、ポチと一緒に腰と増すとにロープをくくりつけ、船腹の穴が空いた所を修復。
「……本当、ボロボロじゃな。いつもありがとさん」
 船を撫でながら労う潮……と、その一方で倒した狂王種ウミネコの骸を見下ろしながら。
「ところで……こんだけたらふく食った連中なら、いい酒のつまみになりそうじゃねぇかい?」
 と酒を片手に、仲間達へと振り返る縁。
 だが、それにカイトが。
「んー……ウミネコってあんまり美味しくないんだよな。あ、でも狂王種になったらおいしさもランクアップ……してるかもしれねーか。ちょっと焼いてみると面白いかもな?」
 と言いながら、ウミネコの血抜きを行い、下ごしらえを始めるカイト。
 海水を使って肉を締め、調味料で臭みを取った上で、切り分ける。
 切り分けた肉を駆使に刺して、火で炙り始めると……香ばしい匂いが漂い始める。
『……はっ、ノイジーイーターの、焼き鳥……? いや……食べれるのか知らんけど……でも、美味しそうな匂いだな」
 とイズマの言葉に、カイトが笑いながら。
「ああ……まさか自分らが喰われるとは思うまい。喰われた分は、喰って血肉にしねぇとな?」
「……そうだな」
 そして、しっかりと調理し終わり……ほおばると。
「……ちょっと、硬いな?」
「ああ……飛び回ってるから、筋肉が付いちまってるんだろうな」
 以蔵とジョージが言う通り……正直美味しい、とは言えない。
 まぁ、彼らを食する事で、彼らを弔う意味でもある訳で……そしてイレギュラーズ達は潮の修復が終わると共に、街に向けて帰港の針路を取るのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

海洋の平和へのお手伝い、ありがとうございます!
ウミネコさんが巨大化すれば、本当に海に何も残らなくなりそうです……ね。

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